JPH04337023A - 軸受鋼の製造方法 - Google Patents

軸受鋼の製造方法

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JPH04337023A
JPH04337023A JP13598491A JP13598491A JPH04337023A JP H04337023 A JPH04337023 A JP H04337023A JP 13598491 A JP13598491 A JP 13598491A JP 13598491 A JP13598491 A JP 13598491A JP H04337023 A JPH04337023 A JP H04337023A
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JP
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carburizing
steel
less
surface layer
transformation point
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JP13598491A
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Nobuhiro Murai
村井 暢宏
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、常温ではもとより、
300℃という比較的高い温度までの領域においても優
れた転動疲労強度を示す軸受用鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、例えば自動車産業の分野
での燃費向上施策等に見られるように、各種機械・設備
における使用部品の軽量化要請が高まっているが、特に
動力伝達部品の場合には、軽量化に伴って部品が負担す
る応力は相応に大きくなるので軽量化と同時に材料の高
強度化も必要となる。
【0003】ところで、動力伝達系に使用される軸受に
ついては、上記のような小型化に伴った高強度化が必要
であることは勿論であるが、特にエンジン周辺部に使用
されるものでは同時にエンジンの高速回転による潤滑油
の温度上昇(120〜300℃)にも十分耐え得るだけ
の強度、即ち耐熱性を有していることも重要な要件とな
る。
【0004】ここで、軸受材料に必要な強度とは「玉又
はころとレ−スとの間の繰り返しころがり接触による表
面剥離に対する強度(以降“転動疲労強度”と称する)
」のことであり、これが軸受の寿命を左右する。従って
、自動車等の動力伝達部に使用される軸受のうち、特に
エンジン周辺部で使用されるものについては、120〜
300℃の温度においても高い転動疲労寿命を発揮する
ことが必要となる。
【0005】このような軸受用の材料として、従来から
JISに規定されたSUJ2鋼の焼入れ・焼戻し材が最
も頻繁に使用されてきたが、それでもこの材料では前述
した120〜300℃程度の温間での耐熱性は十分と言
えなかった。つまり、SUJ2鋼製の軸受では、120
〜300℃の温間に長時間曝されると表面は焼戻し作用
を受けて軟化し、転動疲労寿命の大幅な低下が生じた訳
である。
【0006】このようなSUJ2鋼の欠点を補うには、
材料表面を軟化抵抗の高い金属組織とするか、或いは表
面硬度を上昇させる必要があり、そのためこれまで鋼組
成や表面処理方法に様々な工夫が試みられ、多くの提案
もなされてきた。その代表的なものとして、例えばa)
  SUJ2鋼のSi量を増すことによって焼戻し軟化
抵抗を増加させ、これにより転動疲労寿命の向上を図る
提案(特開平1−255650号), b)  高Cr低・中炭素鋼を浸炭し、表層部に炭化物
を分散析出させることによって表面硬度を上昇させ、こ
れにより転動疲労寿命の向上を図る提案(特開平2−1
07755号),等を挙げることができる。
【0007】しかしながら、前記提案a)の場合は、S
i量の増加のみでは軟化抵抗の向上に限界があり、高S
i量としても使用温度が200℃以上になると急激に硬
度が低下するため、200℃以上における転動疲労寿命
の向上は期待できなかった。
【0008】また、前記提案b)の場合は、炭化物の析
出による表面硬度の上昇や軟化抵抗の向上が期待できる
ので温間での硬さ低下は提案a)の場合に比べて小さい
が、それでも転動疲労寿命の向上効果が十分とは言えず
、300℃程度までの温間における転動疲労寿命の目立
った改善を達成することはできなかった。これは、提案
b)の手法で炭化物の分散析出が図られた材料は、炭化
物の析出形態が転動疲労寿命の向上に十分適合していな
いことによるものと考えられる。
【0009】このようなことから、本発明が目的とした
のは、従来材に比べて大幅に改善された転動疲労強度を
有し、120〜300℃の比較的高い温度域においても
優れた転動疲労寿命を示す軸受鋼を提供することであっ
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記目的を達成すべく、特に浸炭により表層部に炭化物を
分散析出させた軸受鋼の表面硬度や軟化抵抗の向上効果
に着目しつつ、120〜300℃程度の比較的高い温度
下での転動疲労寿命の更に安定した向上策を求めて鋭意
研究を重ねた。
【0011】ところで、浸炭により鋼の表層部に炭化物
を効果的に析出・分散させるためには、原則として、浸
炭前の組織の中に炭化物析出浸炭時の析出サイトとなる
べき核を予め分散させておく必要があるという基礎的な
事実がある。つまり、前組織の中に前記核の分散が無け
れば、浸炭時における炭化物の析出は優先的にオ−ステ
ナイト粒界で起きることとなる。このようなオ−ステナ
イト粒界への炭化物の析出が起きると、機械構造部品と
して必要な靭性が大幅に劣化することは言うまでもない
。従って、120〜300℃の温度域においても高い転
動疲労寿命を確保するには、オ−ステナイト粒界への炭
化物析出を極力阻止し、オ−ステナイト粒内に炭化物を
析出させることが必要であり、このためには浸炭の前組
織に炭化物の析出サイトとなる核を分散させておくこと
が必要な訳である。
【0012】そこで、本発明者等はこのような観点から
種々の調査を行った結果、次のような事実を見出したの
である。 (a) 浸炭によって炭化物を析出させる際、析出サイ
トとして最も有効に働く核は ”浸炭時に析出する炭化
物の結晶構造と同じもの” であり、核としてこのよう
なものを選ぶことが重要である。例えば、浸炭時に析出
する炭化物がM3 C型の場合には、前組織にM3 C
型の炭化物を予め分散しておけば、浸炭にて粒内に均一
に炭化物を析出させることが可能となる。
【0013】(b) ところで、前記析出核は炭化物析
出浸炭の際にマトリックス中へ溶解してはならない。浸
炭中に核(炭化物)がマトリックス中へ溶解すると、浸
炭による炭化物の析出は粒界において優先的に生じるこ
ととなる。このため、炭化物析出浸炭は、核がマトリッ
クスに完全に溶解しない“温度−時間バランス”で行う
必要がある。
【0014】(c)  前記条件に沿う炭化物析出浸炭
の前組織としては、球状化焼鈍組織を挙げることができ
る。 即ち、該組織の球状化した炭化物は炭化物析出浸炭の際
に不溶で安定な炭化物の析出核として有効に作用し、同
一結晶構造の炭化物の析出を促す。そして、中,低炭素
鋼においてこの球状化焼鈍組織を実現するには、該鋼を
事前浸炭し表面を高炭素化してから徐冷により球状化す
る手法が実際上有利である。
【0015】(d)  従って、中,低炭素軸受鋼を事
前浸炭して表層部を高炭素化してから炉冷等により徐冷
して〔フェライト+球状化炭化物〕組織とし、この後に
炭化物析出浸炭を実施すると、事前浸炭部の球状化炭化
物を核にして鋼表面の結晶粒内に炭化物が微細に分散析
出され、鋼の表面硬度と焼鈍軟化抵抗が著しく上昇して
120〜300℃の使用温度においても優れた転動疲労
寿命を示すようになる。
【0016】本発明は、上記知見事項等を基にして完成
されたものであり、 「C:0.1 〜0.7 %(以降、 成分割合を表わ
す%は重量%とする), Si:2.0 %以下,    Cr:1.0 〜17
.0%,    Ni:5.0 %以下 を含むか、 或いは更に Mo:5.0 %以下,     Nb:0.01〜1
.0%,    V:0.01〜1.0 % の1種又は2種をも含み、残部がFe及び不可避的不純
物から成る鋼を、事前浸炭して表層の炭素量を〔共析点
を超えAcm変態点未満〕の範囲に調整した後、徐冷(
炉冷等)によって該表層を〔フェライト+球状化セメン
タイト〕組織とし、次いで750〜1000℃の温度域
で浸炭処理して表面の炭素量をAcm変態点以上に調整
してから900〜750℃より焼入れ処理し、更に焼戻
し処理を施すことにより、常温から300℃の温度域に
おいても優れた転動疲労強度を示す軸受鋼を工業的に安
定して提供し得るようにした点」に大きな特徴を有して
いる。
【0017】なお、上記本発明法においては、事前浸炭
に次ぐ徐冷後の炭化物析出浸炭の前に機械加工(冷間鍛
造加工等)を施しても良い。徐冷後の組織は〔フェライ
ト+球状化セメンタイト〕組織となっているので加工性
に優れており、従って、形状を整えるのが非常に容易だ
からである。
【0018】次に、本発明において適用鋼の化学成分組
成及びその処理条件を前記の如くに限定した理由を説明
する。 A) 鋼の化学成分組成 C Cには鋼の硬度を確保する作用があるが、その含有量が
 0.1%未満であると芯部の強度不足を招いて軸受鋼
としての性能を確保できなくなる。一方、0.7%を超
えてCを含有させると材料芯部の靱性を大幅に損ね、や
はり軸受鋼としての所望性能を確保できなくなる。特に
、本発明は炭化物析出により鋼の表面を強化する表面硬
化手段を取り入れたものであるが、表面硬化を行う場合
には硬化により著しく低下した表面の靱性を芯部の靱性
で補う必要があるため芯部に十分な靱性を確保すること
が非常に重要であり、それ故、C含有量の上限には十分
に注意しなければならない。従って、C含有量は 0.
1〜0.%と定めた。
【0019】Si Siは基地組織のマルテンサイトに固溶してマルテンサ
イトを強靭化する作用があり、これを通じて転動疲労強
度を向上させる効果をもたらす。しかし、一方では、炭
化物析出浸炭の際に炭化物を析出させにくくする作用も
あり、 2.0%を超えてSiを含有させると炭化物が
析出しなくなる恐れがある。従って、Si含有量は2.
0 %以下と定めた。
【0020】Cr Crは炭化物析出元素であり、炭化物析出浸炭の際の析
出反応を促進する作用があるが、その含有量が 1.0
%未満では炭化物析出反応の促進作用が不十分で、浸炭
処理中に核である球状化炭化物も凝集粗大化してしまい
、転動疲労強度向上に寄与する炭化物分散組織を得るこ
とができない。一方、17.0%を超えてCrを含有量
させても上記作用による効果が飽和してしまって経済的
な不利を招くようになる。従って、Cr含有量は 1.
0〜17.0%と定めた。
【0021】Ni Niも、Siと同様、基地組織のマルテンサイトに固溶
してこれを強靭化する作用を有しており、この作用を通
じて転動疲労強度を向上させる効果を発揮するが、一方
で、炭化物析出浸炭の際に炭化物を析出させにくくする
作用もある。特に、Ni含有量が 5.0%を超えると
炭化物の析出が不十分となることから、Ni含有量は5
.0 %以下と定めた。
【0022】Mo Moは、Ni及びSiと同様、基地組織であるマルテン
サイトに固溶して強靭化させる作用のほか、Crほどで
はないが浸炭地の炭化物析出反応を促進させる作用をも
有していることから必要により含有せしめられるが、5
.0%を超えて含有させても基地強靭化による転動疲労
の向上効果が飽和してしまうので、Mo含有量は 5.
0%以下と定めた。
【0023】Nb及びV Nb並びにVには何れも浸炭中にCと結合してMC型の
特殊炭化物となり、Fe,Crの炭化物と共に分散析出
して転動疲労寿命を向上させる作用があるので、必要に
より1種又は2種が添加されるが、何れも含有量が0.
01%未満であると上記作用による所望の効果が得られ
ず、一方、 1.0%を超えて含有させても転動疲労寿
命の向上効果が飽和してしまう。従って、Nb及びVの
含有量は、それぞれ0.01〜1.0 %と定めた。
【0024】B) 前処理(事前浸炭−徐冷処理)炭化
物析出浸炭によって球状化炭化物を微細分散させるため
には、炭化物の析出核の存在する前組織が必要である。 そして、事前浸炭は鋼の表層部を高炭素化させて析出核
を形成する下地を作るために欠かせない処理である。
【0025】事前浸炭によって鋼表層のC量を共析点を
超える値に調整する理由は、炭化物析出浸炭中にあって
も析出核を溶解させずに安定に残しておくことにある。 前述したように、炭化物析出浸炭の際、事前浸炭により
得られた析出核は溶解してはならない。これらの核が溶
解した場合には炭化物の析出が結晶粒界から生じるよう
になり、機械的性質が大幅に劣化する。そして、共析点
未満の浸炭を行っても、生成した核は炭化物析出浸炭中
に安定して残存しない。
【0026】一方、該事前浸炭によって増加する鋼表層
のC量をAcm変態点未満に抑える理由は、この処理中
に炭化物を析出させないことにある。即ち、析出核とし
て好適な炭化物の析出は次プロセスである徐冷で行われ
るためこの事前浸炭処理において析出させる必要はない
【0027】事前浸炭後の徐冷(炉冷等)は、炭化物析
出浸炭の際に析出核となる好適な炭化物が均一分散した
組織、即ち〔フェライト+球状化セメンタイト〕組織を
得るために実施される。このような前組織を形成してお
くことにより、炭化物析出浸炭時に結晶粒内に球状炭化
物が微細分散析出して、優れた転動疲労寿命を発揮する
ようになる。
【0028】ところで、特開昭55−69252号公報
には、鋼の浸炭処理に際して、事前浸炭を行い、引き続
く冷却によって表層部をベイナイト,パ−ライト或いは
マルテンサイト組織を作り、ベイナイト,パ−ライト中
の炭化物、或いは昇温中にマルテンサイトの中から生成
する炭化物を炭化物析出浸炭の際の析出核として利用し
ようとの提案が記載されている。しかしながら、前組織
をパ−ライトにした場合には、パ−ライト中の炭化物は
フレ−ク状であるので炭化物析出浸炭過程で十分に球状
化された炭化物が析出しない。また、前組織をベイナイ
ト,マルテンサイトにした場合には、硬度が高くなるの
で前組織での加工が困難となり、何れも軸受鋼の製造手
段としては好ましくない。
【0029】C) 炭化物析出浸炭処理炭化物析出浸炭
処理は、先立つ球状化焼鈍で生成された炭化物を核にし
て更なる炭化物を球状微細に析出させ、鋼表面部の硬度
や軟化抵抗を増大させて転動疲労寿命を向上させるため
に施される。なお、上述のように転動疲労寿命の向上の
ためには表面硬度を上昇させることが必要であり、この
ためには炭化物の分散析出に加えマトリックスをC量が
Acm変態点以上の高炭素マルテンサイトにする必要が
ある。そして、高炭素マルテンサイトを得るためにはC
固溶度が大きいオ−ステナイト領域で浸炭する必要があ
る。しかし、浸炭温度が750℃未満ではオ−ステナイ
ト領域での浸炭が不可能となる。一方、1000℃を超
える温度域で浸炭すると炭化物析出の核となる球状化焼
鈍炭化物が消失するので、浸炭によって供給される炭化
物はオ−ステナイト粒界に粗大化して析出することとな
り、転動疲労寿命強度を劣化させる。従って、浸炭処理
温度は750〜1000℃と定めた。
【0030】浸炭処理の方法としては固体法,塩浴法,
ガス法,イオン法があるが、何れの方法によっても本発
明の目的を達成できるので特に指定する必要はない。ま
た、浸炭時間については、製品によって必要な炭化物分
散層の濃度が変わるのでそれに応じて適正な時間を選ぶ
必要がある。
【0031】D) 焼入れ処理 焼入れ処理は、マトリックスを高炭素マルテンサイトに
変態させ、炭化物析出層及び芯部の硬度を上昇させるた
めに実施される。ここで、焼入れによって高炭素マルテ
ンサイトを得ようとすると一般には高温相のオ−ステナ
イトがマトリックスの中に残留しがちである。これを残
留オ−ステナイトと言うが、多量に残留すれば軸受駆動
中の軸受の寸法安定性が劣化し、騒音や焼付の問題が生
じる。そして、焼入れ温度が高くなるほど残留オ−ステ
ナイトに多量に残留する。特に、900℃を超える温度
域から焼入れを行うと急激に残留オ−ステナイトが増加
し、軸受の寸法安定性を損なうようになる。一方、マト
リックスを高炭素マルテンサイトにするためにはオ−ス
テナイト域から焼入れる必要があるが、焼入れ温度が7
50℃未満であるとオ−ステナイト域からの焼入れが不
可能となる。従って、焼入れ温度は900〜750℃と
定めた。
【0032】E) 焼戻し処理 焼戻しは、焼入れによって生成した高炭素マルテンサイ
トに靭性を付与するため施される。この場合、焼戻し温
度は特に限定されるものではないが、軸受の使用温度よ
りも50〜100℃高い温度で行うことが望ましい。
【0033】続いて、本発明の効果を実施例によって更
に具体的に説明する。
【実施例】表1に示す如き成分組成の鋼を真空溶製し、
得られた鋳塊を熱間鍛造して各々直径70mmの丸棒材
を製作した。次に、各丸棒材から機械加工により直径6
0mm,厚さ7mmの円盤状試験片を作成し、表2に示
す条件の熱処理を施した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】次いで、上記熱処理を施した各試験片の表
面を鏡面研磨した後、各々について転動疲労試験(スラ
スト式)を行った。なお、試験条件は 接触応力:560kgf/mm2, 油温:250℃, 鋼球: 3/8″適正仕上軸受鋼 に設定した。
【0037】これらの結果(L50寿命)を表2に併せ
て示す。表2に示される結果からも明らかなように、本
発明で規定する条件に従って製造された鋼材では、25
0℃という温間での転動疲労寿命が何れも従来品に比べ
顕著に向上していることが確認できる。これは、炭化物
析出浸炭に先立ち、事前浸炭によりC量調整を行った素
地から炉冷により炭化物が微細分散した前組織を形成し
ておくと、炭化物析出浸炭処理によって生じる炭化物が
より球状となって均一微細に分散することとなって、温
間での転動疲労寿命の大幅な改善につながったものと考
えられる。
【0038】
【効果の総括】以上に説明した如く、本発明によれば、
従来の軸受鋼に指摘された「120〜300℃の使用温
度で転動疲労寿命が低下する」と言う問題を解決し、常
温から300℃の比較的高い温度までの広い使用温度域
で優れた転動疲労寿命を示す軸受鋼を工業的に安定提供
することが可能となり、自動車におけるエンジン周辺部
等の高い温度で使用される軸受の性能を一段と向上させ
得るなど、産業上有用な効果がもたらされる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量割合にて C:0.1 〜0.7 %,Si:2.0 %以下,C
    r:1.0 〜17.0%,Ni:5.0 %以下 を含み、残部がFe及び不可避的不純物から成る鋼を、
    事前浸炭して表層の炭素量を〔共析点を超えAcm変態
    点未満〕の範囲に調整した後、徐冷によって該表層を〔
    フェライト+球状化セメンタイト〕組織とし、次いで7
    50〜1000℃の温度域で浸炭処理して表面の炭素量
    をAcm変態点以上に調整してから900〜750℃よ
    り焼入れ処理し、更に焼戻し処理を施すことを特徴とす
    る、常温から300℃の温度域においても優れた転動疲
    労強度を示す軸受鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】  重量割合にて C:0.1 〜0.7 %,  Si:2.0 %以下
    ,  Cr:1.0 〜17.0%, Ni:5.0 %以下,    Mo:5.0 %以下
    を含み、残部がFe及び不可避的不純物から成る鋼を、
    事前浸炭して表層の炭素量を〔共析点を超えAcm変態
    点未満〕の範囲に調整した後、徐冷によって該表層を〔
    フェライト+球状化セメンタイト〕組織とし、次いで7
    50〜1000℃の温度域で浸炭処理して表面の炭素量
    をAcm変態点以上に調整してから900〜750℃よ
    り焼入れ処理し、更に焼戻し処理を施すことを特徴とす
    る、常温から300℃の温度域においても優れた転動疲
    労強度を示す軸受鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】  重量割合にて C:0.1 〜0.7 %,Si:2.0 %以下,C
    r:1.0 〜17.0%,Ni:5.0 %以下を含
    有すると共に、更にNb:0.01〜1.0 %,V:
    0.01〜1.0 %の1種又は2種をも含み、残部が
    Fe及び不可避的不純物から成る鋼を、事前浸炭して表
    層の炭素量を〔共析点を超えAcm変態点未満〕の範囲
    に調整した後、徐冷によって該表層を〔フェライト+球
    状化セメンタイト〕組織とし、次いで750〜1000
    ℃の温度域で浸炭処理して表面の炭素量をAcm変態点
    以上に調整してから900〜750℃より焼入れ処理し
    、更に焼戻し処理を施すことを特徴とする、常温から3
    00℃の温度域においても優れた転動疲労強度を示す軸
    受鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】  重量割合にて C:0.1 〜0.7 %,  Si:2.0 %以下
    ,  Cr:1.0 〜17.0%,Ni:5.0 %
    以下,    Mo:5.0 %以下を含有すると共に
    、更に Nb:0.01〜1.0 %,V:0.01〜1.0 
    %の1種又は2種をも含み、残部がFe及び不可避的不
    純物から成る鋼を、事前浸炭して表層の炭素量を〔共析
    点を超えAcm変態点未満〕の範囲に調整した後、徐冷
    によって該表層を〔フェライト+球状化セメンタイト〕
    組織とし、次いで750〜1000℃の温度域で浸炭処
    理して表面の炭素量をAcm変態点以上に調整してから
    900〜750℃より焼入れ処理し、更に焼戻し処理を
    施すことを特徴とする、常温から300℃の温度域にお
    いても優れた転動疲労強度を示す軸受鋼の製造方法。
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