JPH0433699B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） この発明に係るスクラツプの巻き取り機は、帯
状の金属板をプレス装置により打抜いたり、或は
スリツタライン、シヤーライン等で切断すること
により生じる長尺のスクラツプを筒状に巻き取
り、その後排出するのに使用される。

（発明の背景） 例えばプレス装置により金属板を打抜き、各種
物品を製作する場合、帯状の金属板を連続的にプ
レス装置に送り込み、物品を打抜いた後のスクラ
ツプをそのまま筒状に巻き取ることが広く行なわ
れている。即ち、第１図に示すように、プレス装
置１の右側（左右は図面による。）に設けた支持
台２に懸架したドラム３にプレス加工前の帯状金
属板を円筒状に巻いたロール４を外嵌し、このロ
ール４から送り出される金属板５をプレス装置１
に送り込むようにしている。プレス装置１により
各種物品を打ち抜いた後に残るスクラツプ６は、
そのままプレス装置１の左側に設けた支持台７に
懸架したドラム８に巻き取られる。

又、帯状の金属板を連続的に切断して所定幅の
帯状金属板を得るスリツタライン或はシヤーライ
ンに於いては、第２図に示すように、回転刃４
５，４５を具えたスリツタ（又はトリーマ）４６
の後方にスクラツプ巻き取り用ドラム８を設けて
いる。

プレスライン、スリツタライン等いずれの場合
も、スクラツプ巻き取り用ドラム８は、図示しな
いモータによつて第１，２図矢印ａ方向に回転駆
動されており、プレス装置１或はスリツタ４６の
動きと同期してスクラツプ６を巻き取る。未加工
の金属板５を巻いたロール４が無くなり、ドラム
８に巻き取られたスクラツプ６の量が多くなつた
ならば、右側のドラム３に新たなロール４を外嵌
し、左のドラム８に巻き取られたスクラツプ６を
このドラム８から外し、他の場所に移さなければ
ならない。

このため、従来はドラム８に油圧等による外径
調節機構を内蔵し、この機構によりドラム８の外
径を縮め、このドラム８の外周面と巻き取られた
スクラツプの内周面との間に隙間をあけた状態
で、油圧シリンダ等によりこのスクラツプを第１
図の表裏方向に押し、スクラツプをドラム８から
抜き出して支持台７の脇に置いた運搬車等の上に
移し換えていた。

ところが、このようにして巻き取られたスクラ
ツプを排出するのは、操作が面倒で作業時間も多
く要するため好ましくなかつた。

（発明の目的） 本発明は、巻き取り用ドラムの縮径とこのドラ
ムからのスクラツプ押し出しとを一挙動で行なう
ことができ、ドラムからのスクラツプ排出を容易
かつ迅速に行なえるスクラツプの巻き取り機を提
供することを目的としている。

（発明の構成） 本発明のスクラツプの巻き取り機は、支持台に
回転自在に支承された巻き取りドラムの中心軸
に、間隙をあけて２枚の支持板を取付けている。
上記中心軸の２枚の支持板の間の外周面には、こ
の外周面に対して２個所のリンク機構を介して装
着され、中心軸と平行な状態のままこの中心軸外
周面に対して遠近動する３本以上のクランプバー
が設けられている。各クランプバーの一端は、外
周方向に向けてＬ字形に折曲つており、これらク
ランプバーには輪状の押板が外嵌している。この
押板の内周縁に固定されたねじ部材のねじ孔に
は、上記支持板に中心軸と平行な状態で回転自在
に支承されたねじ杆が螺合している。

一方の支持板から突出したねじ杆の端部には、
遊星ギヤが固定されており、この遊星ギヤは、中
心軸に回転自在に外嵌した円筒の一端部外周面に
固定した太陽ギヤと噛合している。円筒の他端部
外周面には第一のスプロケツト（段付プーリを含
む。以下同じ。）を固定しており、この第一のス
プロケツトと、中心軸と平行に配設され駆動用モ
ータにより回転される遊動軸の一端に固定した第
二のスプロケツトとの間には第一のチエン（段付
きベルトを含む。以下同じ。）が掛け渡されてい
る。上記遊動軸の他端には、この遊動軸の回転を
クラツチを介して伝えられる第三のスプロケツト
が固定されており、この第三のスプロケツトと前
記中心軸に固定した第四のスプロケツトとの間に
第二のチエンを掛け渡している。更に、中心軸の
端部には、この中心軸の回転を阻止するブレーキ
装置が付設されている。

（発明の作用） 上述のように構成される本発明のスクラツプの
巻き取り機により、スクラツプの巻き取りを行な
う場合には、遊動軸端部のクラツチを接続し、中
心軸端部のブレーキ装置を作動させずに、駆動用
モータにより遊動軸を回転させる。これにより中
心軸が回転し、スクラツプが３本以上のクランプ
バーの周囲に筒状に巻き取られる。中心軸と太陽
ギヤを設けた円筒とは同速で回転するように、第
一〜第四のスプロケツトの歯数を設定しているた
め、中心軸の回転に伴つてねじ杆端部の遊星ギヤ
が上記太陽ギヤに対して移動することはなく、ね
じ杆が回転して押板が移動させられることはな
い。

次に、スクラツプの排出を行なう場合には、遊
動軸端部のクラツチの接続を切り、回転軸端部の
ブレーキ装置を作動させて上記遊動軸を回転させ
る。これにより、中心軸が不動のまま太陽ギヤを
設けた円筒が回転し、この太陽ギヤと噛合する遊
星ギヤを一端に固定したねじ杆が回転し、押板を
スクラツプの排出方向に向けて移動させる。この
押板移動により筒状に巻き取られたスクラツプが
押されると、クランプバーが中心軸に近付く方向
に平行移動し、このクランプバーの外周面と筒状
スクラツプに巻き取られたスクラツプの内周面と
の間に隙間が生じて、スクラツプの排出が軽い力
で行なわれる。

（発明の実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ本発明を更に
詳しく説明する。

第３〜５図は本発明の実施例を示しており、第
３図は巻き取り部分を一部省略して示す斜視図、
第４図は第３図のＡ−Ａ断面図、第５図は駆動部
分も含めて示す第４図のＢ−Ｂ断面図である。

２個所の軸受９，１０により支持台７（第１
図）に回転自在に支承された中心軸１１の一端と
中間部とには、間隔をあけて２枚の支持板１２，
１３が固定されている。この２枚の支持板１２，
１３の間の中心軸１１の外周面には、間隔をあけ
て２個１組の突片１４，１５を周方向に等間隔に
６組設けている（第３図は簡略のため１組だけ示
している。）。各突片１４，１５に一端を枢着した
リンク１６，１７の他端は、それぞれクランプバ
ー１８の内周側面に突設した突片１９，２０に枢
着している。中心軸１１の中間寄りのクランプバ
ー１８の端部は外周方向に向けて直角に折曲がつ
て係止部１８ａを形成している。更に、このクラ
ンプバー１８の他端部外周側面には、先端部に向
けて深さが次第に浅くなる係止凹部２１が形成さ
れている。

このように形成され、リンク１６，１７を介し
て中心軸１１の外周面に、等間隔かつ平行な状態
のまま中心軸に対して遠近動自在に装着された６
本のクランプバー１８，１８には、輪状に形成さ
れ内周縁に各クランプバー１８，１８が係合する
切込み２２，２２を形成した押板２３が外嵌して
いる。この押板２３の内周縁で上記切込み２２を
外れた位置には３個（第３図は簡略のため１個の
み示している。）のねじ部材２４が互いに等間隔
で固定されている。このねじ部材２４のねじ孔に
は、両端部を前記支持板１２，１３に回転自在に
支持したねじ杆２５が螺合している。

更に、一方の支持板１３よりも突出した各ねじ
杆２５の一端部には、遊星ギヤ２６が固定されて
おり、この遊星ギヤ２６は、中心軸１１に回転自
在に外嵌された円筒２７の一端に固定した太陽ギ
ヤ２８と噛合している。この太陽ギヤ２８を一端
に固定した円筒２７の他端部には、第一のスプロ
ケツト２９が固定されている。

一方、両端部を軸受３１，３２により回転自在
に支承され、中心軸１１と平行に配設された遊動
軸３３の一端には、第二のスプロケツトが固定さ
れており、この第二のスプロケツト３４と上記第
一のスプロケツト２９とに第一のチエン３５が掛
け渡されている。更にこの遊動軸３３の他端部に
は、クラツチ３６を介して第三のスプロケツト３
７を設けており、この第三のスプロケツト３７と
上記中心軸１１に固定の第四のスプロケツト３８
とには第二のチエン３９が掛け渡されている。こ
こで、第一〜第四のスプロケツト２９，３４，３
７，３８の歯数は、上記クラツチ３６を接続して
第一、第四の両スプロケツト２９，３８を同時に
駆動した場合に、中心軸１１と円筒２７とが同速
で回転するように定める。即ち、第一のスプロケ
ツト２９の歯数と第二のスプロケツト３４の歯数
との比Ｘと、第四のスプロケツト３８の歯数と第
三のスプロケツト３７の歯数との比Ｙとを等しく
（Ｘ＝Ｙ）している。

このように遊動軸３３、クラツチ３６、第二の
チエン３９により連結された第三、第四のスプロ
ケツト３７，３８を介して回転駆動される中心軸
１１の端部には、この中心軸１１の回転を阻止す
るためのブレーキ装置４０が設けられている。

なお、図中４１はチエン４２を介して遊動軸３
３を回転駆動するためのモータ、４３は押板２３
と同形状に作られ、スクラツプの巻き取り時に各
クランプバー１８の先端の係止凹部２１に係止さ
れる案内板である。

このように構成される本発明のスクラツプの巻
き取り機によりスクラツプを筒状に巻き取り、更
に巻き取られたスクラツプを排出するには、次の
ようにして行なう。

ａ スクラツプ巻き取り行程 この場合は、遊動軸端部のクラツチ３６を接続
し、中心軸端部のブレーキ装置を作動させない状
態で、モータ４１により遊動軸３３を回転させ
る。

これにより中心軸１１が回転し、この中心軸１
１の周囲に等間隔に配設された６本のクランプバ
ー１８，１８の周囲で押板２３と案内板４３との
間の部分に帯状のスクラツプが筒状に巻き取られ
る。この巻き取りの際、中心軸１１に外嵌した円
筒２７はこの中心軸１１と同速で回転するため、
中心軸１１に固定の支持板２３に支持されたねじ
杆端部の遊星ギヤ２６が円筒端部の太陽ギヤ２８
に対して移動せず、ねじ杆２５が押板２３に固定
のねじ部材２４に対して回転することはなく、こ
の押板２３が中心軸１１に対して不動の状態に保
たれる。

ｂ スクラツプ排出行程 筒状に巻き取られたスクラツプをクランプバー
１８，１８の周囲から外し、新たなスクラツプの
巻き取りに備える場合には、遊動軸端部のクラツ
チ３６の接続を断ち、中心軸端部のブレーキ装置
４０を作動させた状態で、モータ４１により遊動
軸３３を回転させる。

これにより、中心軸１１は回転せずに太陽ギヤ
２８を設けた円筒２７のみが回転し、この太陽ギ
ヤ２８と噛合した遊星ギヤ２６を一端に固定した
ねじ杆２５が回転する。このねじ杆２５の回転に
より、内周縁にねじ杆２５と螺合するねじ片２４
を固定した押板２３が第５図の左方に移動し、ク
ランプバー１８，１８の周囲に巻き付けられたス
クラツプ４４をこのクランプバー１８，１８から
外す方向に押す。これにより、案内板４３が第４
図左方に押されるため、係止凹部２１によりこの
案内板４３の内周縁と係合した各クランプバー１
８，１８が第５図左方に少し移動し、リンク１
６，１７の働きによりこのクランプバー１８，１
８が中心軸１１に少し近付く。このため、案内板
４３がクランプバー１８，１８の先端部から外
れ、かつ円筒状に巻かれたスクラツプ４４の内周
面とクランプバー１８，１８の外周面との間に隙
間が生じて押板２３の左行に伴つて上記スクラツ
プ４４が円滑に排出される。

ｃ 巻き取り準備行程 筒状に巻き取られたスクラツプを排出した後、
再び新たなスクラツプを筒状に巻き取るための準
備をするには、モータ４１を上記排出行程の場合
と逆方向に回転させ、第５図の左端部まで移動し
ていた押板２３を右方に戻す。押板２３の右行に
伴い、クランプバー端部の係止部１８ａが右行す
る押板２３に押されてクランプバー１８，１８が
右行し、各クランプバー１８，１８と中心軸１１
との距離が拡がる。案内板４３は各クランプバー
１８，１８の右行に先立ち、クランプバー端部の
係止凹部に係合させておく。

（発明の効果） 本発明のスクラツプの巻き取り機は、以上に述
べた通り構成され作用するため、スクラツプの排
出作業を迅速に行なうことができて作業時間の短
縮によりプレスラインの稼働率向上を図ることが
できる。又、巻き取りのためのモータと排出のた
めのモータとが兼用できるため、製作費も安くて
済む。

【図面の簡単な説明】

第１図はスクラツプの巻き取り機を設けたプレ
スライン、第２図はシヤーラインのそれぞれ略側
面図、第３〜５図は本発明の実施例を示してお
り、第３図は巻き取り部分を一部省略して示す斜
視図、第４図は第３図のＡ−Ａ断面図、第５図は
駆動部分も含めて示す第４図のＢ−Ｂ断面図であ
る。 １……プレス装置、２……支持台、３……ドラ
ム、４……ロール、５……金属板、６……スクラ
ツプ、７……支持台、８……ドラム、９……軸
受、１０……軸受、１１……中心軸、１２……支
持板、１３……支持板、１４……突片、１５……
突片、１６……リンク、１７……リンク、１８…
…クランプバー、１８ａ……係止部、１９……突
片、２０……突片、２１……係止凹部、２２……
切込み、２３……押板、２４……ねじ部材、２５
……ねじ杆、２６……遊星ギヤ、２７……円筒、
２８……太陽ギヤ、２９……第一のスプロケツ
ト、３１……軸受、３２……軸受、３３……遊動
軸、３４……第二のスプロケツト、３５……第一
のチエン、３６……クラツチ、３７……第三のス
プロケツト、３８……第四のスプロケツト、３９
……第二のチエン、４０……ブレーキ装置、４１
……モータ、４２……チエン、４３……案内板、
４４……スクラツプ、４５……回転刃、４６……
スリツタ（トリーマ）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持台に回転自在に支承された中心軸の外周
   面に、リンク機構を介して３本以上のクランプバ
   ーを上記中心軸に対して平行に装着し、各クラン
   プバーに外嵌した輪状の押板の内周縁に固定した
   ねじ部材のねじ孔と中心軸に対して平行にかつ捻
   り方向の回転自在に配設したねじ杆とを螺合さ
   せ、このねじ杆の一端に固定した遊星ギヤは、中
   心軸に回転自在に外嵌した円筒の一部に設けた太
   陽ギヤと噛合させ、円筒の他端部に設けた第一の
   スプロケツトと中心軸に対して平行に配設されモ
   ータにより逆転自在に回転させられる遊動軸の一
   端に固定の第二のスプロケツトとに第一のチエン
   を掛け渡し、遊動軸の他端部にクラツチを介して
   設けた第三のスプロケツトと中心軸に固定の第四
   のスプロケツトとに第二のチエンを掛け渡し、中
   心軸にはこの中心軸の回転を阻止できるブレーキ
   装置を付設し、第一、第二のスプロケツトの歯数
   の比と第四、第三のスプロケツトの歯数の比とを
   等しくして成るスクラツプの巻き取り機。