JPH0433183Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はトロリーコンベア装置に関し、より詳
しくはリンクチエーンとキヤリヤの結合構造に特
徴を有するトロリーコンベア装置に関する。

（従来技術） トロリーコンベアは通常第５図に示したよう
に、間隔をおいて固定したチエーンａの上のブラ
ケツトｂ，ｂに、基端を枢着した２本の杆体c₁c₂
の他端を結合して三角形状のリンクを形成した
上、これらの基端側にハンガーｄを吊設する構造
を採つている。

ところが、このようなコンベアを用いて上階か
ら下階へあるいは下階から上階へとワークを搬送
すると、曲路を通過する際、ハンガーｃに作用す
るワークの荷重ｗによつて、上側の杆体c₁には引
張り力が、また下側の杆体c₂には押圧力が作用す
る結果、この部分のチエーンａを列から乱してジ
グザグ状となし、ガイドレールの内壁面あるいは
外壁面に強く押圧してその耐久性を著しく減少さ
せるとともに、この際に生じる振動によつてハン
ガーｃ上のワークに少なからぬ悪影響を及ぼすと
いつた問題を抱えている。

（目的） 本考案はこのような問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、走路の昇降部にお
いてもチエーンに悪影響を及ぼすことなく円滑な
走行を確保することのできる新たなトロリーコン
ベア装置を提供することにある。

（目的を達成するための手段） すなわち、本考案はかかる目的を達成するため
のトロリーコンベアとして、水平方向及び上下方
向の走行路に沿つて互いに平行に架設された２本
のガイドレールのうち、その外側のガイドレール
にリンクチエーンを、内側のガイドレールに前後
両端に転動ローラを備えたワーク搬送用のキヤリ
ヤをそれぞれ走行可能に配設するとともに、キヤ
リヤの上部一端に結合ピンを、他端に脱落防止用
のピンを突設して、結合ピンをリンクチエーンの
１つに設けたアール付き嵌合孔に嵌合し、脱落防
止用のピンをリンクチエーンの走行軌道内に突出
させて、リンクチエーンに悪影響を及ぼすことな
く、キヤリヤを上下方向の走行路に沿つて安全に
走行させるようにしたものである。

（実施例） そこで以下に本考案の詳細を図示した実施例に
基づいて説明する。

第１図、第２図は本考案の一実施例を示したも
ので、トロリーコンベアの走行経路には、互いに
間隔をおいて対向した断面コ字状のアングル１ａ
と１ａ、２ａと２ａよりなるパワーレール１とフ
リーレール２が、上下の関係をもつて並行に架設
され、上部のパワーレール１には、サイドリンク
４とセンターリンク５を交互に結合することによ
つて構成したリンクチエーン３が、またフリーコ
ンベア２には、ハンガー１１を吊設したキヤリヤ
１２がそれぞれ走行可能に取付けられている。

そして上記したリンクチエーン３には、サイド
リンク４とセンターリンク５の結合部に軸ピン
６，６が軸支されていて、そこには両アングル１
ａ，１ａの内面に接して転動するパワートロリー
７，７が設けられ、またこれらの軸ピン６に直交
して両端に軸支した規制ピン８，８には、各アン
グル１ａ，１ａの内端面に接して転動するガイド
ローラ９，９が設けられていて、リンクチエーン
３は、これらのパワートロリ７，７とガイドロー
ラ９，９を介して横振れを起こすことなくパワー
レール１内を走行するように構成されている。

これに対してフリーレール２には、その左右の
アングル２ａ，２ａの間に、走行方向に直角な向
きのハンガーブラケツト１３を固設した台型状の
キヤリヤ１２が位置しており、この上部両端に軸
支した軸ピン１４には、両アングル２ａ，２ａの
内面に接して転動するフリートロリ１５，１５が
設けられ、またこの軸ピン１４に直交するように
してキヤリヤ１２の上下部材１７，１７に軸支し
た振れ止めピン１８，１８には、各アングルの内
端面に接して転動する一対のガイドローラ１９，
１９が設けられていて、キヤリヤ１２はこれらの
フリートロリ１５，１５とガイドローラ１９，１
９を介して横振れを起こすことなくフリーレール
２内を走行するように構成されている。

ところで、図中符号２０は上記したキヤリヤ１
２とリンクチエーン３を結合するドツグで、この
ドツグ２０は、キヤリヤ１２内に設けた上記振れ
止めピン１８，１８のうち、その前後端のいずれ
か一方に設けた上部の振れ止めピン１８（この実
施例では走行方向後方の振れ止めピン１８）を上
方に突出させたものとして構成され、また、この
ドツグ２０と結合する部分のセンターリンク５
は、第３図に示したように、このセンターリンク
５を構成する２枚の板５ａ，５ａの間に間隙を埋
めるようにして耐摩耗性の素材よりなる駒５ｂを
溶接等により結合一体とし、その中央にアール付
きの嵌合孔１０を穿設したものとして構成されて
いる。そして、上記したドツグ２０をこのセンタ
ーリンク５の嵌合孔１０に挿通し、このドツグ２
０を介してリンクチエーン３とキヤリヤ１２を一
体となして走行させるように構成されている。

またこのキヤリヤ１２には、上記したドツグ２
０の配設位置他端に設けたフリートロリ１５（こ
の実施例では走行方向前方のフリートロリ１５）
の内方に、脱落防止用のピン２１が一体的に突設
されていて、その先端をリンクチエーン３のガイ
ドローラ９走行軌道内に位置させ、ドツク２０が
折損したような場合にこのピン２１をリンクチエ
ーン３の一部、例えばガイドローラ９に当接させ
てキヤリヤ１２の脱落を防ぐように構成されてい
る。

なお、図中符号２２は水平走行時にハンガー１
１を係止するレバー、２３は曲部走行時にハンガ
ー１１の揺れを抑える制動部材を示している。

上述した実施例において、水平な走行路を走行
する場合、キヤリヤ１２の上方に突出したドツグ
２０はセンターリンク５の嵌合孔１０に垂直に嵌
合した状態となつて、リンクチエーン３の推進力
をその軸線に対して直角な向きに受けてこれをキ
ヤリヤ１２に伝える。そしてキヤリヤ１２がつぎ
に下向き（もしくは上向き）曲部に移ると、ワー
クの荷重ｗによつてキヤリヤ１２には図中時計回
りのモーメントが作用するが、このモーメント
は、前方のフリートロリ１５がアングル２ａの外
側内面に、後方のフリートロリ１５がアングル２
ａの内側内面にそれぞれ圧接してこのモーメント
を打ち消す一方、後方の振れ止めピン１８から突
出したドツグ２０は、センターリンク５のアール
付き嵌合孔１０に斜めに嵌合した状態となり、こ
の状態で、キヤリヤ１２を介してドツグ２０に作
用するワークの荷重ｗをセンターリンク５に対し
てほぼ走行方向に作用させる。

したがつて、ドツグ２０を介してワークの荷重
ｗを受けたセンターリンク５は、他のサイドリン
ク４及びセンターリンク５に走行方向の引張り力
あるいは押圧力を及ぼすこになるため、リンクチ
エーン３は列を乱すことなく水平走行路における
と同様、異常な横向きの力を受けることなくパワ
ーレール１内を正常に走行する。

そして、この上下方向走行路を走行している間
に不測の振動等が生じてドツグ２０が折損したよ
うな場合には、キヤリヤ１２の他端に突設した脱
落防止用のピン２１がその直下に位置するリンク
チエーン３上のガイドローラ９と当接するため、
キヤリヤ１２の落下はこれによつて喰い止められ
る。

（効果） 以上述べたように本考案によれば、前後両端に
転動ローラを備えたワーク搬送用キヤリヤの上部
一端に結合ピンを突設して、これをリンクチエー
ンの１つに設けたアール付きの嵌合孔に嵌合させ
てリンクチエーンとキヤリヤを結合したので、上
下方向の走行路を走行する際にワークの荷重によ
つて生じるモーメントを両端のローラにより打ち
消しつつ、この結合ピンによつてワークの荷重を
リンクチエーンの走行方向に向けて作用させるこ
とができ、リンクチエーンの走行を乱すことなく
その耐用性を向上させることができる。

しかもこのキヤリヤには、またその上部他端に
脱落防止用のピンを突設してこれをリンクチエー
ンの軌道内に突出させたので、上下方向の走行路
を走行中万一結合ピンが折損した場合でも、この
脱落防止用のピンが直下のリンクチエーンと当接
してキヤリヤの脱落を未然に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す装置の側面
図、第２図は同上装置の正面図、第３図は要部の
平面図、第４図はその走行状態を示した図、第５
図は従来装置の一例を示した図である。 １……パワーレール、２……フリーレール、５
……センターリンク、１０……嵌合孔、１１……
ハンガー、１２……キヤリヤ、１５……フリート
ロリ、２０……ドツグ、２１……脱落防止用のピ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面コ字状をなす一対のアングルを互いに向い
   合わせて形成した２本のガイドレールを水平方向
   及び上下方向の走行路に沿つて平行に架設し、ワ
   ーク搬送用キヤリヤに対してその外側に位置する
   上記ガイドレールには、リンクチエーンを走行自
   在に配設し、内側に位置するガイドレールには、
   上記ワーク搬送用キヤリヤの前後両端に備えた転
   動ローラを上記アングルのいずれか一方の内面に
   接して転動するよう配設するとともに、上記キヤ
   リヤの上部一端に突設した結合ピンをリンクチエ
   ーンの１つに設けたアール付き嵌合孔に嵌合し、
   上記キヤリヤの上部他端に突設した脱落防止用の
   ピンを上記アングルの間を通して上記リンクチエ
   ーンの走行軌道内に突出させたことを特徴とする
   トロリーコンベア装置。