JPH04329867A - 多結晶薄膜の製造装置 - Google Patents

多結晶薄膜の製造装置

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JPH04329867A
JPH04329867A JP12683891A JP12683891A JPH04329867A JP H04329867 A JPH04329867 A JP H04329867A JP 12683891 A JP12683891 A JP 12683891A JP 12683891 A JP12683891 A JP 12683891A JP H04329867 A JPH04329867 A JP H04329867A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶方位の整った多結晶
薄膜を製造する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年になって発見された酸化物超電導体
は、液体窒素温度を超える臨界温度を示す優れた超電導
体であるが、現在、この種の酸化物超電導体を実用的な
超電導体として使用するためには、種々の解決するべき
問題点が存在している。その問題点の1つが、酸化物超
電導体の臨界電流密度が低いという問題である。
【0003】前記酸化物超電導体の臨界電流密度が低い
という問題は、酸化物超電導体の結晶自体に電気的な異
方性が存在することが大きな原因となっており、特に酸
化物超電導体はその結晶軸のa軸方向とb軸方向には電
気を流し易いが、c軸方向には電気を流しにくいことが
知られている。このような観点から酸化物超電導体を基
材上に形成してこれを超電導体として使用するためには
、基材上に結晶配向性の良好な状態の酸化物超電導体を
形成し、しかも、電気を流そうとする方向に酸化物超電
導体の結晶のa軸あるいはb軸を配向させ、その他の方
向に酸化物超電導体のc軸を配向させる必要がある。
【0004】そこで従来、基板や金属テープなどの基材
上に結晶配向性の良好な酸化物超電導層を形成するため
に種々の手段が試みられてきた。その1つの方法として
、酸化物超電導体と結晶構造の類似したMgOあるいは
SrTiO3などの単結晶基材を用い、これらの単結晶
基材上にスパッタリングなどの成膜法により酸化物超電
導層を形成する方法が実施されている。
【0005】前記MgOやSrTiO3の単結晶基材を
用いてスパッタリングなどの成膜法を行なえば、酸化物
超電導層の結晶が単結晶基材の結晶を基に結晶成長する
ために、その結晶配向性を良好にすることが可能であり
、これらの単結晶基材上に形成された酸化物超電導層は
、数十万〜数百万A/cm2程度の十分に高い臨界電流
密度を発揮することが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、酸化物超電
導体を導体として使用するためには、テープ状などの長
尺の基材上に結晶配向性の良好な酸化物超電導層を形成
する必要がある。ところが、金属テープなどの基材上に
酸化物超電導層を直接形成すると、金属テープ自体が多
結晶体でその結晶構造も酸化物超電導体と大きく異なる
ために、結晶配向性の良好な酸化物超電導層は到底形成
できないものである。しかも、酸化物超電導層を形成す
る際に行なう熱処理によって金属テープと酸化物超電導
層との間で拡散反応が生じて酸化物超電導層の結晶構造
が崩れ、超電導特性が劣化する問題がある。
【0007】そこで従来、金属テープなどの基材上に、
スパッタ装置を用いてMgOやSrTiO3などの中間
層を被覆し、この中間層上に酸化物超電導層を形成する
ことが行なわれている。ところがこの種の中間層上にス
パッタ装置により形成した酸化物超電導層は、単結晶基
材上に形成された酸化物超電導層よりもかなり低い臨界
電流密度(例えば数千〜一万A/cm2)程度しか示さ
ないという問題があった。これは、以下に説明する理由
によるものと考えられる。
【0008】図16は、金属テープなどの基材1上にス
パッタ装置により中間層2を形成し、この中間層2上に
スパッタ装置により酸化物超電導層3を形成した酸化物
超電導導体の断面構造を示すものである。ここで図16
に示す構造において、酸化物超電導層3は多結晶状態で
あり、多数の結晶粒4が無秩序に結合した状態となって
いる。これらの結晶粒4の1つ1つを個々に見ると各結
晶粒4の結晶のc軸は基材表面に対して垂直に配向して
いるものの、a軸とb軸は無秩序な方向を向いていると
考えられる。このように酸化物超電導層の結晶粒毎にa
軸とb軸の向きが無秩序になると、結晶配向性の乱れた
結晶粒界において超電導状態の量子的結合性が失われる
結果、超電導特性、特に臨界電流密度の低下を引き起こ
すものと思われる。また、前記酸化物超電導体がa軸お
よびb軸配向していない多結晶状態となるのは、その下
に形成された中間層2がa軸およびb軸配向していない
多結晶状態であるために、酸化物超電導層3を成膜する
場合に、中間層2の結晶に整合するように酸化物超電導
層3が成長するためであると思われる。
【0009】ところで、前記酸化物超電導体の応用分野
以外において、多結晶体の基材上にスパッタ装置により
各種の配向膜を形成する技術が利用されている。例えば
光学薄膜の分野、光磁気ディスクの分野、配線基板の分
野、高周波導波路や高周波フィルタ、空洞共振器などの
分野であるが、いずれの技術においても基材上に膜質の
安定した配向性の良好な多結晶薄膜を形成することが課
題となっている。即ち、多結晶薄膜の結晶配向性が良好
であるならば、その上に形成される光学薄膜、磁性薄膜
、配線用薄膜などの質が向上するわけであり、更に、基
材上に結晶配向性の良好な光学薄膜、磁性薄膜、配線用
薄膜などを直接形成できるならば、なお好ましいもので
ある。
【0010】また、高周波数帯域で使用される磁気ヘッ
ドのコア材として、高透磁率を有し、熱的にも安定なパ
ーマロイ、あるいは、センダストなどの磁性薄膜が実用
化されている。これらの磁性薄膜は、従来、蒸着やスパ
ッタにより所定の基板上に形成されるが、これらの磁性
薄膜の結晶方位の配向性が低いものであると、磁性薄膜
の磁気異方性の制御が困難になり、膜面内では結晶粒の
方位が無秩序になり、透磁率の高周波特性が損なわれる
問題があった。また、膜面内での結晶軸の軸方向が無秩
序であると、面内磁化にスキューやリップルと呼ばれる
局所的なゆらぎが発生し、前述のように透磁率の高周波
特性が損なわれることになる。
【0011】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、基材の成膜面に対して直角向きに結晶軸のc
軸を配向させることができると同時に、成膜面と平行な
面に沿って多結晶薄膜の結晶軸のa軸およびb軸をも揃
えることができ、結晶配向性に優れた多結晶薄膜を製造
することができる装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、多結晶薄膜が形成される基材
を指示する基材ホルダと、この基材ホルダの基材載置面
に対向配置されたターゲットと、前記ターゲットの構成
粒子をスパッタするスパッタ手段と、前記基材ホルダの
基材載置面に対してイオンを照射するイオン源とが真空
排気可能な容器に収納されてなり、前記容器内には、イ
オン源が基材載置面にイオンを照射する際の照射角度を
調整する角度調整機構が設けられてなるものである。
【0013】
【作用】スパッタリングによりターゲットから叩き出し
た構成粒子を基材の成膜面に堆積する際に、斜め方向か
らイオンも同時に照射するので、構成粒子が効率的に活
性化される結果、基材の成膜面に対してc軸配向性に加
えてa軸配向性とb軸配向性も向上する。その結果、結
晶粒界が多数形成された多結晶薄膜であっても、結晶粒
ごとのa軸配向性とb軸配向性とc軸配向性のいずれも
が良好になり、膜質の向上した多結晶薄膜が得られる。 また、このような配向性の良好な多結晶薄膜を形成する
には、イオンの照射角度を45度にすることが最も好ま
しい。よって角度調整機構を作動させてイオンの照射角
度を好適な角度に調整することで、配向性の良好な多結
晶薄膜が得られる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1は、本発明装置の一実施例を示すもの
であり、この実施例の装置は、スパッタ装置にイオンビ
ームアシスト用のイオン源を設けた構成となっている。 本実施例の装置は、基材Aを保持する基材ホルダ11と
、この基材ホルダ11の斜め上方に所定間隔をもって対
向配置された板状のターゲット12と、前記基材ホルダ
11の斜め上方に所定間隔をもって対向され、かつ、タ
ーゲット12と離間して配置されたイオン源13と、前
記ターゲット12の下方においてターゲット12の下面
に向けて配置されたスパッタビーム照射装置14を主体
として構成されている。また、図中符号15は、ターゲ
ット12を保持したターゲットホルダを示している。
【0015】また、本実施例の装置は図示略の真空容器
に収納されていて、基材Aの周囲を真空雰囲気に保持で
きるようになっている。更に前記真空容器には、ガスボ
ンベなどの雰囲気ガス供給源が接続されていて、真空容
器の内部を真空などの低圧状態で、かつ、アルゴンガス
あるいはその他の不活性ガス雰囲気または酸素を含む不
活性ガス雰囲気にすることができるようになっている。
【0016】前記基材Aは、例えば板材、線材、テープ
材などの種々の形状のもので、基材Aは、銀、白金、ス
テンレス鋼、銅などの金属材料や合金、あるいは、各種
ガラスあるいは各種セラミックスなどからなるものであ
る。なお、基材Aとして長尺の金属テープ(ハステロイ
製あるいはステンレス製などのテープ)を用いる場合は
、真空容器の内部に金属テープの送出装置と巻取装置を
設け、送出装置から連続的に基材ホルダ11に基材Aを
送り出し、続いて巻取装置で巻き取ることでテープ状の
基材上に多結晶薄膜を連続成膜することができるように
構成することが好ましい。
【0017】前記基材ホルダ11は内部に加熱ヒータを
備え、基材ホルダ11の上に位置された基材Aを所用の
温度に加熱できるようになっている。また、基材ホルダ
11の底部には角度調整機構Dが付設されている。この
角度調整機構Dは、基材ホルダ11の底部に接合された
上部支持板5と、この上部支持板5にピン結合された下
部支持板6と、この下部支持板6を支持する基台7を主
体として構成されている。前記上部支持板5と下部支持
板6とはピン結合部分を介して互いに回動自在に構成さ
れており、基材ホルダ11の水平角度を調整できるよう
になっている。なお、本実施例では基材ホルダ11の角
度を調整する角度調整機構Dを設けたが、角度調整機構
Dをイオン源13に取り付けてイオン源13の傾斜角度
を調整し、イオンの照射角度を調整するようにしても良
い。また、角度調整機構は本実施例の構成に限るもので
はなく、種々の構成のものを採用することができるのは
勿論である。
【0018】前記ターゲット12は、目的とする多結晶
薄膜を形成するためのものであり、目的の組成の多結晶
薄膜と同一組成あるいは近似組成のものなどを用いる。 ターゲット12として具体的には、MgOあるいはY2
O3で安定化したジルコニア(YSZ)、MgO、Sr
TiO3などを用いるがこれに限るものではなく、形成
しようとする多結晶薄膜に見合うターゲッを用いれば良
い。
【0019】前記イオン源13は、容器の内部に、蒸発
源を収納し、蒸発源の近傍に引き出し電極を備えて構成
されている。そして、前記蒸発源から発生した原子また
は分子の一部をイオン化し、そのイオン化した粒子を引
き出し電極で発生させた電界で制御してイオンビームと
して照射する装置である。粒子をイオン化するには直流
放電方式、高周波励起方式、フィラメント式、クラスタ
イオンビーム方式などの種々のものがある。フィラメン
ト式はタングステン製のフィラメントに通電加熱して熱
電子を発生させ、高真空中で蒸発粒子と衝突させてイオ
ン化する方法である。また、クラスタイオンビーム方式
は、原料を入れたるつぼの開口部に設けられたノズルか
ら真空中に出てくる集合分子のクラスタを熱電子で衝撃
してイオン化して放射するものである。本実施例におい
ては、図2に示す構成の内部構造のイオン源13を用い
る。このイオン源13は、筒状の容器16の内部に、引
出電極17とフィラメント18とArガスなどの導入管
19とを備えて構成され、容器16の先端からイオンを
ビーム状に平行に照射できるものである。
【0020】前記イオン源13は図1に示すようにその
中心軸Sを基材Aの上面(成膜面)に対して傾斜角度θ
でもって傾斜させて対向されている。この傾斜角度θは
40〜60度の範囲が好ましいが、特に45度前後が好
ましい。従ってイオン源13は基材Aの上面に対して傾
斜角θでもってイオンを照射できるように配置されてい
る。なお、イオン源13によって基材Aに照射するイオ
ンは、アルゴンと酸素の混合イオン、あるいはHe+、
Ne+、Ar+、Xe+、Kr+などの希ガスのイオン
、または、それらと酸素の混合イオンなどでも良い。
【0021】前記スパッタビーム照射装置14は、イオ
ン源13と同等の構成をなし、ターゲット12に対して
イオンを照射してターゲット12の構成粒子を叩き出す
ことができるものである。なお、本発明装置ではターゲ
ット13の構成粒子を叩き出すことができることが重要
であるので、ターゲット12に高周波コイルなどで電圧
を印可してターゲット12の構成粒子を叩き出し可能な
ように構成し、スパッタビーム照射装置14を省略して
も良い。
【0022】次に前記構成の装置を用いて基材A上にY
SZの多結晶薄膜を形成する場合について説明する。基
材A上に多結晶薄膜を形成するには、YSZのターゲッ
トを用いるとともに、角度調整機構Dを調節してイオン
源13から照射されるイオンを基材ホルダ11の上面に
45度前後の角度で照射できるようにする。次に基材A
を収納している容器の内部を真空引きして減圧雰囲気と
する。そして、イオン源13とスパッタビーム照射装置
14を作動させる。
【0023】スパッタビーム照射装置14からターゲッ
ト12にイオンを照射すると、ターゲット12の構成粒
子が叩き出されて基材A上に飛来する。そして、基材A
上に、ターゲット12から叩き出した構成粒子を堆積さ
せると同時に、イオン源13からArイオンと酸素イオ
ンの混合イオンを照射する。このイオン照射する際の照
射角度θは、45度が最も好ましく、40〜60度の範
囲ならば好適である。ここでθを90度とすると、多結
晶薄膜のc軸は基材Aの成膜面に対して直角に配向する
ものの、基材Aの成膜面上に(111)面が立つので好
ましくない。また、θを30度とすると、多結晶薄膜は
c軸配向すらしなくなる。前記のような好ましい範囲の
角度でイオン照射するならば多結晶薄膜の結晶の(10
0)面が立つようになる。
【0024】このような照射角度でイオン照射を行ない
ながらスパッタリングを行なうことで、基材A上に形成
されるYSZの多結晶薄膜の結晶軸のa軸とb軸とを配
向させることができるが、これは、堆積されている途中
のスパッタ粒子が適切な角度でイオン照射されたことに
より効率的に活性化された結果によるものと思われる。
【0025】図3に、前記の方法でYSZの多結晶薄膜
Bが堆積された基材Aを示す。図3に示す多結晶薄膜B
は、立方晶系の結晶構造を有する微細な結晶粒20が、
多数、結晶粒界を介して接合一体化されてなり、各結晶
粒20の結晶軸のc軸は基材Aの上面(成膜面)に対し
て直角に向けられ、各結晶粒20の結晶軸のa軸どうし
およびb軸どうしは、互いに同一方向に向けられて面内
配向されている。また、各結晶粒20のc軸が基材Aの
(上面)成膜面に対して直角に配向されている。そして
、各結晶粒20のa軸(あるいはb軸)どうしは、それ
らのなす角度(図4に示す粒界傾角K)を30度以内に
して接合一体化されている。
【0026】前記のように基材A上にYSZの多結晶薄
膜Bを形成したならば、この多結晶薄膜B上に酸化物超
電導層を形成する。酸化物超電導層を多結晶薄膜B上に
形成するには、目的の酸化物超電導体と近似組成あるい
は同一組成のターゲットを用い、酸素ガス雰囲気中など
においてスパッタリングを行なって多結晶薄膜B上に酸
化物超電導層を形成しても良いし、前記ターゲットにレ
ーザビームを照射して構成粒子をえぐり出して蒸着する
レーザ蒸着法などを実施しても良い。
【0027】前記の多結晶薄膜Bにおいては、c軸が基
材Aの成膜面に対して垂直な方向に配向し、成膜面と平
行な面に沿ってa軸どうしおよびb軸どうしが良好な配
向性を有するので、スパッタリングやレーザ蒸着で多結
晶薄膜Bの上に積層される酸化物超電導層も多結晶薄膜
Bの配向性に整合するように堆積して結晶成長する。
【0028】よって前記多結晶薄膜B上に形成された酸
化物超電導層は、多結晶状態の酸化物超電導層となるが
、この酸化物超電導層の結晶粒の1つ1つにおいては、
基材Aの厚さ方向に電気を流しにくいc軸が配向し、基
材Aの長手方向にa軸どうしあるいはb軸どうしが配向
している。従って得られた酸化物超電導層は結晶粒界に
おける量子的結合性に優れ、結晶粒界における超電導特
性の劣化が少ないので、基材Aの長手方向に電気を流し
易く、臨界電流密度の優れたものが得られる。
【0029】(製造例)図1に示す構成の装置を使用し
、この装置を収納した容器内部を真空ポンプで真空引き
して3.0×10−4トールに減圧した。基材は、幅1
0mm、厚さ0.5mm、長さ10cmのハステロイC
276テープを使用した。ターゲットはYSZ(安定化
ジルコニア)製のものを用い、スパッタ電圧1000V
、スパッタ電流100mA、イオン源のビームの照射角
度を45度あるいは90度に設定し、イオン源のアシス
ト電圧を300V、500V、700Vにそれぞれ設定
するとともに、イオン源の電流を15〜50mAにそれ
ぞれ設定して基材上にスパッタリングと同時にイオン照
射を行なって厚さ0.3μmの膜状のYSZ層を形成し
た。
【0030】得られた各YSZの多結晶薄膜についてC
uKα線を用いたθ−2θ法によるX線回折試験を行な
った。図5〜図7は、イオン源の入射角45度でイオン
ビーム電圧とイオンビーム電流を適宜変更して測定した
試料の回折強さを示す図である。図5〜図7に示す結果
から、YSZの(200)面あるいは(400)面のピ
ークが認められ、YSZの多結晶薄膜の(100)面が
基材表面と平行な面に沿って配向しているものと推定す
ることができ、YSZの多結晶薄膜がそのC軸を基材上
面に垂直に配向させて形成されていることが判明した。 なお、図5〜図7に示された各ピークの大きさの比較か
ら、ビーム電流が多く、ビーム電圧が小さい方が、即ち
、イオンを低い速度で大量に照射した方が多結晶薄膜の
c軸配向性を向上できることが判明した。
【0031】図8〜図10は、イオン源の入射角度90
度でイオンビーム電圧とイオンビーム電流を適宜変更し
て測定した試料の回折強さを示す図である。図8〜図1
0に示す結果から、イオン源の入射角度を90度にして
もc軸配向性に関しては十分な配向性が認められた。
【0032】次に、前記のようにc軸配向された試料に
おいて、YSZ多結晶薄膜のa軸あるいはb軸が配向し
ているか否かを測定した。その測定のためには、図11
に示すように、基材A上に形成されたYSZの多結晶薄
膜にX線を角度θで照射するとともに、入射X線を含む
鉛直面において、入射X線に対して2θ(58.7度)
の角度の位置にX線カウンター25を設置し、入射X線
を含む鉛直面に対する水平角度φの値を適宜変更して、
即ち、基材Aを図11において矢印に示すように回転角
φだけ回転させることにより得られる回折強さを測定す
ることにより多結晶薄膜Bのa軸どうしまたはb軸どう
しの配向性を計測した。その結果を図12と図13に示
す。
【0033】図12に示すようにイオンビームの入射角
度を45度に設定して製造した試料の場合、φを90度
と0度とした場合、即ち、回転角φに対して90度おき
にYSZの(311)面のピークが現われている。これ
は、基板面内におけるYSZの(011)ピークに相当
しており、YSZ多結晶薄膜のa軸どうしまたはb軸ど
うしが配向していることが明らかになった。これに対し
、図13に示すように、イオンビーム入射角度を90度
に設定して製造した試料の場合、特別なピークが見られ
ず、a軸とb軸の方向は無秩序になってることが判明し
た。
【0034】以上の結果から本発明装置によって製造さ
れた試料の多結晶薄膜は、c軸配向は勿論、a軸どうし
、および、b軸どうしも配向していることが明らかにな
った。よって本発明装置を実施することにより、配向性
に優れたYSZなどの多結晶薄膜を製造できることが明
らかになった。
【0035】一方、図14は、図12で用いたYSZ多
結晶薄膜の試料を用い、この試料の多結晶層の各結晶粒
における結晶配向性を試験した結果を示す。この試験で
は、図11を基に先に説明した方法でX線回折を行なう
場合、φの角度を−10度〜45度まで5度刻みの値に
設定した際の回折ピークを測定したものである。図14
に示す結果から、得られたYSZの多結晶薄膜の回折ピ
ークは、粒界傾角30度以内では表われるが、45度で
は消失していることが明らかである。従って、得られた
多結晶薄膜の結晶粒の粒界傾角は、30度以内に収まっ
ていることが判明し、良好な配向性を有することが明ら
かになった。
【0036】図15は、本発明装置の他の実施例を示す
ものである。この例の装置において図1に記載した装置
と同等の構成部分には同一符号を付してそれらの説明を
省略する。この例の装置において図1に示す装置と異っ
ているのは、ターゲット12を3個設け、スパッタビー
ム照射装置14を3個設け、基材Aとターゲット12に
高周波電源30を接続した点である。
【0037】この例の装置では、3個のターゲット12
、12、12から、それぞれ別種の粒子を叩き出して基
材A上に堆積させて複合膜を形成することができるので
、より複雑な組成の多結晶膜でも製造できる特徴がある
。また、高周波電源30を作動させてターゲット12か
らスパッタすることもできる。この例の装置を用いて前
記方法を実施する場合も図1に示す装置の場合と同様に
配向性に優れた多結晶薄膜を得ることができる。
【0038】ところで、図1または図13に示す構成の
装置を用いて前記方法を実施すれば、配向性の良好な光
学薄膜、配向性の良好な光磁気ディスクの磁性薄膜、配
向性の良好な集積回路用微細配線用薄膜、高周波導波路
や高周波フィルタおよび空洞共振器などに用いられる誘
電体薄膜のいずれでも形成することができる。即ち、結
晶配向性の良好な多結晶薄膜B上に、これらの薄膜をス
パッタリング、レーザ蒸着、真空蒸着、CVD(化学蒸
着)などの成膜法で形成するならば、多結晶薄膜Bと良
好な整合性でこれらの薄膜が堆積または成長するので、
配向性が良好になる。
【0039】これらの薄膜を本発明装置で製造すること
で、配向性の良好な高品質の薄膜が得られるので、光学
薄膜においては光学特性に優れ、磁性薄膜においては磁
気特性に優れ、配線用薄膜においてはマイグレーション
の生じない、誘電体薄膜においては誘電特性の良好な薄
膜が得られる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ス
パッタリングによりターゲットから叩き出した構成粒子
を基材の成膜面に堆積する際に斜め方向から所定の角度
でイオンビームを照射するので、構成粒子を効率的に活
性化できる結果、基材の成膜面に対してc軸配向性に加
えてa軸配向性とb軸配向性も向上させることができる
。よって本発明装置を実施することで、結晶粒界が多数
形成された多結晶薄膜であっても、結晶粒ごとのa軸配
向性とb軸配向性とc軸配向性のいずれもが良好になっ
ている多結晶薄膜を形成することができる。
【0041】また、イオンを照射する際の角度を45度
に設定し、照射するイオンをアルゴンと酸素の混合イオ
ンとするならば、最も好適に配向性の整った多結晶薄膜
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明装置の一実施例を示す構成図であ
る。
【図2】図2は本発明装置のイオン源の一例を示す断面
図である。
【図3】図3は本発明装置で製造された多結晶薄膜を示
す構成図である。
【図4】図4は図3に示す多結晶薄膜の拡大平面図であ
る。
【図5】図5はビーム電圧300Vで製造した本発明試
料のX線回折結果を示すグラフである。
【図6】図6はビーム電圧500Vで製造した本発明試
料のX線回折結果を示すグラフである。
【図7】図7はビーム電圧700Vで製造した本発明試
料のX線回折結果を示すグラフである。
【図8】図8はビーム電圧300Vで製造した比較例試
料のX線回折結果を示すグラフである。
【図9】図9はビーム電圧500Vで製造した比較例試
料のX線回折結果を示すグラフである。
【図10】図10はビーム電圧700Vで製造した比較
例試料のX線回折結果を示すグラフである。
【図11】図11はa軸配向性を調べるために行なった
試験装置を説明するための構成図である。
【図12】図12は本発明装置により製造された多結晶
薄膜の(311)面の回折ピークを示すグラフである。
【図13】図13は比較例における多結晶薄膜の(31
1)面の回折ピークを示すグラフである。
【図14】図14は本発明装置で製造された多結晶薄膜
の回転角5度おきの回折ピークを示すグラフである。
【図15】図15は本発明装置の他の実施例を示す構成
図である。
【図16】図16は従来の装置で製造された多結晶薄膜
を示す構成図である。
【符号の説明】
A・・・基材、B・・・多結晶薄膜、D・・・角度調整
機構、θ・・・傾斜角度、w・・・回転角、11・・・
基材ホルダ、12・・・ターゲット、13・・・イオン
源、14・・・スパッタビーム照射装置、15・・・タ
ーゲットホルダ、

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  多結晶薄膜が形成される基材を支持す
    る基材ホルダと、この基材ホルダの基材載置面に対向配
    置されたターゲットと、前記ターゲットの構成粒子をス
    パッタするスパッタ手段と、前記基材ホルダの基材載置
    面に対してイオンを照射するイオン源とが真空排気可能
    な容器に収納されてなり、前記容器内には、イオン源が
    基材載置面にイオンを照射する際の照射角度を調整する
    角度調整機構が設けられてなることを特徴とする多結晶
    薄膜の製造装置。
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