JPH04321680A - クロノスタキス・コンパクチウスクラから得た酵素を使用した、ロバスタチン酸の酵素加水分解による6(R)−〔2−(8(S)−ヒドロキシ−2(S),6(R)−ジメチル−1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロナフチル)−エチル〕−4(R)−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン・トリオール酸の生合成的製造方法 - Google Patents

クロノスタキス・コンパクチウスクラから得た酵素を使用した、ロバスタチン酸の酵素加水分解による6(R)−〔2−(8(S)−ヒドロキシ−2(S),6(R)−ジメチル−1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロナフチル)−エチル〕−4(R)−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン・トリオール酸の生合成的製造方法

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JPH04321680A
JPH04321680A JP3263735A JP26373591A JPH04321680A JP H04321680 A JPH04321680 A JP H04321680A JP 3263735 A JP3263735 A JP 3263735A JP 26373591 A JP26373591 A JP 26373591A JP H04321680 A JPH04321680 A JP H04321680A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、クロノスタキス・コンパクチウ
スクラ(Clonostachys compacti
uscula) 、又はそれから得られた加水分解酵素
を使用して、発酵生成物であるロバスタチン酸の微生物
学的加水分解による、6(R)−〔2−(8(S)−ヒ
ドロキシ−2(S),6(R)−ジメチル−1,2,6
,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロナフチル)−エチ
ル〕−4(R)−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラ
ヒドロ−2H−ピラン−2−オン・トリオール酸(2)
の生合成的製造に関するものである。トリオール酸及び
そのラクトン型は古い化合物、即ち、技術面では既知の
ものであり、これらはコレステロール生合成に含まれる
酸素である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コ
エンザイムA(HMG−CoA)還元酵素のインヒビタ
ーである。この酵素のインヒビターとして、これらは抗
高コレステロール血症剤として有用である。更にこれら
はその他の抗高コレステロール血症剤、特に8番目の位
置に種々の側鎖を持つものの調製用の中間物として有用
なものである。例えば、8番目の位置に2,2−ジメチ
ルブチリルオキシ側鎖を持つシンバスタチンは、既知の
手順によりトリオール酸のラクトン型を出発物質として
使用し、調製することができる。
【0002】この発明は、同時に、クロノスタキス・コ
ンパクチウスクラATCC  38009、またはその
変異株により作られる加水分解酵素の本質的に純粋な形
に関するものであり、この酵素はこの発明の方法により
ロバスタチン酸又はその塩をトリオール酸に変換させ得
るものである。この発明は、更にロバスタチン酸又はそ
の塩をトリオール酸に変換できる加水分解酵素の生成が
可能なクロノスタキス・コンパクチウスクラATCC 
 38009の変異株に関するものである。この発明は
、更にロバスタチン酸又はその塩をクロノスタキス・コ
ンパクチウスクラATCC  38009、又はその変
異株、又はそれらから得られる加水分解酵素で処理する
ことにより生成したトリオール酸を、引き続いて技術上
既知である従来の手順に従い、そのラクトン型に変換さ
せる方法に関するものである。この発明は抗高コレステ
ロール血症剤として有効なHMG−CoA還元酵素のイ
ンヒビターの分野に於けるものである。高コレステロー
ル血症は心血管疾患、特にアテローム性動脈硬化症の進
行において重要な危険な要素であることが現在十分に確
認されている。HMG−CoA還元酵素を阻害する化合
物は、コレステロールの生合成を妨害し、制限する。そ
して、この方式により抗高コレステロール血症剤として
機能する。このような化合物、特に天然発酵生成物であ
るコンパクチン及びメビロニンは現在良く知られている
。しかしながら、抗高コレステロール血症の作用を改善
できる他の半合成的類似化合物の探索が継続されている
。この発明の生合成的方法により、クロノスタキス・コ
ンパクチウスクラから得られた酵素を使用してロバスタ
チン酸を酵素加水分解することにより生成されたトリオ
ール酸はこのような半合成の類似化合物の調製と製造の
ための出発物質を多量に供給する。
【0003】既に上述したように、トリオール酸及びそ
のラクトン型は古くから知られた化合物である。例えば
、ラクトン型のトリオール酸はエンドー(Endo)、
日本特許出願公告86−13798(1986年)に記
述されており、この中で、モナスカス・ルーバー(Mo
nascus ruber)の発酵によるこの物質の生
産と血中コレステロールレベルを下げるその能力の実証
も述べられている。 ラクトン型のトリオール酸も、トリオール酸それ自身と
同様に、ウイラード(Willard)、アメリカ合衆
国特許No. 4,293,496(1981年)に記
述されている。然しながら、そこにおいてこの化合物は
アスペルギルス・テレウス(Aspergillus 
terreus)の所定の菌株による発酵生成物を出発
物質として、これの8−(α−メチルブチリルオキシ)
エステル側鎖を除去するのに化学的加水分解を用いて調
製されたものである。このような加水分解が微生物学的
に実施できるという指摘は全く無い。
【0004】コマガタ(Komagata) 等、ジャ
ーナル・オブ・アンティバイオティクス(J. Ant
ibiotics)、39巻、1574−77頁(19
86年)は、本発明と同じ側鎖が除去される、ML−2
36BのML−236Aへの酵素加水分解変換を記述し
ている。調査した1600の真菌類の株の中から、59
株が加水分解反応を触媒するのに効果的であることが判
明し、エメリセラ・ウングイス(Emericella
 unguis) が最も強い活性を示した。然しなが
ら、C.コンパクチウスクラは記述されていない。エン
ドー(Endo) 、日本国特許出願公告番号85−1
76595号(1985年)は、上述のコマガタ(Ko
magata)等と同一の変換を記述しているが、更に
、この発明におけるロバスタチン酸のトリオール酸への
転換と同一である“モナコリンK(Monacolin
 K)”の“モナコリンJ(Monacolin J)
”への転換を含んでいる。特に有効と言われているのは
糸状菌のモルチエレラ・イサベリナ(Mortiere
llaisabellina)、エメリセラ・ウングイ
ス(Emericellaunguis)、ジヘテロス
ポラ・クラミドスポリア(Diheterospora
 chlamydosporia)、ヒューミコーラ・
ファスコアトラ(Humicola fuscoatr
a)、ジコトモミセス・セジピー(Dichotomo
myces cejpii)、ネオコスモスポーラ・ア
フリカナ(Neocosmospora africa
na)、キシロゴネ・スファエロスポラ(Xylogo
ne sphaerospora) 、トルロミセス・
ラゲナ(Torulomyces ragena)、及
びシーラビア・フィメチ(Thielavia fim
eti) である。しかし、最高の転換率は0.5mg
/mlの出発物質濃度の78%であるのに較べて、本発
明での転換率は80−90%である。 そして、コマガタ(Komagata) 等の関連報告
には、この発明で使用した2.5mg/mlのようなよ
り高い濃度では酵素の効率に著しい低下あるという指摘
がある。このように、クロノスタキス・コンパクチウス
クラを使用して達成された、改良された微生物学的加水
分解について先行技術面での示唆は存在しない。
【0005】以下本発明を詳細に説明する。本発明は、
ロバスタチン酸(1)又はその塩をクロノスタキス・コ
ンパクチウスクラ、又はその変異株、又はそれらから得
られた加水分解酵素で処理することによる、6(R)−
〔2−(8(S)−ヒドロキシ−2(S),6(R)−
ジメチル−1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒ
ドロナフチル)−エチル〕−4(R)−ヒドロキシ−3
,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン
・トリオール酸の生合成的製造に関するものである。 続いて、トリオール酸は既知の化学作用によりそのラク
トン型に変換されても良い。この発明の方法にとっての
出発物質はロバスタチン酸(1)、ロバスタチンの開環
型、又はそれらの塩である。酸型の物質は、技術面で既
知の培養方法によりアスペルギルス・テレウスの発酵に
よって製造される。ロバスタチン自身は水系に極めて不
溶性なので、この発明の方法に於いては有益な出発物質
ではない。そして、この物質が可溶性であるような溶剤
類は一般にこの発明の方法とは馴染まない。
【0006】ロバスタチン酸出発物質は通常塩の型で使
用される。そして、“ロバスタチン酸”という術語は、
特記されない限り、全てのそれの適切な塩の型を同様に
含むことを意味する。溶解性が良好であり、かつ本発明
の方法を実施してゆく中で起る他の状況を妨害しないよ
うな塩は全て差し支えない。例えば、Na及びKのよう
なアルカリ金属塩類は使用される。アンモニウム塩の型
のものも使用可能であり、むしろこの方が望ましい。
【0007】便宜上、ロバスタチン酸、トリオール酸、
及びそのラクトン型の構造式を下記に構造式1、2、及
び3としてそれぞれ示した:
【化4】
【0008】本発明によるトリオール酸の生合成的製造
の基本的メカニズムはロバスタチン酸の酵素加水分解で
あると考えられ、この場合にクロノスタキス・コンパク
チウスクラATCC  38009、又はその変異株が
、ロバスタチン酸の8−(α−メチルブチリルオキシ)
エステル側鎖の除去を触媒としてトリオール酸を生成す
る。既に説明したように、水系での溶解性の理由から、
ロバスタチン出発物質をその開環の型、又は酸の型で使
用することが最も望ましいことであると判明しており、
この目的のためにロバスタチン酸のアンモニウム塩の型
がより望ましい。クロノスタキス・コンパクチウスクラ
により生成される酵素はどのような方法でロバスタチン
酸出発物質と接触させても良く、これ等の方法は全て、
この技術分野で通常の技能を持つ人に明白であろう。こ
れは、“処理”という用語を最も広く定義するものであ
る。例えば、完全細胞を使用しても良いしこの方法では
クロノスタキス・コンパクチウスクラの発酵培養物を製
造し、これにロバスタチン酸出発物質を単に添加して、
トリオール酸最終製品を回収する。この完全細胞を使う
方法の変法は、上述した様なクロノスタキス・コンパク
チウスクラの発酵培養物を製造するが、加水分解活性を
誘発させる目的でより低濃度のロバスタチン酸を添加す
るものである。次に、菌体を採取して、直ちに使用して
もよいし、又は後の使用のために凍結してもよいペレッ
トとして回収する。これらをアスペルギルス・テレウス
により生成された発酵培養物中に存在するロバスタチン
酸出発物質に添加しても良いし、あるいはロバスタチン
酸をその培養基から分離し、次に上述のクロノスタキス
・コンパクチウスクラの凍結ペレットと接触させても良
い。クロノスタキス・コンパクチウスクラの完全細胞が
上述したように生きている必要はない。例えば、アセト
ン乾燥した、死んだ細胞の使用も可能である。完全細胞
の代替として、これらの完全細胞培養物から得た粗製の
ホモジェネートの使用が可能である。粗製のホモジェネ
ートから加水分解酵素自身を分離してそれを使用するこ
とも可能である。
【0009】クロノスタキス・コンパクチウスクラ酵素
をロバスタチン酸出発物質と接触させる方法はバッチ方
式で実施しても良く、又は連続法で実施しても良い。こ
れらの反応物自身の接触はプロセス技術の進歩に相応し
た種々の方法に変更しても良い。従って、固定化酵素カ
ラムを用い、そのカラムにロバスタチン酸出発物質を通
して、クロノスタキス・コンパクチウスクラ酵素と接触
させることができる。この様なプロセス技術のもう一つ
の例は、膜リアクターに関するものである。反応物の接
触に関連した他の代替方法は、クロノスタキス・コンパ
クチウスクラATCC  38009、又は変異株をロ
バスタチンの製造に使用した同じ発酵ブロスで培養する
ことである。培養基成分を加え、次にクロノスタキス・
コンパクチウスクラATCC  38009、又は変異
株を入れ、トリオール酸を生成させるためにそれを培養
するという方法で、一旦、ロバスタチン酸が生成された
後クロノスタキス・コンパクチウスクラの発育を維持す
るために、必要ならば発酵ブロスを一部変更することも
可能である。しかし、この取組み方は最適収量が得られ
ないようである。反応物を接触させるのに、より好まし
い方法は上述の固定化酵素カラムの方法によるものであ
る。
【0010】更に下記に述べる実施例はロバスタチン酸
の酵素加水分解は説明するために現在使用している方法
を記述した。しかし、これらの実施例に於ける方法は必
ずしも商業的製造に利用される方法を示唆するものでは
ない。
【0011】本発明はロバスタチン酸をトリオール酸に
変換させうるクロノスタキス・コンパクチウスクラの特
別の菌株であるATCC  38009の変異株も指名
している。微生物の種々の菌株により製造される望まし
い生成物の収量を改善するための発酵技術に於ける良く
知られたテクニックがある。例えば、所定の生産用菌株
を、その微生物の遺伝物質で進行する突然変異を大いに
増加させることが知られている放射線照射又は他の刺激
にさらしても良い。感度の良いスクリーニングを使用す
ることにより、この様にして製造された多くの突然変異
体から望ましい生成物の生産増加をもたらす菌株のみを
選択することが可能である。この方法で、生産用菌株の
産出はその種々の選択された子孫を通して継続して改善
することが通常可能である。この発明に関して、クロノ
スタキス・コンパクチウスクラATCC  38009
の選択された変異株によるロバスタチン酸加水分解酵素
の生産量についても同様な改善が成されても良い。この
目的を充分に満たすような選別法は高速液体クロマトグ
ラフィ(HPLC)の使用であり、この装置は極めて低
濃度の酵素的開裂精製物の検出が可能でありそれにより
研究課題である、どの特殊な変異株によりトリオール酸
が製造されたかを明白に確認出来る。
【0012】培養培地 クロノスタキス・コンパクチウスクラの発酵は他の発酵
生成物の製造に使用されるような液体培地で実施される
。このような培地は微生物によって資化される炭素、窒
素及び無機塩類の供給源を含む。一般に、糖類のような
炭水化物、例えば、乳糖、ブドウ糖、果糖、マルトース
、蔗糖、キシロース、マンニトール及び類似のもの、及
び穀類のような澱粉、例えば、オート麦、ライ麦、コー
ンスターチ、コーンミール及び類似のもの、は栄養培地
中での資化可能な炭素の供給源としてそれぞれ単独で又
は組み合わせて使用できる。培地中で利用される炭水化
物供給源又は供給源類の正確な量は一部で、培地の他の
成分に依存するが、一般に炭水化物の量は通常、培地の
重量比で約1%から6%の間で変動する。これらの炭素
供給源は個々に使用することが出来るし、又はこれらの
炭素供給源の幾つかを培地中で組み合わせても良い。 一般に、多くの蛋白質物質を発酵プロセスに於いて窒素
源として使用しても良い。適切な窒素供給源としては例
えば、酵母加水分解物、プライマリーイースト(Pri
mary Yeast)、大豆粉、綿実粉、カゼインの
加水分解物、コーン・スチープ・リカー、ジスチラーズ
ソリュブル又はトマトペースト及び類似のものが含まれ
る。窒素供給源はそれぞれ単独で又は組み合わせて、液
体培地の重量比で約0.2%から6%までの範囲の量で
使用される。
【0013】培地に混合できる栄養無機塩類は、ナトリ
ウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、リン酸塩
、硫酸塩、塩素、炭酸塩、及び類似のイオンを生ずるこ
とが出来る通常の塩類である。同様に、コバルト、マン
ガン、鉄及びマグネシウムのような微量金属が含まれる
。実施例に記述した培地は使用できる広範な培地の種類
の単なる実例であり、限定するものでないことに留意す
べきである。特に、トリオール酸を製造するための培地
で使用される炭素供給源はデキストロース、デキストリ
ン、オート麦粉、オートミール、糖蜜、クエン酸塩、大
豆油、グリセロール、麦芽エキス、鱈肝油、澱粉、エタ
ノール、イチジク、アスコルビン酸塩及びラード油を含
む。窒素供給源としてはペプトン化乳、自己消化酵母、
酵母RNA、トマトペースト、カゼイン、プライマリイ
ースト、ピーナッツミール、ジスチラーズソリュブル、
コーン・スチープ・リカー、大豆粉、NZアミン、豆抽
出物、アスパラギン、綿実ミール及び硫酸アンモニウム
が含まれた。主なイオン性化合物はCaCO3 、KH
2PO4、MgSO4 ・7H2O及びNaCl及び少
量のCoCl2・6H2Oであり、そして微量のFe、
Mn、Mo、B、Co及びCuも存在した。
【0014】ラクトン化 本発明の方法により、クロノスタキス・コンパクチウス
クラATCC  38009、又はその変異株、又はそ
れらから得られた加水分解酵素でロバスタチン酸を処理
すると、優占的な生成物としてトリオール酸が供給され
る。しかし、この化合物のラクトン型を得ることも望ま
しい。と言うのは、ラクトン型も抗高コレステロール血
症剤として又はこのような物質を調製するための中間物
質として有効であるからである。トリオール酸のラクト
ン化は標準的な手法、即ち、加熱又は酸触媒ラクトン化
のどちらかで行われる。ロバスタチン酸関連化合物の酸
触媒ラクトン化の手順はアメリカ合衆国特許第4,91
6,239号に記述されている。トリオール酸について
は、ラクトン化は7mMのメタン・スルホン酸を含有す
るイソプロピル酢酸塩中で、室温で2時間、攪拌するこ
とにより行われている。
【0015】
【実施例1】クロノスタキス・コンパクチウスクラの完
全細胞によるロバスタチン酸のトリオール酸への生化学
的変換 ─────────────────────────
───────────クロノスタキス・コンパクチウ
スクラATCC  38009は、EN培地(ブドウ糖
  1%;ペプトン  0.2%;ビーフ・エキス  
0.1%;イーストエキス0.1%及びコーン・スチー
プ・リカー  0.3%)中、実容量1.8Lの2Lエ
アリフト発酵槽で、29℃、エアレイション率1.25
vvmで、48−72時間生育させた。加水分解活性を
誘導するために、ロバスタチン酸アンモニウム塩を加え
た(0.5g/L最終濃度)。この発酵物は、ロバスタ
チン酸アンモニウム塩の添加後24−72時間で、篩で
濾過して緩衝液(20mM  トリス、pH8.5)で
ペレットを洗浄して採取した。この細胞ペレットは使用
時まで冷凍しておいた。生化学的変換のために、エアリ
フト発酵から得られたクロノスタキス・コンパクチウス
クラのペレット(湿重量17g)を、アスペルギルス・
テレウス発酵から採取した炭酸塩緩衝液中の粗製ロバス
タチン酸(20g/L)の20mlと接触させた。この
生化学的変換は250mlのエーレンマイヤー・フラス
コ中で、27℃で160rpm で行われた。17時間
後に、約60%のロバスタチン酸がトリオール酸に変換
した。追加実験で、エアリフト発酵から得たクロノスタ
キス・コンパクチウスクラ(5g湿重量)を、アスペル
ギルス・テレウス発酵からメタノールで抽出した10m
lの粗製のロバスタチン酸(3.5g/L)と接触させ
た。生物変換混合物中のメタノールの最終濃度は25%
であった。この生物反応は250mlのエーレンマイヤ
ー・フラスコ中で、29℃、160rpm で行われた
。2時間後に、クロノスタキス・コンパクチウスクラを
使用した生物変換は、薄層クロマトグラフィーによる測
定では、ほぼ100%のロバスタチン酸をトリオール酸
に転換した。
【0016】
【実施例2】クロノスタキス・コンパクチウスクラの粗
製ホモジェネートによる、ロバスタチン酸のトリオール
酸への生化学的物変換 ─────────────────────────
───────────クロノスタキス・コンパクチウ
スクラATCC  38009は、12mlのEN培地
を含有する250mlの振盪フラスコ中で、29℃、3
日間発育させた。ロバスタチン酸アンモニウム塩を、0
.5g/Lの濃度となるように添加し、発酵はさらに2
日間継続した。粗製ホモジェネートを準備するために、
培養物を3,000rpm 、10分間遠心分離して採
取した。この後、これを50mMのN−トリス(ヒドロ
キシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(T
ES)緩衝液pH7.7で洗浄した。この培養基を再度
遠心分離し、菌体を氷で冷やした後に、ガラス片とドラ
イアイスの粉末を入れた乳鉢の中に入れ、すり鉢ですり
つぶした。細胞残渣とガラス片を除去するために、1個
の振盪フラスコの内容物を2.0mlの50mMテス・
バッファー中で再懸濁させ、2,000rpm で10
分間遠心分離を行った。 上澄は約0.5mg/mlの蛋白質濃度で粗製ホモジェ
ネートの供給源として使用した。このバイオ変換を実施
するために、粗製のホモジェネートの一定容量を等量の
ロバスタチン酸アンモニウム塩(5g/L)と組み合わ
せ、混合物を29℃でインキュベートした。この方法を
使用して、2時間以内に80−90%のロバスタチン酸
がトリオール酸に転換することが認められた。
【0017】
【実施例3】クロノスタキス・コンパクチウスクラから
精製した加水分解酵素によるロバスタチン酸のトリオー
ル酸への生化学的変換 ─────────────────────────
───────────ロバスタチン酸をトリオール酸
に生化学的変換を行う加水分解酵素は、モノQ陰イオン
交換カラムを使用した高速蛋白質液体クロマトグラフィ
(FPLC(登録商標))により、以下に記述した手順
を使用したクロノスタキス・コンパクチウスクラのホモ
ジェネートからほぼ均一なものに精製した。上記の実施
例2に示した2,000rpm の遠心分離から後に上
澄、但し、この場合には20mMのトロメタミン(トリ
ス)緩衝液を50mMのテス緩衝液のかわりに用い、1
5,000rpm で遠心分離し、得られた上澄を0.
45μmのフィルターで濾過した。蛋白質を0.3−0
.5mg/ml含有する濾過物の各バッチ(10ml)
をファルマシア高速液体クロマトグラフィ(FPLC)
システムに結合させたファルマシア・モノQ陰イオン交
換カラムにかけた。 陰イオン蛋白質をカラム・マトリックスへ結合させた後
、塩化ナトリウムのリニア・グラジエント(0−500
mM)により加水分解酵素が特異的に溶出された。溶出
した蛋白質は1mlのフラクションで集めて、ロバスタ
チン酸アンモニウム塩(この場合に、加水分解のパーセ
ントはTLCとデンシトメトリー又はHPLCで測定さ
れた)、或いはこの酵素がそれに対して加水分解活性を
有するかを示す比色用基質(オルト−ニトロフェニル・
ブチレート  o−NPB)の何れかを使用して評価し
た。 後者の基質を使用した場合、加水分解反応は、本来、ロ
ーレンス、アール.シー.(Lawrence, R.
C.)等、ジャーナル・オブ・ジェネティック・マイク
ロバイオロジー(J. Gen. Microbiol
.) (1967年)48巻、401−418頁に記述
されているように、410nmで分光光度計的にモニタ
ーした。両方の評価方法が、NaCl濃度が300mM
に近づいた時に、この加水分解酵素が溶出することを示
した。ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド・
ゲル電気泳動は、ロバスタチン酸加水分解酵素含有ピー
クフラクションが分子量が約45,000ダルトンの突
出したバンドを含むことを示した。
【0018】精製した酵素標品を使用して、実施例1及
び2に上述した手順に従って生化学的変換を実施し、基
質としてのロバスタチン酸アンモニウム塩を用い、この
加水分解酵素のKm及び比活性の評価を行った。得られ
たKmの値は4.14mMであり、飽和した基質条件下
で、この酵素は時間当り0.11mmolのロバスタチ
ン酸アンニモウム塩/mg蛋白質の比活性を持つことが
判明した。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  構造式1の化合物又はその塩を、クロ
    ノスタキス・コンパクチウスクラ(Clonostac
    hys compactiuscula) ATCC 
     38009、【化1】 又はその変異株、又はそれらから得られる加水分解酵素
    を用いて処理し、その生成物を回収することを特徴とす
    る、構造式2の化合物又はその塩を 【化2】 回収可能量で製造するための方法。
  2. 【請求項2】  その塩がアンモニウム塩である、請求
    項1による方法。
  3. 【請求項3】  加水分解酵素が精製された形であり、
    カラムに固定化され、構造式1の化合物がこのカラムを
    通過することにより、それと接触するようになっている
    、請求項1による方法。
  4. 【請求項4】  請求項1による方法を実施できる、ク
    ロノスタキス・コンパクチウスクラ(Clonosta
    chys compactiuscula) ATCC
      38009、またはその変異株により生成された加
    水分解酵素の実質的な純品。
  5. 【請求項5】  更に構造式3のジオールラクトンを製
    造するために構造式2のトリオール酸をラクトン化する
    ことを含む、請求項1の方法。 【化3】
JP3263735A 1990-10-15 1991-10-11 クロノスタキス・コンパクチウスクラから得た酵素を使用した、ロバスタチン酸の酵素加水分解による6(R)−〔2−(8(S)−ヒドロキシ−2(S),6(R)−ジメチル−1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロナフチル)−エチル〕−4(R)−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン・トリオール酸の生合成的製造方法 Expired - Fee Related JP2690227B2 (ja)

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