JPH0431503B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は防かび性シート、特にはガス状の防か
び剤を徐々に蒸発して被処理物を防かび性とする
ことのできる、小さい空間さらには空間内の所定
の場所に手軽に固定することのできる防かび性シ
ートに関するものである。

（従来の技術） かびによる被害は日本では従来高温多湿となる
５月〜９月に多く発生していたが、最近は住宅の
気密性向上と暖房の普及に伴なつて暖房時の室内
の乾燥を防ぐために加湿器が使用されるようにな
つたことから、冬期においても高温多湿の環境が
作られ、かびによる被害は増大しつつある。

しかして、このかびについては多くの種類のも
のがあり、したがつてこのかびの被害は食料品や
皮革製品だけでなく、プラスチツク、金属、セラ
ミツクス、ガラスや各種塗装面などのあらゆる物
品、製品に及んでおり、特に衣類、金属製品、光
学製品、プラスチツク製品、ガラス製品、皮革製
品を木箱、プラスチツクケース、金属ケースなど
に収納して押入れ、タンスなどに保存しておくと
必ずといつてよいほどかびが繁殖する。

そのため、かびの発生を防止する方法として (1)物品の内部に防かび剤を含有させる方法、(2)物
品に非蒸発性の防かび剤を含有した塗料を上塗り
する方法、(3)蒸発性の防かび剤をプラスチツク部
材の中に配置する方法などが採られているが、こ
の(1)、(2)の方法は物品の性能を悪化させる不利が
あるため(3)の方法が好ましいものとされているも
のの、これには蒸発性防かび剤をシリカゲルに吸
着させたものが使用されるために、これにはその
ものがかさばるので小さい空間に配置することが
難しく、シリカゲルが１〜４mmの粒子とされてい
るのでこれは容器ないし袋に収容しておく必要が
あり、そのために使用に当つてはこの容器ないし
袋を防かび性雰囲気としたい空間に固定する特別
な工夫が必要とされるという欠点がある。

（発明の構成） 本発明はこのような不利を解決した防かび性シ
ートに関するものであり、これはガス透過性のあ
る表面シートと蒸発性の防かび剤を含有した粘着
剤層とからなることを特徴とするものである。

すなわち、本発明者らは蒸発性防かび剤を使用
した防かび性剤について種々検討した結果、蒸発
性防かび剤を粘着剤層中に含有させ、この表面を
ガス透過性のあるシートで被覆すれば粘着剤層中
に含有されている蒸発性防かび剤の蒸気がこのシ
ートの中を透過してシート表面から外気に放出さ
れるのでその外気を防かび性とすることができる
ということを見出すと共に、このものは防かび剤
を含有する層が粘着剤とされているので目的とす
る空間壁部に容易に添着することができ、切断な
どによつて小片とすれば小さい空間への位置決め
もでき、どのような場所にも手軽に使用すること
ができるということを確認して本発明を完成させ
た。

本発明の防かび性シートは例えば第１図に示し
たようにガス透過性シート１と蒸発性の防かび剤
を含有する粘着剤層２とからなる一体成形品とさ
れる。

この防かび性シートを構成するガス透過性シー
ト１としてはポリエチレン、ポリプロピレンなど
のポリオレフイン系樹脂、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステルなどのアクリル樹
脂、スチレン樹脂などから作られる熱可塑性樹脂
フイルム、シート、天然ゴム、SBR、NBR、ク
ロロピレン、シリコーンなどの合成ゴムから作ら
れたゴムフイルム、シートなどが例示されるが、
ガス透過性からみて急速に防かび効果を出すため
にはポリエチレン、シリコーン系のフイルムとす
ることがよく、長期間にわたつて防かび効果を得
る目的においてはポスエステル、塩化ビニリデン
フイルムとすることが望ましい。なお、これらの
フイルム、シートは蒸発した防かび剤を外気中に
放出するものであるので、このものはその厚さが
10〜50μｍ程度のものとすればよいが、特にこの
防かび剤を急速に外気に放出させることが必要と
される場合にはこれに0.1〜１mmφの穴を設けた
ものとしてもよい。

また、上記したガス透過性シートと一体成形さ
れる粘着剤層２としては天然ゴム、再生ゴム、
SBR、シリコーン、イソプレンなどの合成ゴム、
ウレタン系または各種脂肪族のアクリル酸エステ
ルなどから選択される、粘着性物質からなるもの
が例示されるが、これは溶剤型、エマルジヨン型
のものであつてもよい。この粘着剤層とガス透過
性シートとの一体成形はこの粘着剤をロールコー
ター、ハケ塗り、印刷塗布などの方法でガス透過
性シートに塗布すればよく、この粘着剤層２の厚
さは任意とされるが、このシートは可撓性のもの
とすることがよく、また防かび剤は0.005〜0.1
ｇ／m²の含有量とすることがよいので、この厚さ
は0.01〜１mmの範囲、好ましくは0.1〜0.5mmのも
のとすればよい。

なお、この粘着剤層は蒸発性の防かび剤を含有
するものとされるが、この防かび剤は公知のもの
とすればよく、したがつてこれにはα−プロムシ
ンナムアルデヒド、４−クロロ−ｍ−クレゾー
ル、４−クロロ−３，５−キシレノール、５−メ
チル−２−（１−メチルエチル）−フエノールなど
が例示される。これらは１種類の採用に限定され
るものではなく２種以上を組合せて使用してもよ
いし、この２種以上の組合せにおいて薬効の異な
る２種以上を組合せれば巾広い抗菌スペクトルが
得られるし、蒸気圧の異なるものを組合せれば初
期には蒸気圧の高い薬剤で効果を発揮させ、その
後は蒸気圧の低い薬剤でその効果を長続きさせる
という実用性が付与される。この防かび剤の添加
量については特にこれを規定する理由はないが、
防かび効果を長時間保つためにはその含有量を
0.005〜0.1ｇ／m²とすることがよく、これを100
重量部以上とすると打ち抜き後にこぼれが発生す
るので上記した粘着剤100重量部に対して0.5〜
100重量部とすればよい。

このようにして作られた本発明の防かび性シー
トはこの粘着剤層面を防かび性としたい空間を構
成する物体の内面、壁面に添着すればその粘着に
よつてその面に固定でき、この防かび剤のガス透
過性シートを透過したガスによつてこの空間を防
かび性雰囲気とすることができるし、このものは
簡単に切断できるので対象とする処理空間が小さ
いものであるときには適宜の形状、大きさに切断
してその空間形成面にこれを粘着させれば小さい
空間用にも容易に適用できるという有利性が与え
られる。なお、このものはまた使用前における保
管の便宜上から例えば第２図に示したようにこの
粘着剤層のガス透過性シートと一体成形された他
面にシリコーン樹脂などを塗布した剥離性のフイ
ルム、シート３を貼着しておくことがよく、これ
によれば予じめ作成しておいた本発明の防かび性
シートからこの剥離紙層を除去するだけに直ちに
使用することができるという有利性が与えられ
る。

つぎに本発明の実施例をあげるが、例中の部は
重量部を示したものである。

実施例 １ 厚さ30μｍのポリエチレンフイルムの表面にポ
リウレタン系粘着剤・NU−007〔日信化学工業(株)
製商品名〕100部にα−ブロムシンナムアルデヒ
ド50部を添加したものをロールコーターを用いて
厚さ20μｍに塗布したのち、この粘着剤層の表面
にシリコーン系離型紙をラミネートして防かび性
シートを作つた。

つぎにこの防かび性シートを１cm×１cmに成形
したのち離型紙をはがし、これをアクリル樹脂製
の100mlの容器の内側に接着させたのち、この容
器内にカビの１種である Aspergillus Vitricolae Strain Gi−４
（Synamym：Aspergillus Pericilloides
IFO8155）およびEulotium Conophilum
IFO6529の分生子および胞子を接種したゼラチン
膜（４cm×１cm）を入れて密封し、容器内部を25
℃、90℃RHの状態として１ケ月保持したが、こ
のものにかびの発生は全く認められなかつた。

しかし、比較のためにこゝに上記した防かび性
シートを接着せず、上記したゼラチン膜を入れた
容器を上記と同様の条件で１ケ月保管したとこ
ろ、このゼラチン膜には全体に白かびが広がつて
いることが観察された。

実施例 ２ 実施例１におけるα−プロムシンナムアルデヒ
ドの代わりに４−クロロ−ｍ−クレゾール、４−
クロロ−３，５−キシレノール、５−メチル−２
−（１−メチルエチル）−フエノールをそれぞれ使
用したほかは実施例１と同じ方法でその防かび性
をしらべたところ、この場合にはいずれのものに
ついても全くかびの発生は認められなかつた。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図はいずれも本発明の防かび性シ
ートの縦断面図を示したものである。 １……ガス透過性シート、２……粘着剤層、３
……剥離紙層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガス透過性のある表面シートと蒸発性の防か
   び剤を含有した粘着剤層とからなることを特徴と
   する防かび性シート。 ２ 粘着剤層がその下面に剥離紙層を設けてなる
   ものである特許請求の範囲第１項記載の防かび性
   シート。