JPH0421762Y2

JPH0421762Y2 -

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Publication number: JPH0421762Y2
Application number: JP1985069271U
Authority: JP
Priority date: 1985-05-13
Filing date: 1985-05-13
Publication date: 1992-05-19
Also published as: JPS61187302U

Description

【考案の詳細な説明】（考案の技術分野）本考案は、ガス状の防カビ剤を徐々に蒸散する
光学製品用防カビシート（シート状の防カビ剤）
に関する。

（考案の背景）カビによる被害は、これまで日本では高温多湿
となる５月〜９月に多く発生したが、最近、住宅
の気密性が高まると共に、暖房が普及したので、
今度は暖房による室内の乾燥しすぎを防ぐために
加湿器が必要となり、そのため一年中高温多湿の
環境が作られ、カビの被害はますます甚大なもの
となつている。

カビにも多くの種類があるので、カビの被害は
食料品や皮革製品だけでなく、プラスチツク、塗
装面、金属、セラミツクス、ガラスなど、あらゆ
る物、製品に及ぶようになつてきた。

特に衣類、金属製品、光学製品、プラスチツク
製品、ガラス製品、皮革製品などを木箱、プラス
チツクケース、金属ケースなどに収納して、それ
を押入、タンス、書棚などに保存しておくと、必
ずと言つてよいほどカビが繁殖してしまう。

従来、カビの発生を防止するには、(1)その物ま
たは製品自身の内部に防カビ剤を含有させるか、
(2)物または製品に、非蒸散性の防カビ剤を含有す
る塗料を上塗りするか、或いは(3)蒸散性防カビ剤
を蒸散するプラスチツク部材（塗膜を含む）を配
置する、などの手法が採用されてきた。

しかしながら、(1)及び(2)の手法では、物または
製品自体の性能を悪化させることの欠点があり、
問題である。

そこで、防カビ剤を物または製品自体の内部に
含有させたり、表面に塗布せずに、物または製品
が接する空間に蒸散性防カビ剤を蒸散させて防カ
ビ雰囲気とする(3)の手法が好ましいことになる
が、(3)の手法では、これまで蒸散性防カビ剤をシ
リカゲルに吸着させたものが使用されてきた。し
かし、シリカゲルは、比較的かさばるので、小さ
い空間や狭い空間に配置することは出来なかつ
た。また、シリカゲルは、１〜４mmぐらいの粒で
あるので、なんらかの容器又は袋に入れる必要が
あり、そのため容器又は袋を「防カビ性雰囲気に
したい空間」内に固定するには、別途特別な工夫
が必要であり、使用者にとつて面倒なものであつ
た。

（考案の目的）従つて、本考案の目的は、小さい空間や狭い空
間にも配置することができ、しかも空間内の所定
の場所に手軽に固定できる光学製品用防カビシー
トを提供することにある。

（考案の概要）このため、本考案は、支持体シート１、その表
面に形成された蒸散性防カビ剤を含有する塗膜槽
２、前記シート１の裏面に形成された感圧接着剤
層３、さらにその下面に形成された剥離紙４の少
なくとも４層からなる光学製品用防カビシートに
おいて、塗膜層２が溶剤型合成黒色インキに蒸散
性防カビ剤を含ませたものを塗布した後、該溶剤
を蒸発させることにより形成されたものから成る
ことを特徴とする、光学製品用防カビシートを提
供する。

支持体シート１は、例えば樹脂、金属（例えば
アルミ箔）、紙、繊維製品などで作られる。なか
でも、安価で製造の容易なものは、樹脂シートで
あり、これに使用される樹脂材料としては、例え
ば、ポリオレフイン系の単独または共重合体例え
ばPE，PP等、アクリル系樹脂例えばポリアクリ
ル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル
（PMMAその他）、ポリスチレン系の単独または
共重合体例えばポリスチレン、スチレン−MMA
共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体、塩化ビニル又は塩化ビニリデンの単独ま
たは共重合体、ポリアセタール系樹脂例えばポリ
ビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ
ビニルフオルマール、ポリエステル系樹脂例えば
PET，PBT，ポリアリレート、ポリアミド系樹
脂例えばナイロン66、ポリイミド系樹脂、セルロ
ース系樹脂、天然樹脂、ポリサルホン、ポリエー
テルサルホン、ポリアラミド、EVA樹脂などの
熱可塑性樹脂単独またはブレンドなどが挙げられ
る。

樹脂シートには、適当な可塑剤、滑剤、補強材
例えばガラス繊維、炭素繊維、粉末状の向き充填
材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤、難
燃剤、帯電防止剤、着色剤、香料、脱臭剤、賦香
剤、その他特殊機能性添加剤などが含まれていて
もよい。

支持体シート１は、厚さが一般に0.01〜0.1mm
位あれば十分である。

支持体シート１は、塗膜層２との密着性がよ
く、またガスバリヤー性のものが好ましい。ガス
バリヤー性であれば、塗膜層２中の防カビ剤が支
持体シート１を拡散、透過して感圧接着剤層３に
達し、接着剤を害したり、不必要な裏面側に防カ
ビ剤を蒸散することがなくなる。

蒸散性防カビ剤を含有する塗膜層２は、予め蒸
散性防カビ剤及び必要に応じて使用される添加剤
例えば顔料、染料、着色剤、香料、脱臭剤、賦香
剤を、例えば塗料、樹脂液、成膜性インキなど
と、混練することにより、溶液状、分散液、また
はスラリー状のものを調製し、それを支持体シー
ト１の表面側に塗布し、乾燥させることにより容
易に形成される。塗膜層の厚さは、一般に0.01〜
0.1mmもあれば十分である。

一方、使用し得る好ましい蒸散性防カビ剤とし
ては、例えば、・α−ブロムシンナムアルデヒド・４−クロロ−ｍ−クレゾール・４−クロロ−３，５−キシレノール・５−メチル−２−（１−メチルエチル）−フ
エノール（通称：チモール）が挙げられる。

防カビ剤は１種に限ることなく、２種以上を組
合わせて使用してもよい。特にカビの種類によつ
て薬効が異なるので２種以上組合わせると幅広い
抗菌スペクトルが得られる。また、蒸気圧の異な
る薬剤を組合せて初期は蒸気圧の高い薬剤で効果
を出させ、その後は蒸気圧の低い薬剤で効果を長
続きさせてもよい。

防カビ剤の塗膜層２における含有量は、一概に
言えないが、塗膜層２を基準にして一般に0.01〜
50重量％である。

以下、実施例により本考案を具体的に説明する
が、本考案はこれに限定されるものではない。

（実施例１）厚さ50μのポリエステル・シート（ベースシー
ト１）の表面に、前記α−ブロムシンナムアルデ
ヒドを添加した溶剤型合成黒色インキをカレンダ
ー法により塗布し、乾燥させて厚さ20μの塗膜層
２を形成させた。

この塗膜層２は、１cm²当たり0.001ｇのα−ブ
ロムシンナムアルデヒドを含有している。

次に支持体シート１の裏面に、溶剤に溶かした
アクリル系感圧接着剤を塗布し、乾燥させて厚さ
約25〜50μの感圧接着剤層３を形成した。なお、
場合によつては、感圧接着剤層３は、単に市販の
両面粘着テープを張りつけて形成してもよい。

さらに接着剤層３の上に市販のシリコーン系剥
離紙４を貼り付けることにより、本実施例の防カ
ビシートを作製した。

この防カビシートを、１cm角の正方形に切り出
した後、剥離紙４を剥した後、それを容積100ml
のアクリル樹脂製容器のフタの内側に手で押しつ
けた。すると、防カビシートは十分にフタに接着
して再び剥がれることはなかつた。

他方、１cm角の正方形のゼラチン膜を用意し、
これに Aspergillus vitricolae Strain Gi−４
（Synonym：Aspergillus penicilloides IFO
8155）並びにEurotium tonophilum IFO 6529の
分生子及び胞子を接種した後、上記容器に入れて
フタをし、この容器を25℃、90％R.H.の状態に
１ヶ月間保持した。

その後、フタを開いて、接種した分生子及び胞
子を観察したが、全く発芽していなかつた。

それに対して、防カビシートを貼付しないで同
様に接種したゼラチン膜では、カビが膜全体に蔓
延していた。

２のガラス製デシケータの底面に手で押しつ
けると、十分に接着して再び剥がれることはなか
つた。

（実施例２） α−ブロムシンナムアルデヒドの代わりに、(1)
チモール、(2)４−クロロ−ｍ−クレゾール、(3)４
−クロロ−３，５−キシレノールをそれぞれ使用
して、実施例１と同様にして防カビシートを３種
作製した。

これらの防カビシートについて、実施例１と同
様に試験したところ、ほぼ同様な顕著な防カビ効
果が確認された。

（実施例３）実施例１の防カビシートの塗膜層２の上にガス
透過性のフイルム５として厚さ10μのポリエチレ
ンフイルムをラミネートすることにより、新たな
防カビシートを作製した。

この防カビシートでは、塗膜層２の上にフイル
ム５があるので、イ塗膜層２中の防カビ剤が直接
に人体や他の物品、製品に触れることがなくな
り、その結果、人体や他の物品、製品への悪影響
が少なくなり、またロ防カビ剤がフイルム５を通
して蒸散するので、徐放性が高まり、効果が長続
きすることになる。

（実施例４）防カビ剤として、チモールを使用するほかは、
実施例１と全く同様にして防カビシートを作製し
た。

この防カビシートを適当な大きさに切断した
後、剥離紙４を剥がして、容積１のフタ付きガ
ラスケースの天井に貼り付けた。

そして、実施例１の供試菌株の分性子及び胞子
を接種したカメラの皮革ケースを入れ、フタを閉
じ、このガラスケースの内部を25℃、95％R.H.
の雰囲気に３ヶ月間保持した。

しかしながら、カビは接種個所にも何処にも全
く認められなかつた。

それに対して、防カビシートを貼付しないで同
様に接種した皮革ケースを入れたガラスケースで
は、接種個所及びその周辺に多量のカビが蔓延し
ていた。

（考案の効果）以上のとおり、本考案によれば、防カビ剤がシ
ート状になつており、そこから蒸散性防カビ剤が
徐々に蒸散して、その周囲の空間を防カビ性雰囲
気にすることができ、しかも、シート状なので小
さい空間や狭い空間にも配置することができ、そ
の上、裏面に感圧接着剤層が設けられているの
で、剥離紙を剥がして、手で押しつけるだけで、
どんな場所にも極く手軽に固定することができ
る。

また、防カビ剤が塗膜中に封じ込めてあるので
安全性、徐放性が高い。

製造時に熱をかけないので、熱で蒸発しやすい
性質の防カビ剤が蒸発しないため所望の濃度の防
カビシートが得られる。濃度が高いため防カビ効
果が持続し長持ちする。

また溶剤型合成黒色インキに蒸散性防カビ剤を
含ませたものを使用しているため黒色をしている
が、光学製品防カビシートに用いたとき次の利点
がある。

光学機器の内部に配置しても、結像した像にフ
レヤーやゴーストが生じ、像の鮮鋭度が劣化する
という問題点がない。

また、配置前の取り扱う段階で、外観が黒色で
あることから異様な感じがするので、人が薬と間
違えて飲食に及ぶという危険がない。

さらに、光学機器の内部に配置する際に手で取
り扱うことから、防カビ剤の表面に手垢がつき、
そこに光学機器よりも先にカビが生えるが、その
場合、防カビ剤が黒色を呈しているので、カビが
見え易く、そのため防カビ剤の失効、交換の時期
を容易に知り得るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、実施例１にかかる防カビシートの概
略縦断面図である。主要部分の符号の説明、１……支持体シート、
２……防カビ剤を含有する塗膜槽、３……感圧接
着剤層、４……剥離紙。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】支持体シート１、その表面に形成された蒸散性
防カビ剤を含有する塗膜層２、前記シート１の裏
面に形成された感圧接着剤層３、さらにその下面
に形成された剥離紙４の少なくとも４層から成る
光学製品用防カビシートにおいて、前記塗膜層２が、溶剤型合成黒色インキに蒸散
性防カビ剤を含ませたものを塗布した後、該溶剤
を蒸発させることにより形成されたものから成る
ことを特徴とする、光学製品防カビシート。