JPH0430102B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、ベースに回転自在に支持された回転
軸に、多数積層されたデイスク円板を備えたハブ
を固定してなる磁気デイスク装置に関し、特にそ
の回転体の機構に関するものである。

〔従来技術〕

小形高密度磁気デイスク装置の回転体機構は第
１図に示すような球軸受で剛に支持される構造で
ある。即ち、回転軸１は２箇所の球軸受２を介し
てベース３に支持される立形回転機械である。回
転軸１と一体に締結されているプーリ４は図示さ
れていないがモータなどの駆動源とベルト等によ
つて連絡され、この回転軸１はこの駆動源によつ
て回転される。

一方、回転軸１にはハブ５が強固に締結されて
いる。ハブ５上はデイスク・円板６が多層に重ね
られ、この例では13枚である。このデイスク円板
６は押え円板７を座としてナツト８によつてハブ
ブ上５に固定されるので、プーリ４、回転軸１、
ハブ５そしてデイスク円板６は一体で回転する回
転体である。

ところでデイスク円板６に書き込まれた情報は
アクセス機構系に取り付けられているスライダ
（図示せず）によつて読みとられる。この読みと
り動作中に、デイスク円板６の面外振動及び回転
軸１の横振動が発生すると、アクセススライダの
位置決め動作が乱調になり、読みとりエラーが発
生する。このため、回転体の振動は例え数ミンク
ロンのオーダであれ、避けなければならない。

一般に磁気デイスク装置に使われている玉軸受
は高精度のものが選ばれていて、理想的には玉の
回転による衝撃が発生しないように細心の注意が
払われている。しかし実際には玉軸受の外輪ある
いは内輪の傷、玉の不揃い、転動面の円形からの
偏平形への変形などが避けられない。このため衝
撃力が発生し、回転体機構系の振動源となり、ひ
いては読みとりエラーの原因となる。

玉軸受の玉は公転スピードω_hは回転軸の回転
スピードωの約40％である。よつて公転スピード
ω_hは式(1)で表わされる。

ω_h≒0.4ω ……(1) 例えば、外輪転動面の一箇所が偏よつている場
合、回転軸には式(2)で表わされる周波数ω_pの強
制力が主に作用する。

ω_p＝ω_hＮ＝0.4Nω ……(2) ただし Ｎ＝玉の数 また、内輪転動面の一箇所が偏よつている場合
には、ボールと回転軸の相対スピードω_rが式(3)
で表わされるから、回転軸には式(4)で表わされる
周波数ω_iの強制力が作用する。

ω_r＝ω−ω_h＝0.6ω ……(3) ω_i＝ω_rＮ±ω＝（0.6N±１）ω ……(4) ちなみに通常の回転力の回転スピードωおよび
玉軸受の玉の数Ｎの値は、ω＝3600rpm＝60Hz、
Ｎ＝９であるから、これらの値を上記の式(2)、式
(4)に代入すると、式(2)と式(4)から式(5)、式(6)で表
わされる周波数の強制力が回転軸に作用すること
がわかる。

ω_p＝216Hz ……(5) ω_i＝384Hz、246Hz ……(6) 回転体機構系の固有振動数は回転数60Hzに比べ
高くなるように設計されており、不釣合力などに
よつて共振しないようになつている。ところが式
(5)、式(6)に示すような玉軸受によつて発生する周
波数よりもさらに高くすることは非常に難しく、
玉軸受からの強制力によつて回転体機構系が共振
することがある。このような共振時には著しい読
みとりエラーが発生する。

このように玉軸受を組み込んだ回転体機構系で
は共振に近い状態となり、振動が発生し、磁気デ
イスクの基本性能である読みとり性能が劣下する
問題があつた。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、低振動形の回転体機構を有す
る磁気デイスク装置を提供することにある。

〔発明の概要〕 本発明の特徴は、ベースと、該ベースに回転自
在に支持された回転軸と、多数積層されたデイス
ク円板とを備えた磁気デイスク装置において、前
記磁気デイスクが固定されたコマ形構造のハブ及
びモータロータが前記回転軸に一体に結合固定さ
れることによつて構成された回転体を該回転体の
下部にて移動可能な受け皿をもち、潤滑油が満た
されたピポツト軸受にて支持し、前記ベースと前
記ハブの端面との間に前記回転体の転倒を防止す
るための磁気軸受を設け、前記回転体のスラスト
方向の荷重を前記ピポツト軸を介して転動ボール
によつて支持し、前記回転軸の振動変位を前記ピ
ポツト軸受を介して求心ばねによつて回転中心位
置に復元することにある。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の一実施例を第２図により説明す
る。

回転軸１はモータロータ９と一体構造となる。
また回転軸１とハブ５は締結されており、ハブ５
にはデイスク円板６が多層に重ね合せた状態にお
いて押え円板７を座としてナツト８によつて固定
されている。さらにモータステータ１０はベース
３に固定される構造である。また回転軸１の下部
はピポツト形軸受１１の構造を成す。ピポツト軸
受１１はラジアル軸受とスラスト軸受の両機能を
兼ね備えた軸受である。回転体重量などのスラス
ト方向の荷重はピポツト軸受１１を介して転動ボ
ール１２によつて支持されている。転動ボール１
２においてはスラスト方向の荷重を支えるのみ
で、ラジアル方向の運動は自由で拘束されること
ない。

そこでラジアル方向への回転軸１の振動変位
は、ピポツト軸受１１を介して求心ばね１３によ
つて回転中心位置に復元される。ピポツト軸受１
１全体には潤滑油１４がみたされているので、ス
クイズ油膜１４の構造において減衰機能をとり入
れることができる。この油膜１４による減衰力は
回転体の振動を押えることに大いに役立つ。

本発明の磁気デイスク装置における回転体機構
系はピポツト軸受１１を回転中心の着地点とする
コマ（またはカサ）形構造で、転倒を防止するた
めにベース３とハブ５の端面５ａとの間に磁気軸
受１５が設けられる。この磁気軸受１５の対面す
る両極において反撥形の力が作用するように設置
すると、ある方向に回転体が傾いた時には、磁気
軸受１５によつて傾きを起こそうとする復元力が
作用する。このようにして磁気軸受１５は傾き振
動防止の求心装置の役割を果す。

以上の構造において、モータに電流が流れると
回転駆動力が与えられるので、回転体機構系はコ
マ形で回転する。そして回転体の振動変位は下部
のピポツト軸受１１及び求心ばね１３ならびに上
部の磁気軸受１５によつてセンタリングされ、し
かも振動は下部のスクイズ油膜１４や磁気軸受１
５内の減衰力によつて小さく押えられる。従つて
回転体機構系は安定な低振動の回転が可能とな
り、磁気デイスクの読みとり性能を向上できる。

更に上記のような構造では回転軸とモータが一
体の軸上の構造となり、従来のようにプーリを用
いた駆動伝導機構を必要とせず、構造が簡略化さ
れる。また玉軸受を排し、磁気軸受構造なので、
回転数の数倍レベルの高周波の強制力が発生せ
ず、回転軸の振動は小さくなり、またピポツト軸
受の潤滑油を使いることによつて油膜減衰機構が
可能で、振動をさらに低下させることができる。
また、コマ形で回転体が振動するので、磁気軸受
の設置半径を大きくとることができ、傾きを防止
する復元力がより大きくなり、より安定な低振動
化ができる。また、磁気デイスクのバツク交換が
可能となる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、回転体
機構系の安定した低振動化を図ることができ、磁
気デイスクの読みとり性能を大幅に向上すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁気デイスク装置における回転
体機構系を説明する断面図、第２図は本発明の磁
気デイスク装置の回転体機構系を説明する断面図
である。 １……回転軸、３……ベース、５……ハブ、６
……デイスク円板、９……モータロータ、１０…
…モータスデータ、１１……ピポツト軸受、１２
……転動ボール、１３……求心ばね、１４……潤
滑油、１５……磁気軸受。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベースと、該ベースに回転自在に支持された
   回転軸と、多数積層されたデイスク円板とを備え
   た磁気デイスク装置において、前記磁気デイスク
   が固定されたコマ形構造のハブ及びモータロータ
   が前記回転軸に一体に結合固定されることによつ
   て構成された回転体を該回転体の下部にて移動可
   能な受け皿をもち、潤滑油が満たされたピポツト
   軸受にて支持し、前記ベースと前記ハブの端面と
   の間に前記回転体の転倒を防止するための磁気軸
   受を設け、前記回転体のスラスト方向の荷重を前
   記ピポツト軸を介して転動ボールによつて支持
   し、前記回転軸の振動変位を前記ピポツト軸受を
   介して求心ばねによつて回転中心位置に復元する
   ことを特徴とする磁気デイスク装置。