JPH04301005A - 粉末射出成形用バインダおよびコンパウンド - Google Patents

粉末射出成形用バインダおよびコンパウンド

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JPH04301005A
JPH04301005A JP6494891A JP6494891A JPH04301005A JP H04301005 A JPH04301005 A JP H04301005A JP 6494891 A JP6494891 A JP 6494891A JP 6494891 A JP6494891 A JP 6494891A JP H04301005 A JPH04301005 A JP H04301005A
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boiling point
thermoplastic resin
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Sadakimi Kiyota
清 田 禎 公
Hiroshi Otsubo
大 坪  宏
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末射出成形を利用し
て製造する焼結材料の副原料および原料に関するもので
、より詳細には、副原料となるバインダおよびそれを使
用した原料コンパウンドに関する。
【0002】
【従来の技術】焼結材料の製造方法として射出成形を利
用する方法は、複雑な形状をした金属、セラミックスな
どの部品製造に好適である。この製造方法自体は、公知
のものであり、米国特許第2939199号などに記述
されている。
【0003】ところで、高い付加価値を持つ高精度の部
品を低コストで製造するために、優れた性能を持つバイ
ンダが要求される。通常、バインダの性能は、射出成形
性と脱脂性とで評価される。射出成形性は、低粘度のバ
インダを使用することで改良できる。一方、脱脂性の改
良、より具体的には、脱脂中に発生するガスによる処理
品の変形を抑制しながら、除去に要する時間を短縮する
ためには、種々の工夫を必要とする。
【0004】従来においては、バインダは2種以上の成
分により構成されていた。これらの構成成分は熱可塑性
樹脂成分と容易に除去しうる添加成分とに大別できる。 熱可塑性樹脂は、金属粉末の射出成形機による成形を助
け、プラスチックのように自在な成形を可能にする。さ
らに、容易に除去しうる添加成分は、多種にわたるが、
脱脂性の改良を達成している。一般的な加熱脱脂を行う
場合には、容易に除去しうる添加成分として、熱可塑性
樹脂よりも沸点の十分に低い低分子化合物を使用する。 この低沸点成分は、熱可塑性樹脂の除去できない低温で
除去でき、熱可塑性樹脂のみを使用するよりも脱脂時間
を短縮する効果がある。
【0005】また、米国特許4,765,950号では
、容易に除去できる添加成分として、有機溶媒に可溶の
成分を利用し、この成分を溶媒中で除去することで高い
脱脂性を確保している。また、米国特許第422534
5号では、易除去成分として、加熱で容易に流出除去で
きるワックスを添加したり、昇華性の樟脳などを使用す
ることで、加熱による脱脂を効率よく行えることを開示
している。ところが、前者の方法では、有害な有機溶媒
を使用する必要があり、安全衛生上の管理コストがかさ
むなどの問題がある。一方、後者の方法においては、前
者の方法ほどには効率よく脱脂を行えない点に問題があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の実情に鑑みて、
本発明は、加熱のみの脱脂によって、有機溶媒を利用す
る方法に匹敵する効率で脱脂できる粉末射出成形用バイ
ンダおよびコンパウンドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては、本発
明の目的達成のために、2種以上の熱可塑性樹脂および
少なくとも1種の低沸点成分より構成されるバインダで
あって、前記低沸点成分が前記熱可塑性樹脂の一方に相
溶し、他方に相溶しないバインダを使用する。そして、
低沸点成分の配合率は、全バインダ量の15wt%以上
70wt%以下であることが好ましい。
【0008】また、本発明の粉末射出成形用コンパウン
ドにおいて、無機材料粉末とバインダ組成物との体積比
は3:7〜7:3の範囲内にある。そして、無機材料粉
末が平均粒径20μm以下の金属粉末であることが好ま
しい。
【0009】
【作用】以下、本発明の粉末射出成形用バインダおよび
コンパウンドの作用について、順次説明する。
【0010】本発明の射出成形用のバインダにおいては
、2種以上の熱可塑性樹脂および1種以上の低沸点成分
より構成する必要がある。
【0011】熱可塑性樹脂を使用するのは、無機材料粉
末に熱可塑性を付与し、プラスチックのように、種々の
形状を自在に射出成形することを可能とするためである
。熱可塑性樹脂を使用しなければ、射出成形の自由度は
制限され、得られる成形体の強度の低いものとなり、使
用にたえないものとなる。したがって、バインダの主成
分の一つとして、必ず、熱可塑性樹脂を使用しなければ
ならない。
【0012】低沸点成分を添加するのは、加熱による脱
脂の際に、熱可塑性樹脂と比較して低温で除去できるか
らである。
【0013】脱脂時の成形体の変形は、成形体の脱脂時
に履歴する粘度と密接に関連するものであり、この成形
体粘度を脱脂過程の全般に渡って高く維持することで、
健全な、変形の無い脱脂体が得られることを、本発明者
らは詳細な研究によって知った。成形体の粘度は、脱脂
の進行にともなうバインダの除去率(除去されたバイン
ダ重量を添加したバインダ重量で除した値)が高いほど
、また、成形体の温度が低いほど、高い値を示す。
【0014】さらに、バインダ除去率を15%程度以上
にすることで、成形体温度に関係なく、成形体の変形の
無い程度まで成形体粘度を高められることを知った。す
なわち、粘度の高い低温でバインダを除去し、その後、
バインダ除去に起因する粘度増加分だけ昇温し、バイン
ダ除去の速度を高める(一般に、バインダ成分の蒸気圧
の高い高温ほど効率的にバインダを加熱除去できる)方
法で、変形のない脱脂体を短時間で製造できることを知
った。
【0015】バインダ成分の観点からは、熱可塑性樹脂
と比較して低温で除去できる低沸点成分を添加しなけれ
ば、成形体粘度の高い低温で、熱可塑性樹脂を除去する
ことが必要となる。しかし、低温では、熱可塑性樹脂の
蒸気圧は非常に低く、その熱分解性も低いため、熱可塑
性樹脂の除去には著しく長時間を必要とする。したがっ
て、熱可塑性樹脂と比較して低温で除去できる低沸点成
分を添加することが必要である。
【0016】また、脱脂時に成形体温度に関係なく、成
形体の変形の無い程度まで成形体粘度を高められるバイ
ンダ除去率である15%程度を効率よく達成するために
、低沸点成分の添加率は、全バインダ重量の15wt%
以上であることが好ましい。ただし、低沸点成分の増量
は、成形体の強度を低下させたり、射出成形性を阻害す
ることが多いので、低沸点成分の添加率は脱脂効率の許
容する範囲において少ないほどすなわち70wt%以下
が好ましい。以上の理由により、低沸点成分の添加率は
、全バインダ重量の15wt%以上で70wt%以下の
範囲とした。
【0017】さらに、前記低沸点成分と前記熱可塑性樹
脂の組合せにおいては、1種の低沸点成分に対して、相
溶する熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂の2種以
上の熱可塑性樹脂を添加することが必要である。
【0018】低沸点成分と相溶する熱可塑性樹脂は、低
沸点成分と均一化された混和物を形成する。低沸点成分
と相溶性のない熱可塑性樹脂のみを使用した場合、低沸
点成分と熱可塑性樹脂とを混合したときに相分離が起こ
り、低沸点成分は熱可塑性樹脂より浸出してしまう。そ
の結果、コンパウンドの流動性などの特性に変化が生じ
、安定的な射出成形が行えなくなってしまう。また、射
出成形時に低沸点成分と熱可塑性樹脂とが分離してしま
う場合もある。したがって、低沸点成分と相溶する熱可
塑性樹脂を1種以上使用する必要がある。
【0019】一方、低沸点成分と相溶しない熱可塑性樹
脂は、低沸点成分の除去能率を改良する効果がある。
【0020】熱可塑性樹脂に相溶した低沸点成分の蒸気
圧は、低沸点成分が単独に純粋状態で存在する場合の蒸
気圧に比較して低く、熱可塑性樹脂と低沸点成分の混和
物中での低沸点成分の濃度に正比例する。ただし、低沸
点成分の低濃度域においては、その蒸気圧は、比例関係
よりもさらに低い値となる。実際の脱脂の際には、一定
温度で保持した場合、低沸点成分の蒸気圧は、脱脂の進
行にともなう低沸点成分濃度の低下に比例して低くなり
、さらに、低沸点成分濃度がある一定値を下回ると急激
に低下する。低沸点成分の除去される速度も、低沸点成
分濃度の低下に比例して低下し、さらに低沸点成分濃度
がある一定値を下回ると急激に低下する。言い換えると
、添加した低沸点成分の一部は容易に除去できず、低沸
点成分の添加量に対する容易に除去できない部分の割合
は、相溶性のある熱可塑性樹脂中の低沸点成分の濃度が
高いほど低い値となる。
【0021】低沸点成分の全バインダ添加量に対する割
合を一定にしたまま、低沸点成分と相溶する熱可塑性樹
脂の一部を低沸点成分と相溶しない熱可塑性樹脂に置き
換えると、低沸点成分は相溶する熱可塑性樹脂中のみに
存在するため、相溶性のある熱可塑性樹脂中の低沸点成
分の濃度を高くすることができる。このように、低沸点
成分の添加量に対する容易に除去できない部分の割合を
低下させるために、低沸点成分と相溶しない熱可塑性樹
脂の添加が必要である。
【0022】また、低沸点成分と相溶しない熱可塑性樹
脂は、低沸点成分とそれと相溶する熱可塑性樹脂とは、
完全に均一な混合物(原子・分子ミクロに見て)とはな
らないものの、一旦混合した後は、熱可塑性樹脂が高分
子で拡散しにくいため分離するようなことはなく、これ
らの3成分の混合物はあたかも均質な材料(分子集団程
度のミクロに見て)として取り扱え、これによって製造
したコンパウンドの射出成形性も良好なものである。
【0023】以上、本発明の作用について説明した。以
下、より具体的に本発明の好ましい形態について説明す
る。
【0024】まず、本発明に使用する無機材料粉末は、
金属、セラミックおよびサーメット類の粉末のいずれで
もよく、例えば、アトマイズ法、還元法、カルボニル法
によって得られる合金あるいは金属元素、およびセラミ
ック粉末、サーメット類の粉末であり、必要に応じて、
これらの粉末を分級、混合することによって容易に使用
できる。ただし、還元法、カルボニル法、粉砕法によっ
て製造しうる粉末組成はかなり限定されるため、アトマ
イズ法が応用範囲が広い。また、金属粉末が工業的に適
用が広範で好ましい。
【0025】また、これらの粉末の平均粒径は、20μ
m以下のものが射出成形容易であり、7〜14μm程度
のものが、焼結体の密度が高いこと等、優れた焼結体特
性が得られるので好ましい。
【0026】適用できる組成系は、ステンレス、純鉄、
Fe−Si、Fe−Co、Fe−Ni等の金属系、およ
び、Si−C、Si−N、Si−O、Ti−Cなどのセ
ラミック系の構造材料あるいは磁性材料用などの広範囲
にわたって適用できる。
【0027】成形体を射出成形で作製するには、上記の
無機材料粉末に本発明のバインダを添加、混合、混練す
ることによって本発明の射出成形用コンパウンドを用意
する。本発明の粉末射出成形用コンパウンドにおいて、
無機材料粉末と上記バインダとの体積比は3:7〜7:
3の範囲内にするのがよい。この体積比をはずれて粉末
が過剰の場合は、射出成形するのに十分低い粘度をもつ
コンパインドが得られない。一方、この体積比をはずれ
てバインダが過剰の場合は、射出成形体を脱脂する際に
変形を防止することができなくなるからである。
【0028】本発明のバインダ構成成分は、前述したよ
うに、熱可塑性樹脂と低沸点成分の2種より、それらの
相溶性を考慮して、1種の低沸点成分に対して、相溶す
る熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂の2種以上の
熱可塑性樹脂を選択する。したがって、低沸点成分の選
択によっては、1種の熱可塑性樹脂を、相溶性のある熱
可塑性樹脂としても、相溶性のない熱可塑性樹脂として
も、あるいは双方としても選択できる。
【0029】使用できる低沸点成分としては、プラスチ
ック添加剤として一般に使用される可塑剤や滑剤より、
成形および脱脂時の蒸気圧を考慮して選択できる。具体
的には、リン酸トリ−2−エチルヘキシルなどのリン酸
エステル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フ
タル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステル
類、および、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル
などの脂肪酸誘導体などに代表される可塑剤が使用でき
る。また、パラフィンワックス、マイクロクリスタリン
ワックス、鉱油などの炭化水素、ステアリン酸アミド、
メチレン−ビス−ステアラアミドなどの脂肪酸アミド、
ステアリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウムなどの金属石鹸などに代表される滑剤
が使用できる。
【0030】また、使用できる熱可塑性樹脂は、ポリア
クリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリス
チレン系、ポリビニル系、セルロース系等、あるいは、
それらの共重合体より選択できる。
【0031】これらの低沸点成分と熱可塑性樹脂との組
合せについては、公知の相溶性に関する文献を参考に決
定できる。また、相溶性の尺度として溶解性パラメータ
などの値も参考にできる。もちろん、実際に混合を行い
相溶性を調べることも容易である。また、ここでいう相
溶性の有無については、複数の熱可塑性樹脂に対する相
対的なものであり、非常に相溶性に優れる熱可塑性樹脂
を採用した場合、多少の溶解性のある熱可塑性樹脂も相
溶性のない樹脂として選択できる。好ましい組み合わせ
は、これらの予備知識をもとに、実際にバインダあるい
はそれを利用したコンパウンドを作製するという試行実
験で容易に決定できる。
【0032】好ましい例としては、低沸点成分として可
塑剤のアジピン酸ジ−2−エチルヘキシルを選択した場
合には、相溶性のある熱可塑性樹脂としてポリスチレン
、エチルセルロース樹脂などが選択でき、相溶性のない
熱可塑性樹脂としてポリメタクリル酸エステル、ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルブチラール等が使用できる。フタ
ル酸ジ−n−オクチルに対しては、相溶性のある熱可塑
性樹脂としてポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン
、ポリビニルブチラール等が選択でき、相溶性のない熱
可塑性樹脂として、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどが使用できる。
【0033】また、本発明のバインダの構成成分である
、低沸点成分、低沸点成分に相溶する熱可塑性樹脂およ
び相溶しない熱可塑性樹脂の3種以外に、バインダの特
性を改善するために他の成分を添加することは全く差し
支えない。例えば、使用した樹脂の双方に同程度の相溶
性をもつ滑剤(例えば、ワックスや金属石鹸)を射出成
形性の改善のために利用することができる。すなわち、
本発明に限定する最低3種の構成成分以外に添加する成
分は、本発明の効果を少し、減少させることがあっても
別の利益がある限りは添加してもかまわない。
【0034】原料粉末とバインダは、加圧ニーダや2軸
押し出し機などによって混練できる。こうして調整した
射出成形用コンパウンドは、必要に応じてペレタイザー
、粉砕機などによって造粒する。
【0035】ついで、得られた射出成形用コンパウンド
を射出成形して成形体を作製する。射出成形は、通常の
プラスチック用射出成形機が使用できる。この際、射出
成形圧力は500〜2500kgf/cm2 程度、射
出成形機のシリンダ温度は100〜250℃程度である
。 金型温度は、10〜50℃程度である。
【0036】得られた射出成形体は、加熱炉中、公知の
方法で脱脂する。加熱炉内の雰囲気は、大気、窒素やア
ルゴンなどの不活性ガス、水素などの還元性ガスや真空
が利用できる。脱脂体の形状を左右する200℃程度未
満の低温では、バインダ除去を促進するために、真空雰
囲気を利用するのが好ましい。さらに好ましくは、真空
排気しながら不活性ガス等を導入する方法が好ましい。 バインダを除去しながら、400〜800℃まで昇温し
、必要に応じて保持を行い脱脂を完了する。この際の昇
温速度は、通常、10℃/時間〜10℃/分程度である
【0037】こうして得られた脱脂体は、公知の方法に
よって焼結する。
【0038】
【実施例】以下、実施例にしたがい本発明を具体的に説
明する。
【0039】(実施例1)平均粒径8.5μmのSUS
316組成の水アトマイズ粉末を用意し、本発明のバイ
ンダを正確に11.0重量%(粉末重量を100%とす
る)添加、混練して、本発明のコンパウンドを得た。こ
のコンパウンドの粉末とバインダとの体積比は概略、5
3:47である。本発明のバインダ構成成分は、低沸点
成分として、リン酸トリクレシルを全バインダに対して
30wt%使用し、低沸点成分に相溶する熱可塑性樹脂
として、ポリスチレンを全バインダに対して40wt%
使用し、低沸点成分に相溶しない熱可塑性樹脂として、
ポリメタクリル酸メチルを全バインダに対して30wt
%使用した(発明例1)。また、バインダ構成のみを変
更して比較用のコンパウンドを2種類作製した。1種は
、リン酸トリクレシルを全バインダに対して30wt%
使用し、残部を相溶性のポリスチレンとしたもの(比較
例1)であり、もう1種は、リン酸トリクレシルを全バ
インダに対して30wt%使用し、残部を非相溶性のポ
リメタクリル酸メチルとしたもの(比較例2)である。
【0040】これら3種のコンパウンドを使用して、2
5×10×2mmの試験片の射出成形を試みた。この際
、射出成形圧力は2500kgf/cm2 、射出成形
機のシリンダ温度は195℃、金型温度は25℃程度に
統一した。
【0041】本発明のコンパウンド(発明例1)および
比較用のコンパウンドの1種(比較例1)によって健全
な成形体を連続的に2000ショット成形できた。しか
し、もう1種の比較用のコンパウンドの1種(比較例2
)によっては、射出時間(金型ヘコンパウンドを充填す
るのに要する時間)が大きくバラツキ、場合によっては
、シヨート・ショットとなったり、バリがでたりし、全
く安定的に成形ができなかった。これらのコンパウンド
が異なると、射出成形性に違いがでるのは、コンパウン
ド中の低沸点成分と熱可塑性樹脂との均一性に違いがあ
るためである。発明例1および比較例1のコンパウンド
には低沸点成分を相溶する熱可塑性樹脂を含むため均一
性に優れるものの、比較例2のコンパウンドには低沸点
成分を相溶する熱可塑性樹脂を含まないため射出成形時
に分離がおこり安定成形ができなかったものと推定でき
る。
【0042】得られた射出成形体を真空乾燥機によって
、脱脂をおこなった。真空排気後、設定温度90℃まで
昇温の後、4時間保持して、成形体の重量よりバインダ
の除去率を測定した。その結果、発明例1および比較例
1、2のコンパウンドのバインダ除去率は、各々、24
、14および26%であった。すなわち、低沸点成分を
高濃度で相溶している(低沸点成分を相溶しない熱可塑
性樹脂の効果)本発明のコンパウンド(発明例1)や低
沸点成分を相溶する熱可塑性樹脂を含まない比較用のコ
ンパウンド(比較例2)においては、低沸点成分の蒸気
圧が高く、効率良く脱脂を行うことができる。一方、低
沸点成分を相溶する熱可塑性樹脂のみを含む比較用のコ
ンパウンド(比較例1)においては、低沸点成分の蒸気
圧が低く、脱脂効率が低くなってしまうことが明確にな
った。
【0043】以上のように、低沸点成分、低沸点成分と
相溶しない熱可塑性樹脂、および、低沸点成分と相溶す
る熱可塑性樹脂の3種を含む本発明のバインダおよびコ
ンパウンドによってはじめて優れた射出成形性および能
率のよい脱脂性を提供できることが明らかになった。
【0044】(実施例2)実施例1と同一の粉末を使用
して、本発明のバインダおよび比較用のバインダの性能
を評価した。その結果を表1に示す。評価項目は、実施
例1と同様、射出成形時の安定性および低沸点成分の除
去率である。サンプル作製においては、表1に付記した
以外の条件については、実施例1と同様に行った。表1
に示す発明例および比較例においては、いづれの場合も
相溶性の熱可塑性樹脂を成分として使用したため、射出
成形性に問題はなかった。
【0045】発明例2−1〜3と比較例2−1との比較
から明らかなように、低沸点成分としてフタル酸ジブチ
ルを採用し、相溶性の熱可塑性樹脂としてポリスチレン
を採用する場合は、非相溶性の熱可塑性樹脂としてポリ
プロピレンを添加することでバインダ除去を高めること
ができ、ポリスチレンとポリプロピレンとの混合比率の
広い範囲にわたり効果的であることが判る。また、低沸
点成分と相溶性の熱可塑性樹脂と非相溶性の熱可塑性樹
脂との3種の成分は、各々、2種以上添加しても、バイ
ンダ除去に関する同様の効果が得られることは、発明例
2−4〜6より明らかで、広い範囲にわたる適用が期待
できる。また、本発明に必須の3成分以外に、使用され
た2種の熱可塑性樹脂に対する相溶性が同程度である成
分も使用でき、発明例2−7および8に、離型性や潤滑
性の改善のためにパフィンやステアリン酸亜鉛などを利
用した例を示した。いずれの場合も、高いバインダ除去
率を示し、脱脂性に優れることが判る。
【0046】また、加熱除去が困難な樹脂成分が多いた
め、最も好ましい例ではないが、低沸点成分が10%と
少ない場合についても、相溶性のある樹脂と相溶性のな
い樹脂とを混合することで(発明例2−9および10)
、相溶性のある樹脂のみを使用する(比較例2−2)よ
り一定条件でのバインダ除去率を高めることができた。 言い換えると、低沸点成分添加率に関係なく、樹脂成分
を相溶性のあるものと相溶性のないものの混合物より選
ぶことで、バインダとしての性能を改善できるものと言
える。
【0047】さらに、実施例2−1〜8の真空乾燥機で
脱脂した成形体は、そのバインダ除去率が18〜23%
であるので、さらに、窒素気流下、+3℃/分で580
℃まで昇温の後、また、発明例2−9、10のバインダ
除去率が7.8%の成形体については、+0.2℃/分
で580℃まで昇温の後、1時間保持することで脱脂を
完了した。脱脂体を、真空下、1100℃で1時間保持
の後、さらにアルゴン雰囲気中1335℃まで昇温の後
、2時間保持することで焼結を行った。得られた焼結体
は、形状、耐食性その他の特性において全く健全なもの
であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明においては、少なくとも2種以上
の熱可塑性樹脂および少なくとも1種以上の低沸点成分
より構成されるバインダであって、前記低沸点成分が前
記熱可塑性樹脂の一方に相溶し、他方に相溶しないバイ
ンダ組成物を粉末射出成形用バインダとして採用するこ
とで、加熱のみによる脱脂(特に、最も時間を所要する
脱脂初期)の効率を改良することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  粉末の射出成形用バインダであって、
    2種以上の熱可塑性樹脂および少なくとも1種の低沸点
    成分より構成され、前記低沸点成分が前記熱可塑性樹脂
    の1種に相溶し、他種に相溶しないことを特徴とするバ
    インダ。
  2. 【請求項2】  低沸点成分の配合率が、全バインダ量
    の15wt%以上70wt%以下である請求項1に記載
    のバインダ。
  3. 【請求項3】  無機材料粉末と請求項1または2に記
    載のバインダとの体積比が3:7〜7:3の範囲内にあ
    ることを特徴とする粉末射出成形用コンパウンド。
  4. 【請求項4】  無機材料粉末が平均粒径20μm以下
    の金属粉末である請求項3に記載の粉末射出成形用コン
    パウンド。
JP6494891A 1991-03-28 1991-03-28 粉末射出成形用バインダおよびコンパウンド Withdrawn JPH04301005A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017119592A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 太盛工業株式会社 粉体焼結成形体の製造方法、粉体焼結成形体用バインダ組成物及び焼結用成形材料

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JP2017119592A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 太盛工業株式会社 粉体焼結成形体の製造方法、粉体焼結成形体用バインダ組成物及び焼結用成形材料

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