JPH042903Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は船倉内などにばら積みされている粉粒
体を揚送するための粉粒体揚送装置に関する。

［従来技術］ 小麦等の穀物類は、船倉等に堆積して輸送され
る場合が多く、このため荷揚げの際にはこれらの
粉粒体を揚送する装置が不可欠となる。

従来、この種の装置として知られているものに
空気輸送式と、バケツトコンベアやケースコンベ
アを用いた機械式とがある。前者は、垂直輸送管
の先端に設けたノズルから粉粒体を吸込むもので
あるが、消費電力が極めて大きくなる欠点があ
る。

バケツトコンベアは，コンベアに複数のバケツ
トを整列させて粉粒体を順次引揚げる構造で、空
気輸送式に比べると消費電力が小さく、摩擦によ
る動力損失も小さい点で有利である。しかし、各
バケツトの取付間隔が大きく、また送り速度もあ
まり大きくできないため搬送能力を確保するため
に装置を大型化しなければならない。

ケースコンベアは垂直ケース内に掻き揚げ装置
を備えたチエーンを走らせて粉粒体を揚送するも
ので、各ケース内の充満率を大きくとれるための
揚送装置をコンパクトにできる利点がある。しか
し、流動性の大きな粉粒体に適用できない難点が
あり、加えてケースやチエーンの磨耗が激しく摩
擦による動力損失も大きくなる欠点がある。

この問題を解決するため、上下方向に周回する
フイン付きコンベアを設置すると共に、このコン
ベアの直下に粉粒体の掻き上げ用ロータの回転遠
心力により粉粒体をコンベアへ送り込む揚送装置
が本出願人により出願されている（特開昭60−
167830号）。

以下、第２図乃至第４図に従つて前記粉粒体揚
送装置（特開昭60−167830号）を例示して説明す
る。

第２図に示されるように、船倉１０内には粉粒
体１２がばら積みされている。揚送装置１４は上
下に配設した回転ドラム１６，１８間にヒレ付ベ
ルト２２を架設し、電動機２０を駆動して、上部
回転ドラム１６を回転させ、前記ヒレ付ベルト２
２を第２図反時計方向（第２図矢印方向）回りに
周回させる。前記ヒレ付ベルト２２の外側はケー
シング２４によつて覆われており、ケーシング２
４は上部に粉粒体１２は排出口２６、下部に粉粒
体１２の受入口２８を有している。

また、ケーシング２４の下部に設けられた受入
口２８の部分には、ロータ３０が配設されてい
る。このロータ３０の外周にはロータ３０の幅よ
りも軸方向（第４図左右方向）に張り出した複数
の羽根が設けられている。

前記ロータ３０を軸支するロータ軸３６はケー
シング２４などから適当な支持部材３８を介して
支持され、また適当な伝達手段４０により回転さ
れる。ロータ３０の周囲はケース４４で囲われて
いる。

第４図に示されるように、前記ケース４４の前
記ロータ軸３６と同軸上には側面開口４６が設け
られている。この側面開口４６はロータ軸３６を
中心としてロータ３０の外周、換言すば羽根３４
の内周に一致して円形状（第３図参照）に形成さ
れ、粉粒体１２を前記ケース４４内に取り込むた
めの粉粒体流入口として機能する。

この粉粒体揚送装置は、粉粒体１２を側面開口
４６から取り込むため、堆積する粉粒体１２と、
揚送される粉粒体１２との相互間に摩擦損失が発
生せず、消費電力が少ないという優れた効果を有
する。

しかしながら、上記粉粒体揚送装置は、前述し
た如くその構成上、ヒレ付ベルト２２の幅寸法が
大のとき、羽根３４の張出しも大となる。このた
め、側面開口４６から流入する粉粒体１２は羽根
３４の中間部（第４図のＡ点参照）に近づくほど
減少し、羽根３４の中間部は有効に活用されない
という問題がある。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上記問題点に鑑みなされたもので、羽
根に粉粒体を効率良く供給させて揚送能力を充分
発揮させることが可能な粉粒体揚送装置を提供す
ることを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案は、ロータを
分割し、各ロータの周囲をそれぞれケースで囲
み、このケースのロータの回転軸を軸支する側の
側壁部へ粉粒体の側圧によつてケース内へ流入す
る粉粒体を取り込む側面開口を設け、さらにこの
側面開口と対向するケースの側壁部へケースの間
から流入する粉粒体を取り込む補助開口を設け、
ロータ間に粉粒体を補助開口からケースへ導くス
クリユーを設けたことを特徴とする。

［作用］ 本考案の粉粒体揚送装置では、ヒレ付ベルト及
びロータは共に所定方向に回転するので、ロータ
の羽根間に流入した粉粒体は、羽根に掻き上げら
れ、羽根の回転で生じる遠心力により、上方へ放
出される。放出された粉粒体はヒレ付ベルトに受
け入れられ、揚送される。

また、粉粒体は分割されたロータ間へ侵入して
スクリユーの作用によりケースに形成された補助
開口からもケース内へ強制的に流入される。そし
て、各ロータの羽根間に流入した粉粒体は羽根に
掻き上げられ、羽根の回転で生じる遠心力により
ヒレ付ベルトへ供給される。

従つて、粉粒体は側面開口及び補助開口からケ
ース内に流入するので、ロータの羽根の全長を有
効に活用して粉粒体をヒレ付ベルトを導くことが
できる。

このように、粉粒体は側面開口からケース内に
流入されることは勿論、補助開口からはスクリユ
ーを介して強制的にケース内に流入されるので、
ロータの羽根の全長を有効に活用して粉粒体をヒ
レ付ベルトへ導くことができる。

［実施例］ 第１図には本考案に係る粉粒体揚送装置の実施
例が断面図で示されている。なお、図中第２図乃
至第４図と同一符号を付したものは、同一の構成
を示す。

ケーシング２４の下端には一対のケース４４
Ａ，４４Ｂが間隙ｇを有して取付けられ、これら
ケース４４Ａ，４４Ｂ内にはロータ３０Ａ，３０
Ｂが収納されている。各ロータ３０Ａ，３０Ｂは
共通回転軸５０によつて軸支されており、ロータ
３０Ａ，３０Ｂの外周には、ロータ３０Ａ，３０
Ｂの軸方向長さよりも軸方向（第１図左右方向）
に張り出した複数の羽根３４Ａ，３４Ｂがそれぞ
れ取り付けられている。

前記共通回転軸５０は、ケーシング２４の両脇
などから適宜の支持部材３８によつて支持され、
また、第１図の左端に示される適当な伝達手段４
０によつて回転される。この回転力は例えばヒレ
付ベルト２２の周回力を利用して得るか他の駆動
源を利用するようになつている。

前記ケース４４Ａ，４４Ｂには前記共通回転軸
５０と同軸上ケース４４Ａ，４４Ｂの幅方向（第
１図左右方向）外側に側面開口４６Ａ，４６Ｂが
形成さている。また、ケース４４Ａ，４４Ｂには
前記共通回転軸５０と同軸上でケース４４Ａ，４
４Ｂの幅方向（第１図左右方向）内側に補助開口
６０Ａ，６０Ｂが形成されている。前記側面開口
４６Ａ，４６Ｂ及び補助開口６０Ａ，６０Ｂは、
前記羽根３４Ａ，３４Ｂの内径とほぼ一致する直
径を有する円形状であり、粉粒体１２をケース４
４Ａ，４４Ｂ内に取り込むための開口として機能
する。

一方、前記共通回転軸５０の中間部でロータ３
０Ａとロータ３０Ｂとの間には、スクリユー６２
Ａ，６２Ｂが設けられている。スクリユー６２Ａ
の軸方向中間部は前記補助開口６０Ａと対応し、
スクリユー６２Ｂの軸方向中間部は前記補助開口
６０Ｂと対応している。

これらのスクリユー６２Ａ，６２Ｂは共通回転
軸５０と一緒に回転するが、螺進方向は互いに反
対に形成されており、共通回転軸５０が所定方向
（第１図の矢印Ａ方向）に回転した場合、スクリ
ユー６２Ａは第１図左方向へ螺進し、スクリユー
６２Ｂは第１図右方向へ螺進するようになつてい
る。

スクリユー６２Ａ，６２Ｂは外径は補助開口６
０Ａ，６０Ｂの開口径よりも若干小さく形成され
ている。従つて、この実施例ではケース４４Ａと
ケース４４Ｂの間の間隙ｇに位置している粉粒体
１２はスクリユー６２Ａ，６２Ｂによつて強制的
に補助開口６０Ａ，６０Ｂからケース４４Ａ，４
４Ｂ内へ流入されるようになつている。

前記ロータ３０Ａ，３０Ｂには、軸方向に貫通
する貫通穴６４Ａ，６４Ｂが周方向に複数個設け
られている。

次に第２図も参照して実施例の作用を説明す
る。

クレーン等に吊り上げられた粉粒体上揚送装置
をヒレ付ベルト２２、ロータ３０Ａ，３０Ｂを稼
働しながら粉粒体１２の層に突つ込むと、粉粒体
１２は側面開口４６Ａ，４６Ｂからケース４４
Ａ，４４Ｂ内に流入する。ヒレ付ベルト２２及び
ロータ３０Ａ，３０Ｂは共に所定方向に回転して
いるので、各ロータ３０Ａ，３０Ｂの羽根３４Ａ
間と、羽根３４Ｂ間に流入した粉粒体１２は、羽
根３４Ａ，３４Ｂに掻き上げられ、羽根３４Ａ，
３４Ｂの回転で生じる遠心力により、上方へ放出
される。放出された粉粒体１２はヒレ付ベルト２
２に受け入れられ、揚送される。

粉粒体揚送装置を粉粒体１２の層に突つ込む
と、粉粒体１２はケース４４Ａ，４４Ｂ間の間隙
ｇにも侵入する。この粉粒体１２は、スクリユー
６２Ａ，６２Ｂにより、強制的に補助開口６０
Ａ，６０Ｂからケース４４Ａ，４４Ｂ内へ取り込
まれる。そして、上記で説明したように、各ロー
タの羽根３４Ａ間と、羽根３４Ｂ間に流入した粉
粒体１２は羽根３４Ａ，３４Ｂに掻き上げられ、
羽根３４Ａ，３４Ｂの回転で生じる遠心力により
ヒレ付ベルト２２へ供給される。

従つて、外側の側面開口４６Ａ，４６Ｂからケ
ース４４Ａ，４４Ｂに粉粒体１２を流入させる
他、補助開口６０Ａ，６０Ｂからもスクリユー６
２Ａ，６２Ｂで強制的に粉粒体１２をケース４４
Ａ，４４Ｂへ流入させる。これにより、多量の粉
粒体１２を効率よくケース４４Ａ，４４Ｂ内に流
入させることができ、羽根３４Ａ，３４Ｂの全長
を有効に活用して粉粒体１２をヒレ付ベルト２２
側へ導くことができる。

なお、何らかの事情で前記間隙ｇから粉粒体１
２の侵入が無く、側面開口４６Ａ，４６Ｂから多
量の粉粒体１２が流入したとき、ケース４４Ａ，
４４Ｂ内で粉粒体１２はロータ３０Ａ，３０Ｂに
設けられた貫通穴６４Ａ，６４Ｂを通過して共通
回転軸５０の中央方向へ移動する。従つて、羽根
３４Ａ，３４Ｂの全長を有効に活用することがで
きる。

本実施例では前記スクリユー６２Ａ，６２Ｂが
回転するため、ケース４４Ａ，４４Ｂ内の粉粒体
１２が補助開口６０Ａ，６０Ｂを介して間隙ｇへ
こぼれ落ちることはない。また補助開口６０Ａ，
６０Ｂから外部へ出ようとしても直ちに押し戻さ
れることになる。このためケース４４Ａ，４４Ｂ
内に流入した粉粒体１２は確実にヒレ付ベルト２
２へ送り出される。

［考案の効果］ 以上述べたように本考案に係る粉粒体揚送装置
は、羽根を有効に使用することにより、ケース内
へ流入する粉粒体の揚送能力を高めるうことがで
きるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る粉粒体揚送装置の実施例
を示す縦断面図、第２図は従来試みられている粉
粒体揚送装置の概略構成を示す縦断面図、第３図
は第２図の下部構造を示す側面図、第４図は第３
図の−線矢視切断面図である。 １２……粉粒体、２２……ヒレ付ベルト、３０
Ａ……ロータ、３０Ｂ……ロータ、３４Ａ……羽
根、３４Ｂ……羽根、４４Ａ……ケース、４４Ｂ
……ケース、４６Ａ……側面開口、４６Ｂ……側
面開口、６０Ａ……補助開口、６０Ｂ……補助開
口、６２Ａ……スクリユー、６２Ｂ……スクリユ
ー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下方向に延在するヒレ付きコンベアの直下位
   置に、複数の羽根を備えたロータを配し、このロ
   ータの羽根間に取り込んだ粉粒体をロータの回転
   遠心力により、前記ヒレ付きコンベアに供給して
   粉粒体を揚送する粉粒体揚送装置において、前記
   ロータを分割し、各ロータの周囲をそれぞれケー
   スで囲み、このケースのロータの回転軸を軸支す
   る側の側壁部へ粉粒体の側圧によつてケース内へ
   流入する粉粒体を取り込む側面開口を設け、さら
   に側面開口と対向するケースの側壁部へケースの
   間から流入する粉粒体を取り込む補助開口を設
   け、前記ロータ間に粉粒体を補助開口からケース
   へ導くスクリユーを設けたことを特徴とする粉粒
   体揚送装置。