JPH04289144A - 高強度を有するアルミニウム熱交換器用Ａｌ合金フィン材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、高強度を有し、した
がってアルミニウム（Ａｌ）熱交換器の軽量化および小
型化に十分対応することができるＡｌ合金フィン材に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、一般に自動車のラジエータなどと
して用いられているＡｌ熱交換器の構造部材であるフィ
ン材には、強度、犠牲陽極効果、耐垂下性、および熱伝
導性が要求され、かつ製造に際しては熱間加工性も要求
されることから、これらの特性を具備した、例えば特公
昭６１−３６５７６号公報に記載される、Ｓｉ：０．１
〜０．９％、　　　　Ｚｒ：０．０２〜０．２％、Ｉｎ
：０．０１〜０．１％、を含有し、さらに必要に応じて
、Ｚｎ：０．１〜１．５％、　　　　　　Ｓｎ：０．０
２〜０．０７％、Ｍｎ：０．１〜０．５％、　　　　　
　Ｃｒ：０．０５〜０．３％、Ｍｇ：０．１〜０．７％
、　　　　　　Ｃｕ：０．０５〜０．５％、のうちの１
種または２種以上、を含有し、残りがＡｌと不可避不純
物からなる組成（以上重量％、以下％は重量％を示す）
を有するＡｌ合金はじめ、その他多くのＡｌ合金が用い
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一方、近年、Ａｌ熱交
換器にも、これの軽量化および小型化が強く望まれる傾
向にあり、これに伴ない、これの構造部材であるフィン
材の薄肉化は不可欠となるが、上記の従来Ａｌ合金はじ
め、その他のＡｌ合金は十分満足する強度を具備するも
のでないために、フィン材を薄肉化すると、Ａｌ熱交換
器の組立て時の真空ろう付けや実用時に変形を起し、同
じ構造部材である管材に対する接合性が低下し、熱交換
機能の低いものとなるなどの問題が発生するようになる
ことから、十分な薄肉化は困難なのが現状である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、Ａｌ熱交換器の構造部材である
フィン材の薄肉化を可能ならしめるべく研究を行なった
結果、Ａｌ熱交換器のフィン材を、Ｍｇ：１〜３％、　
　　　　　　　　　　　Ｚｎ：０．４〜３％、Ｆｅ：０
．１〜１％、　　　　　　　　Ｓｉ：０．２〜０．８％
、Ｚｒ：０．０５〜０．２％、　　Ｉｎ：０．００５〜
０．０５％、を含有し、さらに必要に応じて、Ｍｎ：０
．０５〜０．６％、を含有し、残りがＡｌと不可避不純
物からなる組成を有するＡｌ合金で構成すると、このＡ
ｌ合金は、一段と高い強度を有するので、フィン材を薄
肉化しても変形することなくフィン材機能を十分に発揮
し、さらに電気化学的に卑な電位をもつので、管材に対
する犠牲陽極効果も十分に発揮でき、これをよく防食し
、加えて良好な熱間加工性、耐垂下性、および熱伝導性
も具備するという研究結果を得たのである。

【０００５】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、フィン材を構成するＡｌ合金の
成分組成範囲を上記の通りに限定した理由を説明する。

【０００６】（ａ）ＭｇおよびＳｉ ＭｇおよびＳｉ成分には、ろう付け後に素地中に微細な
Ｍｇ２　Ｓｉ化合物として析出して、フィン材の強度を
著しく向上させる作用があるが、その含有量がＭｇ：１
％未満およびＳｉ：０．２％未満では所望の強度向上効
果が得られず、一方その含有量がＭｇにあっては３％を
越えると、耐垂下性および熱間加工性が低下し、かつＳ
ｉにあっては、０．８％を越えると耐垂下性が低下する
ばかりでなく、素地への固溶量が増大するようになり、
これに伴って導電性（熱伝導性）が低下するようになる
ことから、その含有量をそれぞれＭｇ：１〜３％、Ｓｉ
：０．２〜０．８％と定めた。

【０００７】（ｂ）Ｉｎ Ｉｎ成分には、素地に固溶して、フィン材を電気化学的
に卑にし、もって管材に対して十分な犠牲陽極効果を発
揮せしめる作用があるが、その含有量が０．００５％未
満では、孔食電位の低下が不十分で、所望の犠牲陽極効
果を発揮させることができず、一方その含有量が０．０
５％を越えると、電位が下がりすぎて自己腐食速度が大
きくなり、熱間加工性も低下するようになることから、
その含有量を０．００５〜０．０５％と定めた。

【０００８】（ｃ）Ｚｎ Ｚｎ成分には、Ｉｎ成分と同様に素地に固溶して、フィ
ン材を電気化学的に卑にし、犠牲陽極効果を発揮せしめ
る作用があるほか、Ｉｎの素地への固溶を促進して、熱
間加工性低下の原因となるＩｎ−Ｍｇ系化合物の形成を
抑制する作用があるが、その含有量が０．４％未満では
前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が３
％を越えると、電位が下がりすぎて自己腐食速度が大き
くなることから、その含有量を０．４〜３％と定めた。

【０００９】（ｄ）Ｆｅ Ｆｅ成分には、素地に微細均一に分散するＡｌ−Ｆｅ−
Ｓｉ化合物を形成してフィン材の強度および耐垂下性を
向上させ、さらにＭｎ含有量に対するＳｉ含有量が相対
的に多い場合には、Ａｌ−Ｆｅ−Ｓｉ化合物を形成して
Ｓｉの素地への固溶を抑制し、犠牲陽極効果および熱伝
導性の低下を防止する作用があるが、その含有量が０．
１％未満では所望の高強度を確保することができず、一
方その含有量が１％を越えると、結晶粒が微細化するよ
うになって耐垂下性が低下することから、その含有量を
０．１〜１％と定めた。

【００１０】（ｅ）Ｚｒ Ｚｒ成分には、同じく素地に分散するＡｌ−Ｚｒ化合物
を形成して強度を向上させると共に、再結晶粒を粗大化
させて耐垂下性を向上させる作用があるが、その含有量
が０．０５％未満では所望の強度向上効果が得られず、
一方その含有量が０．２％を越えると、熱間および冷間
加工性が劣化するようになることから、その含有量を０
．０５〜０．２％と定めた。

【００１１】（ｆ）Ｍｎ Ｍｎ成分にも素地中に微細に分散するＡｌ−Ｍｎ−Ｓｉ
化合物を形成して強度および耐垂下性を向上させる作用
があるので、必要に応じて含有されるが、その含有量が
０．０５％未満では所望の強度向上効果が得られず、一
方その含有量が０．６％を越えると、素地に固溶する割
合が多くなり、電気化学的に貴になる傾向が現われ、管
材に対する犠牲陽極効果が低下し、かつ熱伝導性も低下
するようになることから、その含有量を０．０５〜０．
６％と定めた。

【００１２】

【実施例】つぎに、この発明のＡｌ合金フィン材を実施
例により具体的に説明する。

【００１３】通常の溶解法により、それぞれ表１および
表２に示される成分組成をもったＡｌ合金溶湯を調製し
、幅：２００ｍｍ×長さ：４００ｍｍ×厚さ：５０ｍｍ
の寸法をもったスラブに鋳造し、以下いずれも通常の条
件で、均質化処理し、熱間圧延により厚さ：５ｍｍの熱
延板とし、さらに中間焼鈍を加えながら冷間圧延を繰り
返し施して厚さ：０．１ｍｍの冷延板とすることにより
本発明Ａｌ合金フィン材１〜１６および比較Ａｌ合金フ
ィン材１〜１２をそれぞれ製造した。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】なお、上記の実施工程で、熱間加工性を評
価する目的で、均質化処理後のスラブから直径：２０ｍ
ｍの丸棒を切り出し、これに機械加工を施して平行部長
さ：３０ｍｍ×平行部径：１０ｍｍの試験片とし、この
試験片を用いて温度：７５０Ｋ（４７７℃）、ひずみ速
度：０．１ｓ−１の条件で引張試験を行ない、断面減少
率を測定した。

【００１７】また、同じく厚さ：５ｍｍの熱延板を用い
、熱伝導性を評価する目的で、これに圧力：０．１Ｐａ
の真空中、温度：６０５℃に５分間保持後冷却の真空ろ
う付け処理に相当する条件で加熱処理を施した状態で、
導電率を測定した。

【００１８】さらに、上記の厚さ：０．１ｍｍの各種Ａ
ｌ合金フィン材を用い、これに上記の真空ろう付け処理
に相当する条件で加熱処理を施した状態で、引張強さと
孔食発生電位を測定し、強度と犠牲陽極効果を評価した
。 孔食発生電位は３％ＮａＣｌ水溶液中で測定した。

【００１９】また、上記の各種Ａｌ合金フィン材から、
幅：３０ｍｍ×長さ：１４０ｍｍの寸法をもった試験片
を切り出し、この試験片の長さ方向の一端から１１０ｍ
ｍに至る部分を水平把持し、残りの３０ｍｍをフリーと
した状態で、上記の真空ろう付け処理に相当する条件で
加熱を施した後の試験片のフリー端の垂下高さを測定し
、耐垂下性を評価した。これらの測定結果を表３および
表４に示した。

【００２０】

【表３】

【００２１】

【表４】

【００２２】

【発明の効果】表１〜表４に示される結果から、通常Ａ
ｌ熱交換器のフィン材が上記の従来Ａｌ合金フィン材を
含め、ろう付け後の状態で、１６０〜１８０Ｎ／ｍｍ２
　の引張強さをもつのが一般であるから、本発明Ａｌ合
金フィン材１〜１６は、いずれもこれらに比して一段と
高強度をもつことが明らかであり、かつ良好な熱間加工
性、犠牲陽極効果、耐垂下性、および熱伝導性も具備す
ることが明らかである。

【００２３】一方、比較Ａｌ合金フィン材１〜１２に見
られるように、Ａｌ合金の構成成分のうちのいずれかの
成分含有量（表２に※印を付す）がこの発明の範囲から
外れると、上記の特性のうちの少なくともいずれかの特
性が劣ったものになることが明らかである。

【００２４】上述のように、この発明のＡｌ熱交換器用
Ａｌ合金フィン材は、高強度を有し、かつこれに要求さ
れる良好な犠牲陽極効果、耐垂下性、および熱伝導性を
備え、さらに熱間加工性にもすぐれたＡｌ合金で構成さ
れているので、これを薄肉化しても変形することなく、
満足な熱交換機能を発揮し、Ａｌ熱交換器の軽量化およ
び小型化に役立つものである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　重量％で、Ｍｇ：１〜３％、　　　　
   　　　　　　　　Ｚｎ：０．４〜３％、Ｆｅ：０．１〜
   １％、　　　　　　　　Ｓｉ：０．２〜０．８％、Ｚｒ
   ：０．０５〜０．２％、　　Ｉｎ：０．００５〜０．０
   ５％、を含有し、残りがＡｌと不可避不純物からなる組
   成を有するＡｌ合金で構成したことを特徴とする高強度
   を有するアルミニウム熱交換器用Ａｌ合金フィン材。
2. 【請求項２】　　重量％で、Ｍｇ：１〜３％、　　　　
   　　　　　　　　Ｚｎ：０．４〜３％、Ｆｅ：０．１〜
   １％、　　　　　　　　Ｓｉ：０．２〜０．８％、Ｚｒ
   ：０．０５〜０．２％、　　Ｉｎ：０．００５〜０．０
   ５％、を含有し、さらに、Ｍｎ：０．０５〜０．６％、
   を含有し、残りがＡｌと不可避不純物からなる組成を有
   するＡｌ合金で構成したことを特徴とする高強度を有す
   るアルミニウム熱交換器用Ａｌ合金フィン材。