JPH0427367Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、アウタシエルと、この内部に挿着し
たインナーブーツとを有するスキー靴に係り、特
に足首部及び甲部のホールド性を同時に得られる
ようにした足締付機構付きのスキー靴に関する。

〔従来の技術〕

スキーヤーの足を固定する締付機構を備えたア
ウタシエル及びインナーブーツから成るスキー靴
としては、特開昭52−118360号公報（以下、これ
を第１の公知技術と言う）及び特開昭61−109502
号公報（以下、これを第２の公知技術と言う）に
示すものが知られている。

上記第１の公知技術に記載されたスキー靴の足
締付機構は、アウタシエル内に挿着されたインナ
ーブーツの足首前面部分に押え部材を配置し、こ
の押え部材にケーブルの一端を連結し、ケーブル
の他端側をアウタシエルの踵部方向へ案内すると
共にリヤカフに取り付けた緊締装置に連結し、こ
の緊締装置を締め動作することでケーブルに引張
力を与え、これに連結された押え部材を足首前面
部分に押圧することで足全体をシステムシエル本
体に締付固定するようにしている。

また、上記第２の公知技術に記載されたスキー
靴の足締付機構は、一対の締付ベルトの一端を足
の内外踝と対向するシエル本体に固着し、他端部
を足首前面でタスキ掛けに交叉させた後、足首の
後部と対向するアウタシエル外へ導出し、これを
バツクルにより締付結合することで足をシエル本
体に固定するようになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のような第１の公知技術のスキー靴では、
押え部材が足首前面にあるため、この部分を含め
て足甲部分にホールド性があるが、足首部分のホ
ールド性が欠如しているため、足首部分とスキー
靴とのフイツト性及びホールド性が低下し、エツ
ヂング等のスキー操作に悪影響を与え、足首等が
疲労し易い問題がある。

また、上記第２の公知技術のスキー靴にあつて
は、締付バンドが足首部分に巻き付けられた状態
になるため、足首部分のホールド性があるもの
の、足甲部分のホールド性が欠如しているため、
足甲部分とスキー靴とのフイツト性及びホールド
性が低下し、上記の場合と同様にエツヂング等の
スキー操作に悪影響を与えるほか、足も疲れ易く
なる問題があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記のような問題点を解決するために
なされたもので、足甲部、足首部を含めた足全体
のホールド性を高め、エツヂング等のスキーの操
作性を良くしたスキー靴を提供することを目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係るスキー靴は、シエル本体に取り付
けたフロントカフ及びシエル本体に前後方向へ回
動可能に取り付けたリヤカフを有するアウタシエ
ルと、このアウタシエル内に挿着したインナーブ
ーツとを備えたスキー靴において、上記アウタシ
エル内部の足甲部分に足締付ケーブルを交叉する
ように掛け渡し、その一端を上記フロントカフの
左右内側に固着すると共に他端部を上記アウタシ
エルの後部に配置した足緊締装置に連結したもの
である。

〔考案の作用〕

本考案おいては、足の甲部分に交叉状態に掛け
渡された足締付ケーブルの一端が、フロントカフ
の左右内側、即ちフロントカフの左右内側の壁面
又はフロントカフ内側のシエル本体の左右壁面の
いずれか、に固着されているから、足締付ケーブ
ルが足緊締装置により締付操作されると、足首
部、足甲部及び踵部を含む足全体をホールドする
ことにより、これにより足に対するホールド性の
良い、且つフイツト性に優れた足の保持を可能に
する。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図及び第２図に
ついて説明する。

第１図は本考案に係るスキー靴の一部を切り欠
いて示す全体の斜視図であり、全体符号１で示す
スキー靴は、大別して、硬質で強靱な合成樹脂材
から成型されたアウタシエル２、及びこのアウタ
シエル２内に挿着されたインナーブーツ３とから
構成されている。

上記アウタシエル２は、主に足首から下方の部
分を覆うシエル本体４と、足首の前面部分から脹
脛下部を覆うフロントカフ５、及び足の踵上部か
ら脹脛下部を覆うリヤカフ６とから成り、上記フ
ロントカフ５及びリヤカフ６の下端は、上記シエ
ル本体４の内外踝部分にピン７，８により前後方
向に回動可能に枢着されている。また、上記イン
ナーブーツ３のリヤカフ６と重合する背面部３ａ
はリヤカフ６と一体的に開閉できるようになつて
いる。

上記フロントカフ５の上部一側面には締付用の
バツクル９が固着され、このバツクル９と係合す
る締付バンド１０の一端は上記バツクル９と反対
のフロントカフ５側面に固着され、その自由端側
をリヤカフ６の外周に巻き付け、且つその端部を
バツクル９に結合することでフロントカフ５及び
リヤカフ６を一体に締め付けるようになつてい
る。

また、第１図において、符号１１及び１２は足
首部、足甲部、踵部等を全体的にホールドするた
めに足締付ケーブルで、この一対の足締付ケーブ
ル１１，１２の一端１１ａ，１２ａは、フロント
カフ５の上下方向のほぼ中間部に位置する左右両
側内壁面に固着され、そして、その他端側は押え
パツト１３を配置したインナーブーツ３の甲部分
にタスキ掛け状に交叉されると共に、シエル本体
４の底部４ａ方向へインナーブーツ３の外表面に
沿つて案内され、さらにシエル本体４の踵寄り底
部４ａの両側に設けたケーブル案内部１４ａ，１
４ｂに引つ掛けられている。そして、ケーブル案
内部１４ａ，１４ｂに引つ掛けられた両足締付ケ
ーブル１１，１２は、シエル本体４の踵覆部４ｂ
側へ方向転換され、踵覆部４ｂに形成した長穴１
５に挿通された後、リヤカフ６に形成した貫通孔
１６からリヤカフ外方へ引き出されている。この
リヤカフ６から外方へ引き出された足締付ケーブ
ル１１，１２は、リヤカフ６の後部に装着した足
緊締装置１７に連結されている。この足緊締装置
１７は従来と同様のものである。

上記のように構成されたスキー靴において、イ
ンナーブーツ３内にスキーヤーの足を挿入し、締
付バンド１０及びバツクル９によりフロントカフ
５とリヤカフ６の上部側を締め付けた後、足締付
ケーブル１１，１２を緊張して足をインナーブー
ツ３ごとアウタシエル２に固定する場合は、第１
図の２点鎖線に示す締付解放状態にある足緊締装
置１７を第１図の矢印Ａ方向に回動し、第１図の
実線に示す状態にセツトする。すると、各足締付
ケーブル１１，１２は第１図の矢印方向に引つ張
られる。これに伴い足首部分には第２図の矢印Ｂ
に示すような互いに内方へ向くホールド力が作用
し、これにより足首部分にホールド感が与えられ
ると共に、足締付ケーブル１１，１２が交叉する
足甲部分においては、第２図の矢印Ｃに示すよう
に足全体を踵部方向へ押圧する力が作用し、これ
により足甲部分にはフイツト感及びホルード感が
付与されると同時に踵部分にもフイツト感及びホ
ールド感が付与されることになる。

従つて、靴内での足の遊びがなくなり、一体性
及びフイツト性が向上し、エツヂング等のスキー
操作が一段と向上することになる。また、足締付
ケーブル１１，１２は足の甲部分で交叉して引つ
張られるから、引張力が甲部に集中することがな
く、甲部全体に分散して作用するほか、足に痛み
を生じさせることがない。そして、足の甲部、首
部及び踵部のホールド性が向上することにより、
足の疲れが少なくなり、好適なスキー靴となる。

なお、上記実施例では、足締付ケーブル１１，
１２のリヤカフ６側への方向転換にケーブル案内
部１４ａ，１４ｂを利用したが、これに限らず、
リヤカフ６の枢支ピン８を利用することも可能で
ある。

また、足緊締装置１７はシエル本体４の踵覆部
４ｂに設けるようにしても良いほか、押えパツト
１３を省略することができる。

第３図は本考案の別の実施例を示すもので、足
締付ケーブル１１，１２の一端１１ｂ，１２ｂ
が、フロントカフ５の内側に位置するシエル本体
２の左右の側壁面２ａ，２ｂに固着されている。
尚、その他の構成は第１図に示す実施例と同じで
あるから、それらの説明は省略する。

この実施例も上記実施例と同様の作用効果を奏
することができる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、足締付ケーブル
を足の甲部分で交叉させ、その一端をフロントカ
フの左右内側におけるフロントカフ自体又はシエ
ル本体に固着すると共に他端をアウタシエルの後
部に設けた足緊締装置に連結したものであるか
ら、足の甲部、足首部及び踵部を含めた足全体を
単一のケーブルで確実にホールドすることがで
き、これに伴い靴内での足の遊びがなくなつて足
全体のフイツト性が向上し、エツヂング等のスキ
ーの操作性が一段と向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスキー靴の一実施例を示
す一部切欠きの全体斜視図、第２図はインナーブ
ーツと足締付ケーブルとの関係を示す説明用の斜
視図、第３図は本考案に係るスキー靴の別の実施
例を示す一部切欠きの全体斜視図である。 １……スキー靴、２……アウタシエル、３……
インナーブーツ、４……シエル本体、５……フロ
ントカフ、６……リヤカフ、７，８……カフ枢支
ピン、９……バツクル、１０……締付バンド、１
１，１２……足締付ケーブル、１３……押えパツ
ト、１４ａ，１４ｂ……ケーブル案内部、１７…
…足緊締装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シエル本体に取り付けたフロントカフ及びシ
   エル本体に前後方向へ回動可能に取り付けたリ
   ヤカフを有するアウタシエルと、このアウタシ
   エル内に挿着したインナーブーツとを備えたス
   キー靴において、上記アウタシエル内部の足甲
   部分に足締付ケーブルを交叉するように掛け渡
   し、その一端を上記フロントカフの左右内側に
   固着すると共に他端部を上記アウタシエルの後
   部に設置した足緊締装置に連結したことを特徴
   とするスキー靴。 (2) 足締付ケーブルの一端をフロントカフの左右
   内側の壁面に固着したことを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のスキー靴。 (3) 足締付ケーブルの一端をフロントカフ内側の
   シエル本体の左右壁面に固着したことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のスキ
   ー靴。