JPH04272973A - 弗素樹脂塗料組成物及びこれを用いた弗素樹脂被覆物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，弗素樹脂塗料組成物及
びこれを用いた弗素樹脂被覆物に関する。

【０００２】

【従来の技術】弗素樹脂は優れた非粘着性，耐薬品性を
有しているため，フライパン，鍋，ホットプレート，ジ
ャー炊飯器用内釜等の厨房機器，食品容器，電気製品，
食品工業，電気・機械工業等広い用途に用いられている
。

【０００３】近年，弗素樹脂被覆に対して摩耗耐久性や
耐蝕性，色調等の外観が良好であることなど多岐にわた
り高度な性能が要求されることが多くなっている。これ
らの要求性能を満たすため，マイカや鱗片状酸化鉄を配
合して耐摩耗性を向上させたり，顔料被覆マイカ，カー
ボン，チタン白等を配合して良好な外観の着色を行う等
が行われているが，目的とする性能を向上させる一方で
，ピンホール等の微小欠陥が増大したり塗膜の伸びが低
下する等の問題も発生している。

【０００４】ピンホール等の微小欠陥をよく観察すると
，マイカ，カーボン等の粒子と弗素樹脂の界面で発生す
る頻度が高いことを見い出した。又，弗素樹脂をコーテ
ィングしたのち，釜等の形状にプレス成形する製造工程
においては，塗膜の伸び（破断伸度）が大きいことが重
要であるが，顔料粒子との密着力不足から弗素樹脂と顔
料粒子界面でプレス成形時に初期欠陥が形成され，変形
の進行に伴って欠陥が拡大され破断に至ることを見出だ
した。すなわち，弗素樹脂と顔料粒子の密着力不足が摩
耗耐久性や外観を改良した弗素樹脂塗膜の欠陥を増大さ
せ，あるいは後加工時の加工性を低下させていたわけで
ある。

【０００５】上記の問題点に鑑み，本発明者らは弗素原
子を有するシラン化合物が表面に被覆された顔料粒子を
弗素樹脂塗料に配合して用いることにより，顔料粒子と
弗素樹脂の密着性が著しく改善され，未処理の顔料粒子
を用いたものに比べて，ピンホールを低減でき，しかも
プレス成形後のピンホール数もきわだって低減できるこ
とを見い出し，本発明に至った。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は，弗素
原子を有するシラン化合物が表面に被覆された顔料粒子
を含むことを特徴とする弗素樹脂塗料組成物及びこれを
用いた弗素樹脂被覆物である。

【０００７】なお，上記本発明には，その実施の態様と
して少なくとも下記が含まれる。 （イ）微細な凹凸を有する基板上に積層されてなる上記
本発明の弗素樹脂被覆物。 （ロ）弗素樹脂がＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレ
ン）と熱溶融性弗素樹脂の混合物からなる上記本発明の
弗素樹脂被覆物。 （ハ）最外層に顔料や接着助剤等を含有しない弗素樹脂
層が積層されてなる上記本発明の弗素樹脂被覆物。

【０００８】

【作用】ここで上記本発明で，使用される弗素樹脂とし
ては，例えばポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）
，テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
共重合体（ＦＥＰ），テトラフルオロエチレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル（ＰＦＡ），エチレン−
テトラフルオロエチレン共重合体（ＥＴＦＥ），ポリク
ロロトリフルオロエチレン（ＰＣＴＦＥ）あるいはエチ
レン−クロロトリフルオロエチレン共重合体（ＥＣＴＦ
Ｅ）などが代表的に挙げられる。

【０００９】又弗素樹脂組成物は水性のディスパージョ
ン，粉末等いずれの形態でもよいが，特に水性ディスパ
ージョンであることが好ましい。

【００１０】顔料としては，チタン白，カーボン，群青
，ベンガラ等一般の無機顔料，マイカ，顔料被覆マイカ
等の顔料が代表的に用いられるがこれに限定されるもの
ではない。

【００１１】弗素原子を有するシラン化合物としては，
特に限定されないが顔料粒子表面で化学的に反応して，
欠陥のない被膜を形成し易いという観点から，代表的に
は下記の化１の式の化合物が用いられる。

【００１２】

【化１】

【００１３】具体的には化２の化合物等があげられるが
，これに限定されるものではない。

【００１４】

【化２】

【００１５】このような化合物を顔料に被覆する方法と
しては，特に限定されないが１例として以下の方法があ
げられる。このような化合物を単独あるいは混合物とし
て，好適には１０−４〜０．１ｍｏｌ／ｌの溶液を調整
する。溶媒としては非水系の溶媒が任意に用いられ，具
体的にはｎ−ヘキサン，ｎ−ヘプタン，四塩化炭素，ジ
クロルメタン，クロロホルム等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく，あるいは混合物で用いてもよい。

【００１６】こうして得られた溶液中に顔料を分散混合
し，室温ないし溶媒の沸点以下で適宜選択された温度で
反応せしめると，顔料表面の−ＯＨ基あるいは，化学吸
着水とシラン化合物の−Ｃｌ，−Ｉ，−ＯＣＨ３，−Ｏ
ＣＨ２ＣＨ４基が反応して水等結合を形成し，単分子層
あるいは，多分子層に被膜が形成される。

【００１７】こうして形成された被膜を有する顔料粒子
は，弗素原子の効果で弗素樹脂と極めてなじみがよく，
ピンホールを形成しにくく，また塗膜を伸ばしても界面
で欠陥を生じにくく，破断伸度が低下しにくい。また，
このような顔料が塗膜表面に露出した場合でも未処理の
顔料に比べきわだったはっすい性を示し塗膜全体の非粘
着性を低下させにくい。

【００１８】本発明の実施の態様で述べる，基板の微細
な凹凸は，サンドブラスト，グリッドブラスト等の通常
行われる金属面等の物理的粗面化による凹凸ではなく，
これらを併用してもかまわないが，主として化学的ある
いは電気化学的あるいはこれらを組合わせて行われるエ
ッチングによる凹凸のことをいみしている。顕微鏡的に
は，スポンジ状あるいは金属の結晶粒が部分的に溶け残
って複雑な凹凸を形成しているものである。

【００１９】ただし，その処理方法として化学的あるい
は電気化学的エッチング等に限定されるものではなく，
その凹凸と，ＰＴＦＥのみのコーティングとの組合わせ
において２ｋｇ／ｃｍ程度の剥離強度が得られる粗面で
あれば本発明に適用できる。尚，サンドブラスト，グリ
ッドブラスト等単独ではＰＴＦＥのみのコーティングに
よっては２ｋｇ／ｃｍ程度の剥離強度には及ばない。

【００２０】またこのような凹凸はアルミニウムもしく
はアルミニウム合金を電気化学的エッチングすることに
より得られやすいため，このような材質，方法が特に好
適に用いられる。

【００２１】ＰＴＦＥと混合される熱溶融性弗素樹脂は
，ＰＦＡ（テトラフロロエチレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体），ＦＥＰ（テトラフロロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体），ＥＴＦ
Ｅ（テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体），Ｃ
ＴＦＥ（ポリクロロトリフルオロエチレン）などの重合
体および共重合体が用いられる。

【００２２】ＰＴＦＥが３４０℃〜３８０℃において１
０１１〜１０１３ｐｏｉｓｅと高粘度で一般的にいう非
溶融性であるのに対し，これに混合する熱溶融性弗素樹
脂は，ＰＦＡ（３８０℃において１０４〜１０５），Ｆ
ＥＰ（３８０℃において４×１０４〜１０５），ＥＴＦ
Ｅ（３００〜３３０℃において１０４〜１０５），ＣＴ
ＦＥ（２３０℃において１０７）と極めて溶融粘度が低
いことがポイントであり，熱溶融性弗素樹脂であればこ
れらに限定されない。

【００２３】熱溶融性弗素樹脂をＰＴＦＥに混合させる
と凹凸を有する基材との密着力をきわめてよくする効果
や，ピンホールを低減せしめる効果を有する。また，以
上によってもさらに大きなピンホール等が補修しきれな
い場合にはこれにさらに弗素樹脂塗膜を積層させること
によりピンホール低減や，表面の非粘着性の改善が行え
る。

【００２４】

【実施例】以下にさらに実施例をもって本発明を説明す
る。 実施例及び比較例 （東芝シリコーン社製）を０．０５ｍｏｌ／ｌ含有する
ｎ−ヘキサン溶液を調整した。これに着色マイカ（メル
クジャパン社製イリオジン２３５）を投入混合し．約１
５分間攬拌を続けたのち，着色マイカをろ別し．ｎ−ヘ
キサンで充分に洗浄したのち，さらに水洗し，乾燥して
処理着色マイカを得た。この処理着色マイカ及び未処理
着色マイカを各々用い，表１に示す組成物を作成した。

【００２５】

【表１】

【００２６】アルミニウム素材として板厚２．５ｍｍの
もの（神戸製鋼（株）製ＡＳＢ材）を用い，まずこれを
陽極として塩化アンモニウム水溶液中２５クローン／ｃ
ｍ２の電気量で電気化学的，エッチング処理を行い表面
に微細な凹凸を形成させた。

【００２７】この面に第１層として表１に示す樹脂配合
のものをコーティングし焼付けた。このあとさらに第２
層として充填剤を含まないＰＴＦＥディスパージョン（
ダイキン工業（株）製Ｄ−１Ｆ）をコーティングし，水
分を乾燥した後４００℃で１０分焼付けた。このものの
樹脂厚は第１層，第２層各１５μ計３０μとなるようコ
ーティングした。このようにして得られたコーティング
板をプレス成形によって深絞り加工し飯器を得た。

【００２８】こうして得られたコーティング板プレス加
工品の評価方法としては，次の項目を実施した。評価結
果を表２に記載した。

【００２９】ピンホール度：（ｍＡ） 釜状の成形品に２重量％Ｎａｃｌ水溶液を満たし，片方
の電極を液中に入れ，他方を成形品の外壁に付けて通電
量（ｍＡ）を測定する。基板（本実施例の場合アルミニ
ウム合金）にまで達するピンホールの総面積が多いと通
電量が大きくなりピンホールの多，小の指標となる。ピ
ンホール度が大きいほど耐蝕性が低くなり，好ましくな
い。

【００３０】

【表２】

【００３１】

【発明の効果】以上の様な本発明によれば，ピンホール
が少なく，後加工する場合にもピンホールの発生しにく
い弗素樹脂塗膜が得られる。その結果，耐摩耗性，外観
を改良する際に起こりがちな耐蝕性の低下を防止できる
。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　弗素原子を有するシラン化合物が表面
   に被覆された顔料粒子を含むことを特徴とする弗素樹脂
   塗料組成物。
2. 【請求項２】　　弗素原子を有するシラン化合物が表面
   に被覆された顔料粒子を含む弗素樹脂塗料組成物を用い
   たことを特徴とする弗素樹脂被覆物。