JPH0427141Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業状の利用分野」 この考案は、小形トランス、チヨークコイルな
どの小形巻線部品に利用するところのフエライト
コアに関する。

「従来の技術」 小形トランスやチヨークコイルなどに使用され
ているコアとして、Ｅ−Ｅ形コア、Ｅ−Ｉ形コ
ア、ポツト形コアがあるが、この他に、いわゆる
ドラム形コアが知られている。

このドラム形コアは第７図及び第８図に示した
形態のもので、円柱状の巻線部分２の両側に円盤
状の鍔３，４が一体に形成されたコア１で、これ
は、フエライト粉末を焼成加工して生産されてい
る。上記コア１を利用した巻線部品、例えば、小
形トランスは、巻線部分２に導電線５（絶縁被覆
導電線）を巻線してコイル６を形成し、巻始端部
と巻終端部とが鍔３，４に設けた引き出口７，８
を通して端子ピン９にからげ半田付けすることに
より固着されている。

そして、このような巻線部品では、端子ピン９
が鍔３，４に植設されているために、鍔３、４が
端子ピン９を固定するに充分な肉厚となつてい
る。上記したところのドラム形コア１を利用して
巻線部品を生産するに際しては自動巻線機によつ
て巻線される、この自動巻線機では、導電線５の
巻始端部を端子ピン９にからげる工程、巻始端部
から引き出口７または８を介して導電線５を鍔間
に導き入れて巻線部分２の周りに巻線する工程、
導電線５の巻終端部を他の引き出口７または８か
ら引き出して他の端子ピン９にからげる工程が一
連に行なわれる。

また、自動巻線機には、鍔３または４をチエツ
クによつて挟持してコア１を高速回転させ、給線
具から送り出される導電線５を巻線する形式のも
のと、鍔３または４をチヤツクで挟持してコア１
を固定し、コア１の回りを回転する給線具によつ
て巻線する、いわゆるフライヤー形式のものとあ
る。

「考案が解決しようとする問題点」 上記のように自動巻線機によつて直接巻線され
るドラム形コア１の場合、その巻線工程において
導電線５が鍔３，４の円周角部や引き出口７，８
の開口縁に当接して摩れ傷が生じ、部分的に絶縁
被覆が破壊されることがある。

ドラム形コア１は、上記したように鍔３，４が
円盤状をなしているため、鍔内面と鍔周面とによ
つて形成される円周角部３ａ，４ａに導電線５が
摩れたり、また、鍔３，４に形成された引き出口
７，８の開口縁７ａ，８ａ（８ａは図示省略）に
導電線５が摩れるために、上記のような問題が発
生する。

上記のような絶縁破壊の製品は巻線過程では検
出することができなく、検査段階で選別される
が、選別された製品は修理することができない不
良品となり、また、延いては、検査段階では検出
できず、機器に組み込まれた後に絶縁破壊の事故
となることがある。

このような絶縁破壊は巻線部品を小形化し線径
の小さい導電線５を使用するほど発生しやすい問
題であり、巻線部品の小形化が一段と要請されて
いる今日において重要な問題となつている。

「問題点を解決するための手段」 本考案はドラム形コアの上記したところの問題
点を解決することを目的としたもので、巻線部分
の両側に一体形成した鍔を有するフエライトコア
において、上記鍔の巻線部分側に当る鍔内面を鍔
周囲に行くほど鍔外面方向に傾く傾斜面とすると
共に一方の鍔または両方の鍔の鍔外面を皿状の凹
形に形成してなる小形巻線部品用コアを提案す
る。

上記のように、本考案では鍔内面が傾斜させて
あるので、導電線が巻線過程で鍔周囲に当接する
ことなく、導電線の絶縁被覆が鍔との摩れによつ
て破壊されることがない。

また、本考案では鍔外面を皿状の凹形に形成し
てあるので、鍔外面に端子ピンを植設することに
よつて、巻線部分に巻線された導電線の巻始端部
と巻終端部とを凹形内の端子ピン根部に止着する
ことができる。このことから、巻線部品が取り付
けられる場合には、コアの鍔外面周囲が取付基板
に接触するため、取り付けが機械的に安定する。
さらに、鍔の凹形内に電気絶縁剤を充填させるこ
とによつて、端子ピンの抜け外れ、巻始端部及び
巻終端部の断線が防止されるなどの利点がある。

「実施例」 次に、本考案の実施例について図面に沿つて説
明する。

第１図は本考案に係るドラム形コアとその巻線
過程を示す断面図、第２図は上記ドラム形コアの
側面図である。

これらの図において、１０はドラム形コア、１
１は円柱状の巻線部分、１２，１３は巻線部分の
両側に設けた鍔、１４，１５は導電線（絶縁被覆
導電線）１６の引き出口、１７はコイル、１８は
端子ピンである。

上記ドラム形コア１０は巻線部分１１と鍔１
２，１３とをフエライト材で一体形成したもの
で、鍔１２，１３の巻線部分側の鍔内面１２ａ、
１３ａが図示するように傾斜面として形成してあ
る。この傾斜面は鍔周囲に近ずくほど鍔外に接近
する傾斜であつて、鍔周囲に向かつて下り勾配と
なつているが、この傾斜の度合は自動巻線機によ
る巻線動作を考慮して適当に定める。

また、鍔１２，１３の外側は図示するように皿
状の凹形に形成してあり、この凹形面から端子ピ
ン１８を植設するようになしてある。

上記したドラム形コア１０を使用して巻線部品
を生産するに際しては、従来同様に自動巻線機に
よつて巻線を施すが、この巻線過程において、導
電線１６が鍔内面１２ａ、１３ａの近く、或い
は、鍔内面１２ａ，１３ａに接近して巻線される
場合、上記したようにこれら鍔内面１２ａ，１３
ａが傾斜面となつている関係で、鍔周囲、特にそ
の角周部に導電線１６が当接することがなく、巻
線過程における鍔周囲との摩れによつて生ずる導
電線１６の部分的な絶縁破壊が確実に防止され
る。

導電線１６の巻始端部及び巻終端部は引き出口
１４，１５を通して各々の端子ピン１８の根部に
からげ半田付けによつて止着させるが、この止着
は鍔外面の凹形内で行なうことができる。したが
つて、第３図に示したように、巻線部品が取付基
板２３に取り付けられた場合に、鍔外面周囲が取
付基板２３の面上に接し機械的に安定する。ま
た、上記凹形部内には電気絶縁剤を充填させれば
端子ピンの抜け外れを防止できる等有利である。

上記ドラム形コア１０のように鍔内面１２ａ，
１３ａを傾斜させても、導電線１６の巻線空間は
減少しない。

第６図は従来のドラム形コア１と本考案のドラ
ム形コア１０との巻線空間を比較するための説明
図であり、仮線１９は上記した鍔内面１２ａを示
している。

この図から分かるように、ΔOPQ＝ΔOMNと
なるように鍔内面１２ａ（鍔内面１３ａも同じ）
を形成すれば、従来コア１と同じ巻線空間となる
から、コア長及び鍔径を同寸法とすることによつ
て同等の巻線量となる。

また、鍔内面１２ａ（鍔内面１３ａも同じ）を
仮線２０のように鍔外方向に寄せて形成すると、
巻線空間が拡大して有利である。

ただ、このように形成した場合、鍔周囲面が狭
くなるため、この鍔周囲をチヤツクで挟持して巻
線することが困難となる。

そこで、このように実施する場合には、第４図
及び第５図に示したように、鍔外面から巻線部分
１１内に向けて形成した細長孔２１を設け、嵌入
支持具２２をこの細長孔２１に嵌入させる構成と
し、この嵌入支持具２２でドラム形コア１０を支
持させて巻線する。

なお、上記細長孔２１は角孔または丸孔でもよ
く、その孔深は任意であり、また、巻線部分１１
に沿つてコア１０を貫通させた細長孔として形成
してもよい。

また、本実施例のように細長孔２１に嵌入支持
具２２を嵌合させて巻線する手段は第１図のドラ
ム形コア１０についても採用することができる。

上記実施例では、円柱状の巻線部分１１の両側
に円盤状の鍔１２，１３を有するドラム形コア１
０について説明したが、本考案は巻線部分が円柱
状または角柱状のもの、鍔が円盤状または角板状
のもの等を問わず同様に実施することができ、ま
た、導電線１６の巻始端部と巻終端部とを鍔周囲
または引き出口１４，１５から引き出して外部接
続端子とすることができるから、このように実施
する場合には引き出口１４，１５は必要に応じて
形成し、端子ピン１８は省略する。

巻線部品を取り付ける場合には、鍔１２または
１３の一方を取付基板２３に接触させるようにす
るから、いずれか一方の鍔の外面に凹形を形成
し、半田止着部を鍔外に突出させないようにして
もよい。

「考案の効果」 上記した通り、本考案に係るコアは鍔内面が傾
斜面となつているので、巻線を施す過程で導電線
が鍔周囲に当接することなく、鍔周囲との摩れ傷
による導電線の絶縁破壊が確実に防止され、その
上、鍔内面を傾斜させることで巻線空間を拡大さ
せるようにすれば、コアを大きくすることなく巻
線量を増加させることができて有利である。

また、鍔外面を皿状の凹形にしたことから、導
電線の巻始端部と巻終端部とを鍔外面に植設させ
た端子ピンの根部に止着させるに当って、この止
着部が凹形内から突出することがなく、このコア
を使用した巻線部品の取付けが機械的に安定し、
さらに、上記凹形内を電気絶縁剤などで充填する
ことにより、端子ピンの抜け外れや導電線の巻始
端部及び巻終端部の断線が防止できる等の効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例であつて、巻線過
程を示すドラム形コアの断面図、第２図は上記ド
ラム形コアの側面図、第３図は取付け状態を示す
巻線部品の断面図、第４図は本考案の第２実施例
であつて、巻線過程を示すドラム形コアの断面
図、第５図は当該ドラム形コアの側面図、第６図
は本考案に係るドラム形コアと従来のドラム形コ
アとを比較するための説明図、第７図は従来のド
ラム形コアの断面図、第８図は当該ドラム形コア
の側面図である。 １０……ドラム形コア、１２，１３……鍔、１
２ａ，１３ａ……鍔内面、１６……導電線、１７
……コイル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 巻線部分の両側に一体形成した鍔を有するフエ
   ライトコアにおいて、上記鍔の巻線部分側に当る
   鍔内面を鍔周囲に行くほど鍔外面方向に傾く傾斜
   面とすると共に一方の鍔または両方の鍔の鍔外面
   を皿状の凹形に形成してなる小形巻線部品用コ
   ア。