JPH0426304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の前部車体構造に関し、より
詳しくは車体の前部に形成されたエンジンルーム
側壁を構成するホイールエプロンの内側面にサス
ペンシヨンタワーが形成された自動車の前部車体
構造に関するものである。

（従来の技術） 自動車の車体前部にエンジンルームが形成され
る自動車にあつてはこのエンジンルームの側壁は
ホイールエプロンにより構成される。このホイー
ルエプロンには実開昭59−190679号公報に示すよ
うに、そのエンジンルーム側においてサスペンシ
ヨンタワー部が形成されている。

上記の如きホイールエプロンは、一般的には縦
板状のホイールエプロン壁部と該壁部の内側に形
成されたタイヤを包囲するホイールアーチ部とか
ら成り、このホイールアーチ部の上面にサスペン
シヨンタワーがスポツト溶接等により取付けられ
ている。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、一般にサスペンシヨンタワーには、内
部に設置されたサスペンシヨンから車体上方かつ
車体内方へ向かう斜めのつき上げ荷重がかかる。
このような荷重がサスペンシヨンタワーに持続的
にかかることにより前記サスペンシヨンタワーと
ホイールアーチとの接合部分に負担がかかり、そ
の接合部分が剥離等により破壊しやすく、このた
め前記荷重の方向にサスペンシヨンタワーが内倒
れしやすい傾向を有する。このような内倒れが生
ずると、右左のサスペンシヨンのバランスがくず
れ、走行安定性も悪化する。

本考案の目的は、上記事情に鑑み、サスペンシ
ヨンタワーの内倒れをコンパクトな構造で効果的
に防止可能な自動車の前部車体構造を提供するこ
とにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係る自動車の前部車体構造は、前記問
題点を解決するために、車体の前部に形成された
エンジンルームの側壁を構成するホイールエプロ
ンと、該ホイールエプロンに形成された車幅方向
断面が円弧状であるホイールアーチ部の内側面に
接合されたサスペンシヨンタワーとを備え、 前記ホイールアーチ部と前記サスペンシヨンタ
ワーの前および後の接合フランジ部との接合部分
のホイールアーチ部下面に、該接合部分に沿つて
円弧状に延びる断面略ハツト状のレインフオース
メントが接合されて該レインフオースメントと前
記ホイールアーチ部とで閉断面部が形成され、か
つ前記レインフオースメントの接合フランジ部は
前記サスペンシヨンタワーの前および後の接合フ
ランジ部とオーバラツプさせて前記ホイールアー
チ部下面に接合されていることを特徴とする。

（考案の効果） 本考案に係る自動車の前部車体構造によれば、
断面略ハツト状のレインフオースメントがサスペ
ンシヨンタワーの接合フランジ部とオーバラツプ
して接合されてホイールアーチ部とで閉断面部を
形成しているので、サスペンシヨンタワーに入力
した荷重は上記レインフオースメントの閉断面部
に直接的に伝達されて十分に支持され、また、上
記レインフオースメントは応力集中が生じる虞れ
のない円弧状に延びた形状となつているので、上
記荷重はレインフオースメント全体で略均等に分
散して十分に支持され、さらに、レインフオース
メントはサスペンシヨンタワーの前後に設けられ
ているので、この点からも十分に荷重を支持可能
である。よつて、本考案に係る自動車の前部車体
構造によれば、上記の各構成が相俟つて荷重を十
分に支持可能であり、効果的な補強が達成され、
サスペンシヨンタワーの内倒れを防止できる。

また、上記レインフオースメントは、断面略ハ
ツト状で閉断面を形成すると共にホイールアーチ
部に沿つて円弧状に延びているので、ホイールア
ーチ部からの突出量が少なく、よつて設置スペー
スが小さく、構造がコンパクトであるという利点
も有する。

（実施例） 以下、本考案に係る自動車の前部車体構造の実
施例を図面を用いて説明する。

第１図は本考案に係る自動車の前部車体構造の
一実施例を示す斜視図、第２図は第１図の要部拡
大図である。

第１図において、１はダツシユパネルで、この
ダツシユパネル１を境として、前方がエンジンル
ームＡとされ、後方が車室Ｂとされる。

上記ダツシユパネル１の左右側端部からは、そ
れぞれ左右一対のホイールエプロン２が前方へ延
設され、このホイールエプロン２の前端部にはシ
ユラウドパネル３が配設されている。これにより
ダツシユパネル１と左右一対のホイールエプロン
２とシユラウドパネル３とにより、前記エンジン
ルームＡが構成されている。

前記エンジンルームＡの側壁を構成するホイー
ルエプロン２は、縦板状の壁部２ａと該壁部２ａ
からエンジンルームＡ側に膨出する上面半球状の
従つて車幅方向断面が円弧状のホイールアーチ部
２ｂとで構成され、このホイールアーチ部２ｂの
真下方において、ホイールエプロン２にフロント
フレーム５が接合されている。このホイールアー
チ部２ｂの頂部には切欠部（図示せず）が形成さ
れており、この切欠部を覆うようにしてサスペン
シヨンタワー６が、ホイールアーチ部２ｂとこの
ホイールアーチ部２ｂ上方のホイールエプロン壁
部２ａに接合されている。このサスペンシヨンタ
ワー６は、互いに接合された側壁部材６ａと頂壁
部材６ｂとからなり、この頂壁部材６ｂの端部７
は、第２図を−線に沿つて切断した断面図で
ある第３図に示すように、ホイールエプロンの壁
部２ａの上部に形成され車体外方へ膨らむサスペ
ンシヨンタワー取付凹部８に嵌入されて接合され
ている。

前記ホイールアーチ部２ｂとサスペンシヨンタ
ワー６の側壁部材６ａとの接合部分即ちホイール
アーチ部２ｂの内側面（車体内方側の面）へのサ
スペンシヨンタワー６の前および後の接合フラン
ジ部６ｃの接合部分には、該接合部分に沿つて延
びる断面略ハツト状のレインフオースメント９が
配設されている。

第４図〜第６図は第２図に示す構造の概略図で
あり、第４図は車体前方より見た正面概略図、第
５図は平面概略図、第６図は車体内側から見た側
面概略図である。これらの図面を参照すれば容易
に理解されるように、前記レインフオースメント
９は、ホイールアーチ部２ｂとサスペンシヨンタ
ワー６との接合部分に沿つて円弧状に延設され、
かつ該接合部分の全長にわたつて、該接合部分の
ホイールアーチ部２ｂの下面側に接合されてい
る。本実施例においては、第２図を−線によ
り切断した断面図である第７図に示すように、レ
インフオースメント９の一方のフランジ部９ａが
サスペンシヨンタワー６のフランジ部６ｃとオー
バラツプさせてホイールアーチ部２ｂの下面に溶
接され、レインフオースメントの他方のフランジ
部９ｂがホイールアーチ部２ｂの下面に溶接さ
れ、このレインフオースメント９とホイールアー
チ部２ｂとで閉断面が形成されている。

上記の如く構成された自動車の前部車体構造に
おいては、断面略ハツト状のレインフオースメン
ト９がサスペンシヨンタワー６の接合フランジ部
６ｃとオーバラツプしてホイールアーチ部２ｂに
接合され、該ホイールアーチ部２ｂとで閉断面部
を形成しているので、サスペンシヨンタワー６に
入力した荷重は上記レインフオースメント９の閉
断面部に直接的に伝達されて十分に支持されるこ
ととなり、より大きな荷重を支持することが可能
である。また、上記レインフオースメント９は車
幅方向断面が円弧状のホイールアーチ部２ｂに沿
つて延びる円弧状に形成されており、折曲形状と
なつている場合の様なレインフオースメント自体
における応力集中等が発生する虞れがなく、従つ
てサスペンシヨンタワー６から入力された荷重は
レインフオースメント９全体で略均等に分散して
十分に支持されるので、この点においてもより大
きな荷重を支持可能である。さらに、レインフオ
ースメント９はサスペンシヨンタワー６の前後に
設けられているので、この点からもより大きな荷
重を支持可能である。よつて、上記自動車の前部
車体構造によれば、上記の各構成が相俟つて大荷
重を支持可能であり、効果的な補強が達成され、
サスペンシヨンタワー６の内倒れを防止できる。

また、上記レインフオースメント９は、断面略
ハツト状で閉断面を形成すると共にホイールアー
チ部２ｂに沿つて円弧状に延びているので、ホイ
ールアーチ部２ｂからの突出量が少なく、よつて
設置スペースが小さく構造がコンパクトであり、
他の部品との関係でレイアウト性に優れると共
に、ホイールアーチ部２ｂの下面側に設けられて
いるのでエンジンルームスペースを阻害する虞れ
がないという利点も有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による自動車の前部車体構造の
一実施例を示す斜視図、第２図は第１図の要部拡
大斜視図、第３図は第２図の実施例を−線に
沿つて切断した断面図、第４図は第２図に示す実
施例の車体前方より見た正面概略図、第５図は同
実施例の平面概略図、第６図は同実施例の車体内
側から見た側面概略図、第７図は第２図を−
線に沿つて切断した断面図である。 ２……ホイールエプロン、６……サスペンシヨ
ンタワー、９……レインフオースメント。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体の前部に形成されたエンジンルームの側壁
   を構成するホイールエプロンと、該ホイールエプ
   ロンに形成された車幅方向断面が円弧状であるホ
   イールアーチ部の内側面に接合されたサスペンシ
   ヨンタワーとを備え、 前記ホイールアーチ部と前記サスペンシヨンタ
   ワーの前および後の接合フランジ部との接合部分
   のホイールアーチ部下面に、該接合部分に沿つて
   円弧状に延びる断面略ハツト状のレインフオース
   メントが接合されて該レインフオースメントと前
   記ホイールアーチ部とで閉断面部が形成され、か
   つ前記レインフオースメントの接合フランジ部は
   前記サスペンシヨンタワーの前および後の接合フ
   ランジ部とオーバラツプさせて前記ホイールアー
   チ部下面に接合されていることを特徴とする自動
   車の前部車体構造。