JPH0425883B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は自動車用サンルーフ開閉機構、取りわ
けリツドの一端がルーフ側に軸支され、該リツド
の他端が上下方向に開閉する如きチルトリツドの
開閉機構に関する。

従来の技術 一般の自動車において、車室内外の換気及び開
放感を増大させるために、ルーフパネル側に開口
部を設け、この開口部を閉止又は開口させるサン
ルーフパネルを取り付けた構造が知られている。
これら従来例にあつてはサンルーフパネルは、固
定されたルーフパネルに沿つて自在にスライド移
動する構造が普通であつて、通常単一のサンルー
フパネルを用いて前記開口部を開閉させるように
している。しかしながらこの様なサンルーフ構造
の場合、車室内外の換気効果が完全であるとはい
い難く、特に運転席の上部に開口部がないため、
運転者に及ぼす換気及び開放感が不充分となる欠
点がある。

上記に対処するために本出願人は先に特願昭58
−181366号により、前記サンルーフパネルをチル
トリツド及びスライドリツドとの２分割構成と
し、車両のルーフ側両サイドに一対に設けたワイ
ヤの移動によつて、先ずチルトリツドの一端を支
点として該チルトリツドを起立させるようにして
ルーフを開口させ、次段のワイヤ移動によつて前
記スライドリツドの一端を降下させ、固定された
ルーフパネルの下側で且つルーフパネルに沿つて
スライド移動させて、ルーフを開口させるよう
に、サンルーフの閉鎖時にあつては、上記開口動
作と逆手順により、先ずスライドリツドを閉鎖
し、次段のワイヤ移動によつてチルトリツドを倒
伏させる構成を開示している。

上記のチルトリツドの開閉機構は、通常第８図
に示した如く、回動支点７に軸支されるラツチレ
バー５の先端に設けたピン６が図外のチルトリツ
ドの端部にピン結合されて、該ラツチレバー５は
回動支点７の下方に突出するカム状突起５ｂ及び
デイテントレバー８の爪片８ａが掛かる係止部５
ｃ，スライダーブラケツトフロント３に植設した
ピン４が掛かる凹所５ａを有しているラツチ部が
形成される。このラツチレバー５を支持するリン
クブラケツトフロント９の右端側より突出するピ
ン１０とデイテントレバー８から突出するピン１
１間に装着された弾性ばね１２によつて、前記デ
イテントレバー８がピン１０を回動中心として時
計方向に回動可能にリンクブラケツトフロント９
に取り付けられている。リンクブラケツトフロン
ト９は車体側に固定される図外のフレームに固着
される。又スライダーブラケツトフロント３には
ガイドレール１内を走行するワイヤ２に連結され
る。従つて第８図において、ワイヤ２の移動に伴
つてピン４が右方向へ移動した際に、ピン４と凹
所５ａの係合によつてラツチレバー５が反時計方
向に回動し、第９図に示す位置まで起立するとと
もにピン４の作用に基づいてデイテントレバー８
が反時計方向に回動し、爪片８ａが係止部５ｃの
下方に下げられて、係止部５ｃが爪片８ａのとこ
ろまで達したとき、ピン４がカム状突起５ｂの下
面に係合してラツチレバー５をその起立状態に保
持する間に弾性ばね１２の作用でデイテントレバ
ー８の爪片８ａがラツチレバー５の係止部５ｃに
掛かり、ラツチレバー５が起立状態を保持する。
尚、ラツチレバー５を逆に起伏させる場合には、
第９図に示す状態からワイヤ２を左方向に移動さ
せると、ピン４がデイテントレバー８の右側斜面
８ｂを押動して該デイテントレバー８の爪片８ａ
がラツチレバー５の係止部５ｃからはずれ、ピン
４がカム状突起５ｂの下面に係合してラツチレバ
ー５を起立状態に保持し、更にピン４が左方向へ
移動するに伴つてピン４とカム状突起５ｂの係合
が解け、ラツチレバー５がチルトリツドの自重に
より徐々に倒伏する。

発明が解決しようとする問題点 しかしながらこのような図外のチルトリツドの
自重を受けるラツチレバー５の起立及び倒伏動作
をワイヤ２に連結されたスライダーブラケツトフ
ロント３に固定されたピン４の移動によつて行わ
せるのでは回動支点７とピン４、又はピン６間の
回転モーメントを釣合わせるために、回動支点７
とピン４間のラツチ部に十分な強度と、ある程度
の距離をおくことが最低限必要となり、前記チル
トリツド開閉機構を収納する上下方向のスペース
増大を招くという問題点を有している。

そこでこの発明は上記した如き従来のサンルー
フ開閉機構の、とりわけチルトリツドの開閉機構
を有している問題点を解消して、しかも動作の確
実な機構の提供を目的とするものである。

問題点を解決するための手段 自動車用ルーフ近傍部位の前後方向に延長して
配設されたガイドレールに沿つて、ワイヤ駆動に
基づいて移動する移行体の動きにより、チルトレ
バーを起伏動作するようにした自動車用サンルー
フのチルトリツド開閉機構において、ルーフの前
方側に固定配置されたリンクブラケツトと、該リ
ンクブラケツトに対して回動自在に支持されとい
るとともに先端部にチルトリツドの一端部を支持
する軸体が設けられ、略中間部に作動ピンが突設
され、且つ基部に凹溝及び嵌合溝が形成されたチ
ルトレバーと、上記リンクブラケツトに回動自在
に支持されてチルトレバーの起立時の姿勢を規制
するストツパレバーと、移行体の上面に所定の傾
斜面をもつて形成されているとともに前記チルト
レバーの作動ピンが摺接する斜面が形成されたウ
エツジと、該移行体の側方に突出する駆動ピンと
を具備して成り、チルトリツドの起立時には上記
移行体の移行に伴うウエツジと前記作動ピンとの
摺接動作によりチルトレバーを傾動させるととも
に、チルトレバーの凹溝とストツパレバーのスト
ツパピンとの係合により該チルトレバーの起立状
態を保持し、チルトリツドの閉鎖時には上記駆動
ピンと嵌合溝との係合により閉鎖状態を保持する
ようにしたようにした自動車用サンルーフのチル
トリツド開閉機構の構成にしてある。

作 用 かかる構成によれば、チルトリツドの起立時に
は、モータ等駆動源の作動に基づくワイヤの移動
に伴つて移行体がガイドレールに沿つて移動し、
この移行体の上面に形成されたウエツジの斜面と
チルトレバーの中間部に突設された作動ピンとの
摺接動作により、チルトレバーが徐々に傾動して
起立する。そしてチルトレバーの基部に形成され
た凹溝とストツパレバーのストツパピンとの係合
により、該チルトレバーの起立状態が保持され
る。

チルトリツドの閉鎖時には、前記ワイヤの移動
に伴つて移行体が前記とは逆方向へ移動し、上記
凹溝とストツパピンとの係合が外れ、チルトレバ
ーの作動ピンがウエツジの傾斜面に案内されなが
ら下降して該チルトレバーが倒伏する。そして移
行体の側方に突出する駆動ピンとチルトレバーの
嵌合溝との係合により、チルトリツドの閉鎖状態
が保持される。

実施例 以下図面に基づいて本発明に係るチルトリツド
の開閉機構の一実施例を説明する。

第１図及び第２図に示す構成において、１６は
ルーフの前方側に固定配置されたリンクブラケツ
ト、１５はリンクブラケツト１６の下側に直角に
一体に設けられる基部であり、その基部１５の内
側に形成される立上り部１５ａ（第７図に示す）
にガイドレール１に対する取付部１５ｂが形成さ
れる。このリンクブラケツト１６の上端部には支
軸１７が突設されて、この支軸１７にチルトレバ
ー１８が回動自在に支持されている。このチルト
レバー１８の先端には、図外のチルトリツドの端
部を支持する軸体１９が設けられており、更にチ
ルトレバー１８の回動支点である支軸１７と軸体
１９間に位置する略中間部には作動ピン２０が突
設されている。又チルトレバー１８の基部には後
述するストツパピンが嵌合する凹溝２１及び後述
するスライダーブラケツトの駆動ピンが嵌合する
嵌合溝２２が形成されている。

一方前記リンクブラケツト１６の基部１５の後
方に一体に立上り形成される延長部１６ａには、
回動支点２３によつて回動自在なストツパレバー
２４がその一端に設けられていて、このストツパ
レバー２４の回動支点２３の他端側下方にストツ
パピン２５が突設される。このストツパレバー２
４の上方側縁に左側即ち前側上り勾配の斜面２４
ａが形成される。更に基部１５にピン２６を用い
て板ばね２７が取付けられており、この板ばね２
７の端部は前記ストツパレバー２４のストツパピ
ン２５側の端部に当接して、このストツパレバー
２４に回動支点２３を中心とする時計方向の回転
力を付与している。２９は移行体としてのスライ
ダーブラケツトであり、第３，４，５図示の如く
外側に側壁３２を有して横断面が倒立Ｌ字状とな
つている。この側壁３２の外面上に側方に延びる
駆動ピン３０が突設され、その側壁３２の内面に
スライダ３２ｃが設けられる（第１，２，７図
示）。又側壁３２の前後端３２ａ，３２ｂは内側
に直角に折曲げられ、その上面に樹脂製ブロツク
３５，３５が固着される。更にスライダーブラケ
ツト２９の上面には、左側即ち前側上り勾配に傾
斜するウエツジ３１が固着されている。このスラ
イダーブラケツト２９の下面には横断面倒立Ｌ字
状の移動部材３４が固着されている。駆動ピン３
０は前記チルトレバー１８の嵌合溝２２内に嵌合
可能な位置にあり、ウエツジ３１の傾斜面３１ａ
にチルトレバー１８から突設された作動ピン２０
が当接するようになつており、スライダーブラケ
ツト２９の側壁３２の前後端部３２ａ，３２ｂに
設けたブロツク３５は、第７図に示した如くガイ
ドレール１の外向きのガイド溝１ａの上側下面に
摺接し、そのガイドレール１に外向きのガイド溝
１ａの上側上面から移動部材３４の取付壁部３４
ｂ下面に突設した突起部材が摺接し、ガイド溝１
ａ内にスライダ３２ｃが嵌合され、移行する構造
になつている。

又、移動部材３４の内側に形成される垂直壁部
３４ａはその下端がガイドレール１の上向ガイド
溝１ｂ内に嵌合され、該ガイド溝１ｂ内に走行自
在に収納されるワイヤ２が結合される。

一方、リンクブラケツト１６はガイドレール１
に締付螺子３３によつて固定される。従つてリン
クブラケツト１６はガイドレール１が車体側に固
定されることによつて初めて車体側に固定される
ものである。このリンクブラケツト１６を貫通す
る支軸１７にチルトレバー１８が回転自在に支持
されている。

かかる構成を有するチルトリツド開閉機構の動
作を以下に説明する。

先ず第１図はチルトレバー１８が倒伏状態であ
つて図外のチルトリツドが閉鎖時の場合を示す。
この状態下にあつては、スライダーブラケツト２
９から突出する駆動ピン３０がチルトレバー１８
の嵌合溝２２内に係合された状態となつている。
更にチルトレバー１８に設けた作動ピン２０は、
スライダーブラケツト２９上に固着したウエツジ
３１の傾斜面３１ａの下端部に当接している。

次にチルトリツドを開放する際には、図外のモ
ータ等の駆動源を作動させて、第７図に示すワイ
ヤ２をけん引して、このワイヤ２に連動するスラ
イダーブラケツト２９を第１図の矢印Ａの方向へ
移動させる。するとこのスライダーブラケツト２
９の移動に伴つてウエツジ３１はスライダーブラ
ケツト２９とともにＡ方向へ移動するので、ウエ
ツジ３１の傾斜面３１ａに当接している作動ピン
２０が前記ウエツジ３１の傾斜面３１ａに沿つて
上昇移動を行い、従つてチルトレバー１８のＢ方
向への傾動を助勢する。又、駆動ピン３０は斜面
２４ａ（第２図）上を同様にＡ方向へ移動し、遂
に斜面２４ａから離脱する。よつてチルトレバー
１８の傾動はよりスムーズに且つ無理なく行わ
れ、チルトレバー１８が第２図に示す所定角度ま
で達した際にチルトレバー１８の凹溝２１がスト
ツパレバー２４のストツパピン２５の位置にあ
り、板ばね２７の付勢力によつて該ばね２７がス
トツパ２４を上方へ押動し、従つてストツパ２４
が回動支点２３を中心として時計方向へ回動し、
ストツパピン２５がチルトレバー１８の凹溝２１
内へ嵌入して、該チルトレバー１８を上記所定角
度に停止し、且つ保持する（第２図）。

次に上記の如くして起立させたチルトレバー１
８を倒伏させて、チルトリツドを閉鎖する動作を
説明する。即ち第２図に示す状態から前記ワイヤ
２の逆方向に伴つてスライダーブラケツト２９が
Ｃ方向へ移動を開始すると、先ずスライダーブラ
ケツト２９の駆動ピン３０がストツパレバー２４
の上側の傾斜面２４ａに当接して、該ストツパレ
バー２４を反時計方向へ回動させ、ストツパピン
２５が凹溝２１から抜け出る少し手前でウエツジ
３１の傾斜面３１ａに作動ピン２０が当接する。
更にスライダーブラケツト２９が移動を継続した
際にストツパピン２５がチルトレバー１８の凹溝
２１から下方に脱落し、作動ピン２０が傾斜面３
１ａに案内されながらチルトレバー１８がＤ方向
に下降を開始し、作動ピン２０はスライダーブラ
ケツト２９の移動に応じて傾斜面３１ａに沿つて
下降移動を行う。そして第１図示の少し手前でス
ライダーブラケツト２９の駆動ピン３０がチルト
レバー１８の嵌合溝２２内に入つて、該駆動ピン
３０と嵌合溝２２の係合によつてシール反力に抗
してチルトレバー１８が第１図に示す状態にまで
倒伏し、図外のチルトリツドを閉鎖する。

以上説明したチルトリツド開閉機構は、チルト
レバー１８の傾動が単にスライダーブラケツト２
９の駆動ピン３０の作用のみによつて行われるも
のではなく、該スライダーブラケツト２９の上面
に固着したウエツジ３１に形成された傾斜面３１
ａを利用して、チルトリツドの傾動を行わしめ、
従つてチルトレバー１８の下降移動をスムーズ
に、且つ無理なく行わせたことが特徴となつてい
る。

発明の効果 以上詳細に説明した如く、本発明に係る自動車
用サンルーフのチルトリツド開閉機構は、チルト
レバーの略中間部に突設された作動ピンと、移行
体の上面に所定の傾斜面をもつて形成されたウエ
ツジとの摺接動作により、チルトレバーが徐々に
傾動して起立するようにしたので、チルトレバー
の傾動が極めてスムーズに行えるという効果を有
している。即ちチルトリツドの傾動時に、該チル
トリツドの重量をスライダーブラケツト側の駆動
ピンのみで受けることなく、前記チルトレバーの
作動ピンとウエツジとの当接面で主として受けて
いるので、駆動ピンにかかる負荷が著しく軽減さ
れ、従つてワイヤけん引に要する駆動力を小さく
することができる。又チルトレバーの起立は、該
チルトレバーのリンクブラケツトに対する回動支
点とスライダーブラケツト側の駆動ピンとのモー
メントのみによつて行わせるものでなく、前記ウ
エツジの傾斜面を利用して傾動させているので、
チルトレバーの起立時に大きな駆動力を要しない
上、前記モーメントを確保するために回動支点と
駆動ピン間に特定の距離を設定する必要性がなく
なり、ルーフの基部及び該ルーフの基部に立設す
るリンクブラケツトの上下方向の厚みを必要最低
限にまで薄く形成することが可能になつて、装置
の小型化及び重量の低減効果をもたらすことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るチルトリツド開閉機構の
一実施例を示す側面図、第２図は同じく動作状態
を示す側面図、第３図はスライダーブラケツトの
構成を示す平面図、第４図は同側面図、第５図は
同斜視図、第６図はチルトリツド開閉機構の組付
状態を示す平面図、第７図は第６図の−線断
面図、第８図及び第９図は従来のチルトリツドの
開閉機構を示す側面図である。 １……ガイドレール、１５……基部、１６……
リンクブラケツト、１７……支軸、１８……チル
トレバー、１９……軸体、２０……作動ピン、２
１……凹溝、２２……嵌合溝、２３……回動支
点、２４……ストツパ、２５……ストツパピン、
２９……スライダーブラケツト、３０……駆動ピ
ン、３１……ウエツジ、３１ａ……傾斜面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車用ルーフ近傍部位の前後方向に延長し
   て配設されたガイドレールに沿つて、ワイヤ駆動
   に基づいて移動する移行体の動きにより、チルト
   レバーを起伏動作するようにした自動車用サンル
   ーフのチルトリツド開閉機構において、 ルーフの前方側に固定配置されたリンクブラケ
   ツトと、該リンクブラケツトに対して回動自在に
   支持されているとともに先端部にチルトリツドの
   一端部を支持する軸体が設けられ、略中間部に作
   動ピンが突設され、且つ基部に凹溝及び嵌合溝が
   形成されたチルトレバーと、上記リンクブラケツ
   トに回動自在に支持されてチルトレバーの起立時
   の姿勢を規制するストツパレバーと、移行体の上
   面に所定の傾斜面をもつて形成されているととも
   に前記チルトレバーの作動ピンが摺接する斜面が
   形成されたウエツジと、該移行体の側方に突出す
   る駆動ピンとを具備して成り、チルトリツドの起
   立時には、上記移行体の移行に伴うウエツジと前
   記作動ピンとの摺接動作によりチルトレバーを傾
   動させるとともに、チルトレバーの凹溝とストツ
   パレバーのストツパピンとの係合により該チルト
   レバーの起立状態を保持し、チルトリツドの閉鎖
   時には、上記駆動ピンと嵌合溝との係合により閉
   鎖状態を保持するようにしたようにしたことを特
   徴とする自動車用サンルーフのチルトリツド開閉
   機構。