JPH0425064Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、圧力鍋、圧力釜などの加圧加熱調理
容器の蓋に関する。

（従来の技術） 従来、内部を透視できる圧力鍋の蓋としては、
実公昭61−30574号公報に記載されているように、
金属製蓋体の窓孔の下面に、二重に重ね合わせた
強化ガラスよりなる透明体を、金属板を巻き締め
することにより固定して窓孔を密閉し、内部を透
視し得るとともに透明体が圧力鍋内の高温高圧に
耐えられるようにした構成が知られている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上述の実公昭61−30574号公報
に記載の蓋は、金属製蓋体の裏面即ち圧力鍋の内
部に向つて透明体が突出形成されているため、透
明体を形成する強化ガラス板、この強化ガラス板
を接着した接着剤、透明体の周囲をシールしたシ
ール剤等の全面に、圧力鍋内の高圧、高温が作用
して材質をそこない、透明度や気密性が低下する
という問題がある。また、この蓋においては、金
属板を巻き締めて強化ガラス板を蓋体に取付ける
ため、密閉が不完全になつたり、取付の作業効率
が悪いなどの問題を有している。

本考案は上述の問題点に鑑みなされたもので、
透明ガラスブロツク体により閉塞した開口部によ
り内部を透視し得る加圧加熱調理容器の蓋におい
て、加圧加熱調理容器内の高圧高温に耐え得ると
ともに、透明ガラスブロツク体を容易にかつ密着
して蓋本体に取付け得る加圧加熱調理容器の蓋を
提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案の加圧加熱調理容器の蓋は、開口部が形
成された蓋本体と、前記開口部から外方に突出し
た状態でこの開口部を閉塞する、密着積層した複
数枚の強化ガラス板にて形成された透明ガラスブ
ロツク体と、この透明ガラスブロツク体の側部を
支持する筒状部、前記透明ガラスブロツク体の上
部の周辺部を支持する上押え部、および前記開口
部の周辺部の上面に密着して取付けられるフラン
ジ部が形成された上押え金具と、前記透明ガラス
ブロツク体の下部の周辺部を支持する下押え部、
および前記開口部の周辺部の下面に密着して取付
けられるフランジ部が形成された下押え金具と、
前記上押え金具および前記下押え金具を蓋本体に
密着して取付ける締着具と、前記透明ガラスブロ
ツク体と前記上押え金具および前記下押え金具と
の間に充填された充填剤と、前記上押え金具のフ
ランジ部と前記開口部の周辺部の上面との間、お
よび前記下押え金具のフランジ部と前記開口部の
周辺部の下面との間に充填された充填材とを具備
したものである。

（作用） 本考案では、透明ガラスブロツク体は蓋本体の
開口部より外方に突設された状態で支持されてい
るため、透明ガラスブロツク体が外部の空気で冷
却され、透明ガラスブロツク体を構成する強化ガ
ラス板、充填材等が加圧加熱調理容器内の高圧高
温の影響をうけることが少なく、透明性、耐熱、
耐圧性が害われることなく、高圧高温の加圧加熱
調理容器内の圧力や熱によつて損傷する危険性が
ない。また、透明ガラスブロツク体は、複数枚の
強化ガラス板を密着積層してなるため、耐圧、耐
熱性が向上する。さらに、この透明ガラスブロツ
ク体は、締着具により蓋本体に密着して取付けら
れた上押え金具と下押え金具とにより支持され、
それぞれの間には充填剤あるいは充填材が充填さ
れているため、透明ガラスブロツク体の取付が容
易であるとともに、加圧加熱調理容器の密封性が
高まる。

（実施例） 以下、本考案の加圧加熱調理容器の蓋の実施例
を第１図、第２図に基づいて説明する。

１は蓋本体で、この蓋本体１は、加圧加熱調理
容器本体（図示せず）の上面開口部を開閉自在に
かつ気密性および耐圧性をもつて閉塞するもので
ある。なお、図面において、下側が容器本体側、
上側が外気側である。そして、前記蓋本体１は、
たとえば厚さ３mm程度のアルミニウムなどの金属
板をプレス加工することにより成形されており、
蓋本体１の一部には開口部２が形成されている。

また、３は前記開口部２を閉塞する必要な耐
熱、耐圧性を有するガラスからなる透明ガラスブ
ロツク体で、この透明ガラスブロツク体３は前記
開口部２より若干径小になつている。

さらに透明ガラスブロツク体３は上下に２枚重
ね合わされた平板状強化ガラス板３ａ，３ａより
なり、重ね合わせ面には透明で接着力の強い合成
樹脂フイルムよりなる接着フイルム（図示せず）
を介在させ加熱、加圧することにより接着させて
ある。また接着フイルムは吸湿すると白濁し透明
性が低下するから、重ね合せ面の周囲を珪素樹脂
でシールしておく。また接着フイルムの介在によ
り透明ガラスブロツク体３の強度を増し万一、一
方のガラス板３ａが破損した場合の飛散が防止さ
れる。さらに２枚のガラス板３ａ，３ａ間に湿気
やごみ等の介入が防止され透明度を長期に亘り保
持させることができる。また接着フイルムの代り
に接着剤を用いてもよいがその作用は接着フイル
ムと同様である。

なお、直径70mm程度、厚さ６mm程度の平板状強
化ガラス板３ａを２枚重ね合わせた透明ガラスブ
ロツク体３は加圧加熱調理容器の高圧高温に対し
て充分な耐圧安全性を有する。したがつて透明ガ
ラスブロツク体３全体の厚さは耐熱ガラス板を用
いた場合に比べて12mmと薄くすることができるか
ら、軽量化と透明度の向上をはかることができ
る。

さらに、４はたとえばアルミニウム、ステレン
スなどの金属によりプレス加工もしくはダイキヤ
スト加工された支持枠で、上部押え金具４ａと下
押え金具４ｂとよりなり、前記上押え金具４ａ
は、前記透明ガラスブロツク体３の径よりも内径
が大きい筒状部５と、この筒状部５の下端外周部
に折曲形成されたフランジ部６と、前記筒状部５
の上端内周部に折曲形成された上押え部７とから
なつており、この上押え部７の内径は前記透明ガ
ラスブロツク体３の径よりも小さくなつている。
さらに、前記上押え部７の内周部には屈曲部７ａ
が下方すなわち内側へ屈曲形成されている。ま
た、前記下押え金具４ｂは環状に形成され、その
内径は前記透明ガラスブロツク体３の径よりも小
さくなつており、内周部近傍が下押え部となり、
外周部近傍が蓋本体１の上面に取付けられるフラ
ンジ部になつている。

そして、前記蓋本体１の外面にその開口部２を
囲んで前記上押え金具４ａのフランジ部６が珪素
樹脂などの耐熱、耐食、耐薬品性が高くかつ圧力
漏れを防ぐ充填材としての充填剤または充填シー
ト材（図示せず）を介して接合され、同じ上押え
金具４ａの筒状部５内に前記透明ガラスブロツク
体３が耐熱、耐食、耐薬品性が高くかつ圧力漏れ
を防ぐ充填剤９を介して嵌合されているととも
に、前記蓋本体１の内面にその開口部２を囲んで
前記下押え金具４ｂが耐熱、耐食、耐薬品性が高
くかつ圧力漏れを防ぐ充填剤または充填シート材
（図示せず）を介して接合されており、前記フラ
ンジ部６と蓋本体１と下押え金具４ｂとは少なく
とも６個所で金属製の締着具としてのリベツト１
０によりしつかりと締結されている。すなわち、
前記透明ガラスブロツク体３は、上押え金具４ａ
の上押え部７と下押え金具４ｂの下押え部とによ
り挾持されて、蓋本体１にこの蓋本体１の外側に
突出して気密に取付けられている。

なお、優れた密封性に加えて、優れた耐熱性、
耐食性、食品衛生性を確保するには、蓋本体１、
透明ガラスブロツク体３および両押え金具４ａ，
４ｂ間のすべての隙間に、前述のように耐熱、耐
食、耐薬品性が高くかつ圧力漏れを防ぐ充填剤９
または充填シート材を充填することが不可欠であ
る。

そうして、加圧加熱調理時には、調理容器本体
の上面開口部を蓋本体１により気密に閉塞する
が、この蓋本体１の透明ガラスブロツク体３によ
り閉塞された開口部２を介して、調理容器本体内
の被調理物の状態を見て確認することができ、便
利である。また、透明ガラスブロツク体３は蓋本
体１の外側に突出しているので、透明ガラスブロ
ツク体３の外気に臨む面積が大きいことにより、
外気による透明ガラスブロツク体３の冷却効果が
高くなり、この透明ガラスブロツク体３および圧
力漏れを防ぐ充填剤９はさほど高温にならない。
たとえば、調理容器本体内は120〜130℃位になる
が、透明ガラスブロツク体３は70〜80℃位にしか
ならない。したがつて、高圧高温による強化ガラ
ス板３ａの劣化や破損が防止されるとともにガラ
ス板３ａ，３ａを接着した接着剤や充填剤が高圧
高温により劣化したりすることが防止される。

もちろん、蓋体の大部分を構成する蓋本体１は
金属からなつており、また、蓋本体１の一部を閉
塞する透明ガラスブロツク体３は厚くなつている
とともに、しつかりと取付けられているので、十
分な耐圧性が確保される。

また、上押え金具４の屈曲部７ａが充填剤９に
圧接されることにより、圧力漏れが効果的に防止
される。

次に第３図ないし第５図によつて透明ガラスブ
ロツク体３の他の実施例を説明する。

第３図に示す透明ガラスブロツク体３は、内方
に向つて膨出するように彎曲させた２枚の曲面状
強化ガラス板３ｂ，３ｂを上下に２枚重ね合わ
せ、接着フイルムまたは接着剤で接着した構成と
なつている。

なおこの透明ガラスブロツク体３は直径70mm程
度、上面の曲率半径50mmとすると、曲面加工によ
つて耐圧力を増し夫々の曲面状強化ガラス板３ｂ
の厚さは５mm程度即ち２枚の厚さ略10mmで耐圧性
を得ることができ、平板状強化ガラス板３ａに比
べて厚さを薄くし軽量化、透明性を一層向上させ
ることができる。さらに内方に向つて膨出した曲
面状強化ガラス板３ｂ，３ｂよりなる透明ガラス
ブロツク体３の下面が内方に向つて曲面に膨出形
成されるから下面に附着した水滴が速やかに流下
し水滴による透明ガラスブロツク体３の内面のく
もりが防止される。

第４図に示す透明ガラスブロツク体３は、３枚
の平板状強化ガラス板３ｃを重ね合わせ、接着フ
イルムまたは接着剤で接着した構成となつてい
る。

なお、この透明ガラスブロツク体３の直径を70
mm程度とすると夫々の平板状強化ガラス板３ｃの
厚さは４mm程度とすることにより充分な耐圧強度
を出すことができ、夫々の平板状強化ガラス板３
ｃの厚さを薄くし強化ガラス板３ｃの製造を容易
にすることができる。

第５図に示す透明ガラスブロツク体３は、内方
に向つて膨出するように彎曲させた曲面状強化ガ
ラス板３ｄ，３ｄ，３ｄを３枚重ね合わせ、接着
フイルムまたは接着剤で接着した構成となつてい
る。

なおこの透明ガラスブロツク体３の直径70mm程
度、上面の曲率半径50mmとすると、曲面加工によ
つて耐圧力が増し１枚の曲面状強化ガラス板３ｄ
の厚さは3.5mmで耐圧性を得ることができ、平板
状強化ガラス板３ｃに比べてさらに厚さを薄くし
軽量化、透明性を一層向上させることができると
ともに、下方に膨出した曲面によるくもり防止効
果がある。

なお前記各実施例では、透明ガラスブロツク体
３の各積層ガラス板が接着フイルムまたは接着剤
を介在させて接着したが、必ずしも接着フイルム
または接着剤を用いる必要はなく単に重ね合わせ
るのみでもよい。

次に第６図ないし第１０図によつて蓋本体１に
おける開口部２の位置について説明する。

第６図に示す実施例および第７図に示す実施例
では、蓋本体１の１個所にのみ透明ガラスブロツ
ク体３により閉塞された開口部２が設けられてい
る。そして、第６図に示す実施例では、蓋本体１
の中心部に開口部２が設けられており、第７図に
示す実施例では、蓋本体１の側部に開口部２が設
けられている。一方、第８図に示す実施例、第９
図に示す実施例、第１０図に示す実施例では、そ
れぞれ、蓋本体１の２個所、３個所、４個所に開
口部２が設けられている。さらに、蓋本体１の５
個所以上に開口部２を設けてもよい。

上記第８図ないし第１０図に示す実施例のよう
に、蓋本体１の複数個所に開口部２を設けること
により、複数の方向から調理容器本体内を見るこ
とができるので、より見やすくなり、また、ある
開口部２から調理容器本体内を見ているとき、他
の開口部２から光が調理容器本体内に採り入れら
れるので、被調理物をはつきりと見ることがで
き、さらに蓋体の見栄えも豊かにできる。

なお、第６図ないし第１０図において、１１は
安全弁である。

また、第１１図は蓋本体１にライテイングボツ
クスを設けた実施例を示す。透明ガラスブロツク
体３により閉塞された開口部２とは別に、蓋本体
１にライテイングボツクス１２が外側に突出して
設けられている。このライテイングボツクス１２
は調理容器本体内を照明する発光素子とこの発光
素子の電源である電池と前記発光素子をオン・オ
フ制御するスイツチとが組込まれている。

このライテイングボツクス１２を設けた構造に
よれば、自然光だけでは不足な場合にも、ライテ
イングボツクスにより適宜調理容器本体内を照明
することができるので、見やすくすることができ
る。

また、より見やすくするために、透明ガラスブ
ロツク体３の内側に結露する水滴を人為的にかつ
容易に除去できるように、ワイパーを設けてもよ
い。

さらに、蓋体の一部に調理容器本体内の温度を
検出するセンサーを取付け、開口部２を介して見
ることとあわせて、調理作業の一助としてもよ
い。

（考案の効果） 本考案によれば、透明ガラスブロツク体は蓋本
体の開口部より外方に突設された状態で支持され
ているため、外部の空気による冷却効果が高い。
そこで、加圧加熱調理容器内の高圧高温の影響に
よる、透明ガラスブロツク体を構成する強化ガラ
ス板の劣化や破損を防止しうるとともに、接着剤
や充填剤の変質による透明度の低下や密封効果の
低下を防ぐことができる。また、透明ガラスブロ
ツク体は、複数枚の強化ガラス板を密着積層して
なるため、耐圧、耐熱性を向上することができ、
加圧加熱調理容器内の高圧高温に充分耐えること
ができる。さらに、この透明ガラスブロツク体
は、締着具により蓋本体に密着して取付けられた
上押え金具と下押え金具とにより支持され、それ
ぞれの間には充填剤あるいは充填材が充填されて
いるため、透明ガラスブロツク体の取付を容易に
することができるとともに、加圧加熱調理容器の
密封性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す加圧加熱調理
容器の蓋の一部の縦断正面図、第２図は同上透明
ガラスブロツク体の縦断正面図、第３図ないし第
５図は同上透明ガラスブロツク体の夫々異なる実
施例を示す縦断正面図、第６図ないし第１０図は
同上蓋の開口部のそれぞれ異なる実施例を示す平
面図、第１１図は同上蓋の正面図である。 １……蓋本体、２……開口部、３……透明ガラ
スブロツク体、３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ……強化
ガラス板、４ａ……上押え金具、４ｂ……下押え
金具、５……筒状部、６……フランジ部、７……
上押え部、９……充填剤、１０……締着具として
のリベツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 開口部が形成された蓋本体と、 前記開口部から外方に突出した状態でこの開口
   部を閉塞する、密着積層した複数枚の強化ガラス
   板にて形成された透明ガラスブロツク体と、 この透明ガラスブロツク体の側部を支持する筒
   状部、前記透明ガラスブロツク体の上部の周辺部
   を支持する上押え部、および前記開口部の周辺部
   の上面に密着して取付けられるフランジ部が形成
   された上押え金具と、 前記透明ガラスブロツク体の下部の周辺部を支
   持する下押え部、および前記開口部の周辺部の下
   面に密着して取付けられるフランジ部が形成され
   た下押え金具と、 前記上押え金具および前記下押え金具を蓋本体
   に密着して取付ける締着具と、 前記透明ガラスブロツク体と前記上押え金具お
   よび前記下押え金具との間に充填された充填剤
   と、 前記上押え金具のフランジ部と前記開口部の周
   辺部の上面との間、および前記下押え金具のフラ
   ンジ部と前記開口部の周辺部の下面との間に充填
   された充填材と を具備したことを特徴とする加圧加熱調理容器の
   蓋。