JPH04244752A - モータの電機子 - Google Patents

モータの電機子

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JPH04244752A
JPH04244752A JP1104491A JP1104491A JPH04244752A JP H04244752 A JPH04244752 A JP H04244752A JP 1104491 A JP1104491 A JP 1104491A JP 1104491 A JP1104491 A JP 1104491A JP H04244752 A JPH04244752 A JP H04244752A
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秀夫 森
Toshio Tomite
富手 寿男
Masayuki Shizuka
志塚 正之
Kiichi Hoshi
星 喜一
Kazuo Tawara
田原 和雄
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はモータの電機子、電機子
巻線のコイル要素の製造方法および電機子の巻線方法に
係わり、特に、一重巻線が施される遊星歯車式減速機内
蔵スタータの電機子とそのコイル要素の製法方法および
巻線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のモータの電機子には特開昭61−
240832号公報に記載のものがある。これは多重巻
線を対象としたものであり、モータの固定子内に回転可
能に設けられかつその円周面上に複数のスロットを形成
した電機子鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けられた
整流子と、電機子鉄心の各スロットに多層に重なり合っ
て巻装された電機子巻線とからなっている。この電機子
巻線は、丸線を所定の波形形状に成形した後、スロット
挿入部のみ押圧して断面角形形状とした多数のコイル要
素で構成したものであり、電機子巻線の断面形状は、電
機子の磁気抵抗を小さくするためスロットへの挿入部の
みをスロット形状に合わせて角形形状とし、他の部分、
すなわち、電機子鉄心の両端面より突出するエンド部お
よび整流子に接続される端子部が共に素線のままの円形
状となっている。また、その巻線方法は、波形のコイル
要素のスロット挿入部をスロットの径方向外方より押し
込み、巻き付けるように変形させながら挿入するもので
ある。
【0003】一方、一重巻線の電機子において、電機子
巻線のスロット挿入部を断面角形形状にしたものに特開
昭54−5090号公報がある。これは、電機子巻線の
スロット挿入部のうちスロット下導体としての挿入部の
みを幅狭の角形形状に成形したものであり、他の部分は
丸線または角線のままとなっている。
【0004】さらに、電機子鉄心の各スロットと電機子
巻線との間にはスロット絶縁紙が配置されるが、従来の
スロット絶縁紙は、特公昭58−33786号公報に記
載のように両端部共スロットと同一形状になっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭61−2408
32号公報に記載の従来技術は、電機子スロット内の導
体数が4本の多重巻線の例で、コイル要素は波形である
ため、コイル要素を電機子の回転軸方向からスロットに
挿入することはできない形状である。また、仮に一重巻
線のコイル要素に変更したとしても、電機子の磁気抵抗
を小さくするためスロットへの挿入部は角形形状として
いるが、整流子側のエンド部は素線のままの円形状であ
るので、電機子の回転軸方向からコイル要素を挿入する
巻線方法では、素線である丸線の外径をスロットの幅よ
り大きくできず、小形化、高出力化できないという問題
があった。このことは特開昭54−5090号公報に記
載の従来技術においても同様である。
【0006】また、上記従来技術は、コイル要素の断面
形状が変化する部分でエナメルの絶縁被膜が局部的に剥
がれ、絶縁性能が著しく低下し、電機子巻線が短絡する
ことから、モータ性能が低下する不具合が発生し、生産
性の歩留まりが悪いという問題があった。
【0007】一方、特公昭58−33786号公報に記
載の従来技術は、両端部ともスロットと同一形状のスロ
ット絶縁紙を配置することから、スロット内に占める巻
線の断面積の比率、すなわち、スペースファクタを大き
くすると、回転軸方向からの巻線挿入時にスロット絶縁
紙が抜け出てしまい、スペースファクタを大きくできな
いという問題があった。
【0008】本発明の第1の目的は、回転軸方向からス
ロットに挿入する巻線方法でコイル要素を装填した場合
、電機子の磁気抵抗と電機子巻線の内部抵抗を小さくし
、かつ小形化、高出力化を可能とするモータの電機子お
よびそのコイル要素の製造方法、並びにその電機子を用
いて構成した遊星歯車式減速機内蔵スタータを提供する
ことである。
【0009】本発明の第2の目的は、電機子巻線の短絡
を防止し、生産性を向上するモータの電機子およびその
コイル要素の製造方法、並びにその電機子を用いて構成
した遊星歯車式減速機内蔵スタータを提供することであ
る。
【0010】本発明の第3の目的は、スロット内におけ
る巻線のスペースファクタを大きくしてもスロット絶縁
紙が抜け出さないモータの電機子およびその巻線方法、
並びにその電機子を用いて構成した遊星歯車式減速機内
蔵スタータを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1および第2の目
的を達成するために、本発明は、モータの固定子内に回
転可能に設けられかつその円周面上に複数のスロットを
形成した電機子鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けら
れた整流子と、前記電機子鉄心の各スロットに2個の導
体が位置するよう巻装された多数のコイル要素からなる
電機子巻線とからなり、前記コイル要素の各々は、異な
る2個のスロットに挿入される2つの挿入部と、前記整
流子の側で前記2つの挿入部より延長して前記電機子鉄
心の端面より突出し、該整流子に接続される2つの第1
のエンド部と、前記整流子の反対側で前記2つの挿入部
より延長して前記電機子鉄心の端面より突出し、当該2
つの挿入部を接続する第2のエンド部とで構成したモー
タの電機子において、前記2つの挿入部および2つの第
1のエンド部の断面形状を前記スロットの断面形状に合
わせた角形形状にすると共に、前記第2のエンド部の断
面形状を、前記2つの挿入部に連続する所定長さ部分に
おいて該挿入部と同じ角形形状とし、途中から円形とし
て、両者の断面形状変化部を前記電機子鉄心の端面から
離れて位置せしめたものである。
【0012】また、上記第3の目的を達成するために、
本発明は、モータの固定子内に回転可能に設けられかつ
その円周面上に複数のスロットを形成した電機子鉄心と
、この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と、前記電
機子鉄心の各スロットに2個の導体が位置するよう巻装
された多数のコイル要素からなる電機子巻線と、前記電
機子鉄心の各スロットと前記電機子巻線の導体との間に
配置したスロット絶縁紙とからなるモータの電機子にお
いて、前記スロット絶縁紙の前記整流子の反対側の端部
に、前記電機子鉄心の端面より突出して当該端面に接す
る折り曲げ部を形成したものである。ここで、スロット
絶縁紙の断面形状は従来通りU字状であってもよいし、
S字状にしてもよい。
【0013】また、上記第1の目的を達成するため、本
発明は、モータの固定子内に回転可能に設けられかつそ
の円周面上に複数のスロットを形成した電機子鉄心と、
この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と、前記電機
子鉄心の各スロットに2個の導体が位置するよう巻装さ
れた多数のコイル要素からなる電機子巻線とからなり、
前記コイル要素の各々は、異なる2個のスロットに挿入
される2つの挿入部と、前記整流子の側で前記2つの挿
入部より延長して前記電機子鉄心の端面より突出する2
つの第1のエンド部と、前記2つの第1のエンド部をそ
れぞれ前記整流子に接続する2つの端子部と、前記整流
子の反対側で前記2つの挿入部より延長して前記電機子
鉄心の端面より突出し、当該2つの挿入部を接続する第
2のエンド部とで構成したモータの電機子において、前
記2つの挿入部の断面形状を前記スロットの断面形状に
合わせた角形形状にし、かつ前記2つの第1のエンド部
の断面形状を前記スロットに回転軸方向より挿入可能な
形状とすると共に、前記第2のエンド部の断面形状を少
なくとも部分的に円形または楕円形とし、かつ前記2つ
の端子部の断面形状を前記整流子のライザの溝に挿入可
能な幅を有する形状としたものである。
【0014】さらに、上記第1〜第3の目的を達成する
ため、本発明は、遊星歯車式減速機内蔵スタータにおい
て、上記のいずれかの電機子を内蔵したものである。
【0015】また、上記第1および第2の目的を達成す
るため、本発明は、電機子鉄心の各スロットに2個の導
体が位置するよう巻装される電機子巻線のコイル要素の
製造方法において、外径が前記スロットの幅より大きい
丸線を所定長さに切断した後、U字状に曲げ、このU字
状に曲げた部材をU字状の曲げ部を除て前記スロットの
断面形状に合わせた角形の断面形状にプレス成形し、次
いでそのプレス成形した部材の2本の脚部が2個のスロ
ットに挿入可能な位置関係となるようひねり成形したも
のである。
【0016】また、上記第3の目的を達成するため、本
発明は、モータの固定子内に回転可能に設けられかつそ
の円周面上に複数のスロットを形成した電機子鉄心と、
この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と、前記電機
子鉄心の各スロットに2個の導体が位置するよう巻装さ
れた多数のコイル要素からなる電機子巻線と、前記電機
子鉄心の各スロットと前記電機子巻線の導体との間に配
置したスロット絶縁紙とからなるモータの電機子の巻線
方法において、前記スロット絶縁紙として一端に折り曲
げ部を備えたものを用意し、このスロット絶縁紙を前記
スロットの各々に、前記折り曲げ部が前記電機子鉄心の
端面に接するよう挿入し、次いで前記コイル要素を前記
スロット絶縁紙の空間に前記整流子の反対側から回転軸
方向に挿入し、整流子側の電機子鉄心端面から突出した
コイル要素部分を所定の整流子部分に接続したものであ
る。
【0017】また、上記第2の目的を達成するため、本
発明は、モータの固定子内に回転可能に設けられかつそ
の円周面上に複数のスロットを形成した電機子鉄心と、
この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と、前記電機
子鉄心の各スロットに複数個の導体が位置するよう巻装
された多数のコイル要素からなる電機子巻線とからなり
、前記コイル要素の各々は、複数個のスロットに挿入さ
れる複数の挿入部と、前記整流子の側で前記複数の挿入
部より延長して前記電機子鉄心の端面より突出し、該整
流子に接続される複数の第1のエンド部と、前記整流子
の反対側で前記複数の挿入部より延長して前記電機子鉄
心の端面より突出し、2つの挿入部を接続する少なくと
も1つの第2のエンド部とで構成したモータの電機子に
おいて、前記複数の挿入部の断面形状を前記スロットの
断面形状に合わせた角形形状にすると共に、前記第2の
エンド部の断面形状を、前記2つの挿入部に連続する所
定長さ部分において該挿入部と同じ角形形状とし、途中
から円形として、両者の断面形状変化部を前記電機子鉄
心の端面から離れて位置せしめたものである。
【0018】なお、本明細書においてコイル要素の断面
形状について「角形形状」とは、角部がアールになった
長円形も含むものとして使用する。
【0019】
【作用】2つの挿入部の断面形状をスロットの断面形状
に合わせた角形形状にすることにより電機子のティース
幅を広くとれるので磁気抵抗が小さくなると共に、整流
子側の2つの第1のエンド部の断面形状をスロットの断
面形状に合わせた角形形状にするか、回転軸方向よりス
ロットに挿入可能な形状とすることにより、コイル要素
の素材としての断面形状が円形で、外径がスロットの幅
より大きくても、スロット内を軸方向から通過させるこ
とができ、電機子巻線の内部抵抗を小さくして高出力化
が図れ、また電機子抵抗が小さくなるので、運転時の電
機子の発熱を低く押さえることができ、モータの小形化
が可能となる。さらに、反整流子側の第2のエンド部は
途中から円形の断面形状であるので、エンド部の回転軸
方向の高さを低くでき、電機子の軸長を短縮できるので
、この点からもモータの小形化が可能となる。
【0020】第2のエンド部の断面形状を、2つの挿入
部に連続する所定長さ部分で挿入部と同じ角形形状とし
、途中から円形として、両者の断面形状変化部を電機子
鉄心の端面から離れて位置せしめることにより、コイル
要素の絶縁性能の低下した部分が鉄心の端面のエッジ部
から離れた位置になるため、絶縁性能の低下はなくなり
、生産性が向上する。なお、この構成は、U字状のコイ
ル要素を使用する一重巻線だけではなく、多重巻線の波
形のコイル要素を用いる多重巻線にも適用可能である。
【0021】電機子鉄心の各スロットと電機子巻線の導
体との間に配置するスロット絶縁紙の反整流子側の端部
に電機子鉄心の端面に接する折り曲げ部を形成すること
により、コイル要素を回転軸方向から挿入したとき、コ
イル要素との摩擦力によりスロット絶縁紙に軸方向に抜
ける力が働いても、スロット絶縁紙の端部折曲げ部が鉄
心の端面に接し、保持されるため、スロット絶縁紙は軸
方向に抜け出さない。このため巻線のスペースファクタ
を大きくできる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、エンジン始動用
の遊星歯車式減速機内蔵スタータに本発明を適用した場
合につき図1〜図4により説明する。図1において、本
実施例のスタータ1はフロントブラケット2を有し、フ
ロントブラケット2の一端はエンジンブロック3に取付
固定され、他端には固定子4、リヤブラケット5および
センタブラケット6がボルト7により固定されている。 固定子4の内周には永久磁石8が保持され、リヤブラケ
ット5には電機子9の回転軸受10が設けられている。 センタブラケット6には、リングギヤ11に噛合い、ス
タータの動力を伝達するピニオン12を回転摺動可能に
支持する出力軸13の回転軸受14が設けられ、またセ
ンタブラケット6の内部には、遊星減速機を構成するイ
ンターナルギヤ15と遊星歯車16が配置されている。 フロントブラケット3の上部には、また、スタータへの
通電制御を行なう接点部と、さらにピニオン12をシフ
トレバー17および噛込ばね18を介してリングギヤ1
1側へ前進させる推力を発生するソレノイド部とから成
るスイッチ19がボルト20により固定されている。
【0023】ここで、電機子9は、一端に遊星減速機の
太陽歯車31を持つ回転軸32を有し、また、回転軸3
2に固着され、固定子4内に回転可能に設けられた電機
子鉄心33および絶縁紙33aと、電機子鉄心33の一
端側で回転軸32に固着された整流子34とを有してい
る。鉄心33および絶縁紙33aの円周面上には、回転
軸32の軸方向に多数のスロット35が形成され、スロ
ット35の各々に2個の導体が位置するよう多数のU字
状のコイル要素36からなる電機子巻線37が巻装され
、各スロットとコイル要素36の導体との間にはスロッ
ト絶縁紙38が配置されている。なお、図1では、スロ
ットに配置される上下の導体が同じコイル要素36の脚
部のように図示しているが、後述する説明から明らかと
なるように、実際は1つのコイル要素36の脚部は別々
のスロットに配置される。
【0024】コイル要素36は、鉄心33に挿入される
前は図2に示すようなU字状をしており、各々、別々の
スロット35に挿入される2つの挿入部43と、整流子
34の側で2つの挿入部43より延長して鉄心33の端
面より突出し、整流子34のライザ34aの溝に接続さ
れる2つの第1のエンド部42と、整流子34の反対側
で2つの挿入部43より延長して鉄心33の端面より突
出し、当該2つの挿入部43を接続する第2のエンド部
44とで構成されている。2つの挿入部43および2つ
の第1のエンド部42はスロット35の断面形状に合わ
せた、これとほぼ同一の、円周方向の幅より径方向の幅
が大きい角形断面形状をしており、第2のエンド部44
は、2つの挿入部43に連続する所定長さ部分において
該挿入部と同じ角形断面形状をし、途中から素線形状で
ある円形の断面形状をしている。したがって、第2のエ
ンド部44の断面形状変化部44aは、図4に示すよう
に、電機子鉄心33の端面から離れて位置する。
【0025】スロット絶縁紙38は図3に示すようなU
字状の断面形状をしており、空間38aにコイル要素3
6が挿入される。また、整流子34の反対側の端部に、
図1および図4に示すように鉄心33の端面より突出し
て当該端面に接する折り曲げ部38bが形成されている
【0026】次に、電機子9に巻線37を形成するため
の巻線方法を説明する。まず、図3に示すスロット絶縁
紙38を鉄心33のスロット35の各々に、整流子34
の反対側から軸方向に折り曲げ部38bが鉄心33の端
面に接するまで挿入する。次に、図2に示すコイル要素
36をスロット35と同数分用意し、全てのコイル要素
46をスロット絶縁紙38の空間38aに整流子34の
反対側から同時に挿入する。ここで、1つのスロットに
上下2本の異なる導体が位置するようコイル要素36を
挿入するとき、その挿入に要する力は、2つの導体の断
面積の和がスロット絶縁紙38の空間38aの断面積に
近付くにしたがい大きくなる。この力はコイル要素36
の導体とスロット絶縁紙38およびスロット絶縁紙38
と鉄心2のスロット間の摩擦力であり、これによりスロ
ット絶縁紙38には軸方向に抜け出す力が働く。しかし
ながら、本実施例では、スロット絶縁紙38の端部に折
り曲げ部38bが設けられているので、これがストッパ
ーとなり、抜け出しが防止される。これにより鉄心33
のスロットに占める巻線の導体断面積の比率、すなわち
、スペースファクターを大きくすることができる。
【0027】1本のコイル要素36を挿入した状態をモ
デル的に図5に示す。挿入したコイル要素36は、図5
に示すように挿入部43と第1のエンド部42との境を
折り曲げ、さらに第1のエンド部42のライザ34aと
の接続用端子部41を折り曲げ成形する。次に、整流子
34を回転軸32に圧入しながら、ライザ34aの溝に
端子部41を挿入し、さらにこの端子部41を外周から
押圧してライザ34aの溝に確実に密着させた後、熱溶
着または半田等により整流子34と接続して巻線作業を
完了する。
【0028】以上のように巻線37を形成した電機子は
ワニス処理、要部切削加工を行って図6に示すような製
品としての電機子9を得る。
【0029】次に、コイル要素36の製造方法を図7お
よび図8により説明する。まず、図7(a)に示すよう
に、外径dがスロット35の幅より大きい円形断面の素
線、すなわち、丸線50を用意する。丸線50には、円
形断面の表面の上層に耐熱性の高いポリアミドイミド等
の材料を被覆し、下層に導体との密着性の良いポリエス
テル等の材料を被覆したエナメル線、若しくは、上層に
機械的強度と耐熱性の高いポリアミドイミド等の材料を
被覆し、下層により耐熱性の高いポリイミド等の材料を
被覆したエナメル線を用いる。このように2種類のエナ
メル塗料を被覆することにより、丸線50に苛酷な変形
を加えたときの絶縁被膜の剥離が最小になり、かつ耐熱
性の向上が図れる。
【0030】次いで、この丸線50を所定の長さに切断
し、図7(b)に示すようにU字状に曲げ、さらに図7
(c)に示すようにU字状の曲げ部を除いて、丸線の断
面形状をスロット35の断面形状に合わせた角形にプレ
ス成形する。これにより、上述の2つの挿入部43、2
つの第1のエンド部42および断面形状変化部44aを
備えた第2のエンド部44が与えられる。ここで、部分
44aでの断面形状の変化はできるだけ滑らかな方が良
く、その長さlとして例えば素線径d以上の長さを確保
するのが好ましい。図では、2つの挿入部の断面形状が
同一となっているが、スロットルの内径側の幅を狭く、
外径側を広くするような異なった台形の断面形状でもよ
い。
【0031】次いで、プレス成形した部材を、部分42
,43を含む2本の脚部が鉄心33の所定の2個のスロ
ットに挿入可能な位置関係となるようひねり成形する。 このひねり成形には、例えば図8に示すような同心状に
相互に回転可能に配置したリング状の2個の成形治具5
1,52を用いる。すなわち、プレス成形した部材の2
本の脚部を成形治具51,52の穴53,54に挿入し
、成形治具51,52の端面から高さHの位置に配置し
た制止板55でU字状の部分を押さえて、U字状部材が
穴53,54から飛び出すのを防止しながら、2個の成
形治具の一方52を他方51に対して回転させることに
より、2本の脚部の一方を2個のスロット35の位置に
合わせた所定の角度だけP方向に移動して広げる。 次いで、脚部の先端を面取り加工することにより、図2
に示す鉄心2へ挿入直前の形状が得られる。
【0032】次に、本実施例の作用効果を説明する。ま
ず、本実施例においては、コイル要素36の2つの挿入
部43の断面形状をスロット35の断面形状に合わせた
角形形状、特に円周方向の幅より径方向の幅が大きい角
形形状にしたので、スロット底部でのスロット間距離が
長くなり、電機子の磁気抵抗が小さくなる。また、整流
子側の2つの第1のエンド部42の断面形状もスロット
35の断面形状に合わせた角形形状若しくは台形形状に
したので、コイル要素36の素材として断面形状が円形
で、外径dがスロットの幅より大きい丸材50を使用し
ても、コイル要素をスロット内に軸方向から通すことが
でき、電機子巻線の内部抵抗を小さくして高出力化が図
れる。また、電機子抵抗が小さくなるので、運転時の電
機子の発熱を低く押さえることができ、モータの小形化
が可能となる。
【0033】本実施例の効果を確認した結果を図9に示
す。図9は、電機子の鉄心の外径と、スロットの数を同
一として、コイルの導体断面積を変化させたときのモー
タの最大出力およびトルク特性を従来との比較で示すも
ので、従来のコイル要素としては、図9の上部に示すよ
うに導体断面形状が円形のものを用いた。この図から分
かるように、本実施例の方が出力、トルク共に優れてい
る。
【0034】また、本実施例によれば、反整流子側の第
2のエンド部44は途中から円形の断面形状であるので
、図8(b)に示すようにU字状の頂点部分での線材の
高さH方向の厚みは線径dとなる。これに対し、第2の
エンド部44の断面形状を挿入部と同じ角形形状にした
場合には、図10に示すように、U字状の頂点部分がひ
ねられる結果、その部分の線材の高さ方向の厚みは角形
形状の長辺長さとなる。したがって、エンド部44の回
転軸方向の高さは、本実施例の高さHが従来技術の高さ
Ha より低くなり、電機子の軸長を短縮できる。この
効果を確認した結果を図11に示す。図11は、電機子
の鉄心の外径と、スロットの数を同一として、コイルの
導体断面積を変化させたときのエンド部44の高さを従
来との比較で示すものである。
【0035】このように、本実施例ではエンド部44の
頂点部分が断面円形であることから、エンド部44の高
さHを低くでき、電機子の軸長を短縮できるので、巻線
抵抗が低減できる。また、モータのさらなる小形化が可
能となり、スタータのエンジンへの装着性が大幅に向上
する。なお、エンド部44の頂点部分が断面円形であれ
ばこの効果が得られるので、エンド部44のうち頂点部
分の外側表面(図8(b)で抑制板55に接する部分)
からその円形の直径、すなわち、素線の直径d以上の長
さ部分が断面円形となるよう断面形状変化部44aの位
置を設定すればよい。
【0036】ところで、図2に示す本実施例のコイル要
素は、導体の表面に絶縁層を被覆したものを、プレス加
工とねじり成形しているため、絶縁皮膜が劣化する。表
1にその劣化度を表す絶縁破壊電圧の一例を示す。
【0037】
【表1】
【0038】この表から分かるように、断面形状変化部
44aの劣化度が大きい。一方、図4は電機子9の巻線
のエンド部44を外から見た状態を示すが、エンド部4
4の断面形状を途中から円形としているので、絶縁劣化
の大きい断面形状変化部44aは鉄心33の端面から離
れた空間に位置し、かつ隣りの巻線の断面形状変化部4
4aとも離れて位置し、後処理されるワニス等により保
護される。このため、絶縁劣化の大きい部分は空間とワ
ニスにより自動的に絶縁されるため、絶縁性能の低下は
なく、小形で耐熱性、信頼性の高い電機子が得られる。 また、歩留まりも良くなり、生産性が向上する。なお、
図4では波巻の巻線で示しているが、重巻でも同様の効
果が得られる。
【0039】また、コイル要素36の整流子34側のエ
ンド部42が角形断面形状であるため、そのエンド部で
巻線間の隙間を大きく取れ、このためエンド部42の導
体の傾きを大きくしてエンド部42の高さを低くするこ
とができ、電機子の軸長が短縮でき、巻線抵抗が低減で
きるという効果がある。
【0040】また、巻線の素線として、下層に導体との
密着性の良いポリエステル等の材料を、上層に耐熱性の
高いポリアミドイミド等の材料を被覆したエナメル線を
用いるので、断面形状変化部44aでの絶縁被膜の劣化
自体も抑制でき、しかも耐熱性の向上が図れる。
【0041】下層に耐熱性は高いが機械的強度の弱いポ
リイミド等の材料を、上層に機械的強度が強く耐熱性の
あるポリアミドイミド等の材料を被覆したエナメル線を
用いた場合は、断面形状を変化する加工を加えたとき、
上層のポリアミドイミドが下層のポリイミドの剥離を防
止するので、大幅な耐熱性の向上が図れる。
【0042】また、本実施例では、スロット絶縁紙38
の反整流子側の端部に電機子鉄心33の端面に接する折
り曲げ部38bを形成するので、前述したように、コイ
ル要素36を回転軸方向から挿入したとき、摩擦力によ
りスロット絶縁紙38に軸方向に抜ける力が働いても、
折曲げ部38bがストッパの役割を果たし、スロット絶
縁紙の抜き出しが防止される。このため、巻線のスペー
スファクタを大きくできる。
【0043】また、スロット35内では上下の巻線導体
が直接に接触するため、コイル要素の挿入時に導体の絶
縁皮膜が破壊され、短絡する恐れがある。本実施例では
、上述したようにコイル要素36の素材には2種類のエ
ナメル塗料を被覆したものと用いているので、このとき
の絶縁被膜の破壊が減少する。また、さらに必要により
表面を潤滑性物質で処理してもよく、これにより絶縁被
膜の破壊がさらに効果的に抑制される。
【0044】なお、上下の巻線導体が直接に接触するの
は図3に示す形状のスロット絶縁紙38を用いたからで
ある。そこで、その対策として、図12および図13に
示すような断面S字状のスロット絶縁紙38A,38B
を用いてもよい。スロット絶縁紙38Aは、S字状の2
つの空間38Aaのそれぞれに対応する端部に折り曲げ
部38Abを設けたものであり、スロット絶縁紙38B
は、絶縁紙をS字状に変形する前に端部を折り曲げた結
果、下側の空間38Baに対応する端部のみに鉄心端面
に接する折り曲げ部38Bbが設けられたものである。 断面S字状のスロット絶縁紙38A,38Bを使用すれ
ば、上下の巻線導体が直接接するのを防止できるため、
スペースファクタをさらに向上させることができ、モー
タの大幅な小形化、高出力化が可能となる。
【0045】次に、本発明の他の実施例を説明する。ま
ず、コイル要素の各部分の断面形状は、以下の範囲内で
任意のものを採用できる。端子部41はライザ34aの
溝に挿入する最適幅W1 を有する断面形状、例えば平
角;第1のエンド部42は、スロットに回転軸方向より
挿入可能な形状で、ライザ34aと電機子鉄心端面間の
エンド部長さを最短にする断面形状、例えば平角や楕円
;挿入部43はスロット35に軸方向から挿入できかつ
スペースファクタが最大となる断面形状、例えば平角や
台形;第2のエンド部44はエンド部長さ(鉄心端面か
らの高さH)を最短にする断面形状、例えば丸形や楕円
【0046】図14にコイル要素の他の形状の具体例を
示す。図14(a)は、2つの挿入部43の断面形状を
スロットの断面形状に合わせた角形形状にし、2つの第
1のエンド部42の断面形状をスロットに軸方向より挿
入可能であるが、挿入部43とは異なる形状にし、第2
のエンド部44の全体の断面形状を円形としたコイル要
素36Aの例である。図14(b)は、図2に示すコイ
ル要素36の第2のエンド部44の全体を断面形状円形
としたコイル要素36Bの例である。
【0047】また、コイル要素は、前述したように素線
の丸線を局部的に加圧成形した1本の導体で成り立って
いる。また、2つの端子部41は、素線の状態で絶縁被
膜を除去した後、上記形状に成形することが好ましい。 その理由は以下のようである。小型、高出力化が進むと
、電機子巻線37も耐熱性の高いエナメル絶縁被膜が必
要となる。その結果、従来、薬品で絶縁被膜を除去する
のに要する時間は1分以内であったが、高耐熱の電線で
は数10分を要し、量産性が問題となって、機械的剥離
法や焼却剥離等が必要になってきた。特に、平角形状の
絶縁被膜の剥離は生産性を低下させる。これに対し、丸
線の状態で機械的剥離を行うことは、丸線を回転して行
えることから比較的容易であり、この理由で素線の丸線
の状態で絶縁被膜を除去してから、平角等に成形するも
のである。
【0048】さらに、図15に整流子のライザの溝に接
続される端子部41の幾つかの最適形状を示す。端子部
41は整流子のライザの溝に挿入可能な幅W1を有し、
図15(a)は断面を円形にした例、図15(b)はラ
イザ外径が電機子鉄心の外径より大きくならないように
先端部をL形に切除し、上下を組み合わせて挿入した例
、図15(c)は絶縁被膜の除去を兼ねて両側部を切除
した例である。これらは図14に示すコイル要素36A
,36Bに適宜組み合わせることができる。また、部分
41〜44において、各部の断面積は同一でもよいが、
必要によって部分41〜43を部分44より小さく選ぶ
こともできる。
【0049】コイル要素の形状のさらに他の実施例を図
16〜図18により説明する。図16は、コイル要素3
6Cの挿入部43と端子部41とを同じ平角の断面形状
とし、第1および第2のエンド部42,44を同じ円形
の断面形状としたものである。
【0050】第1のエンド部42の形状は、スロット数
が多い場合にはコイル要素間に空隙を確保するため、図
14(a)および(b)に示す実施例の平角形状が適し
ている。しかし、平角形状の場合、図17に符号41z
で示すようにコイル要素が倒れ、隣のコイル要素に接す
ると絶縁不良発生の原因となり、生産性が低下する。そ
こで、コイル要素間の間隔に余裕がある場合には、本実
施例のごとく円形の断面形状とすることにより隣のコイ
ルへの接触がなくなり、絶縁不良の発生を防止すること
ができる。
【0051】なお、本実施例では、スロットの幅より大
きい外径を有する丸線を使用し、部分41,43のみ角
形断面形状に成形してコイル要素36Cを得た場合には
、第1のエンド部42がスロットを軸方向に通過するこ
とが困難となる。この場合は、スロット35の外周側か
らコイル要素36Cを挿入し、その後スロット35の入
口部60を折り曲げ変形してコイル要素の抜け止めとし
、電機子を完成させればよい。
【0052】また、以上の実施例は、U字状のコイル要
素を用いる一重巻線のモータの例であるが、図1〜図4
に示す実施例において、第2のエンド部44の断面形状
変化部44aを鉄心端面から離れた空間に位置させたこ
とによる効果は波形のコイル要素を用いる多重巻線方式
のモータでも得られるものであり、したがって、本発明
はこの特徴に関しては一重巻線に限定されるものではな
い。また、図14以降の実施例において、図15に示す
コイル要素の端子部の形状等についても、多重巻線に適
用して同様の効果を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、コイル要素の素線径が
スロットの幅より大きくても、スロットに軸方向から挿
入して巻線することができるので、コイル要素の導体断
面積を大きくでき、巻線抵抗を低くすることが可能とな
り、モータの高出力化が図れる。また、巻線に丸線を採
用できるため安価なスタータが提供できる。さらに、電
機子抵抗が低減できるので、運転時の電機子の発熱を低
く抑えることができ、モータの小形化が可能となる。
【0054】また、コイル要素の成形時に発生する絶縁
低下部を空間部に配置できるため、絶縁性に優れた、信
頼性の高い電機子が得られる。
【0055】反整流子側の巻線エンド部は断面円形であ
ることから、頂点部分の導体高さを小さくしてエンド部
の高さを低くすることができ、整流子側の巻線エンド部
は断面を角形状にして巻線間の隙間を大きく取れるため
、エンド部の高さを低くすることができ、その結果、電
機子の軸長が短縮でき、巻線抵抗が低減できる。またモ
ータのさらなる小形化が可能となる。
【0056】巻線の素線として少なくとも2種類のエナ
メル塗料被覆したので、コイル要素成形時の絶縁被膜の
劣化を抑制でき、かつ耐熱性の向上が図れ、信頼性の高
い電機子が得られる。
【0057】巻線のスロット内のスペースファクタを大
きくしてもスロット絶縁紙が抜け出さないため、生産性
が良く、信頼性の高い電機子が得られる。
【0058】また、本発明の電機子を遊星歯車式減速機
内蔵スタータに採用することにより、10%以上の大幅
な軽量化と軸長短縮が可能となり、車の生産性が向上し
、かつ省エネルギーに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電機子を内蔵したスタ
ータの断面図である。
【図2】図1に示すコイル要素の斜視図である。
【図3】図1にスロット絶縁紙の斜視図である。
【図4】図1に電機子の部分拡大正面図である。
【図5】図1に示す電機子の巻線工程をモデル的に示す
図である。
【図6】図1に示す電機子の完成状態を示す図である。
【図7】図1に示すコイル要素の製造工程(a),(b
),(c)を示す図である。
【図8】図7の(c)に続くコイル要素の製造工程(a
)および(b)を示す図である。
【図9】巻線の導体断面積を変化させたときのモータの
特性を示す図である。
【図10】従来のコイル要素の製造工程の1つを示す、
図8と同様な図である。
【図11】巻線の導体断面積を変化させたときのモータ
軸長の変化を示す図である。
【図12】スロット絶縁紙の他の形状を示す図である。
【図13】スロット絶縁紙のさらに他の形状を示す図で
ある。
【図14】本発明の他の実施例によるコイル要素の斜視
図である。
【図15】本発明の他の実施例によるコイル要素の端子
部の形状を示す図である。
【図16】本発明のさらに他の実施例によるコイル要素
の斜視図である。
【図17】整流子側エンド部におけるコイル要素の倒れ
を示す図である。
【図18】スロットにコイル要素を挿入した状態を示す
断面図である。
【符号の説明】
1  スタータ 9  電機子 32  回転軸 33  鉄心 34  整流子 35  スロット 36  コイル要素 37  巻線 38  スロット絶縁紙 38b  折り曲げ部 41  端子部 42  第1のエンド部 43  挿入部 44  第2のエンド部 44a  形状変化部

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  モータの固定子内に回転可能に設けら
    れかつその円周面上に複数のスロットを形成した電機子
    鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と、
    前記電機子鉄心の各スロットに2個の導体が位置するよ
    う巻装された多数のコイル要素からなる電機子巻線とか
    らなり、前記コイル要素の各々は、異なる2個のスロッ
    トに挿入される2つの挿入部と、前記整流子の側で前記
    2つの挿入部より延長して前記電機子鉄心の端面より突
    出し、該整流子に接続される2つの第1のエンド部と、
    前記整流子の反対側で前記2つの挿入部より延長して前
    記電機子鉄心の端面より突出し、当該2つの挿入部を接
    続する第2のエンド部とで構成したモータの電機子にお
    いて、前記2つの挿入部および2つの第1のエンド部の
    断面形状を前記スロットの断面形状に合わせた角形形状
    にすると共に、前記第2のエンド部の断面形状を、前記
    2つの挿入部に連続する所定長さ部分において該挿入部
    と同じ角形形状とし、途中から円形として、両者の断面
    形状変化部を前記電機子鉄心の端面から離れて位置せし
    めたことを特徴とするモータの電機子。
  2. 【請求項2】  請求項1記載のモータの電機子におい
    て、前記2つの挿入部および2つの第1のエンド部の断
    面形状は、円周方向の幅より径方向の幅が大きい角形形
    状であることを特徴とするモータの電機子。
  3. 【請求項3】  請求項1記載のモータの電機子におい
    て、前記2つの挿入部の断面形状が異なっていることを
    特徴とするモータの電機子。
  4. 【請求項4】  請求項1記載のモータの電機子におい
    て、前記コイル要素の各々は、前記スロットの幅より大
    きい外径を有する丸線を前記角形断面形状部分のみ当該
    形状に成形したものであることを特徴とするモータの電
    機子。
  5. 【請求項5】  請求項1記載のモータの電機子におい
    て、前記電機子鉄心の各スロットと前記電機子巻線の導
    体との間にスロット絶縁紙を配置し、このスロット絶縁
    紙の前記整流子の反対側の端部に、前記電機子鉄心の端
    面より突出して当該端面に接する折り曲げ部を形成した
    ことを特徴とするモータの電機子。
  6. 【請求項6】  請求項5記載のモータの電機子におい
    て、前記スロット絶縁紙の断面形状をS字状としたこと
    を特徴とするモータの電機子。
  7. 【請求項7】  請求項1記載のモータの電機子におい
    て、前記コイル要素の各々の表面に少なくとも2種類の
    エナメル塗料を被覆し、その上層は耐熱性の高いエナメ
    ル塗料とし、下層は導体との密着性の高いエナメル塗料
    としたことを特徴とするモータの電機子。
  8. 【請求項8】  請求項1記載のモータの電機子におい
    て、前記コイル要素の各々の表面に少なくとも2種類の
    エナメル塗料を被覆し、その上層は機械的強度の強いエ
    ナメル塗料とし、下層は耐熱性の高いエナメル塗料とし
    たことを特徴とするモータの電機子。
  9. 【請求項9】  モータの固定子内に回転可能に設けら
    れかつその円周面上に複数のスロットを形成した電機子
    鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と、
    前記電機子鉄心の各スロットに2個の導体が位置するよ
    う巻装された多数のコイル要素からなる電機子巻線と、
    前記電機子鉄心の各スロットと前記電機子巻線の導体と
    の間に配置したスロット絶縁紙とからなるモータの電機
    子において、前記スロット絶縁紙の前記整流子の反対側
    の端部に、前記電機子鉄心の端面より突出して当該端面
    に接する折り曲げ部を形成したことを特徴とするモータ
    の電機子。
  10. 【請求項10】  請求項9記載のモータの電機子にお
    いて、前記スロット絶縁紙の断面形状をS字状としたこ
    とを特徴とするモータの電機子。
  11. 【請求項11】  モータの固定子内に回転可能に設け
    られかつその円周面上に複数のスロットを形成した電機
    子鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と
    、前記電機子鉄心の各スロットに2個の導体が位置する
    よう巻装された多数のコイル要素からなる電機子巻線と
    からなり、前記コイル要素の各々は、異なる2個のスロ
    ットに挿入される2つの挿入部と、前記整流子の側で前
    記2つの挿入部より延長して前記電機子鉄心の端面より
    突出する2つの第1のエンド部と、前記2つの第1のエ
    ンド部をそれぞれ前記整流子に接続する2つの端子部と
    、前記整流子の反対側で前記2つの挿入部より延長して
    前記電機子鉄心の端面より突出し、当該2つの挿入部を
    接続する第2のエンド部とで構成したモータの電機子に
    おいて、前記2つの挿入部の断面形状を前記スロットの
    断面形状に合わせた角形形状にし、かつ前記2つの第1
    のエンド部の断面形状を前記スロットに回転軸方向より
    挿入可能な形状とすると共に、前記第2のエンド部の断
    面形状を少なくとも部分的に円形または楕円形とし、か
    つ前記2つの端子部の断面形状を前記整流子のライザの
    溝に挿入可能な幅を有する形状としたことを特徴とする
    モータの電機子。
  12. 【請求項12】  請求項11記載のモータの電機子に
    おいて、前記2つの端子部は、素線の状態で絶縁被膜を
    除去した後、上記形状に成形したことを特徴とするモー
    タの電機子。
  13. 【請求項13】  請求項11記載のモータの電機子に
    おいて、前記2つの端子部を除いて、前記コイル要素の
    各々の表面に少なくとも2種類のエナメル塗料を被覆し
    、その上層は耐熱性の高いエナメル塗料とし、下層は導
    体との密着性の高いエナメル塗料としたことを特徴とす
    るモータの電機子。
  14. 【請求項14】  請求項13記載のモータの電機子に
    おいて、前記上層の表面をさらに潤滑性物質で処理した
    ことを特徴とするモータの電機子。
  15. 【請求項15】  請求項1から13までのいずれか1
    項に記載の電機子を内蔵したことを特徴とする遊星歯車
    式減速機内蔵スタータ。
  16. 【請求項16】  電機子鉄心の各スロットに2個の導
    体が位置するよう巻装される電機子巻線のコイル要素の
    製造方法において、外径が前記スロットの幅より大きい
    丸線を所定長さに切断した後、U字状に曲げ、このU字
    状に曲げた部材をU字状の曲げ部を除て前記スロットの
    断面形状に合わせた角形の断面形状にプレス成形し、次
    いでそのプレス成形した部材の2本の脚部が2個のスロ
    ットに挿入可能な位置関係となるようひねり成形するこ
    とを特徴とするコイル要素の製造方法。
  17. 【請求項17】  請求項16記載のコイル要素の製造
    方法において、前記ひねり成形は、同心状に配置されか
    つそれぞれ前記プレス成形した部材の2本の脚部の1つ
    が挿入される穴を有する2個のリング状の成形治具を、
    前記2個のスロットの位置に合わせた所定の角度だけ相
    対回転させることにより行うことを特徴とするコイル要
    素の製造方法。
  18. 【請求項18】  モータの固定子内に回転可能に設け
    られかつその円周面上に複数のスロットを形成した電機
    子鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と
    、前記電機子鉄心の各スロットに2個の導体が位置する
    よう巻装された多数のコイル要素からなる電機子巻線と
    、前記電機子鉄心の各スロットと前記電機子巻線の導体
    との間に配置したスロット絶縁紙とからなるモータの電
    機子の巻線方法において、前記スロット絶縁紙として一
    端に折り曲げ部を備えたものを用意し、このスロット絶
    縁紙を前記スロットの各々に、前記折り曲げ部が前記電
    機子鉄心の端面に接するよう挿入し、次いで前記コイル
    要素を前記スロット絶縁紙の空間に前記整流子の反対側
    から回転軸方向に挿入し、整流子側の電機子鉄心端面か
    ら突出したコイル要素部分を所定の整流子部分に接続す
    ることを特徴とする電機子の巻線方法。
  19. 【請求項19】  請求項18記載の電機子の巻線方法
    において、前記スロット絶縁紙として断面形状がS字状
    をしたものを用いることを特徴とする電機子の巻線方法
  20. 【請求項20】  モータの固定子内に回転可能に設け
    られかつその円周面上に複数のスロットを形成した電機
    子鉄心と、この電機子鉄心の一端に設けられた整流子と
    、前記電機子鉄心の各スロットに複数個の導体が位置す
    るよう巻装された多数のコイル要素からなる電機子巻線
    とからなり、前記コイル要素の各々は、複数個のスロッ
    トに挿入される複数の挿入部と、前記整流子の側で前記
    複数の挿入部より延長して前記電機子鉄心の端面より突
    出し、該整流子に接続される複数の第1のエンド部と、
    前記整流子の反対側で前記複数の挿入部より延長して前
    記電機子鉄心の端面より突出し、2つの挿入部を接続す
    る少なくとも1つの第2のエンド部とで構成したモータ
    の電機子において、前記複数の挿入部の断面形状を前記
    スロットの断面形状に合わせた角形形状にすると共に、
    前記第2のエンド部の断面形状を、前記2つの挿入部に
    連続する所定長さ部分において該挿入部と同じ角形形状
    とし、途中から円形として、両者の断面形状変化部を前
    記電機子鉄心の端面から離れて位置せしめたことを特徴
    とするモータの電機子。
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