JPH0423902Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、移動式クレーンのブーム構造に係
り、特にラチスブームを分割して折り畳み自在に
結合した移動式クレーンのブーム構造に関する。

［従来の技術］ 一般に、移動式クレーンにおいては、本体を路
上輸送する際、作業半径を大にするために継ぎた
されて長く延出されていたラチスブームを、車両
長さ制限を超えないように短くするために、分解
してから輸送する必要があつた。この分解に要す
る時間および労力の消費を軽減することを目的と
して、ラチスブームを折り畳む構造としているも
のが公知である（実公昭58−15433号公報）。

第５図に示すように、このラチスブームａの特
徴は、折り畳むためのジヨイント手段ｂを、作業
最適ブーム長さに継ぎ足すための継ぎブームｃに
設けたことにある。

この継ぎブームｃは基端側、即ち移動式クレー
ン本体ｄ側に位置されてこれに起伏自在に取り付
けられた下ブームｅと、下ブームｅに接続され
て、先端にフツクｆを備えた上ブームｇとの間に
設けられると共に、両側が切り離し自在となつ
て、両ブームｅ，ｇ間に任意数だけ挿入し得るよ
うになつている。また作業中に、上ブームｇの先
端に備えられたボスｈに繋止されているブーム俯
仰用ペンダントロープｉを、ラチスブームａが折
り畳まれて運転姿勢となつたときの先端となる位
置、即ちジョイント手段ｂ近傍に繁ぎかえて、ラ
チスブームａを支持すためのボスｊが備えられて
いる。

第６図及び第７図に示すように、ジヨイント手
段ｂは、その略長手方向中間部で主柱ｋが分割さ
れている継ぎブームｃの、分割位置に設けられて
いると共に、分割された基端側ブームｌの両側部
に備えられ、ブーム側面から離脱した位置にピン
孔ｍを有するフオーク型ブラケツトｎと、他の分
割されたブームである先端側ブームｏにフオーク
型ブラケツトｎと同様に形成されたアイ形ブラケ
ツトｐと、一側部の両ブラケツトｎ，ｐの重ねら
れたピン孔ｍに挿通される着脱用連結ピンｑと、
他側部のピン孔ｍに挿通される回動用連結ピンｒ
とから構成されている。

また、継ぎブームｃの他側部には、折り畳んだ
ときに両側ブームｌ，ｏを輸送姿勢に係止するた
めの係止手段ｓが備えられている。

以上のように構成されたラチスブームａは、作
業姿勢から輸送姿勢に移るときに、着脱用連結ピ
ンｑを取り外し、先端側ブームｏを、回動用連結
ピンｒを支点として回動させ、基端側ブームｌの
他側部側へ折り畳まれる。

また、先端側ブームｏは、係止手段ｓにより基
端側ブームｌに係止され、ペンダントロープｉ
は、基端側ブームｌの先端に備えられたボスｊに
繋止される。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、上記ジヨイント手段ｂは、ラチスブ
ームａが折り畳まれた時に、先端側ブームｏと基
端側ブームｌとが干渉しないように、支点となる
回動用連結ピンｒをブーム側面から離脱した位
置、即ち主柱ｋの軸船と隔てられた位置に設けら
れるようになつている。

このため、軸方向の偏心荷重に対向するだけの
強度を必要とするジヨイント手段ｂは、主柱ｋよ
りも強固に、即ち強度大で重厚な材質により成形
せざるを得ず、従来のラチスブームに比較して重
量の増加によるクレーン吊上げ能力の低下と材料
費が割高となる問題があつた。

そこで本考案は、上記事情に鑑み、支柱と同等
の材質により成形することのできる折り畳み機構
を有した、移動式クレーンのブーム構造を提供す
べく創案されたものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、移動式クレーン本体に起伏自在に取
り付けられているラチスブームが、上ブームと下
ブームとを着脱自在に備えているブーム構造にお
いて、上ブームと下ブームとの間に、一側部を切
り離し自在にピン結合する離合部と、一側部が切
り離されたときに上ブームを下ブームの他側部に
平行に折り畳むべく展開させるための支点部とを
設け、この支点部に、一側部がピン結合されてい
るときに他側部の軸線上に所定の長さを以て介設
され上ブーム側及び下ブーム側にその両端部が枢
支されたリンク部材を形成したものである。

［作用］ 上記構成によつて、作業中にあつては、離合部
が上ブームと下ブームとを一側部においてピン結
合すると共に、他側部において支点部のリンク部
材が軸線上で結合する。作業姿勢から輸送姿勢に
移るときは、離合部において切り離すと共に、リ
ンク部材を支点として上ブームを展開させて下ブ
ームの側部に折り畳み、ブーム全長を短くして路
上輸送可能な状態にする。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面に従つて説明
する。

第１図は、本考案に係る移動式クレーンのブー
ム構造の一実施例を示したものであり、最適ブー
ム長さに形成されたラチスブーム１は、従来と同
様に、移動式クレーン本体２にその基端部３が起
伏自在に取り付けられた下ブーム４と、下ブーム
４に接続された上ブーム５とを着脱自在に有して
いる。また、上ブーム５の先端部６には、ブーム
俯抑用ペンダントロープ７を繋止するためのボス
８が備えられている。

そして本考案においては、上ブーム５の、下ブ
ーム４との接続部９に近接した位置１０を分割し
ており、この位置１０で折り畳み可能に結合して
いる。

第２図および第３図に示すように、この結合
は、従来のジヨイント手段とは異なり、一側部１
１が切り離し可能なピン結合であるのに対し、支
点部１２となる他側部１３は、リンク部材１４に
よる結合となつている。

上ブーム５の一側部１１は、第３図中、上下
に、その長手方向に延出された２本の桁部材（主
柱）１５がそれぞれ先端側１６と基端側１７とに
分割されており、これら分割された上下桁部材１
５の両端部１８，１９は、それぞれに同径なピン
穴２０を有しており、これらが互いに重ね合わさ
れたときに、ピン２１が着脱自在に挿通されて、
ピン結合するようになつている。

すなわち、これらピン穴２０及びピン２１によ
つて、切り離し自在な離合部が構成されているこ
とになる。

一方、上ブーム５の他側部１３は、所定距離を
隔てて分割された桁部材１５を、その両端部２
２，２３に回動ピン２４，２５を介して回動自在
に枢支されたリンク部材１４によつて、連結する
ようになつている。このリンク部材１４は、桁部
材１５と同程度の強度を有する材料によつて適宜
折り畳み可能となる長さを以て形成されていると
共に、その長手方向が桁部材１５の軸線Ａ、即ち
作業中にあつて圧縮等の力（軸力）が働く方向に
一致されて設けられている。また作業中、軸線上
に位置されているときに、リンク部材１４をこの
位置で固定するための固定用金具２６が備えられ
ている。第４図にも示すように、固定用金具２６
は、リンク部材１４の内側に一体的に付設され、
その延出端には固定用ピン（図示せず）を挿抜さ
せるためのピン穴３１が形成されている。一方、
その近傍の桁部材５間に掛け渡された斜材３２に
は、ボス３３を有したブラケツト３４が取り付け
られており、作業姿勢にあつて固定用金具２６の
穴３１とボス３３とが同軸上に重なるように位置
されている。すなわち、固定用ピンを穴３１及び
ボス３３に挿入させることで、リンク部材１４を
固定できるようになつている。

このほか、本実施例にあつては、係止手段とし
て、従来同様の係止用金具（図示せず）に加え
て、リンク部材１４の回動を制御するためのスト
ツパ部材２７が備えられており、リンク部材１４
が略90°回転したときに、その先端でリンク部材
１４に当接して、折り畳まれた上ブーム５が下ブ
ーム４に当接しないようになつている。また輸送
姿勢にあつて、ブーム俯抑用ペンダントロープ７
を繋ぎ替えるための繋止用部材２８，２９，３０
は、それぞれ上ブーム５の分割位置１０近傍と、
下ブーム４の接続部９近傍とに設けられている。
そして、ラチスブーム１の全長と略同じ長さに継
ぎ足されているペンダントロープ７を分割したと
きに、先端側１６のロープ７が、上ブーム５に沿
うように繋止されると共に、基端側１７のロープ
７は、下ブーム４の繋止用部材３０に繋ぎ替えら
れ、この位置で折り畳まれたラチスブーム１を支
持するようになつている。

次に本実施例の作用を説明する。

まず、物品移動等の作業を行なうときは、分割
されたラチスブーム１は、ピン２１によりピン結
合されると共に、リンク部材１４によつて連結さ
れ作業最適ブーム長さとなる。このときリンク部
材１４は、桁部材１５の軸線Ａ上に位置されてい
るので、軸力は、リンク部材１４および桁部材１
５の長手方向に沿つて働らく。

次に、クレーン本体２を輸送するときは、ピン
２１を取り外して、上ブーム５の一側部１１を切
り離す。そしてリンク部材１４を支点部１２とし
て、上ブーム５の先端側１６を、上ブーム５の基
端側１７および下ブーム４の他側部１３側に折り
畳まれるように、並行に展開させる。このとき、
ブーム俯抑用ペンダントロープ７も分割されて、
それぞれ繋止用部材２８，３０に繋ぎ替えられ
る。折り畳まれたラチスブーム１は、その全長
が、作業中にあつては下ブーム４の基端部３から
上ブーム５の先端部６までの長さであつたが、基
端部３から上ブーム５の分割位置、即ち基端側１
７の上ブーム５の端部１９，２３までの長さに短
縮されて、路上輸送可能な車両長さになる。

このように、折り畳み支点部となるリンク部材
が、桁部材の軸線上に連結しているので、桁部材
よりも強固に成形する必要がない。また、分割さ
れたブームの基端側と先端側とは、リンク部材の
長手方向の部材長さだけ隔てられて折り畳まれる
ことになるので、これら両側ブームが干渉するこ
とはない。さらに、分割は上ブームの途中で行な
うようにしたので、従来の分割された継ぎブーム
は不要となる。

なお、本実施例では、継ぎブームを使用してい
ない場合として説明したが、最適ブーム長さにす
るための継ぎブームを接続部に挿入しても、本考
案の作用にかわりはない。この場合、ペンダント
ロープは、折り畳み時に先端となる、第３図に示
した繋止用部材２９に繋止させることになる。た
だし、継ぎブームを数多く使用すると、折り畳ん
でも継ぎ足し長さだけ輸送時のブーム全長が長く
なるので、この継ぎ足し長さには自づと制限が生
じることになる。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、次のような優れ
た効果を発揮する。

従来、ブーム側面から離脱した位置に、折り畳
みの回転支点部となるピンを設けていたのを、他
側部の軸線上で連結するリンク部材を支点にして
ブームを折り畳むようにしたので、結合のための
部材を、ブーム部材より重厚にする必要がなくな
り、重量増加によるクレーン吊上能力低下の防止
と製造経費の削減が達成し得る折り畳み可能な移
動式クレーンのブーム構造を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る移動式クレーンのブーム
構造の一実施例の全体を示した側面図、第２図は
その要部平面図、第３図はその側面図、第４図は
第２図中の固定用金具を示した拡大図、第５図は
従来の移動式クレーンのブームの全体を示した側
面図、第６図はその要部平面図、第７図はその側
面図である。 図中、１はラチスブーム、４は下ブーム、５は
上ブーム、１２は支点部、１４はリンク部材、Ａ
は軸線である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動式クレーン本体に起伏自在に取り付けられ
   ているラチスブームが、上ブームと下ブームとを
   着脱自在に備えているブーム構造において、上記
   上ブームと下ブームとの間に、一側部を切り離し
   自在にピン結合する離合部と、上記一側部が切り
   離されたときに上ブームを下ブームの他側部に並
   行に折り畳むべく展開させるための支点部とを設
   け、該支点部に、上記一側部がピン結合されてい
   るときに上記他側部の軸線上に所定の長さを以て
   介設され上記上ブーム側及び下ブーム側にその両
   端部が枢支されたリンク部材を形成したことを特
   徴とする移動式クレーンのビーム構造。