JPH04229924A - 反射防止膜を有する陰極線管の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

［発明の目的］

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、反射防止膜を有する
陰極線管の製造方法に係り、特にエチルシリケートを主
成分とするアルコール液をスプレーして反射防止膜を形
成する反射防止膜を有する陰極線管の製造方法に関する
。

【０００２】

【従来の技術】一般に陰極線管は、ガラス製フェースプ
レートの内面に蛍光体スクリーンが設けられ、電子銃か
ら放出される電子ビームにより、その蛍光体スクリーン
を水平、垂直走査することにより画像を表示させ、その
画像をフェースプレート外表面側から観察するように構
成されている。通常の陰極線管では、上記フェースプレ
ートの外表面は滑らかな面に形成されている。そのため
、その外表面で外光の反射がおこり、その反射光がフェ
ースプレート内面の蛍光体スクリーン上に描かれる画像
の観察を妨げる。また、特にディスプレイ用途に用いら
れる陰極線管では、これを長時間モニターしていると、
上記反射光のために目の疲労が問題となる。そのため、
図７に示すように、従来よりそのフェースプレート１外
表面での外光の反射を防止する反射防止膜２を形成した
陰極線管３がある。

【０００３】従来より上記フェースプレート外表面での
外光の反射を防止する手段として、つぎの方法がある。 （イ）　　干渉効果により反射防止特性を得る方法とし
て、真空蒸着法により反射防止膜を形成したガラスプレ
ートからなる、いわゆるＡＲパネル（Ａｎｔｉ　Ｒｅｆ
ｌｅｃ−ｔｉｏｎ　Ｐａｎｅｌ）をフェースプレート外
表面に貼着する方法（ロ）　　拡散効果により反射防止
特性を得る方法として、フェースプレート外表面に研磨
剤を吹付けるサンドブラスト法あるいはフッ化水素酸に
よる腐蝕処理により凹凸を形成する方法 （ハ）　　同じく拡散効果により反射防止特性を得る方
法として、エチルシリケートのアルコール溶液（反射防
止膜形成液）を塗布し焼成して、ＳｉＯ２　からなる凹
凸膜を形成する方法 （ニ）　　同じく拡散効果により反射防止特性を得る方
法として、エチルシリケートのアルコール溶液にＳｉＯ
２　微粒子を分散させた分散液（反射防止膜形成液）を
塗布し焼成して、凹凸膜を形成する方法 しかし、（イ）のＡＲパネルは高価であるため、その用
途が高級品種などに限定され、一般の陰極線管には使用
しがたい。（ロ）の方法は、いずれも形成される凹凸の
ピッチが比較的大きくかつ断面形状がなだらかとなり、
反射防止効果は得られるが、同時にその凹凸が表示画像
の透過光を散乱し、表示画像の解像度やフォーカス特性
を劣化させる。また、凹凸のレンズ作用も大きく、表示
画像がぎらぎらするスパークル現象が生じやすい。さら
に、この方法の適用された陰極線管は、フェースプレー
トを回収して再使用することが不可能であるなどの問題
がある。

【０００４】これに対して、（ハ）および（ニ）のエチ
ルシリケートを主成分とするアルコール液により反射防
止膜を形成する方法は、上記サンドブラスト法や腐蝕処
理により形成される凹凸にくらべて、凹凸のピッチが小
さくかつ断面形状がシャープとなるため、表示画像の透
過光に対する散乱が少なく、したがって、表示画像の解
像度やフォーカス特性の劣化を少なくすることができる
。また、凹凸のレンズ作用も少なく、スパークル現象を
生じにくい。しかも、この方法が適用されたフェースプ
レートは、回収して再使用することができるなどの利点
がある。

【０００５】このエチルシリケートを主成分とするアル
コール液により反射防止膜を形成する方法は、フェース
プレート外表面を酸などにより洗浄あるいは研磨し、予
備加熱したのち、上記アルコール液をスプレー塗布し、
その後、焼成することにより得られる。そのアルコール
液のスプレーには、２流体微噴霧式のスプレーノズルが
用いられ、フェースプレート外表面を走査するように１
個のスプレーノズルをＸ軸およびＹ軸方向に移動しなが
らスプレーする。この場合、スプレーされたアルコール
液は、予備加熱されたフェースプレートの温度により瞬
時に蒸発し、フェースプレート外表面にシロキサン網（
Ｓｉ−Ｏ−Ｓｉ鎖）が形成される。

【０００６】したがって、スプレーノズルの口径を適宜
選択し、スプレーするときの空気圧、スプレー液量、ス
プレーノズルからフェースプレート外表面までの距離な
どのスプレー条件を一定に規制することが必要であり、
それらが変化すると、塗布量が変化し、反射防止膜中の
粒子径や粒子形状が変化して均一良好な反射防止膜にな
らなくなる。またスプレー条件の微妙な調整に時間がか
かるばかりでなく、１個のスプレーノズルで塗布するた
め、スプレー時間が長く、生産性が低いなどの問題があ
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、陰極線
管のフェースプレート外表面に反射防止膜を形成する方
法として、従来よりエチルシリケートを主成分とするア
ルコール液をスプレーして形成する方法がある。しかし
、この従来のエチルシリケートを主成分とするアルコー
ル液をスプレーする方法は、１個の２流体微噴霧式スプ
レーノズルによりフェースプレート外表面を走査するよ
うにＸ軸およびＹ軸方向に移動しながらスプレーする方
法であるため、スプレー条件の調整に時間がかり、また
スプレー時間が長く、生産性が低いなどの問題がある。

【０００８】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、エチルシリケートを主成分とするアルコー
ル液をスプレーにより短時間に塗布して、かつ均一良好
な反射防止膜を形成することができる方法を得ることを
目的とする。

【０００９】［発明の構成］

【００１０】

【課題を解決するための手段】反射防止膜を有する陰極
線管の製造方法において、陰極線管のフェースプレート
外径を２等分割する間隔に固定された一対のスプレーノ
ズルを上記フェースプレート外表面と対向し、このスプ
レーノズルから少なくともエチルシリケートを主成分と
するアルコール液をスプレーしながらＸ軸およびＹ軸方
向に移動して、上記フェースプレート外表面の１／２づ
つを走査することにより、上記フェースプレート外表面
の１／２づつに上記アルコール液を塗布したのち、上記
スプレーノズルと陰極線管とを相対的に１８０°回転し
、その後、上記一対のスプレーノズルから上記アルコー
ル液をスプレーしながら上記塗布工程とは逆向き移動し
て、上記フェースプレート外表面の１／２づつを走査す
ることにより、上記フェースプレート外表面の１／２づ
つに上記アルコール液を塗布するようにした。

【００１１】

【作用】上記のように陰極線管のフェースプレート外径
を２等分割する間隔に固定された一対のスプレーノズル
を用いてスプレーすると、従来の１個のプレーノズルで
スプレーする場合にくらべて、スプレー時間を約１／２
に短縮でき、しかも一対のスプレーノズルによりフェー
スプレート外表面の１／２づつを走査して塗布したのち
、スプレーノズルと陰極線管とを相対的に１８０°回転
し、その後、一対のスプレーノズルを逆向きに移動して
、フェースプレート外表面の１／２づつを走査して塗布
するので、一対のスプレーノズルを用いても、各分割塗
布領域に対する塗布が均等となり、フェースプレート外
表面の全面に均一良好な反射防止膜を形成することがで
きる。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００１３】図２および図３にその一実施例に係るカラ
ー受像管のフェースプレート（パネル）外表面に反射防
止膜を形成するための塗布装置を示す。この塗布装置は
、スプレー・ブース（Ｓｐｒａｙ　Ｂｏｏｔｈ）１０　
の内側に、フェースプレート１１を上向きにしてカラー
受像管１２を位置決め支持する支持部１３が設置されて
いる。この支持部１３は、カラー受像管１２の管軸（Ｚ
軸）を鉛直にして位置決め支持し、その管軸を中心とし
て１８０°回転させるモータ１４，歯車１５などからな
る回転駆動機構を備える。

【００１４】また、上記支持部１３の上部空間には、ロ
ボットのヘッド部１７が配置されている。このヘッド部
１７を動かすロボットは、たとえばＸＹロボットで構成
され、その本体１８は、上記スプレー・ブース１０の一
側に設置され、ヘッド部１７は、この本体１８に取付け
られてスプレー・ブース１０の内側に延在するアーム１
９に取付けられている。そしてこのヘッド部１７に一対
のスプレーノズル２０ａ，２０ｂ　がカラー受像管のフ
ェースプレート１１外径を２等分する間隔で取付けられ
、ロボットの駆動により、上記支持部１３に管軸を鉛直
にして位置決め支持されたカラー受像管１２のフェース
プレート１１に対して、水平方向に移動するようになっ
ている。この一対のスプレーノズル２０ａ，２０ｂ　は
２流体微噴霧式のスプレーノズルであり、スプレー・ブ
ース１０の外側には、これらスプレーノズル２０ａ，２
０ｂ　に供給する反射防止膜形成液の貯蔵槽２１および
気体圧を調整する圧力制御部２２が設置されている。

【００１５】なお、上記ロボットは、中央制御装置（Ｃ
ＰＵ）２４から送出される制御信号に基づいてロボット
制御部２５から送出される制御信号に基づいて動作する
。同様に支持部１３も、中央制御装置２４から送出され
る制御信号に基づいて動作するようになっている。

【００１６】つぎに、上記装置により反射防止膜形成液
を塗布する方法について述べる。

【００１７】まず所定の工程により製造されたカラー受
像管のフェースプレートの外表面を洗浄し、予備加熱し
たのち、上記塗布装置の支持部１３上に位置決め支持す
る。ついで一対のスプレーノズル２０ａ，２０ｂ　に、
エチルシリケートを主成分とするアルコール溶液からな
る反射防止膜形成液および圧力調整された空気を供給し
てスプレー液量を調整し、各スプレーノズル２０ａ，２
０ｂ　から反射防止膜形成液をスプレーする。この場合
、図１（ａ）に示すように、一方のスプレーノズル２０
ａ　を支持部上に位置決め支持させたカラー受像管のフ
ェースプレート１１の一側上に位置させてスプレー開始
位置とし、ロボットによりフェースプレート１１を矢印
２７方向（Ｙ軸方向）に動かすとともに、矢印２８方向
（Ｘ軸方向）に動かし、フェースプレート１１の外表面
の１／２の領域を走査させる。このとき、カラー受像管
のフェースプレート１１外径を２等分する間隔で取付け
られている他方のスプレーノズル２０ｂ　は、上記一方
のスプレーノズル２０ａ　とともに移動し、フェースプ
レート１１の外表面の中央部側から他側までの１／２の
領域を走査する（第１塗布工程）。

【００１８】つぎに、一旦スプレーを中止し、支持部上
に位置決め支持させたカラー受像管を管軸を中心として
１８０°回転させる。その後、再びスプレーを開始し、
同（ｂ）に矢印２９，３０　で示すように、スプレーノ
ズル２０ａ，２０ｂ　を前回の第１塗布工程とは逆方向
に動かして、フェースプレート１１外表面の各１／２の
領域を走査させ、一方のスプレーノズル２０ａ　が第１
塗布工程のスプレー開始位置に達したときにスプレーを
停止する（第２塗布工程）。

【００１９】なお、上記第２塗布工程でのスプレーは、
第１塗布工程でのスプレーに対して、若干塗布位置がＸ
軸方向にずれるように、フェースプレート１１に対して
スプレーノズル２０ａ，２０ｂ　を移動させておこなう
とよい。

【００２０】なお、フェースプレート１１外表面に塗布
されたエチルシリケートを主成分とするアルコール溶液
は、予備加熱されているフェースプレート１１の温度に
より瞬時にその溶媒が蒸発して乾燥薄膜となる。この薄
膜は、その後、カラー受像管を１００〜３００℃の加熱
炉に入れて焼成し、ＳｉＯ２からなる凹凸を有する反射
防止膜とする。

【００２１】ところで、上記のようにフェースプレート
１１外表面にエチルシリケートを主成分とするアルコー
ル溶液をスプレー塗布すると、従来にくらべて約１／２
の時間でエチルシリケートを主成分とするアルコール溶
液を塗布することができ、しかも均一良好な反射防止膜
を安定に形成することができる。

【００２２】特にその反射防止膜の品質について、図４
（ａ）および（ｂ）に示すように、管軸を鉛直にして支
持されたカラー受像管１２のフェースプレート１１に対
して、スプレーノズル２０ａ，２０ｂ　を水平または平
行に移動させて、図５（ａ）に示すように、矢印２７，
２８　方向にのみ移動する場合は、両スプレーノズル２
０ａ，２０ｂ　が全く同一であり、かつ各スプレーノズ
ル２０ａ，２０ｂ　の空気圧、スプレー液量などのスプ
レー条件が同一となるように調整しておけば、フェース
プレート１１外表面の左右の塗布領域の各スプレーノズ
ル２０ａ，２０ｂ　による塗布量は同一となり、均一な
塗布が可能であるが、そのスプレー条件などがバランス
していないと、同（ｂ）に示すように、左右の塗布領域
の塗布量が不均一となる。しかも、このようにアンバラ
ンスのものを上記矢印２８方向に移動する場合を第１塗
布工程として、つぎにフェースプレート１１を回転する
ことなく、第２塗布工程として、図６（ａ）に示すよう
に、矢印２９，３０　で示す逆方向に移動して塗布する
と、同（ｂ）に示すように、左右の塗布領域の塗布量の
不均一は一層甚だしいものとなる。

【００２３】しかし、上記この例の方法のように、第１
塗布工程終了後、スプレーノズル２０ａ，２０ｂ　に対
してフェースプレート１１を１８０°回転し、その後、
第２塗布工程の塗布をおこなうと、第１塗布工程で一方
のスプレーノズル２０ａ　で塗布された領域が、第２塗
布工程では他方のスプレーノズル２０ｂ　で塗布され、
また第１塗布工程で他方のスプレーノズル２０ｂ　で塗
布された領域が、第２塗布工程では一方のスプレーノズ
ル２０ａ　で塗布さるようになるため、一対のスプレー
ノズル２０ａ，２０ｂ　のスプレー条件などがアンバラ
ンスであってっも、フェースプレート１１外表面の全域
を均一に塗布することができるようになる。

【００２４】なお、上記実施例では、第１塗布工程終了
後、スプレーノズル２０ａ，２０ｂ　に対してフェース
プレート１１を１８０°回転したが、この回転は、一対
のスプレーノズル２０ａ，２０ｂ　を回転することでも
おこなうこができる。

【００２５】また、上記実施例では、エチルシリケート
を主成分とするアルコール溶液をスプレーする場合につ
いて述べたが、この発明は、エチルシリケートのアルコ
ール溶液にＳｉＯ２　微粒子を分散させたエチルシリケ
ートとＳｉＯ２　微粒子とを主成分とするアルコール液
の場合にも適用できる。

【００２６】なおまた、上記実施例は、カラー受像管の
フェースプレート外表面に反射防止膜を形成する場合に
ついて述べたが、この発明は、カラー受像管以外の陰極
線管のフェースプレート外表面に反射防止膜を形成する
場合にも適用できる。

【００２７】

【発明の効果】陰極線管のフェースプレート外表面にエ
チルシリケートを主成分とするアルコール溶液をスプレ
ーして反射防止膜を形成するに際し、そのフェースプレ
ート外径を２等分割する間隔に固定された一対のスプレ
ーノズルを用いると、従来の１個のスプレーノズルの場
合にくらべて、スプレー時間を約１／２に短縮すること
ができ、しかも一対のスプレーノズルによりフェースプ
レート外表面の１／２づつを走査して塗布したのち、ス
プレーノズルと陰極線管とを相対的に１８０°回転し、
その後、一対のスプレーノズルを逆方向に移動して、フ
ェースプレート外表面の１／２づつを走査して塗布する
ことにより、各スプレーノズルのスプレー条件などがア
ンバランスであっても、各分割領域に対する塗布が均等
となり、フェースプレート外表面の全面に均一良好な反
射防止膜を安定に形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）はこの発明の一実施例であるカラー
受像管のフェースプレート外表面にエチルシリケートを
主成分とするアルコール溶液をスプレーする第１塗布工
程を説明するための図、図１（ｂ）はその第２塗布工程
を説明するための図である。

【図２】その塗布装置の構成を示す図である。

【図３】図３（ａ）はその塗布装置の支持部の平面図、
図３（ｂ）はその正面図である。

【図４】図４（ａ）はこの発明の効果を説明するための
図で、一対のスプレーノズルを水平に移動する場合の図
、図４（ｂ）はフェースプレート外表面に対して平行に
移動する場合の図である。

【図５】図５（ａ）はその一対のスプレーノズルを一方
向に移動してスプレーする場合の図、図５（ｂ）はその
場合のフェースプレート外表面への塗布状態を説明する
ための図である。

【図６】図６（ａ）は一対のスプレーノズルを図５（ａ
）に示した一方向移動後に逆方向に移動してスプレーす
る場合の図、図６（ｂ）はその場合のフェースプレート
外表面への塗布状態を説明するための図である。

【図７】反射防止膜を有する陰極線管の図である。

【符号の説明】

１１…フェースプレート １２…カラー受像管 １３…支持部 １７…ヘッド部 １８…ロボット本体 １９…アーム ２０ａ，２０ｂ　…スプレーノズル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　陰極線管のフェースプレート外径を２
   等分割する間隔に固定された一対のスプレーノズルを上
   記フェースプレート外表面と対向させ、このスプレーノ
   ズルから少なくともエチルシリケートを主成分とするア
   ルコール液をスプレーしながらＸ軸およびＹ軸方向に移
   動して上記フェースプレート外表面の１／２づつを走査
   することにより上記フェースプレート外表面の１／２づ
   つに上記アルコール液を塗布する第１塗布工程と、上記
   第１塗布工程終了後、上記スプレーノズルと上記陰極線
   管とを相対的に１８０°回転する回転工程と、上記回転
   工程終了後、上記一対のスプレーノズルから上記アルコ
   ール液をスプレーしながら上記第１塗布工程とは逆向き
   移動して上記フェースプレート外表面の１／２づつを走
   査することにより上記フェースプレート外表面の１／２
   づつに上記アルコール液を塗布する第２塗布工程とを有
   することを特徴とする反射防止膜を有する陰極線管の製
   造方法。