JPH04228602A - 耐切創性にすぐれた靴下 - Google Patents

耐切創性にすぐれた靴下

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JPH04228602A
JPH04228602A JP3146283A JP14628391A JPH04228602A JP H04228602 A JPH04228602 A JP H04228602A JP 3146283 A JP3146283 A JP 3146283A JP 14628391 A JP14628391 A JP 14628391A JP H04228602 A JPH04228602 A JP H04228602A
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JP
Japan
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yarn
molecular weight
ultra
high molecular
socks
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Withdrawn
Application number
JP3146283A
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English (en)
Inventor
Yoshiyasu Fujiwara
藤原 義康
Hirofumi Shirai
白井 博典
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靴下に関するものであ
り、より詳しくは、重工業職種の作業、土木、建築作業
あるいはアイスホッケーなどの過激なスポーツにおいて
着用する耐切創性にすぐれた靴下に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】重工業職種の作業、土
木、建築作業あるいはアイスホッケーなどの過激なスポ
ーツに携わる人達にとっては、刃物や工具類あるいはス
ケートのエッジなどが落下したり、接触あるいは衝突し
たりすることにより、該刃物等が靴によってカバーされ
ていない部分の靴下を切り裂き、足に負傷を負う事故が
発生する。このような事故は、従来靴下の材料として使
用されているナイロンやポリエステルなどの繊維が耐切
創性の点で不十分であることに起因するもので、その防
止対策としては、靴下、とくに脛の部分を厚手に形成し
たり、脛の部分にプロテクターを着用するなどの防護手
段が講じられているが、このような対策を講じても靴下
の切創は避けえないし、しかも、いずれの方法によって
も、作業者や競技者の俊敏な行動を妨げる結果をもたら
し、必ずしも好ましいものとはいえない。
【0003】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、薄手の材料か
ら構成されていながら、鋭利な刃物等の接触や衝突によ
っても切り裂かれることのない、耐切創性にすぐれた靴
下を提供することにある。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明は、前記目的を
達成するために提案されたものであって、特定の重合体
の分子配向成形体を主体とする糸を材料として編織した
靴下を特徴とするものである。すなわち、本発明によれ
ば、極限粘度[η]が少なくとも5dl/gである超高
分子量エチレン系重合体の分子配向成形体を主体とする
糸を材料とし、これを編織した靴下が提供される。また
、本発明によれば、前記超高分子量エチレン系重合体が
、炭素数3個以上のα−オレフィンを、炭素数1000
個あたり平均0.1 ないし20個含有する、エチレン
とα−オレフィンの共重合体、とくにα−オレフィンが
、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1
、オクテン−1およびデセン−1からなる群から選ばれ
1種または2種以上のものであるエチレンとα−オレフ
ィン共重合体を使用した場合に、一層耐切創性にすぐれ
た靴下が提供される。さらに、本発明によれば、前記糸
が、超高分子量エチレン系重合体の延伸糸と、ナイロン
またはポリエステルのスパン糸混合または交織糸、ある
いは、超高分子量エチレン系重合体の延伸糸を芯とし、
その外面にナイロンまたはポリエステルのスパン糸を巻
いたコアスパン糸を使用しても耐切創性にすぐれた靴下
を提供することができる。
【0005】
【発明の具体的な説明】本発明に係る耐切創性の靴下は
、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が
、少なくとも5dl/g、好ましくは6ないし30dl
/gである超高分子量エチレン系重合体の分子配向成形
体を主体とした糸を編織することによってつくられる。
【0006】超高分子量エチレン系重合体としては、超
高分子量ポリエチレンばかりでなく、前記の極限粘度を
有するエチレンと、炭素数が3個以上、好ましくは4な
いし10個のα−オレフィン、たとえばプロピレン、ブ
テン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘ
キセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1
の1種または2種以上との共重合体が挙げられるが、な
かでも、エチレンと、ブテン−1、4−メチルペンテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1およびデセン−1か
らなる群より選ばれた1種または2種以上のα−オレフ
ィンとの共重合体が、耐切創性にすぐれるばかりでなく
、耐摩耗性、耐クリープ性にすぐれ、高い強度を有して
おり、本発明の目的に好適に使用される。さらに、前記
超高分子量エチレン系重合体が、エチレンとα−オレフ
ィンとの共重合体である場合には、α−オレフィンコモ
ノマーは、炭素数1000個あたり平均0.1 ないし
20個、好ましくは平均0.5 ないし10個含有され
ていることが望ましい。共重合体中におけるα−オレフ
ィンコモノマーの含有量が前記の範囲にあることにより
、α−オレフィン成分が高破断エネルギーの達成に有効
な分子間絡み合い構造を形成し、この構造が、耐切創性
をはじめとする、前記物性向上に寄与し、その分子配向
成形体を主体とする糸を編織することによってつくられ
た靴下は、薄地の材料を用いているにも拘らず、すぐれ
た耐切創性を有するものとなる。
【0007】本発明における超高分子量エチレン・α−
オレフィン共重合体中のα−オレフィン成分の定量は、
赤外分光光度計(日本分光工業製)によって行った。つ
まりエチレン鎖の中に取り込まれたα−オレフィンのメ
チル基の変角振動を表わす1378cm−1の吸光度を
測定し、これからあらかじめ13C核磁気共鳴装置にて
、モデル化合物を用いて作成した検査線にて1000炭
素原子当りのメチル分岐数に換算することにより測定し
た値から算出した。
【0008】超高分子量エチレン系重合体の極限粘度[
η]が5dl/g未満のものは、たとえ延伸倍率を大き
くしても、十分な強度の分子配向成形体が得られず、逆
に[η]が30dl/g以上のものは、高濃度下での溶
融粘度が極めて高く、押出時にメルトフラクチャー等が
発生し、溶融紡糸性に劣るため、好適なマルチフィラメ
ントを得ることができない。
【0009】本発明の靴下の材料となる糸は、前記超高
分子量エチレン系重合体の延伸糸を主体とするものであ
るが、マルチフィラメントが前記重合体からつくられた
フィルムまたはテープをカーディング機で解繊した解繊
糸、または構成繊維各部分の繊維分布をコントロールす
ることによってえられる嵩高糸である繊毛糸を使用して
もよい。本発明で靴下の材料となる前記マルチフィラメ
ントは、50ないし2000デニール、好ましくは15
0 ないし1000デニールのものが使用される。なお
、本発明において使用する超高分子量エチレン系重合体
の分子配向成形体のマルチフィラメントは、引張り強度
が最低でも1.5GPa以上、弾性率が20GPa 以
上である。
【0010】この超高分子量エチレン系重合体の分子配
向成形体から構成される糸は、靴下の組織の少なくとも
一方向に使用されるものであるが、該糸として、ナイロ
ンまたはポリエステルのスパン糸を50%以下の割合で
混合または交織した糸、あるいは、該糸を芯とし、その
外面にナイロンまたはポリエステルのスパン糸を巻いた
コアスパン糸を使用してもよい。靴下の組織の一方向に
これらの糸を用いた場合、これとクロスする方向の糸と
しては、前記の糸の中から選ばれたものが適宜使用され
うることは勿論である。かくして得られた、特定の重合
体の分子配向成形体を主体とする糸を使用して編織した
靴下の目付は、100ないし800g/m2 、好まし
くは200ないし600g/m2のものである。
【0011】本発明の超高分子量エチレン系重合体は、
エチレンまたはエチレンと前記α−オレフィンコモノマ
ーとを、周期律表第IVb,Vb,VIb,VIII族
の遷移金属化合物および周期律表第IないしIII 族
の金属水素化物または有機金属よりなる触媒の存在下に
、たとえば有機溶媒中でスラリー重合することにより得
ることができる。
【0012】かくして得られた超高分子量エチレン系重
合体は、たとえば、溶融成形を可能にするための稀釈剤
を配合したり、常温固体のパラフィン系ワックスを混合
して溶融押出しされ、ついで延伸されることによって、
繊維あるいはテープなどの分子配向成形体とする。
【0013】稀釈剤としては、超高分子量エチレン系重
合体に対する溶剤や、超高分子量エチレン系重合体に対
して分散性を有する各種ワックス状物が使用される。
【0014】溶剤は、好ましくは前記重合体の融点以上
、さらに好ましくは融点+20℃以上の沸点を有する溶
剤である。
【0015】かかる溶剤としては、具体的にはn−ノナ
ン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−
テトラデカン、n−オクタデカンあるいは流動パラフィ
ン、灯油等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、ナフタ
リン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シク
ロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベン
ゼン、ドデシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリン
、メチルナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭化
水素系溶媒あるいはその水素化誘導体、1,1,2,2
 −テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサ
クロロエタン、1,2,3 −トリクロロプロパン、ジ
クロロベンゼン、1,2,4 −トリクロロベンゼン、
ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、パラフィ
ン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香
族系プロセスオイル等の鉱油が挙げられる。
【0016】ワックス類としては、脂肪族炭化水素化合
物あるいはその誘導体が使用される。
【0017】脂肪族炭化水素化合物としては、飽和脂肪
族炭化水素化合物を主体とするもので、通常分子量が2
000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましく
は800以下のパラフィン系ワックスと呼ばれるもので
ある。これら脂肪族炭化水素化合物としては、具体的に
はドコサン、トリコサン、テトラコサン、トリアコンタ
ン等の炭素数22以上のn−アルカンあるいはこれらを
主成分とした低級n−アルカンとの混合物、石油から分
離精製された所謂パラフィンワックス、エチレンあるい
はエチレンと他のα−オレフィンとを共重合して得られ
る低分子量重合体である中・低圧法ポリエチレンワック
ス、高圧法ポリエチレンワックス、エチレン共重合ワッ
クスあるいは中・低圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチ
レン等のポリエチレンを熱減成等により分子量を低下さ
せたワックスおよびそれらのワックスの酸化物あるいは
マレイン酸変性等の酸化ワックス、マレイン酸変性ワッ
クス等が挙げられる。
【0018】脂肪族炭化水素化合物誘導体としては、脂
肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基)の末端も
しくは内部に1個またはそれ以上、好ましくは1ないし
2個、特に好ましくは1個のカルボキシル基、水酸基、
カルバモイル基、エステル基、メルカプト基、カルボニ
ル基等の官能基を有する化合物である炭素数8以上、好
ましくは、炭素数12ないし50、または分子量130
ないし2000、好ましくは200ないし800の脂肪
酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル
、脂肪族メルカプタン、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケト
ン等を挙げることができる。具体的には、脂肪酸として
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸
、ステアリン酸、オレイン酸、脂肪族アルコールとして
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルア
ルコール、ステアリルアルコール、脂肪酸アミドとして
カプリンアミド、ラウリンアミド、パルミチンアミド、
ステアリルアミド、脂肪酸エステルとしてステアリル酢
酸エステル等を例示することができる。
【0019】超高分子量エチレン系重合体と稀釈剤との
比率は、これらの種類によっても相違するが、一般的に
言って3:97ないし80:20、特に15:85ない
し60:40の重量比で用いるのがよい。稀釈剤の量が
上記範囲よりも低い場合には、溶融粘度が高くなり過ぎ
、溶融混練や溶融成形が困難になると共に、成形物の肌
荒れが著しく、延伸切れ等を生じ易い。一方、稀釈剤の
量が上記範囲よりも多いと、やはり溶融混練が困難とな
り、また成形品の延伸性が劣るようになる。
【0020】溶融混練は、一般に150ないし300℃
、特に170ないし270℃の温度で行なうのが望まし
く、上記範囲よりも低い温度では、溶融粘度が高すぎて
、溶融成形が困難となり、また上記範囲よりも高い場合
には、熱減成により超高分子量エチレン系重合体の分子
量が低下して高弾性率および高強度の成形体を得ること
が困難となる。なお、配合はヘンシェルミキサー、V型
ブレンダー等による乾式ブレンドで行ってもよいし、単
軸あるいは多軸押出機を用いる溶融混合で行ってもよい
【0021】溶融成形は、一般に溶融押出成形により行
われる。たとえば、紡糸口金を通して溶融押出すること
により、延伸用フィラメントが得られ、またフラットダ
イあるいはリングダイを通して押出すことにより延伸用
テープが得られる。この際、紡糸口金より押出された溶
融物にドラフト、すなわち溶融状態での引き伸しを加え
ることもできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内での押
出速度VO と冷却固化した未延伸物の巻き取り速度V
との比をドラフト比として次式で定義することができる
。 ドラフト比=V/VO  このようなドラフト比は、混合物の温度および超高分子
量エチレン系重合体の分子量等により変化するが、通常
は3以上、好ましくは6以上とすることができる。
【0022】次に、このようにして得られた超高分子量
エチレン系重合体の未延伸成形体を延伸処理する。延伸
操作は、一段あるいは二段以上の多段で行うことができ
る。延伸倍率は、所望とする分子配向および、これに伴
なう融解温度向上の効果にも依存するが、一般に5ない
し80倍、特に10ないし50倍の延伸倍率となるよう
に延伸操作を行えば満足すべき結果が得られる。一般に
は、二段以上の多段延伸が有利であり、一段目では、8
0ないし120℃の比較的低い温度で押出成形体中の稀
釈剤を抽出しながら延伸操作を行ない、二段目以降では
、120ないし160℃の温度で、かつ、一段目の延伸
温度よりも高い温度で成形体の延伸操作を続行するのが
よい。
【0023】かくして得られる分子配向成形体は、所望
により拘束条件下に熱処理することができる。この熱処
理は、一般に140ないし180℃、特に150ないし
175℃の温度で、1ないし20分間、特に3ないし1
0分間行うことができる。熱処理により、配向結晶部の
結晶化が一層進行し、結晶融解温度の高温側移行、強度
および弾性率の向上および高温での耐クリープ性の向上
がもたらされる。
【0024】成形体における分子配向の過程は、X線回
折法、複屈折法、蛍光偏光法等で知ることができる。本
発明の超高分子量エチレン系重合体の延伸フィラメント
の場合、たとえば、呉祐吉、久保揮一郎:工業化学雑誌
第39巻、992頁(1939)に詳しく述べられてい
る半値巾による配向度、すなわち、式   (式中、H°は赤道線上最強のパラトロープ面のデ
バイ環に沿っての強度分布曲線の半値巾(°)である。 )で定義される配向度(F)が0.90以上、特に0.
95以上となるように分子配向されていることが、機械
的性質の点で望ましい。
【0025】本発明にかかる靴下は、かくして得られる
超高分子量エチレン系重合体の分子配向成形体からなる
糸を、単独で自体公知の方法によって編織して靴下とす
るか、該糸、または該糸と50%以下のナイロンあるい
はポリエステルのスパン糸との混合または交織糸、ある
いは該糸を芯とし、その外面にナイロンまたはポリエス
テルのスパン糸を巻いたコアスパン糸を、組織の少なく
とも一方向に使用し、これとクロスする方向の糸を上記
いずれかの糸を用いて編織するものである。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、特定の重合体の分子配
向成形体を主体とする糸を材料とした靴下が提供され、
この靴下は、組織が前記特定の糸によって編織されてい
るために、耐切創性のみならず、耐摩耗性および耐クリ
ープ性にすぐれ、各種の土木、建築工事などの重作業、
あるいはアイスホッケーなどのような接触によって負傷
する恐れのある過激なスポーツにおいて、靴下の切裂き
に起因する負傷を未然に防止することができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 参考例1 <超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の重合>チ
ーグラー系触媒を用い、n−デカン1リットルを重合溶
媒として、超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の
スラリー重合を行なった。エチレンとブテン−1との組
成がモル比で97.2:2.8 の比率の混合モノマー
ガスを圧力が5kg/cm2の一定圧力を保つように反
応器に連続供給した。重合は反応温度70℃で2時間で
終了した。得られた超高分子量エチレン・ブテン−1共
重合体粉末の収量は160 gで極限粘度[η](デカ
リン:135℃)は8.2dl/g、赤外分光光度計に
よるブテン−1含量は1000炭素原子あたり1.5 
個であった。
【0028】<超高分子量エチレン・ブテン−1共重合
体延伸配向物の調製>上述の重合により得られた超高分
子量エチレン・ブテン−1共重合体粉末20重量部とパ
ラフィンワックス(融点=69℃、分子量=490)8
0重量部との混合物を次の条件で溶融紡糸した。該混合
物 100重量部に、プロセス安定剤として、3,5 
−ジ−tert−ブチル−4−ハイドロキシトルエンを
0.1 重量部配合した。次いで該混合物をスクリュー
式押出機(スクリュー径=25mm、L/D =25、
サーモプラスチックス社製)を用いて、設定温度 19
0℃で溶融混練を行なった。引続き、該混合溶融物を押
出機に付属するオリフィス径2mmの紡糸ダイより溶融
紡糸した。押出溶融物は 180cmのエアーギャップ
で36倍のドラフト比で引き取られ、空気中にて冷却、
固化し、未延伸繊維を得た。さらに該未延伸繊維を次の
条件で延伸した。
【0029】三台のゴデットロールを用いて二段延伸を
行なった。このとき第一延伸槽の熱媒はn−デカンであ
り、温度は 110℃、第二延伸槽の熱媒はトリエチレ
ングリコールであり、温度は 145℃であった。槽の
有効長はそれぞれ50cmであった。延伸に際しては、
第1ゴデットロールの回転速度を0.5m/分として第
3ゴデットロールの回転速度を変更することにより、所
望の延伸比の配向繊維を得た。第2ゴデットロールの回
転速度は安定延伸可能な範囲で適宜選択した。初期に混
合されたパラフィンワックスは、ほぼ全量が延伸時n−
デカン中に抽出された。このあと配向繊維は水洗し、減
圧下室温にて一昼夜乾燥し、諸物性の測定に供した。な
お延伸比は、第1ゴデットロールと第3ゴデットロール
の回転速度比から計算で求めた。
【0030】<引張特性の測定>弾性率および引張強度
は、島津製作所製DCS−50M 型引張試験機を用い
、室温(23℃)にて測定した。この時クランプ間の試
料長は 100mmであり、引張速度 100mm/分
(100%/分歪速度)であった。弾性率は、初期弾性
率で接線の傾きを用いて計算した。計算に必要な繊維断
面積は、密度を0.960g/cc として重量から計
算で求めた。
【0031】<熱履歴後の引張弾性率、強度保持率>熱
履歴試験は、ギヤーオーブン(パーフェクトオーブン:
田葉井製作所製)内に放置することによって行なった。 試料は約3mの長さでステンレス枠の両端に複数個の滑
車を装置したものに折り返しかけて試料両端を固定した
。この際試料両端は試料がたるまない程度に固定し、積
極的に試料に張力はかけなかった。熱履歴後の引張特性
は、前述の引張特性の測定の記載に基づいて測定した。
【0032】<耐クリープ性の測定>耐クリープ性の測
定は、熱応力歪測定装置TMA/SS10(セイコー電
子工業社製)を用いて、試料長1cm、雰囲気温度70
℃、荷重は室温での破断荷重の30%に相当する重量の
促進条件下で行なった。クリープ量を定量的に評価する
ため以下の二つの値を求めた。すなわち、試料に荷重を
加えて90秒経過時のクリープ伸び(%)CR90の値
と、この90秒経過時から 180秒経過時の平均クリ
ープ速度(sec−1) εの値である。
【0033】得られた延伸配向繊維を複数本束ねたマル
チフィラメントの引張特性を表1に示す。
【0034】超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体
延伸フィラメント(試料−1)の本来の結晶融解ピーク
は126.7 ℃、全結晶融解ピーク面積に対するTp
 の割合は33.8%であった。また耐クリープ性はC
R90=3.1 %、ε=3.03×10−5sec−
1 であった。さらに 170℃、5分間の熱履歴後の
弾性率保持率は102.2 %、強度保持率は102.
5 %で熱履歴による性能の低下は見られなかった。ま
た、延伸フィラメントの破断に要する仕事量は10.3
kg・m/gであり、密度は 0.973g/cm3 
であり、誘電率は2.2 であり、誘電正接は0.02
4 %であり、インパルス電圧破壊値は 180kV/
mm であった。マルチフィラメントの結節強度、ルー
プ強度の直線強度に対する低下率は、それぞれ38%、
36%であった。
【0035】実施例1 参考例1で得られた超高分子量エチレン・ブテン−1共
重合体の延伸配向物(試料−1)の1000デニールマ
ルチフィラメントを用いて8ゲージのミラノリブを編組
した。得られたクロスの厚さは1.7mm 、目付は4
50g/m2 であった。このクロスを用いて下記の方
法により耐切創性の評価を行なった。
【0036】図1に評価装置の斜視図を、図2にその側
面図を示す。定速で水平方向に移動出来る、巾15cm
、長さ約60cmの試料固定台(1)に、厚さ3mmの
シリコーンラバーを2枚乗せ(2)、その上に上記クロ
スを1枚重ねて(3)、押え板(4)をビス止めするこ
とによって固定した。この試料台の巾方向中央部に位置
して、固定台に対して垂直に刃物を押し下げることの出
来る刃物取付具(5)を設けた。この刃物取付具(5)
は、支持具(6)によって垂直に支持されているが、上
下動を束縛されることなく支持されている。刃物取付具
(5)の下端には、片刃カミソリ刃(7)を試料クロス
(3)面に対して図2に示したようにα=15度の角度
で取付け、上端に刃物取付具との合計重量が1kgにな
るような荷重(8)を加えた。試料押え板(4)から1
0cmの位置に、上記装置の刃先を降し、直ちに500
mm/minの速さで、試料固定台を矢印方向に水平に
20cm移動させ切り裂き試験を行なった。なおカミソ
リ刃は1測定毎に新品に交換し、5測定行なった。刃物
を走らせた部分を手で押し拡げて見た結果、編み組織が
ほつれる個所や切り裂かれた個所は認められなかった。
【0037】実施例2 超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の延伸配向物
(試料−1)の500デニールマルチフィラメントを芯
糸にして、その外周にナイロンスパン糸200デニール
を20回/cmのピッチで被覆したのち、温度110℃
でヒートセットすることによりコアスパン糸を準備した
。 次いでこのコアスパン糸を使って8ゲージのミラノリブ
を編組した。得られたクロスの厚さは1.8mm 、目
付は500g/m2 であった。このクロスの耐切創性
の評価を実施例1と同じ方法で行なった。この結果、表
層のナイロンスパン糸は、カミソリ刃によって切れたが
、試料−1の繊維束の切断はなく、手で押し拡げて編み
組織がほつれる個所もなかった。
【0038】参考例2 <超高分子量ポリエチレンの重合>チーグラー系触媒を
用いて、n−デカン1リットル重合溶媒として超高分子
量ポリエチレンのスラリー重合を行なった。重合に先立
って反応器中にエチレンガスと水素ガスとの混合ガスを
圧力5kg/cm2(うち水素ガス分圧 0.2kg/
cm2)となる様に充満させ、以後、エチレンガスのみ
を重合圧力を5kg/cm2を保つ様に供給した。重合
は反応温度70℃で2時間で終了した。得られた超高分
子量ポリエチレンの収量は 170gで極限粘度[η]
(デカリン:135℃)は7.42 dl/gであった
【0039】<超高分子量ポリエチレン重合体延伸配向
物の調製>超高分子量ポリエチレン(ホモポリマー)粉
末(極限粘度[η]=7.42 dl/g、デカリン、
135 ℃):20重量部とパラフィンワツクス(融点
=69℃、分子量=490):80重量部の混合物を参
考例1の方法で溶融紡糸し、延伸し、延伸配向繊維(試
料−2)を得た。表2に得られた延伸配向繊維を複数本
束ねたマルチフィラメントの引張特性を示す。
【0040】超高分子量ポリエチレン延伸フィラメント
(試料−2)本来の結晶融解ピークは<135.1 ℃
、全結晶融解ピーク面積に対するTp の割合は8.8
 %であった。また同様に全結晶融解ピーク面積に対す
る高温側ピークTp1の割合は1%以下であった。耐ク
リープ性はCR90=11.9%、ε=1.07×10
−3sec−1 であった。また 170℃、5分間の
熱履歴後の弾性率保持率は80.4%、強度保持率は7
8.2%であった。さらに試料−2の破断に要する仕事
量は10.2kg・m/gであり、密度は 0.985
g/cm3 であり、誘電率は2.3 、誘電正接は0
.030 %であり、インパルス電圧破壊値は 182
kV/mm であった。マルチフィラメントの結節強度
、ループ強度の直線強度に対する低下率は、それぞれ5
4%、52%であった。
【0041】実施例3 参考例2で得られた超高分子量ポリエチレンの延伸配向
物(試料−2)の1000デニールマルチフィラメント
を用いて8ゲージのミラノリブを編組した。得られたク
ロスの厚さは1.7mm 、目付は448g/m2 で
あった。次いで、このクロスの耐切創性の評価を実施例
1と同じ方法で行った結果、全試験長にわたって切り裂
かれた個所はなく、刃物が走った部分を手で押し拡げて
も編み組織がほつれる個所はなかった。
【0042】実施例4 芯糸に超高分子量ポリエチレンの延伸配向物(試料−2
)の500デニールマルチフィラメントを用い、側にナ
イロンスパン糸200デニールを用いて実施例2と同じ
方法でコアスパン糸を準備した。次いで、このコアスパ
ン糸を用いて8ゲージのミラノリブを編組した。得られ
たクロスの厚さは1.8mm 、目付は505g/m2
 であった。このクロスの耐切創性の評価を実施例1と
同じ方法で行なった結果、表層のナイロンスパン糸は切
れたが、芯材テクミロンが切断された個所はなく手で押
し拡げてほつれる個所もなかった。
【0043】比較例 市販のスポーツ用無地のナイロンくつ下(厚さ約1mm
) を購入して、タテに切り裂き「身部」を2足分重ね
て実施例1と同じ方法で切創試験を行なった。(但しタ
テ方向)この結果カミソリ刃により2枚とも簡単に切り
裂かれた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において耐切創性を評価するた
めの装置の斜視図である。
【図2】図1の装置の側面図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  極限粘度[η]が少なくとも5dl/
    gである超高分子量エチレン系重合体の分子配向成形体
    を主体とする糸を材料とする耐切創性にすぐれた靴下。
  2. 【請求項2】  糸が超高分子量エチレン系重合体の延
    伸糸とナイロンまたはポリエステルのスパン糸混合また
    は交織糸、あるいは超高分子量エチレン系重合体の分子
    配向成形体を芯とし、その外面にナイロンまたはポリエ
    ステルのスパン糸を巻いたコアスパン糸である請求項1
    記載の靴下。
  3. 【請求項3】  超高分子量エチレン系重合体が、炭素
    数3個以上のα−オレフィンを、炭素数1000個あた
    り平均0.1 ないし20個含有する、エチレンとα−
    オレフィンの共重合体である請求項1または2記載の靴
    下。
  4. 【請求項4】  α−オレフィンが、ブテン−1、4−
    メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1およ
    びデセン−1からなる群から選ばれた1種または2種以
    上のものである請求項1,2または3項記載の靴下。
  5. 【請求項5】  α−オレフィンの含有量が、炭素数1
    000個あたり平均0.5 ないし10個である請求項
    1,2または3項記載の靴下。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06248501A (ja) * 1993-02-19 1994-09-06 Mizuno Corp スポーツ用ソックス
JP2009538995A (ja) * 2006-06-02 2009-11-12 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 耐切断性糸
CN105624889A (zh) * 2016-03-24 2016-06-01 江苏工程职业技术学院 一种超高分子量聚乙烯短纤工业压滤布的生产方法

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