JPH04228532A - アモルファス合金コーティング布 - Google Patents

アモルファス合金コーティング布

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JPH04228532A
JPH04228532A JP12605191A JP12605191A JPH04228532A JP H04228532 A JPH04228532 A JP H04228532A JP 12605191 A JP12605191 A JP 12605191A JP 12605191 A JP12605191 A JP 12605191A JP H04228532 A JPH04228532 A JP H04228532A
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JP
Japan
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amorphous
amorphous alloy
coated
alloy
atomic
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Application number
JP12605191A
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English (en)
Inventor
Kazuo Shimamura
和郎 嶋村
Shuichi Iwasaki
修一 岩崎
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアモルファス合金コーテ
ィング布に係り、特に、かび、バクテリア等に対して優
れた抗菌性を有すると共に、耐酸化性、耐食性にも優れ
たアモルファス合金コーティング布に関する。
【0002】
【従来の技術】水虫や悪臭の原因は、靴の中で繁殖する
かび(白せん菌)やバクテリア(黄色ぶどう球菌)であ
ると考えられている。銅はこのような靴の中で繁殖する
かびやバクテリアに対して、極めて優れた抗菌作用を有
することが知られている。
【0003】しかして、従来より、この銅の抗菌作用を
利用して、銅箔等を用いて構成された靴の中敷が水虫防
止用、悪臭防止用中敷として提案され、一部市販されて
いる。
【0004】例えば、特公昭52−18256号では、
銅板を用いたものが開示されている。特開昭63−15
8002号では、溶射により50〜100μm厚さに銅
のコーティングを施したものが開示されている。また、
実開昭62−17905号では、めっきにより50〜1
0μm厚さに銅のコーティングを施したものが開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の中敷のうち
、銅板を用いているもの(特公昭52−18256号)
では、銅板が厚くフレキシブル性に欠けるため、使用感
が悪いという欠点がある。特開昭63−158002号
や実開昭62−17905号のものでも、やはり十分な
フレキシブル性は得られない。しかも、銅は優れた抗菌
性を有するものの、耐食性に劣る。このため、従来の中
敷では、長期使用により銅が酸化して劣化、変色し、抗
菌性能が失われるという欠点があった。
【0006】本発明は上記従来の問題点を解決し、靴の
中敷等として有効に用いることができる、抗菌性と耐食
性とを兼備するアモルファス合金コーティング布を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1のアモルファス
合金コーティング布は、5原子%以上のTa及び/又は
15原子%以上のNbと、Ti及びNiとを含み、残部
が実質的にCuからなる合金であって、Ta及び/又は
NbとTiとの合計含有量が30〜62.5原子%で、
Ni含有量がTa及び/又はNb含有量の0.6〜4倍
であり、かつ、Cu含有量がTi含有量の0.6〜4倍
であるアモルファス合金をスパッタリングによりコーテ
ィングしてなることを特徴とする。
【0008】請求項2のアモルファス合金コーティング
布は、Ta及び/又はNbを15〜85原子%含み、残
部が実質的にCuからなるアモルファス合金をスパッタ
リングによりコーティングしてなることを特徴とする。
【0009】請求項3のアモルファス合金コーティング
布は、1原子%以上のTaと、Ti及び/又はZrとを
含み、残部が実質的にCuからなる合金であって、Ta
とTi及び/又はZrとの合計含有量が15〜85原子
%であるアモルファス合金をスパッタリングによりコー
ティングしてなることを特徴とする。
【0010】請求項4のアモルファス合金コーティング
布は、合計で1原子%以上のTa及びNbと、Ti及び
/又はZrとを含み、残部が実質的にCuからなる合金
であって、Ta及びNbとTi及び/又はZrとの合計
含有量が15〜85原子%であるアモルファス合金をス
パッタリングによりコーティングしてなることを特徴と
する。
【0011】以下に本発明を詳細に説明する。なお、本
発明において、合金は各成分を含有して全体として10
0原子%となるものとする。また、以下において、本発
明に係る組成のアモルファス合金を「Cuアモルファス
」と称する場合がある。本発明に係るCuアモルファス
における各成分組成の限定理由は次の通りである。なお
、請求項1〜4に記載のいずれのCuアモルファスにお
いてもCuは抗菌性を担う元素であって、抗菌活性の面
から、その好ましい含有量は30〜80原子%である。 また、アモルファス合金化元素の中でもTaは最も優れ
た耐食性を示すものであって、その好ましい含有量は1
0〜20原子%である。
【0012】特に、本発明においては、Cu:30〜8
0原子%、Ta:10〜20原子%で、残部がTi等の
元素であることが好ましい。Cuが上記範囲よりも多い
とアモルファス化が阻害され耐食性に劣ることとなり、
逆に少ないとTaやTiの含有量が増えて合金のコスト
が上昇し、好ましくない。また、耐食性の観点から20
原子%を超えるTaは不必要であるが、Cuが上記範囲
内であれば、抗菌性に何ら影響を与えるものではない。
【0013】請求項1のCuアモルファスにおいて、T
a、Nb、Tiはいずれも非酸化性の酸中で保護皮膜を
形成して耐食性を担う元素である。中でもTaはその作
用が最も強く、5原子%以上Taを含めば、Ta及びT
i或いはTa、Ti及びNbとの合計で30原子%含む
場合、濃塩酸中でも十分な耐食性が得られる。NbはT
aに次いで耐食性に有効な元素であって、15原子%以
上含めば、Ti或いはTiとTaとの合計で30原子%
含む場合、濃塩酸中でも十分な耐食性が得られる。
【0014】Ni及びCuは共にTa、Nb、Tiのい
ずれかと適量の割合の合金を構成すれば、アモルファス
構造になり得る。中でもTa及びNbはNiとアモルフ
ァス合金を作り易く、TiはCuとアモルファス合金を
作り易い。従って、本発明に係るCuアモルファスのよ
うに、Ta及び/又はNb、Ti、Ni並びにCuを含
む4元ないし5元合金においては、Ni含有量は、Ta
含有量、Nb含有量或いは両者を含む合金ではTa及び
Nbの総含有量の0.6〜4倍とする。Cuは、本発明
の合金の実質的残部をなすが、Cu含有量はTiの0.
6〜4倍とする。従って、Ta及び/又はNbとTiと
の合計は62.5原子%以下となる。
【0015】なお、請求項1のCuアモルファスが、5
原子%以下のMo、W、Zrを含んでも本発明の目的に
支障はない。
【0016】請求項2〜4のCuアモルファスにおいて
、前述のTa、Nb、Tiと同様にZrもCuと共存す
るとアモルファス構造を形成する元素であって、スパッ
タリング法等でアモルファス構造を形成するためにはT
a、Nb、Zr、Tiの群から選ばれる1種又は2種以
上を15〜85原子%含む必要がある。このうち、Ta
を含まないTi及び/又はZrとCuとの合金、並びに
、Ti及び/又はZrとNb及びCuとの合金であるC
u−Ti、Cu−Zr、Cu−Ti−Zr、Cu−Nb
−Ti、Cu−Nb−Zr及びCu−Nb−Ti−Zr
合金を除いて、Cu−Nb2元アモルファス合金及びT
aを含む全てのアモルファス合金が、スパッタリング法
でしか作成できないものであるが、請求項2〜4の合金
である。なお、Taを1原子%未満しか含まない合金及
びTaとNbの合計で1原子%未満の合金は、実質的に
Taを含まないTi及び/又はZrとCuとの合金、並
びに、Ti及び/又はZrとNb及びCuとの合金であ
るCu−Ti、Cu−Zr、Cu−Ti−Zr、Cu−
Nb−Ti、Cu−Nb−Zr及びCu−Nb−Ti−
Zr合金と同等と見なされるので、請求項3、4におい
て、Taを1原子%以上含むか或いはTaとNbの合計
で1原子%以上含むこととした。
【0017】なお、Ta、Nb、Zr、Tiはいずれも
非酸化性の酸中で保護皮膜を形成して耐食性を担う元素
であり、Zr、Ti、Nb、Taの順にその作用は増大
するため、その耐食性は異なるが、請求項2〜4の合金
もまた、塩酸中で十分な耐食性を示す。
【0018】請求項2〜4のCuアモルファスが、5原
子%以下のMo及び/又はWを含んでいても、本発明の
目的に支障はない。
【0019】本発明のアモルファス合金コーティング布
は、このようなCuアモルファスをスパッタリング法に
より布にコーティングしてなるものである。スパッタリ
ング法はアモルファス合金を作る一つの方法であって、
スパッタリング法によるアモルファス合金の製造は、作
成しようとするアモルファス合金と平均組成が等しいが
単相ではない複数の結晶相からなるターゲットを焼結や
溶融によって作成して用いたり、作成しようとするアモ
ルファス合金の主成分からなる金属板に合金化しようと
する元素を埋め込んで用いたりして行なわれる。
【0020】具体的には、次の通りである。Cu−Ta
或いはCu−Nb合金ターゲットを溶融法などで作成す
ることは困難であるが、Cu板にTa及び/又はNbを
埋め込んだターゲットを用いるスパッタリング法によっ
て、高耐食性を備えたアモルファスCu−Ta、Cu−
Nb及びCu−Ta−Nb合金を得ることができる。こ
の場合、生成するアモルファス合金に場所による不均一
性の発生を避けるために、例えば、第7図及び第8図に
示す如く、スパッター装置チャンバー内で複数のサブス
トレイト12をチャンバーの中心軸の回りに公転させる
と共に(図中、11はサブストレイトの公転軸である。 )、サブストレイト12自体も自転させることが望まし
い。更に、生成するアモルファス合金の組成を広い範囲
で変化させるために、第8図に示す一つのターゲット1
5を用いるものよりも、第7図に示す如く、例えば一つ
のターゲット13はCu板にTa及びNbのいずれか或
いはこの両者を埋め込んだものとし、もう一つのターゲ
ット14はTa及びNbのいずれかとして、これら2つ
のターゲットを互いに傾斜させて2つのターゲットの垂
線の交わる付近にサブストレイトを置くように設置し、
これら2つのターゲットを2つの電源で出力を互いに制
御しながら同時に作動させるのが有利である。
【0021】この方法によって、生成するアモルファス
合金中の合金元素の濃度を自由に変えたり、更にこのバ
リエーションとして、CuにTaやNbと共にTiやZ
rを埋め込んだターゲットを用いるなどいろいろなター
ゲットと方法を組合わせることによって、本発明組成の
Cuアモルファスをコーティングしてなる布が得られる
。2つのターゲットを用いる方法においては、特にサブ
ストレイトの公転と自転が、均一なアモルファス合金を
作成するために必要である。
【0022】スパッタリング法で作成した本発明のアモ
ルファス合金コーティング布は、アモルファスコーティ
ング層は、前記各元素が均一に固有した単相のCuアモ
ルファスである。均一固溶体であるこのCuアモルファ
ス層には、極めて均一で、著しく優れた抗菌性と、高耐
酸化性及び高耐食性を保証する保護皮膜が形成される。
【0023】なお、本発明において、Cuアモルファス
をコーティングする布としては、ナイロン、ポリエステ
ル、ポリウレタン等の不織布或いは織布が挙げられる。
【0024】本発明のアモルファス合金コーティング布
は、 ■  白せん菌 ■  黄色ぶどう球菌 ■  大腸菌 ■  海洋生物(ふじつぼ等) などの各種のかびやバクテリア等に対して優れた抗菌性
を示し、しかも、耐酸化性、耐食性にも優れることから
、 1)靴の中敷用の抗菌防臭材料 2)海洋生物付着防止材料 3)食中毒防止用の包装材料 4)衣類に発生する臭いの防止材料 等として、極めて有効に使用することができる。
【0025】以下に本発明のアモルファス合金コーティ
ング布を靴の中敷として用いる場合について図面を参照
して説明する。第9図は本発明のアモルファス合金コー
ティング布を用いた靴の中敷の一実施例を示す斜視図、
第10図及び第11図は第9図のX−X線に沿う断面の
拡大図である。
【0026】本実施例の靴の中敷21は表面(使用時に
足裏が当接する面)から、ポリ塩化ビニリデンの通気層
(以下、単に層ということがある。)22、Cuアモル
ファスのコーティング層23を有する不織布24及びポ
リ塩化ビニリデンの通気層25が積層された構造を有す
る。
【0027】表面側のポリ塩化ビニリデン層22は、靴
を履く際に足を円滑に靴内に挿入できるように中敷21
に滑り易さを付与すると共に毛羽立ち防止及び通気性の
確保のために設けられ、通常はポリ塩化ビニリデン繊維
の織布からなる厚さ0.1〜3.0mm程度のものであ
る。
【0028】Cuアモルファスのコーティング層23を
形成する不織布24は、中敷21に通気性、吸湿性を付
与するためのものである。不織布24としては特に制限
はないが、通常の場合、ナイロン等の不織布であって、
厚さ0.1〜1.0mm程度のものが用いられる。
【0029】なお、Cuアモルファスのコーティング層
23の厚さは100Å〜1μm程度とするのが抗菌性、
通気性を共に確保する上で有利である。
【0030】中敷21の裏側のポリ塩化ビニリデン層2
5は中敷21にクッション性及び通気性を付与するため
のものであり、通常はポリ塩化ビニリデン繊維をハニカ
ム状に構成したもので厚さ0.1〜3.0mm程度のも
のを用いる。
【0031】このような靴の中敷1は、例えば、不織布
24にCuアモルファスのコーティング層23を形成し
てなる本発明のアモルファス合金コーティング布をポリ
塩化ビニリデン層22、25で挟んで積層したものを、
ウェルダー等を用いて貼り合せることにより容易に製造
することができる。
【0032】なお、第11図に示す如く、裏側のハニカ
ム状ポリ塩化ビニリデン層25の下に、更にポリ塩化ビ
ニリデン繊維の織布からなる厚さ0.1〜3.0mm程
度の通気層26を設け、撥水性を高めることもできる。
【0033】このような靴の中敷によれば、Cuアモル
ファス中のCuイオンにより、優れた抗菌、防臭効果が
得られ、しかもCuアモルファスの優れた耐食性により
、この抗菌、防臭効果は長期間維持される。特に、本発
明のアモルファス合金コーティング布は、Cuアモルフ
ァスのコーティング層をスパッタリングにより形成する
ため、薄いコーティング層とすることができ、設計の自
由度が高く、極めて有利である。
【0034】なお、Cuアモルファスのコーティング層
はこれを不織布を構成する繊維に形成し、このようなコ
ーティング繊維を不織布としたものであっても同様の効
果が得られる。
【0035】
【作用】Cuの抗菌性はCuが金属状態のCu0 でも
、またCu2+のイオン状態でも効果的ではなく、Cu
+ のイオン状態において最も発揮されるといわれてい
る。しかしながら、結晶金属のCuの場合、バルク表面
は最初Cu0 からCu+ (Cu2 O)として存在
するが、時間とともに酸化してCu2+(CuO)或い
は別の化合物に変化する。このため、抗菌性が経時的に
失われる。
【0036】これに対して、Cuを含むアモルファス合
金の場合、その表面に形成される不働態皮膜中のCuが
Cu+ として存在し、かつCu+ イオンがこの皮膜
から表面に移動することから、優れた抗菌性が得られる
【0037】この作用効果をCuアモルファスをナイロ
ン不織布にスパッタリングしてなる本発明のアモルファ
ス合金コーティング布を例示して説明すると、次の通り
である。即ち、スパッタリング直後は第3図に示す如く
、不織布1上にアモルファス合金母相2が形成された状
態であるが、一旦腐食環境におかれると、第1図に示す
如く、アモルファス合金母相2の表面のCuが優先的に
溶解し、耐食性元素(この場合、主にTa)が母相表面
に濃縮して強固な酸化皮膜、即ち不働態皮膜3(この不
働態皮膜はTa2 O5 やTiO2 よりなる。従っ
て、合金元素はTa5+、Ti4+、Cu+ のような
イオン状態で存在する。)が形成され、耐食性が向上す
る、或いは、第2図に示す如く、この不働態皮膜3上に
更にCu+ イオンを含むCu2 Oの表面層4が形成
され、このために抗菌性が発揮される。
【0038】この不働態皮膜3はCuが欠乏することに
なるため、Cu+ イオンはアモルファス合金母相2よ
り不働態皮膜3に供給され、更にこの膜3を通過してC
u+ イオンとして溶解する、或いは、Cu2 Oの酸
化物として存在するものと考えられる。しかして、この
Cu+ イオンが黄色ぶどう球菌や白せん菌等に対して
効果的に働くこととなる。
【0039】第4図に、本発明に係るアモルファス合金
をコーティングした不織布と結晶金属銅の表面のCuイ
オンの状態を光電子分光分析した結果を示す。試料表面
のCu2P光電子結合エネルギーを測定した結果、アモ
ルファス合金コーティング不織布の場合はAに示すよう
に、Cu2Pはサテライトピークを示さず一価の酸化物
Cu2 O(Cu+ )の状態であることが分かる。一
方、金属銅では、Bに示したように最初金属状態であっ
たCu(Cu0 )は、徐々に酸化が進行し一価の酸化
物(Cu2 O:Cu+ )になり、更に酸化が進むと
Cに示すようにサテライトピークを持つCuO(CU2
+)に変化する。
【0040】また、表1にはアモルファス合金コーティ
ング不織布の5%食塩水200ml中でのCuイオンの
溶出量をBCOD、吸光分光分析にて測定した結果を示
す。この結果から、アモルファス合金からは相当量のC
uイオンが溶出することが分かる。なお、この試験後も
アモルファス合金コーティング不織布の表面は金属光沢
を保ち、腐食した様子は全く認められなかった。
【0041】
【表1】
【0042】このように、本発明のアモルファス合金コ
ーティング布では、Cuアモルファス中の、Cuによる
抗菌作用が得られると共に、そのアモルファス合金中に
含まれる耐食元素の働きにより優れた耐酸化性、耐食性
が得られ、酸化劣化による変色、変質や抗菌性の低下が
防止される。
【0043】
【実施例】以下に実験例及び実施例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。なお、以下において、合金組成
を示す数字の単位は原子%である。
【0044】実験例1 各種Cu−Ti−Ni−Taアモルファス合金について
、30℃に保持した6NのHCl中における分極特性と
、Ta含有量に対する耐食性との関係を調べ結果を第5
図及び第6図に示した。
【0045】第5図及び第6図より次のことが明らかで
ある。耐食性の高い金属として知られるTiとCuとの
合金であるCu−Ti合金は、6N  HCl中では容
易に溶解してしまう。一方、この合金にTaを添加して
いくことによって耐食性は飛躍的に向上し、15原子%
以上のTaを含有するアモルファス合金では自己不働態
化して、第3図に示す如く、厳しい腐食環境下において
も全く腐食しないようになる。これらの合金の耐食性は
、合金表面に形成された不働態皮膜の保護作用によるも
のであるが、実施例に挙げたCu−34Ti以外のアモ
ルファスCu合金の不働態皮膜中には、耐食性に優れた
TaとTiが濃縮し、安定な酸化物となって母合金を保
護していることが確認された。また、Cuはこの皮膜中
ではCu+ として存在し、かつCu+ イオンとして
溶液中に優先的に溶解していくことも確認された。
【0046】実験例2 下記菌株に対する本発明のアモルファス合金コーティン
グ布の抗菌性を下記方法により調べ、結果を表2、表3
及び表4に示した。 試験菌株 Trichophyton mentagrophte
s IFO  6124(白せん菌) Staphylococcus aureus IFO
 12732(黄色ぶどう球菌) Escherichia coli IFO  330
1(大腸菌)試験方法 ■  菌液の調整 普通ブイヨン培地(35℃)で培養した試験菌をそのま
ま減菌リン酸緩衝液で希釈し、菌数を調整した。ただし
、白せん菌についてはサブロー寒天培地に血液を5%添
加した培地で14日間培養した菌体を0.05%ポリソ
ルベート80溶液に浮遊させ、菌数を調整した。
【0047】■  試験片 試験片を一辺約5cmの正方形に切り取って用いた。な
お用いた試験材料は以下のA〜Dの合金をナイロン不織
布に厚さ500Åでスパッタリングによりコーティング
したものであり、更に、比較材として下記のE、Fをナ
イロン不織布に同厚さにコーティングしたものと未コー
ティング不織布を用いた。 アモルファス合金A=Cu−65Ti−5Taアモルフ
ァス合金B=Cu−50Ta アモルファス合金C=Cu−34Ta アモルファス合金D=Cu−15Ti−5Ta比較材E
=Cu100% 比較材F=ステンレス 比較材G=未コート材 ■  試験操作 試験片に菌液を十分染み込む程度滴下し、25℃で保存
、6時間及び24時間後の生菌数を測定した。 ■  菌数測定 試験片をSCDLP液体培地で洗い出し、この洗い出し
液について標準寒天培地を用いた混釈平板培養法(35
℃、2日間培養)により生菌数を測定し、試験片一枚当
たりの生菌数に換算した。ただし、白せん菌については
GPLP液体培地で洗い出し、ポテトデキストロース寒
天培地を用いた混釈平板培養法(25℃、14日間培養
)により生菌数を測定し、試験片一枚当たりの生菌数に
換算した。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】実施例1 第9図及び第11図に示す構成の靴の中敷を作製し、モ
ニター試験を行なった。
【0051】各部の仕様は次の通りである。 ポリ塩化ビニリデン層(織布)22の厚さ:0.8mm
Cuアモルファスコーティング層23の厚さ:500Å
Cuアモルファス組成:Cu−40Ti−10Taナイ
ロン不織布24の厚さ:0.2mmポリ塩化ビニリデン
層(ハニカム状)25の厚さ:2.0mm 150名のモニターに対し、約1ケ月間、この中敷を使
用させてモニター試験を行なった結果、足の不快な臭い
の解消についてはほぼ全員が効果を認め、また、白せん
菌に対する抗菌性についても殆どのモニターが効果を認
めた。
【0052】
【表4】
【0053】表2〜表4より明らかなように、本発明の
アモルファス合金コーティング布は、水虫の原因である
白せん菌や悪臭の原因である黄色ぶどう球菌、大腸菌の
いずれの場合も未コーティング不織布に比べて生菌数が
、6時間後に1/100〜1/1000に減少し、更に
24時間後にはほぼゼロとなり、抗菌効果が確認できた
。特に、表4より、本発明のアモルファス合金コーティ
ング布は、食中毒の原因の一つに挙げられている大腸菌
に対しても、白せん菌や黄色ぶどう球菌の場合と同様に
高い抗菌効果が認められることが明らかである。一方、
比較材EのCuはCuアモルファスと同様の抗菌効果が
認められたものの、試験後には膜がかなり溶解していた
。また、比較材Fのステンレスにも弱い抗菌効果が認め
られた。
【0054】実験例3 Cu−40Ti−10Taアモルファス合金をスパッタ
リングにより500Å厚さにコーティングした不織布(
ナイロン)及びCuコーティング不織布(ナイロン)(
コーティング厚さは同厚さ)を表5に示す試験環境にて
それぞれ表5に示す試験期間さらし、表面の状態を調べ
、結果を表5に示した。
【0055】表5より、本発明のアモルファス合金コー
ティング布は耐食性、耐酸化性、耐変色性に著しく優れ
ることが明らかである。
【0056】
【表5】
【0057】実験例4 東京湾に面した市原埠頭に、ふじつぼが発生し易い夏場
の7月18日〜9月4日にわたり、49日間、下記試料
H〜Kをスレンレスワイヤ線に直列につないで浸漬し、
海洋生物の付着状況を調査した。引き上げた後の各試料
の表面状態を目視にて調べた結果を表6に示す。 試料 H:アモルファス合金(Cu−40Ti−10Ta)コ
ーティング不織布(ナイロン)(コーティング厚さ50
0Å) I:ステンレスパイプ J:スレート材 K:未コーティング不織布 表6より、本発明のアモルファス合金コーティング布は
海洋生物の付着防止効果にも優れることが明らかである
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のアモルファ
ス合金コーティング布によれば、安価なCuを抗菌成分
とする各種のカビやバクテリア、海洋生物等に対して著
しく優れた抗菌作用を有し、かつ、耐酸化性、耐食性に
優れ、従って、抗菌性の長期持続性にも優れるアモルフ
ァス合金コーティング布が提供される。本発明のアモル
ファス合金コーティング布は、各種生活用品や建材の雑
菌繁殖防止用途、工業施設の海洋生物付着防止用途等、
幅広い分野において、様々な形態にて有効に使用するこ
とが可能であり、その工業的有用性は極めて大である。 特に、本発明のアモルファス合金コーティング布は、例
えば、ポリ塩化ビニリデンの通気層で挟んで靴の中敷と
することにより、■  Cuイオンによる抗菌、防臭効
果が高い。■  Cu合金であるにもかかわらずアモル
ファスであることから、耐食性に優れ、酸化変色しにく
い。 ■  抗菌、防臭効果の長期持続性に優れる。■金属光
沢を有し、しかも、保温性に優れる。■  吸湿性、通
気性、クッション性に優れる。■  履いたときに違和
感がないように、薄く、足になじみやすい構造にするこ
とができ、オールシーズン快適に利用できる。等の優れ
た効果を有する中敷を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明のアモルファス合金コーティン
グ布の腐食環境における表面状態を示す模式的断面図で
ある。
【図2】第2図は本発明のアモルファス合金コーティン
グ布の腐食環境における表面状態を示す模式的断面図で
ある。
【図3】第3図は本発明のアモルファス合金コーティン
グ布のCuアモルファススパッタリング直後の表面状態
を示す模式的断面図である。
【図4】第4図は試料表面の光電子分光分析結果を示す
グラフである。
【図5】第5図はCuアモルファスの分極特性を示すグ
ラフである。
【図6】第6図はCuアモルファスのTa含有量と耐食
性との関係を示すグラフである。
【図7】第7図は本発明のアモルファス合金コーティン
グ布の作製に好適なスパッター装置の一例を示す概略構
成図である。
【図8】第8図は本発明のアモルファス合金コーティン
グ布の作製に好適なスパッター装置の一例を示す概略構
成図である。
【図9】第9図は本発明のアモルファス合金コーティン
グ布を用いた靴の中敷の一実施例を示す斜視図である。
【図10】第10図は第9図のX−X線に沿う断面の拡
大図である。
【図11】第11図は第9図のX−X線に沿う断面の拡
大図である。
【符号の説明】
1  不織布 2  アモルファス合金母相 3  不働態皮膜 4  表面層 21  靴の中敷 22  ポリ塩化ビニリデン層 23  Cuアモルファスコーティング層24  不織
布 25  ポリ塩化ビニリデン層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  5原子%以上のTa及び/又は15原
    子%以上のNbと、Ti及びNiとを含み、残部が実質
    的にCuからなる合金であって、Ta及び/又はNbと
    Tiとの合計含有量が30〜62.5原子%で、Ni含
    有量がTa及び/又はNb含有量の0.6〜4倍であり
    、かつ、Cu含有量がTi含有量の0.6〜4倍である
    アモルファス合金をスパッタリングによりコーティング
    してなることを特徴とするアモルファス合金コーティン
    グ布。
  2. 【請求項2】  Ta及び/又はNbを15〜85原子
    %含み、残部が実質的にCuからなるアモルファス合金
    をスパッタリングによりコーティングしてなることを特
    徴とするアモルファス合金コーティング布。
  3. 【請求項3】  1原子%以上のTaと、Ti及び/又
    はZrとを含み、残部が実質的にCuからなる合金であ
    って、TaとTi及び/又はZrとの合計含有量が15
    〜85原子%であるアモルファス合金をスパッタリング
    によりコーティングしてなることを特徴とするアモルフ
    ァス合金コーティング布。
  4. 【請求項4】  合計で1原子%以上のTa及びNbと
    、Ti及び/又はZrとを含み、残部が実質的にCuか
    らなる合金であって、Ta及びNbとTi及び/又はZ
    rとの合計含有量が15〜85原子%であるアモルファ
    ス合金をスパッタリングによりコーティングしてなるこ
    とを特徴とするアモルファス合金コーティング布。
JP12605191A 1990-05-29 1991-05-29 アモルファス合金コーティング布 Pending JPH04228532A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2947934B2 (ja) * 1992-05-19 1999-09-13 ウエステイム テクノロジーズ インコーポレイテッド 結晶性金属材料、該金属材料の製造方法および該金属材料でコーティングした医療機器
CN108468001A (zh) * 2018-04-02 2018-08-31 湘潭大学 纯铜增韧生物医用钛基非晶基复合材料及其制备方法
CN109930124A (zh) * 2019-04-12 2019-06-25 大连理工大学 一种应用于探头表面高温导电耐蚀Ti-Nb-Ta合金薄膜材料及其制备方法

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