JPH04218646A - 一方向性電磁鋼板製造用薄鋳片 - Google Patents
一方向性電磁鋼板製造用薄鋳片Info
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- JPH04218646A JPH04218646A JP40313090A JP40313090A JPH04218646A JP H04218646 A JPH04218646 A JP H04218646A JP 40313090 A JP40313090 A JP 40313090A JP 40313090 A JP40313090 A JP 40313090A JP H04218646 A JPH04218646 A JP H04218646A
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Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2.5〜6.5%のS
i を含む0.3〜3.0mm厚の一方向性電磁鋼板製
造用薄鋳片に関する。
i を含む0.3〜3.0mm厚の一方向性電磁鋼板製
造用薄鋳片に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板はトランス等の電気機
器の鉄心材料として利用されており、磁気特性として励
磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならない。しかも近
年、特にエネルギーロスの少ない低鉄損素材への市場要
求が強まっている。しかし、従来の製造方法では、熱延
、冷延、焼鈍などの複雑な工程処理が必要なため、製造
コストが非常に高いという問題がある。そこで最近、電
磁鋼の溶鋼を急冷凝固法で直接薄帯にする技術が開発さ
れた。この方法によれば、溶鋼から直接成品または半成
品が出来るので、製造コストを大幅に下げることが可能
である。
器の鉄心材料として利用されており、磁気特性として励
磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならない。しかも近
年、特にエネルギーロスの少ない低鉄損素材への市場要
求が強まっている。しかし、従来の製造方法では、熱延
、冷延、焼鈍などの複雑な工程処理が必要なため、製造
コストが非常に高いという問題がある。そこで最近、電
磁鋼の溶鋼を急冷凝固法で直接薄帯にする技術が開発さ
れた。この方法によれば、溶鋼から直接成品または半成
品が出来るので、製造コストを大幅に下げることが可能
である。
【0003】この急冷凝固法で一方向性電磁鋼板を製造
する方法は、インヒビターを活用するものが主流である
。たとえば、特開昭63−11619号公報には、Si
:2.5〜6.5%等を含有する溶湯を、冷却面が移
動更新する冷却体上に連続供給して急冷凝固し、0.7
〜2.0mm厚の鋳片を得、これに圧下率50%以上の
冷間圧延を施した後、焼鈍することからなる一方向性電
磁鋼板の製造方法が開示されている。
する方法は、インヒビターを活用するものが主流である
。たとえば、特開昭63−11619号公報には、Si
:2.5〜6.5%等を含有する溶湯を、冷却面が移
動更新する冷却体上に連続供給して急冷凝固し、0.7
〜2.0mm厚の鋳片を得、これに圧下率50%以上の
冷間圧延を施した後、焼鈍することからなる一方向性電
磁鋼板の製造方法が開示されている。
【0004】さらに、特公昭56−51216号および
特公昭56−43295号の各公報では、いずれも溶鋼
を鋳型の中心部の凝固冷却速度が1℃/秒以上となるよ
うに冷却し、凝固後も少なくとも 600℃までを0.
05℃/秒以上で急冷することにより、硫化物、窒化物
、炭化物などの析出物を殆ど固溶させた鋳片を得、以降
の工程で析出処理することにより、微細分散させるよう
にしている。
特公昭56−43295号の各公報では、いずれも溶鋼
を鋳型の中心部の凝固冷却速度が1℃/秒以上となるよ
うに冷却し、凝固後も少なくとも 600℃までを0.
05℃/秒以上で急冷することにより、硫化物、窒化物
、炭化物などの析出物を殆ど固溶させた鋳片を得、以降
の工程で析出処理することにより、微細分散させるよう
にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来開
示されてきた急冷凝固法による一方向性電磁鋼板の製造
方法では、析出分散相の条件については満足されていた
としても、さらに良好な磁気特性を得るための具体的な
結晶粒径の範囲については求められていなかった。
示されてきた急冷凝固法による一方向性電磁鋼板の製造
方法では、析出分散相の条件については満足されていた
としても、さらに良好な磁気特性を得るための具体的な
結晶粒径の範囲については求められていなかった。
【0006】たとえば、特開昭63−11619号公報
記載の方法によれば、望ましい磁気特性を得るために必
要な、急冷凝固後の具体的な鋳片の結晶粒径については
言及されていない。また、特公昭56−51216号お
よび特公昭56−43295号の各公報において析出分
散相について言及されていたとしても、さらに良好な磁
気特性を得るための具体的な鋳片の結晶粒径範囲につい
ては言及されていない。加えて、これらの特許公報では
、溶鋼成分の違いによる凝固後の適正な冷却速度につい
ても言及されていない。
記載の方法によれば、望ましい磁気特性を得るために必
要な、急冷凝固後の具体的な鋳片の結晶粒径については
言及されていない。また、特公昭56−51216号お
よび特公昭56−43295号の各公報において析出分
散相について言及されていたとしても、さらに良好な磁
気特性を得るための具体的な鋳片の結晶粒径範囲につい
ては言及されていない。加えて、これらの特許公報では
、溶鋼成分の違いによる凝固後の適正な冷却速度につい
ても言及されていない。
【0007】本発明者らは、凝固後の鋳片の冷却速度の
みならず凝固時の制御も含めた種々の実験により良好な
磁気特性を得るための具体的な結晶粒径の範囲について
求め、(110) <001 >方位の集積度が高く磁
気特性の良好な一方向性電磁鋼板を得るための薄鋳片製
造方法を課題に取り組んできた。
みならず凝固時の制御も含めた種々の実験により良好な
磁気特性を得るための具体的な結晶粒径の範囲について
求め、(110) <001 >方位の集積度が高く磁
気特性の良好な一方向性電磁鋼板を得るための薄鋳片製
造方法を課題に取り組んできた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく検討を重ねた結果、重量割合でC:0.03
〜0.10%,Si :2.5〜6.5%,Mn :0
.02〜0.15%,S:0.01〜0.05%を基本
成分として、これに必要により酸可溶性Al :0.0
1〜0.04%,N: 0.003〜0.015 %を
含有し、結晶粒径が 100μm以下で板厚が0.3〜
3.0mmである薄鋳片を用いて製造することにより二
次再結晶が安定し良好な磁気特性を持った一方向性電磁
鋼板が得られることを見出した。
解決すべく検討を重ねた結果、重量割合でC:0.03
〜0.10%,Si :2.5〜6.5%,Mn :0
.02〜0.15%,S:0.01〜0.05%を基本
成分として、これに必要により酸可溶性Al :0.0
1〜0.04%,N: 0.003〜0.015 %を
含有し、結晶粒径が 100μm以下で板厚が0.3〜
3.0mmである薄鋳片を用いて製造することにより二
次再結晶が安定し良好な磁気特性を持った一方向性電磁
鋼板が得られることを見出した。
【0009】これらの薄鋳片は、熱延工程を実施するこ
となく次工程へ進む。ここで、インヒビターとして窒化
物も必要とする場合は、 AlN等の析出のために 9
50〜1200℃で30秒〜30分の中間焼鈍を行う。 次に、1回ないし、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延
を施し最終製品板厚とする。この後は、湿水素雰囲気中
で脱炭焼鈍を行い、さらに MgO等の焼鈍分離剤を塗
布して、二次再結晶と純化のため1100℃以上の最終
仕上げ焼鈍を行うことで一方向性電磁鋼板が製造される
。
となく次工程へ進む。ここで、インヒビターとして窒化
物も必要とする場合は、 AlN等の析出のために 9
50〜1200℃で30秒〜30分の中間焼鈍を行う。 次に、1回ないし、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延
を施し最終製品板厚とする。この後は、湿水素雰囲気中
で脱炭焼鈍を行い、さらに MgO等の焼鈍分離剤を塗
布して、二次再結晶と純化のため1100℃以上の最終
仕上げ焼鈍を行うことで一方向性電磁鋼板が製造される
。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
【作用】一方向性電磁鋼板は、その製造工程の最終仕上
げ焼鈍中に二次再結晶を充分に起こさせ、所謂ゴス集合
組織を得ることにより製造できる。このゴス集合組織を
得るためには一次再結晶粒の成長粗大化を抑制し、(1
10) <001 >方位の再結晶粒のみを或る温度範
囲で選択的に成長させるような素地を作ってやる事が必
要である。そこで、一次再結晶粒は出来るだけ微細に整
粒化されていなければならず、その為にも出来るだけ鋳
片の段階で結晶粒径を微細にする必要がある。
げ焼鈍中に二次再結晶を充分に起こさせ、所謂ゴス集合
組織を得ることにより製造できる。このゴス集合組織を
得るためには一次再結晶粒の成長粗大化を抑制し、(1
10) <001 >方位の再結晶粒のみを或る温度範
囲で選択的に成長させるような素地を作ってやる事が必
要である。そこで、一次再結晶粒は出来るだけ微細に整
粒化されていなければならず、その為にも出来るだけ鋳
片の段階で結晶粒径を微細にする必要がある。
【0012】また、特公昭57−41526号公報で指
摘されているように、熱延プロセスによる一方向性電磁
鋼板の製造において、一般に線状細粒と呼ばれている二
次再結晶不完全部分が発生する原因は、熱延板に大きな
延伸粒が残存することであると言われている。以上のよ
うに、良好な磁気特性を得るためには出来るだけ薄鋳片
の段階で結晶粒径を微細にする必要がある。この考えに
基づき本発明者らは、様々な薄鋳片を用いることにより
、二次再結晶が安定し良好な磁気特性を得るための結晶
粒径の範囲を実験的に求めてみた。これを図1に示す。 ここで横軸は、重量でSi :3.3%,Mn :0.
08%,S:0.02%、酸可溶性Al :0.03%
,N: 0.009%を含有し、板厚が2.3mmの薄
鋳片の結晶粒径を示す。また縦軸は、この薄鋳片を用い
て熱延することなく中間焼鈍したのち、最終板厚0.3
mmに冷延し、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、さら
に MgO等の焼鈍分離剤を塗布して、最終仕上げ焼鈍
を行うことで得られた製品の磁気特性を示している。図
を見ても判るように、薄鋳片の結晶粒径が 100μm
以下で良好な磁気特性が得られている。
摘されているように、熱延プロセスによる一方向性電磁
鋼板の製造において、一般に線状細粒と呼ばれている二
次再結晶不完全部分が発生する原因は、熱延板に大きな
延伸粒が残存することであると言われている。以上のよ
うに、良好な磁気特性を得るためには出来るだけ薄鋳片
の段階で結晶粒径を微細にする必要がある。この考えに
基づき本発明者らは、様々な薄鋳片を用いることにより
、二次再結晶が安定し良好な磁気特性を得るための結晶
粒径の範囲を実験的に求めてみた。これを図1に示す。 ここで横軸は、重量でSi :3.3%,Mn :0.
08%,S:0.02%、酸可溶性Al :0.03%
,N: 0.009%を含有し、板厚が2.3mmの薄
鋳片の結晶粒径を示す。また縦軸は、この薄鋳片を用い
て熱延することなく中間焼鈍したのち、最終板厚0.3
mmに冷延し、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、さら
に MgO等の焼鈍分離剤を塗布して、最終仕上げ焼鈍
を行うことで得られた製品の磁気特性を示している。図
を見ても判るように、薄鋳片の結晶粒径が 100μm
以下で良好な磁気特性が得られている。
【0013】このような実験事実は従来の文献では言及
されておらず、今までには良好な磁気特性が得られるの
に必要な具体的な鋳片の結晶粒径範囲は求められていな
かった。次に本発明における、この鋼成分の限定理由は
下記のとおりである。Cは二次再結晶を安定させるため
に必要な元素で、下限0.03%は、これ未満であれば
二次再結晶が不安定となり、上限0.10%は、これよ
り多くなると脱炭所要時間が長くなり、経済的に不利と
なるからである。
されておらず、今までには良好な磁気特性が得られるの
に必要な具体的な鋳片の結晶粒径範囲は求められていな
かった。次に本発明における、この鋼成分の限定理由は
下記のとおりである。Cは二次再結晶を安定させるため
に必要な元素で、下限0.03%は、これ未満であれば
二次再結晶が不安定となり、上限0.10%は、これよ
り多くなると脱炭所要時間が長くなり、経済的に不利と
なるからである。
【0014】Si は鉄損を良くするために下限を2.
5%とするが、多すぎると冷間圧延の際に割れ易く加工
が困難となるので上限を6.5%とする。Mn は M
nSを形成するために必要な元素で、下限0.02%は
、これ未満であればMnSの絶対量が不足し、上限0.
15%は、これを越えると MnSの適当な分散状態が
得られないので上記範囲に限定した。
5%とするが、多すぎると冷間圧延の際に割れ易く加工
が困難となるので上限を6.5%とする。Mn は M
nSを形成するために必要な元素で、下限0.02%は
、これ未満であればMnSの絶対量が不足し、上限0.
15%は、これを越えると MnSの適当な分散状態が
得られないので上記範囲に限定した。
【0015】Sは MnS,(Mn ・Fe)Sを形成
するために必要な元素で、下限0.01%は、これ未満
では、 MnS,(Mn ・Fe)Sの絶対量が不足し
、上限0.05%は、これを越えると仕上高温焼鈍で脱
硫が困難となるので上記範囲に限定した。さらに、硫化
物に加えて AlNを利用する場合は、酸可溶性Al
とNを添加する。酸可溶性Al は AlNを形成する
ために必要な元素で、下限0.01%は、これ未満では
AlNの絶対量が不足し、上限0.04%は、これ
を越えると AlNの適正な分散状態が得られないので
限定した。
するために必要な元素で、下限0.01%は、これ未満
では、 MnS,(Mn ・Fe)Sの絶対量が不足し
、上限0.05%は、これを越えると仕上高温焼鈍で脱
硫が困難となるので上記範囲に限定した。さらに、硫化
物に加えて AlNを利用する場合は、酸可溶性Al
とNを添加する。酸可溶性Al は AlNを形成する
ために必要な元素で、下限0.01%は、これ未満では
AlNの絶対量が不足し、上限0.04%は、これ
を越えると AlNの適正な分散状態が得られないので
限定した。
【0016】Nは AlNを形成するために必要な元素
で、下限0.03%は、これ未満では AlNの絶対量
が不足し、また上限 0.015%は、これを越えると
二次再結晶が不安定となると共に、ブリスターが発生し
やすくなるので上記範囲に限定した。その他、Cu,S
n,Sb,Se はインヒビターを強くする目的で1.
0%以下において少なくとも1種添加しても良い。
で、下限0.03%は、これ未満では AlNの絶対量
が不足し、また上限 0.015%は、これを越えると
二次再結晶が不安定となると共に、ブリスターが発生し
やすくなるので上記範囲に限定した。その他、Cu,S
n,Sb,Se はインヒビターを強くする目的で1.
0%以下において少なくとも1種添加しても良い。
【0017】次に、この溶鋼を双ロール法等の鋳型壁面
が鋳片に同期して移動する連続鋳造機によって急冷凝固
し、0.3〜3.0mm厚の薄鋳片を製造するが、最終
板厚0.05〜0.40mmの製品を想定したとき、良
好な二次再結晶を得るためには0.3mm未満では冷延
圧下率が不足であり、3.0mm超では冷延圧下率は過
剰となる。結晶粒を100μm以下の微細なものにする
方法としては、凝固時の溶鋼の制御や凝固後の鋳片の冷
却速度など様々な方法がある。その一つとして、出来る
だけ凝固時の過冷却度(溶鋼温度と液相線温度の差)を
大きくとる方法がある。これは過冷却度を大きくとると
、それだけ凝固時の核生成の頻度が増加し、単位体積中
の結晶粒の成長数が増加するためであると考える。また
別の方法として、凝固直後に形成シェルを破壊しない程
度に歪みを導入する方法もある。これは歪みエネルギー
の増加により結晶粒成長の核発生数が増加するためであ
ると考える。更に別の方法として、凝固後鋳片を冷却す
る方法もある。これは、凝固後の結晶粒の粒成長を抑制
する効果を狙うためである。
が鋳片に同期して移動する連続鋳造機によって急冷凝固
し、0.3〜3.0mm厚の薄鋳片を製造するが、最終
板厚0.05〜0.40mmの製品を想定したとき、良
好な二次再結晶を得るためには0.3mm未満では冷延
圧下率が不足であり、3.0mm超では冷延圧下率は過
剰となる。結晶粒を100μm以下の微細なものにする
方法としては、凝固時の溶鋼の制御や凝固後の鋳片の冷
却速度など様々な方法がある。その一つとして、出来る
だけ凝固時の過冷却度(溶鋼温度と液相線温度の差)を
大きくとる方法がある。これは過冷却度を大きくとると
、それだけ凝固時の核生成の頻度が増加し、単位体積中
の結晶粒の成長数が増加するためであると考える。また
別の方法として、凝固直後に形成シェルを破壊しない程
度に歪みを導入する方法もある。これは歪みエネルギー
の増加により結晶粒成長の核発生数が増加するためであ
ると考える。更に別の方法として、凝固後鋳片を冷却す
る方法もある。これは、凝固後の結晶粒の粒成長を抑制
する効果を狙うためである。
【0018】以上の方法を具体的に述べると、凝固時の
過冷度ΔTは5℃以上であることが好ましい。これには
溶鋼の出鋼温度の制御やチップなどの過冷材の付与など
の方法が考えられる。また歪みを導入する方法としては
、双ロール法におけるロールの圧下力を0.5kg/m
m以上にすることが好ましい。また、凝固後の鋳片の冷
却速度は 100℃/秒以上であることが望ましい。こ
こで、急冷凝固された鋳片を冷却する方法であるが、気
水冷却及び不活性ガス、不活性流体による冷却が代表的
なものとして挙げられる。これらの他にサポート的な冷
却移動媒体(たとえば、ロール等)による接触式冷却方
法も考えられる。
過冷度ΔTは5℃以上であることが好ましい。これには
溶鋼の出鋼温度の制御やチップなどの過冷材の付与など
の方法が考えられる。また歪みを導入する方法としては
、双ロール法におけるロールの圧下力を0.5kg/m
m以上にすることが好ましい。また、凝固後の鋳片の冷
却速度は 100℃/秒以上であることが望ましい。こ
こで、急冷凝固された鋳片を冷却する方法であるが、気
水冷却及び不活性ガス、不活性流体による冷却が代表的
なものとして挙げられる。これらの他にサポート的な冷
却移動媒体(たとえば、ロール等)による接触式冷却方
法も考えられる。
【0019】以上様々な方法により、結晶粒径が 10
0μm以下の微細な鋳片が得られる。さらに本発明者ら
は、結晶粒の微細化には溶鋼のAl 成分が大きく作用
することを突き止めた。定性的にはAl 成分が多くな
ると結晶粒径は微細になる。これは、凝固期のAl の
濡れ性による凝固核の増加が理由の一つに考えられる。 また、凝固期の微小な AlNの粒成長の抑制効果が結
晶粒の微細化に繋がるとも考えられている。本発明者ら
の実験で得られた、可溶性Al 成分による鋳片の結晶
粒径の関係を表すと図2のようになる。これは、鋳片の
結晶粒径と可溶性Al 量の関係を、1400〜800
℃での鋳片の冷却速度をパラメータとして示したもの
である。これについて回帰分析し、結晶粒径が 100
μm以下の鋳片を得るためには以下の式が満足されるこ
とが必要であることを求めた。
0μm以下の微細な鋳片が得られる。さらに本発明者ら
は、結晶粒の微細化には溶鋼のAl 成分が大きく作用
することを突き止めた。定性的にはAl 成分が多くな
ると結晶粒径は微細になる。これは、凝固期のAl の
濡れ性による凝固核の増加が理由の一つに考えられる。 また、凝固期の微小な AlNの粒成長の抑制効果が結
晶粒の微細化に繋がるとも考えられている。本発明者ら
の実験で得られた、可溶性Al 成分による鋳片の結晶
粒径の関係を表すと図2のようになる。これは、鋳片の
結晶粒径と可溶性Al 量の関係を、1400〜800
℃での鋳片の冷却速度をパラメータとして示したもの
である。これについて回帰分析し、結晶粒径が 100
μm以下の鋳片を得るためには以下の式が満足されるこ
とが必要であることを求めた。
【0020】
【数1】
【0021】なお、以上の方法による鋳片の集合組織に
ついては、急冷凝固法により結晶方位がランダムな組織
が得られる。また、析出分散相については鋳片中に固溶
させるのではなく硫化物については均一微細なものが出
来る。また、窒化物については固溶したものが得られる
。以上、本発明での薄鋳片を出発とした素材は、Al
を含まない場合は、熱延工程を実施することなく一方向
性電磁鋼板を製造する。ここで、インヒビターとして窒
化物も必要とする場合は、 AlN等の析出のために
950〜1200℃で30秒〜30分の中間焼鈍を行う
ことが望ましい。
ついては、急冷凝固法により結晶方位がランダムな組織
が得られる。また、析出分散相については鋳片中に固溶
させるのではなく硫化物については均一微細なものが出
来る。また、窒化物については固溶したものが得られる
。以上、本発明での薄鋳片を出発とした素材は、Al
を含まない場合は、熱延工程を実施することなく一方向
性電磁鋼板を製造する。ここで、インヒビターとして窒
化物も必要とする場合は、 AlN等の析出のために
950〜1200℃で30秒〜30分の中間焼鈍を行う
ことが望ましい。
【0022】次に、1回ないし、中間焼鈍を含む2回以
上の冷間圧延を施す。このときの最終冷延圧下率は高い
ゴス集積度をもつ製品を得るため、圧下率60〜90%
が必要となる。この後は、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を
行い、さらに MgO等の焼鈍分離剤を塗布して、二次
再結晶と純化のため1100℃以上の仕上げ焼鈍を行う
ことで、磁気特性が良好な一方向性電磁鋼板が製造され
る。
上の冷間圧延を施す。このときの最終冷延圧下率は高い
ゴス集積度をもつ製品を得るため、圧下率60〜90%
が必要となる。この後は、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を
行い、さらに MgO等の焼鈍分離剤を塗布して、二次
再結晶と純化のため1100℃以上の仕上げ焼鈍を行う
ことで、磁気特性が良好な一方向性電磁鋼板が製造され
る。
【0023】次に本発明の実施例を挙げて説明する。
【0024】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成を含む溶鋼
を、双ロール急冷凝固法により、2.4mm厚の薄鋳片
にした。鋳造条件は、ロール径が 300mmφ、ロー
ル周速度が 440mm/秒、溶鋼のロール接触時間は
約0.3秒であった。なお、この溶鋼の液相線温度は約
1490℃、固相線温度は約1430℃である。表2に
示すように、この時双ロール直上のタンディッシュ部分
の溶鋼温度は1530℃,1570℃の2水準とった。
を、双ロール急冷凝固法により、2.4mm厚の薄鋳片
にした。鋳造条件は、ロール径が 300mmφ、ロー
ル周速度が 440mm/秒、溶鋼のロール接触時間は
約0.3秒であった。なお、この溶鋼の液相線温度は約
1490℃、固相線温度は約1430℃である。表2に
示すように、この時双ロール直上のタンディッシュ部分
の溶鋼温度は1530℃,1570℃の2水準とった。
【0025】このとき得られた薄鋳片の平均結晶粒径を
表2に示す。双ロール直上のタンディッシュ部分の溶鋼
温度が1530℃のもので、結晶粒径は 100μm以
下のものが得られた。薄鋳片の集合組織はいずれの条件
もランダム集合組織であった。また、析出分散相につい
てはいずれの条件も硫化物が均一微細に析出していた。 ついで、得られた鋳片を酸洗した後、冷間圧延を行い0
.8mm厚にした。次に湿潤水素中で焼鈍し、再度、冷
間圧延を施し0.29mm厚にした。さらに、湿潤水素
中で脱炭焼鈍し MgO粉を塗布した後、1200℃に
10時間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
表2に示す。双ロール直上のタンディッシュ部分の溶鋼
温度が1530℃のもので、結晶粒径は 100μm以
下のものが得られた。薄鋳片の集合組織はいずれの条件
もランダム集合組織であった。また、析出分散相につい
てはいずれの条件も硫化物が均一微細に析出していた。 ついで、得られた鋳片を酸洗した後、冷間圧延を行い0
.8mm厚にした。次に湿潤水素中で焼鈍し、再度、冷
間圧延を施し0.29mm厚にした。さらに、湿潤水素
中で脱炭焼鈍し MgO粉を塗布した後、1200℃に
10時間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
【0026】表3に得られた製品の磁気特性を示す。製
品の磁性は表3に示すように、鋳片の結晶粒径が 10
0μm以下のもので良好な磁気特性になった。
品の磁性は表3に示すように、鋳片の結晶粒径が 10
0μm以下のもので良好な磁気特性になった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】(実施例2)表4に示す成分組成を含む溶
鋼を、双ロール急冷凝固法により、2.3mm厚の薄鋳
片にした。鋳造条件は、ロール径が 300mmφ、ロ
ール周速度が 450mm/秒、溶鋼のロール接触時間
は約0.3秒であった。なお、この溶鋼の液相線温度は
約1490℃、固相線温度は約1430℃である。表5
に示すように、この時双ロールの圧下力は0.5kg/
mm,1.8kg/mmの2水準をとった。このとき、
得られた薄鋳片の平均結晶粒径を表5に示す。条件Cに
おいて、薄鋳片の結晶粒径が 100μm以下のものが
得られた。集合組織はいずれの条件もランダム集合組織
であった。また、析出分散相についてはいずれの条件も
硫化物が均一微細に析出していた。
鋼を、双ロール急冷凝固法により、2.3mm厚の薄鋳
片にした。鋳造条件は、ロール径が 300mmφ、ロ
ール周速度が 450mm/秒、溶鋼のロール接触時間
は約0.3秒であった。なお、この溶鋼の液相線温度は
約1490℃、固相線温度は約1430℃である。表5
に示すように、この時双ロールの圧下力は0.5kg/
mm,1.8kg/mmの2水準をとった。このとき、
得られた薄鋳片の平均結晶粒径を表5に示す。条件Cに
おいて、薄鋳片の結晶粒径が 100μm以下のものが
得られた。集合組織はいずれの条件もランダム集合組織
であった。また、析出分散相についてはいずれの条件も
硫化物が均一微細に析出していた。
【0031】ついで、得られた鋳片を1120℃で5分
間焼鈍を行い、さらに酸洗した後、冷間圧延を行い0.
29mm厚にした。次に湿潤水素中で脱炭焼鈍し、 M
gO粉を塗布した後、1200℃に10時間、水素ガス
雰囲気中で高温焼鈍を行った。得られた製品の磁性は、
表6に示すように、鋳造条件Cで鋳片の結晶粒径が 1
00μm以下のもので良好な磁気特性が得られた。
間焼鈍を行い、さらに酸洗した後、冷間圧延を行い0.
29mm厚にした。次に湿潤水素中で脱炭焼鈍し、 M
gO粉を塗布した後、1200℃に10時間、水素ガス
雰囲気中で高温焼鈍を行った。得られた製品の磁性は、
表6に示すように、鋳造条件Cで鋳片の結晶粒径が 1
00μm以下のもので良好な磁気特性が得られた。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】(実施例3)表7に示す成分組成を含む溶
鋼を、それぞれ双ロール急冷凝固法により2.0mm厚
の薄鋳片にした。鋳造条件は、ロール径が 300mm
φ、ロール周速度が 550mm/秒、溶鋼のロール接
触時間は約0.3秒であった。なお、この溶鋼の液相線
温度は約1490℃、固相線温度は約1430℃である
。鋳造後の二次冷却条件は、双ロール直下から気水冷却
を実施した。冷却速度は 800℃まで 200℃/秒
である。
鋼を、それぞれ双ロール急冷凝固法により2.0mm厚
の薄鋳片にした。鋳造条件は、ロール径が 300mm
φ、ロール周速度が 550mm/秒、溶鋼のロール接
触時間は約0.3秒であった。なお、この溶鋼の液相線
温度は約1490℃、固相線温度は約1430℃である
。鋳造後の二次冷却条件は、双ロール直下から気水冷却
を実施した。冷却速度は 800℃まで 200℃/秒
である。
【0036】このとき得られた薄鋳片の平均結晶粒径を
表8に示す。Al 成分が高いものほど、微細な結晶粒
径が得られている。集合組織はランダム集合組織であっ
た。また、析出分散相についてはいずれの条件も硫化物
が均一微細に析出していた。ついで、得られた鋳片を1
120℃で5分間焼鈍を行い、さらに酸洗した後、冷間
圧延を行い0.29mm厚にした。次に湿潤水素中で脱
炭焼鈍し、 MgO粉を塗布した後、1200℃に10
時間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
表8に示す。Al 成分が高いものほど、微細な結晶粒
径が得られている。集合組織はランダム集合組織であっ
た。また、析出分散相についてはいずれの条件も硫化物
が均一微細に析出していた。ついで、得られた鋳片を1
120℃で5分間焼鈍を行い、さらに酸洗した後、冷間
圧延を行い0.29mm厚にした。次に湿潤水素中で脱
炭焼鈍し、 MgO粉を塗布した後、1200℃に10
時間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
【0037】得られた製品の磁性は、表8に示すように
、鋳造条件F,Gで鋳片の結晶粒径が 100μm以下
のもので良好な磁気特性が得られた。
、鋳造条件F,Gで鋳片の結晶粒径が 100μm以下
のもので良好な磁気特性が得られた。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、急冷凝固法により得ら
れた結晶粒径が 100μm以下の一方向性電磁鋼板製
造用薄鋳片を素材とし、熱延を省略して、高い磁束密度
を有する一方向性電磁鋼板を安価かつ省エネルギーに製
造することができるので、産業上の貢献するところが極
めて大である。
れた結晶粒径が 100μm以下の一方向性電磁鋼板製
造用薄鋳片を素材とし、熱延を省略して、高い磁束密度
を有する一方向性電磁鋼板を安価かつ省エネルギーに製
造することができるので、産業上の貢献するところが極
めて大である。
【図1】得られた薄鋳片の結晶粒径と磁気特性の関係を
示す図である。
示す図である。
【図2】鋳片の結晶粒径と可溶性Al 量の関係を、1
400〜800 ℃での鋳片の冷却速度をパラメータと
して示す図である。
400〜800 ℃での鋳片の冷却速度をパラメータと
して示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量割合でC:0.03〜0.10%
,Si :2.5〜6.5%,Mn :0.02〜0.
15%,S:0.01〜0.05%を基本成分として含
有し、結晶粒径が 100μm以下で板厚が0.3〜3
.0mmであることを特徴とする一方向性電磁鋼板製造
用薄鋳片。 - 【請求項2】 酸可溶性Al :0.01〜0.04
%,N: 0.003〜0.015 %を含有する請求
項1記載の一方向性電磁鋼板製造用薄鋳片。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40313090A JP2588635B2 (ja) | 1990-12-18 | 1990-12-18 | 一方向性電磁鋼板製造用薄鋳片 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40313090A JP2588635B2 (ja) | 1990-12-18 | 1990-12-18 | 一方向性電磁鋼板製造用薄鋳片 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04218646A true JPH04218646A (ja) | 1992-08-10 |
JP2588635B2 JP2588635B2 (ja) | 1997-03-05 |
Family
ID=18512889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP40313090A Expired - Fee Related JP2588635B2 (ja) | 1990-12-18 | 1990-12-18 | 一方向性電磁鋼板製造用薄鋳片 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2588635B2 (ja) |
-
1990
- 1990-12-18 JP JP40313090A patent/JP2588635B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2588635B2 (ja) | 1997-03-05 |
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