JPH04214078A - セラミックスの電気接合方法 - Google Patents

セラミックスの電気接合方法

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JPH04214078A
JPH04214078A JP3320791A JP3320791A JPH04214078A JP H04214078 A JPH04214078 A JP H04214078A JP 3320791 A JP3320791 A JP 3320791A JP 3320791 A JP3320791 A JP 3320791A JP H04214078 A JPH04214078 A JP H04214078A
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浩司 奥田
Tokuzo Nishi
西 徳三
Hiroshi Takai
高井 博史
Shinji Numano
沼野 真志
Hisakiyo Hoshino
星野 久清
Natsumi Miyake
三宅 夏美
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に大型形状及び複雑
形状のセラミックスの接合に際して、その突合せ部全体
を良好に通電加熱させながら所望の接合温度に昇温させ
るセラミックスの電気接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般的に行なわれているセラミック
スの電気接合方法は、大きく別けて下記の4つの方法に
分けられる。 (1)高温において導電性を有するセラミックスまたは
接合剤に通電加熱して接合する方法この場合には、2つ
のセラミックスの突合せ面の間に接合剤を介在させて突
合せ部を構成し、突合せ部をガスバーナ等の補助加熱手
段または予熱加熱手段によって予熱する。そしてセラミ
ックスまたは接合剤が導電性を有するようになった後に
、突合せ部に対応して設けた少なくとも一対の通電電極
間に電圧を印加し、高温において導電性を帯びたセラミ
ックスまたは接合剤に通電して、ジュール熱を発生させ
て突合せ部を加熱し、接合剤と被接合セラミックスとを
反応させることにより接合を行う。 (2)少なくとも一方のセラミックスが室温において導
電性を有する2つのセラミックスどうしを、突合せ面と
平行方向に導電性セラミックスに通電加熱して接合する
方法少なくとも一方のセラミックスが室温において導電
性を有しているとき、2つのセラミックスの間に接合剤
を介在させて突合せ部を構成する。導電性を有するセラ
ミックスの突合せ部を構成する部分に少なくとも一対の
通電電極または帯状の通電電極を当接させ、導電性を有
するセラミックスを被通電部材として少なくとも一対の
通電電極により通電して、導電性を有するセラミックス
の突合せ部近傍をジュール熱により加熱し、接合剤を反
応させて接合を行う。 (3)室温において導電性を有する加熱用インサート材
を2つの被接合体の間に介在させ、加熱用インサート材
に突合せ面に対して平行方向に通電加熱して接合する方
法 (A) 絶縁性または高抵抗を有する2つのセラミック
スどうしを接合する際に、2つのセラミックスの突合せ
面の間に両面に接合剤を設けた導電性セラミックスから
なる加熱用インサート材を介在させて突合せ部を構成す
る。 加熱用インサート材の両端表面に少なくとも一対の通電
電極または帯状の通電電極を当接させて、突合せ面に平
行な方向に加熱用インサート材に通電して、そのジュー
ル熱により接合剤を反応させることにより接合を行う。 (B) 少なくとも一方が高導電性のセラミックスどう
しまたは金属とセラミックスとを接合する場合に、2つ
の被接合体の突合せ面の間に、導電性セラミックスを基
材として絶縁性セラミックスを積層した加熱用インサー
ト材を接合剤を介して介在させて突合せ部を構成する。 加熱用インサート材は高導電性を有する被接合体側に絶
縁性セラミックスが位置するように配置する。加熱用イ
ンサート材の導電性セラミックスの両端表面に少なくと
も一対の通電電極または帯状の通電電極を当接させて、
突合せ面に平行な方向に加熱用インサート材に通電して
、そのジュール熱により接合剤を反応させることにより
接合を行う。 (4)室温において導電性を有する2つの被接合体に、
突合せ面に対して垂直な方向に通電加熱して接合する方
法 (A) 導電性セラミックスどうしまたは導電性セラミ
ックスと金属との間に接合剤を介在させて突合せ部を構
成する。2つの被接合体にそれぞれ通電電極を当接させ
、一方の被接合体から他方の被接合体へ通電を行って、
そのジュール熱により接合剤を反応させることにより接
合を行う。 (B) 導電性セラミックスどうしまたは導電性セラミ
ックスと金属との間に、被接合体よりも抵抗率の大きい
導電性セラミックスからなる加熱用インサート材を接合
剤を介して介在させて、突合せ部を構成する。2つの被
接合体にそれぞれ通電電極を当接させ、一方の被接合体
から他方の被接合体へ通電を行って、そのジュール熱に
より接合剤を反応させることにより接合を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】被接合体が小形であっ
たり、また被接合体の形状が単純な場合には、通電電極
を固定しておいてもよく、また通電電極の数が少なくて
も突合せ部を十分に加熱できる。しかしながら接合長(
または突合せ部の長さ)が長い場合や、突合せ部の形状
が複雑な場合には、(イ)通電電極と被通電部材との間
に適当な移動手段で相対移動を生じさせて接合する方法
や、(ロ)複数対の電極または帯状の電極を被通電部材
の上に突合せ部に沿って設けて全ての電極に同時に通電
して加熱する方法が提案されている(特開平1−176
282号公報)。しかしながら、(イ)の場合、突合せ
部をより良好に加熱するためには、かなり速いスピード
で電極またはセラミックスを移動できる移動手段が必要
となるので、装置面でのコストが高くなり、また装置を
設置するスペースも大きくなる。また可動部分の存在は
、メンテナンスの回数を多くする上、安全性の上でも問
題となる。更に被通電部材の抵抗が小さい場合に必要な
温度まで突合せ部を加熱するためには、大きな電流を電
極から被通電部材へ通電する必要があるが、そのために
は接触抵抗をできるだけ小さくしなければならない。 しかしながら電極またはセラミックスを移動させると、
両者間の接触状態が悪くなって接触抵抗が増加し、電極
接触箇所で放電が発生し易くなるため、放電の際の熱衝
撃によって被接合セラミックスを破損または劣化させる
恐れがあった。また、(ロ)の場合には、突合せ部全体
に同時に通電を行うため、必要な電源の電源容量が大き
くなり、コスト高になるという問題がありる。また異形
断面を持つセラミックス及び非対称形状のセラミックス
同士を接合する場合は、各位置での電極間の抵抗値及び
熱容量が異なるために、突合せ部全体を同時に通電する
と、局所的な過熱が発生し、接合面全体で均一な電力投
入を行えることができず、接合不良を起す恐れがあり、
適応できるセラミックスの形状寸法に制限があるという
問題があった。このように可動部分があること並びに突
合せ部全体を同時に通電することにより発生する接合性
能、コスト面及び安全面での問題を防ぎ、良好な接合を
可能にするセラミックスの接合方法が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
方がセラミックスからなる2つの被接合体の突合せ面の
間に接合剤を介在させるかまたは導電性セラミックスを
基体とする加熱用インサート材及び接合剤を介在させて
突合せ部を構成し、ジュール熱を利用して接合剤を加熱
反応させて2つの被接合体を接合するセラミックスの電
気接合方法を改良の対象とする。本願明細書において、
「突合せ面」とは2つの被接合体の相互に接合される部
分の面を言う。請求項1の発明では、上記の問題点を解
決するために、被接合体、接合剤及び加熱用インサート
材のうちジュール熱を発生させるために通電される被通
電部材の表面に、3つ以上の通電電極を所定の間隔を開
けて当接させる。そして通電領域を突合せ部に沿って移
動させる所定の電極切換パターンに従って3つ以上の通
電電極から順次選択した少なくとも一対の通電電極間に
通電を行う。3つ以上の通電電極の配置は、等間隔で配
置してもよいし、突合せ部の形状や加熱部分の熱容量の
相違に応じて電極間の距離を変えて配置してもよい。加
熱用インサート材としては、導電性セラミックスを基体
とするものを用いるが、例えば特開平1−320273
号公報及び特開平1−320276号公報に示される加
熱用インサート材のように導電性セラミックスの片面ま
たは両面に絶縁性セラミックスを設けた層状複合セラミ
ックス等を用いることもできる。なお、導電性を有する
セラミックスとしては、ランタンクロマイトなどの酸化
物系、TiN,ZrNなどの窒化物系、SiC,TiC
などの炭化物系、MoSi2 などのケイ化物、TiB
2 ,ZrB2 などのホウ化物系セラミックス及びA
l2 O3 ,Si3 N4 などの絶縁性セラミック
スとTiN,ZrNなどの導電性セラミックスまたは金
属との複合セラミックスなどを例示できる。2つの被接
合体の組み合せは種々あるが、例えば2つの被接合体が
絶縁性セラミックスからなる場合、室温では導電性を有
しないが高温では導電性を有するセラミックスからなる
場合、少なくとも一方の被接合体は導電性セラミックス
からなる場合、2つの被接合体のうち一方はセラミック
スからなり他方は金属からなる場合等がある。また被通
電部材への通電態様は、接合剤を加熱するジュール熱を
発生できるものであればいかなる態様でもよく、例えば
3つ以上の通電電極から突合せ面に対して平行な方向に
電流を通電してもよく、また3つ以上の通電電極から突
合せ面に対して垂直な方向に電流を通電するようにして
もよい。3つ以上の通電電極へ通電を行うための電極切
換パターンは、通電領域を突合せ部に沿って移動させる
ことができるものであればいかなるものでもよく、また
電極切換パターンは一つのパターンだけでなく、請求項
2の発明のように突合せ部の条件の変化に応じて複数種
類の電極切換パターンの中から適切な電極切換パターン
を選択して通電を行ってもよい。ここで突合せ部の条件
の変化とは、突合せ部の温度の上昇や通電領域の抵抗値
の低下、通電する部分の熱容量の相違などに基づく条件
の変化をいう。また請求項3に特定するように通電初期
においては最も短い通電距離で通電を行い、段階的に通
電距離を長くする電極切換パターンを用いることができ
る。なおここで段階的とは1段階を含むものとする。ま
た請求項4に特定するように、前の通電領域と後の通電
領域とが部分的に重なるように通電を行う電極切換パタ
ーンを含む電極切換パターンを用いることもできる。更
に請求項5に特定するように、電極切換パターンを(a
)通電位置によって異なる突合せ部の条件に応じて通電
電流、電力及び通電保持時間の少なくとも一つを変化さ
せて突合せ部をほぼ均等に加熱する通電条件及び(b)
予め定めた温度制御パターンに従って通電電流、電力及
び通電保持時間の少なくとも一つを時間の経過とともに
変化させて被接合体の熱衝撃を緩和したり接合剤の反応
を促進する通電条件の少なくとも一つの通電条件と組合
せてもよい。また本発明を実施する場合には、3つ以上
の通電電極の全てを一括して通電制御するだけでなく、
突合せ部の長さが非常に長い場合や、突合せ部の形状が
複雑な場合等には、請求項6に特定するように3つ以上
の通電電極を複数の電極グループに分け、各電極グルー
プ毎に所定の電極切換パターン及び所定の通電条件に従
って通電を制御するようにしてもよい。この場合にも通
電電極間の距離を突合せ部の条件に応じて変えてもよい
のは勿論である。複数の電極グループに分けて制御を行
う場合には、各電極グループを1つの通電制御装置によ
り通電制御してもよいが、各電極グループをそれぞれ独
立した通電制御装置により通電制御してもよい。各電極
グループの制御の態様は任意である。
【0005】
【作用】本発明では、被通電部材に当接させた3つ以上
の通電電極から順次選択した通電電極に通電を行って、
通電領域を突合せ部に沿って移動させている。そのため
従来のように通電電極と被接合体との間に相対移動を生
じさせる必要がなく、また可動部分がないためにメンテ
ナンスの回数が少なくてすみ、しかも安全である。また
通電電極と被通電部材とを緊密に接触させることができ
るため電流を大きくしても放電の発生がなく、セラミッ
クスを破損させたり劣化させることがない。更に通電領
域を突合せ部に沿って移動させると、突合せ部全体に同
時に通電を行う従来の方法と比べて、小容量の電源を用
いて長い突合せ部を所定の温度まで加熱することができ
る。また異形断面を持つセラミックス及び非対称形状の
セラミックスどうしを接合する場合には、通電電極間の
抵抗値及び熱容量の相違に応じて通電条件を制御するこ
とにより、各部をほぼ均等に加熱することできるため、
突合せ部全体を同時に通電する従来の方法のように局所
的な過熱が発生するのを防止できる。その結果、本発明
は、特に大口径の管形状セラミックスどうしを突合せて
接合する場合、長尺の板状セラミックスどうしの長手方
向の面を突合せて接合する場合、また異形断面を持つセ
ラミックス及び非対称形状のセラミックスどうしを接合
する場合に対して有効に作用し、これらの突合せ部全体
を良好な状態に通電加熱させながら所望の接合温度まで
昇温させて接合することができ、または所望の接合温度
まで適宜の加熱パターンで昇温させて接合することがで
きる。請求項2の発明のように、突合せ部の条件の変化
に応じて複数種類の電極切換パターンの中から適切な電
極切換パターンを選択して通電を行えば、効率良く通電
を制御することができ、また複雑な形状の被接合体でも
容易に接合を行える利点がある。被通電部材が、温度上
昇と共にその抵抗値が減少していく素材である場合には
、通電初期においては突合せ部の温度が低いために通電
領域の抵抗値は高く、比較的大きな電圧を必要とする。 突合せ部の温度が上昇すると、通電領域の抵抗値は低く
なり、同じ通電電圧で通電領域を拡げることができる。 そのため請求項3の発明のように、通電初期においては
最も短い通電距離で通電を行い、段階的に通電距離を長
くする電極切換パターンを用いると、小さい電源容量で
長い突合せ部を所望の温度まで昇温させることができる
。また請求項4の発明のように、前の通電領域と後の通
電領域とを部分的に重ねるように通電を行うと、通電領
域を重ねない場合に比べて、通電領域の抵抗値をできる
だけ低い状態にして通電を行うことができるので、加熱
部の温度低下を抑制して、電圧変動の少ないスムーズな
通電領域の移動が可能となる。更に請求項5の発明によ
れば、電極切換パターンと2つの通電条件(a)及び(
b)の少なくとも一つを組合せることにより、より良好
な接合を行える。通電条件(a)では、例えば2つの被
接合体が異形状である場合のように、突合せ部の通電位
置によって温度上昇率または通電領域の抵抗値の低下率
が相違したり、通電位置によって熱容量が相違する場合
に、突合せ部をほぼ均等に加熱することができる。 通電電流、電力及び通電保持時間の一つを適宜に変える
ことにより、通電電極の選択変更により通電距離を変え
なくても、突合せ部を効率良くほぼ均等に加熱すること
ができる。例えば電極切換パターンを一定として通電保
持時間を変化する場合には、通電初期には比較的長い通
電保持時間を設定し、接合剤が反応し通電が安定した時
点で通電保持時間を短くして、最終的にできるだけ短い
通電保持時間とすれば突合せ面全体を均等に加熱するこ
とができる。また通電条件(b)のように予め定めた温
度制御パターン(昇温速度、接合温度保持時間、冷却速
度)に従って、通電電流、電力及び通電保持時間の少な
くとも一つを時間の経過とともに変化させると、被接合
体の熱衝撃を緩和したり接合剤の反応を促進することが
できる。使用する温度制御パターンは、予備実験により
決定すればよい。請求項6の発明のように、3つ以上の
通電電極を突合せ部に沿って複数の電極グループに分け
て各電極グループ毎に所定の電極切換パターン及び所定
の通電条件に従って通電を制御すると、突合せ部の長さ
が非常に長い場合や、突合せ部の形状が複雑な場合等で
も、効率良く、しかも短時間で突合せ部を所望の温度に
加熱することができる。◎  請求項7の発明のように
、各電極グループをそれぞれ独立した通電制御装置で制
御すると、比較的容易に各電極グループの通電制御する
ことができる。
【0006】
【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例を説明
する。
【0007】
【実施例グループ1】図1ないし図13は、2つの被接
合体の少なくとも一方が導電性セラミックスからなり、
2つの被接合体の突合せ面の間に接合剤を介在させて突
合せ部を構成し、しかも突合せ部に対して平行な方向に
電流を通電する場合の実施例を示している。
【0008】
【実施例1】図1(A)及び図(B)は、それぞれ本発
明の方法を実施する接合装置の概略正面図及び概略平面
図である。この実施例では丸パイプ形状の導電性を有す
るセラミックス1aと室温では絶縁性を有するセラミッ
クス1bどうしを接合剤2を間に介して突合せて突合せ
部を構成し、セラミックス1a,1bの突合せ端部及び
接合剤2に跨がってこれらの部材に通電電極4a〜4h
を当接させている。通電電極4a〜4hは、突合せ部に
沿って外周側のみに配置している。導電性を有するセラ
ミックス1aとしては、TiN,TiC等の導電性物質
を含む抵抗率が約10−2[Ω・cm]の導電性Si3
 N4セラミックス1a(寸法外径60×内径48×長
さ100mm)を用いた。また絶縁性を有するセラミッ
クス1bとしては、セラミックス1aと同じ寸法の絶縁
性Si3 N4 セラミックスを用いた。接合剤2とし
ては、Ti系活性金属ろう材の接合剤2を用いた。そし
てセラミックス1a及び1bを保持治具3a,3bによ
り保持し、適宜の圧力Pを加えて固定した。加熱用電流
を通電させるための通電電極4a〜4hとしては、セラ
ミックス1a,1bの外周面に添うことができる形状の
接合端面を有する8個のタングステン製の通電電極を用
いた。なお通電電極4a〜4hを突合せ部に沿って導電
性セラミックス1aの外周側に当接させる場合には、接
合面に導電性を有するカーボンペーストを塗布して、通
電電極4a〜4hを突合せ部に緊密に当接させる。電極
4a〜4hは、移動させることなく固定した状態で、円
周方向に略等間隔で配設してある。また図示していない
が、突合せ部からの熱放散を防止するために、突合せ部
周辺には断熱材を設けている。なお特開平1−3202
73号に開示されるように断熱材に反射板を設けてもよ
い。
【0009】次に図1(B)を用いて通電制御装置5の
構成を説明する。通電電極4a〜4hは電極切換部51
の切換端子51a〜51hに接続されており、電極切換
部51は電源部52からの出力を指令に応じて選択され
た通電電極に順次印加する。電源部52の出力電圧・電
流・電力は、出力検知部53によって検出され、その測
定値は制御部54に入力される。この制御部54には、
突合せ部の温度を検知する温度検知器6の出力も入力さ
れ、制御部54はこれら入力された測定値に基づいて電
極切換部51及び電源部52に指令を与えてこれらの装
置を制御する。これらの電源切換部51,電源部52,
出力検知部53及び制御部54が通電制御装置5を構成
する。ここで電源部52としては、DC,ACのいずれ
の電源を用いてもよく、ACの場合には、任意の周波数
が適用できる。温度検知器6としては、放射温度計や熱
電対等を用いることができ、温度検知器6では接合部ま
たは接合部近傍の温度を検知する。
【0010】この実施例では、Arガスの接合雰囲気に
おいて、図2(A)に示すような電力制御パターン(通
電条件)に基づいて電力制御を行う。この電力制御パタ
ーンは、温度制御パターンを決定する。そして主に導電
性セラミックス1a及び接合剤2に通電し、突合せ部全
体を良好に加熱させるために、図2(B)に示した電極
切換パターンに従い通電電極を順次切換える。切換1回
目では、切換端子51a,51cを動作させて通電電極
4a,4c間に電圧を印加し、それ以後の切換2〜8回
目では、端子51b−51d,…,51h−51bを順
次動作させて、電極4b−4d,…,4h−4bへと通
電を逐次切り替えることによって、通電領域を突合せ部
の全周に亘って移動させる。切換9回目では、再び電極
4a−4cに戻って、以下上記と同様の電極切換順序で
繰返し通電を行う。この際、通電開始後5分までは、各
通電電極間での通電保持時間(以下、保持時間という。 )を一定の70msec とし、それから通電終了時の
20分までは保持時間を一定の30msec とし、電
極間毎の切換時間を略零になるように切換える。この電
極切換パターンは、選択した通電電極間の通電距離を一
定として、通電時間及び通電電力を変えることにより、
突合せ部の温度を効率良く上昇させている。これらの電
力制御パターン及び電極切換パターンは、通電制御装置
5の制御部54に予め入力してあるので、自動制御が可
能である。
【0011】本実施例では、更に表示部55と記録部5
6とを備えており、表示部55は出力検知部53で検知
した電圧、電流及び電力と温度検知器6で検知した突合
せ部の測定温度を表示する。そして記録部56は出力検
知部53及び温度検知器6の出力を時間経緯で記録する
。なお手動により電流または電力を制御することも可能
であり、その場合には表示部55に表示された測定値を
見ながら制御部54に設けた操作つまみ用いて制御する
【0012】この通電加熱により突合せ部が接合温度の
約920℃となったことを温度検知器6で検知すると、
制御部54はそれから約5分間加熱状態を保持して、接
合剤とセラミックスとを反応させた後、電力制御パター
ンに従って室温まで冷却して接合を完了する。
【0013】このような方法で製造した接合体について
、He リークディテクタを用いて気密度の評価をした
ところ、検出限界以下の良好な気密性を示した。また、
接合部を切断して組織観察を行ったところ、緻密な接合
層が形成されており、良好な接合が得られていることが
分かった。比較のために、同形状のセラミックスの試料
に対して2個の対向する通電電極を当接させて、セラミ
ックスを約100 rpmの回転速度で回転させて接合
を行ったところ、接合途中で電極部にアーク放電が発生
し、セラミックスにクラックが発生してしまい、良好な
接合体は得られなかった。
【0014】
【実施例2】図3(A)は、実施例1の電極配置を拡張
した電極配置図を示しており、N個の通電電極41,4
2,43,…,4(N−2),4(N−1),4Nから
なる電極群を、実施例1と同様に突合せ部に沿って導電
性セラミックス1aの外周側に当接した状態を示してい
る。
【0015】この実施例では、電極切換パターンとして
図3(B)に示した4種類のパターンを適宜に組み合わ
せて用いるものとする。パターン1では、隣接する電極
間を通電領域として通電を行う。すなわち最も通電距離
が短い電極間で通電を行って通電領域を突合せ部に沿っ
て移動させている。具体的には切換1回目で通電電極4
1−42間で通電を行い、それ以後の切換2〜n回目で
は42−43,43−44,…,4(N−1)−4n,
4N−41の通電電極を順次選択して通電を行う。(n
+1)回目以後では、再び上記と同様の電極切換順序で
通電を繰返えす。パターン2及び3では、間に2つの他
の通電電極を挟むようにして順次選択した通電電極に通
電するため、通電距離はパターン1の2倍になっている
。具体的には切換1〜n回目で41−44,42−45
,43−46,…,4(n−1)−42,4N−43の
通電電極を順次選択する。パターン3では切換1〜n回
目で41−44,43−46,45−48,…,4(n
−3)−4N,4(n−1)−42の通電電極を選択す
る。パターン2の方がパターン3と比べて前の通電領域
と後の通電領域とが重なる部分が多くなる。パターン4
では前の通電領域と後の通電領域とが重ならないように
してパターン1の通電距離の2倍の通電距離で通電電極
を順次選択する。具体的には、切換1〜n回目で41−
44,44−47,…,4(N−4)−4N,4N−4
3となり、(n+1)回目以後でそれぞれ上記と同様の
電極切換順序で繰り返す。
【0016】これらのパターンは一例であって、突合せ
部の形状または熱容量に応じて種々のパターン及びパタ
ーンの組み合わせが適用できる。例えば、パイプの外径
または内厚の値に応じて、任意のパターンが1つ選択さ
れて、通電開始から終了まで同じパターンに基づいて通
電される場合がある。また、通電開始から終了までの間
で異なる2つ以上のパターンを使用する場合があり、例
えば抵抗の温度特性が負であるような導電性セラミック
スの場合には、通電当初はパターン1を用いて最短の通
電距離に設定して開始電圧を低減しておく。そして温度
上昇と共に導電性セラミックスの抵抗値が減少すると、
通電距離を増加して加熱領域を大きくしていくことによ
り、小さな設備容量でも良好な加熱状態を得ることがで
きるため、パターン2を選択する。更に温度が上昇した
後は、前の通電領域と後の通電領域とを重ねる範囲を小
さくてもよくなるため、パターン3を選択しその後パタ
ーン4を選択する。セラミックスの特性及び突合せ部の
長さに応じて、他のパターンの組み合わせで通電を行っ
てもよい。例えば最初にパターン1が選択され、所望の
通電時間経過後は例えばパターン2が選択されて、通電
開始から終了まで2つパターンに基づいて通電するよう
にしてもよい。
【0017】なお、実施例1及び2においてセラミック
スの形状としては、断面が円形以外の管状でもよく、ま
た円柱状であってもよい。
【0018】
【実施例3】図4(A)及び図4(B)は、被接合体と
してのセラミックス1a及び1bとして導電性セラミッ
クスを用いる場合に本発明の方法を実施する接合装置の
一例の概略横断面形状及び縦断面図であり、丸パイプ形
状のセラミックス1a,1bどうしを突合せ、この突合
せ部の内周側に1つの通電電極40を配設し、かつ突合
せ部に沿って外周側に複数の通電電極4a〜4dを配設
して接合する場合を示している。なお図4(A)及び図
4(B)においては、図1(B)に示した通電制御装置
5のうち電極切換部51だけを示している。
【0019】この実施例では、導電性セラミックスとし
て、例えば抵抗率が約10−1[Ω・cm]のSiCセ
ラミックス(外径40×内径24×長さ30mm)を用
いる。 そして接合剤2としてはGe粉末の接合剤を用いる。4
つの外側の通電電極4a,4b,4c,4d及び円板形
状の内側電極40は、それぞれセラミックス1a,1b
の突合せ部の外周側及び内周側にカーボンペーストを塗
布して当接する。外側の通電電極4a〜4dは移動しな
いように固定され、通電電極4aと4bとが略90度の
角度間隔で配置され、通電電極4aと4c及び4bと4
dとが対向するように配置されている。なお、内側の通
電電極40はドーナツ形状であってもよい。
【0020】通電電極4a〜4dは、電極切換部51の
切換端子51a,51b,51c,51dに接続され、
内側の通電電極40は電極切換部51のアース端子52
eに接続されている。電圧は4つの切換端子51a〜5
1dを介して、外側の通電電極4a〜4dと内側の通電
電極40との間に所定のパターンで任意の時間間隔で順
次印加される。
【0021】今、接合雰囲気を真空とし、予熱なしに室
温よりセラミックス部材の突合せ部に約36Vの電圧を
印加して、主にSiCセラミックスの突合せ部に通電さ
せると共に、各電極間の保持時間を1/60sec と
し、他の電極間毎の切換時間が略零となるように切換端
子51a〜51dを切換えると、通電方向が4a→セラ
ミックス部材→40,4b→セラミックス部材→40,
4c→セラミックス部材→40及び4d→セラミックス
部材→40と順次に切換わり、通電領域をセラミックス
の突合せ部の全周に亘って間欠的に移動させる。
【0022】通電開始より徐々に電流を増加させ、約1
30Aで接合温度が1200℃となり、主にセラミック
スに発生するジュール熱により突合せ部全体を約10分
間加熱保持し、接合剤とセラミックスとを反応させた後
、電流を徐々に減じ、室温まで冷却して接合を完了した
。この接合体試料から3×4×40mmの試験片を切出
し4点曲げ試験を行った結果、接合強度は120MPa
であった。
【0023】本実施例では、内側の通電電極として一体
型の電極を用いているが、本実施例とは逆に外側の通電
電極として一体型の電極を用い、内側の電極として分割
された複数の電極を用いてもよいのは勿論である。
【0024】
【実施例4】図5(A)は、図4に示した実施例3の電
極配置を拡張変形した電極配置図を示している。この例
では、内側の通電電極を外側の通電電極に対応した数だ
け設けて、内側及び外側の通電電極間で通電を行う。具
体的には突合せ部の外周側にN個の通電電極41,42
,43,…4(N−2),4(N−1),4Nからなる
外側電極群が実施例3と同様に突合せ部に沿ってセラミ
ックス1aの外周側に当接されている。また突合せ部の
内周側には分割されたN個の通電電極41´,42´,
43´,…,4(N−2)´,4(N−1)´,4N´
からなる内側電極群が、それぞれ外側の通電電極と対向
するように当接され、かつ円周方向に略等間隔に配設さ
れている。
【0025】この実施例における電極切換パターンとし
ては種々のパターンを適用できるが、例えば図5(B)
に示す4種類のパターンを用いることができる。パター
ン1は、外側電極群と内側電極群との間の通電距離が最
も短くなる電極切換パターンである。具体的には、切換
1回目で例えば電極41−41´の通電が開始され、そ
れ以後の切換2〜n回目で42−42´,43−43´
,…,4(N−1)−4(N−1)´,4N−4N´と
なり、(n+1)回目以後で上記と同様の電極切換順序
で繰返される。パターン2はパターン1よりも通電距離
を長くしたパターンである。具体的には、切換1〜n回
目で41−42´,42−43,…,4(N−1)4N
´,4N−41´となり、それ以後は同様に繰返される
。パターン3は、同一の領域を通電方向を変えてクロス
するように通電するパターンである。具体的には、41
−42´,42−41´,42−43´,43−42´
…4N−41´,41−4N´となり、それ以後は同様
に繰り返される。パターン4は、パターン1とパターン
2とを組み合わせたような複合パターンである。具体的
には、切換1〜2n回目で41−41´,41−42´
,42−42,…,4(N−1)−4N,4N−4N´
,4N−41´となり、それ以後は同様にして繰返され
る。本実施例では、同数の内周側の通電電極と外周側の
通電電極とを用いているが、内周側と外周側の通電電極
の数を異ならせてもよいのは勿論である。
【0026】また外周側の通電電極と内周側の通電電極
との間で通電せずに、外周側の通電電極どうしと内周側
の通電電極どうしで通電を行うパターンを用いることも
可能である。例えば、通電電極41−42,41´−4
2´,42−43,42−´43´,…4(N−1)−
4N,4(N−1)´−4N´の通電順序で通電電極を
切換えれることができる。以上のように、種々のパター
ンを用いることが可能であり、1つのパターンで最後ま
で接合作業を行ってもよいが、被通電部の特性に応じて
、複数種類のパターンから適切なパターンを順次選択し
てもよい。
【0027】
【実施例5】図6(A)及び図6(B)は、図4に示し
実施例の変形例の概略横断面図及び縦断面図であり、こ
の例では内側のセラミックス1a,1bの突合せ部の内
周側に内周面と接触するように導電部材39を配置して
いる。図において、セラミックス1a,1b,接合剤2
,保持治具3a,3b及び外側の通電電極4a〜4bは
実施例3と同様であるが、異なる点は内側電極40を単
に導電部材39としている。また外側の通電電極4aと
電極切換部51の切換端子51a,通電電極4bと切換
端子51b及び通電電極4c,4dとアース端子52e
とがそれぞれ接続される。
【0028】任意の時間間隔で2つの端子51a,51
bに交互に電圧が印加されると、通電方向が4a→セラ
ミックス部材→導電部材39→セラミックス部材→4c
及び4b→セラミックス部材→4dと交互に切換わる。 したがって、通電領域をセラミックスの突合せ部の全周
に亘って間欠的に移動させることができる。その他の接
合条件及び接合結果は、実施例3と同様であるので省略
する。
【0029】
【実施例6】図7(A)及び図7(B)は、それぞれ本
発明を異形のセラミックスどうしを接合する場合に適用
した実施例の概略斜視図及び概略上面図である。セラミ
ックス1a及び1bどうしを突合せて突合せ部を構成し
、この突合せ部に沿って両側に通電電極9a〜9e及び
9a´〜9e´を配設して接合する。セラミックス1a
及び1bは、抵抗率が共に約10o Ω・cmのSi含
浸反応焼結SiCセラミックスで、セラミックス1aは
図示する寸法の台形形状を有しており、セラミックス1
bは図示する寸法の矩形形状を有している。両セラミッ
クス1a及び1bの間に介在させる接合剤2は、Si系
反応焼結接合剤である。なお両セラミックス1a及び1
bは、図示しない保持装置により保持し、適宜の圧力を
加えて固定してある。通電電極9a〜9e及び9a´〜
9e´は、タングステン板を2枚重ねにして構成した矩
形状電極である。これらの通電電極は、略等間隔の間隔
をあけてそれぞれ突合せ部に沿って対向するように配置
されており、各通電電極は両セラミックス1a,1bの
各々に当接している。また、突合せ部からの熱放散を防
止するために、突合せ部周辺には図示しない断熱材が設
けられている。
【0030】Arガスの雰囲気中において、図7(C)
に示す温度制御パターンに基づいて電流または電圧制御
を行いつつ、主にセラミックス1a,1bに通電し、突
合せ部全体を良好に加熱させるために、図8に示す電極
切換パターンを用いた。図8に示すように、切換1回目
では例えば通電電極9a−9b´間から通電を開始して
、切換2〜8回目では電極9a−9b´,9b−9b´
,…,9d−9d´,9d−9e´へと通電領域を逐次
全長に亘って往路移動させる。ひきつづいて、切換9〜
16回目では電極9e−9e´,9e−9d´,…,9
b−9b´,9a´−9bへと切換えることによって、
通電領域を帰路移動させる。切換17回目以後では、再
び電極9a−9a´に戻って、上記と同様の電極切換順
序で繰り返して通電を行う。この際、通電開始後5分間
では、各通電電極間での保持時間を50〜80msec
 の範囲で可変し、それから通電終了時の20分までは
25〜40msec の範囲で可変し、電極間毎の切換
時間は略零になるように切換えられる。また、これらの
温度制御パターン及び電極切換パターンは予め定められ
ており、温度検出器から温度信号をフィードバックする
ことにより、自動制御されて図7(C)に示すような温
度に制御される。
【0031】この通電加熱により突合せ部が接合温度の
約1450℃となったら、約5分間保持し、接合剤とセ
ラミックスとを反応させた後に、室温まで冷却して接合
を完了する。このようにして製造した接合体試料から3
×4×40mmの試験片を切出し、4点曲げ試験を行っ
た結果、接合強度は約200MPaであった。また、接
合体を切断して接合層を光学顕微鏡で観察したところ、
均一な接合層が形成されており、全面に亘って良好な接
合が得られていることがわかった。
【0032】なお、この実施例における電極切換パター
ンにおいて、通電電極間9a−9a´,9b−9b´,
9c−9c´,9d−9d´の順で保持時間を長くして
いる理由は、これらの部分の形状の変化に伴って熱容量
が大になるので、温度上昇が遅くなることを防止し、か
つ突合せ部全体の温度分布をより良好にさせる目的のた
めである。なおこれらの目的のためには、通電保持時間
を一定にして、選択した通電電極間の熱容量の大きさに
応じて電力量を可変するようにしてもよい。
【0033】
【実施例7】図9(A)は、同形の長さの長い板状セラ
ミックス同士に対して、実施例6の電極配置を拡張した
本実施例の電極配置図を示しており、この実施例ではN
個の通電電極91,92,93,…,9(N−2),9
(N−1),9Nからなる第1電極群及びN個の通電電
極91´,92´,93´,…,9(N−2)´,9(
N−1)´,9N´からなる第2電極群が、それぞれ突
合せ部に沿って突合せ部を間に挟んで対向するように配
置されている。各通電電極は、突合せ部に沿って略等間
隔で配置されて両セラミックス1a(1b)の各々に当
接されている。なお本実施例では、第1及び第2電極群
を構成する通電電極の数を同じ数にしているが、両群の
通電電極の数を異ならせてもよく、また第1及び第2電
極群のいずれか一方を一体形状の帯状の電極としてもよ
い。
【0034】この実施例においても、電極切換パターン
として種々のパターンを適用できるが、図9(B)に一
例として4種類のパターンを例示する。図9(B)のパ
ターン1では、切換1回目で通電電極91−91´の通
電を開始し、2〜n回目で92−92´,93−93´
,…,9(N−1)−9(N−1)´,9N−9Nの順
で通電を行い、通電領域を突合せ部の長手方向に移動さ
せる。そして(n+1)回目以後、再び上記と同様の電
極切換順序で繰返される。従ってこのパターンでは、通
電領域を突合せ部の一端から他端に向かって移動させる
往路移動だけが行われる。これに対してパターン2乃至
4では、通電領域を突合せ部の一端から他端に向かって
移動させる往路移動と他端から一端に向かって移動させ
る帰路移動とを交互に行う。なおパターン2の通電電極
の選択パターンはパターン1と同じである。これに対し
てパターン3では通電距離を長くするために、切換1〜
n回目で91−92´,92−93´,…,9(N−1
)−9N´,9N−9(N−1)´の順で通電を行って
、通電領域を往路移動させ、(n+1)〜(2n−2)
回目で9(N−1)−9(N−2)´,…,93−92
´,92−91´の順で通電を行って、通電領域を帰路
移動させる。そして(2n−1)回目以後、再び上記と
同様の電極切換順序を繰返す。パターン4はパターン2
とパターン3とを組み合わせたパターンであり、先の通
電領域と後の通電領域とを部分的に重ねるようにして通
電を行う。
【0035】抵抗値が温度の上昇とともに減少するよう
な素材を接合する場合、突合せ部の温度が低い通電初期
は、パターン1またはパターン4を選択し、温度が上昇
した段階ではパターン2または3を選択するのが好まし
い。なおこの例でも、制御中に通電時間、通電電力等を
変えてもよいのは勿論である。
【0036】
【実施例8】図10(A)は、複数の通電電極を複数の
グループに分けて、グループ毎に所定の電極切換パター
ンで通電を制御する発明の実施例を示している。このよ
うな通電電極のグループ分けは、接合長が長い大型形状
部材または異形状及び非対称形状のセラミックスなどの
複雑形状部材を接合する場合等のように、簡単に突合せ
部全体を良好に加熱できない場合に適している。考え方
の基本としては突合せ部を長手方向に複数の領域に分割
し、各分割部分毎に1つの通電制御装置を設けて、その
分割部分に配置した通電電極のグループを対応する通電
制御装置により制御し、セラミックス全体として複数の
通電領域を同時に移動させて加熱接合する。この実施例
では、実施例7の場合と同様に同形の板状セラミックス
同士に対して実施例7の電極配置を拡張して複数の通電
電極を極配している。複数の通電電極は、3つの電極グ
ループG1〜G3に分けられる。第1の電極グループG
1は、N個の通電電極11,12,…,1Nからなる第
1電極群とN個の通電電極11´,12´,…,1Nか
らなる第2電極群とからなる。第2の電極グループG2
は、M個の通電電極21,22,…,2Mからなる第3
電極群とM個の電極21´,22´,…,2M´からな
る第4電極とからなる。第3の電極グループG3は、L
個の通電電極31,32,…,3Lからなる第5電極群
とL個の通電電極31´,32´,…,3L´からなる
第6電極群からなる。なお、第1乃至第3の電極グルー
プG1〜G3において一方の電極群として一体形状の帯
状電極を用いることができる。
【0037】この実施例における電極切換パターンとし
ても先の実施例と同様に種々のパターンを適用できる。 例えば図10(B)に示す電極切換パターンに示すよう
に、電極グループG1では、切換1回目で通電電極11
−11´の通電を開始し、切換2〜n回目では通電電極
12−12´,…,1N−1Nの順で通電を行い、(n
+1)回目以後では、再び上記と同様の電極切換順序で
通電が繰返される。電極グループG2では、切換1回目
で通電電極21−21´の通電を開始し、切換2〜m回
目では通電電極22−22´,…,2M−2M´の順で
通電を行い、(m+1)回目以後では再び上記と同様の
電極切換順序で通電が繰返される。電極グループG3で
は、切換1回目で通電電極31−31´の通電を開始し
、切換2〜l回目では通電電極32−32´,…,3L
−3Lの順で通電を行い、(l+1)回目以後では、再
び上記と同様の電極切換順序で通電が繰返される。なお
本実施例では、一般的な説明を行うため通電電極の数を
L<M<Nにしているので、このような場合は各電極グ
ループの選択した通電電極への通電保持時間は、電極グ
ループG1<電極グループG2<電極グループG3とな
るようにする必要がある。
【0038】図10(A)のように単純形状で単に接合
長が長いだけの場合には、一般的にはL=M=Nとして
、1つの通電制御装置または各電極グループに対してそ
れぞれ別個に設けた通電制御装置を用いて、図13に示
すように各電極グループに同時に通電制御を行って接合
を行えばよい。しかしながら形状が異なるセラミックス
どうしを接合する際には、突合せ部の各部の熱容量の相
違に応じて各電極グループの通電電極の数や通電電極の
配置間隔等を変えたり、各電極グループ毎に通電条件を
変えることにより、より均等な加熱が可能になるように
するのが好ましい。
【0039】なお通電切換パターンとして、各電極グル
ープG1〜G3の通電電極の数がL=M=Nのときに、
3つの通電制御装置1〜3(図示せず)を用いて図12
に示す電極切換パターンに従って、各電極グループG1
〜G3においてそれぞれ独自に電極切換を行い、突合せ
部の複数箇所で通電領域の移動を移動させるようにして
もよい。また3つの通電制御装置1〜3を用いる場合で
も、図11に示す電極切換パターンのように、電極グル
ープG1から電極グループG3まで順番に選択して電極
切換を行い、突合せ部に添って複数の通電領域を移動さ
せずに、突合せ部に沿って常に1つの通電領域を移動さ
せるようにしてもよい。
【0040】このように複数の電極グループをそれぞれ
別個の通電制御装置により通電制御する場合には、各通
電箇所での電極切換パターン及び通電条件(電流、電力
、通電保持時間、温度制御)の設定を独立して行うこと
が望ましい。なおこの場合、同時に同じ通電電極間に異
なる通電制御装置から同時に電圧が印加されないように
、各通電制御装置の通電電極の切換を相互に制御する必
要がある。
【0041】上記実施例では板状のセラミックスを接合
する場合に、複数の通電電極を複数のグループに分けて
通電制御しているが、その他の形状、例えばパイプ状の
被接合体にもこの考え方を適用できるのは勿論である。
【0042】
【実施例グループ2】次に図14ないし図18を用いて
、加熱用インサート材を介在させて2つの被接合体を接
合する方法の実施例について説明する。加熱用インサー
ト材を用いればセラミックスどうしだけでなく、セラミ
ックスと金属とを接合することもできる。なお加熱用イ
ンサート材を用いる場合でも、通電制御装置及び加圧装
置の基本構造は図1(A)及び(B)で説明したものと
実質的に同じものを用いることができる。従って以下の
実施例では特に通電制御装置及び加圧装置についての説
明は省略する。また使用する加熱用インサート材につい
ては、導電性セラミックスの突合せ面に直接接合剤を担
持させたものだけでなく、特開平1−320273号公
報及び特開平1−320276号公報等に示される加熱
用インサート材のように導電性セラミックスの片面また
は両面に絶縁性セラミックスを設けた層状複合セラミッ
クス等を用いることができる。
【0043】加熱用インサート材を用いる場合でも、被
通電部材が加熱用インサート材に代わっただけで通電電
極の配置態様は上記実施例1ないし8で説明したものと
基本的には同じであり、上記実施例1ないし8で説明し
た全ての電極切換パターンを適用できる。例えば、大径
の管状の2つのセラミックスを加熱用インサート材を用
いて接合する場合でも、図3(A)及び(B)で説明し
た実施例3と図5(A)及び(B)で説明した実施例4
と同じ通電電極配置で同じ電極切換パターンを用いて通
電を行えばよい。また管状の2つのセラミックスを加熱
用インサート材を用いて接合する場合に、内部に一体型
の電極を配置する場合には図4及び図6を用いて説明し
た上記実施例3及び実施例5の通電電極配置及び通電パ
ターンを用いて通電を行えばよい。更に図9(A)を用
いて説明した細長い2つのセラミックスを加熱用インサ
ート材を用いて接合する場合には、同じ通電電極配置で
図9(B)に示した電極切換パターンを用いて通電を行
えばよい。また複数の通電電極を複数のグループに分け
て加熱用インサート材に通電を行う場合には、上記実施
例8に関して説明した図10(B)及び図11〜図13
の電極切換パターンを用いて通電を行うことができる。
【0044】
【実施例9】本実施例では、図14(A)及び(B)に
示すように8個の外側の通電電極4a〜4hと内側の1
個の通電電極39とを備えている。なお断熱材7及び加
熱用インサート材20を除けば、その他の構成は図1(
A)及び(B)に示した実施例1の構成と同様であるの
で、説明は省略する。この実施例では丸パイプ形状の絶
縁性セラミックス1a,1bどうしを加熱用インサート
材20を間に介して突合せて突合せ部を構成し、加熱用
インサート材20に通電電極4a〜4h及び39を当接
させている。セラミックス1a及び1bは、それぞれ外
径50×内径42×長さ100mmの寸法を有している
。セラミックス1a,1bは通常の絶縁性Al2 O3
 セラミックスである。加熱用インサート材20は、円
環状で抵抗率が約10−3[Ω・cm]である導電性A
l2 O3 セラミックスの両面に接合剤としてNaF
系のガラスソルダーを担持させて構成される。通電電極
4a〜4h及び30は、タングステンにより形成されて
おり、インサート材20の導電性セラミックスにカーボ
ンペーストまたはカーボンシートを介して緊密に当接さ
れている。 本実施例の効果を確認するための試験では、Arガス雰
囲気中で室温状態から通電を開始し、通電電極4a−3
9,4b−39,4c−39,4d−39,4e−39
,4f−39,4g−39,4h−39の順で通電を行
って、順次通電領域を切り替え、図14(C)に示すよ
うなパターンの電力制御により突合せ部近傍を加熱した
。各通電電極間の通電保持時間は70msec 一定と
し、接合温度を約1000℃とした後その状態を10分
間保持して接合剤を反応させて、反応した接合剤をセラ
ミックス1a及び1bとインサート材の導電性セラミッ
クスと反応させてこれらを接合した。この接合体につい
て、気密度のチェックをHeリークディテクターにより
行ったところ、全周にわたって漏れは検出されなかった
。また、この接合体の接合部を切り出し、研磨して光学
顕微鏡で組織観察を行ったところ、約20μmの緻密な
接合層が形成されており、接合部全体にわたって良好な
接合が形成されていることが分かった。
【0045】ここでは電極切換パターンや保持時間が一
定の例を示したが、通電開始後の経過時間に対して電極
切換パターンや通電保持時間を適当に変化させて接合す
ることも可能である。また、本実施例は断面が同心円以
外の形状または角状などにも適応できる。
【0046】
【実施例10】本実施例では、図14に示した実施例9
の構成において、内側の通電電極39を用いずに外側の
通電電極4a〜4hだけを用いて加熱用インサート材に
通電して接合を行う。効果を確認するための試験では、
寸法が外径50×内径42×長さ100mmで、約10
3 [Ω・cm]の抵抗率を有するSiCセラミックス
どうしを接合した。そして加熱用インサート材としては
、約10−1[Ω・cm]の抵抗率を有するSiCセラ
ミックスの両面に接合剤としてTi系活性金属ろう材を
設けた加熱用インサート材を用いた。雰囲気は10−5
Torrの真空中とした。そして通電は、室温状態から
開始し、図15(A)に示すような切換パターンで順次
通電領域を切換え、図15(B)に示すようなパターン
の温度制御により突合せ部近傍を加熱した。接合温度が
約950℃となった時で、その温度を5分間保持して接
合剤を反応させ、反応させた接合剤を被接合セラミック
スと加熱用インサート材とに反応させてこれらを接合し
た。ここで、接合途中で通電間隔の切換パターンを変化
させたのでは、ここで用いた加熱用インサート材の抵抗
の温度特性が負であるため、通電初期は通電間隔を短く
して通電開始電圧を小さくし、温度が上昇してくると抵
抗が減少するため、通電間隔を広げることにより、広い
領域を同程度の電圧で加熱しようとしたもので、電源の
容量を小さくできる利点がある。この接合体について、
機密度のチェックをHeリークディテクタにより行った
ところ、全周にわたって漏れは検出されなかった。また
この接合体の接合部を切り出し、研磨して光学顕微鏡で
組織観察を行ったところ、約8μmの緻密な接合層が形
成されており、接合部全体にわたって良好な接合が形成
されていることが分かった。ここでは保持時間が一定の
例を示したが、時間経過に対して変化しても接合可能で
ある。
【0047】
【実施例11】本実施例は、図16(A)に示した接合
部に対する通電電極の配置状態及び図16(B)に示し
た説明図から判るように、細長い導電性を有するセラミ
ックス1a及び1bを加熱用インサート材20を用いて
接合する場合の例である。効果を確認するための試験で
は、セラミックス1a及び1bとして寸法が10×15
0×20mm(突合せ面10×150mm)で、10−
3[Ω・cm]の抵抗率を有する導電性Si3 N4 
セラミックスを用いた。加熱用インサート材20として
は、突合せ面と同じ断面形状を有し、約10−2[Ω・
cm]の抵抗率を有する導電性Si3 N4 セラミッ
クス20aの両突合せ面に10+5[Ω・cm]以上の
絶縁性Si3 N4 からなる絶縁層20bを積層して
なるサンドイッチ構造の加熱用インサート材を用いた。 絶縁層20bとセラミックス1a及び1bとの突合せ面
間には、接合剤20cとしてTi系の活性金属ロウ材を
介在させた。そして雰囲気は10−5Torrの真空中
とした。通電は、室温状態から開始し、図17に示す電
極切換パターンで順次通電領域を切換え、図16(C)
に示すようなパターンの温度制御により突合せ部近傍を
加熱した。接合温度が約950℃となった時点で、その
状態を5分間保持し接合剤を反応させ、反応した接合剤
を被接合セラミックスと加熱用インサート材とに反応さ
せてこれらを接合した。この接合体から、3×4×40
mmの曲げ試験片を切り出し、4点曲げ試験を行ったと
ころ、約220MPaの強度が得られた。また、この接
合体の接合部を切り出し、研磨して光学顕微鏡で組織観
察を行ったところ、約8μmの緻密な接合層が形成され
ており、接合部全体にわたって良好な接合が形成されて
いることが分かった。ここでは導電性セラミックスどう
しの接合例について説明したが、この例のような突合せ
面側に絶縁性を有する加熱用インサート材を用いること
により、金属との接合にも本発明を応用できる。金属と
の接合の場合には、残留応力の影響を考慮して、金属と
加熱用インサート材の間に更に応力緩和のために、軟金
属や、または中間の熱膨脹係数を有するような材料を介
在させるのが好ましい。
【0048】
【実施例12】本実施例では図18に示すような2個の
異形状の絶縁性Si3N4 セラミックス1a及び1b
どうしを接合する。突合せ部に対する通電電極の配置は
、実施例11に関連して図16(A)に示した電極配置
の態様と同じであるので図示は省略する。この例では、
CaF2 系接合剤を両突合せ面に塗布した10−2[
Ω・cm]の抵抗率を有する導電性Si3 N4 セラ
ミックス製の加熱用インサート材を、被接合体セラミッ
クス1a及び1bの間に介在させている。そして雰囲気
はArガス中とした。通電は、温度制御で行い、図18
(C)に示すような各設定値を予め制御のプログラムに
入力し、自動制御で行った。このとき各通電箇所により
保持時間を変えたのは、熱容量を考慮してできるだけ突
合せ面全体をほぼ均等に加熱するためである。このため
には各通電箇所により、通電電流または電力を変化して
も同様な効果がある。図18(B)に示すように、接合
部の温度が約1450℃になった時点で、その状態を1
0分間保持し、その後接合面に垂直な方向に加圧をかけ
、プログラムに沿って室温まで冷却して接合を完了した
。この試料より3×4×40mmの曲げ試験片を切り出
し、4点曲げ試験を実施したところ、約280MPaの
強度が得られ、良好な接合が得られることが分かった。
【0049】
【実施例グループ3】次に室温では導電性を有しないが
高温で導電性を有するセラミックスまたは高温で導電性
を有する接合剤を、補助加熱装置を用いて加熱した後に
2つのセラミックスを電気接合する場合の実施例につい
て説明する。補助加熱装置を用いて2つのセラミックス
の突合せ部を加熱した後に通電電極から通電を行って接
合剤を反応させて2つのセラミックスを接合する方法は
公知であるので説明は省略する。この実施例グループ3
の実施例は、補助加熱装置を用いる点が違う点を除いて
は、実質的に上記実施例グループ1及び実施例グループ
2の各実施例と同じである。補助加熱手段としては、ガ
ス炎によるもの、電気炉によるもの、ランプ加熱による
ものなど種々の加熱手段を用いることができるが、これ
らの加熱手段は単独で用いてもよいが、複数の加熱手段
を併用してもよいのは勿論である。なお前述の実施例グ
ループ1及び2と後述する実施例グループ4の各実施例
のように室温において被通電部材が十分な導電性を有す
る場合には、その導電性の程度にもよるが、一般に電源
としては低電圧、大電流を供給できる電源を用いるが、
本実施例グループ3の各実施例で用いる被通電部材のよ
うに室温では十分な導電性がなく補助加熱手段を必要と
するものでは、補助加熱後でも抵抗値が大きいため、一
般には大電圧、小電流を供給できる電源を用いる。
【0050】なお本実施例グループの各実施例において
も、前述の実施例グループ1及び2で説明した全ての電
極切換パターンを用いることができる。例えば2つの管
状または円柱状のセラミックスを接合する場合には、先
に説明した実施例2の図3(A)及び(B)に示す通電
電極の配置構成及び電極切換パターンや、先に説明した
実施例3の図4、実施例4の図5(A)及び(B)並び
に実施例5の図6に示す通電電極の配置構成及び電極切
換パターンを用いることができる。また異形状寸法のセ
ラミックスを接合する場合には、実施例6の図7及び図
8に示す通電電極の配置構成及び電極切換パターンを用
いることができる。更に同じ形状寸法の2つの矩形状セ
ラミックスを接合する場合には、先に説明した実施例7
の図9(A)及び(B)の通電電極の配置構成及び電極
切換パターンを用いることができる。更に突合せ部が長
くなる場合や、2つのセラミックスをL字状を形成する
ように接合する場合のように突合せ部の形状が複雑なも
のとなる場合には、先に説明した実施例8のように、複
数の通電電極を複数のグループに別けて、グループ毎に
通電を制御してもよい。
【0051】
【実施例13】本実施例は、管状のセラミックスを接合
する例である。図19は本実施例の接合装置の概略図を
示しており、基本的な構成は第1図(A)の装置と同じ
であり、異なるのは補助加熱装置として10本のガスバ
ーナ8を突合せ部の周囲に間隔をあけて配置している点
である。図20(A)は効果を確認するために試験に用
いた通電電極の配置構成を示しており、図20(B)は
試験に用いた電極切換パターンを示している。試験に用
いた2つのセラミックス1a,1bは、寸法が外径60
×内径44×長さ100mmのパイプ形状の絶縁性Si
3 N4 セラミックスであり、接合剤としてはCaF
2系接合剤を用いた。突合せ部の外周面に緊密に当接す
るように配置した10個の通電電極40〜49としては
、タングステン製の電極を用いた。そして図示していな
いが、補助加熱装置として10本のガスバーナ8を突合
せ部の外周に沿って等間隔で配置した。ガスバーナは、
ガス炎で突合せ部の全体をほぼ均一に覆うように配置し
た。
【0052】試験では、まずガス炎により接合部を80
0〜900℃に予備加熱した後、通電電極に電圧を印加
して通電加熱を開始した。この時の通電は、電力制御で
行い、図20(B)に示すような電力値、時間、切り換
えパターン、保持時間を通電制御装置のプログラムに入
力して自動制御で接合を行った。接合時間が12分にな
った時点で2つのセラミックスを互いに向合うようにそ
れぞれ軸方向に加圧し、15分経過した後にガス炎を停
止して室温まで冷却して、接合を完了した。この試料の
気密性をHeリークディテクターでチェックしたところ
、漏れは検出限界以下のレベルであり、良好な気密性が
得られることが確認された。また、この試料より3×4
×40mmの曲げ試験片を切り出し、4点曲げ試験を実
施したところ、約300MPa の強度が得られ、良好
な接合が可能であることが分かった。
【0053】上記実施例では、より良好な加熱状態を得
るために、通電開始経過時間とともに通電保持時間、通
電経過時間及び通電電力の変更を行っている。本実施例
において、電極切換パターンを時間の経過とともに変え
ているのは、通電開始当初は接合剤の抵抗値が高いため
に、比較的通電電極間の距離が小さい電極切換パターン
を選んで必要な電圧を低くし、温度上昇と共に接合剤の
抵抗値が小さくなってくると通電電極間の距離が大きい
電極切換パターンに変更し、より広い通電領域を加熱す
ることにより、容量の小さい電源で、突合せ部をより均
等に加熱するためである。また上記実施例で通電保持時
間を変更しているのは、通電開始当初は被接合体への熱
の逃げが大きく、接合剤の加熱速度が遅いため、通電保
持時間を長くして各部分での加熱を十分に行えるように
し、温度が十分上昇してきた後は、保持時間を短くして
突合せ部全体をより均等に加熱するためである。更に上
記実施例では前の通電領域と後の通電領域とが部分的に
重なるように通電を行っているが、これは通電領域を重
ねない場合と比べて、通電電極間の抵抗値の変化を小さ
くできるので、電圧変動の少ない安定した通電領域の移
動が可能になる。実施例グループ3の電気接合方式では
、被通電部材の温度に対する抵抗値変化が大きく、また
原理的に大電圧を必要とするため、このような電極切換
パターンを用いることによる効果、すなわち電源容量の
低減、均等な加熱の達成及び安全性の向上等の点で大き
な効果がある。
【0054】なお図20(B)に示す制御パターンと異
なって、通電保持時間や電極切換パターンを一定にして
接合を行うことも可能であり、被接合体の状態に応じて
その他種々の制御パターンを用いることができる。
【0055】
【実施例14】本実施例は、異形状のセラミックスを接
合する例である。効果を確認するために用いた試料は図
21(A)に示すものである。図21(A)に示すよう
に、2個の異形状のSi3 N4 セラミックス1a,
1bの間にCaF2 系接合剤を介在させ、図21(B
)に示すように、接合面に対して通電電極9a〜9e及
び9a´〜9e´を配置した。なお補助加熱用ガス火口
も各通電電極に対応して配置した。試験ではまず、ガス
炎により接合部を800〜900℃に予備加熱した後、
通電電極に電圧を印加して通電加熱を開始した。通電は
、電力制御で行い、図22に示すような各設定値を通電
制御装置のプログラムに入力して自動制御で行った。こ
の時、各通電箇所によって保持時間を変えたのは、熱放
散量を考慮してできるだけ接合面全体を均一に加熱する
ためである。接合時間(10分)が終了すると同時に、
接合面に垂直な方向に加圧をかけ、ガス炎を停止して室
温まで冷却し、接合を完了した。この試料より3×4×
40mmの曲げ試験片を切り出し、4点曲げ試験を実施
したところ、約300MPa の強度が得られ、良好な
接合が得られることが分かった。
【0056】
【実施例15】本実施例では管状セラミックスの突合せ
部に沿って配置される複数の通電電極4a〜4lを2つ
の電極グループG1(電極4a〜4g)及び電極グルー
プG2(電極4g〜4a)に分け、2つの電極グループ
の通電電極を2つの通電制御装置5A及び5Bにより通
電制御し、補助加熱装置として電気炉80を用いる実施
例である。図23(A)は効果を確認するために用いた
通電電極の配置構成図を示しており、図23(B)は試
験に用いた電極切換パターン及び通電条件を示している
。試験に用いた2つのセラミックスは、寸法が外径10
0×内径90×長さ30mmのパイプ形状の絶縁性Si
3 N4 セラミックスであり、接合剤としてCaF2
 系接合剤を用いた。突合せ部の外周面に等間隔に12
個のタングステン製通電電極4a〜4lを緊密に当接す
るように配置した。補助加熱装置として電気炉80を用
い、被接合体及び通電電極全体をその中に入れ、ヒータ
81及び82により電気炉内を約900℃まで加熱して
補助加熱を行った後、通電電極4a〜4lに電圧を印加
して、接合剤の通電加熱を開始した。電気炉80内の雰
囲気はArガス雰囲気とした。このときの通電は、電流
制御で行い、図23(B)に示すような電極切換パター
ン及び通電条件に従って、2つの通電制御装置5A及び
5Bで、それぞれの電極グループG1及びG2内の選択
した通電電極を同時に通電加熱した。この際、電極グル
ープG1とG2の通電電極4aと4gに同時に両方の通
電制御装置5A及び5Bから電圧が印加されないように
制御する必要がある。通電を開始してから15分後に2
つのセラミックスを互いに向合うように軸線方向に加圧
し、通電切換パターンに従って冷却した。通電を停止し
た後、ヒータ81及び82も停止して、電気炉80内を
室温まで冷却し、接合を完了した。通電条件で、通電初
期に通電電流を大きくし、後半に通電電流の電流値を小
さくするように変化させたのは、出来るだけ早く接合剤
の温度を上昇させて、その抵抗を小さくし、通電が安定
に行なわれるようにし、その後十分に突合せ部が加熱さ
れ、通電が安定してくると次は接合剤の反応に適した温
度になるように、電流を減少させようとしたものである
。電流を大きいままに保持しておくと過加熱となり、良
好な接合ができないからである。通電電極間距離を変化
したのは、実施例13で説明した理由と同じである。 このようにして接合した試料について実施例13と同様
の評価を行った結果、良好な接合が行えることが分かっ
た。ここでは、補助加熱として電気炉を用いたが、ガス
炎による加熱であってもよい。なお、ここでは試料全体
を電気炉の中にいれて、補助加熱を行ったが、長尺物の
試料等では電気炉に突合せ部近くの一部分だけを入れて
、突合せ部近傍のみを補助加熱する方が接合コスト上、
好ましい。またこの例では単に2つの電極グループに分
けたが、更に寸法が大きくなれば、それ以上の複数の電
極グループに分けてもよい。その他実施例8で説明した
ような各種の使用方法を適用できる。
【0057】
【実施例グループ4】上記各実施例では被接合体の突合
せ部に平行な方向に通電を行っているが、本発明は突合
せ部を一方の被接合体から他方の被接合体へと横切る方
向(垂直方向)に通電を行う場合にも適用できる。この
通電方法自体は、例えば特開平1−176283号公報
等に示されるように加熱用インサート材のない方式と加
熱用インサート材のある方式とがあるが、これらは既に
公知であるため詳細な説明は省略する。加熱用インサー
ト材を用いる方式において、使用する加熱用インサート
材の抵抗値が被接合体の抵抗値よりも大きく設定されて
いるため、通電を行うと主に加熱用インサート材の部分
に集中的にジュール熱が発生することになり、加熱効率
のよい接合ができる特徴がある。なお以下の各実施例で
は、導電性セラミックスどうしまたは導電性セラミック
スと金属とを接合することができる。
【0058】
【実施例16】図24(A)及び(B)は、同形同寸法
の矩形状セラミックス1a及び1bを接合剤2を介して
突合せて突合せ部を構成した試料を接合する実施例の側
面図及び平面図を示している。本実施例では、セラミッ
クス1aの両側面にそれぞれ通電電極A1〜AN及びB
1〜aBを緊密に当接させている。またセラミックス1
bの両側面にそれぞれ通電電極a1〜aN及びb1〜b
Nを緊密に当接させている。通電電極A1〜ANと通電
電極a1〜aNとが通電を行う第1の電極の組を構成し
、通電電極B1〜BNと通電電極b1〜bNとが通電を
行う第2の電極の組を構成している。各通電電極は、長
手方向に等間隔で配置されている。本実施例においても
、種々の電極切換パターンを用いて第1の電極の組及び
第2の電極の組に通電を行うことができる。図25は、
本実施例において用いることができる電極切換パターン
の例を示している。パターン1は、通電される2つの通
電電極間の距離が最も短くなるパターンであり、このパ
ターンでは突合せ部の一端から他端へ通電領域を順次移
動(往路移動)させる。パターン2は、突合せ部に沿っ
て通電領域を往復移動させる。パターン3ではパターン
1及び2よりも通電距離を長くして、通電領域を突合せ
部に沿って往復移動させる。パターン4は、パターン2
とパターン3とを組み合わせたパターンである。上記実
施例は、加熱用インサート材のない場合の例であるが、
加熱用インサート材を用いる方式においても上記電極切
換パターンを適用できるのは勿論である。
【0059】
【実施例17】図26(A)及び(B)は、比較的幅の
広い同形同寸法の矩形状セラミックス1a及び1bを、
両面に接合剤が塗布された加熱用インサート材20を間
に介して突合せて突合せ部を構成した試料を接合する実
施例の側面図及び平面図を示している。本実施例では、
セラミックス1aの上面に通電電極A1〜ANの第1の
電極列と、通電電極B1〜BNの第2の電極列と、通電
電極C1〜CNの第3の電極列とを緊密に加圧した状態
で当接させている。またセラミックス1bの下面に通電
電極a1〜aNの第3の電極列と、通電電極b1〜bN
の第4の電極列(図示せず)と、通電電極c1〜cNの
第5の電極列(図示せず)とを緊密に当接させている。 それぞれ通電電極a1〜aN及びb1〜bNを緊密に加
圧した状態で当接させている。本実施例では通電電極A
1〜ANと通電電極a1〜aNとが通電を行う第1の電
極の組を構成し、通電電極B1〜BNと通電電極b1〜
bNとが通電を行う第2の電極の組を構成し、通電電極
C1〜CNと通電電極c1〜cNとが通電を行う第3の
電極の組を構成している。本実施例では3組の電極の組
を用いているが、セラミックスの幅に応じて更に多くの
電極の組を用いることができるのは勿論である。そこで
図27には、m組の電極の組を用いる場合に用いること
ができる電極切換パターンの例を示した。図27に示し
た電極切換パターン以外のパターンを用いることができ
るのは勿論である。また本実施例では、被接合体の両側
に複数の同数の通電電極を配置しているが、両側の通電
電極の数を異ならせてもよく、また被接合体の一方の側
に配置される通電電極を一体になった1個の一体型の通
電電極に置き換えてもよい。本実施例では、加熱用イン
サート材を用いたが、加熱用インサート材を用いない方
式にも本実施例の電極配置を適用できるのは勿論である
【0060】
【実施例18】図28(A)及び(B)は、同形同寸法
の管状のセラミックス1a及び1bを、接合剤2を間に
介して突合せて突合せ部を構成した試料を接合する実施
例の側面図及び断面図を示している。本実施例では、セ
ラミックス1aの外周面に突合せ部に沿って通電電極A
1〜ANを緊密に加圧した状態で当接させており、また
セラミックス1bの外周面に突合せ部に沿って通電電極
a1〜aNを緊密に加圧した状態で当接させている。図
28(C)は、この実施例で用いることができる電極切
換パターンの一例を示している。本実施例では、対向す
る通電電極の数を同じ数としてるが、対向する通電電極
の数を異ならせてもよく、また被接合体の一方の側に配
置される通電電極を一体になった1個の一体型の通電電
極に置き換えてもよい。本実施例では、加熱用インサー
ト材を用いたが、加熱用インサート材を用いない方式に
も本実施例の電極配置を適用できるのは勿論である。
【0061】
【実施例19】図29(A)及び(B)は、同形同寸法
の管状のセラミックス1a及び1bを、加熱用インサー
ト材20と接合剤とを間に介して突合せて突合せ部を構
成した試料を接合する実施例の側面図及び断面図を示し
ている。本実施例は、図28に示した実施例18の電極
配置を拡張したものである。実施例18では、セラミッ
クス1a及び1bの外周面にのみ通電電極を配置してい
るため、セラミックスの厚みが厚くなった場合には、セ
ラミックスの内周側に位置する突合せ部分を良好に加熱
することができない。そこで本実施例では、セラミック
スの内周面上にも通電電極A1´〜AN´及びa1´〜
aN´(図示せず)を配置した。そして本実施例では、
通電電極A1〜AN及びa1〜aNと通電電極A1´〜
AN´及びa1´〜aN´との間で通電を行う。このよ
うにすればセラミックスの外周側及び内周側の両側から
突合せ部を良好に加熱することができる。図29(C)
は、本実施例で用いることができる電極切換パターンの
一例を示している。
【0062】管状のセラミックスを接合する場合の通電
電極の配置態様は上記実施例に限定されるものではなく
、例えば図30(A)及び(B)に示す平面図及び側面
図に見られるようにセラミックス接合体の軸線方向両側
の端面に通電電極を配置してもよい。また図30(C)
に示すように、一方の電極群をセラミックス1aの軸線
方向の一方の端面に設け、他方の電極群をセラミックス
1bの外周面に設けることもできる。
【0063】本実施例では、対向する通電電極の数を同
じ数としてるが、対向する通電電極の数を異ならせても
よく、また被接合体の一方の側に配置される通電電極を
一体になった1個の一体型の通電電極に置き換えてもよ
い。また本実施例では、加熱用インサート材を用いたが
、加熱用インサート材を用いない方式にも本実施例の電
極配置を適用できるのは勿論である。
【0064】
【実施例20】この実施例は、管状のセラミックスを接
合する実施例の効果を確認するための実施例である。図
31(A)及び(B)は、カーボン製の16個の通電電
極A1〜A8及びa1〜a8を用いて寸法が外径60×
内径48×長さ100mmで10−2[Ω・cm]の抵
抗率を有する管状のSiCセラミックス1a及び1bど
うしを接合する場合の電極配置を示している。両セラミ
ックスの接合面の間には、Ge−Si 系接合剤2を接
合部に介在させ、両セラミックスを突合せて所定の力で
加圧し保持治具にセットした。図示していないが突合せ
部近傍周辺に保温の目的で断熱材を設けている。接合は
Arガス雰囲気中で行った。そして各通電電極を突合せ
部から各々50mm離れたセラミックスの外周面にカー
ボンペーストを介して当接させ、円周方向に等間隔に配
置した。室温から通電電極に電圧を印加して通電加熱を
開始した。この時の通電は、電力制御で行い、図32に
示す電極切換パターン,通電経過時間、通電保持時間及
び図31(C)に示す電力値をプログラムに入力し自動
制御で接合を行った。接合温度が約1200℃になった
状態を5分間保持した後、プログラムに従って冷却をし
て接合を完了した。この試料の気密性をHeリークディ
テクターでチェックしたところ検出限界以下のレベルで
あり、また、切断して接合層を光学顕微鏡で観察したと
ころ、均一な接合層が形成されており、全周にわたって
良好な気密性を有する接合体が得られた。
【0065】
【実施例21】この実施例は幅の広い同寸法の2つの矩
形状セラミックスを接合する実施例の効果を確認するた
めの実施例である。図33(A)及び(B)においてセ
ラミックス1a及び1bは、寸法が100×50×10
mm(突合せ面50×100mm)で約10−2[Ω・
cm]の抵抗率を有する導電性Si3 N4 セラミッ
クスである。 接合剤2としては、Ti系活性金属ろう材を用いた。そ
して両セラミックスの上下面に各々、20×20mmの
接触面積を持つカーボン製の通電電極A1〜A4及びB
1〜B4とa1〜a4及びb1〜b4(図示せず)を8
個ずつ均等配置した。各通電電極はそれぞれカーボンペ
ーストを介してセラミックスに加圧状態で緊密に当接し
ている。また、図示していないが周囲は断熱材により保
温されており、雰囲気はArガス中とした。室温から通
電電極に電圧を印加して通電加熱を開始した。この時の
通電は、温度制御で行い、図33(C)及び図34に示
す温度、切り換えパターン、保持時間をプログラムに入
力し自動制御で接合を行った。接合温度は約900℃で
保持時間は5分とした。この接合体から3×4×40m
mの曲げ試験片を切り出し、4点曲げ試験を実施したと
ころ、約200MPaの強度が得られた。また、この接
合体を切断して接合層を光学顕微鏡で観察したところ、
均一な接合層が形成されており、全面にわたって良好な
接合が得られることが分かった。
【0066】
【実施例22】この実施例は、異形の2つのセラミック
スを接合する実施例の効果を確認するための実施例であ
る。接合に用いたセラミックス1a及び1bは、それぞ
れ図35(A)に示す形状寸法を有しており、これらは
約10−2[Ω・cm]の抵抗率を有するSiCセラミ
ックスである。加熱用インサート材20は、被接合セラ
ミックス1a,1bより抵抗率が約2桁大きいSiCセ
ラミックス製の加熱用インサート材であり、その両接合
面にTi系接合剤を備えている。下部通電電極aはカー
ボン製でカーボンペーストを介してセラミックス1bの
下面全体と緊密に接触している。上部の通電電極A1〜
A10は、カーボン製で図に示すように10個が等間隔
に配置され、各々が図示しない加圧装置により加圧され
、セラミックス1aの上面と緊密に接触している。なお
接合は真空雰囲気で行った。そして室温から通電電極に
電圧を印加して通電加熱を開始した。この時の通電は、
温度制御で行い、図35(C)及び図36に示すように
温度、時間、切り換えパターン、保持時間をプログラム
に入力して自動制御で接合を行った。接合温度が約90
0℃になった状態を5分間保持し、プログラムに従って
冷却して接合を完了した。なお図36において、セラミ
ックス1aの突出部で通電電極の切換時間を遅くしてい
る理由は、突出部の熱容量が大きいために、温度上昇が
遅くなることを防ぐためであり、できるだけ温度分布を
ほぼ均等にしようとする配慮である。これは切換時間を
一定にして通電電力を突出部に相当する部分で大きくす
る方法をとっても可能である。接合した接合体を切断し
て接合層を光学顕微鏡で観察したところ、均一な接合層
が形成されており、全面にわたって良好な接合が得られ
ることが分かった。
【0067】なお突合せ部を横切るすなわち突合せ部に
対して垂直方向に通電をする方法を実施する場合にも、
複数の通電電極をグループに別け、前記実施例8に関連
して説明したのと同じ電極切換パターンをそのまま用い
てグループ毎に通電を行うことができる。
【0068】セラミックスと金属とを接合する場合には
、突合せ部に軟金属や熱膨張係数がセラミックスと金属
の中間の値を有する中間部材を介在させて、残留応力を
緩和すれば、良好に接合を行える利点がある。
【0069】本実施例グループだけでなく実施例グルー
プ1及び2の場合においても、導電性セラミックスは、
室温から通電可能であるので、基本的には導電性を高め
るために、補助加熱手段を必要としないが、補助加熱手
段を熱衝撃の緩和などの目的で使用することができる。 補助加熱手段としては、ガス炎によるもの、電気炉によ
るもの、ランプ加熱によるものなど、種々の加熱手段を
単独でまたは併用して用いることができる。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、被通電部材に当接させ
た3つ以上の通電電極から順次選択した通電電極に通電
を行って、通電領域を突合せ部に沿って移動させている
ため、従来のように通電電極と被接合体との間に相対移
動を生じさせる必要がなく、また可動部分がないために
メンテナンスの回数が少なくてすみ、しかも安全である
という利点がある。また通電電極と被通電部材とを緊密
に接触させることができるため電流を大きくしても放電
の発生がなく、セラミックスを破損させたり劣化させる
ことがないという利点がある。更に通電領域を突合せ部
に沿って移動させると、突合せ部全体に同時に通電を行
う従来の方法と比べて、小容量の電源を用いて長い突合
せ部を所定の温度まで加熱することができる。また異形
断面を持つセラミックス及び非対称形状のセラミックス
どうしを接合する場合には、通電電極間の抵抗値及び熱
容量の相違に応じて通電条件を制御することにより、各
部をほぼ均等に加熱することできるため、突合せ部全体
を同時に通電する従来の方法のように局所的な過熱が発
生するのを防止できる。その結果、本発明は、特に大口
径の管形状セラミックスどうしを突合せて接合する場合
、長尺の板状セラミックスどうしの長手方向の面を突合
せて接合する場合、また異形断面を持つセラミックス及
び非対称形状のセラミックスどうしを接合する場合に対
して有効に作用し、これらの突合せ部全体を良好な状態
に通電加熱させながら所望の接合温度まで昇温させて接
合することができ、または所望の接合温度まで適宜の加
熱パターンで昇温させて接合することができる。請求項
2の発明によれば、突合せ部の条件の変化に応じて複数
種類の電極切換パターンの中から適切な電極切換パター
ンを選択して通電を行うことにより、効率良く通電を制
御することができ、また複雑な形状の被接合体でも容易
に接合できる利点がある。請求項3の発明によれば、通
電初期においては最も短い通電距離で通電を行い、段階
的に通電距離を長くする電極切換パターンを用いるため
、必要最大電圧を小さくすることができ、小さい電源容
量で長い突合せ部を所望の温度まで昇温させることがで
きるとともに、安全性が高いという利点がある。また請
求項4の発明によれば、前の通電領域と後の通電領域と
を部分的に重ねるように通電を行うため、通電領域を重
ねない場合に比べて、通電領域の抵抗値をできるだけ低
い状態にして通電を行うことができ、加熱部の温度低下
を抑制して、電圧変動の少ないスムーズな通電領域の移
動が可能となる利点がある。更に請求項5の発明によれ
ば、通電電極の選択変更により通電距離を変えなくても
、突合せ部の温度上昇または通電領域の抵抗値の低下、
通電する部分の熱容量の相違に応じて、突合せ部をほぼ
均等に加熱することができ、また被接合体への熱衝撃の
緩和及び接合剤の反応の制御を行うことができる。 請求項6の発明によれば、3つ以上の通電電極を突合せ
部に沿って複数の電極グループに分けて各電極グループ
毎に所定の電極切換パターン及び所定の通電条件に従っ
て通電を制御するため、突合せ部の長さが非常に長い場
合や、突合せ部の形状が複雑な場合等でも、効率良く、
しかも短時間で突合せ部を所望の温度に加熱することが
できる利点がある。請求項7の発明によれば、各電極グ
ループをそれぞれ独立した通電制御装置で制御すると、
比較的容易に各電極グループの通電制御することができ
る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)及び(B)はそれぞれ本発明の方法の第
1の実施例を実施する接合装置の概略正面図及び概略平
面図である。
【図2】(A)及び(B)はそれぞれ第1の実施例に適
用される電力制御パターンの一例及び電極切換パターン
の一例を示す図である。
【図3】(A)は第2の実施例の電極配置図であり、(
B)は第2の実施例に適用される電極切換パターンの一
例を示す図である。
【図4】(A)及び(B)はそれぞれ本発明の方法の第
3の実施例を実施する接合装置の概略横断面図及び縦断
面図である。
【図5】(A)は第4の実施例の電極配置図であり、(
B)は第4の実施例に適用される電極切換パターンの一
例を示す図である。
【図6】(A)及び(B)はそれぞれ本発明の方法の第
5の実施例を実施する接合装置の概略横断面図及び縦断
面図である。
【図7】(A)及び(B)は本発明の方法の第6の実施
例を実施する適用例の概略斜視図及び概略平面図であり
、(C)は第6の実施例に適用される温度制御パターン
例を示す図である。
【図8】第6の実施例で適用する電極切換パターンの例
を示す図である。
【図9】(A)は第7の実施例の電極配置図であり、(
B)は同図に適用される電極切換パターンの例を示す図
である。
【図10】(A)は図9(A)に示した第7の実施例に
おける電極配置を拡張した第8の実施例の電極配置図で
あり、(B)は第8の実施例に適用される電極切換パタ
ーンの例を示す図である。
【図11】第8の実施例に適用される他の電極切換パタ
ーンの例を示す図である。
【図12】第8の実施例に適用される更に他の電極切換
パターンの例を示す図である。
【図13】第8の実施例に適用される他の電極切換パタ
ーンの例を示す図である。
【図14】(A)は本発明の方法の第9の実施例を実施
する実施する接合装置の電極配置図、(B)は接合装置
の断面図、(C)は第9の実施例を実施する場合に適用
される電力制御パターンを示す図である。
【図15】(A)は第9の実施例に適用される電極切換
パターンの例を示す図であり、(B)は温度制御パター
ンを示す図である。
【図16】(A)は本発明の方法の第10の実施例を実
施する実施する接合装置の電極配置図、(B)は接合装
置の断面図、(C)は本実施例を実施する場合に適用さ
れる温度制御パターンを示す図である。
【図17】図16に示した第11の実施例に適用される
電極切換パターンの例を示す図である。
【図18】(A)は本発明の方法の第11の実施例を実
施する適用例の概略斜視図であり、(B)はこの実施例
に適用される温度制御パターンを示す図であり、(C)
は本実施例に適用される電極切換パターンを示す図であ
る。
【図19】本発明の方法の第12の実施例を実施する場
合に用いる接合装置の概略平面図である。
【図20】(A)は本発明の方法の第13の実施例の電
極配置図であり、(B)は本実施例に適用する電極切換
パターンの例を示す図である。
【図21】(A)は本発明の方法の第14の実施例を実
施する適用例の概略斜視図であり、(B)は電極配置図
である。
【図22】図21に示した第14の実施例に適用される
電極切換パターンを示す図である。
【図23】(A)は本発明の方法の第15の実施例の電
極配置図であり、(B)は本実施例に適用する電極切換
パターンの例を示す図である。
【図24】(A)は本発明の方法の第16の実施例を実
施する適用例の概略正面図であり、(B)は概略平面図
である。
【図25】図24に示した第16の実施例に適用される
電極切換パターンを示す図である。
【図26】(A)は本発明の方法の第17の実施例を実
施する適用例の概略正面図であり、(B)は概略平面図
である。
【図27】図26に示した第17の実施例に適用される
電極切換パターンを示す図である。
【図28】(A)は本発明の方法の第18の実施例を実
施する適用例の概略正面図であり、(B)は電極配置図
であり、(C)は第18の実施例に適用される電極切換
パターンを示す図である。
【図29】(A)は本発明の方法の第19の実施例を実
施する適用例の概略正面図であり、(B)は電極配置図
であり、(C)は第18の実施例に適用される電極切換
パターンを示す図である。
【図30】(A)及び(B)は他の電極の配置例を説明
するための概略平面図及び概略正面図であり、(C)は
更に他の電極の配置例を説明するための概略正面図であ
る。
【図31】(A)は本発明の方法の第20の実施例を実
施する接合装置の概略平面図であり、(B)は接合装置
の概略正面図であり、(C)は本実施例に適用される電
力制御パターンである。
【図32】図31に示した第20の実施例に適用される
電極切換パターンを示す図である。
【図33】(A)及び(B)は本発明の方法の第21の
実施例の適用例の概略側面図及び概略平面図であり、(
C)は本実施例に適用される温度制御パターンを示す図
である。
【図34】図33に示した第21の実施例に適用する電
極切換パターンの例を示す図である。
【図35】(A)及び(B)は本発明の方法の第22の
実施例の適用例の概略斜視図及び概略側面図であり、(
C)は本実施例に適用される温度制御パターンを示す図
である。
【図36】図33に示した第22の実施例に適用する電
極切換パターンの例を示す図である。
【符号の説明】 1a,1b  セラミックス 2  接合剤 20  加熱用インサート材 3a.3b  保持治具 4a〜4h,41〜4N,41´〜4N´,9a〜9e
,9a´〜9e´,91〜9N,91´〜9N´,A1
〜AN,B1〜BN,C1〜CN,a1〜aN,b1〜
bN,c1〜cN  通電電極 5,5A,5B  通電制御装置 51  電極切換部 51a〜51h  切換端子 52  電源部 53  出力検知部 54  制御部 55  表示部 56  記録部 7  断熱材 8  ガスバーナ 80  電気炉

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方がセラミックスからなる2
    つの被接合体の突合せ面の間に接合剤を介在させるかま
    たは導電性セラミックスを基体とする加熱用インサート
    材と接合剤とを介在させて突合せ部を構成し、前記接合
    剤をジュール熱を利用して加熱反応させて前記2つの被
    接合体を接合するセラミックスの電気接合方法であって
    、前記被接合体、前記接合剤及び前記加熱用インサート
    材のうちジュール熱を発生させるために通電される被通
    電部材の表面に3つ以上の通電電極を所定の間隔を開け
    て当接させ、通電領域を前記突合せ部に沿って移動させ
    る所定の電極切換パターンに従って前記3つ以上の通電
    電極から順次選択した少なくとも一対の通電電極間に通
    電を行うことを特徴とするセラミックスの電気接合方法
  2. 【請求項2】突合せ部の条件の変化に応じて複数種類の
    電極切換パターンの中から適切な電極切換パターンを選
    択して通電を行う請求項1に記載のセラミックスの電気
    接合方法。
  3. 【請求項3】通電初期においては短い通電距離で通電を
    行う電極切換パターンを選択し、段階的に通電距離を長
    くする電極切換パターンを選択する請求項2に記載のセ
    ラミックスの電気接合方法。
  4. 【請求項4】前の通電領域と後の通電領域とが部分的に
    重なるように通電を行う電極切換パターンを用いる請求
    項1,2または3に記載のセラミックスの電気接合方法
  5. 【請求項5】前記電極切換パターンは、(a)通電位置
    によって異なる突合せ部の条件に応じて通電電流、電力
    及び通電保持時間の少なくとも一つを変化させて前記突
    合せ部をほぼ均等に加熱する通電条件及び (b)予め定めた温度制御パターンに従って通電電流、
    電力及び通電保持時間の少なくとも一つを時間の経過と
    ともに変化させて前記被接合体の熱衝撃を緩和したり前
    記接合剤の反応を促進する通電条件の少なくとも一つの
    通電条件と組合される請求項1,2,3または4に記載
    のセラミックスの電気接合方法。
  6. 【請求項6】前記3つ以上の通電電極は複数の電極グル
    ープに分けられ、各電極グループ毎に所定の電極切換パ
    ターン及び所定の通電条件に従って通電を制御する請求
    項1、2、3、4または5に記載のセラミックスの電気
    接合方法。
  7. 【請求項7】前記複数の電極グループはそれぞれ独立し
    た通電制御装置により通電制御される請求項6に記載の
    セラミックスの電気接合方法。
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