JPH0420649B2 - - Google Patents

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JPH0420649B2
JPH0420649B2 JP56195622A JP19562281A JPH0420649B2 JP H0420649 B2 JPH0420649 B2 JP H0420649B2 JP 56195622 A JP56195622 A JP 56195622A JP 19562281 A JP19562281 A JP 19562281A JP H0420649 B2 JPH0420649 B2 JP H0420649B2
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water
vinylidene fluoride
separation
solvent
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Shoji Nagaoka
Shigenori Takenaka
Takeshi Sonoda
Kazusane Tanaka
Tatsuo Nogi
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Toray Industries Inc
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【発明の詳細な説明】
本発明は精密過、限外過、など水系溶液の
濃縮、物質分離に適する新規な分離膜に関するも
のである。 近年、廃水処理、食品工業、医療分野などの用
途分野において、膜を使用する分離技術が注目さ
れ、発展が期待されている。 この膜分離技術としては水系媒体中に浮遊、分
散あるいは溶解している物質の大きさに応じて、
精密過、限外過あるいは透析などの手法がと
られている。特に、医療、生物製剤工業あるいは
医療分野に於いては、血液、血漿、血清、菌体な
ど生体成分を対象とした精密過あるいは限外濾
過膜の開発が検討されている。 本発明膜の好ましい用途である血液浄化関連の
いくつかの具体例としては、血漿分離(血液中の
有形成分と血漿の分離)、免疫複合体などの高分
子量蛋白とアルブミン等の低分子量蛋白との分離
による免疫疾患の治療(リユーマチ、SLE、糸球
体腎炎など)、培養用血清の精製(細胞増殖阻害
成分の除去など)などが挙げられる。 血漿分離の場合は、アルブミン、グロブリン等
の血漿蛋白は高透過率で透過し、赤血球、白血
球、血小板は全く通さず、かつ、溶血や凝血を起
すことなく、血漿分離速度が大きいことが望まれ
る。 血漿分離速度は、血液のヘマトクリツト値、蛋
白濃度、血流速度、過圧などに影響を受ける
が、臨床使用を考慮すると、血流量100ml/min.
の場合で30〜60ml/min.程度が要望される。こ
の目的のためには、アルブミンの透過率が90%以
上、好ましくは実質上完全に透過し、かつ水で測
定した透水速度(水UFR、UFRS)が2〜60
/hr・m2・mmHg、好ましくは4〜30/hr・
m2・mmHg付近の性能が要求される。別の表現で
は膜表面および内部に0.1〜0.8ミクロン付近の均
一な細孔径を有し、空孔率が高い膜が要望され
る。 また、免疫疾患の治療や培養用血清の精製など
の場合には、疾患の種類によつて、あるいは培養
目的によつて分離すべき蛋白などの大きさが異な
つてくるが、一般にアルブミンの透過率が30〜
100%、好ましくは70〜100%であり、水で測定し
た透水性(水UFR)が0.1〜20/hr・m2・mmHg
好ましくは1〜10/hr・m2 mmHg付近の性能
が要求される。 別の表現では膜表面および内部に0.01〜0.2ミ
クロン付近の均一な細孔径を有し、空孔率が高い
膜が要望される。 現在公知の分離膜は、数多く存在するが、上記
の諸性能を満足するものは少なく、さらに、同一
素材、同一製造工程で各技術手法に適用できるよ
うな膜を得ることは困難である。 本発明者らは、フツ化ビニリデン重合体、フツ
化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体
を用いて、同一製造工程で、上記の目的に応じた
巾広い透過性を有する分離膜(精密過膜、限外
過膜が得られることを見出し、本発明に到達し
た。 即ち、本発明は、フツ化ビニリデン重合体、フ
ツ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合
体またはそれらの混合体を主成分とする樹脂を、
ジメチルスルホキシドを主成分としグリセリンを
5〜15重量%含む溶媒に溶解した原液を、湿潤状
態で製膜することを特徴とするフツ素系湿潤分離
膜の製造方法に関するものである。 本発明でいう均一な細孔径を有する膜とは、表
層と内層の区別がない実質的に均一な多孔構造を
有するものを意味し、さらにくわしくは細孔径の
最大値と最小値の比率が5以下であり、膜の透過
性を支配する最小孔径の細孔が膜内に均一に分布
した構造を有するものをいう。 このような本発明のフツ素系湿潤分離膜は、具
体的にはたとえば、フツ化ビニリデン重合体、フ
ツ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合
体あるいはそれらの混合体を、ジメチルスルホキ
シドを主成分とする溶媒に溶解した原液を湿潤状
態で製膜することによつて得ることができる。 本発明で用いられる原料フツ素樹脂即ちフツ化
ビニリデン重合体およびフツ化ビニリデン−テト
ラフルオロエチレン共重合体の重量平均分子量
は、製膜(紡糸を含む)方式および膜の使用目的
によつて要求される機械的性質などを考慮して変
更することができるが、一般には1万以上、好ま
しくは5万〜50万であることが望ましい。ここで
重量平均分子量は、該樹脂のジメチルホルムアミ
ド溶液をゲルパ−ミエ−シヨンクロマトグラフイ
−(GPC)で測定し、標準単分散ポリスチレンで
較正することにより算出される。また、共重合体
の場合には、溶解性などの点でフツ化ビニリデン
含有率が50モル%以上のものが好ましい。 さらに、フツ化ビニリデン重合体とフツ化ビニ
リデン−テトラフルオロエチレン共重合体の混合
物は、均一な細孔径を有し巾広い透過性能とすぐ
れた機械的性質をそなえた分離膜を得るために特
に適した原料樹脂であるが、その組成はフツ化ビ
ニリデン重合体/フツ化ビニリデン−テトラフル
オロエチレン共重合体の重量比で5/95〜20/80
が好ましい。 後述の溶媒系を用いた場合、この混合範囲領域
に於いて原料樹脂の溶液粘度は、第1図に示すよ
うに特異的に高くなり、製膜、特に中空糸紡糸上
有利となる。 これらのフツ素系樹脂の中に、他の少量のビニ
ルに単量体を1種以上含む多元共重合体も、製膜
溶媒に対して可溶性を失わない限りにおいて本発
明の膜素材として用いることができる。 次に本発明で好ましく用いられる溶媒の主成分
であるジメチルスルホキシド(DMSO)は、該
樹脂と適度な親和性を有するため、製膜、製糸性
が良好で、同一工程で、製膜条件(例えば、原液
濃度、温度、凝固浴温度、組成)あるいは溶媒に
対する添加剤の調整により、精密過膜から透析
膜にいたる均一で巾広い細孔径の分離膜を容易に
得ることができる。 該樹脂に対し、DMSOより大きな親和性を示
すような溶剤、たとえばジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、
トリメチルホスフエートなどを溶媒主成分として
用いた場合には、このような巾広い性能の分離
膜、特に細孔径が大きい限外過膜や血漿分離膜
を簡単に得ることは困難である。またこのような
溶媒を用いると、膜表面に膜内部とは異なり
0.01μ未満の孔径しか有しないスキン層が形成さ
れることが多く、巾広い透過性が得られにくい。 また、該樹脂に対し、DMSOより低い溶解性
しかもたない溶剤、たとえばジオキサン、テトラ
ヒドロフラン、メチルエチルケトンなどを主溶媒
成分とした場合には特に製膜、製糸性に劣り、目
標とする膜性能も得られにくい。 さらに、DMSOは水に無限に可溶であり、製
膜、製糸後、水洗により簡単に除去できるほか、
他の溶媒に比べその毒性も極めて低く、作業環境
上あるいは医療用途を目的とした場合の製品の安
全性などの面からみても極めて、すぐれた性質を
もつものである。 さらに、製膜原液を作製する際には、分離膜の
目的に応じて細孔径を制御するために、水、ホル
ムアミド、アルコール類(ブタノール、プロパノ
ール、エチレングリコール、グリセリンなど)、
尿素、塩化カルシウム等の非溶媒を添加したり、
ポリオキシエチレンエーテルラウリルアルコー
ル、イソオクチルフエノキシポリエトキシエタノ
ール等の界面活性剤を添加することも好ましい方
法である。これらの中でも、グリセリンは、添加
効果が大きく細孔径が均一な限外過膜や血漿分
離膜を製膜(製糸を含む)する際に特に好ましい
添加剤である。 この溶媒系における添加剤の分率は5〜15%
が、DMSOのもつ良好な製膜性を失なわずにか
つ広い範囲の分離特性を有する膜を得るために好
ましい。 製膜あるいは製糸原液中の該樹脂の濃度は、用
いた溶媒の種類、製膜の方法および目的とする分
離膜の細孔径などによつて異なるが、通常5〜35
重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲である。 このようにして得られる製膜原液は、公知の
種々の方式によつて製膜することができる。 本発明の製膜とは平膜を製造することは勿論、
中空糸等に紡糸することも含むものであり、例え
ば、原液をガラス板、金属板などの平板に流延し
たのち凝固浴に浸漬して固化させるか、または細
長い孔をもつた口金から凝固浴中に押出して膜状
に成形することができる。その際ポリエステルタ
フタなどの支持布の上に塗布することも可能であ
る。また、平膜のほか同心円形の孔をもつた口金
から紡糸して円筒状または中空糸状に成形する
か、凸面、凹面その他の不規則形状の面に広げた
のち凝固させて種々の形状の膜を得ることができ
る。 凝固浴としては一般に、水、脂肪族の低級アル
コール類、またはそれらの混合物あるいはこれら
の凝固浴にDMSOを添加したものが好ましく用
いられる。その際の凝固浴温度は、膜の透過性に
大きな影響を与え、一般に高温側において高い透
水性を有する膜が得られる。 通常の凝固浴温度は0℃〜98℃付近で実施され
るが、細孔径の均一で大きな膜を得るためには、
50℃以上が好ましい。 本発明の膜は、凝固浴から乾燥することなく含
水状態もしくは湿潤状態で製膜、保存することに
より、長時間にわたつて透過性能および機械的性
質に大きな変化を生じない。湿潤状態に保持する
には、また含水グリセリンなどの適切な湿潤剤を
付着させておけば十分可能である。湿潤剤として
は上記のほかにエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、各種の界面活性剤などが挙げられ
る。さらに、製膜後に加熱処理によつて膜の透過
性能や機械的性質(寸法安定性など)を変えるこ
とも可能である。加熱処理は張力下または無張力
下で行ない、温度は通常50〜110℃好ましくは70
〜90℃の範囲である。 このような方法で得られたフツ素系分離膜は、
通常表面および内部が微細で均一な多数の孔によ
つて形成された網目状組織となつているが、特に
限外過膜や血漿分離膜としては、その含水率が
30%以上であることが必要である。特に好ましい
含水率は60%以上である。含水率は製膜時の製膜
条件により容易に変化させうる。ここで含水率
(W)とは下式で定義される。 W=G2−G1/G1×100(%) G1:含水膜重量,G2:乾燥膜重量 含水率が30%以下の場合には過あるいは分離
速度が小さく血液浄化などの実用には適さない。 本発明の分離膜の平均孔径は、0.01〜1μであ
る。孔径が0.01μ未満では、過が遅くかつ目的
とする蛋白成分が過されない場合があり、また
1μを越えると血液中の有形成分、たとえば血小
板、リンパ球等が液に混合する場合があるため
好ましくない。 次に、本発明の分離膜の形状の中で最も好まし
い中空糸分離膜についてより詳しく説明する。 前述の製膜原液は乾湿式紡糸により中空糸分離
膜とされる。本発明に使用される口金は、通常の
中空糸を紡糸するのに用いられる口金はすべて使
用することができるが、本発明の目的からすれば
口金孔内に中空細管を有する環状オリフイスから
なる口金が好ましく使用される。 このような口金を用いて中空糸を紡糸する方法
は種々提案されているが、本発明の目的とする混
合物質の分離装置に使われる中空糸分離膜として
は断面の形状が均一かつ真円に近いことが要求さ
れる。 本発明では、口金中央部に位置する中空管から
中空糸の内部に、紡糸原液に使用した溶媒あるい
はその溶媒と水の混合物あるいはその溶媒と多価
アルコール類の混合物を定量的に注入しつつ紡糸
する。注入液は紡糸原液と接触した際に中空糸の
内壁構造の形成に関与するので重要である。紡糸
原液の性状をよく調べ、また、目的に応じて適切
に選択しなければならない。 通常使用される多価アルコールとしては、グギ
セリン、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロパンジオールなどがあけられるが、こ
れに限定されるものではない。これらの注入液の
組成は中空糸膜の分離性能をコントロールする一
手段としても使用することができる。 本発明では、条件により中空糸の中空部に気体
を導入して紡糸することも可能である。 注入気体としては特に制限はないが空気または
窒素などの不活性気体が通常使用される。 中空糸の紡糸性は平膜の場合以上に原液濃度特
に粘度に大きく影響される。通常、紡糸可能な原
液粘度は、口金温度で好ましくは10〜5000ポイ
ズ、より好ましくは100〜3000ポイズでよい。 ここで紡糸原液粘度は落球粘度あるいは回転粘
度などで測定される。 口金から紡出された中空糸状ゾルは空気中もし
くは、不活性気体中を通過しつつ凝固浴に導びか
れる。この空中走行中の雰囲気条件は、紡糸され
た糸条の太さ、紡糸速度および紡糸温度等によつ
て変わるものであり、一般的に規定することはで
きない。しかし通常好ましく採用される条件とし
ては、口金面から凝固浴に導入されるまでの距離
は0.1cm以上さらに好ましくは0.2cm以上200cm以
下の範囲にある。その範囲外は安定した紡糸を困
難にする。さらに雰囲気の温度は通常大気温度も
しくは室内温度をそのまま使用してもよいが、場
合によつては冷却して使用することもできる。ま
た適度な温度の調節を行ない膜性能の微妙なコン
トロールを行なうこともできる。 本発明で採用される凝固浴としては、本発明の
重合体の非溶剤であつてかつ紡糸原液の溶媒と相
溶しうるものならば、単独もしくは紡糸原液の溶
媒との混合液として凝固浴に使用できる。最終的
に含水状態の中空繊維とするためには、紡糸原液
の溶媒に水と相溶しうるものを選び、凝固浴には
水もしくは水と紡糸原液に使用した溶媒との混合
物を採用することが実用的である。凝固浴の温度
は膜の透水性能を左右し、一般に高温ほど透水性
を高くする傾向を示すので、目的に応じて適切に
選択しなければならない。通常0〜98℃の範囲で
設定される。 本発明によつて得られた中空糸膜は十分に水洗
した後、含水状態のままあるいは水をグリセリン
あるいはエチレングリコール等に置換した状態で
保存されるが、場合によつては加熱処理によつて
膜の透過性能や機械的性質、寸法安定性などを変
えることも可能である。加熱処理は張力下または
無張力下通常50〜110℃の範囲で行なわれる。 本発明で得られる中空糸膜は中空部断面が実質
的に円形であり、膜厚は約5〜500μの範囲内で
一定であり、内径は使用目的により異なるが70〜
1000μの範囲が好ましい。 本発明分離膜の用途は先に述べたように血液浄
化関連の医療用途に最適であるが、分離すべき微
粒子が変形自在であり、かつ全体としてサスペン
ジヨンを形成した溶液での微粒子の分離にも適
し、エマルジヨン油剤や油水分離、牛乳粒子の濃
縮、ラテツクス液の濃縮、ビール、ブドウ油、清
酒、ジユースの清澄化等にも適している。また無
機質粒子の懸濁液の清澄別、無菌過、超純水
製造などにも使用可能である。 次に、本発明を実施例によつて具体的に説明す
る。 実施例 1 フツ化ビニリデン重合体(米国ペンウオルト社
製、kynar 460)9部とフツ化ビニリデン−テト
ラフルオロエチレン共重合体(ダイキン工業製、
VT06008)51部とを混合し、これをグリセリン
10%を含むジメチルスルホキシド溶媒440部に120
℃で溶解した。(ポリマー濃度12重量%) この溶液を室温(27℃)まで冷却し、250μの
厚みのポリエステルフイルム製スペーサーを有す
るガラス板上にドクターブレイドを用いて流延
し、ただちに90℃の熱水中に5分間浸漬し、その
後25℃の水中にうつしかえて平膜を作成した。こ
の膜の含水率は73%であつた。この平膜の走査電
顕写真を第2図、第3図に示す。写真にみられる
如く膜表面および内部には0.2〜0.5μの均一な細
孔径が認められ、膜表面には透過性の低下を伴な
うスキン層の形成は全くみられなかつた。 この膜の純水の透水速度UFRSは15.8/hr・
m2・mmHgであり、0.2%アルブミン水溶液の膜
過速度(MFR)は9.6/hr・m2・mmHg、ア
ルブミン透過率は98%以上であつた。 さらに、この膜をアミコン社薄層過流過装置
(TCF2型)に組込み、兎新鮮血(ヘパリン7U/
ml)を用い、50mmHgの加圧下、1ml/min・で
流した際の血漿過速度は60ml/hr・m2
mmHgであり、総蛋白の透過率は95%以上であ
つた。なお、この過血漿中への血小板や赤血球
の漏れは認められなかつた。 比較例 1 実施例1と同組成のフツ素系樹脂混合物60部を
440部のジメチルホルムアミドに120℃で溶解し実
施例1と全く同様の方法で平膜を作成した。この
膜の含水率は25%であつた。さらに実施例1と同
様の方法で測定したこの膜の純水の透過速度は
0.03/hr・m2・mmHgであり、アルブミンの透
過率は1%以下であつた。この膜を走査電顕
(3000倍)で観察したところを表面には厚みが
0.2μ程度のスキン層が形成され全く細孔はみられ
ず、内部に0.05〜1μの細孔がみられる非対称膜で
あることがわかつた。 比較例 2 実施例1に用いたジメチルスルホキシドの代わ
りにジメチルホルムアミドを用いた以外は実施例
1と全く同様の条件で平膜を作成した。 この膜の含水率は32%であり、純水の透過速度
は0.01/h・m2・mmHgであり、アルブミンの
透過率は1%以下であつた。 比較例 3,4 実施例1に用いたグリセリンの代わりに非溶媒
としてイソプロピルアルコール(比較例3)、エ
チレングリコール(比較例4)を用いたところ下
表の結果を得た。
【表】 実施例 2 実施例1で用いたフツ化ビニリデンポリマ9部
とフツ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン51
部の混合体をグリセリン12%を含むジメチルスル
ホキシド溶液にポリマー濃度15%で120℃で溶解
した。この溶液を紡糸原液とし、環状紡糸孔から
口金温度60℃で中空糸の内部に芯液として水60%
を含むジメチルスルホキシド40%からなる溶液を
注入しながら紡糸し、空気中を5cm走行させた
後、ジメチルスルホキシドを約10%含む水溶液か
らなる約90℃の凝固浴を通して凝固させた後、水
洗浴およびグリセリン浴を通して20m/minで中
空糸を巻取つた。 この中空糸の内径は約350μ、膜厚は約70μであ
つた。また、この中空糸の含水率は70%であつ
た。 また、この中空糸の表面および内部には実施例
1の平膜とほぼ同様の0.2〜0.5μの均一な細孔径
がみとめられ中空糸表面にはスキン層の形成はみ
られなかつた。 この中空糸10本を有効長約12cmの小型ケースに
収納し、有効面積13cm2の試験モジユールを作成
し、透過特性を試験した。 この試験モジユールに50mmHgの加圧をかけ
て測定した透水性(水UFR)は4.5/hr・m2
mmHgであり、0.2%アルブミン水溶液の膜過
速度(MFR)は1.5/hr・m2・mmHg、アルブ
ミン透過率はほぼ100%であつた。 さらにこの中空糸2500本を有効長17.5cmのケー
スに収納し、有効面積0.5m2のモジユールを作製
し、12Kgの犬を用いた体外灌流実験を行なつた。 血液流量100ml/min.で20〜30mmHgの加圧
下、血漿採取速度は1.8/hrから1.6/hr(3
時間後)と安定し、溶血、凝血などのトラブルも
なく、その間の過血漿中の総蛋白量は対応する
血液から遠心分離して得られるものとほぼ同一で
あり、アルブミン、グロブリン、リポプロテイン
ともに95%以上が透過していた。また、その際
過血漿中への血小板や赤血球の漏れは認められ
ず、体外灌流前後で、犬の血小板、白血球の減少
も認められなかつた。 すなわち、実施例1,2の分離膜は血漿分離な
どの精密過膜としての用途に適している。 実施例 3 実施例1で用いたフツ化ビニリデン重合体7
部、フツ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン
共重合体93部とを混合し、これをグリセリン10%
を含むジメチルスルホキシド溶媒700部に120℃で
溶解した。 この溶液を室温まで冷却し、250μの厚みのポ
リエステルフイルム製スペーサーを有するガラス
板上にドクターブレイドを用いて流延し、ただち
に4℃の冷水中に浸漬し平膜を作成した。この平
膜の含水率は65%であつた。 この平膜表面および内部には、0.02〜0.03μの
細孔が均一に分布していることが走査電顕観察に
よりみとめられた。 実施例1で用いた濾過装置で測定したこの膜の
水の透水量(UFRS)は1.2/m2・hr・mmHg
であり、0.2%アルブミン水溶液の膜過速度
(MFR)は0.8/m2・hr・mmHgでアルブミン
透過率は94%であり、さらに、0.2%γ−グロブ
リン(牛、生化学工業(株))生食溶液の膜過速度
(MFR)は0.1/hr・m2・mmHg、透過率は
53.5%であつた。 さらに同条件で成牛血漿を過した際の過量
は75ml/hr・m2・mmHgであり、アルブミン対
グロブリン比(A/G比)は血漿の0.7から、
過液の1.8と変化し、かなりのアルブミンとグロ
ブリンの分離を行い得た。 実施例 4 実施例1で用いたフツ化ビニリデン−テトラフ
ルオロエチレン共重合体12部を、グリセリン7.5
%を含むジメチルスルホキシド溶媒88部に110℃
で溶解し実施例1と同様の方法で流延し、約10%
のジメチルスルホキシドを含む75℃の凝固浴中で
製膜し水洗した後、グリセリンを付着させた平膜
を作成した。この平膜の含水率は62%であつた。
この膜表面および内部には0.01〜0.03μの細孔が
均一に分布しており、水の透過速度は、1/
hr・m2・mmHgであつた。また、0.2%アルブミ
ン水溶液を25℃、50mmHgの加圧下に入口での
線速度5cm/sec.で流した時の膜過速度
(MFR)あ0.6/hr・m2・mmHg、アルブミン
透過率は99%であつた。 さらに0.2%γ−グロブリン生食溶液の膜過
速度(MFR)は、0.05/hr・m2・mmHg透過
率は21.4%であつた。 さらに同条件で成牛血漿を過した際の過量
は21ml/hr・m2・mmHgでありアルブミン対グ
ロブリン比(A/G比)は血漿の0.7から、過
液の2.5と変化した。 実施例3,4は血漿からアルブミンとグロブリ
ンを分離する蛋白分離膜としての用途に適してい
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はフツ化ビニリデン重合体とフツ化ビニ
リデン−テトラフルオロエチレン共重合体の混合
比と粘度の関係を示す。(ポリマ濃度10%、グリ
セリン/DMSO=10/90,30℃B型回転粘度計
にて測定)第2図は、実施例1で作成した平膜表
面の、第3図は同じ膜の断面の走査型電子顕微鏡
写真(倍率:3000倍)を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 フツ化ビニリデン重合体、フツ化ビニリデン
    −テトラフルオロエチレン共重合体またはそれら
    の混合体を主成分とする樹脂を、ジメチルスルホ
    キシドを主成分としグリセリンを5〜15重量%含
    む溶媒に溶解した原液を、湿潤状態で製膜するこ
    とを特徴とするフツ素系湿潤分離膜の製造方法。 2 樹脂として、フツ化ビニリデン重合体とフツ
    化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体
    を重合比で5/95〜20/80の範囲で混合したもの
    を用いる特許請求の範囲第1項記載のフツ素系湿
    潤分離膜の製造方法。
JP56195622A 1981-12-07 1981-12-07 フッ素系湿潤分離膜の製造方法 Granted JPS5898105A (ja)

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