JPH0417883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、広い幅の台形状のビードを有する金
属積層ガスケツトのビード構造に関するものであ
る。

〔従来技術〕

金属製の薄板を積層して成る金属積層ガスケツ
トは、例えばエンジンのシリンダヘツドガスケツ
トやマニホールドガスケツトなどのガスケツトと
して多用されており、そのシール手段は、例えば
シリンダボアなどシールする穴の周囲にビードに
よつて行われていることは周知である。

前記ビードは、周知のとおりシールする穴の周
囲を囲んでループ状に金属板を一方の側にプレス
加工などの手段で、通常、円弧状に膨出させたも
のである。ところで、ビードの幅、断面形状など
は、対象が気相・液相の別、シール部分内外の圧
力差など与えられる条件によつて一定しないが、
ビード幅を広くした台形状ビードは、ビードの立
ち上がり部分と立ち下がり部分とで、ビード幅一
杯に圧接力が発生する特徴があり、かかる台形状
のビードが採用される場合が往々にしてある。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、前記の幅広とした台形状のビードに
は、第１３図及び第１４図によつて説明する問題
がある。即ち、第１３図及び第１４図は、いずれ
もループ状に形成した台形状のビードを長手方向
に対し直角方向の断面で示した部分図であり、台
形状ビードのシール作用及び問題点を説明するた
めの図である。

図において、台形状ビードＢを設けた金属板２
を、互いに組付ける部材Ｃ，Ｄの間に配置し、図
示しないボルトなどで締め付けると、ビードＢは
押し潰される（以下圧縮という）。この場合、台
形状ビードＢの弾性により前記部材Ｃ，Ｄに対し
高い面圧Ｐを生じ、部材Ｃ，Ｄとの間をシールす
ることができる。因に、前記の面圧記号Ｐは、一
定の値であることを意味せず、台形状ビードＢの
形状などによつて変化する。

ところで、ビード幅が第１３図のように広い
と、第１４図に示すように中間部分が陥没し、単
に板を両面から圧したと同じ状態となり、この部
分には前記のような面圧Ｐが生ぜず、幅広とした
ことの効果が得にくいという問題がある。なお第
１４図に示す台形状ビードＢは、本来もつと偏平
になつているが、図は理解を容易にするためにビ
ード高さ方向に誇張して記載している。

本考案は、前記問題に着目して成されたもので
あり、広い幅の面圧を発生させることのできる台
形状のビードの中央部分に生じる面圧不足部を解
消し、広い幅のシール部を与えることのできる金
属ガスケツトのビード構造を提供することを目的
としている。

〔課題を解決するための手段〕

以上の目的を達成するための本考案の金属積層
ガスケツトのビード構造の構成は、金属板に設け
たシールすべき穴を取り囲み幅の広い台形状の第
１ビードを設け、前記と別の金属板に前記と同じ
位置に設けたシールすべき穴を取り囲み、第１ビ
ードと同じ側に突出した第２ビードを設け、該第
２ビードが、第１ビードの中間部に、且つ、該ビ
ードの凹側内に第２ビードの凸部が嵌入するよう
に、前記２枚の金属板を積層したものである。

前記第２ビードが第１ビードを下から支える位
置には特に限定はない。通常は第１ビードの幅方
向のほぼ中央部分とするが、必要に応じ前記幅内
中間部分のいずれの部分でもよい。

前記第１ビードを凹側から支える第２ビード
は、使用しない状態では第１ビードと離間してお
り、金属積層ガスケツトを締め付けた状態で初め
て互いに接触する構造としてもよい。

〔作用〕

前記第２ビードは、幅の広い台形状の第１ビー
ドが圧縮されて陥没する部分に配置することによ
り、該部分を支持して前記陥没を防止し台形状の
第１ビードの幅全体に亙りより一様な面圧を発生
させるように作用する。

したがつて第２ビードは、第１ビードの幅内に
配置されること以外に特に限定はないが、両ビー
ドのビード高さは、通常は金属積層ガスケツトが
無荷重の状態で、第２ビードの頂部が第１ビード
に接するか、又は圧縮されると接触するように空
〓を設けた相対的高さとする。

また、前記第２ビードを設ける金属板には、第
２ビードの配置位置及び高さを前記のとおりとす
る以外は特に限定はないが、例えば、第２ビード
の穴側を自由端としたり、第２ビードを設けたビ
ード板をループ状に形成し、第１ビードの凹側内
に遊嵌するなど適宜変形することができる。

第２ビードは、通常１本のビードとするが、必
要に応じ複数本のビードによつて構成することも
できる。

〔実施例 １〕 以下第１図〜第４図によつて本考案のビード構
造の作用について説明する。

第１図は実施例１の金属積層ガスケツト４の要
部断面図であり、該金属積層ガスケツト４は、シ
ールすべき穴Ｈの周囲に設けた幅広の台形状の第
１ビードB₁（以下単に第１ビードという）は上板
６に設け、第１ビードB₁の凹側に配置した第２
ビードB₂は下板８に設けている。なお、第１図
及び以下の各図において、積層する各板の引き出
し番号は、図の上から順番に付けることとし、番
号とその板の特性との間に関係を持たせないよう
にした。

実施例１の第１ビードB₁及び第２ビードB₂を
第２図に示す部分拡大図によつて説明すると、第
１ビードB₁は、角に丸みを付けた台形状、且つ
幅広の断面形状をしており、第２ビードB₂は、
同様に立ち上がり部に丸みを付けた円弧状の断面
形状をした通常のビード幅を有するものである。
そして第２図に示すように第１ビードB₁の頂部
１２と第２ビードB₂の頂部１４との間に、僅か
な間〓δを設けている。

図示しない組付部材で両側から第１ビードB₁
及び第２ビードB₂を圧縮すると、第１ビードB₁
の頂部１２と第２ビードB₂の頂部１４とが接触
するようになる。したがつて、それ以後は第３図
に示すように、第２ビードB₂が第１ビードB₁の
頂部１２の中間部分を下から支えて陥没すること
を防止し、この部分に面圧P₀を発生させ、第１
４図で説明した面圧Ｐと共同して第１ビードB₁
の幅方向全体により一様な面圧を発生させて、広
い幅のシール面を穴Ｈの周りに形成することがで
きる。

〔実施例 ２〜７〕 次に第４図〜第１２図により各種の実施例を説
明する。

実施例２〜７に使用した金属積層ガスケツト
は、いずれも第４図に示す平面形状のガスケツト
を使用し、第５図〜第１２図はいずれも第４図の
Ｘ−Ｘ線断面によつて図示している。なお、第４
図のHbはボルト穴である。

第５図に示す実施例２の金属積層ガスケツト４
は、上板６、中板８及び下板１０から成り、シー
ルすべき穴Ｈの周囲に設けた幅広の第１ビード
B₁は上板６に設け、第１ビードB₁の凹側に配置
した第２ビードB₂は中板８に設け、ビードを設
けない下板１０を１枚追加した仕様のものであ
る。

第６図に示す変形例による金属積層ガスケツト
４は、第５図の第１ビードB₁の穴Ｈ側を自由端
１８として変形を容易にし、第１ビードB₁によ
り発生する面圧を小さくしている。

第７図に示す実施例３の金属ガスケツト４は、
中板８に第１ビードB₁を設け、下板１０に第２
ビードB₂を設け、上板６は、第１、第２ビード
B₁，B₂の圧縮による変形量の調整板として使用
した。第７図の穴Ｈ側は、下板１０の穴Ｈ側端部
を中板８側に折曲げて重ねることにより、中板８
と下板１０との間に流体が侵入しないようにした
ものである。

第８図に示す実施例４の金属積層ガスケツト４
は、中板８及び下板１０のそれぞれに第２ビード
B₂を互いに背中合せとなるように設けたもので
あり、面圧を高くすることができる。

第９図に示す実施例５の金属積層ガスケツト４
は、第１ビードB₁を上板６に設ける点は前図と
同様であるが、第２ビードB₂は、第１ビードB₁
に沿うようにループ状に切出したビード板２６に
設けている。そして中板８には、第１ビードB₁
のほぼ外周に一致するように貫通穴２４を設けて
第１ビードB₁の凹側の容積を大きくした中に、
前記ビード板２６を遊嵌したものである。

このように遊嵌したビード板２６は、ビードを
基板と異なる材質のものを使用したり厚い板を使
用するなどして、高い面圧を発生させることがで
きる。即ち第１０図は、中板８より厚いビード板
２６に第１ビードB₂を形成した変形例を示して
いる。

以上の説明は、いずれも２ないし３枚の金属板
６，８，１０を用いて金属積層ガスケツト４を形
成したが、本考案はこれに限定されず、２枚以上
任意の積層枚数の積層体とすることができる。

その一例を第１１図に示す実施例６によつて説
明する。本図の金属積層ガスケツト４は、平板状
の上板６と下板１２との間に第１図で示したと同
様の第１ビードB₁を設けたビード板１０と第２
ビードB₂を設けたビード板１１とを配置し、第
１、第２ビードB₁，B₂の変形量を調節するため
に他より薄い中板８を用いたものである。このよ
うに、外見上通常の金属積層ガスケツトと同様の
構成で実施することができる。

第１２図に示す実施例７は、２つの穴H₁，H₂
のそれぞれに設けたビード１３，１４を第１図に
示す構成で形成し、しかも第１ビードB₁及び第
２ビードB₂を、ビード板８，１０のそれぞれに
互い違いに設けたものである。

以上説明したように本考案の金属積層ガスケツ
トは、以上各実施例によつて示したように、ビー
ドの断面形状も、前記の各実施例の形状に限定さ
れず、適宜必要に応じて通常用いられる任意の形
状とすることができる。なお、以上の説明中、上
板、下板という表現を用いているが、これは図の
説明を視覚的に理解し易くするためであり、本質
的には本考案の金属積層ガスケツトには上下の区
別はないことは容易に理解されよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の金属積層ガスケツ
トのビード構造は、幅の広い台形状の第１ビード
を設けた金属板と、該第１ビードの幅方向の中間
部分を該第１ビードの凹側から支える第２ビード
を設けた金属板とを有する構成とし、しかも、前
記２枚の金属板を同様の金属板を用いたので、第
１ビードの中央部分に生じる面圧不足部分の面圧
を第２ビードが補い、第１ビードの立ち上がり部
分の両表面に対し、強い面圧を発生させ、しか
も、ビードに一様な面圧を発生させることがで
き、シール性能を向上させることができるという
効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１金属積層ガスケツトの要部断
面図、第２図は第１図のビード部分の拡大図、第
３図は第２図のビードの各部分に面圧が発生する
状態を説明する図、第４図は第２実施例〜第７実
施例に使用した金属積層ガスケツトの平面図、第
５図〜第１２図はそれぞれ実施例２〜７の金属積
層ガスケツトの要部断面図、第１３図は従来例に
よる幅が広いビード部分の断面図、第１４図は第
１３図の面圧の発生状態を示す図である。 ４……金属積層ガスケツト、２，６，８，１
０，１２，２６……金属板、Ｂ……台形状ビー
ド、B₁……幅の広い台形状の第１ビード（第１
ビード）、B₂……第２ビード、Ｈ……シールすべ
き穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属板に設けたシールすべき穴を取り囲み幅の
   広い台形状の第１ビードを設け、前記と別の金属
   板に前記と同じ位置に設けたシールすべき穴を取
   り囲み、第１ビードと同じ側に突出した第２ビー
   ドを設け、該第２ビードが、第１ビードの中間部
   に、且つ、該ビードの凹側内に第２ビードの凸部
   が嵌入するように、前記２枚の金属板を積層した
   金属積層ガスケツトのビード構造。