JPH0417576Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本考案は、芯の糸に別の素材の繊維を絡み付か
せて特殊な糸を製造する紡績装置に関する。

〓従来の技術〓 繊維束の通過路に沿つて、ドラフト装置、空気
噴射ノズルを配し、そのドラフト装置に、前記繊
維束とは別の糸条を供給し、これを空気噴射ノズ
ルで加撚して特殊な糸を製造する紡績装置は、本
出願人が既に特許出願をしている。

この紡績装置では、ドラフト装置へと別の糸条
を供給する装置が、ドラフト装置を備えた空気式
紡績装置の上位に設置してあり、該糸条をドラフ
ト装置へと案内する糸条案内体は、該糸条を切断
し把持する機構を備えた本体ケースに、取外し自
在に取付けてあり、ドラフト装置の上側を被うよ
うにして配置されていた。

〓考案が解決しようとする課題〓 ドラフト装置は、被処理繊維の素材が変更され
るとか、使用により摩耗するといつた保守点検の
際に、エプロンの取替等を行つている。従来より
使用されているドラフト装置のトツプ側は、クレ
ードルに保持され、このクレードルは機台に擺動
自在に設けられており、エプロンの取替等の際に
は、クレードルを持ち上げていた。ところが、従
来装置ではクレードルを持ち上げる前に、別の糸
条を供給する糸条案内体を取り外しておかなけれ
ばならず、また、ドラフト装置での作業が終了し
た後には糸条案内体を糸供給停止装置の本体ケー
スに取付けなければならず、この糸条案内体の取
外し、取付け作業が面倒であるといつた問題があ
つた。

本考案紡績装置は、上記従来装置の有する問題
点の解消し、糸条の損傷を抑制し、且つ、糸条を
確実に糸ガイドに案内することを目的として構成
したものである。

〓課題を解決するための手段〓 上記目的を達成するために、本考案における紡
績装置は、繊維束をドラフト装置により牽引する
際に、該繊維束とは別の糸条を該繊維束に供給
し、空気噴射ノズルにより加撚して紡績糸を製造
する紡績装置において、前記別の糸条をドラフト
装置へと案内する糸条案内体を、ドラフト装置の
トツプ側ローラを支持するクレードル本体に取付
けた。そして、糸条を圧縮空気流で給送する際の
糸条案内体と糸条との接触抵抗を低下させるため
に、糸条案内体は樋状に形成した。

〓作用〓 ドラフト装置のエプロンを取替えるなど、トツ
プ側ローラをボトム側ローラから離反させるに
は、トツプ側ローラを保持するクレードルを押し
上げる。別の糸条を供給するための糸条案内体は
前記クレードルと一体になつて持ち上げられるの
で、ドラフト装置の保守点検等作業への支障は全
くなくなる。

また、糸条案内体は樋状に形成されているの
で、この糸条案内体へ供給された糸条と糸条案内
体との接触抵抗は、糸条案内体が管状のものと比
較して低下され、糸条の供給タイミングが正確に
行われ、しかも糸条が糸条案内体との接触により
糸質が損われるといつたことも軽減される。

〓実施例〓 本考案紡績装置の実施例について、図面を参照
して説明する。

紡績装置１は、繊維束Ｓを三線式ドラフト装置
２で牽引し、１基の空気噴射ノズル３で加撚結束
して紡績糸を製造する空気式紡績装置４に、別の
糸条５を供給する糸供給停止装置６を備えたもの
で、図面は本考案紡績装置１の主要な構造を概略
的に示している。

空気式紡績装置４は、繊維束Ｓの通過路に沿つ
て、ドラフト装置２、空気噴射ノズル３よりなる
紡績ユニツトが配されており、ドラフト装置２
は、無撚の繊維束Ｓを、所定の太さにまで牽引す
るためのもので、バツクローラ対７ａ，７ｂ、エ
プロン８ａ，８ｂを有するミドルローラ対９ａ，
９ｂ、そしてフロントローラ対１０ａ，１０ｂの
各ローラ対からなり、トツプ側の各ローラ７ａ，
９ａ，１０はクレードル１１に保持され、該クレ
ードル１１は図示しない機台に擺動自在に軸支さ
れている。

空気噴射ノズルは、図示しないが、内部に第一
ノズルと第二ノズルを有しており、該第一ノズル
と第二ノズルは、繊維束Ｓの進行方向に沿つて順
に配設され、圧縮空気流を繊維束Ｓへと送出す
る。フロントローラ８ａとエプロン６ａの間に
は、前記繊維束Ｓとは別の繊維、例えば、ポリエ
ステルフイラメントの仮撚加工糸といつた、糸条
５を繊維束Ｓへと上方から供給するための、糸条
案内体１２の糸出口端部１９が配置してある。こ
の糸条５の供給停止装置６は、前記糸条案内体１
２と、従来装置と同じく給糸パツケージ１４から
引出される糸条５を、供給開始時に積極的に給送
する糸送出部、糸条５を切断し把持する糸切断把
持部で構成してあるが、該糸送出部及び該糸切断
把持部は、本体ケース１３内に収容してあり、本
実施例では図示してない。糸条案内体１２は、断
面形状をＵ字形の樋状に形成すると共に、糸条５
の走行路１５を円弧状に彎曲してあり、走行路５
の開放端側を下方に向けて支持金具１６により前
記ドラフト装置のクレードル１１に固定してあ
る。そして、本体ケース１３には糸条５の給送ノ
ズル１７を形成し、この給送ノズル１７の出口を
糸条案内体１２の走行路１５に臨ませてある。ま
た、糸条案内体１２の糸出口端部１３は、クレー
ドル１１に設けた糸ガイド１８に臨ませてある。

次に本考案紡績装置の作用を上記実施例に基い
て説明する。

繊維束Ｓがドラフト装置２へと供給されると、
糸供給停止装置６の本体ケース１３内に設けた図
示しない糸送出部へと信号が送られ、エアーが噴
出し、この空気流で給糸パツケージ１４から糸条
５を引き出しながら、糸条５は給送ノズル１７を
経て糸条案内体１２の走行路１５へと送られ、糸
ガイド１８で案内されてフロントトツプローラ１
０ａの直前に糸条５は供給される。この糸条案内
体１２の走行路１５を走行する糸条５は、糸条案
内体１２の下方が開放されていることによつて、
該糸条案内体１２の内壁面との接触が緩和され、
接触により生じる糸条表面の損傷は抑制される。
ボトムエプロン８ｂの取替えなどに際し紡糸が停
止されると、糸供給停止装置６の本体ケース１３
内に設けた図示しない糸切断把持部が作動し、糸
条５を切断すると同時に糸端を把持し、糸条５の
供給を停止する。そこで、クレードル１１を持ち
上げれば、トツプ側の各ローラ７ａ，９ａ，１０
ａ及びエプロン８ａが一体となつて持ち上げられ
ると共に、このクレードル１１に一体に固定して
ある糸条案内体も持ち上げられ、ドラフト装置２
でのエプロンの取替え等、作業終了後、クレード
ル１１を元位置に戻して固定すれば、糸条案内体
１２も一体となつて元位置に戻され、直ちに紡糸
が再開される。

〓考案の効果〓 本考案紡績装置は、繊維束へ別の糸条を供給す
る糸条案内体を、ドラフト装置のトツプ側ローラ
を保持するクレードルに一体に設けたものである
から、ドラフト装置の保守点検等の際して、従来
装置で行われていたような、糸条案内体の取外
し、取付けの面倒な作業は不要となり、生産性は
向上する。また、糸条案内体を樋状に形成したこ
とにより、糸条と糸条案内体の内壁面との接触が
緩和でき、糸条の損傷を抑制でき、確実に糸条を
糸ガイドに案内することができるので、より良質
な紡績糸の製造を可能とした。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案紡績装置の実施の一例を示したも
ので、第１図は本考案装置の主要部分を概略的に
示した側面図、第２図は糸条案内体の斜視図であ
る。 ２……ドラフト装置、５……糸条、６……糸供
給停止装置、１１……クレードル、１２……糸条
案内体、１５……走行路、１６……支持金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 繊維束をドラフト装置により牽引する際に、該
   繊維束とは別の糸条を該繊維束に供給し、空気噴
   射ノズルにより加撚して紡績糸を製造する紡績装
   置において、前記別の糸条をドラフト装置へと案
   内する断面Ｕ字形の樋状の糸条案内体を、その糸
   出口端部がクレードルに設けた糸ガイドに臨ませ
   て、ドラフト装置のトツプ側ローラを支持するク
   レードル本体に取付けたことを特徴とする紡績装
   置。