JPH04146217A - 生分解性繊維 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は生分解性繊維、特に、ロープ、紐、テグス、漁
網などに使用し、それが投棄されたとき、時間の経過と
共に、速やかに崩壊する繊維資材に関するものである。

［従来の技術］ 今日、廃棄物による環境汚染が深刻な問題になっている
。廃棄物とはいっても、缶類、瓶類、プラスチック成型
物、フィルム、漁網、テグスなど多種である。中でも、
漁網やテグスなどの合成繊維製品は、使用後そのまま海
中などに放棄されると、アザラシ、オットセイなどの海
洋生物、あるいは潜水する人間を絡めたり、また航行す
る船のスクリュウに絡まるなど、様々な問題が生じてい
る。これら従来の合成繊維製品は耐久性に優れ、何年た
っても分解し難い。このことが環境汚染を拡大し、問題
を一層深刻にしてきた。これらの問題を解決するために
は、上記合成繊維製品を使用後、ある期間が過ぎると自
然に崩壊し、環境汚染を起こさないような設計、すなわ
ち、繊維の形態が生分解あるいは崩壊によって解体して
しまうことが必要となるのである。

ところで、上記崩壊機能を有する繊維として、例えば、
特開平２−１１２４０６号公報には、水溶性ポリビニル
アルコール系繊維をベース１．：、疎水性の油剤を付着
させた崩壊繊維の例が示されているが、この繊維はあま
りにも崩壊し易い性質のため、ロープや漁網などの用途
分野には適さなかった。

一方、特公昭６０−４８３５３号公報にはセルロースと
澱粉混合物のアルカリ溶液を湿式紡糸し吸水性繊維とす
ることが示されているが、この繊維は強度が２ｇ／ｄに
も達せず、このためロープや漁網などのように高強力を
必要とする用途分野には不適当である。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の課題は、十分な機械的強度を有すると共に、繊
維製品の使用後、ある期間がすぎると自然に崩壊し環境
汚染的に無害化するような新規繊維を提供することにあ
る。また他の課題はロープ、紐、テグス、および漁網な
どの繊維資材用繊維として、十分な物理的特性を有する
生分解性繊維を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明の上記課題は、澱粉とポリエチレンからなる生分
解性繊維によって解決することができる。

すなわち、本発明繊維における澱粉とは、原料によって
含有されるアミロース、アミロペクチンなどの組成が幾
分具なるが、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦粉、
タピオカ、含ろうメイズなどが例示できる。

またポリエチレンには、絶対密度が好ましくは０．９２
以上、より好ましくは０．９４以上の、いわゆる、低圧
法で製造されたエチレン系重合体が例示できる。すなわ
ち、低圧法ポリエチレンは高圧法のものと異なり、ポリ
マの密度が高く、結晶性が大きく、繊維として高強度の
ものが得られ易い点から好適である。

また該ポリエチレンは、分子量が好ましくは１００００
以上、より好ましくは１５０００以上、−層好ましくは
２００００以上である。また必要により、エチレンと共
重合性を有するモノマを一部共重合させてもよい。

上記澱粉とポリエチレンとは、混合割合を澱粉量が全繊
維中に、好ましくは５重量％〜７０重量％、より好まし
くは１０重量％〜６０重量％、層好ましくは１５〜５０
重量％とする。このような澱粉量は所望する生分解期間
との関連で適宜決定すればよいが、この範囲量のとき繊
維の機械的性質も充分高度な繊維が得られかつ最終的に
生分解および繊維崩壊を誘発せしめる。

さらに本発明繊維は引張強度が好ましくは３ｇ／ｄ以上
、より好ましくは４ｇ／ｄ以上、−層好ましくは５　ｇ
　／　ｄ以上のものがよい。引張強度が３　ｇ　／　ｄ
に達しないと、例えば産業資材用繊維として用いるには
、強度的に不十分な場合がある。

また結節強度は好ましくは１゜５ｇ／ｄ、好ましくは２
．０ｇ／ｄ以上のものがよい。

なお、本発明繊維は廃棄物段階での分解を助長するため
にポリカプロラクトン、ポリ酪酸、ポリグリコリド、ヒ
ドロキシアルカノエートなどのポリマ、あるいは高級脂
肪酸、金属塩類、ベンゾフェノン、金属錯体、芳香族ケ
トンなどの光増感剤、ビニルケトンを主成分とする光分
解性高分子化合物などを添加することができる。

また、本発明繊維には耐水性を付与するために、澱粉の
一部をポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリス
チレンなどでグラフト重合することも好ましい。

次に、本発明繊維の製造例について説明す名。

本発明繊維の製造には、溶融紡糸、乾式紡糸およびゲル
紡糸などの紡糸方法などが採用できるが、中でも、高い
繊維強度が得られやすいゲル紡糸や溶融紡糸が好ましい
。

具体的な繊維製造例を述べると、繊維原料となる澱粉お
よびポリエチレンを、孔径約０．５〜２．０Ｍφの紡糸
ノズルを有する加熱ダイを設けた押出機ホッパに供給し
、押出紡糸温度を好ましくは１５０〜２５０℃、より好
ましくは１５０〜２３０℃、−層好ましくは１５０〜２
１０℃で押出し紡糸し、その後、延伸することにより強
度の高い澱粉系繊維となる。このとき、押出紡糸温度が
２５０℃を越えると澱粉が熱分解を起こすことがあり好
ましくない。

さらにこのとき、上記原料以外の可塑剤、あるいは澱粉
とポリエチレンとの相溶性を改良するために、少量のパ
ラフィンワックス、無水ラノリン、アマニ油、鉱物油、
脂肪酸類（パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、リルイン酸）などを添加することができる
。また、抗酸化剤としてヒンダードフェノール系化合物
（たとえば、チバガイギー社のＩＲ−１０１０など）を
少量添加することができる。

このようにして得られる本発明繊維は、強度が３ｇ／ｄ
以上という好ましい特性を有し、かつ澱粉分が微生物に
よって分解され、最終的には実質的に自然崩壊してしま
う性質を備えたものとなる。

［実施例］ 以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。な
お、本例中の繊維の引張強度および強力保持率は次の測
定法にしたがって求めた値である。

引張強度および強力保持率 試料繊維を予め２０℃、６５％の相対湿度下に２４時間
調湿し、繊維試技２０ｍｍ、引取速度Ｌｏｏｍ／ｍｊｎ
の条件で、引張試験機を用いて引張強力、Ａ　（ｇ／ｄ
）を測定した。一方試料を土中に埋没させて経時的な繊
維の引張強力、Ｂ（ｇ／ｄ）を上記と同様な条件下で調
理後測定し、次式により、繊維の強力保持率を求めた。

強力保持率（％）＝　　　　Ｘ１００ 実施例１ ６０℃で５時間、真空乾燥した澱粉（サンエイ糖化（株
）製コーン澱粉、品名ＣＤ−Ｙ）とポリエチレン（三井
石油化学（株）製ハイゼックス２１００ＪＨ・・・分子
量６Ｘ１０４）を、２０／８０（重量比）の割合でスク
リュウ押出機に供給し、紡糸ノズル孔径０．５ｍφ、孔
数５０、紡糸温度１８０℃、巻取速度３０ｍ／分で紡糸
した。

この紡出糸条を延伸温度１００℃で９．０倍延伸し、繊
度３．５ｄ、強度８．４ｇ／ｄ、伸度７゜５％の澱粉−
ポリエチレン繊維とした。

この繊維をステンレス枠に巻き、土中Ｌｏａｎに埋没さ
せて、半年、−年および一年半後の繊維の強力保持率を
調べたところ、８９．６％、７８゜３％および７２．３
％と、土中での分解による顕著な強力低下が認められた
。

実施例２ 澱粉とポリエチレンを、５０１５０（重量比）とした以
外は、実施例１と同様に紡糸し、延伸温度１００℃で５
．０倍延伸し、繊度４．２ｄ、強度５．２ｇ／ｄ、伸度
５．２％の澱粉−ポリエチレン繊維を得た。

この繊維をステンレス枠に巻き、海水中１０ｃｍに沈め
て、半年、−年および一年半後の繊維の強力保持率を調
べたところ、８２．３％、６５．８％および５３．５％
と、海水中での分解による顕著な強力低下が認められた
。

比較例１ ポリエチレン単独で実施例１と同様に紡糸し、延伸温度
１００℃で１０倍に延伸し、繊度３．　０６１強度９．
０ｇ／ｄ、伸度９，０％のポリエチレン繊維を得た。

この繊維をステンレス枠に巻き、土中１０ａｎ、海水中
１０ａｎでの分解テストを実施し、半年。

年および一年半後の繊維の分解挙動を調べたところ、土
中および海水中いずれも９７％以上であり、繊維の生分
解が起っていないことが認められた。

実施例３ ６０℃で５時間、真空乾燥した澱粉（サンエイ糖化（株
）製コーン澱粉、品名ＣＤ−Ｙ）とポリエチレン（三井
石油化学（株）製、ハイゼックスミリオン３４０Ｍ、密
度０．９６、分子量３．０×１０６）の混合比率を、１
５／８５（重量比）とし、これを１８０℃でデカリンに
溶解して濃度２．５％の紡糸原液をつくった。このポリ
マ溶液を１．　０ｍｍφの口金より１６０℃でゲル紡糸
し、室温に保った水浴に糸条を通してこれを冷却した。

得られた糸条はアセトン洛中を通して溶媒を除去した後
、１５０℃の加熱チューブ内を通して２０倍に延伸した
。

このようにして繊度４．２ｄ、強度１９　ｇ／ｄ。

伸度５．０％および、結節強度Ｌｏｇ／ｄの高い強度を
有する繊維が得られた。

この繊維をステンレス枠に巻き、土中１０ａｎ下に埋め
て１年および２年後の繊維の強力保持率を調べた結果、
８８．３％および７４．６％であった。

［発明の効果］ 澱粉とポリエチレンからなる本発明繊維は、３ｇ　／　
ｄ以上の高強度品であって、しかも繊維中の澱粉分が土
中あるいは海水中の微生物によって適度に分解され易く
、最終的には実質的に自然崩壊してしまう性質を具備す
る。このため本発明繊維は、ロープ、紐、テグス、およ
び漁網などの繊維製品として十分機能すると共に、その
廃棄物がもたらす環境汚染の問題を一挙に解消すること
ができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 澱粉とポリエチレンからなる生分解性繊維。