JPH0414241Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案はたとえば自動車の車軸のハブベアリ
ングロツク構造に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

自動車のたとえば後車輪１，１に動力を伝達す
るには、第３図に示すように駆動軸２の回転を差
動装置３を経てアクスルシヤツト４およびホイー
ルハブ５に伝達し、このホイールハブ５に固定さ
れた上記後車輪１，１を回転させることによつて
行なわれている。そして、アクスルシヤフト４を
包囲するように静止するアクスルハウジング６が
設けられていて、このアクスルハウジング６と上
記ホイールハブ５との間には外側および内側に２
列のハブベアリング７および８が設けられてい
る。そして、第３図のＡなる円に囲まれた外側の
ハブベアリング７は従来は第４図に示すように弛
み防止が施されていた。すなわち、ハブベアリン
グ７はアウタレース７ａ、インナレース７ｂ、テ
ーパローラ７ｃとからなりアウタレース７ａは上
記ホイルハブ５の内周に設けられた突部５ａに係
止されている。またインナレーマ７ｂの外側端に
は上記アクスルハウジング６の外周に設けられた
ねじ部６ａに螺入されたシングルのロツクナツト
９により押圧されて、外側に移動するのが防止さ
れている。そして、上記シングルのロツクナツト
９の抜け出しを防止するため、このロツクナツト
９の外側端部にはロツクプレート１０が多数のボ
ルト１１……とスプリングワツシヤ１２…とで固
定されている。このため、上記ロツクナツト９に
は同心円上に多数のねじ孔９ａが設けられてい
る。また、ロツクプレート１０の内周にはキー１
０ａが形成され、このキー１０ａは上記アクスル
ハウジング６の外周に形成されたキー溝６ｂと係
合しロツクナツト９が回転するのを防止するよう
になつている。

上記のように構成された従来のロツク装置にお
いてはハブベアリング７のプレロード調整をした
のち、ロツクナツト９を固定するには、多数のね
じ孔９ａにそれぞれボルト１１をスプリングワツ
シヤ１２を介してねじ込んでいたので部品加工に
多大の時間を要するだけでなくその組立作業にも
多大の時間を要し、作業性が低下していた。さら
に、振動によりボルト１１の弛みが生じるという
恐れもあつた。

〔考案の目的〕

この考案は上記事情を考慮してなされたもの
で、ハブベアリングを確実にロツクするとともに
作業性を向上した車軸のハブベアリングロツク構
造を提供しようとするものである。

〔考案の概要〕

この考案は前記目的を達成するために、アクス
ルハウジングに螺入され、外側端面に複数のロツ
クピンが圧入突設されたロツクナツトと、上記ア
クスルハウジングの外側端部に設けられたキー溝
と、上記ロツクナツトの外側端面と当接するとと
もに上記ロツクピンに嵌合する複数のピン孔と上
記キー溝を係合するキーとが形成されたロツクプ
レートと、上記キー溝の上記ロツクプレート外側
端面側に上記アクスルハウジングの円周方向に沿
つて形成された環状溝と、同環状溝に弾性的に嵌
装され上記ロツクプレートの外側端面に当接され
るスナツプリングとから構成し、ハブベアリング
をロツクナツトで締付け、その後ロツクプレート
を嵌合させ、最後にスナツプリングをはめ込むだ
けでロツクナツトの緩みを確実に防止できるよう
にしたものである。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を第３図〜第５図の
同一構成部分に同一符号を付けた第１図および第
２図を参照して説明する。

第１図および第２図において１３……はロツク
ナツト９に同心円上に設けられたピン穴である。
これら多数のピン穴１３……のうちのたとえば互
いに対向するピン穴１３，１３には大径の頭部１
４ａを有するロツクピン１４，１４が圧入されて
いる。また、上記ロツクナツト９の外側端面には
ロツクプレート１０が接合して装着されるように
なつている。すなわち、ロツクプレート１０には
上記ロツクピン１４の頭部１４ａの直径よりも僅
かに大きい直径の多数のピン孔１５……が上記ロ
ツクナツト９に圧入されたロツクピン１４……と
合致するように穿設されている。また、ロツクプ
レート１０にはキー１０ａがあつて、アクスルハ
ウジング６のキー溝６ｂと係合するようになつて
いるので、ロツクプレート１０を上記ピン孔１５
……をロツクピン１４……に嵌合させてロツクナ
ツト９に接合させることによりロツクナツト９を
アクスルハウジング６に対して固定するのでロツ
クナツト９の弛みを防止するようになつている。

上記ロツクプレート１０の外側にはこのロツク
プレート１０が抜け出すのを防止するスナツプス
プリング１６がアクスルハウジング６に設けられ
た環状溝１７に弾性的に係止されるようになつて
いる。

しかして、上記のように構成されたこの考案に
おいて、ハブベアリング７をロツクするには、ま
ず、ロツクナツト９をアクスルハウジング６に設
けられたねじ部６ａに螺入し、ハブベアリング７
を締付けてプレロード調整を行なう。ついで、ロ
ツクナツト９にロツクプレート１０を接合してロ
ツクナツト９にあらかじめ圧入されたロツクピン
１４の頭部１４ａにロツクプレート１０のピン孔
１５……を嵌合させる。この際ピン孔１５……が
ロツクピン１４と合致しない場合にはホイールハ
ブ５を右または左に僅かに回転させればピン孔１
５……はロツクプレート１０に同心円上に多数設
けられているので容易に合致させることができ
る。ついで、ロツクプレート１０の内周に設けら
れたキー１０ａをアクスルハウジング６のキー溝
６ｂに係合させる。最後にアクスルハウジング６
の環状溝１７にスナツプリング１６を係止させ、
ロツクプレート１０が抜け出すのを防止する。

なお、ロツクピン１４……が抜け出る虞れがあ
る場合にはロツクプレート１０とスナツプリング
１７との間にプレートを装着してもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案においては、ハ
ブベアリングと当接するロツクナツトに複数のロ
ツクピンを設け、このロツクナツトと接合するロ
ツクプレートに上記ロツクピンと嵌合するピン孔
を設けるとともに、上記ロツクプレートにはアク
スルハウジングに設けられたキー溝に係止するキ
ーを設けたので、プレロード調整後のロツクナツ
トが弛むのを確実に防止することができる。ま
た、ロツクプレートの抜止め防止用にスナツプリ
ングをアクスルハウジングに対して設けたのでロ
ツク構造はさらに信頼性が向上する。また、従来
のようにロツクナツトに対して多数のボルトとス
プリングワツシヤを介してロツクプレートを固定
しない構成としたので部品加工に要する作業時間
および組立作業時間が大幅に短縮され作業性が向
上するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断側面
図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、第
３図は自動車のアクスルシヤフトを示す平面図、
第４図は第３図におけるＡ部を拡大して示す縦断
側面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿う断面図
である。 ５……ホイールハブ、６……アクスルハウジン
グ、６ｂ……キー溝、７……ハブベアリング、９
……ロツクナツト、１０……ロツクプレート、１
０ａ……キー溝、１４……ロツクピン、１５……
ピン孔、１６……スナツプリング、１７……環状
溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ホイールハブとアクスルハウジングとの間に装
   着したハブベアリングをロツクするハブベアリン
   グロツク構造において、上記アクスルハウジング
   に螺入され、外側端面に複数のロツクピンが圧入
   突設されたロツクナツトと、上記アクスルハウジ
   ングの外側端部に設けられたキー溝と、上記ロツ
   クナツトの外側端面と当接するとともに上記ロツ
   クピンに嵌合する複数のピン孔と上記キー溝と係
   合するキーとが形成されたロツクプレートと、上
   記キー溝の上記ロツクプレート外側端面側に上記
   アクスルハウジングの円周方向に沿つて形成され
   た環状溝と、同環状溝に弾性的に嵌装され上記ロ
   ツクプレートの外側端面に当接されるスナツプリ
   ングとを具備したことを特徴とする車軸ハブベア
   リングロツク構造。