JPH0414003B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、内視鏡の管路内に乾燥用気体を供給
することによつて、内視鏡内に湿気を低減化して
フアイバの折損を防止できるようにした内視鏡用
乾燥装置に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

近年、医療用及び工業用の分野においては広く
内視鏡が用いられるようになつている。

上記内視鏡は、硬性で略直線状の挿入部を有す
る硬性の内視鏡と、挿入部が軟性で口腔あるいは
管腔から湾曲した経路内に挿入可能な軟性の内視
鏡とがある。これら内視鏡は、特に体腔内等に挿
入される場合には、滅菌が必要とされる。

このため、近年、防水機能を有する内視鏡が開
発され、薬液に直接浸漬することによつて、内視
鏡の洗浄，消毒，滅菌が容易にできるようになつ
た。

しかしながら、この浸漬を繰り返して行うと、
内視鏡の挿入部を形成するポリウレタン樹脂とか
合成ゴム膜を通つて蒸気が内部に侵入したりする
等して防水機能を有する内視鏡においても、内視
鏡の内部の湿気が上昇することがある。また、内
視鏡を保管している場所の周囲の湿気が高いと経
年的には内視鏡内の湿度が上昇してしまうことに
なる。

このように湿度が上昇すると、特に軟性内視鏡
においては可撓性挿入部内に挿通されたイメージ
ガイド及びライトガイドを形成するフアイバ間、
あるいはフアイバと外皮チユーブ内周とのすべり
を円滑にするための減摩剤の機能が低下し、湾曲
した際におけるフアイバの折損が増大してしま
う。

従つて、内視鏡を保管する際、周囲の湿度を低
下させたり、内視鏡内に湿気が入らないようにす
る手段を設けることが望ましい。又、挿入部先端
側の対物光学系が湿気で曇らないようにすること
からも、上記内視鏡内の湿度を上昇させないよう
にすることが望ましい。

このため、本出願人が実開昭57−40404号公報
にて開示しているように、内視鏡挿入部を挿入し
て保温することによつて、上記対物光学系の曇り
を防止する保温器を保管庫内に設けた従来例を提
案した。しかし、この従来例は、挿入部を保温器
内に挿入しなければならず、操作が煩雑であると
共に、挿入の際、挿入部先端側を保温器に当てて
挿入部先端側を折損させてしまう虞れがあつた。

〔発明の目的〕

本発明は上述した点に鑑みてなされたものであ
つて、内視鏡内の湿気を確実に低減化してフアイ
バが折損しないようにした内視鏡用乾燥装置を提
供することを目的とする。

〔発明の概要〕

本発明は、内視鏡の管路内に温風等の乾燥用の
気体を送り込んで乾燥する手段を形成することに
よつて、内視鏡内の湿度をより確実に低減化し、
フアイバの折損を確実に防止できるようにしてあ
る。

〔発明の実施例〕

先ず、本発明の実施例を説明するに先立ち、本
発明の適用される軟性内視鏡の一例を、第１図に
よつて説明する。

この軟性内視鏡１は、可撓性の挿入部２と、該
挿入部２の後端に太径に形成されて連設された操
作部３と、該操作部３の後端に形成された接眼部
４と、操作部３の側部から延び出すように形成さ
れた可撓性のライトガイドケーブル５とから構成
されている。

上記挿入部２の先端部６には図示しない対物レ
ンズが配設され、該対物レンズで結像された対象
物の光学像は、挿入部２および操作部３にかけて
挿通された図示しないフアイババンドルで形成さ
れた像伝達用のイメージガイドを経て後方に伝達
され、接眼部４の内側に配設された図示しない接
眼レンズを経て接眼部４の後方から観察可能にな
る観察光学系が形成されている。又、この観察光
学系によつて観察できるように、図示しない光源
装置に、ライトガイドケーブル５の先端部のコネ
クタ７を装着することによつて照明ランプからの
照明光がライトガイドケーブル５内のライトガイ
ド（図示されず）の後端面に照射され、この照射
された照明光はライトガイドケーブル５内及び挿
入部２内のライトガイドを経て先端面から出射さ
れる照明光学系が形成されている。

上記観察光学系によつて体腔内臓器の内壁等を
観察する場合、観察光学系における対物窓ガラス
の外部に臨む側の面の曇り、あるいは付着物を除
去できるように、挿入部２内を挿通された送気用
管路８の先端面に、前記対物窓ガラスに隣接して
気体を吹き付けることのできるノズル９が形成さ
れている。また、この送気用管路８は挿入部２内
の先端近傍において分岐されて送水用管路１１に
接続されている。これら送気用管路８および送水
用管路１１は、操作部３に設けられた送気および
送水を切換えて使用できる送気・送水切換弁１２
を経てライトガイドケーブル５の送気用管路１３
と送水用管路１４にそれぞれ連通するように形成
されている。このライトガイドケーブル５内を挿
通された送気用管路１３は、ライトガイドケーブ
ル５の先端のコネクタ７に形成された送気口金部
１５によつて光源装置内の送気ポンプと接続でき
るようになつていると共に、途中で分岐されて前
記コネクタ７の側部に形成された送水タンク接続
用口金部１６における、例えば内側に形成した送
気口１７と連通され、前記口金部１６に図示しな
い送水タンクが装着できるように構成されてい
る。

上記操作部３に設けられた送気・送水（切換）
弁１２は、そのピストン状部分がシリンダ１８内
をばね１９によつて突出するよう付勢されてお
り、この状態において、ライトガイドケーブル５
内を挿通された送気用管路１３は、シリンダ１８
の底部の空隙を通り、挿入部２側の送気用管路８
と連通すると共に、送気・送水弁１２の中心部を
通り長手方向に形成した空気放出孔２０を通つて
外部とも連通するようになつている。

従つて、上記空気放出孔２０を指等で閉塞しな
い場合には、ライトガイドケーブル５側の送気用
管路１３を通つて送気された空気は、空気放出孔
２０から外部に放出され、閉塞することによつ
て、挿入部２側の送気用管路８を通つて（送気さ
れた空気が）ノズル９から吐出されるようになつ
ている。

また、上記送気・送水弁１２には、シリンダ１
８の内壁に当接する外周にＯリング２１が環装さ
れて水密および気密が保持できるようになつてい
る。

更に、上記送気・送水弁１２におけるシリンダ
１８の内壁に当接する外周に、切欠き溝２２が形
成されており、送気・送水弁１２を押圧して送気
用管路８および１３間を遮断することによつて、
該切欠き溝２２を通じて両送水用管路１１および
１４とを連通できるようになつており、図示しな
い送水タンクを装着して送水タンク内に送気する
ことによつて、送水タンク内の水を送水用管路１
１，１４を経てノズル９から放出できるようにな
つている。

更に、上記軟性内視鏡１には、鉗子等の処置具
を用いて生体組織等の試料採取ができるように、
操作部３の側部に切込みを設けた鉗子栓２３で閉
塞された処置具挿入管路２４が形成されており、
処置具を挿入することによつて、該挿入管路２４
の奥で連通する吸引用管路２５を経て挿入部２の
先端側から前方に突出できるようになつている。

また、上記送気・送水弁１２に隣接して操作部
３には該送気・送水弁１２と同様に、シリンダ２
６内を摺動できるピストン状の吸引操作弁２７が
設けられ、該吸引操作弁２７の中央には空気孔２
８が設けられ、一方、外周には、ばね２９が環装
されてシリンダ２６から常時突出する向きに付勢
されている。また、シリンダ２６の内壁に当接す
る外周に、Ｏリング３０が環装されると共に、切
欠き溝３１が形成されており、上記ばね２９に抗
して吸引操作弁２７を押圧することによつて、該
切欠き溝３１を通して挿入部２側の吸引用管路２
５と、ライトガイドケーブル５側の吸引用管路３
２とが連通するようになつている。従つて、ライ
トガイドケーブル５のコネクタ７の側部に形成し
た吸引口金部３３を図示しない吸引装置に接続し
て吸引操作すると、通常は空気孔２８から外気を
吸引することになるが、吸引操作弁２７の空気孔
２８を閉塞し、これを押圧すると、両吸引用管路
２５および３２とが連通して挿入部２の先端開口
部から該開口部に臨む胃液等を吸引できるように
なる。

このように本発明の適用される軟性内視鏡１は
構成されている。

第２図は、本発明の一実施例を示したものであ
る。本実施例では、上記軟性内視鏡１の処置具挿
入口に取り付けられた鉗子栓２３および送気・送
水弁１２を外して、それぞれ乾燥装置取付用のア
ダプタ５１，５２を取り付け、これを介して乾燥
装置を接続する。

この乾燥装置は温風供給装置３５で構成されて
いて、例えば箱状の本体内に送気用ポンプ３７
と、該ポンプ３７で送気される前方に加熱手段と
してのヒータ部３８とが収容されている。そし
て、ヒータ部３８の前方の開口部は、上記アダプ
タ５１に端部が接続可能となる接続部を有する温
風供給管３９と、上記アダプタ５２に端部が接続
可能となる接続部を有する温風供給管４０とに連
通するように分岐されている。

上記ヒータ部３８は、ニクロム線等の電熱線に
図示しない電源コードを経て電流を供給すること
によつて発熱し、この発熱によつて加熱ないし温
められた空気は、後方の送気用ポンプ３７により
開口部から両温風供給管３９，４０に送出される
ようになつている。

このように構成された温風供給装置３５の、一
方の温風供給管３９が上記アダプタ５１を介して
処置具挿入管路２４に接続され、他方の温風供給
管４０が上記アダプタ５２を介してシリンダ１８
に接続される。

上記アダプタ５１，５２は、例えばシリコンゴ
ム等の弾性部材を用いて形成されている。また、
上記シリンダ１８に装着されるアダプタ５２は、
ほぼ円筒形状のシリンダ１８内に嵌入される先端
部を半円筒状に切欠かれたものであつて、装着す
ることによつてライトガイドケーブル５側の送気
用管路１３と送水用管路１４のシリンダ１８壁面
に臨む開口端を塞ぎ、挿入部２側の送気用管路８
と送水用管路１１のシリンダ１８壁面に臨む開口
端を解放して上記温風供給管４０に連通させるよ
うになつている。

なお、本実施例における温風供給装置３５の送
気用ポンプ３７は、通気路４２によつて外気と連
通している。

このように構成された上記一実施例の動作を説
明すると、第２図に示すように、各アダプタ５
１，５２にそれぞれ温風供給管３９，４０を接続
し、送気用ポンプ３７及びヒータ部３８を始動さ
せて温風を送出させる。

上記温風供給管３９を経た温風は、処置具挿入
管路２４を通り、挿入部２内に配設された吸引用
管路２５に送られ、挿入部２の先端部６の開口端
から排出される。

一方、他方の温風供給管４０を通つた温風は、
送気用管路８および送水用管路１１を通つて先端
部６のノズル９から外部に排出される。

このようにして挿入部２内の各管路８，１１，
２５を通る乾燥用ないしは除湿用の気体としての
温風によつて挿入部２は温められ、該挿入部２内
を挿通されているイメージガイドおよびライトガ
イドを形成する各フアイババンドル（及び減摩
剤）を効率良く乾燥させる。

次に、ライトガイドケーブル５側を乾燥させる
には、上記アダプタ５２を180度回動させてアダ
プタ５２の半円筒状の角度位置を変えて送気用管
路８および送水用管路１１を閉じて、ライトガイ
ドケーブル５側の送気用管路１３と送水用管路１
４を温風供給管４０に連通させる。すると、温風
は送気用管路１３と送水用管路１４を通つてコネ
クタ７に形成された送気口金部１５および送気口
１７より排出される。よつて、これによりライト
ガイドケーブル５内のライトガイド等は効率良く
乾燥される。

また、上記アダプタ５２の形状を変えて、例え
ば半円筒部を設けないで、挿入部２側およびライ
トガイドケーブル５側の送気用管路８，１３およ
び送水用管路１１，１４共に連通させることもで
きる。

更に、上記実施例において、例えば温風供給管
３９を処置具挿入管路２４が鉗子栓２３で閉塞し
た状態とし、吸引操作弁２７側のシリンダ２６に
装着できるようにしても同様の機能を有するよう
にできる。また、上記温風供給装置３５を光源装
置内に設けることもできるし、内視鏡保管庫内に
収納することもできる。

また、上述した温風供給管３９，４０を一方の
み適当な管路に用いて乾燥することも本発明に属
するものであり、更に、乾燥空気を送風して乾燥
させるもの乃至は乾燥状態に保持するものも本発
明に属するもので、また、空気の代わりに圧縮し
た窒素ガス等の（乾燥した）気体をタンク等から
供給するようにしてもよい。このようにすれば、
少ない電力で済む。

なお、上記実施例は軟性内視鏡１に対して本発
明を適用したものについて述べたが、処置具挿入
路を有する硬性内視鏡に対しても本発明は適用で
きることは勿論である。即ち、硬性内視鏡に適用
して内部の水分を減らすことによつて、対物レン
ズ等が湿気で曇ることを防止することができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明によれば、内視鏡の管
路を通つて温風等の乾燥用乃至は除湿用の気体を
送気して乾燥する手段を形成してあるので、乾燥
が必要とされる部分を効率的、かつ迅速に乾燥で
きるという利点を有する。

従つて、フアイバを用いて形成されたイメージ
ガイド及びライトガイドのフアイバの折損を有効
に防止できる。更に、内部が錆び付くのを防止で
き、長期にわたり使用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の適用される内視鏡の概略構
成を示す線図、第２図は、本発明の一実施例を示
す内視鏡乾燥装置の概略構成線図である。 １…軟性内視鏡、２…挿入部、３…操作部、４
…ライトガイドケーブル、６…先端部、７…コネ
クタ、８，１３…送気用管路、９…ノズル、１
１，１４…送水用管路、１２…送気・送水切換
弁、１８，２６…シリンダ、２０…空気放出孔、
２４…処置具挿入管路、２５，３２…吸引用管
路、３５…温風供給装置、３７…送気用ポンプ、
３８…ヒータ部、３９，４０…温風供給管、５
１，５２…アダプタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内視鏡の処置具挿入口および送気・送水弁を
   外してシリンダに装着することによつて内視鏡内
   に設けられた送気・送水用管路と連通するアダプ
   タに接続される接続手段と、 この接続手段を介して内視鏡の管路内に乾燥用
   気体を供給可能な乾燥手段と、 からなることを特徴とする内視鏡用乾燥装置。