JPH0413811Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は磁気テープを巻き込んだ一対のハブ
を、箱形のケースの中に回転自在に装着した磁気
テープカセツトに関し、特にシエルのハブ受け孔
を開閉するためのスライダを備えた磁気テープカ
セツトに関する。

［従来の技術］ 磁気テープカセツトの一例として、デジタルオ
ーデイオテープカセツトの構成を第４図に示す。

上シエル１と下シエル２とを組み立てることに
よつて、箱形のケースが形成され、その中に磁気
テープ１０が巻装された一対のハブ３が回転自在
に支持される。下シエル２には前後にスライドす
るスライダ４が装着され、そのハブ孔９により、
前記ハブ３を支持した下シエル２のハブ受孔５が
開閉される。

このスライダ４は、下シエル２の両側に設けら
れたストツパ６により、ハブ受孔５とハブ孔９と
がずれて、ハブ受孔５が閉じられる前方側の位置
と、ハブ受孔５とハブ孔９とが一致し、ハブ受孔
５が開かれる後方側の位置との２個所で停止され
る。そして、スライダ４の前部中央に突設された
パネル７に、下シエル２から突設された前記バネ
８が当り、その弾力がスライダ４を前方へ押し出
し、下シエル２のハブ受孔５が閉じられる方向へ
と作用している。

この磁気テープカセツトは、予め下シエル２に
スライダ４をスライド自在に組み込み、その後、
下シエル２と上シエル１との間にハブ３を挿入す
ると共に、これらを重ね合わせて箱形に組み立て
られる。そして、上下のシエル１，２を組み合わ
せるときは、スライダ４を下シエル２の後方側の
位置に固定し、ハブ受孔５を開き、そこからスピ
ンドル（図示せず）を挿入して、ハブ３がずれな
いよう固定しながら、下シエル２に上シエル１を
嵌め込む。このシエル１，２の組み立ては、自動
組立装置を用いて、複数個のものを順次組み立て
て行く。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、前記従来の磁気テープカセツト
では、組み立て中に時折スライダ４のストツパが
外れて、バネ８の弾力によつてスライダ４が前方
に押し出され、ハブ受孔５が不意に閉じてしまう
ことがある。そうすると、ハブ受孔５から下シエ
ル２の中に挿入される筈のスピンドルがスライダ
４に当たつて挿入されず、自動組立ラインが停止
したり、さらには下シエル２が破損する等のトラ
ブルを招く。

本考案は、従来の磁気テープカセツトにおける
前記の問題点を解決することを目的とする。

［問題を解決するための手段］ 即ち、本考案では前記目的を達成するため、上
シエル１１と下シエル１２とにより、箱形のケー
スを形成し、該ケースの中に磁気テープ２０が巻
かれた一対のハブ１３を回転自在に装着し、前記
下シエル１２は前後にスライドし、ハブを支持し
たハブ受孔１５を開閉するスライダ１４を備え、
該スライダ１４に前記ハブ受孔１５が閉じる方向
に付勢したバネ１８を係装して成る磁気テープカ
セツトにおいて、下シエル１２にバネ１８を上下
にスライド自在に装着し、該バネ１８の最上位置
に、ばね１８を係止しておくバネ止２１を設け、
上シエル１１の前記ばね１８と対応する位置に、
上下のシエルを嵌め合わせたとき、ばね１８を押
し下げてバネ止２１から外す突起２２を設けるこ
とを特徴とするものである。

［作用］ 本考案による前記磁気テープカセツトでは、ま
ず下シエル１２と上シエル１１とを組み立てる際
に、第１図に於て二点鎖線で、第２図に於て実線
で各々示すように、バネ１８をその最上位置にス
ライドさせて、バネ止２１に掛けて係止してお
く。この状態では、バネ１８の弾力がスライダ１
４に作用しない。このため、第２図で示すよう
に、スライダ１４を後側へスライドさせておいた
場合に、それを固定するストツパ１６が外れて
も、不意にスライダ１４が前に押し出されて、下
シエル１２のハブ受孔１５が閉じるようなことが
ない。

次いで、下シエル１２に上シエル１１を嵌め合
わせると、上シエル１１の突起２２がバネ１８を
押し下げるため、バネ１８が下方へスライドして
バネ止２１から外れ、開放されてスライダ１４に
当り、その弾力がスライダ１４に作用する。従つ
て、ストツパ１６が外れると、スライダ１４は第
３図に於て二点鎖線で示すように、前方へ押し出
され、ハブ受孔１５が閉じられる。

なお、第１図では、磁気テープカセツトが上下
逆に示されているため、以上の説明の中で、上と
下とは同図面上で逆になつていることに留意され
たい。

［実施例］ 次に図面を参照しながら、本考案の実施例と望
ましい実施態様について説明する。

磁気テープカセツトの外殻を形成するケース
は、上下に重ね合わせられる上シエル１１と下シ
エル１２とからなり、その中に磁気テープ２０が
巻装された一対のハブ１３が回転自在に装着され
る。下シエル１２には前後にスライドするスライ
ダ１４が装着され、そのハブ孔１９により、前記
ハブ１３を支持した下シエル１２のハブ受孔１５
が開閉される。

このスライダ１４は、下シエル１２の両側に設
けられたストツパ１６により、ハブ受孔１５とハ
ブ孔１９とがずれて、ハブ受孔１５が閉じられる
前方側の位置と、ハブ受孔１５とハブ孔１９とが
一致し、ハブ受孔１５が開かれる後方側との２個
所で停止される。そして、スライダ１４の前部中
央に突設されたパネル１７に、下シエル１２から
突設したバネ１８が当り、その弾力がスライダ１
４を前方へ押し出す方向へと作用する。

本考案では、このような磁気テープカセツトに
おいて、下シエル１２に前記バネ１８を上下にス
ライド自在に設けると共に、バネ１８の最上位置
に該バネ１８を係止しておくバネ止２１を設け
る。

図示の実施例では、バネ１８としてくの字状に
曲げられた板ばねが用いられ、その中央の屈曲個
所が下シエル１２から突設されたバネ支持ピン２
３に保持され、該ピン２３に沿つて上下にスライ
ドする。バネ１８の両端は各々下シエル１２の斜
め両側前方に延びているが、バネ１８の最上位置
の両側に突起状のバネ止２１が設けられ、バネ１
８がバネ支持ピン２３の最も高い位置にある時、
第１図に於て二点鎖線で、第２図に於て実線で
各々示すように、前記バネ１８の両端がこのバネ
止２１に掛けて係止される。

他方、上シエル１１にはこのバネ１８の位置に
対応して、突起２２が下方へ向けて突設されてい
る。図示の突起は、上シエル１１の前部側に於
て、両側に亙つて設けられた長いパネル状の突起
から成る。

既に述べた通り、この磁気テープカセツトで
は、上シエル１１と下シエル１２とを組み立てる
際に、予めバネ１８をバネ支持ピン２１の最上位
に位置させて、両端をバネ止２１に掛けておき、
この状態でスライダ１４を第２図に於て二点鎖線
で示す位置に後退させて、ハブ受孔１５を開き、
この状態で組み立てる。下シエル１２に上シエル
１１を重ねると、バネ１８が突起２２によつて押
し下げられるため、バネ１８がバネ止２１から外
れ、その弾力がスライダ１４に作用する。

なお、以上の実施例ではバネ１８として板ばね
を用いているが、巻バネやコイルバネを用いた場
合も、バネ止２１の位置や形状をこれに合わせて
変えるだけで、同様にして本考案を実施できるこ
とは言うまでもない。

［考案の効果］ 以上説明した通り、本考案によれば、下シエル
１２と上シエル１１とを重ね合わせるまで、バネ
１８の弾力をスライダ１４に作用させないでおく
ことができるため、磁気テープカセツトの組み立
て中に、不意にスライダ１４が押し出されて、下
シエル１２のハブ受孔１５が閉じてしまうことが
なく、スピンドルによる下シエル１２の破損や組
立ラインの停止といつたトラブルを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す磁気テープカセ
ツトを底面側から見た斜視図、第２図と第３図は
同磁気テープカセツトに於けるスライダ１４を透
視した状態の下シエルの底面図、第４図は磁気テ
ープカセツトの従来例を示す底面側から見た斜視
図である。 １１……上シエル、１２……下シエル、１３…
…ハブ、１４……スライダ、１５……ハブ受孔、
１８……バネ、２０……磁気テープ、２１……バ
ネ止、２２……突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上シエル１１と下シエル１２とにより、箱形の
   ケースを形成し、該ケースの中に磁気テープ２０
   が巻かれた一対のハブ１３を回転自在に装着し、
   前記下シエル１２は前後にスライドし、ハブを支
   持したハブ受孔１５を開閉するスライダ１４を備
   え、該スライダ１４に前記ハブ受孔１５が閉じる
   方向に弾力を付勢したバネ１８を係装して成る磁
   気テープカセツトにおいて、下シエル１２にバネ
   １８を上下にスライド自在に装着し、該バネ１８
   の最上位置に、バネ１８を係止しておくバネ止２
   １を設け、上シエル１１の前記ばね１８と対応す
   る位置に、上下のシエルを嵌め合わせたとき、ば
   ね１８を押し下げてバネ止２１から外す突起２２
   を設けたことを特徴とする磁気テープカセツト。