JPH0413092B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、複数の球体を同時にラツピングす
る球体加工方法に関し、特に、限定はされない
が、セラミツクスからなる球体の加工に好適な球
体加工装置に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

球体は各種装置の構成要素として、広く各技術
分野に応用されており、特に、セラミツクスから
なる球体は、その耐食、耐熱、耐摩耗性などを生
かした特殊用途への適用が注目されている。一般
に、球体はセラミツクスであるとないとにかかわ
らず、真球度のよい所定直径のものが要求される
ため、それに適応した加工装置を必要とする。し
かして、比較的大きな球体については、一回に１
個の球体を加工する場合が多いが、比較的小さな
球体については、一度に多数の球体を同時に加工
することが望まれる。

第２図はその一例であつて、鋼製円板状の下ラ
ツプ板１に対して、鋼製円板状の状ラツプ板２を
同軸に対向させ、これらラツプ板１，２間に球体
被加工物Ｓを転動自在に支持する保持板３を配置
したものである。球体被加工物Ｓは保持板３の同
一円周上に形成された支持部に複数個支持され
て、下ラツプ板１のＶ形環状溝１ａに嵌合し、ラ
ツプ板１，２の回転と上ラツプ板２を介して加え
られる加圧力とによつて、環状溝１ａ中を転動
し、この間に外部よりラツプ剤が供給されて研磨
加工される。

しかしながら、上記従来の球体加工方法では、
被加工物Ｓ…の配設位置により研磨条件が異なる
ので、加工精度にばらつきが生じてしまう。そこ
で、精密な球体を得るには、数時間おきに被加工
物Ｓ…の位置を変更させねばならないため、作業
能率がすこぶる低下することはもとより、自動化
の障害となつている。

〔発明の目的〕

この発明は、複数の球体を高精度かつ高能率に
加工することがでる球体加工装置を得ることにあ
る。

〔発明の概要〕

本発明は、上面に被加工物を保持し且つ周縁部
に側壁が設けられた円板状の下ラツプ、並びに、
下ラツプ上に保持されている被加工物を介して載
置され且つ側壁により規制される範囲内にて遊動
自在な円板状の上ラツプ、並びに、上ラツプの上
部に同軸に設けられた軸部と、この軸部に同軸に
取付けられた第１プーリと、上ラツプからは独立
して設けられたプーリ回転駆動手段と、このプー
リ回転駆動手段の第１回転軸に偏心して取付けら
れた第２プーリと、第１プーリと第２プーリとの
間に巻き掛けられたベルトと、第１プーリを挟ん
で第２プーリの反対側に設けられ上ラツプを第２
プーリから離間する方向に弾性的に付勢する第１
弾性手段とを有し、第２プーリの偏心回転により
上ラツプを回転させながら側壁により規制される
範囲内にて往復直線運動させる上ラツプ駆動手
段、並びに、下ラツプの下部に第２回転軸の上端
部が連結され下ラツプを回転させる下ラツプ回転
駆動手段と、この下ラツプ回転駆動手段の第２回
転軸の下端部に連結されたアンバランスおもり
と、下ラツプ回転駆動手段を介して下ラツプを弾
性的に支持する第２弾性手段とを有し、下ラツプ
を機械的に加振する加振手段を具備するもので、
加振手段による下ラツプに対する不規則な振動の
付加と上ラツプ駆動手段による上ラツプの規則的
な往復直線運動との協働作用により、加工位置の
違いによるラツプ条件のばらつきを是正して、球
体加工能率及び球体加工精度を向上させるように
したものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳述
する。

第１図は、この実施例の球体加工装置を示して
いる。この装置は、鋼製円盤状の下ラツプ１１
と、この下ラツプ１１に載設される鋼製円盤状の
上ラツプ１２と、下ラツプ１１を回転させるとと
もに加振する下ラツプ支持機構１３と、上ラツプ
１２を回転駆動する上ラツプ回転駆動機構１４
と、下ラツプ１１と上ラツプ１２の間に介装され
粗球体の被加工物１５…を転動自在に保持する保
持板１６と、ラツプ剤を加工部位に自動供給する
ラツプ剤供給機構（図示せず）とからなつてい
る。しかして、上記下ラツプ１１は、同心状に複
数の円環をなすＶ字状溝１７…が多段に刻設され
ている。そして、下ラツプ１１の上面周縁部に
は、上ラツプ１２の移動を規制するための側壁１
８が上方に突設されている。よつて、上ラツプ１
２は、下ラツプ１１の側壁１８により包囲される
空間に遊挿された状態となる。他方、上ラツプ１
２は、下面が平面に形成されているとともに、上
面側には、回転軸１９が同軸に突設されている。
この回転軸１９には、下面に開口する貫通孔２０
が穿設され、この貫通孔２０を介してラツプ剤を
研磨部位に供給できるようになつている。しかし
て、下ラツプ支持機構１３は、床部２１に設置さ
れる円筒筺体状のフレーム２２と、このフレーム
２２の上端部にて内側に折曲されてなる取付部２
３に取付けられ矢印２４方向に付勢する複数の圧
縮ばね２５…と、これら圧縮ばね２５…の上端部
に取付けられ段差状に折曲されてなる円環状の支
持板２６と、この支持板２６の内側に係止・固定
されてなる回転駆動部２７とからなつている。上
記回転駆動部２７は、支持板２６を介して圧縮ば
ね２５…により弾性的に支持されてなるもので、
三次元方向に振動自在となつている。そして、こ
の回転駆動部２７は、モータ２８と、このモータ
２８の円筒状外装体２９に環装され支持板２６に
直接固定された鍔体３０と、モータ２８の回転軸
３１の下端部に連結されモータ２８自体に所定の
振幅の振動を付加するアンバランスおもり
（Unbalance Weight）３２とからなつている。
そうして、モータ２８の回転軸３１の上端部に
は、下ラツプ１１が同軸に連結されている。一
方、上ラツプ回転駆動機構１４は、フレーム２２
に隣接して床部２１に設置された円筒状の保持台
３３と、この保持台３３の上端部に固設されたモ
ータ３４と、このモータ３４の上端部に連結され
モータ３４の回転軸の回転速度を減速する減速機
３５と、この減速機３５から突出している駆動軸
３６の遊端部に偏心して装着されている偏心プー
リ３７と、上ラツプ１２の回転軸１９の上端部に
同軸に取設されたプーリ３８と、偏心プーリ３７
とプーリ３８との間に巻掛けられたベルト３９
と、回転軸１９に嵌装され下ラツプ１１のＶ字状
溝１７…保持されている被加工物１５…に適正な
ラツプ圧をトラツプ１２を介して付加する円柱状
のおもり４０と、一端部がこのおもり４０に係止
され他端部が図示せぬ固定部材に係止されて上ラ
ツプ１２を矢印４１ａ方向に弾性的に付勢する圧
縮ばね４２とからなつている。

つぎに、上記構成の球体加工装置の作動につい
て述べる。

まず、Ｖ字状溝１７…に被加工物１５…を嵌合
するとともに、保持板１６により互に一定間隔と
なるように位置決めする。ついで、被加工物１５
…上に上ラツプ１２を載置し、おもり４０ととも
に被加工物１５…に所定のラツプ圧を付加する。
ついで、貫通孔２０を経由してＶ字状溝１７…に
ダイヤモンドパウダーなどのラツプ剤を供給する
と同時に、モータ２８，３４を起動することによ
り、下ラツプ１１を矢印４３方向に、また、上ラ
ツプ１２を矢印４４方向に回転させる。このと
き、上ラツプ１２は、偏心プーリ３７及び圧縮ば
ね４２の作用により矢印４１ａ，４１ｂ方向に往
復動する。つまり、下ラツプ１１の回転軸線に対
して上ラツプ１２の回転軸線が常に変動する。一
方、下ラツプ１１は、アンバランスおもり３２及
び圧縮ばね２５…の作用により、不規則に微小振
動する。かくして、被加工物１５は、Ｖ字状溝１
７…中を転動するとき、Ｖ字状溝１７…の両側壁
面及び上ラツプ１２の下面の３点に接触してい
る。しかし、上記３点におけるラツプ速度が異な
るので、被加工物１５…とラツプ１１，１２との
間には滑り運動が生じる。この滑り運動にともな
つて球面ラツプが行われる。また、滑り運動にと
もない被加工物１５…は、転動軸が常に変化する
ので、被加工物１５…全体がラツプ仕上げされ、
粗球から徐々に真球に近ずく。さらに、このよう
なラツプ作用に加えて、被加工物１５…には、前
記下ラツプ１１の微小振動及び上ラツプ１２の偏
心運動にともなう転動速度変化が、協働して作用
する。よつて、これらの協働作用によつて被加工
物１５…に対するラツプ条件が均一化され、下ラ
ツプ１２上における配設位置の違いによる研磨除
去量のばらつきがほとんどなくなる。その結果、
球体加工精度が著しく向上することはもとより、
被加工物１５…の加工位置を変更する煩雑さがな
くなり加工能率が向上し、より自動化に適したも
のとなる。なお、上ラツプ１２の往復動の振幅に
よつては、上ラツプ１２が側壁１８に衝突するこ
ともある。このときの衝突により下ラツプ１１に
振動が誘起されるが、このことも、前述した諸効
果を助長する役割を果たす。

〔発明の効果〕

本発明の球体加工装置は、それぞれ回転駆動さ
れる上ラツプと下ラツプとにより被加工物を挟圧
して球体加工を行う球体加工装置において、加振
手段による下ラツプに対する不規則な振動の付加
と上ラツプ駆動手段による上ラツプの規則的な往
復直線運動との協働作用により、加工位置の違い
によるラツプ条件のばらつきを是正して、球体加
工能率及び球体加工精度を顕著に向上させること
ができるようになることはもとより、自動化に適
合したものとなる。とくに、本発明は、ラツプ条
件のばらつきが生じやすいセラミツクス製の球体
加工に適用した場合に格別の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の球体加工装置の全
体構成図、第２図は従来の球体加工方法の説明図
である。 １１：下ラツプ、１２：上ラツプ、１５：被加
工物、１７：Ｖ字状溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記構成を具備することを特徴とする球体加
   工装置。 (イ) 上面にて被加工物を保持するＶ字状溝が設け
   られ且つ上記上面周縁部に円環状の側壁が設け
   られた円板状の下ラツプ。 (ロ) 上記下ラツプ上に保持されている被加工物を
   介して載置され且つ上記側壁により規制される
   範囲内にて遊動自在な円板状の上ラツプ。 (ハ) 上記上ラツプの上部に同軸に設けられた軸部
   と、この軸部に同軸に取付けられた第１プーリ
   と、第１回転軸を有し上記上ラツプからは独立
   して設けられたプーリ回転駆動手段と、上記第
   １回転軸に偏心して取付けられた第２プーリ
   と、上記第１プーリと上記第２プーリとの間に
   巻き掛けられたベルトと、上記第１プーリを挟
   んで上記第２プーリの反対側に設けられ上記上
   ラツプを上記第２プーリから離間する方向に弾
   性的に付勢する第１弾性手段とを有し、上記プ
   ーリ回転駆動手段により駆動された第２プーリ
   の偏心回転により上記上ラツプを回転させなが
   ら上記側壁により規制される範囲内にて往復直
   線運動させる上ラツプ駆動手段。 (ニ) 上記下ラツプの下部に上端部が連結された第
   ２回転軸を有しこの第２回転軸を介して上記下
   ラツプを回転させる下ラツプ回転駆動手段。 (ホ) 上記第２回転軸の下端部に連結されたアンバ
   ランスおもりと、上記下ラツプ回転駆動手段を
   介して上記下ラツプを弾性的に支持する第２弾
   性手段とを有し、上記下ラツプを機械的に加振
   する加振手段。