JPH0412894Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、屋根葺工事において馳締鋼板屋根を
組立てる際に、馳締部の結合と屋根板の引張り固
定を行なう為の吊子取付装置に関する。

（従来の技術及び問題点） 馳締型の鋼板屋根は、左右２枚の鋼板を一組に
して凹凸波形に組立て、波形の頂部で鉤形の内外
馳締部が馳締嵌合されるものであつて波形の頂部
に断面パイプ状の突隆条が形成される。

ところでこのような馳締鋼板屋根はビスや止具
等を用いないで謂ゆる馳締嵌合のみによつて組立
てられるものであるから馳締嵌合を強力確実に行
なうと共に、梁等の固定部に対し浮上しないよう
に不動状に固定させねばならない。梁等の固定部
への取付けには、従来から吊子金具が用いられて
いるが、従来の吊子取付装置は馳締部間に吊子金
具の係止部を挟入係止させるだけであつたから組
立の際に一方の内馳部に吊子金具を当てがい、そ
の上から他方の外馳部を嵌合するまでの間に吊子
が上方へ抜脱したり前後又は左右に遊動し、さら
には取付位置から外れて脱落する場合があつて、
その固定方法に困難を伴うという問題があつた。

吊子金具の固定方法としては、粘着テープ等に
よる仮止めが一般的であるが、多数の吊子金具を
仮止めする作業は非常に面倒であり、多大の労力
と時間を要する上に、仮止め材料も相当な数量を
要しコスト高になるという問題がある。

（技術的課題） 従つて本考案においては、吊子金具を馳締部間
に確実にセツトできるようにすると共に、一旦セ
ツトすると上方へ抜脱したり、遊動しないように
して仮止めをしなくても簡単迅速に吊子金具の取
付けを行なえるようにすることを技術的課題とす
る。

（問題を解決するための手段） 上記の技術的課題を解決するために、本考案は
左右一対を一組とする馳締鋼板屋根の馳締部間に
吊子金具を挟入係止するようにした装置におい
て、前記吊子金具の係止部を馳締部の内側になる
内馳部に上から弾圧的に嵌合抱持するように半円
筒形に形成して、その内面に嵌入時内馳部の端縁
に抜止め状に係合するロツク爪を突設してなるも
のである。

（作用） 上記の技術的手段は次のように作用する。

吊子金具５を取付けるには次のようにする。先
づ吊子金具５の上端の係止部６を鋼板屋根１の一
方の内馳部３に当てがい、第３図に示すように下
向きに強制押入にて押圧すると、係止部６はその
保有弾力で一旦広がるが出つ張りを通過すると内
馳部３に弾圧的に密嵌合しこれを抱持する。この
ときにロツク爪７は内馳部３の外面に当接して外
面を滑摺し先端より外れると端縁３ａに係合す
る。次いでその上から他方の鋼板屋根２の外馳部
４を被せ、強制圧入すると、第１図に示すように
左右鋼板屋根１，２の内外両馳部３，４及び吊子
金具５の係止部６の三者が一体的に結合される。
この状態では吊子金具５は上方に対してはロツク
爪７により抜脱が阻止されているから上下及び左
右に対し完全にロツクされたものとなる。

吊子金具５の下端部にはねじソケツト８が設け
られており、そのねじ孔８ａにボルト９を挿入し
て締結するようにすれば吊子金具全体が下方へ引
つ張られる為内外の馳締部３，４を結合したまま
梁等の固定部に不動状一体に牽引状で固定され
る。

（効果） 本考案は次のような特有の効果を有する。

内馳部に吊子金具の係止部を強制圧入で嵌合
させると、弾圧的に抱持されると同時にロツク
爪が内馳部の端縁に係合して上方への抜出しを
完全に阻止できる。

外馳部を嵌合するまでの間、吊子金具を粘着
テープ等の補助材を用いないで仮止め状に保持
できる。

ロツク爪は吊子金具の係止部内面に切起しに
より設けられ、簡単な構造で実施化が容易であ
る。

馳締鋼板屋根の組付け及び吊子金具の取付け
をスピイーデイに効率よく行うことができ、作
業性が向上する。

（実施例） 吊子金具５は鋼板のような薄い弾性金属板を折
曲げて形成し、係止部６は馳締部の形状、大きさ
に合せて図示例のような半円筒形に形成する。係
止部６の端縁には係止突片６ａを形成してもよ
く、又は端縁を延長してそれを係止片としてもよ
い。吊子金具５の下部にはねじソケツト８の取付
部５ａを連成し、これにねじソケツト８の上端を
リベツト１０等により一体に取付けできるように
する。ねじソケツト８のねじ孔８ａに螺入される
ボルト９は下端部を梁等の固定部に連結し、ボル
ト９を螺回動して緊締するようになす。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した馳締鋼板屋根の馳締
部の拡大した断面斜視図、第２図は吊子金具の斜
視図、第３図は内馳部に対する吊子金具係止部の
係合状態を示す作用図である。 １，２……馳締鋼板屋根、３……内馳部、４…
…外馳部、５……吊子金具、６……係止部、７…
…ロツク爪、８……ねじソケツト、３ａ……端
縁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 左右一対を一組とする馳締鋼板屋根の馳締部
   間に吊子金具を挟入係止するようにした装置に
   おいて、前記吊子金具の係止部を馳締部の内側
   になる内馳部に上から弾圧的に嵌合抱持するよ
   うに半円筒形に形成して、その内面に嵌入時内
   馳部の端縁に抜止め状に係合するロツク爪を突
   設してなることを特徴とする馳締鋼板屋根の吊
   子取付装置。 (2) 前記係合ロツク爪は、吊子金具の係止部内面
   を切起しにより内向きに突出するよう一体に形
   成されている前記実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の馳締鋼板屋根の吊子取付装置。