JPH04127548U - ベルト走行路用荷重支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベルト走行路用荷重支持装置において、ベル
ト走行方向の前後，左右側にその外部に水の流出を防止
するために設けられている水切シールの性能を高め、且
つ摩耗して取り替えるときの作業を簡単にして保守・点
検の労力を軽減することを目的とする。 【構成】 水受カバー３０に板バネ１を設け、この板バ
ネ１をベルト２２の下面と所定角度をもって対向させ、
その自由端に嵌入溝３を設けたホルダー２を取付け、こ
のホルダー２の嵌入溝３に水切板４を差し入れ、引き出
し可能に設け、水切板４の自由端をベルト２２に適宜の
接触圧をもって接触させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車用タイヤ又はシャーシダイナモメータの如き自動車性能の 試験に使用される路面を模擬したベルト走行用の荷重支持装置に関し、特に液圧 を利用した荷重支持装置の水切りシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用タイヤの走行試験や、又は自動車の走行性能試験用として、平坦な路 面を模擬した無端ベルトが使用されている。この無端ベルト（以下、ベルトと略 称する）は、その中央部でタイヤに加わる荷重を支える必要があり、タイヤ載置 部分に荷重支持装置が設けられている。この荷重支持装置は、ベルトの走行を円 滑に支持するため、一般には水又は油等の液体をベルトの接触面に供給して支持 する機能を備えている。

【０００３】 図２および図３はこの基本構成を示す正面図および平面図で、２つのローラ２ ０，２１と、このローラ２０と２１間に張設された薄い鋼帯による可撓性のベル ト２２と、このベルト２２の略中間で、タイヤ２５が載置される部位のベルトの 下面側（裏側）に設置され、タイヤ２５に加わる荷重を支えるベルト走行路用の 荷重支持部２４とを備え、自動車等のタイヤを試験する場合は、その駆動輪のタ イヤ２５をベルト２２上に載置し、タイヤに荷重を加えて路面を模擬したベルト 走行路に圧縮し、その変形又はスリップ角、或はキャンバー角を与えて圧縮した 場合の変形およびローラの駆動トルク等を計測して対路面タイヤの試験を行う。

【０００４】 また、シヤーシダイナモメータ用として自動車等の走行性能を測定する場合は 、駆動輪を、路上を模擬したベルト上に乗せ、ローラ２０，２１の回転軸２３に トルクメータ、フライホイール，直流式ダイナモメータ等を連結して、ベルト上 で自動車を走らせ、実際に道路上を走る時に発生する負荷を自動車に与え、様々 な運転パターンによるエンジンの燃費や動力性能，耐久試験等を行う。

【０００５】 上記の荷重支持部２４は、駆動輪のタイヤ２５に加わる荷重を支え、しかもベ ルト２２の走行を円滑に行う必要があり、試験装置の重要な部分であるため、こ れに適した種々の装置が提案されている。

【０００６】 一般的には、ベルトとの接触面側に、給水孔２６より水を供給して、この水を 荷重支持部２４のベルト対向面に設けたポート又は溝より成る出水口２７から出 水する水の動圧又は静圧を利用してベルトの円滑な走行を行わせる方法が採られ ている。

【０００７】 また、荷重支持部２４は水を使用するため、ベルトの走行中には、供給された 水が荷重支持部２４のベルト走行方向の前後および左右に飛散するため図３に示 すように水の飛散を防止するための水切りシール２８および２９が設けられおり 、更に荷重支持部２４で使用した水は、水受カバー３０内に受け、排水口３１を 介して図示省略した水溜に一旦溜めた後、ポンプで再度給水孔２６に給水し、水 を循環させて使用している。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

静圧と動圧を利用した此の種の荷重支持装置は、ベルトの始動開始にベルトと 荷重支持部２４間にある程度の高圧水を供給してベルトを浮上させ、ベルトと荷 重支持部２４の間に隙間を作って走行させ、ベルトの走行により動圧が発生する 段階で、水圧を下げてベルトにかかる荷重を支持するものであるが、ベルトの始 動時には高い圧力の水を大量に供給されるため、支持装置部２４の外部、特にベ ルト両側方（水切りシール２９側）に水が飛散するので、これを防止する完全な シール機構を必要とする。

【０００９】 図３のものは、この水切りシールに硬質のフェルトが使用されている。しかし 、フェルトは硬質でもベルトの回転速度は速く、且つ波打って走行するため、フ ェルトの摩耗ははげしく短時間で取替えなければならず、またフェルトは繊維に より作られているため、摩耗して分離した繊維が循環する水の中に混入し、供給 水管系路を詰らせるため、濾過機を必要とする。濾過機を使用すれば濾過機の洗 滌を頻繁に行う必要が生ずる等保守・点検に多大な労力と時間を必要とするとい う問題があった。

【００１０】 以上の点に鑑み、本考案はシール機能がすぐれ、かつ摩耗が少なくしかも循環 水に繊維等の不純物を生じさせないシール機能を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案において、上記の課題を解決するための手段は、２つの回転ドラム間に 張設されて走行する無端ベルトを、そのベルトの中間部上面に加わる荷重をベル トの下面で支える支持装置であって、そのベルトとの対向面に複数の出水口を設 け、且つ前記ベルトの下面側で荷重支持部の前後・左右側に水切りシールを備え 、前記出水口に液体を供給してベルトの荷重を支持する荷重支持装置において、 前記水切りシールの内、少なくとも前後方向の水切りシールの水切板を、ベルト の下面と所定の傾斜角度、望ましくは４０〜５０度の角度をもって板バネに直接 又は挿脱自在なホルダーを介して取り付ける。

【００１２】

【作用】

水切板は、板ばねによってベルトに適宜の角度で所定の弾性をもって接触して いるので、ベルトの波動に対しても追従してベルトの下面に付着した水をかき落 し、外部への流水を防止する。特に、水切板の傾斜角度を４５度を中心にプラス ，マイナス５度の範囲とすることにより、ベルトの波動に対して最も追従しやす く、従って水掻き機能が向上される。また、長期の使用で摩耗して取替える必要 が生じたときは、水切板をホルダーから簡単に引き出して新たな水切板をホルダ ーの嵌入溝に差し込むだけで簡単に取替えることができる。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案を図１に示す一実施例に基づいて説明する。

【００１４】 図１（Ａ）は、本考案の要部断面図、（Ｂ）は図１のホルダー部の説明図であ る。

【００１５】 なお、図２と同一名称又は同一機能の部分には、図２と同じ符号を付して説明 を省略する。

【００１６】 しかして、本考案は図３のベルト走行方向の前後，左右側に設けられた水切シ ール２８，２９の改良に関し、図１は前後側に設けられた水切シール２８の実施 例を示し、１は基端側が水受カバー３０に取付けられた板バネで、自由端側はベ ルト２２に所定角度をもってベルト２２に対向している。２はホルダーで、板バ ネ１の自由端部に取付けられ、ベルト対向側に水切板４を差し込む嵌入溝３が設 けられている。水切板４は、例えば１ｍｍ以下の薄い合成樹脂板から成り、基端 側はホルダー２の嵌入溝３に嵌入され、自由端側はその外面側がベルト２２の下 面に所定の傾斜角度θおよび所定の圧力によって接するようにホルダー２を介し て板バネ１に取付けられている。

【００１７】 図１（Ｂ）は、図１（Ａ）のＡ矢視方向から見た板バネ１に取付けられたホル ダー２および水切板４部分の説明図で、板バネ１は適宜の弾性を持たせるために 任意間隔をもって長形の抜取部５を設けてある。また、水切板４の長さは、図３ に示す水切りシール２８と同様に荷重支持部２４の幅よりやや長く形成されてい る。そして、この水切りシールは、ベルト２２の走行方向が逆転することもある ので、荷重支持部２４のベルト走行方向の前後および左右に設けられる。

【００１８】 以上、図１および図２に示した実施例においては、水切板４は、ホルダー２を 介して板バネ１に弾性的に取り付けた場合であるが、ホルダー２は水切板４の取 り替えに便ならしめるため設けたものであるから必ずしも必要でなく、板バネ１ に直接ネジ等で取り付けてもよい。また、板バネ１は必ずしも水受カバー３０に 設ける必要はなく、荷重支持部２４側に設けてよい。

【００１９】 また、水切板４のベルトに対する角度は、ベルトの波動に追従して水切り性能 を高めるためには、ベルトとの角度の一方が４５度が最も望ましいが、ベルトの 波動を考慮してプラス，マイナス５度の範囲であることが好ましい。特に、図１ に示すように、板バネ１および水切板４の外面側（荷重支持部と反対側）が４０ 〜５０度であることがベルトに付着した水を掻き落とすには最も好ましい。

【００２０】 なお、上記説明した実施例においては、板バネに直接又はホルダーを介して水 切板を取り付けて構成した水切りシールを１個設けた場合であるが、更に水切り 性能を向上させるためには、この水切りシールを複数個並設すればよい。例えば 図１の水切板の左側又は右側にもう１個又はそれ以上の水切板と、この水切板を 支持する板バネとを設ければ、荷重支持部に近い方の水切りシールでシールでき なかった水を次の水切りシールで完全にシールすることができる。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は、以上のように水切板４がベルト２２と所定の角度をもって板バネ１ に取付けられ、この板バネの弾性力によって所定の接触圧をもって接するように しているので、荷重支持部２４のベルト対向面に大量の水が供給されても、又小 量の水がベルトの走行に誘導されてベルトの下面に付着して前方に流出しようと しても、この水切板で水受カバー内にかき落されて回収され外部に流出しない。 また、長期の運転により水切板が摩耗して取替える必要が生じたときは、水切板 をホルダーから簡単に引き抜き、新たな水切板をホルダーの嵌入溝に差し込むだ けでよいので取替作業が極めて簡単であり、更に、ベルトが波打ってもこれに追 従しベルトに常に接しているので、外部への流出は生じない。また、フェルトの ように繊維質のものは使用しないので、水に不純物が混入することがないので、 水の取替え回数も少なくて済み、また特別の濾過機を必要としない等種々の効果 を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の説明図で、（Ａ）は要部の
断面図、（Ｂ）は図１（Ａ）のＡ矢視図。

【図２】ベルト走行路用荷重支持装置の基本構成図。

【図３】図２の平面図。

【符号の説明】

１…板バネ ２…ホルダー ３…嵌入溝 ４…水切板 ２２…ベルト ２４…荷重支持部 ３０…水受カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 御室 哲志 東京都港区芝五丁目33番８号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)考案者 上田 光郎 東京都品川区大崎２丁目１番17号 株式会 社明電舎内

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２つの回転ドラム間に張設されて走行す
   る無端ベルトを、そのベルトの中間部上面に加わる荷重
   をベルトの下面で支える支持装置であって、そのベルト
   との対向面に複数の出水口を設け、且つ前記ベルトの下
   面側で荷重支持部の前後・左右側に水切りシールを備
   え、前記出水口に液体を供給してベルトの荷重を支持す
   る荷重支持装置において、前記水切りシールの内、少な
   くとも前後方向の水切りシールの水切板を、前記ベルト
   の下面と所定の傾斜角度をもって板バネに弾性支持した
   ことを特徴とするベルト走行路用荷重支持装置。
2. 【請求項２】 前記水切りシールの内、少なくとも左右
   側の水切りシールの水切板を、前記ベルトの下面と所定
   の傾斜角度をもって板バネに弾性支持したことを特徴と
   するベルト走行路用荷重支持装置。
3. 【請求項３】 前記水切りシールを複数個並設したこと
   を特徴とする請求項１又は２記載のベルト走行路用荷重
   支持装置。
4. 【請求項４】 前記水切板を、挿脱自在にホルダーを介
   して板バネに取り付けたことを特徴とする請求項１、２
   又は３記載のベルト走行用荷重支持装置。
5. 【請求項５】 板バネの基端側を固定し、自由端側をベ
   ルトの下面と所定の傾斜角度をもって対向させたことを
   特徴とする請求項１、２、３、４又は５記載のベルト走
   行用荷重支持装置。
6. 【請求項６】 水切板の外面側とベルトとの傾斜角度を
   ４０度〜５０度の範囲としたことを特徴とする請求項
   １、２、３又は４記載のベルト走行用荷重支持装置。
7. 【請求項７】 板バネの基端側を水受カバーに固定した
   ことを特徴とする請求項１、２、３、４又は５記載のベ
   ルト走行用荷重支持装置。