JPH0412336Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は石油等の液体燃料を気化させ、燃焼さ
せる液体燃料燃焼装置に関する。

〈従来の技術〉 従来におけるこの種液体燃料燃焼装置として、
例えば第３図に示す装置がある。この装置は気化
器１の上部仕切板２の中央に整流筒３を設け、こ
の整流筒３の上に多数の小径貫通孔を形成した部
材４を設け、整流筒３を通つてくる上昇気流を前
記部材４で一旦下降流とし、側方部に設けた炎孔
５から出して燃焼させるようにしたものである。
上部開口は蓋６で閉止されている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところが上記の装置では前記貫通孔を形成した
部材４による気流の下方への案内及び気化燃料の
整流、均圧化が未だ不十分で、また前記部材４通
過後炎孔５までの気流調整がなられておらず、特
に小燃焼時における火炎調節がうまくできない欠
点があつた。また燃焼音の問題や火炎脈動の問題
があつた。そしてこれらの問題は気化器の内空が
中心軸のまわりに対称性を失つた、すなわち歪ん
でいる場合には一層生じやすくなる。がそのよう
な対称性のない気化器の必要性は今後増々生じて
くる。

〈目的〉 そこで本考案は上記従来技術の欠点を解消し、
気化燃料の均圧化、整流化を促進し、またそれに
よつて燃焼音の低減、火炎脈動の抑制を図り、燃
焼の絞り調節が小燃焼に至るまで良好に行える液
体燃料燃焼装置に関する。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案の液体燃料燃焼装置は、水平断面が略正
方形状の気化空間Ｘを有する下半部と該下半部よ
りも大径にされた円筒状の上半部とを有する気化
器１と、該気化器１の前記下半部と上半部とを仕
切る仕切板２と、該仕切板２の中央部を貫通して
取り付けられる整流筒３と、前記気化器１の前記
円筒状の上半部内に伏せた形で収容配置されて前
記仕切板２との間に空間を構成する炎孔カップ２
０と、該炎孔カップ２０と仕切板２との間の空間
内に配置されて前記整流筒３から上向きに入つて
くる気化燃料を放射方向から下向き方向、放射方
向、上向き方向へと前記炎孔カップ２０の炎孔２
３へ向けて導くジグザグ通路を構成する整流カツ
プ３０と、前記炎孔カップ２０の上面及び裏面に
設けられる保炎用金網１０，１１に加えて前記炎
孔カップ２０と整流カツプ３０との間の空間に設
けられる整流金網１２と、前記気化器１の底壁を
貫通して中心軸上に立設されると共に前記炎孔カ
ップ２０と整流金網１２と整流カツプ３０をそれ
らの中心部分で固定する筒体９とを有することを
特徴としている。

〈作用〉 整流筒３から上向きに入つてきた気化燃料は放
射方向にジグザグに導かれた後、上方の炎孔カッ
プ２０に到達し、燃焼に供される。また更に炎孔
カップ２０に到達する前には整流金網１１で整流
される。即ち気化燃料は先ず整流筒３で整流さ
れ、次にジグザグ通路を通る間に、その十分な滞
留時間によつて動圧成分が抑制され、また十分に
均圧、均質に拡散される。そしてさらに整流金網
１１によつて最終調整がなされる。よつて炎孔カ
ップ２０の炎孔からは十分に均圧、整流された気
化燃料が均等量で吐出せられる。また、炎孔カッ
プ２０上での燃焼炎は周囲を囲繞する気化器上半
部によつて周囲からの悪影響を防止される。よつ
て全体として火炎脈動や燃焼音が低減され燃焼調
節が広範囲に良好に行える燃焼を達成できる。ま
た囲繞された気化筒上半部によつて燃焼熱の放散
が防止される。また気化器下半部は上半部に比べ
て径が小さいので気化が効率良く行える。さら
に、気化器１の中心軸上に立設される筒体９に対
して炎孔カップ２０や整流カツプ３０や整流金網
１２を中心部で固定できるので取り付けが安定す
る。しかも筒体９は気化器１の底壁を貫通して中
心軸上に立設しているので２次空気を燃焼部の中
心部から供給する２次空気供給筒を兼用すること
も可能である。

〈実施例〉 第１図は本考案実施装置の構成を示す断面図、
第２図は気化器の平面図である。

気化器１の上半部と下半部とが仕切板２で仕切
られている。気化器１の下半部は上半部に比べて
小径とすると共にその内空を略正方形状の水平断
面を有する気化空間Ｘとしている。また上半部は
円筒状としている。前記仕切板２の中央に整流筒
３が貫通して設けられている。前記気化器１の下
半部の気化空間Ｘには石油等の液体燃料の吐出ノ
ズル７が臨み、また混合用の１次空気導入路８が
接続されている。前記気化器１の上半部開口内に
は炎孔カップ２０が伏せられた形で収容配置さ
れ、該炎孔カップ２０の天井部２２の中心で筒体
９に固定されている。炎孔カップ２０の側周壁２
１はその下端部で気化器１の段部に着座した形で
固定されている。この炎孔カップ２０と前記仕切
板２とでその内部に空間が形成される。前記筒体
９は気化器１の底壁を貫通して中心軸上に立設さ
れており、その内孔を通して燃焼用２次空気を炎
孔カップ２０上の燃焼域中央に供給することが可
能である。前記炎孔カップ２０の天井部２２に炎
孔２３が設けられる。また炎孔カップ２０の上面
側には天井部２２上面から側周壁２１にかけて保
炎用の金網１０が設けられ、また天井部２２の裏
面にも保炎用の金網１１が設けられている。前記
炎孔カップ２０と仕切板２で囲まれた空間に、今
１つの整流カツプ３０を設けている。整流カツプ
３０は伏せられた状態で配置され、その天井部３
１で前記筒体９に嵌合固定されている。そして前
記整流カツプ３０の側周壁３２により空間を放射
方向を二分している。そして側周壁３２の下端部
は、例えば外向きのフランジ３３とされ、該フラ
ンジ３３と前記仕切板２との間にオリフイスを形
成している。１２は前記オリフイスを超えて再び
上昇してゆく気化燃料を炎孔２３に達する前に最
終的に整流する整流金網である。

気化器１内下半部で気化された燃料は前記整流
筒３を通つて上昇し、整流筒３を出た気化燃料は
整流カツプ３０の天井部３１でその流れを止めら
れ、隙間Ａを通つて横方向へ放出状にガイドされ
る。そして気化燃料は整流筒３の側周壁と整流カ
ツプ３０の側周壁３２の間を下方にガイドされ
る。そしてさらに気化燃料は整流カツプ３０の下
端と仕切板２との隙間Ｂを側方へガイドされた
後、再び整流カツプ３０の側周壁３２と炎孔カッ
プ２０の側周壁２１の間を上昇し、整流金網１２
を通過して炎孔２３へ導かれる。前記隙間Ａ，Ｂ
の通路断面積は整流筒３の通路断面積の1/1.5以
下が好ましく、また隙間Ｃの通路断面積は隙間Ｄ
の1/4以下が好ましい。

以上のように構成することにより、炎孔カップ
２０と仕切板２で囲まれた空間が、整流筒３内に
区画される空間と、整流筒３と整流カツプ３０と
仕切板２とで区画される空間と、整流カツプ３０
と炎孔カップ２０とで区画される空間との３区画
に区分され、それらの空間を気化燃料がジグザグ
に移動する間に滞留時間が長くなり、気流の動圧
成分が抑制される。また通路が途中で絞られたり
開放されたりすることにより、気化燃料が均圧、
均質に拡散される。そして、均圧、均質になされ
た気化燃料はさらに最終的に整流金網１２を通つ
て整流され、炎孔２３へ導かれる。一方、炎孔２
３での燃焼炎は表裏の金網１０，１１で保炎され
ると共に、燃焼炎が乱されたりするのが周囲を囲
繞する気化器１上半部によつて防止され、また気
化器１上半部の囲繞により燃焼熱が放散するのが
防止される。また前記筒体９によつて燃焼カツプ
２０や整流金網１２や整流カツプ３０をその中心
部分で確実に固定することができる。と同時に筒
体９の内孔を利用して燃焼用の２次空気を燃焼領
域の中央からも供給することが可能となる。さら
に気化器１下半部の気化空間Ｘの径を上半部に比
べて小さくしたので、気化効率が良くなる。そし
て前記気化空間Ｘの形状を、気化器１の気化性能
の観点等から水平断面から略正方形状とし、中心
軸の回りに対称でないものにした場合でも、それ
によつて生じる発生気化燃料の不均質はその後に
おいて上記で説明した構造内を通過する間に十分
に是正される。

〈効果〉 本考案は以上の構成よりなり、整流カツプ３０
等によるジグザグ通路の形成によつて気化燃料の
均圧化、均質化を図れると共に整流金網１２で気
化燃料の流れを最終調整でき、さらに炎孔カップ
２０を気化器１上半部内に収容して囲繞すること
により燃焼炎を周囲の影響から保護することがで
き、よつて炎孔からの燃焼が安定し、脈動燃焼や
燃焼音の発生が低減される。また強から弱までの
燃焼調整が容易になる。

また気化器１上半部内に炎孔カップ２０が収容
された形であるので、燃焼熱の側方への放散が防
止され、熱効率が向上する。

さらに気化器１の底壁を貫通して中心軸上に立
設される筒体９によつて炎孔カップ２０、整流カ
ツプ３０、整流金網１２等を中央部で確実に固定
することができると共に該筒体９の内孔を通して
燃焼用の２次空気を燃焼領域の中心部へ供給する
ことも可能となる。

さらにまた、気化器１はその下半部を上半部よ
りも小径にしているので、上半部にある燃焼部の
領域を十分確保しつつ、且つ気化効率を上げるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施装置の構成を示す断面図、
第２図は気化器の平面図、第３図は従来装置の断
面図である。 １……気化器、２……仕切板、３……整流筒、
２０……炎孔カップ、２１……炎孔カップの側周
壁、２２……炎孔カップの天井部、２３……炎
孔、３０……整流カツプ、３１……整流カツプの
天井部、３２……整流カツプの側周壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水平断面が略正方形状の気化空間Ｘを有する下
   半部と該下半部よりも大径にされた円筒状の上半
   部とを有する気化器１と、該気化器１の前記下半
   部と上半部とを仕切る仕切板２と、該仕切板２の
   中央部を貫通して取り付けられる整流筒３と、前
   記気化器１の前記円筒状の上半部内に伏せた形で
   収容配置されて前記仕切板２との間に空間を構成
   する炎孔カップ２０と、該炎孔カップ２０と仕切
   板２との間の空間内に配置されて前記整流筒３か
   ら上向きに入つてくる気化燃料を放射方向から下
   向き方向、放射方向、上向き方向へと前記炎孔カ
   ップ２０の炎孔２３へ向けて導くジグザグ通路を
   構成する整流カツプ３０と、前記炎孔カップ２０
   の上面及び裏面に設けられる保炎用金網１０，１
   １に加えて前記炎孔カップ２０と整流カツプ３０
   との間の空間に設けられる整流金網１２と、前記
   気化器１の底壁を貫通して中心軸上に立設される
   と共に前記炎孔カップ２０と整流金網１２と整流
   カツプ３０をそれらの中心部分で固定する筒体９
   とを有することを特徴とする液体燃料燃焼装置。