JPH04122010A - 人工格子めっき膜およびその製造方法 - Google Patents

人工格子めっき膜およびその製造方法

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JPH04122010A
JPH04122010A JP2243434A JP24343490A JPH04122010A JP H04122010 A JPH04122010 A JP H04122010A JP 2243434 A JP2243434 A JP 2243434A JP 24343490 A JP24343490 A JP 24343490A JP H04122010 A JPH04122010 A JP H04122010A
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plating
thin film
film
artificial lattice
magnetic
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JP2243434A
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English (en)
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Satoru Araki
悟 荒木
Osamu Shinoura
治 篠浦
Yoshikazu Narumiya
成宮 義和
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices

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  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、液相めつき法により形成された金属または合
金の薄膜が積層された人工格子めっき膜およびおよびそ
の製造方法に関し、特に、磁気抵抗効果を有する人工格
子めっき膜およびその製造方法に関する。
〈従来の技術〉 金属の原子径オーダーの厚さの薄膜が周期的に積層され
た構成をもつ人工格子は、バルク状の金属とは異なった
特性を示すために、近年注目されるようになってきた。
このような人工格子の1種として、単結晶基体上に強磁
性金属薄膜と反強磁性金属薄膜とを交互に積層した磁性
多層膜があり、これまで、鉄−クロム型、ニッケルーク
ロム型および鉄−マンガン型(特開昭60−18990
6号公報)等の磁性多層膜が知られている。
また、鉄−クロム型については、極低温(4,2K)に
おいて40%を超える磁気抵抗変化を示すという報告も
ある(フィジカル・レビュー・レター161巻、247
2ページ、1988年)。
これらの磁性多層膜の主な用途は磁気抵抗効果素子(M
R素子)であり、各種磁気センサ(MRセンサ)や磁気
ヘッド(MRヘッド)などへの適用が可能である。
MR素子は、磁場印加による磁性膜の電気抵抗変化を検
出して磁界強度やその変化を測定するものであり、一般
に、室温における磁気抵抗変化率が大きく、動作磁界強
度が小さいことが要求される。
MR素子の磁性膜としては、従来、異方性磁気抵抗効果
を利用するFe−Ni合金やCo−Ni合金の単層磁性
膜が用いられている。
しかし、Fe−Ni合金やCo−Ni合金の単層磁性膜
では、動作磁界強度は小さいが磁気抵抗変化率が2〜3
%と小さい。
また、上記した鉄−クロム型磁性多層膜は、磁気抵抗変
化率は大きいものの動作磁界強度が20 kOe程度と
極めて大きいため、MR素子としての実用化が困難であ
る。
本発明者らは、磁気抵抗変化率が大きく、しかも動作磁
界強度を小さ(できる磁性多層膜として、「基体上に、
2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して積層されてお
り、隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保磁力と異な
る保磁力を有する磁性薄膜が存在し、磁性薄膜の厚さお
よび非磁性薄膜の厚さがそれぞれ200Å以下であるこ
とを特徴とする磁性多層膜」 (特願平2−15566
5号)および「基体上に、2層以上の磁性薄膜が非磁性
薄膜を介して積層されており、隣り合う少なくとも一方
の磁性薄膜の保磁力および厚さとそれぞれ異なる保磁力
および厚さを有する磁性薄膜が存在し、磁性薄膜の厚さ
および非磁性薄膜の厚さがそれぞれ200Å以下である
ことを特徴とする磁性多層膜」(特願平2−15694
3号)を提案している。
〈発明が解決しようとする課題〉 上記した各種人工格子を作製する際には、通常、各薄膜
はスパッタや蒸着法等の気相めっき法により形成される
しかし、気相めっき法では、超高真空が必要とされるた
め、設備コストが高く、量産性がない。
なお、人工格子を気相めっき性態外の方法により製造す
る提案は、汎えばMat、 Res、 Soc。
Symp、Proc、Vol、132.1989 Ma
terials Re5earchSocietyの第
219〜224ページに記載されている。
この提案では、電気めっき法により薄膜を積層して人工
格子を製造しているが、析出電位の異なる2種の金属を
一浴中で電気めっき法により積層する場合、同提案に示
されるように各金属の析出電位に応じた電圧を交互に印
加する必要がある。
ただし、このように変化する電圧を印加する電源の汎用
品はないため特別に製造しなければならず、コスト高を
招く。
また、この方法では、析出電位がある程度離れている金
属を用いる必要があり、積層可能な組成の組み合わせが
限られてしまう、 上記した特願平2−155665号
に記載されている磁性多層膜では、組成の異なる3種以
上の薄膜を積層する必要があるため、この方法を適用す
ることは殆ど不可能である。
本発明はこのような事情からなされたものであり、磁気
抵抗変化率が大きく、しかも動作磁界強度を小さ(でき
る人工格子を、設備コストが低(量産性が高い液相めっ
き法を用いて実現することを目的とし、また、好ましく
は、このような人工格子を複雑な電位制御を行なうこと
なく実現することを目的とする。
〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明によ
り達成される。
(1)液相めつき法により形成された金属または合金の
薄膜が基体上に積層された人工格子めっき膜であって、 2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して積層されてお
り、隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保磁力と異な
る保磁力を有する磁性薄膜が存在することを特徴とする
人工格子めっき膜。
(2)無電解めっき法により形成された薄膜および/ま
たは置換めっき法により形成された薄膜を有する上記(
1)に記載の人工格子めっき膜。
(3)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
無電解めっき法により形成された薄膜が存在する上記(
2)に記載の人工格子めっき膜。
(4)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
置換めっき法により形成された薄膜が存在する上記(2
)に記載の人工格子めっき膜。
(5)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
電気めっき法により形成された薄膜が存在する上言己(
2)に記載の人工格子めっき膜。
(6)置換めっき法により形成された薄膜に隣接して電
気めっき法により形成された薄膜が存在する上記(2)
に記載の人工格子めっき膜。
(7)置換めっき法により形成された薄膜に含有される
金属の析出電位が、電気めっき法により形成された薄膜
に含有される金属の析出電位よりも0.3v以上高いも
のである上記(6)に記載の人工格子めっき膜。
(8)前記薄膜の厚さが200Å以下である上記(1)
ないしく7)のいずれかに記載の人工格子めっき膜。
(9)上記(1)ないしく8)のいずれかに記載の人工
格子めっき膜を製造する方法であって、 液拒めつき法により薄膜を形成する際に、高速めっき法
を用いることを特徴とする人工格子めっき膜の製造方法
(10)上記(6)または(7)に記載の人工格子めっ
き膜を製造する方法であって、析出電位の異なる2種の
金属のイオンを含有するめつき浴を用い、より低い析出
電位を有する金属を含有する薄膜を電気めっき法により
形成し、より高い析出電位を有する薄膜を置換めっき法
により形成することを特徴とする人工格子めっき膜の製
造方法。
く作用〉 本発明の人工格子めっき膜は、液相めつき法により形成
された金属または合金の薄膜が基体上に積層された構成
を有する。 このため、気相めっき法に比べ設備コスト
が低く、また、量産性が高い。
そして、本発明の人工格子めっき膜の好ましい態様では
、無電解めっき法により形成された薄膜および/または
置換めっき法により形成された薄膜を有する。
本発明における各薄膜の好ましい組み合わせ態様は、下
記のとおりである。
(I)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
無電解めっき法により形成された薄膜が存在する人工格
子めっき膜 (II)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接し
て置換めっき法により形成された薄膜が存在する人工格
子めっき膜 (III)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接
して電気めっき法により形成された薄膜が存在する人工
格子めっき膜 (IV)置換めっき法により形成された薄膜に隣接して
電気めっき法により形成された薄膜が存在する人工格子
めっき膜 上記各態様では、隣接する2層の薄膜のうち少なくとも
一方の形成に無電解めっき法または置換めっき法を用い
、隣接する両薄膜を連続して電気めっき法により形成す
ることがないので、電位を周期的に変えるための特殊な
電源を必要としない。
そして、態様(I)および(n)では、薄膜を無電解め
っき注または置換めっき法により形成するので、人工格
子を構成する200人程度量下の厚さにおいて、電気め
っき法に比べ、より均質な膜が得られ、特に無電解めっ
き法では、電気めっき法より緻密な膜が得られる。
また、これらの態様では各薄膜は別個の洛中にて形成さ
れるが、無電解めっき法および置換めっき法では電気め
っき法と異なり電気接点を必要としないので、めっき俗
間の移動が容易であり生産性に優れる。 さらに、これ
らのめつき法では電流分布がないので、大面積で均質な
膜が得られる。
また、態様(I)および(III)では、隣接する2層
の薄膜の析出電位の差を考慮することなく、めっき可能
なものから各薄膜の組成を選択して、自由に組み合わせ
ることができる。
さらに、態様(I)、(II)および(m)では、3種
以上の組成を用いた多層膜の形成が容易にできる。
態様(rV)では、隣接する2層の薄膜を同一めっき浴
中で形成することができ、生産性が高い。 具体的には
、析出電位の異なる2種の金属のイオンを含有するめっ
き浴を用い、より低い析出電位を有する金属を含有する
薄膜を電気めっき法により形成し、より高い析出電位を
有する薄膜を置換めっき法により形成する。 この方法
では、電圧印加が間欠的に行なわれ、電圧印加休止時に
置換めっきが行なわれることになる。 そして、この場
合、電圧印加時間や電圧印加休止時間を制御することに
より、同一組成で厚さの異なる薄膜を1層おきに有する
人工格子めっき膜を、極めて容易に形成できる。
以上説明したようなめつき法の組み合わせにより形成さ
れる本発明の人工格子めっき膜は、2層以上の磁性薄膜
が非磁性薄膜を介して積層されており、隣り合う少なく
とも一方の磁性薄膜の保磁力と異なる保磁力を有する磁
性薄膜が存在する構成を有する。 そして、このような
構成により、大きな磁気抵抗変化率および小さな動作磁
界強度が得られるものである。
本発明において隣り合う磁性薄膜の保磁力を異なるもの
とするには、磁性薄膜の組成および/または厚さを違え
るが、上記したように本発明では人工格子を構成する薄
膜の組成を広い範囲から選択でき、また、電気めっきを
用いる場合にも複雑な電位制御を行なう必要がないので
、隣り合う磁性薄膜の組成および/または厚さを異なる
ものとすることが容易にできる。
従って、本発明によれば、優れた磁気抵抗効果を有する
人工格子めっき膜を容易に得ることができる。
く具体的構成〉 以下、本発明の具体的構成について、詳細に説明する。
なお、以下の説明において単に薄膜と記載しである場合
は、磁性薄膜および非磁性薄膜のいずれであってもよい
ことを意味する。
本発明の人工格子めっき膜は、液相めっき法により形成
された金属または合金の薄膜が基体上に積層されたもの
であり、2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して積層
されており、隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保磁
力と異なる保磁力を有する磁性薄膜が存在する。
そして、好ましくは、無電解めっき法により形成された
薄膜(以下、無電解めっき薄膜という)および/または
置換めっき法により形成された薄膜(以下、置換めっき
薄膜という)を有する。
本発明の人工格子めっき膜の好ましい態様としては、上
記した(I)〜(TV)が挙げられる。 以下、各態様
毎に説明する。
聾1工n 【無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して無電
解めっき法により形成された薄膜が存在する人工格子め
つき膜] この態様では、各薄膜の組成に対応した複数の無電解め
っき浴を用い、組成の異なるめっき薄膜を積層する。 
従って、組成の異なる3種以上の薄膜の積層が容易であ
り、磁気抵抗効果を有する人工格子としての設計の自由
度が高い。
1にL里工 [無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して置換
めっき法により形成された薄膜が存在する人工格子めっ
き膜] この態様では、無電解めっき浴と置換めっき浴とを用い
、無電解めっき薄膜形成後、めっき浴を換えて置換めっ
き薄膜を形成する。
置換めっき法は、被めっき物の金属よりも責な金属のイ
オンを含有するめつき浴を用い、被めっき物をめっき洛
中に溶出させ、換わりに責な金属を被めっき物上に析出
させるものである。
この態様の場合、通常、無電解めっき薄膜が被めっき物
である。 置換めっき法により無電解めっき薄膜上に析
出する金属の析出電位は、無電解めっき薄膜から溶出す
る金属の析a電位よりも0.3V以上高いことが好まし
い、 無電解めっき薄膜が2種以上の金属を含む合金の
場合は、合金構成金属のうち最も析出電位の高い金属と
めっき洛中の金属とを比較したときに0.3V以上の差
があればよい。
なお、基体に最も近い薄膜を置換めっき薄膜とする場合
は、基体あるいは基体と置換めっき薄膜との間に設ける
下地膜が被めっき物となる。 そして、置換めっき薄膜
上に、無電解めっき薄膜を積層する。
無電解めっき浴の組成および置換めっき浴の組成な適当
に選択することにより、上記態様(I)と同様に、組成
の異なる3種以上の薄膜の積層を容易に行なうことがで
きる。
i監」皿上 [無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して電気
めっき法により形成された薄膜が存在する人工格子めっ
き膜] この態様では、無電解めっき浴と電気めっき浴とを用い
、無電解めっき薄膜形成後、めっき浴を換えて電気めっ
き薄膜を積層するか、あるいは電気めっき薄膜形成後、
無電解めっき薄膜を積層する。
この態様においても、無電解めっき浴の組成および電気
めっき浴の組成を適当に選択することにより、上記態様
(I)と同様に、組成の異なる3種以上の薄膜の積層を
容易に行なうことができる。
!1−L四二 [置換めっき法により形成された薄膜に隣接して電気め
っき法により形成された薄膜が存在する人工格子めっき
膜] この態様では、隣接する2層の薄膜を同一めっき洛中で
形成することができる。
具体的には、析出電位の異なる2種の金属のイオンを含
有するめつき浴を用い、より低い析出電位を有する金属
を電気めっき法により析出させ、より高い析出電位を有
する薄膜を置換めっき法により析出させる。
この場合、電流遮断時に置換めっきが行なわれるので、
電圧を間欠的に印加することにより、電気めっき薄膜と
置換めっき薄膜を交互に積層することができ、複雑な電
圧制御を行なうことなく組成の異なる2種の薄膜の積層
を行なうことができる。
なお、このような方法の他、置換めっき浴と電気めっき
浴を独立して設けて各めっきを行なうこともできる。 
この場合、2種以上の置換めっき浴を用いることにより
、上記態様<I)と同様に、組成の異なる3種以上の薄
膜の積層を容易に行なうことができる。
態様(IV)では、通常、電気めっき薄膜が置換めっき
法にお↓する被めっき物となる。 置換めっき法により
電気めっき薄膜上に析aする金属の析出電位は、電気め
っき薄膜から溶出する金属の析出電位よりも0.3V以
上高いことが好ましい、 電気めっき薄膜が2種以上の
金属を含む合金の場合は、合金構成金属のうち最も析出
電位の高い金属と析出する金属とを比較したときに0.
3V以上の差があればよい。
なお、基体に最も近い薄膜を置換めっき薄膜とする場合
は、基体あるいは基体と置換めっき薄膜の間に設ける下
地膜が被めっき物となる。
本発明では、以上説明した態様(I)〜(TV)を組み
合わせることも好ましい。 例えば、無電解めっき法、
置換めっき法および電気めっき法を用いて組成の異なる
3種以上の薄膜を積層してもよく、無電解めっき薄膜を
2層以上積層した積層体と電気めっき薄膜や置換めっき
薄膜とを積層した構成の人工格子めっき膜としてもよい
すなわち、この他の組み合わせであっても、上記した態
様(1)〜(IV)の効果のいずれかが利用できるもの
であれば好ましい組み合わせである。
なお、本発明では、電気めっき薄膜が2層以上連続して
形成されていてもよ(、この場合でも液相めつき法を用
いることの効果、すなわち設備コストが低く量産性が高
いという効果は実現する。 この場合、前述したように
、めっき浴を1種だけ用いて各金属の析出電位に応じた
電圧を交互に印加して薄膜を積層してもよく、また、2
種以上の電気めっき浴を用い、めっき浴を換えて各薄膜
を積層してもよい。
ただし、上記各態様のように電気めっき薄膜が2層以上
連続して積層されていない場合、複雑な電圧印加を行な
う必要がなく、また、めつき塔間を移動するたび毎に電
気接点の接続を行なう必要がな(なり、生産性は著しく
向上する。
本発明の人工格子めっき膜の各薄膜を構成する金属や合
金は、各めっき法で成膜可能な金属や合金から、磁性薄
膜や非磁性薄膜として好ましい特性を有するものを適宜
選択すればよい。
例えば、無電解めっき法で成膜可能な金属としては、C
u、Ni%Co、Ag、Au、Sn%Pt、Rh%Pd
、In等の比較的電位の高い金属が挙げられ、また、こ
れらの金属同士の合金も成膜可能である。 さらに、こ
れらの金属は、B、Mo、P、W%Zn%Mn。
Sb、Ga等の1種以上の共析も可能であるので、上記
金属あるいは上記金属同士の合金とこれらの元素の1種
以上との合金も成膜可能である。
置換めっき法で成膜可能な金属としては、無電解めっき
薄膜や電気めっき薄膜、基体、基体上の下地膜などの被
めっき物に含有される金属よりも責な金属であり、被め
っき物の組成にもよるが、例えば、Cu、Pt%Rh、
Pd、In、Au等であり、また、これらの金属のうち
、析出電位の近いもの同士の合金も成膜可能である。
薄膜積層体が形成される基体の材質に特に制限はなく、
用途等に応じて、例えば、酸化マグネシウム、ガラス、
けい索車結晶、チタン酸ストロンチウム単結晶、ガリウ
ムーヒ素単結晶、あるいは銅、鉄、コバルト等の金属単
結晶など、通常の人工格子に用いられる基体材質から適
宜選択すればよい。 また、基体の寸法も用途に応じて
適宜決定すればよい。
なお、基体に導電性がない場合には、薄膜との間に必要
に応じて下地膜を設けてもよい。
下地膜としては、Au、Cu、Ag、Pd、パーマロイ
、pt等の薄膜が好ましく、その厚さは500人程度量
下、特に200Å以下であることが好ましい。 下地膜
は、MBE法等の真空成膜法により形成することが好ま
しい。
このような下地膜を設けろことにより、めっき薄膜の成
長をより均質なものとすることができ、また、基体に導
電性を付与することもできる。
以下、本発明の人工格子めっき膜の製造方法について説
明する。
めっき膜が形成される基体には、必要に応じて前記した
ような下地膜が設けられる。 次いで、基体は酸洗され
て表面が活性化され、さらに純水で水洗された後、めっ
き膜が形成される。 なお、酸洗および水洗は、室温に
て行なうことが好ましい。
本発明において用いる無電解めっき浴の組成に特に制限
は(、薄膜組成に応じて通常の無電解めっき浴から適宜
選択すればよい。
例えば、析出金属源としての各種金属塩と、これを還元
析出させるための各種還元剤とを主成分とし、さらに、
pH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤、改良剤
等の各種補助成分を含む無電解めっき浴を用いる。
無電解めっき浴のpHや温度等の各種条件は、浴組成等
に応じて適当な値を選択すればよい。
置換めっき浴としては、例えば、析出金属源としての各
種金属塩を主成分とし、さらに必要に応じて、過硫酸ア
ンモニウム、硝酸第一タリウム等の置換性向上剤や、塩
化ナトリウム等の導電助剤などの各種補助成分を含むも
のを用いる。
また、上記した態様(rV)を含む構成の人工格子めっ
き膜、すなわち、電気めっき薄膜に隣接して置換めっき
薄膜を設ける態様において、−浴中で電気めっきと置換
めっきを連続して行なう場合に用いるめっき浴としては
、析出電位の異なる2種の金属のイオンを含有するもの
を用いる。 この態様では、より低い析出電位を有する
金属が電気めっき法により析出し、電圧印加を休止して
いるときに、より高い析出電位を有する金属が1換めっ
き法により析出する。
電圧印加をパルス状に行なえば、所望の積層数の人工格
子めっき膜を形成することができる。
なお、この態様では、電気めっき法により合金を成膜す
ることができる。
上記態様(TV)以外では、薄膜を1層成膜する毎にめ
っき浴を換えるが、めっき浴を換える際に基体は純水に
て水洗されることが好ましい、 水洗は室温にて行なう
ことが好ましい。
なお、置換めっき法を用いる態様では、被めっき物中の
金属とめっき浴中の金属が置換し、被めっき物の厚さが
減少するので、被めっき物となる無電解めっき薄膜や電
気めっき薄膜等は、厚さ減少分を見込んだ厚さに成膜す
ることが好ましい。
また、析出電位の異なる2種以上の金属イオンを含有す
るめつき浴に錯化剤を添加することにより、各金属イオ
ンの析出電位を同程度とすることができるので、無電解
めっき法や電気めっき法により合金を成膜する場合に錯
化剤の添加は有用である。
薄膜の形成速度、すなわちめっき速度は、用いるめっき
法によっても異なるが、通常、50〜1000人/ m
 i n程度とすることが好ましい。
本発明では、各めっき法を用いる際に、高速めっき法を
利用することが好ましい。
高速めっき法は、一般に電気めっき法において用いられ
る手法であり、陰極(被めっき物)近傍でめっき浴を強
制流動させ、これにより陰極表面付近の拡散層の形成を
阻害して、陰極表面に金属イオンを十分に供給する方法
である。
本発明では、このような高速めつき法を、電気めっき法
、無電解めっき法および置換めっき法のいずれにも適用
することが好ましい。 これらのめつき法では、金属の
析出に伴い基体近傍の金属イオン濃度が不均一となって
めっき膜がクラスクー状に成長する傾向があり、本発明
の人工格子めっき膜を構成する各薄膜は上記したように
極めて薄いので5場合によっては膜状とならないことも
ある。 しかし、高速めっき法では、基体近傍のめっき
浴を強制流動させるので、基体近傍において金属イオン
濃度が不均一となることが殆どなくなる。
高速めっき法としては、基体に対しめつき液を相対的に
強制流動させながらめっきを行なうか、めっき薄膜表面
を摩擦しながらめっきを行なう方法を用いることが好ま
しく、特に、めっき液を強制流動させる方法が好ましい
また、これらの方法を併用することも好ましい。
そして、これらの方法を用いた際の基体に対するめっき
液の流速は、0.5m/s以上、特に5〜300 m 
/ sとすることが好ましい。
このような範囲で基体に対してめっき液を相対的に流動
させることにより、めっき薄膜の均質性は著しく向上す
る。
より具体的に説明すると、高速めっき法としては、平行
流法、ジェット流法、超音波照射法、電極振動法、電極
の高速回転法、めっき中に電極面を摩擦する方法等を用
いることが好ましい。
平行流法は、電気めっき法に適用することが好ましい、
 この方法では、陽極と陰極(基体)の間隔を狭(保ち
、その間隙のめつき液を高速度で流動させる。 なお、
無電解めっき法に適用する場合には、陽極のかわりにテ
フロン板等を基体に対向して配置し、これらの間隙のめ
っき液を高速度で流動させればよい。 平行流法を本発
明の人工格子めっき膜形成に適用する場合、めっき液の
流動速度は0.5m/s程度以上とすることが好ましい
ジェット流法は、いずれのめっき法にも適用することが
できる。 この方法は、ノズルから基体に向けてめっき
液をジェット流状に噴射するものである。 ノズルおよ
び基体は、めっき洛中にあってもよく、めっき浴外にあ
ってもよい。 ジェット流法を本発明の人工格子めっき
膜形成に適用する場合、層流に近い流れが望ましいため
、基体の中央付近にノズルを配置するのではなく、基体
の端部付近あるいは基体の保持仏付近にノズルを配置し
、その位置からめつき液を噴射して、基体上に高速かつ
一定方向の流れを形成することが好ましい。
超音波照射法は、いずれのめつき法にも適用することが
できる。 この方法は、基体に超音波を照射し、基体付
近のめっき液を撹拌するものである。 超音波照射法を
本発明の人工格子めっき膜形成に適用する場合、振動数
は500MHz以上とすることが好ましい。
電極振動法は、いずれのめっき法にも適用することがで
きる。 この方法では、基体を振動させながらめっきす
る。 本発明の人工格子めっき膜形成に適用する場合、
基体の振幅は0.05〜ls+m程度、振動数は100
Hz−10kHz程度とすることが好ましい。
電極の高速回転法は、いずれのめっき法にも適用するこ
とができる。 この方法は、基体を回転させながらめっ
きを行なうものであり、円板や円筒などのように軸対称
形状を有する基体に対して有用である。
めっき中に電極面を摩擦する方法は、いずれのめっき法
にも適用することができる。 この方法は、基体を絶縁
性物質で摩擦しながらめっきするものである。
なお、電気めっき法における高速めつき法は、「めっき
教本」 (電気鍍金研究金線 日刊工業新聞社発行)の
第184ページ〜第1894−ジに記載されている。
このようにして製造される本発明の人工格子めっき膜は
、基体上に2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して積
層されており、隣り合う少な(とも一方の磁性薄膜の保
磁力と異なる保磁力を有する磁性薄膜が存在するもので
あり、磁気抵抗効果を示す。
磁性薄膜の保磁力を異なるものとするためには、磁性薄
膜の組成を異なるものとしてもよく、磁性薄膜の厚さを
異なるものとしてもよい。 また、組成および厚さの両
方を異なるものとしてもよい。
このような構成により、極めて大きな磁気抵抗変化が得
られ、磁気抵抗効果素子として優秀な性能を示す。
本発明の人工格子めっき膜における磁気抵抗効果発現の
作用を説明する。
説明を簡単にするために、磁性薄膜M1、非磁性薄膜お
よび磁性薄膜M2がこの順に積層されている積層体につ
いて考える。
第1図は、M、およびM、のそれぞれのB−Hカーブを
示すグラフである。
MlおよびM、の保磁力は、それぞれHclおよびHc
2であり、Hcl< Hc2である。
まず、積層体に−Hwaxの外部磁界Hな印加し、次い
で外部磁界HをHw+axまで増加させ、さらにHa+
axから−Hwaxまで減少させると、M工およびM8
の磁化方向、すなわちスピンの方向は、下記表1に示さ
れるように変化する。
なお、表1では、MlおよびM、にそれぞれHmaxの
外部磁界を印加したときの磁化方向を十とし、−Hwa
xの外部磁界を印加したときの磁化方向を−とじた。
表 の変化 磁化方向 磁化方向 −Hmax−*   Hcl Hcl   −*   Hc2        +Hc
2  −=   Hmax       +     
   +Hwax  → −Hcl         
+          +−Hcl   −e−Hc2
                 +−Hc2  −
*−H+aax 上記表1に示されるように、外部磁界Hの変化がHcl
−eHc2のとき、および−Hcl→−Hc2のときは
、Mlの磁化方向がM、の磁化方向と逆になる。
そして、MIの磁化方向がM2の磁化方向と逆向きであ
ると、すなわち、Mlにおけるスピンの向きがM2にお
けるスピンの向きと逆である−と、この積層体に電流を
流したときに伝導電子がスピン散乱され、積層体の電気
抵抗が増加する。
上記構成を有する人工格子めっき膜では、磁化方向が逆
転するHcl付近において最も抵抗が大きくなるので、
Mlを保磁力の小さい材料で構成すれば、動作磁界強度
の極めて小さい磁気抵抗効果素子が実現する。
そして、M、JよびM□それぞれの保磁力を適宜選択す
ることにより、動作磁界強度を自在に設定することがで
きる。
MlとM8との間に存在する非磁性薄膜は、M、とM、
とに直接はたらく交換相互作用を調節する役割を果たし
、必須のものである。
非磁性薄膜が存在しないと磁性薄膜同士が接して存在す
ることになるので、交換相互作用によりあたかも1種類
の磁性薄膜のような振る舞いを示し、MIとM、との間
で上記したような磁化の逆転する関係が生じなくなり、
磁気抵抗効果は発現しない。
なお、第1図に示される2種のB−Hカーブは、それぞ
れMlおよびM2単独のものであり、実際に非磁性薄膜
を介してMrとM2とを積層すると、残存する相互作用
のために必ずしもHclやHc2において磁化の逆転が
生じるとは限らない。 残存する磁性薄膜間の相互作用
の程度は非磁性薄膜の厚さに依存するため、非磁性薄膜
の膜厚を変更することにより動作磁界強度を変更するこ
とができる。
以上の説明は非磁性薄膜を介して隣接する一対の磁性薄
膜についてのものであるが、3層以上の磁性薄膜が積層
されていて隣り合う磁性薄膜の保磁力が相異なっている
場合、非磁性薄膜を介して隣り合っている一対の磁性薄
膜の全てにおいて上記したような磁化方向の逆転が生じ
るので、磁気抵抗変化率の増強効果が得られる。
また、以上の説明では磁性薄膜として保磁力の異なる2
種類だけを用いているが、保磁力がそれぞれ異なる3種
以上の磁性薄膜を用いることにより、磁化方向が逆転す
る外部磁界強度を2箇所以上設定でき、動作磁界強度の
範囲を拡大することができる。
また、上記したような作用による磁気抵抗効果に、各磁
性薄膜そのものに生じる異方性磁気抵抗効果が加わるた
め、磁性薄膜を構成する材料に依存してさらに大きな磁
気抵抗変化率が得られることもある。
第2図は、非磁性薄膜を介して磁性薄膜M。
およびM2が積層された人工格子めっき膜に対し、外部
磁界Hな印加したときの抵抗Rの変化を模式的に示すグ
ラフである。
第2図において、R,およびR8はそれぞれM、および
M2の異方性磁気抵抗効果に起因する抵抗変化であり、
R3は、上記した磁化逆転に起因する抵抗変化である。
 なお、第2図では外部磁界Hを零から+Hcl側に印
加しているが、外部磁界Hを零から−Hcl側に印加し
ていくと、Rr  RaおよびR,は、第2図のR+ 
、R2sよびR3に対しそれぞれR軸に対称にあられれ
る。
上記した構成の人工格子めっき膜では、各磁性薄膜の保
磁力、その積層数、非磁性薄膜の厚さ等の各種条件を適
当に選択することにより、第2図に示されるHとRとの
関係を表わす曲線の形状を様々に変更することができる
ので、磁気抵抗変化率や動作磁界強度を種々選択でき、
設計の自由度が極めて高い。
なお、磁性薄膜M、およびM2を相異なる厚さとするこ
とにより、側皮性薄膜の保磁力を相異なる値に設定でき
る。 従って、この場合、M、の組成とM2の組成を同
一とすることができる。 側皮性薄膜の組成を同一とす
れば、製造が容易になり、低コストで製造可能となる。
磁性薄膜および非磁性薄膜は、前述したように液相めっ
き法により形成されるが、磁性薄膜の組成が2種類以上
であると、用いるめっき浴の数が増え、低コストにて成
膜することが困難となる。 従って、組成を変えずに厚
さを変更することで保磁力を相異なるものとすれば、上
記した磁気抵抗効果を有する人工格子めっき膜が低コス
トにて製造できる。
なお、側皮性薄膜の組成および厚さのいずれも相異なる
ものとすれば、保磁力の変更範囲が極めて広くなり、さ
らに設計の自由度が増す。
以下、磁性薄膜および非磁性薄膜の構成をさらに詳細に
説明する。
第3図は、本発明の人工格子めっき膜の好適実施例の断
面図である。
第3図において、人工格子めっきIllは、基体2上に
、磁性薄膜M、、 M* 、・・・ M、、−1。
M、、を有し、隣接する2層の磁性薄膜の間に、非磁性
薄膜N、 、N、、・・・ Nゎ−2、N11−1を有
する。
磁性薄膜M + 、M −、”’、M、−、、M、は、
磁性体から構成される。
人工格子めっき膜1には、隣り合う少なくとも一方の磁
性薄膜の保磁力と異なる保磁力を有する磁性薄膜が存在
する。 すなわち、隣り合う2層の磁性薄膜のベアのう
ち、保磁力の相異なるベアが存在する。
なお、非磁性薄膜を介して隣接する磁性薄膜のベアの全
てについてこのような関係が成り立つことが好ましい。
磁性薄膜に用いる磁性体に特に制限はな(、例えば、強
磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体および常磁性体から
選択でき、具体的には、Fe、Ni、Co等が好ましい
また、これらの元素を含む合金や化合物も好ましく用い
ることができる。 合金や化合物としては、例えば、F
e−NL、Fe−Co、Fe−Y、Fe−Mn、Co基
アモルファス合金、Co−Pt、Ni−Mn、Co−P
Co−8%N1−Fe−P、N1−Fe−B等が好まし
い。
磁性薄膜の厚さは200Å以下、好ましくは100Å以
下とする。 厚さが前記範囲を超えても効果の向上はみ
られず、また、コストの面からも不利である。
なお、磁性薄膜の厚さの下限は特にないが、厚さを4Å
以上とすれば、膜厚を均一に保つことが容易となり、膜
質も良好となる。 また、磁化量が小さくなりすぎるこ
ともなくなる。
各磁性薄膜の組成を同一とする場合、最も厚い磁性薄膜
の厚さを最も薄い磁性薄膜の厚さで除した値を1.“2
以上、特に1.5〜20とすることが好ましい、 膜厚
の比をこのような範囲とすることにより、実用的な磁気
抵抗効果が得られる。
なお、組成が同一の場合、通常、膜厚が薄いほど保磁力
は高(なるが、厚さの変化と保磁力の変化との関係は組
成によっても異なる。
各磁性薄膜の保磁力は、適用される素子における外部磁
界強度や要求される磁気抵抗変化率等に応じて例えば0
.001 0e 〜1’0kOe程度の範囲から目的に
応じて適宜設定すればよ(、特に制限はない。
また、例えば、磁性薄膜の保磁力が2種類である場合、
側皮性薄膜の保磁力の比は1.2〜50程度であること
が好ましい。
保磁力の比を小さく設定すれば、外部磁界変化に対する
抵抗変化を急峻にでき、比を大きく設定すれば、測定可
能な磁界強度範囲を広くできる。
なお、人工格子めっき膜中に存在する磁性薄膜の磁気特
性は直接測定することができないため、通常、下記のよ
うにして測定する。
測定すべき磁性薄膜を、磁性薄膜の合計厚さが200〜
400人程度になる度量非磁性薄膜と交互に積層して測
定用サンプルを作製し、これについて磁気特性を測定す
る。 この際、磁性薄膜の厚さ、非磁性薄膜の厚さおよ
び非磁性薄膜の組成は1人工格子めっき膜中におけるも
のと同じとする。
保磁力以外の磁気特性に特に制限、はないが、低保磁力
の磁性薄膜の角形比は0.9〜1.0であることが好ま
しい。
この理由は下記のとおりである。
本発明の人工格子めっき膜では、前述したように低保磁
力の磁性薄膜中のスピンを高保磁力の磁性薄膜中のスピ
ンと反平行な状態にし、伝導電子をスピン散乱させるこ
とにより電気抵抗を増加させている。
電気抵抗は、両磁性薄膜において互いに反平行状態にあ
るスピンの割合が高いほど太き(なる。
第1図において、低保磁力の磁性薄膜M1中のスピンは
外部磁界強度Hclで半数が反転しており、さらに外部
磁界強度を増加させると反転するスピンの割合が増加し
、M、においてスピンの反転が完了したとき、高保磁力
の磁性薄膜Ml中のスピンと反平行な状態であるものの
割合が最も高くなる。
そして、M、の角形比が高いほど全スピンの反転が速や
かに完了する。 すなわち、Hclに極めて近い磁界強
度でMr中のスピンの反転が完了することになる。
一方、高保磁力の磁性薄膜M2では、Hc2においてス
ピンの半数が反転しているが、Hc2以下でもスピンの
反転は生じており、Hcl→Hc2にかけて反転したス
ピンの割合は増加する。
すなわち、M、中では、Hcl−=Hc2にかけて、M
1中の反転したスピンと平行なスピンの割合が増加して
しまう。
このため、Mlのスピン反転が迅速であるほどMlとM
、とて反平行なスピンの割合が高くなり、高い抵抗値が
得られる。 また、Mxの角形比が高ければ、Hcl付
近でM、のスピンは殆ど反転していないことになるため
、さらに高い抵抗値が得られる。
従って、Mlの角形比が0.9〜1.0であれば、第2
図に示されるように外部磁界Hの強度がHclに極めて
近いときに抵抗Rが最大となり、しかもその値が太き(
なるるため、動作磁界強度が小さく、しかも抵抗変化率
が大きくなる。 また、外部磁界強度の変化に対してス
ピンの反転が急激に生じるため、外部磁界強度の変化に
対する抵抗の変化率が高くなる。
また、M宜の角形比を0.8以上、特に0.9〜1.0
とすれば、さらに抵抗変化率を向上させることができる
なお、以上の説明は外部磁界強度がHcl→Hc2と変
化するときのものであるが、−Hat→−Hc2と変化
する場合についても同様である。
非磁性薄膜は、その両側に存在する磁性薄膜同士の相互
作用を緩和ないし調整するために設けられる。
非磁性薄膜は非磁性体から構成される。
用いる非磁性体に特に制限はな(、各種金属非磁性体か
ら適宜選定すればよい。
金属非磁性体としては、Zn%Zr%Sn。
Pb%Au、Ag、Cu、Ptやこれらの合金等が好ま
しい。
非磁性薄膜の厚さは、200Å以下、好ましくは80Å
以下、より好ましくは60Å以下とする。 厚さが前記
範囲を超えると人工格子めっき層全体としての初期抵抗
が増大し、その結果、磁気抵抗変化率が小さくなってし
まう。
また、非磁性薄膜の厚さは、4A以上とすることが好ま
しく、より好ましくは8Å以上、さらに好ましくは12
Å以上とする。 厚さが前記範囲未満であると隣り合う
磁性薄膜間の交換相互作用が強くなり、両磁性薄膜の磁
化方向が相異なる状態が生じにくくなる。 すなわち、
第1図において、HclとHc2とが分離しなくなる。
なお、人工格子めっき膜中において、非磁性薄膜の厚さ
は全て同じである必要はない、 非磁性薄膜の厚さを2
種以上とすることにより、さらに種々、の設計が可能と
なる。
磁性薄膜や非磁性薄膜の厚さは透過型電子顕微鏡、走査
型電子顕微鏡、オージェ電子分光分析等により測定する
ことができ、また、その結晶構造等はX線回折や高速反
射電子線回折等により確認することができる。
この人工格子めっき膜において、磁性薄膜の数nに特に
制限はなく、目的とする磁気抵抗変化率等に応じて適宜
選定すればよいが、十分な磁気抵抗変化率を得るために
は、nを3以上、特に6以上とすることが好まい)。 
また、積層数を増加するにしたがって抵抗変イし率も増
力口するが、上記したように生産性カイ低くなることか
ら、通常、nを150以下とすること力5好ましい。
なお、最上層の磁性薄膜の表面にCま、窒イヒ&すい素
や酸化けい素等の酸化防止膜力S設心ブられてもよく、
電極引き出しのための金属導電層力3設けられてもよい
また、第3図では最上層および最下層(ま磁性薄膜とな
っているが、最上層や最下層なS磁性薄膜としてもよい
このような構成を有する人工格子めっき膜は、MRセン
サやMRヘッドなどの各種MR素子に好ましく適用され
、使用する際には、必要に応じてバイアス磁界が印加さ
れる。
〈実施例〉 以下、本発明を実施例によって具体的番こ説明する。
[実施例1] 10X20X0.1amのガラス基体(コーニング社製
7059ガラス)表面に、MBE法番こより厚さ50人
のパーマロイ(N i s+F e +*)下地膜を形
成した。
この下地膜表面を室温の0.I N−MCI2!こて2
0秒洗浄し、さらに純水により20秒間水洗した。
次いで下地膜上に、前述した態様(I)に従って無電解
めっき法により薄膜を積層した。
無電解めっき法には、下記めっき浴A、BおよびCを用
いた。
(めっき浴A : N1−Fe−P無電解めっき浴)硫
酸ニッケル          0.1moj/1iM
第一鉄0.02moj/j クエン酸ナトリウム       0.2moj/j次
亜リン酸ナトリウム      0.、(14mol/
1めっき浴温度は80℃とし、めっき浴のpl(はNH
,OHの添加により4.0に調整した。
(めっき浴B:Cu無電解めっき浴) 硫酸鋼              13g/137%
ホルマリン         25g/j酒石酸カリウ
ムナトリウム     30g/lエチレンジアミン四
酢酸 二ナトリウム塩        4g/jこのめっき浴
には安定剤としてFe”″を5ppm含有させ、めっき
浴の温度は25℃とし、めっき浴のpHはNaOHの添
加により12.3に調整した。
(めっき浴C:Co−P無電解めっき浴)硫酸コバルト
          1.0脂01/j次亜リン酸ナト
リウム      0.2moj/j塩化アンモニウム
        0.5moj/j酒石酸カリウムナト
リウム    1.5moj/1めっき浴温度は60℃
とし、めっき浴のpHはNH,OHの添加により9.0
に調整した。
上記各めっき浴を用いた無電解めっきには、ノズルから
基体に向けてめっき液をジェット流状に噴射するジェッ
ト流法を適用した。 ノズル径は5mmとし、めっき液
の流量は150β/minとした。 なお、ノズルおよ
び基体は、めっき槽の外に配置した。
そして、 めっき浴A:40秒間 ↓ 水洗   =20秒間 ↓ めっき浴B:60秒間 ↓ 水洗   :20秒間 ↓ めっき浴C:30秒間 ↓ 水洗   :20秒間 ↓ めっき浴B:60秒間 ↓ 水洗   =20秒間 のサイクルを20回繰り返し、 [N1ysFe+5Ps(80)−Cu(60)−Co
ssPs(80)−Cu(60)la。
で表わされる人工格子めっき膜サンプルNo、  1を
作製した。
なお、この表示は、80人厚のN1taFe+sPs薄
膜、60人厚のCu薄膜、80人厚のCoesPs薄膜
および60人のCu薄膜をめっきする工程を、20回繰
り返したことを意味する。 各薄膜の厚さは、透過型電
子顕微鏡により測定した。 また、各薄膜の組成は、プ
ラズマ発光分析(ICP)により測定した。
サンプルNo、  1の磁化特性を振動型磁力計により
評価した。 得られた磁化曲線は、[N1ysFe+g
Ps(80)−Cu(60)]の磁化曲線と[Co9s
Ps (80)−Cu(60)]の磁化曲線とが合成さ
れた形状を示していた。
なお、N1−Fe−Pta性薄膜薄膜磁力は1.50e
であり、これは [Ni?6Fe11PS(80)−Cu(60)]2゜
の保磁力を測定することにより求めた。
また、Co−P磁性薄膜の保磁力は800eであり、こ
れは [Co9sPs+(80)−Cu(60)]z。
の保磁力を測定することにより求めた。
さらに、サンプルN011を0.310!OX 10m
mの短冊状とし、超音波ワイヤーボングーにてAρリー
ド線を接続し、4端子法により抵抗変化を測定して磁気
抵抗変化率ΔR/Rを求めた。
磁気抵抗変化率ΔR/Rは、最大抵抗値をRwax、外
部磁界強度5000eにおける抵抗値をRとし、 として算出した。
この結果、ΔR/Rは9.5%(外部磁界強度750e
)であり、極めて良好な磁気抵抗効果を示すことが確認
された。
[実施例2] 実施例1で用いたガラス基体の下地膜上に、前述した態
様(rV)に従い、下記めっき浴りを用いて電気めっき
法および置換めっき法により薄膜を積層した。
(めっき浴D) 硫酸第一鉄           0.7moj/j硫
酸銅            0.03■ol/g塩化
ナトリウム         1.5moj/j酢酸ナ
トリウム         0.3moj/Jラウリル
硫酸ナトリウム     0.1g/lめっき浴温度は
25℃、めっき浴のpHは1.4とした。
アノードにはptを用い、基体とアノードとをセルに収
め、これらの間隙にめっき液を高速度で流動させる平行
流法によりめっきを行なった。 セルの寸法は、高さ1
cm、幅3 cm、長さ5cffiであり、セル底面に
基体を配置し、基体と対向してアノードを配置した。 
そして、セルの長さ方向に流速10m/sでめっき液を
流した。
基体には、 1.5V (0,3秒) OV (20秒) ↓ 1.5V (0,6秒) ↓ OV (20秒) のサイクルの電圧印加を20回繰り返し、[Fe f3
0) −Cu (50) −Fe (80) −Cu 
(50) ] *。
で表わされる人工格子めっき膜サンプルNo、 2を作
製した。 なお、電圧印加中にFe薄膜が形成され、電
圧印加休止時にCu薄膜が形成された。
サンプルNo、 2の磁化特性を振動型磁力計により評
価した。 得られた磁化曲線は、[Fe(30)−Cu
(50)]の磁化曲線と[Fe(80)−Cu(50)
]の磁化曲線とが合成された形状を示していた。
なお、30人厚のFe薄膜の保磁力は3. 10eであ
り、これは [Fe(30)−Cu(50)]3s の保磁力を測定することにより求めた。
また、80人厚のFe薄膜の保磁力は8.00eであり
、これは [Fe (80) −Cu (50) ]の保磁力を測
定することにより求めた。
さらに、サンプルNo、 2のΔR/Rを、実施例1と
同様にして算出したところ、6.5%(外部磁界強度6
.20e)であり、極めて良好な磁気抵抗効果を示すこ
とが確認された。
なお、これらの他、前述した態様(If)および態様(
III)に従って本発明の人工格子めっき膜を作製した
ところ、上記各実施例で作製した人工格子めっき膜と同
様、優れた磁気抵抗効果を示すものであった。
〈発明の効果〉 本発明によれば、設備コストが低く量産性が高い液相め
っき法を用いて、優れた磁気抵抗効果を示す人工格子め
っき膜を実現できる。 そして、製造の際に複雑な電位
制御を行なう必要がない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の人工格子めっき膜の作用を説明する
B−Hカーブの模式図である。 第2図は1本発明の人工格子めっき膜における外部磁界
Hと抵抗Rの変化との関係を模式的に示すグラフである
。 第3図は、本発明の人工格子めっき膜の一部省略断面図
である。 符号の説明 l・・・人工格子めっき膜 2・・・基体 M、 、M、、・・・、M、。 M。 ・・・磁性薄膜 N、 、 Nイー。 N e−。 ・・・非磁性薄膜 特許出願人 ティーデイ−ケイ株式会社代 理 人 弁
理士  石 井 隔 間     弁理士   増  1) 達  哉FIG
、1 FIG、2 R FIG、3

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)液相めっき法により形成された金属または合金の
    薄膜が基体上に積層された人工格子めっき膜であって、 2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して積層されてお
    り、隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保磁力と異な
    る保磁力を有する磁性薄膜が存在することを特徴とする
    人工格子めっき膜。
  2. (2)無電解めっき法により形成された薄膜および/ま
    たは置換めっき法により形成された薄膜を有する請求項
    1に記載の人工格子めっき膜。
  3. (3)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
    無電解めっき法により形成された薄膜が存在する請求項
    2に記載の人工格子めっき膜。
  4. (4)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
    置換めっき法により形成された薄膜が存在する請求項2
    に記載の人工格子めっき膜。
  5. (5)無電解めっき法により形成された薄膜に隣接して
    電気めっき法により形成された薄膜が存在する請求項2
    に記載の人工格子めっき膜。
  6. (6)置換めっき法により形成された薄膜に隣接して電
    気めっき法により形成された薄膜が存在する請求項2に
    記載の人工格子めっき膜。
  7. (7)置換めっき法により形成された薄膜に含有される
    金属の析出電位が、電気めっき法により形成された薄膜
    に含有される金属の析出電位よりも0.3V以上高いも
    のである請求項6に記載の人工格子めっき膜。
  8. (8)前記薄膜の厚さが200Å以下である請求項1な
    いし7のいずれかに記載の人工格子めっき膜。
  9. (9)請求項1ないし8のいずれかに記載の人工格子め
    っき膜を製造する方法であって、 液相めっき法により薄膜を形成する際に、高速めっき法
    を用いることを特徴とする人工格子めっき膜の製造方法
  10. (10)請求項6または7に記載の人工格子めっき膜を
    製造する方法であって、 析出電位の異なる2種の金属のイオンを含有するめっき
    浴を用い、より低い析出電位を有する金属を含有する薄
    膜を電気めっき法により形成し、より高い析出電位を有
    する薄膜を置換めっき法により形成することを特徴とす
    る人工格子めっき膜の製造方法。
JP2243434A 1990-09-13 1990-09-13 人工格子めっき膜およびその製造方法 Pending JPH04122010A (ja)

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