JPH04119358U - プランジヤ式燃料噴射ポンプ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ディーゼルエンジンに用いて好適のプランジ
ャ式燃料噴射ポンプに関し、高負荷域において燃料噴射
ポンプの送油率を高くなるように設定しても低負荷域で
の燃焼騒音の増大を招かないようなプランジャ式燃料噴
射ポンプ構造を提供する。 【構成】 プランジャ式の燃料噴射ポンプにおいて、プ
ランジャ１に、低負荷域でポンプ圧を部分的に排除しう
るポンプ圧低減用切欠き部１４が設けられて、切欠き部
１４を通じて、低負荷域でポンプ圧が部分的に排除し
て、燃料噴射ポンプの送油率を低減できるように構成す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ディーゼルエンジンに用いて好適の、プランジャ式燃料噴射ポンプ に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ディーゼルエンジンにはプランジャ式燃料噴射ポンプがそなえられるが、例え ば図４はかかるプランジャ式燃料噴射ポンプの一例を示す縦断面図であり、図に おいて、１はプランジャ、２はプランジャバレル、３はカムシャフト、４はタペ ット、５はスプリングシート、６はプランジャスプリング、７はコントロールシ ャフト、８はコントロールスリーブ、９は油留室、１０はオイル入口、１１はオ イル出口であって、カムシャフト３に設けられたカムによって、プランジャ１が プランジャバレル２内を軸方向へ駆動されてオイル入口１０からの燃料をプラン ジャ１の上方へ圧送できるようになっている。

【０００３】 ところで、このプランジャ１には、その上端から中間部に亘って給排路（図示 省略）が形成されており、この給排路の下部開口（給排口）の近傍には、給排口 に連通して切欠き１２が形成されている。また、プランジャ１の中間部外周に外 嵌されたプランジャバレル２には、給排口（図示省略）が設けられ、プランジャ １のリフトアップによって給排口が閉塞されたところで燃料の圧送が開始され、 さらにプランジャ１がリフトアップして切欠き１２が給排口に開通したところで 圧送が終了するように構成されている。

【０００４】 燃料の噴射量は、プランジャ１を回転させることで螺旋状に形成された切欠き １２と給排口との相対位置を変え、これによりプランジャ１の有効ストロークを 調整するようにして行なうようになっている。

【０００５】 プランジャ１を回転させて、切欠き１２の給排口への開口部が幅狭になるよう に設定すると燃料噴射量が大きくなり、切欠き１２の給排口への開口部が幅広に なるように設定すると燃料噴射量が小さくなり、低負荷時には燃料噴射量を小さ くし、高負荷時には燃料噴射量を大きく調整する。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、エンジンの性能向上のためには、特に高負荷域において燃料噴射ポ ンプの送油率を高くすることが有効であるが、上述のような従来のプランジャ式 燃料噴射ポンプでは、高負荷域において燃料噴射ポンプの送油率を高くするとこ れに伴って全負荷域で送油率が高くなってしまい、この影響で低負荷域では燃焼 騒音が大きくなるという不具合がある。

【０００７】 本考案は、このような課題に鑑み創案されたもので、高負荷域において燃料噴 射ポンプの送油率を高くなるように設定しても低負荷域での燃焼騒音の増大を招 かないようにした、プランジャ式燃料噴射ポンプ構造を提供することを目的とす る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案のプランジャ式燃料噴射ポンプ構造は、プランジャ式燃料噴 射ポンプにおいて、該プランジャに、低付加域でポンプ圧を部分的に排除しうる ポンプ圧低減用切欠き部が設けられていることを特徴としている。

【０００９】

【作用】

上述の本考案のプランジャ式燃料噴射ポンプ構造では、ポンプ圧低減用切欠き 部を通じて、低付加域でポンプ圧が部分的に排除されて、燃料噴射ポンプの送油 率が低減される。

【００１０】

【実施例】

以下、図面により、本考案の一実施例としてのプランジャ式燃料噴射ポンプ構 造について説明すると、図１はそのプランジャの上部の模式図であって、（ａ） は模式的な斜視図、（ｂ）は模式的な平面図であり、図２はその作動状態を（ａ ）〜（ｄ）の順に示す斜視図、図３はその特性を示すグラフである。

【００１１】 このプランジャ式燃料噴射ポンプ構造の全体構成は、図４に示す従来例とほぼ 同様であるので、ここでは説明を省略するが、この燃料噴射ポンプのプランジャ １は、図１に示すように、ポンプ圧低減用切欠き部１４が設けられている。

【００１２】 つまり、プランジャ１の軸心部分には、上端に開口した給排路１３が形成され ており、この給排路１３の下部開口１２の上縁１２ａは、螺旋状の曲面に形成さ れて、プランジャ１を回転させることで螺旋状の上縁１２ａとプランジャバレル ２の給排口１５との相対位置を変えることで、プランジャ１の有効ストロークを 調整できるようになっている。ポンプ圧低減用切欠き部１４は、このような下部 開口１２の上縁１２ａの上方にこの螺旋状の上縁１２ａと対応するように形成さ れている。

【００１３】 このポンプ圧低減用切欠き部１４は、プランジャ１の外周面を部分的に薄く切 り欠いたもので、その上縁はプランジャ１の上端に開口し、その下縁１４ａは螺 旋状の上縁１２ａと対応するように螺旋状に形成されている。つまり、下部開口 １２が軸方向に幅広になっていくのに対応して切欠き部１４も軸方向に幅広にな っていくように形成されている。

【００１４】 そして、低負荷時には、切欠き１２の給排口１５への開口部が幅広になるよう に調整して燃料噴射量が小さくなるように、高負荷時には、切欠き１２の給排口 １５への開口部が幅狭になるように調整して燃料噴射量が大きくなるように、プ ランジャ１の回転位相を調整するようになっている。

【００１５】 上述の構成により、このプランジャ式燃料噴射ポンプ構造では、図２の（ａ） 〜（ｄ）に示すように、プランジャ１が作動する。

【００１６】 つまり、図２の（ａ）に示すように、プランジャ１がバレル２内の下方に下が ったところで、給排口１５からプランジャ１の上方のバレル２内に燃料を吸入し て、プランジャ１が上昇していって図２の（ｂ）に示す位置に達したところで、 本来なら（従来なら）プランジャ１の側壁で給排口１５が閉塞されてプランジャ １の上方のバレル２内の燃料を圧縮していくが、このポンプでは、プランジャ１ にポンプ圧低減用切欠き部１４が形成されているので、切欠き部１４の形成され た箇所では給排口１５が完全には閉塞されず、切欠き部１４の軸方向長さに応じ て燃料が少し漏れたような状態になる。この後、プランジャ１が上昇していって 図２の（ｃ）から（ｄ）に示す位置に達したところで、下部開口１２が給排口１ ５に通じて圧送が終了する。

【００１７】 このように、燃料の圧縮段階で、切欠き部１４の軸方向長さに応じて燃料が少 し漏れるので、この分だけ燃料噴射量が削減される。特に、切欠き部１４の軸方 向長さは、低負荷域ほど幅広の部分が給排口１５に開通して、高負荷域ほど幅狭 の部分が給排口１５に開通し、特に高負荷域では、切欠き部１４がなくなってい るので、特に高負荷域において燃料噴射ポンプの送油率を高くしてエンジンの性 能向上を図りながら、低負荷域での送油率を低減できるようになり、エンジンの 性能を向上させるのに伴って生じる低負荷域における燃焼騒音の増大を回避でき るようになるのである。

【００１８】 なお、図３はプランジャリフト量θに対するポンプ圧力の関係を示すが、実線 が一般のプランジャ式燃料噴射ポンプ構造における特性を示しており、負荷の増 大に伴って大きな曲線を描くが、本プランジャ式燃料噴射ポンプ構造では、例え ば低負荷時の特性曲線ａは破線ｂに示すようになって、ポンプ圧力の変動が緩や かになることがわかる。このようにして、燃焼騒音が低減されるのである。

【００１９】 このようなポンプ圧力の特性の変更は、ポンプ圧低減用切欠き部１４の形状、 特にその下縁１４ａの形状に応じて行なえ、下縁１４ａの形状をはじめとして切 欠き部１４の形状を種々設定することで、最適の特性変更を行なえる。

【００２０】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案のプランジャ式燃料噴射ポンプ構造によれば、プ ランジャ式燃料噴射ポンプにおいて、該プランジャに、低付加域でポンプ圧を部 分的に排除しうるポンプ圧低減用切欠き部が設けられるという構成によって、高 負荷域において燃料噴射ポンプの送油率を高くしてエンジンの性能向上を図りな がら、低負荷域での送油率を低減して低負荷域における燃焼騒音を低減できるよ うになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のプランジャ式燃料噴射ポン
プ構造のプランジャの上部の模式図で、（ａ）は模式的
な斜視図、（ｂ）は模式的な平面図である。

【図２】本考案の一実施例のプランジャ式燃料噴射ポン
プ構造の作動状態を（ａ）〜（ｄ）の順に示す斜視図で
ある。

【図３】本考案の一実施例のプランジャ式燃料噴射ポン
プ構造の特性を示すグラフである。

【図４】一般的なプランジャ式燃料噴射ポンプ構造の全
体構造を示す断面図である。

【符号の説明】

１ プランジャ ２ プランジャバレル １２ 下部開口 １２ａ 下部開口１２の上縁 １３ 給排路 １４ ポンプ圧低減用切欠き部 １４ａ ポンプ圧低減用切欠き部１４の下縁 １５ 給排口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プランジャ式燃料噴射ポンプにおいて、
   該プランジャに、低付加域でポンプ圧を部分的に排除し
   うるポンプ圧低減用切欠き部が設けられていることを特
   徴とする、プランジャ式燃料噴射ポンプ構造。