JP2573652Y2 - 燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置 - Google Patents

燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置

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JP2573652Y2
JP2573652Y2 JP1991095104U JP9510491U JP2573652Y2 JP 2573652 Y2 JP2573652 Y2 JP 2573652Y2 JP 1991095104 U JP1991095104 U JP 1991095104U JP 9510491 U JP9510491 U JP 9510491U JP 2573652 Y2 JP2573652 Y2 JP 2573652Y2
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stroke
fuel injection
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cut
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勉 杉原
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Bosch Corp
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、燃料噴射ポンプのプ
ランジャに対するタイミングスリーブの軸心方向の位置
を変えることによってプリストロークを調節するように
したプリストローク制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプに
は、特開昭63ー183264号公報に開示されている
ように、燃料噴射時期及び燃料噴射率を調節するため
に、プリストローク(プランジャの往動開始位置、即ち
プランジャの下死点から噴射開始位置までのプランジャ
の移動寸法)を制御する装置が装備されたものがある。
【0003】図7は従来のこの種の燃料噴射ポンプの縦
断面図であり、図8はプリストローク制御装置の主要部
の概略構成図を示している。この燃料噴射ポンプにおい
ては、ケーシング1の内部を軸心方向へ往復動(上下動)
するプランジャ2が、燃料溜まり室3に収容されたタイ
ミングスリーブ4を摺動自在に貫通し、その先部を、デ
リバリバルブ23の上部バレル5に設けられた摺動孔6
に挿入させている。この摺動孔6の内部は圧力室7にな
っている。プランジャ2は、タペット8を介してカム9
に係合しており、エンジンによって駆動されるカムシャ
フト10が回転すると、カム9とプランジャスプリング
11が協働してプランジャ2を上下動せしめるようにな
っている。
【0004】上記タイミングスリーブ4は上記プランジ
ャ2と直交する方向に配したタイミングロッド12に連
繋されており、このタイミングロッド12をその軸心回
りに回動することによって、プランジャ2に対するタイ
ミングスリーブ4の軸心方向の位置を変え、プリストロ
ークを調節することができるようになっている。又、プ
ランジャ2は、プランジャ2と直交する方向に配したコ
ントロールロッド13に連繋されており、このコントロ
ールロッド13をその軸心方向に動かすことによって、
プランジャ2をタイミングスリーブ4に対して回転し、
燃料噴射量を変えることができるようになっている。
【0005】詳述すると、図8に示すように、プランジ
ャ2の内部には、一端が圧力室7に臨んで開口する燃料
流通孔14が形成され、プランジャ2の外周面であって
タイミングスリーブ4に対する摺動面には、上記燃料流
通孔14に連通するスピル溝15が斜めに形成されてい
る。このスピル溝15はプランジャ2の上下動に伴いタ
イミングスリーブ4の内周面によって閉塞可能になって
いる。一方、タイミングスリーブ4には、一端が上記プ
ランジャ2に対する摺動面に開口し、他端が燃料溜まり
室3に臨んで開口するスピル孔16が形成されている。
スピル溝15とスピル孔16はプランジャ2の上下動に
伴い連通遮断可能になっている。
【0006】又、ポンプ本体の一部をなす下部バレル1
7には回り止めピン18が固定されており、この回り止
めピン18の先部が、タイミングスリーブ4の外周面に
設けられた縦溝19に摺動可能に係合することによっ
て、タイミングスリーブ4はポンプ本体に対して回動不
能となっている。
【0007】一方、プランジャ2と直交する方向に配さ
れたタイミングロッド12はアクチュエータ(図示せず)
によって回転駆動せしめられるようなっている。タイミ
ングロッド12には作動ピン20が取り付けられてお
り、作動ピン20の先端がタイミングスリーブ4の外周
面に設けられた横溝21に係合している。そして、タイ
ミングロッド12をその軸心回りに回動すると、作動ピ
ン20に押動されてタイミングスリーブ4がプランジャ
2の軸心方向に沿って上下に移動するようになってお
り、これによって、プリストロークを調節することがで
きるようになっている。
【0008】又、上記タイミングロッド12の下方には
コントロールロッド13が上記タイミングロッド12と
平行に配されており、このコントロールロッド13は、
プランジャ2に相対回動不能に外嵌されたコントロール
スリーブ22に連繋されていて、コントロールロッド1
3をその軸心方向に移動することによってコントロール
スリーブ22を回転させ、その結果、プランジャ2をタ
イミングスリーブ4に対して回転させることができるよ
うになっている。そして、これによって、プランジャ2
の有効ストロークを変えることができ、その結果、燃料
噴射量を変えることができるようになっている。ここ
で、有効ストロークとは、プランジャ2が上昇して、ス
ピル溝15がタイミングスリーブ4により閉塞されてか
ら、スピル溝15がタイミングスリーブ4のスピル孔1
6に出会うまでの、プランジャ2のストロークをいう。
尚、上記ケーシング1、上部バレル5、及び下部バレル
17はポンプ本体の一部をなしている。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】ところで、ディーゼル
エンジンにおいては、排気ガス(特に、NOx、黒煙、パ
ティキュレート等)の改善、及び、燃焼騒音低減のため
に、エンジンの回転数及び負荷に応じた最適な燃料噴射
制御が必要とされている。しかしながら、上記従来の燃
料噴射ポンプにおいては、プランジャ2を回転すること
により有効ストロークを変えて燃料噴射量を変えること
ができ、タイミングスリーブ4を上下動することによっ
てプリストロークを変えて燃料噴射時期及び燃料噴射率
を変えることはできるが、このバリエーションだけで上
述の如き燃料噴射の最適制御に応じることは難しかっ
た。
【0010】尚、図9は上記従来の燃料噴射ポンプにお
ける,コントロールロッド13の位置とプランジャ2の
有効ストロークとの関係を示す特性図である。図におい
て、横軸はコントロールロッドの位置であり、縦軸はカ
ムリフト(即ち、プランジャ2のストローク)である。A
1,A2,A3の各線図はそれぞれプリストロークを小さ
く設定した場合、中位に設定した場合、大きく設定した
場合を示している。この図から明らかなように、コント
ロールロッド13の位置が同じ場合には、例えプリスト
ロークを変えても有効ストロークS′に変化はない。
【0011】一方、実開昭63−83458号公報に
は、メイン噴射の前にパイロット噴射を行うようにした
燃料噴射ポンプが開示されている。この燃料噴射ポンプ
においては、プランジャの外周面に、スピル溝の上縁か
ら周方向水平に延びる逃がし溝が設けられていて、プラ
ンジャが有効ストロークを移動する途中において、この
逃がし溝がタイミングスリーブのスピル孔に出会うよう
にされている。そして、逃がし溝とスピル孔が出会う前
がパイロット噴射となり、逃がし溝とスピル孔が連通し
ている間は噴射停止となり、逃がし溝がスピル孔を通過
した後がメイン噴射となる。上記燃料噴射ポンプも、排
気ガスの改善や燃焼騒音の低減を目指して開発された技
術であるが、まだこれでも、エンジンの回転数や負荷に
応じて燃料噴射を最適制御するためには不十分であっ
た。
【0012】この考案は上述従来の技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、その目的とするところは、パイ
ロット噴射が可能で、且つ、コントロールロッドの位置
が同じ場合にもプリストロークを変えることによって燃
料噴射率と燃料噴射量の両方を同時に変えることができ
る燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置を提供しよ
うとするところにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この考案は上述目的を達
成するためになされたもので、その要旨は、軸心方向へ
往復動する燃料噴射ポンプのプランジャが、ポンプ本体
の燃料溜まり室に収容されたタイミングスリーブを摺動
自在に貫通し、このプランジャの先部が、圧力室を形成
するポンプ本体の摺動孔に挿入されており、上記タイミ
ングスリーブをプランジャの軸心方向へ動かすことによ
りプリストロークを調節する燃料噴射ポンプのプリスト
ローク制御装置において、上記プランジャには、一端が
上記圧力室に臨んで開口し他端がプランジャの外周面で
あって上記摺動孔に対する摺動面に開口するカットオフ
通路が設けられ、上記ポンプ本体には、一端が上記燃料
溜まり室に臨んで開口し他端が摺動孔のプランジャに対
する摺動面に開口するカットオフ通路が設けられてい
て、上記二つのカットオフ通路が、上記プランジャのプ
リストロークが小さいときにはプランジャの有効ストロ
ークの途中で互いに対向して連通し、上記プランジャの
プリストロークが大きいときには上記プランジャの有効
ストローク中互いに離間して遮断されるように配置され
ていることを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロー
ク制御装置にある。
【0014】
【作用】プランジャのプリストロークが小さい場合に
は、プランジャの有効ストロークの途中において両カッ
トオフ通路が連通し、連通している間は燃料の噴射が中
断する。その中断前後においてパイロット噴射とメイン
噴射が行われる。一方、プランジャのプリストロークが
大きい場合には、両カットオフ通路が連通することがな
いので、有効ストロークが開始すると直ちにメイン噴射
が行われる。
【0015】
【実施例】以下、この考案の一実施例を、図1から図6
までの図面に基づき、図7を援用して説明する。尚、前
述従来の燃料噴射ポンプ及びプリストローク制御装置と
同一の態様部分については同一符号を付して説明を省略
し、相違する点についてだけ説明する。
【0016】図1〜図3は、この考案に係るプリストロ
ーク制御装置の概略構成図であり、従来技術における図
8に対応するものである。ここで、図1はプリストロー
クを小さく設定した場合(以下、プリストローク小領域
という)を表し、図2はプリストロークを中位に設定し
た場合(以下、プリストローク中領域という)を表し、図
3はプリストロークを大きく設定した場合(以下、プリ
ストローク大領域)を表している。
【0017】これらの図に示すように、この考案に係る
プリストローク制御装置が従来のプリストローク制御装
置と大きく相違する構成上の特徴は次の通りである。プ
ランジャ2の内部上方には、略L字状に延びるカットオ
フ通路30が設けられている。このカットオフ通路30
の一端開口31はプランジャ2の上面に開口して圧力室
7に臨んでおり、カットオフ通路30の他端開口32は
プランジャ2の外周面であってタイミングスリーブ4に
対する摺動面に開口している。
【0018】一方、ポンプ本体の一部をなす上部バレル
5の内部下方にもカットオフ通路40が設けられてい
る。このカットオフ通路40は、摺動孔6のプランジャ
2に対する摺動面に開口する横溝41と、横溝41から
略逆L字状に延び上部バレル5の下面に開口して燃料溜
まり室3に臨む連通路42とから構成されている。図6
は摺動孔6におけるプランジャ2に対する摺動面の展開
図の一部である。この図から明らかなように、上記横溝
41は、摺動孔6の軸線方向に一定の上下幅Wを有し、
摺動孔6の周方向に沿って所定長さRだけ水平に延びて
いる。
【0019】又、この実施例において、上記プランジャ
2のカットオフ通路30と上部バレル5のカットオフ通
路40の相対位置関係は次のように設定されている。
[1]プリストローク小領域にある場合(図1参照)図1
(A)に示すように、プランジャ2が上昇して有効ストロ
ークの下限位置に至り、スピル溝15がタイミングスリ
ーブ4の内周面によって閉塞された時には、プランジャ
2におけるカットオフ通路30の他端開口32が、上部
バレル5におけるカットオフ通路40の横溝41よりも
下方に位置して、両カットオフ通路30,40は遮断さ
れている。この位置から更にプランジャ2が上昇して、
有効ストロークの途中に至った時には、図1(B)に示す
ように、カットオフ通路30の他端開口32がカットオ
フ通路40の横溝41に出会い、両カットオフ通路3
0,40は連通する。この後、更にプランジャ2が上昇
すると、図1(C)に示すように、カットオフ通路30の
他端開口32がカットオフ通路40の横溝41よりも上
方に位置するようになり、両カットオフ通路30,40
は再び遮断される。尚、プランジャ2が図1(C)の状態
から更に上昇して有効ストロークの上限位置を過ぎる
と、プランジャ2のスピル溝15とタイミングスリーブ
4のスピル孔16が連通するということについては従来
と同様である。
【0020】[2]プリストローク中領域にある場合(図
2参照) この場合には、図2に示すように、プランジャ2が有効
ストロークの下限位置にある時に、カットオフ通路30
の他端開口32とカットオフ通路40の横溝41が既に
出会っており、両カットオフ通路30,40が連通して
いる。そして、有効ストロークの途中でカットオフ通路
30の他端開口32がカットオフ通路40の横溝41よ
りも上方に位置するようになり、両カットオフ通路3
0,40が遮断されるようになっている。
【0021】[3]プリストローク大領域にある場合(図
3参照) この場合には、図3に示すように、プランジャ2が有効
ストロークの下限位置にある時に、カットオフ通路30
の他端開口32が既にカットオフ通路40の横溝41よ
りも上方に位置していて、有効ストロークの範囲におい
て両カットオフ通路30,40が連通することのないよ
うになっている。
【0022】次に、上述構成のプリストローク制御装置
の作用を、図4及び図5を参照して説明する。図4はコ
ントロールロッド13の位置とプランジャ2の有効スト
ロークとの関係を示す特性図であって、横軸にコントロ
ールロッド13の位置をとり、縦軸にカムリフト(即
ち、プランジャ2のストローク)をとっている。そし
て、この図において線図B1,B2はプリストローク小領
域における例であり、線図B3はプリストローク中領域
における例であり、線図B4はプリストローク大領域に
おける例である。図5はカム角度に対する噴射率特性を
表した噴射率曲線であり、(A),(B),(C)はそれぞれ
プリストローク小領域、中領域、大領域における例であ
る。
【0023】以下の説明では、図4においてコントロー
ルロッド13の位置を「x」に固定した場合、即ち、プラ
ンジャ2のタイミングスリーブ4に対する周方向位置を
「x」に固定した場合を想定して説明する。
【0024】初めに、プリストローク小領域における燃
料噴射の形態を説明する。有効ストロークの下限位置か
ら、両カットオフ通路30,40が出会うまでの間〔図
1(A)の状態〕、圧力室7内の燃料が加圧される。燃料
圧力が開弁圧以上になるとデリバリバルブ23が開いて
燃料の圧送が始まり、燃料噴射ノズル(図示せず)から燃
料が噴射される。これがパイロット噴射であり、図5
(A)においてIpに対応する。
【0025】両カットオフ通路30,40が連通してい
る間〔図1(B)の状態〕は、圧力室7内の燃料圧力が両
カットオフ通路30,40を介して燃料溜まり室3に逃
げるので、圧力室7内の燃料圧力が開弁圧以下に低下
し、デリバリバルブ23が閉じられて、燃料噴射ノズル
からの燃料噴射は停止する。図5(A)においてInがこ
の状態を示している。
【0026】カットオフ通路30の他端開口32がカッ
トオフ通路40の横溝41を通り過ぎる直前において
は、その間の流通面積が徐々に絞られてくるので、両カ
ットオフ通路30,40が完全に遮断されるよりも少々
前から、圧力室7内の燃料が再び加圧されていき、燃料
圧力が開弁圧以上になるとデリバリバルブ23が開いて
燃料の圧送が再開され、燃料噴射ノズルから燃料が噴射
される。これが第1期メイン噴射Im1である。
【0027】カットオフ通路30がカットオフ通路40
を完全に通り過ぎると〔図1(C)の状態〕、圧力室7内
の燃料は急激に加圧され、噴射量も急増する。これが第
2期メイン噴射Im2である。図5(A)におけるメイン噴
射Imの噴射率波形に示すように、第1期メイン噴射Im
1と第2期メイン噴射Im2との間には、噴射率の増大が
緩やかになる過渡期Imtが存在する。このように、プリ
ストローク小領域においては、パイロット噴射Ipとメ
イン噴射Imの二段噴射が行われる。
【0028】更に、同じプリストローク小領域におい
て、プリストロークが小さい時と大きい時でパイロット
噴射Ipとメイン噴射Imの燃料噴射量及び燃料噴射率を
変えることができる。これについて図4を参照して説明
する。図4においてB1はプリストロークが小さい場合
を示し、B2はプリストロークがそれよりも若干大きい
場合を示している。B1及びB2における見かけの有効ス
トロークS0は同一である。しかしながら、パイロット
噴射Ipに対応するプランジャ2のストロークは、B1
場合は「Sp1」であるが、B2の場合は「Sp2」であって、
Sp1の方がSp2よりも大きい(Sp1>Sp2)。一方、メイ
ン噴射Imに対応するプランジャ2のストロークは、B1
の場合は「Sm1」であるが、B2の場合は「Sm2」であっ
て、Sm1の方がSm2よりも小さい(Sm1<Sm2)。したが
って、同じプリストローク小領域内においても、プリス
トロークを小さくした方が、パイロット噴射Ipの燃料
噴射量は多くなり、メイン噴射Imの燃料噴射量は逆に
少なくなる。ただし、全体として見ると、実質有効スト
ローク(実際に圧力室7の燃料を加圧する工程に対応す
るプランジャ2のストローク)S1は、 S1=Sp1+Sm1=Sp2+Sm2 で同一であるので、燃料噴射総量はほぼ同一になる。
【0029】そして、カム9のカム形状を所定に設定し
て、パイロット噴射Ipの領域及びメイン噴射Imの領域
でのカムリフトとカム角度を非比例関係にすると、プリ
ストローク小領域において、プリストロークが小さい時
と大きい時でパイロット噴射Ipの燃料噴射率を異にす
ることができ、メイン噴射Imの燃料噴射率を異にする
ことができる。
【0030】次に、プリストローク中領域における燃料
噴射の形態を説明する。プランジャ2が有効ストローク
の下限位置にある時に、カットオフ通路30とカットオ
フ通路40が連通した状態になっている。したがって、
カットオフ通路30の他端開口32がカットオフ通路4
0の横溝41を通過する直前までは、圧力室7内の燃料
は加圧されない。カットオフ通路30とカットオフ通路
40の間の流通面積が縮小されてくると、前述プリスト
ローク小領域のメイン噴射Imの場合と同様に絞り効果
による加圧が始まり、燃料噴射が開始される。そして、
カットオフ通路30がカットオフ通路40を通過した後
には、圧力室7内の燃料圧力が急激に上昇し、噴射量も
増大する。図5(B)に示すように、プリストローク中領
域における噴射率波形にも、プリストローク小領域のメ
イン噴射Imにおける過渡期Imtと同様の過渡期Itが生
じる。
【0031】尚、図4のB3に示すように、このプリス
トローク中領域における見かけの有効ストロークS
0は、プリストローク小領域の時の見かけの有効ストロ
ークS0と同一である。又、実質有効ストロークS2は、
プリストローク小領域における実質有効ストロークS1
よりは大となるが、その大きさは一定ではなく、プリス
トロークの大きさによって変化する。したがって、プリ
ストローク中領域の場合も、プリストロークを変えるこ
とによって燃料噴射量および燃料噴射率を変えることが
できる。
【0032】次に、プリストローク大領域における燃料
噴射の形態を説明する。プリストローク大領域にある場
合には、プランジャ2が有効ストロークを移動する間、
カットオフ通路30とカットオフ通路40とは出会うこ
とがない。したがって、見かけの有効ストロークS0
即ち実質有効ストロークS3となり(S0=S3)、この時
の実質有効ストロークS3は、プリストローク小領域及
び中領域の場合の見かけの有効ストロークS0と同じに
なる。
【0033】プリストローク大領域においては、プリス
トロークを変化させても有効ストロークが変化すること
はないので、噴射量及び噴射率は変化しない。又、前述
したように、プリストローク小領域及び中領域において
は、カットオフ通路30.40が連通状態から遮断状態
に移行する直前に絞り効果があり、このため、両カット
オフ通路30,40が完全に遮断される前から圧力室7
内の燃料が加圧開始され、しかも、圧力室7内の燃料圧
力が緩やかに上昇していくが、プリストローク大領域に
おいてはこれがないので、図5(C)に示すようにカム角
度の増大に従って噴射率が急激に増大する。
【0034】以上のように、このプリストローク制御装
置を用いれば、極めてバリエーションに富んだ燃料噴射
形態を得ることができ、これによってエンジンの回転数
及び負荷に応じた最適な燃料噴射制御を行うことが可能
となる。又、コントロールロッド13の位置を変えるこ
とにより、見かけの有効ストロークS0を変えることが
できる点については従来のプリストローク制御装置と同
様であり、この従来からの制御方法を併用することによ
って、燃料噴射形態のバリエーションが更に増える。
【0035】又、図6(B),(C)に示すように、カット
オフ通路40の横溝41の上縁を傾斜させることによっ
て、コントロールロッド13の位置に応じて横溝41の
上下幅Wを変化させることも可能であり、このようにす
ると、燃料のカットオフ時間の長さを変えることができ
るようになる。あるいは、図6(D),(E)に示すよう
に、横溝41の上下幅Wは一定にして、横溝41の延び
る方向を傾斜させることにより、コントロールロッド1
3の位置に応じてカットオフの始期を変化させることも
可能である。更に、カットオフ通路40の横溝41の長
さRを充分に長く設定することにより、プリストローク
小領域においてコントロールロッド13をいかなる位置
に設定した場合にも二段噴射が行われるようにすること
が可能である。又、横溝41の長さRを所定に短く設定
したり、あるいは、横溝41の設置位置を所定に設定す
ると、プリストローク小領域においてコントロールロッ
ド13の位置の違いにより、カットオフの有無を選択し
一段噴射と二段噴射を選択できるようにすることも可能
である。
【0036】又、前述実施例では、プリストローク中領
域と大領域の場合には燃料噴射を一段噴射としたが、両
カットオフ通路30,40の配置を所定に設定すること
により、これら領域においてもプリストローク小領域の
場合と同様に二段噴射にすることが可能である。
【0037】又、プランジャ2に設けるカットオフ通路
30の他端開口32を横長の溝として、この溝を前述実
施例におけるカットオフ通路40の横溝41の代わりを
させ、一方、上部バレル5に設けるカットオフ通路40
には横溝41を設けずに、連通路42をそのまま延長し
て摺動孔6に開口させるようにしてもよい。
【0038】更に、上述各実施例においては、カットオ
フ通路30をプランジャ2に設けた孔によって構成した
が、カットオフ通路30の形態はこれに限るものではな
く、プランジャ2の外周面に圧力室7に通じる溝を形成
して、この溝をカットオフ通路とすることも可能であ
る。カットオフ通路40についても同様であり、上部バ
レル5の内周面に燃料溜まり室3に通じる溝を設け、こ
の溝をカットオフ通路とすることも可能である。
【0039】
【考案の効果】以上説明したように、この考案によれ
ば、プランジャのプリストロークが小さい場合には燃料
噴射をパイロット噴射とメイン噴射との二段階に行わせ
ることができ、プリストロークが大きい場合には有効ス
トロークの開始後、直ちにメイン噴射を行わせることが
できる。
【0040】特に、タイミングスリーブに対するプラン
ジャの周方向位置を一定にした場合に、プリストローク
を変えることによってパイロット噴射及びメイン噴射の
それぞれに対応する燃料噴射量及び燃料噴射率を変える
ことができるという優れた効果が奏される。
【0041】その結果、従来よりも極めてバリエーショ
ンに富んだ燃料噴射形態を得ることができ、ディーゼル
エンジンの回転数及び負荷に応じた最適な燃料噴射制御
を行うことが可能になるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案に係るプリストローク制御装置の主要
部を示す概略構成図であり、プリストローク小領域の場
合を示し、(A)〜(C)は有効ストロークを往動するプラ
ンジャの位置変化を示している。
【図2】プリストローク中領域において、プランジャが
有効ストロークの下限位置に位置した時の図1に相当す
る概略構成図である。
【図3】プリストローク大領域において、プランジャが
有効ストロークの下限位置に位置した時の図1に相当す
る概略構成図である。
【図4】上記プリストローク制御装置を備えた燃料噴射
ポンンプにおける、コントロールロッドの位置とプラン
ジャの有効ストロークとの関係を示す特性図である。
【図5】上記プリストローク制御装置を備えた燃料噴射
ポンプにおける、カム角度に対する噴射率特性を表した
噴射率曲線であり、(A),(B),(C)はそれぞれプリス
トローク小領域、中領域、大領域における例である。
【図6】上記プリストローク制御装置における摺動孔の
展開図の一部であり、(A)は第1実施例におけるもので
あり、(B)〜(E)はそれぞれ他の実施例におけるもので
ある。
【図7】従来のプリストローク制御装置を備えた燃料噴
射ポンプの縦断面図である。
【図8】従来のプリストローク制御装置の主要部を示す
概略構成図である。
【図9】従来のプリストローク制御装置を備えた燃料噴
射ポンプにおける、コントロールロッドの位置とプラン
ジャの有効ストロークとの関係を示す特性図である。
【符号の説明】
2 プランジャ 3 燃料溜まり室 4 タイミングスリーブ 5 上部バレル(ポンプ本体) 6 摺動孔 7 圧力室 30 カットオフ通路 31 一端開口 32 他端開口 40 カットオフ通路 41 横溝 42 連通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02M 59/26 320 F02M 59/26 330 F02M 59/28 F02M 45/06

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸心方向へ往復動する燃料噴射ポンプのプ
    ランジャが、ポンプ本体の燃料溜まり室に収容されたタ
    イミングスリーブを摺動自在に貫通し、このプランジャ
    の先部が、圧力室を形成するポンプ本体の摺動孔に挿入
    されており、上記タイミングスリーブをプランジャの軸
    心方向へ動かすことによりプリストロークを調節する燃
    料噴射ポンプのプリストローク制御装置において、 上記プランジャには、一端が上記圧力室に臨んで開口し
    他端がプランジャの外周面であって上記摺動孔に対する
    摺動面に開口するカットオフ通路が設けられ、上記ポン
    プ本体には、一端が上記燃料溜まり室に臨んで開口し他
    端が摺動孔のプランジャに対する摺動面に開口するカッ
    トオフ通路が設けられていて、上記二つのカットオフ通
    路が、上記プランジャのプリストロークが小さいときに
    はプランジャの有効ストロークの途中で互いに対向して
    連通し、上記プランジャのプリストロークが大きいとき
    には上記プランジャの有効ストローク中互いに離間して
    遮断されるように配置されていることを特徴とする燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置。
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