JPH0411619B2 - - Google Patents

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JPH0411619B2
JPH0411619B2 JP5248686A JP5248686A JPH0411619B2 JP H0411619 B2 JPH0411619 B2 JP H0411619B2 JP 5248686 A JP5248686 A JP 5248686A JP 5248686 A JP5248686 A JP 5248686A JP H0411619 B2 JPH0411619 B2 JP H0411619B2
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JP
Japan
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ceramic
tbc
gas turbine
bonding layer
coating layer
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JP5248686A
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Nobuyuki Iizuka
Fumyuki Hirose
Naotatsu Asahi
Yoshuki Kojima
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は高温あるいは高温腐蝕環境下で用いら
れるガスタービン燃焼器及びその製造方法に関す
る。 〔従来の技術〕 発電用ガスタービンプラントの発電効率を向上
することを目的として、ガスタービンの高温化技
術が検討されている。このような高温化に伴なつ
て、ガスタービン部材の耐熱温度の向上が望まれ
ている。Ni基あるいはCo基等の合金材料の開発
により、これら耐熱合金の耐熱温度が向上してき
ているが、現状では850℃程度で飽和している。
一方、セラミツク材料は耐熱性の点では金属材料
に比べで優れているが、構造材として用いるには
靱性等の問題がある。従つて、このような部材の
高温化に対処するために、部材が高温にならない
ような方法の検討が盛んに行なわれている。この
ような方法として、部材の冷却方法が各種検討さ
れている。又、もう一つの方法として熱伝導率の
小さいセラミツクを、金属部材の表面にコーテイ
ングする方法がある。このようなコーテイングは
熱遮蔽コーテイング(Thermal Barrier
Coating以下TBCと略す)と呼ばれている。
TBCは各種の冷却方法と組み合わせて用いるこ
とにより、その効果は大きくなる。一例として、
基材である金属部材の温度をTBCを施さないも
のに比べて50〜100℃低減できるという報告もあ
る、このような方法を用いることによつて、高温
ガスタービン等の構成部材の信頼性を向上させる
ことができる。ところで、TBCの技術的課題と
しては、TBCは基材を構成する耐熱合金と物性
値が異なるセラミツク被覆層1を組み合わせたも
のであるため、基材とセラミツク被覆層との密着
機構及びその信頼性の問題がある。特に、ガスタ
ービン等では起動停止等の熱サイクルにより、セ
ラミツク被覆層の剥離、脱落等の損傷が生じる。
そこで、このような点を解決する方法として各種
の手段が用いられている。主な方法としては、例
えば、特開昭55−112804号公報に見られる如くセ
ラミツク被覆層と基材との間に、金属材料からな
る結合層を設けるものがある。その結合層は基材
とセラミツク被覆層の物性値の相異を緩和するこ
とを目的としている。この場合、セラミツク被覆
層と結合層との密着機構は機械的な結合にすぎず
その強度は2〜5Kg/mm2である。更に、結合層の
他に、被覆層とセラミツク被覆層の間に、被覆層
を構成する合金材とセラミツク被覆層を構成する
材料との混合物からなる層を形成したものがあ
る。この方法はセラミツク被覆層と結合層との物
性値の相異を緩和することを目的としたものであ
るが、この場合も、セラミツクと合金材流との結
合状態は機械的な結合にすぎない。従つて、熱サ
イクル等により、TBCに大きな熱応力が生じた
場合、結合力の弱い部分から剥離、脱落等の損傷
が生じることになる。 更に、このようなTBCに用いるセラミツク被
覆層、結合層及び中間層は、主にプラズマ溶射法
で形成される。その理由は被覆層形成速度が速く
経済性に優れていることの他に、セラミツク被覆
層に適用した場合に溶射被膜の多孔質な構造を利
用することにある。すなわち、空孔や微細なクラ
ツクを形成することにより、空孔やクラツクを、
熱応力の緩和作用に利用している。このようにプ
ラズマ溶射で形成したセラミツク溶射被膜は、ス
パツタリング等の方法で形成した緻密なセラミツ
ク被覆層に比べ熱サイクル等の作用による熱衝撃
性に優れている。しかし、TBCは高温度で、燃
焼中の不純物等による高温腐蝕条件下で用いられ
るため、プラズマ溶射により多孔質構造のセラミ
ツク被覆層を形成したTBCでは、合金被覆層あ
るいは中間層を形成する合金材料の高温酸化、高
温腐食の問題がある。合金材料は高温耐酸化、耐
食性に優れた成分であるが、それらの合金被覆層
の形成方法により、必ずしも、本来の合金材料で
予想される高温耐酸化性、耐食性を発揮するもの
ではないと考えられる。本発明者らの検討によれ
ばTBCを高温酸化或いは高温腐食環境下にさら
した後、熱サイクル試験を行なつた結果、その耐
久性は著しく低下することが判明した。この場
合、セラミツク材料と合金材料との結合が本来機
械的に結合でその強度が弱いことに加え、更に、
その境界部分の合金材料の表面が酸化あるいは腐
蝕されその密着力が更に低下したためと考えられ
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 従来のTBCでは、セラミツクと合金材料の結
合層が低いということ、更に、高温酸化、高温腐
蝕等により合金材の表面が変化しセラミツク合金
材料の結合力が更に低下すると考えられる。この
ような問題点はTBCの信頼性を大巾に低下させ
るものである。プラズマ溶射法においても、大気
中で溶射を行なう方法の他に、プラズマアークの
周囲の雰囲気を制御し更にその雰囲気圧力をも制
御する減圧雰囲気中溶射が行なわれている。この
ような減圧雰囲気中溶射によれば、溶射中の溶射
粒子が酸素等によ初て汚染されないので、非常に
良好な金属合金結合層が形成できる。このような
金属合金結合層は高温ガスタービン部材の高温酸
化、高温腐食を防止する被覆層として利用されて
いる。そこで、本発明者らは以上の点にかんがみ
て、TBCの信頼性を向上させることを目的とし
て、セラミツクと合金材料の結合機構の強化とい
う点に注目し各種の検討を行なつた。 本発明者らは、従来用いられている各種の材料
によるTBCについて検討した。例えば、ZrO2
セラミツク被覆層と金属合金材料からなる結合層
とから成るTBCを用い、TBCの高温酸化試験を
実施した。この試験は高温条件下で使用されるガ
スタービン部品あるいは局部的に高温になるガス
タービン部品へのTBCの施工を考慮したもので
ある。その結果、従来のTBCはZrO2系被覆層と
結合層の界面の酸化が著しく進行することが判つ
た。そして、試験前後のTBCの密着力を判定し
た結果、1000℃、500時間の酸化試験で、ZrO2
被覆層と結合層との界面の密着力は1/2〜1/4に低
下することがわかつた。このような密着力の低下
は、ZrO2系被覆層の厚さ、気孔率、更にZrO2
の添加剤の種類及び量によつて若干の相異が認め
られるが、いずれもその低下は著しい。又、結合
層の合金材料の成分に関しても若干の相異がある
が、いずれも低下していた。このような界面の密
着力の低下は酸化試験の温度が高くなるほど或い
は試験時間の増加とともに著しくなる。そして、
1100℃、100時間の試験では一部、界面からの剥
離損傷が認められるものがあつた。一方、金属合
金材料とZrO2系材料との混合物を中間層として
用いたTBCでは、酸化試験による密着力の低下
は更に著しいものであつた。このような結果は、
本発明者らが実施した高温熱サイクル試験の結果
とも対応している。すなわち、970℃、1020℃、
1070℃、1120℃のそれぞれの温度で30分間保持、
空冷により150℃までの冷却を繰り返す試験にお
いても試験温度が高くなるに従つて、TBCの損
傷が生じるまでの繰り返し数は著しく低下してい
た。このような従来のTBCの問題は、ガスター
ビンの高温化に対処した信頼性の優れたTBCを
得る上で重大な障害となる。すなわち、ガスター
ビンの部品の基材温度が高くなるのを防止し、そ
の温度を低減化することを目的としてTBCを実
施するに際して、従来のTBCを施した部品では
TBCの高温耐久性が低いので、部品の基材温度
の低減を十分発揮することは困難である。 そこで、本発明者らは従来のTBCを施工した
ガスタービン部品に代り、高温稼動条件下でもガ
スタービン部品の基材温度の低減化を十分発揮し
うる高温耐久性に優れたTBCを施工したガスタ
ービン部品について検討した。 すなわち、本発明者らは以上のような点を考慮
して、ガスタービンの高温化を達成しうるに十分
なTBCを得ることを目的として各種の検討を行
ない、耐久性に優れたTBCを有するガスタービ
ン燃焼器を発明するに至つた。 本発明の目的は、TBCの信頼性を向上させる
ことにある。すなわち、セラミツク材料と基材と
の結合力が長時間にわたつて安定しており、クラ
ツクや剥離の起りにくいTBCを有するガスター
ビン燃焼器を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、金属材料より成る基材上に、この基
材よりも高温耐酸化、高温耐蝕性に優れた合金の
結合層を形成し、前記合金結合層上にセラミツク
被覆層を形成したガスタービン燃焼器において、
前記合金結合層とセラミツク被覆層との境界に予
めAlを主成分とする酸化物層を形成したことを
特徴とする。 基材は、Niを35〜61重量%、Coを1〜3重量
%、Feを14〜27重量%含むNi基合金が望ましい。 結合層は、Ni又はCoを主成分とし、Crを10〜
30重量%及びAlを5〜30重量%含む合金が望ま
しい。これに更にHf,Ta,Y,Si,Zrの1つ以
上を0.1〜5重量%含むと更に望ましい。 セラミツク層は、ZrO2を主成分とし、CaOと
MgOとY2O3の1つを含むものが望ましい。CaO
の量は4〜10重量%、MgOの量は8〜24重量%、
Y2O3の量は4〜20重量%が望ましい。CaOと
MgOとY2O3の2つ以上を複合添加することも可
能である。 〔作用〕 本発明によれば、Alを主成分とする酸化物層
が、高温雰囲気中でも安定であり、これにより合
金結合層の酸化の進行を防止し、しかもセラミツ
ク被覆層との結合強度も強いため、長時間の使用
に対してもセラミツク被覆層のクラツクの発生、
剥離を防止できる。 〔実施例〕 以下、本発明の詳細について説明する。先ず、
従来のTBCの問題点について詳細に検討し、そ
の原因について調べた。各種の酸化試験を実施し
たTBCについて、その断面組織の観察を行なつ
た。その結果の一例を第5図及び第6図に示す。
これらの組織写真は、結合層部分の断面を100倍
の倍率で示すものであり、第5図ではZrO2系被
覆層と結合層との界面部分に欠陥が生じている。
第6図は結合層とZrO2系被覆層との間に合金材
料とZrO2系材料との混合層を形成したTBCの結
果である。この場合、中間層の合金材料は著しく
酸化している。これらの現象は高温熱サイクル試
験でも認められる。すなわち、TBCでは、熱応
力を緩和する多孔質あるいは微細クラツクを有し
た構造のZrO2系被覆層を通じて結合層の下部に
ある合金被覆層或いは中間層の酸化という問題が
生じる。このような酸化は、界面の密着力を著し
く低下させ、熱応力等によつてその界面部から
TBCに剥離損傷が生じることになる。このよう
な界面の酸化の原因としては、高温状態でZrO2
系材料が半導体となり、酸素の移動を容易にし、
境界面部の酸素分圧の増加を生じることも一つの
重要な要因であると考えられる。このような酸化
は例えば中間層を形成した場合、界面の面積の増
加を招くのでより促進すると考えられる。従来の
TBCについて界面の状態を分析した結果、界面
にはCrを主成分とする酸化物が形成されていた。
このようなCr系酸化物は高温で不安定であるた
め、その酸化物を生じた部分から損傷が生じてい
た。従つて、高温ガスタービン用TBCにおいて
は、界面での酸化というものを十分考慮すること
が必要である。本発明者らは、このような観点か
ら、各種の方法について検討した結果、界面部に
Alを主成分とする緻密な構造の酸化物薄膜を形
成することが有望であることを見い出した。Al
系酸化物を高温で安定であり、かつ、ZrO2系材
料のように高温で半導体にもならない。従つて、
Al系酸化物の薄膜は内部酸化を防止するバリヤ
ーとして有効なものである。一方、このような
Al系酸化物層の厚さは、厚い場合Al系酸化物の
物性値を反映した新たな中間層となる。その結
果、熱応力等によりAl系酸化物層から損傷を生
じることになる。一方、薄すぎる場合は、内部酸
化防止作用を十分満足するバリヤーとなり得な
い。従つて、その厚さは0.1μm以上、20μm以下
であることが望ましい。このような範囲のAl系
酸化物層は結合層の内部酸化を防止するバリヤー
層として十分はものになる。一方、このような
Al系酸化物の薄層の重要な作用として、ZrO2
セラミツクと結合層との密着力を向上させること
を見い出した。すなわち、従来のTBCがZrO2
セラミツクと結合層を構成する金属合金とが機械
的に結合していたのに比べ、本発明者らが見い出
したAl系酸化物の薄膜を介してのZrO2系セラミ
ツクと結合層との密着は、Al系酸化物とZrO2
セラミツクという酸化物どうしの界面と、結合層
を構成する金属合金中のAl成分から生じるAl系
酸化物というものになり、その密着機構は非常に
強固なものになる。一例として、このようなAl
系酸化物の薄膜を有するTBCの1000℃,500時間
の酸化試験において、結合層とZrO2系セラミツ
ク被覆層の密着力はほとんど低下せず7Kg/mm2
上である。第1図は高温酸酸化試験明のTBCの
断面組織の一例であり、倍率は100倍である。第
1図ではZrO2系セラミツク被覆層と結合層との
界面部には何ら欠陥が生じていない。又、1100
℃、100時間の酸化試験でも同様で密着力の低下、
あるいは、界面部での欠陥の発生は全く認められ
ない。更に、1030℃,1070℃,1120℃,1170℃の
それぞれの温度で30分間保持、空冷による150℃
までの冷却を繰り返す試験の結果は表1のようで
ある。
【表】 表1中試料No.201〜204は従来のTBC、No.205〜
208はAl系酸化物の薄膜を有するTBCの結果であ
る。その結果、Al系酸化物の薄膜を有するTBC
は従来のTBCに比べTBCが損傷にいたるまでの
繰り返し数は約3〜7倍であつた。又、試験温度
が高くなるに従つて、その効果は顕著になる。こ
のように、本発明者らが見いだした、Al系酸化
物の薄膜を有するTBCは高温条件下で特に効果
が顕著なものである。このようなTBCを施した
ガスタービン部品は高温条件下でも安定なものと
なりうる。更に、Al系酸化物の薄膜を介して接
合したZrO2系被覆層を有するTBCでは、ZrO2
被覆層の密着力が7Kg/mm2以上である。この密着
力は従来のTBCのZrO2系被覆層の密着力が3〜
5Kg/mm2程度であつたのに比べ非常に大きい。従
つて、燃焼部器部品等で生じる燃焼振動により
TBCの損傷を防止することが可能である。そこ
で、このようにTBCを施したことによる効果に
ついて検討した。ガスタービン部品において燃焼
器のように基材温度が高くなる部品においては、
高温の燃焼ガスにさらされる部分に上記のような
高温耐久性に優れたTBCを施工することにより、
基材の温度低減を安定して得ることが可能にな
る。一例として、円筒形状の燃焼器に対して、高
温ガスにさらされる円筒の内面に上記のような
Al系酸化物の薄膜を有するTBCを施した燃焼器
は、従来のTBCを施した部品に比べ、TBCが損
傷に至るまでの稼動時間は約3倍になつていた。
これは、Al系酸化物の薄膜を有するTBCが耐久
性特に高温条件下での耐久性に優れているためで
ある。従つて、TBCを施すことによつて得られ
る燃焼器の基材温度の低減効果は安定して維持さ
れる。一方、従来のTBCを施した燃焼器では、
短時間でTBCが損傷し、特に基材温度の高い部
分のTBCの損傷が著しくなつてしまう。その結
果、TBCによる基材の温度低減の効果は消失し、
基材の温度が高くなり、部品の損傷に至つてしま
う。更に、燃焼器において、基材の強度、あるい
は燃焼器の固定等の構造上から圧縮空気等による
冷却が一分に行えない部分は、特に基材の温度上
昇が生じ易くなつている。このような部分では
TBCの役割は特に重要で、TBCの熱遮蔽効果に
よる基材の温度低減の他に、熱伝導率の小さいセ
ラミツク被覆層を有するTBCは、局部的な基材
の温度上昇を防止し、基材の温度を均一化させる
作用も有している。その結果、TBCは、構造上
或いは燃焼条件等のための部品の局部的な温度上
昇を防止し、基材の局部的な温度上昇による部品
の変形或いは損傷を防止する上で非常に重要なも
のになる。しかるに、従来のTBCは、特に高温
での耐久性に問題があり、このような基材の温度
が局部的に高くなる部品においては、その部分の
TBCは短時間で損傷し易い。燃焼器では燃焼振
動により基材が振動するので高温条件下でセラミ
ツク被覆層の密着力の低下したTBCは更に損傷
を生じ易くなる。そのため、最もTBCの効果が
必要である部分に対して、十分な効果を発揮する
ことができなくなる。そして、TBCの損傷した
部分では他のTBCが健全である部分に比べ基材
の温度はむしろ高くなる可能性もあるうる。例え
ば燃焼器のように火炎に接している部品では
TBCはセラミツク被覆層のふく射の効果により
火炎から基材への入熱量を低減する作用もある。
従つて、TBCの損傷した部分の基材温度は、
TBCを施工しない場合に比べて高くなつてしま
うこともありうる。その結果、従来のTBCを施
工した燃焼器は、TBCの効果を十分に発揮しう
ることは困難であり、むしろ、基材の温度が高い
部分に対しては、従来のTBCを施工した燃焼器
では、信頼性を損なうこともありうる。一方、
Al系酸化物の薄膜を有するTBCを施工した本発
明のガスタービン燃焼器では、TBCが特に高温
での耐久性に優れたものであるため、基材の温度
が高くなる部分でのTBCの損傷は生じ難い。従
つて、Al系酸化物の薄膜を有する本発明のガス
タービン燃焼器は、基材の温度が局部的に高くな
つても、TBCによる熱遮蔽効果が十分維持され、
かつ、TBCによる局部的な温度上昇を緩和する
作用も発揮される。その結果、本発明のガスター
ビン燃焼器は信頼性の高いものなる。また、基材
の温度が局部的に高くなる部品においては、その
部分にAl系酸化物の薄膜を有するTBCを施工す
ることも有効である。すなわち、TBCの熱遮蔽
効果により、局部的な温度上昇を防止することが
できるからである。更に、他の部分にTBCが無
い場合、TBCセラミツク被覆層のふく射の効果
により、TBCを施工した部分の基材への入熱量
を低くすることができ、他のTBCの無い部分と
の入熱量のバランスをとり、基材の局部的な温度
上昇を防止することも期待できうる。このよう
に、Al系酸化物の薄膜を有するTBCはガスター
ビン燃焼器の高温にさらされる部分の全面あるい
は一部分に施工されることによつて、いずれの場
合もその効果を十分発揮しうるものである。この
ような基材の温度の局部的な温度上昇は、ガスタ
ービンが高温化するに伴なつて、大きくなる傾向
がある。従つて、Al系酸化物の薄膜を有する
TBCを形成したガスタービン部品は信頼性の高
いものとなり、ガスタービンの高温化を可能にす
るものなりうる。以下、本発明について実施例に
より詳細に説明する。 実施例 1 基材としてNi基合金であるハステロイ−X(22
重量%Cr−1.5重量%Co−9重量%Mo−19重量
%Fe−0.1重量%C−残部Ni)を用い、その表面
を脱脂洗浄後、スチール製のグリツドを用いてプ
ラスチングし、しかる後、プラズマ溶射を行い、
10重量%Ni−25重量%Cr−7重量%Al−0.6重量
%Y−5重量%Ta−残部Coからなる合金材料の
被覆層を形成した。プラズマ溶射は200Torrの圧
力のAr中で行なつた。この場合プラズマ溶射を
行う雰囲気中の酸素分圧は、酸素センサーで測定
した結果103気圧以下であつた。プラズマの出力
は40kWである。このような条件で厚さ0.01mmの
Co,Ni,Cr,Al,Y合金被覆層を形成し、TBC
の結合層とした。しかる後、直ちに前述の結合層
の上にZrO2−8重量%Y2O3被覆層を形成した。
溶射条件はプラズマ出力50kWで、大気中溶射で
ある。ZrO2−8%Y2O3被覆層の厚さは0.3mmであ
る。その後、1060℃、10時間の真空中加熱処理を
行い結合層と基材との拡散処理を行つた。なお、
比較のため、従来法によつて本発明のTBCと同
じ材料を用いて、同じ厚さの被覆層からなる
TBCを作成した。従来法として前述の合金材料
を大気中でArガスを使用して溶射し、次いで前
述と同様にZrO2−8%Y2O3を被覆した。次に、
本発明のTBCの効果を確認するため、以下に述
べる各種の試験を実施した。先ず、各種の温度で
酸化試験を行ない、試験後の外観観察及び断面組
織観察更に、密着力試験を実施した。表2は外貨
観察及び密着力試験の結果である。
【表】
【表】 表2中No.1〜No.6は従来のTBCの結果、No.7
〜No.11は本実施例で作成した本発明のTBCの結
果である。すなわち、従来のTBCでは1070℃以
上の温度(100時間保持)で、ZrO2−8%Y2O3
被覆層が剥離しTBCは損傷した。一方、本発明
のNo.7〜No.11のTBCは外観的に何ら損傷は認め
られない。一方、酸化試験後のTBCの密着力試
験の結果も、TBCが損傷していないNo.1〜No.6
の従来のTBCは、その密着力は2〜5Kg/mm2で、
酸化試験温度の増加とともに密着力は低下してい
る。又、密着力試験での破断部分は結合層と
ZrO2−8%Y2O3との境界部である。一方、No.7
〜No.11に示した本発明のTBCではいずれの酸化
試験条件下でもTBCの密着力の低下は認められ
ず、接着剤(接着剤の密着強度Kg/mm2)を用いた
密着力試験法の限界値である7Kg/mm2以上の値で
あつた。従つて、試験後の破断部はいずれも接着
剤の部分である。次に、上記酸化試験後の試験片
を用いて熱サイクル試験を実施した。試験条件は
750℃、15分間保持、20〜25℃水中、15秒間保持
の繰り返しである。表3はその結果である。
【表】
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、結合層の
酸化腐蝕の進行を防止できるので、セラミツク被
覆層の結合強度を長期間にわたり、安定的に維持
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を実施したTBCの断面の金
属組織を示す顕微鏡写真、第2図は、TBCを施
すガスタービン燃焼器の外観図、第3図は第2図
の−線に沿う断面図、第4図は、TBCを施
した別のタイプの燃焼器の外観図、第5図、及び
第6図は、従来のTBCの高温酸化後の断面の金
属組織を示す顕微鏡写真である。 1……燃焼器ライナ、2……ルーバ、3……ラ
イナ内面。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 Ni,Co,Feの少くとも1種を主成分とする
    基材上にNiとCoの一方を主成分としCrとAlを含
    み前記基材よりも高温耐酸化、高温耐蝕性に優れ
    た合金の結合層を有し、前記結合層上にZrO2
    主成分とするセラミツクから成る被覆層を有する
    ガスタービン燃焼器において、前記結合層と前記
    セラミツク被覆層の境界に予めAlを主成分とす
    る酸化物層を形成したことを特徴とするセラミツ
    ク被覆ガスタービン燃焼器。 2 特許請求の範囲第1項において、前記基材が
    Niを35〜61重量%、Coを1〜3重量%、Feを14
    〜27重量%含むNi基合金よりなることを特徴と
    するセラミツク被覆ガスタービン燃焼器。 3 特許請求の範囲第1項において、前記セラミ
    ツク被覆層を構成する材料が、ZrO2を主成分と
    し、CaO,MgO,Y2O3の1つ以上を含むもので
    あることを特徴とするセラミツク被覆ガスタービ
    ン燃焼器。 4 特許請求の範囲第1項において、前記結合層
    を構成する材料が、CoあるいはNiのいずれか1
    つを主成分とし、Crを10〜30重量%及びAlを5
    〜30重量%含み、更にHf,Ta,Y,Si,Zrの1
    つ以上を0.1〜5重量%含む合金よりなることを
    特徴とするセラミツク被覆ガスタービン燃焼器。 5 特許請求の範囲第1項において、前記Alを
    主成分とする酸化物層の厚さが0.1μm〜20μmで
    あることを特徴とするセラミツク被覆ガスタービ
    ン燃焼器。 6 Ni,Co,Feの少くとも1つを主成分として
    構成されたガスタービン燃焼器基材の表面に、
    Ni,Coののいずれか一方を主成分としCrとAlを
    含み前記基材よりも高温耐酸化性、高温耐食性に
    優れた合金の結合層を形成する工程と前記結合層
    の表面にZrO2を主成分とするセラミツクからな
    る被覆層を形成する工程と、前記結合層と前記セ
    ラミツク被覆層の境界にAlを主成分とする酸化
    物層を形成する熱処理工程とを含むことを特徴と
    するセラミツク被覆ガスタービン燃焼器の製造方
    法。 7 特許請求の範囲第6項において、前記結合層
    を、酸素分圧10-3気圧以下の雰囲気中でプラズマ
    溶射にて形成することを特徴とするセラミツク被
    覆ガスタービン燃焼器の製造方法。 8 特許請求の範囲第6項において、前記Alを
    主成分とする酸化物層を形成する工程は、600℃
    〜1200℃の温度範囲で1時間〜200時間、大気中
    で加熱処理する工程を含むことを特徴とするセラ
    ミツク被覆ガスタービン燃焼器の製造方法。 9 特許請求の範囲第1項において、前記結合層
    或は前記セラミツク被覆層を、燃焼器軸芯に対
    し、燃焼器下流側を向くようにして溶射施工する
    ことにより形成することを特徴とするセラミツク
    被覆ガスタービン燃焼器の製造方法。
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