JPH04115642U

JPH04115642U - 保温性透湿防水布帛

Info

Publication number: JPH04115642U
Application number: JP1985491U
Authority: JP
Inventors: 佐知子中野; 千秋塚本; 富雄清水
Original assignee: 東洋ゴム工業株式会社
Priority date: 1991-03-29
Filing date: 1991-03-29
Publication date: 1992-10-14

Abstract

(57)【要約】【目的】透湿性及び耐水性を保有しつつ、さらに肌触り
及び感触を良好とし、保温性及び断熱性をもたせる。【構成】繊維基材１に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡
体層２を積層する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は雨衣のほか、ウィンドブレーカー、スキーウェアーなどのスポーツ衣料等に特に好適に用いられる保温性透湿防水布帛に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より透湿防水布帛としては、繊維基材に透湿性を有する微多孔質皮膜や無孔質の皮膜層を積層したもの、また保温性を上げるために撥水処理した布帛の間に中綿を多量に詰めたもの、透湿性を有する皮膜層にアルミニウム、カーボン、セラミック等の無機質の粉体を入れたものが知られている（特公昭６０−４７９５５号、特公平１−３３５９２号、特開平１−２９１９２７号など）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしこれらの透湿防水布帛は透湿性及び耐水性等の点では比較的良好であるが、肌触りが冷たく、衣料、特に雨衣や、ウィンドブレーカー、スキーウェアーなどのスポーツ衣料等に使用した場合、保温性に欠け、汗が結露したりする問題があった。また保温性を上げるために中綿を多量に詰めたものでは、衣料が分厚くなり、嵩張ったり、動きにくいなどの欠点があり、またアルミニウム、カーボン、セラミック等を入れたものも肌触りが冷たい等の問題があった。

【０００４】この考案の目的は、透湿性及び耐水性が損なわれず、風合いや肌触りがよく、保温性及び断熱性に優れた透湿防水布帛を提供する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため鋭意検討した結果、この考案は、保温性透湿防水布帛を、従来の様に繊維基材に微多孔質皮膜或はこれに無孔質の皮膜層を積層するのではなく、繊維基材に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を単独で積層するか又は繊維基材に無孔質透湿性樹脂皮膜を積層し、さらにその上に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を積層する構成を採用した。

【０００６】繊維基材としては、木綿等の天然繊維、ポリアミド系、ポリエステル系等の合成繊維による織布、不織布、編物などをあげることができるが、特に限定はされない。

【０００７】独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層に用いる透湿性樹脂としては、溶剤に可溶で、水に膨潤し難く、フィルム形成能を有する透湿性樹脂であれば特に制限はなく、ポリウレタン系、ポリアミノ酸系、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリエステル系、ポリ酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系などが使用できる。特にポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ酸系樹脂であって、ＪＩＳＺ−０２０８Ｂ法により測定したフィルム（膜厚１０μ）の透湿率が１０００ｇ／ｍ²・２４Ｈ以上であるものが好適である。これらの樹脂は通常有機溶媒に溶かして用いられるが、この場合、溶液中の固形分は１０〜５０重量％、溶液粘度は１００〜５０００ＣＰＳになるごとく調節される。

【０００８】透湿性樹脂発泡体層において独立気泡を発泡形成する方法としては、例えば、機械的攪拌によって起泡する方法、化学反応時に発生するガスにより発泡する方法、液化ガスを圧入する方法、低沸点の揮発性溶剤を混入又は含浸させ気化させる方法、熱分解型あるいは熱膨脹マイクロカプセル等の発泡剤を使用する方法等があげられる。発泡層を形成する方法は上記の方法に限定されないが、上記の中でも特に熱膨張マイクロカプセルを透湿性樹脂重合体の溶液或はエマルジョン中に均一に混合分散し、得られたコンパウンドを塗布し、透湿性樹脂中で加熱発泡して形成する方法が最も好ましい。この方法より透湿性樹脂発泡体層は、熱可塑性樹脂膜で気化性液体を包埋してなる熱膨張性マイクロカプセルが透湿性樹脂中で加熱発泡して形成される。

【０００９】なお本考案における独立気泡は、実質的に独立気泡であれば足り、完全独立のほか、独立気泡率の高い発泡体も包含する。

【００１０】この考案で用いる熱膨張性マイクロカプセルは、気化性液体を熱可塑性樹脂膜で包埋した微小球であって、適度の温度に加熱すると、中に包埋された液体が気化し、その圧力でカプセル全体が膨張し、体積の拡大した気泡体を与える（以下「発泡」と略記する。）。当該マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂としては、５０〜２００℃の軟化点を有するものが好ましく、この種の樹脂としてはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテートなどのホモポリマーまたはこれらのコポリマーを例示することができる。

【００１１】包埋する気化性液体としては、容易にマイクロカプセル化し易く、安価な低級炭化水素、例えば液体ブタンなどが適当である。発泡前のマイクロカプセルの粒径は５〜３０μであり、これを５０〜２００℃で数分間加熱したときに数倍ないし数十倍に発泡する性質を有する。

【００１２】なお、熱膨張性マイクロカプセルと透湿性樹脂との混合割合は、溶液中の樹脂固形分１００重量部当りマイクロカプセル２〜５００重量部の範囲で用いられるが、これは２重量部以下では発泡後特にソフト感に欠け、５００重量部以上では透湿性樹脂発泡体層の強度が弱く、また基材との接着が悪くなり、かつ透湿性も損なわれることによる。なお特に５〜１００重量部が好ましい範囲である。この熱膨張性マイクロカプセルの混合に際しては、例えばディゾルバー、ホモディスパー、ペイントロールなどの適当な方法を用い、均一に混合分散させることが肝要である。

【００１３】上記の透湿性樹脂発泡体層を積層する方法としては、例えば溶液タイプであれば前記の通りコーティングすればよいが、熱可塑性タイプでも差し支えなく、この場合では押出し等によりフィルムを形成して積層する。

【００１４】無孔質透湿性樹脂皮膜を形成する樹脂としては、前記の独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を形成する樹脂と同様の樹脂が使用できる。無孔質透湿性樹脂皮膜を形成する方法としては、繊維基材上に前記樹脂の溶液又はエマルジョンをコーティングする方法、熱可塑性樹脂を押し出し、同時にラミネートする方法、或いは前記の樹脂を前もってフィルム化しておき、これを貼り合わせる方法等を適宜使用することができる。なお場合により、独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層の上に、無孔質透湿性樹脂皮膜を薄くコーティングすることも可能である。

【００１５】なおこの無孔質透湿性樹脂皮膜や前記の透湿性樹脂発泡体層に、吸湿剤を添加すると、汗をさらに吸湿しやすくなる点で好ましく、またカーボン、アルミニウム、セラミック等の粉体を入れると保温性が増す。またゼオライト、活性炭等の脱臭効果を有する粉末を入れることもできる。また保温性透湿防水布帛の耐漏水性を向上させるため、撥水剤を内添するか、又は塗布前或は塗布後に繊維基材に撥水処理するか、又はこれらのいずれを組み合わせてもよい。また撥水剤としてはフッ素系、シリコン系等があげられる。

【００１６】できあがった保温性透湿防水布帛の透湿度は、５００ｇ／ｍ²・２４Ｈ以上（ＪＩＳＺ０２８Ｂ法）、耐水圧は０．２Ｋｇ／ｃｍ³以上（ＪＩＳＬ１０２９）である。

【００１７】

【作用】

この考案に係る布帛は、繊維基材に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を単独で積層するか、又は繊維基材に無孔質透湿性樹脂皮膜を積層し、さらにその上に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を積層した構成であるので、透湿性及び耐水性に優れるとともに、保温及び断熱性に優れている。また表面が汚れず、さらに肌触り及び風合いの点でも良好である。

【００１８】

【実施例】（実施例１）図１はこの考案に係る保温性透湿防水布帛の一実施例を示す断面図で、１は繊維基材、２はこの繊維基材１上に積層した独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層である。この実施例では、繊維基材１はポリエステル／コットン＝７０／３０の割合で織製されており、透湿性樹脂発泡体層２は熱可塑性樹脂膜で気化性液体を包埋してなる熱膨張性マイクロカプセルがウレタン重合体の透湿性樹脂中で加熱発泡して形成されている。

【００１９】この実施例の保温性透湿防水布帛を得るには、まずポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを常法により加熱重合し、得られたウレタン重合体をトルエン−イソプロパノール混合溶媒に溶解する。そしてこの溶液にその固形分１００重量部当り熱膨張性マイクロカプセル（商品名「マイクロスフェアーＦ −５０Ｄ、松本油脂製薬社製）５０重量部を添加し、均一に混合した後、上記繊維基材１に１００ｇ／ｍ²塗布し、５０℃で２０分間乾燥し、その後１４０℃で１分間加熱発泡させることにより、繊維基材１上に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層２が形成された保温性透湿防水布帛を得る。

【００２０】（実施例２）図２はこの考案に係る保温性透湿防水布帛の他実施例を示す断面図で、１は繊維基材、３はこの繊維基材１上に積層した無孔質透湿性樹脂皮膜、４はこの無孔質透湿性樹脂皮膜３上にさらに積層した独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層である。

【００２１】ところでこの実施例では、繊維基材１をナイロンタフタとし、このナイロンタフタに、ウレタン樹脂溶液（商品名「ハイムレンＹ−１１９」、大日精化社製）１００重量部、架橋剤（商品名「レザミンＮＥ」、大日精化社製）８重量部、促進剤（商品名「レザミンＨＩ−２１５」、大日精化社製）２重量部、ＤＭＦ／トルエンを２５重量部／２５重量部を混合したものを、ナイフコーターで８０ｇ／ｍ²塗布した後、９０℃で２分間乾燥し、繊維基材１上に無孔質透湿性樹脂皮膜３を形成した。ついでその上に、ウレタン樹脂溶液（商品名「ハイムレンＹ−２２９」、大日精化社製）を１００重量部、ＭＥＫ１１０重量部、水／ＭＥＫを８６重量部／４重量部を混合したものに、その固形分１００重量部あたり熱膨張性マイクロカプセル（商品名「マイクロスフェアーＦ−３０、松本油脂製薬社製）を５０重量部添加して均一に混合したものを、１００ｇ／ｍ²塗布し、８０℃で１０分間乾燥し、その後１２０℃で３分間加熱発泡させることにより、独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層３を形成した。

【００２２】次に前記実施例１及び上記実施例２の保温性透湿防水布帛について、透湿度、耐水圧、保温性を測定した。表１はその結果を示す。なお、透湿度はＪＩＳＺ０２０８Ｂ法、耐水圧はＪＩＳＬ１０２９により測定し、保温性は屋外着用テスト（外気温５℃）により評価した。

【００２３】なお比較例としては、ナイロンタフタ上にウレタン樹脂エマルジョン（商品名「ハイムレンＸ−３０３８」、大日精化社製）１００部、ＭＥＫ１３部、トルエン１７部、水５０部、ＭＥＫ５部、架橋剤（商品名「レザミンＸ」、大日精化社製）２部、及び撥水剤（商品名「レザミンＵＭ−３１７」、大日精化社製）２部を均一に混合したものをナイフコーターで２００ｇ／ｍ²塗布した後、８０℃で２分、更に１３０°で２分乾燥し、微多孔質皮膜を形成し、ついでポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを常法により加熱重合し、得られたウレタン重合体をトルエン−イソプロパノール混合溶媒に溶解した溶液を、上記の微多孔質皮膜の上に１００ｇ／ｍ²塗布し、５０℃で２０分間乾燥し、無発泡の無孔の透湿性樹脂層を形成した布帛を用いて、透湿度、耐水圧、保温性を測定した。この比較例についても表１に併記する。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１から理解できる様に、実施例と比較例はいずれも透湿度及び耐水圧の点で良好であるが、実施例では比較例に比べて着用時の肌触りが良好であり、５分間ランニング後の身体側の濡れは実施例では生じず、ウィンドブレーカー、スキーウェアーなどのスポーツ衣料等に特に好適であることが認められた。

【００２６】なおこの考案は上記の実施例に限定されるものではない。特にこの考案の保温性透湿防水布帛は、ウィンドブレーカー、スキーウェアーなどのスポーツ衣料等に格別好適ではあるが、雨衣や医療用或いは防塵用衣料のほか、テント、防水シートなどの各種の用途に適用できる。

【００２７】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は、繊維基材に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を積層するか、或いは繊維基材に無孔質透湿性樹脂皮膜を積層し、さらにこの上に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層を積層した保温性透湿防水布帛であるので、透湿性及び耐水性が良好であるほか、さらに風合いや肌触りがよく、保温性及び断熱性に優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る保温性透湿防水布帛の一実施例
を示す断面図である。

【図２】この考案に係る保温性透湿防水布帛の他実施例
を示す断面図である。

【符号の説明】

１繊維基材２独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層３無孔質透湿性樹脂皮膜４独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｄ０６Ｍ 23/04 7199−3ＢＤ０６Ｍ 15/564 7199−3Ｂ 21/04 (72)考案者清水富雄兵庫県加古郡稲美町六分一字内ケ池1176番地東洋ゴム工業株式会社兵庫事業所兵庫工場内

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】繊維基材に独立気泡からなる透湿性樹脂発
泡体層を積層したことを特徴とする保温性透湿防水布
帛。
【請求項２】繊維基材に無孔質透湿性樹脂皮膜を積層
し、さらにその上に独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体
層を積層したことを特徴とする保温性透湿防水布帛。
【請求項３】独立気泡からなる透湿性樹脂発泡体層は、
熱可塑性樹脂膜で気化性液体を包埋してなる熱膨張性マ
イクロカプセルが透湿性樹脂中で加熱発泡して形成され
ている請求項１又は２記載の保温性透湿防水布帛。