JPH0410988Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は工作機械に於ける軸状ワークの振止め
装置に関するものであり、更に詳しくは、工作機
械、特にフライス盤による軸状ワークの加工に際
し、該軸状ワークを一定位置に精度良く位置決め
固定するワーク支持装置に関するものである。

従来の技術 長軸状ワークの加工に際し、ワークの自重によ
る湾曲やビビリ防止するため種々の型式の振止め
装置が使用されている。しかしながら、在来の殆
どの振止め装置は旋盤用に設計されている。

考案が解決しようとする課題 上記の如き旋盤専用の振止め装置は、当然のこ
とながら他の種類の工作機械への転用が考慮され
ておらない。このため、フライス盤による軸状ワ
ークの溝加工等に上記振止め装置を転用しようと
すると、ワークの脱着方向と加工方向が一致して
いることに起因して、サイドカツタあるいはエン
ドミル等の工具と振止め装置とが干渉し、振止め
機能を低下せしめると共に、多くの場合、位置決
め精度の不良に起因してワークの加工そのものを
殆ど不可能にする。

本考案の主要な目的は、在来の振止め装置に認
められた上記の如き問題点を解消することのでき
る軸状ワークの振止め装置を提供することにあ
る。

問題点を解決するための手段 上記の問題点に鑑みて本考案は、工作機械のベ
ツド上に固着されたベースフレームと、該ベース
フレームに割出し装置とテールストツクとの間に
支持された軸状ワークの長軸方向と直交する方向
に揺動自在に支承され、かつ、先端部に第１の軸
状ワーク支持片を固着した軸状ワーク支持アーム
と、該軸状ワーク支持アームの移動面に沿つて所
定の方向に直線移動し得るように前記ベースフレ
ームに対して滑り係合自在に装着されたスライド
ブロツクと、前記軸状ワーク支持アームの先端に
固着された第１の軸状ワーク支持片のワーク支持
点の移動面と略同一の平面上に第２のワーク支持
点を位置せしめた状態で前記スライドブロツクに
固着された第２の軸状ワーク支持片と、前記ベー
スフレームおよびスライドブロツクに設けられた
２本の交叉長溝内に嵌まり込むスライドピンを一
端に固着すると共に、前記第１および第２のワー
ク支持点の移動面と略同一の平面上に第３のワー
ク支持点を位置せしめた第３の軸状ワーク支持片
を他端に固着してなる同期スライド部材とからな
る工作機械に於ける軸状ワークの振止め装置を要
旨とするものである。

作 用 ピンを介して揺動自在に支持された第１の軸状
ワーク支持片と、上記第１の軸状ワーク支持片の
移動面と略同一の平面に沿つて同調状態で移動す
る第２の軸状ワーク支持片および第３の軸状ワー
ク支持片とによつて、軸状ワークの支持平面上に
サイドカツタあるいはエンドミル等の工具の進入
経路を形成する。斯くして、フライス盤の割出し
装置とテールストツクとの間に支持された軸状ワ
ークに、芯ずれや振れの発生しない安定した切削
条件を付与すると共に、工具と振止め装置との干
渉に起因する加工不能状態を確実に回避する。

実施例 １ 第１図および第２図は軸状ワークの側面部分の
切削加工に際し使用される本考案装置の正面図で
あり、第３図はその側面図である。また、第４図
は本考案装置の背面図である。これらの図面に見
られるように、本考案装置は、フライス盤のベツ
ド１上に固着されたベースフレーム２と、該ベー
スフレームに基端部がピン３を介して割出し装置
とテールストツクとの間に支持された軸状ワーク
１４ａまたは１４ｂの長軸方向と直交する方向に
揺動自在に支承され、かつ、先端部に第１の軸状
ワーク支持片６ａを固着した軸状ワーク支持アー
ム４と、該軸状ワーク支持アームの移動面に沿つ
てベツド１の上面と直交する方向に直線移動し得
るように、前記ベースフレームに対してスライド
自在に装着されたスライドブロツク５と、前記軸
状ワーク支持アーム４の先端に固着された第１の
軸状ワーク支持片６ａのワーク支持点P₁の移動
面と略同一の平面上に第２のワーク支持点P₂を
位置せしめるように前記スライドブロツク５に固
着された第２の軸状ワーク支持片６ｂと、前記ベ
ースフレーム２およびスライドブロツク５に設け
られた互いに直交する２本の長溝２ａおよび５ａ
内に嵌まり込むスライドピン７ａを一端に固着す
ると共に、前記第１のワーク支持点P₁および第
２のワーク支持点P₂の移動面と略同一の平面上
に第３のワーク支持点P₃を形成してなる第３の
軸状ワーク支持片６ｃを他端に固着してなる同期
スライド部材７によつて構成されている。

更に詳しく説明すると、図示する実施態様に於
ては、ベースフレーム２の側壁面から略水平に突
出したクランプボルト８ａの先端を、スライドブ
ロツク５の胴部に形成された案内溝５ｂ内に相対
スライド自在に嵌装すると共に、支持レール９に
よつて上下動自在に支持されたスライドブロツク
５と、ベースフレーム２とを、上端にラチエツト
式の回転レバー１１を装着した送りネジ１０によ
つて相対移動自在に係合せしめることによつて、
鉛直方向に沿つてスライドブロツク５を移動さ
せ、且つ、所定の位置に第２の軸状ワーク支持片
６ｂを位置させる位置決め固定機構を形成してい
る。また、上記位置決め固定機構に対応して、前
記ベースフレーム２の上部に、クランプボルト８
ｂ、ピン３を中心として同心円状に延びる前記ク
ランプボルト８ｂの嵌め込み溝１２、ならびにア
ジヤストスクリユー１３からなる軸状ワーク支持
アーム４の位置決め固定機構を形成すると共に、
第３の軸状ワーク支持片６ｃの位置決め固定機構
として、ベースフレーム２に設けられた第１の長
溝２ａと、該第１の長溝２ａと直交するようにス
ライドブロツク５に設けられた第２の長溝５ａと
の交叉点に同期スライド部材７の基端部に固着さ
れたスライドピン７ａを、前記第１の長溝２ａお
よび第２の長溝５ａに対して相対移動自在に嵌装
している。

以上の説明から理解されるように、本考案装置
は、略同一の平面上即ち、第１の軸状ワーク支持
片の移動面に軸状ワーク１４ａまたは１４ｂの支
持点P₁，P₂およびP₃を位置せしめるため、第２
の軸状ワーク支持片６ｂと第３の軸状ワーク支持
片６ｃとの間に、互いに直交する第１の長溝２
ａ、第２の長溝５ａおよびこれらの長溝の交叉点
に嵌装されたスライドピン７ａからなる同調移動
機構を介在させ、これによつて第２の軸状ワーク
支持片６ｂと第３の軸状ワーク支持片６ｃとを同
調下に移動させ、また、軸状ワーク支持アーム
４、スライドブロツク５および同期スライド部材
７にそれぞれ、軸状ワーク支持片６ａ，６ｂおよ
び６ｃの位置決め固定機構を設けることによつて
前記支持点P₁，P₂およびP₃の位置決め精度を向
上させている。従つて、工作機械、例えばフライ
ス盤の割出し装置とテールストツク（何れも図示
省略）との間に支持された軸状ワーク１４ａまた
は１４ｂの直径、あるいは工具１５ａまたは１５
ｂの寸法、形状の変化とは無関係に、上記軸状ワ
ークは精度良く位置決めされ、また上記位置決め
固定機構の操作によつて、軸状ワークの側方に工
具の作動域が確保される。

実施例 ２ 第５図および第６図は軸状ワークの上面部分の
研削加工に際し使用される本考案装置の正面図で
あり、第７図はその背面図である。第５図乃至第
７図に示す軸状ワークの振止め装置は、割出し装
置とテールストツク（何れも図示省略）との間に
支持された軸状ワーク１４ａまたは１４ｂの上方
に工具の作動域を確保するため、スライドブロツ
ク５の移動方向をフライス盤のベツド１の上面に
対して約45°傾斜させ、且つ、同期スライド部材
７の移動方向を前記ベツド１の上面と直交させて
いる。それ以外の各溝成部材の構造ならびに構成
部材相互の相対配設条件は、実施例１に記載した
ものと同一であるから、実施例１と同一の参照番
号で表示するものとして細部に亘る説明を省略す
る。

考案の効果 以上の説明から理解されるように、本考案装置
を使用することによつて、在来の振止め装置に於
て問題となつていた振止め構造の本体と工具との
干渉を排除し、軸状ワークの上方もしくは側方に
広い工具の作動域を確保することができる。ま
た、軸状ワークの直径の変化に応じて、その支持
片の配設位置を同調作動下に変換させることによ
つて、軸状ワークに３点支持方式の振止め機能を
向上せしめた支持状態を付与することができる。
本考案装置はまた、スライド方式の同期機構を採
用しているため、単に装置の全体構造の簡易化が
達成されるのみならず、公知のラツクピニオン方
式あるいは成形カム方式の同期機構に比較してバ
ツクラツシユ等に起因するガタツキの少ない位置
決め精度の良好なワーク支持条件を維持せしめる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は軸状ワークの側面部分の
切削加工に際し使用される本考案装置の正面図で
あり、第３図はその側面図である。また、第４図
は上記第１図および第２図に例示する本考案装置
の背面図である。 第５図および第６図は軸状ワークの上面部分の
研削加工に際し使用される本考案装置の正面図で
あり、第７図はその背面図である。 １……ベツド、２……ベースフレーム、４……
軸状ワーク支持アーム、５……スライドブロツ
ク、６ａ，６ｂ，６ｃ……軸状ワーク支持片、２
ａ，５ａ……長溝、７ａ……スライドピン、７…
…同期スライド部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作機械のベツド上に固着されたベースフレー
   ムと、該ベースフレームに割出し装置とテールス
   トツクとの間に支持された軸状ワークの長軸方向
   と直交する方向に動揺自在に支承され、かつ、先
   端部に第１の軸状ワーク支持片を固着した軸状ワ
   ーク支持アームと、該軸状ワーク支持アームの移
   動面に沿つて所定の方向に直線移動し得るように
   前記ベースフレームに対して滑り係合自在に装着
   されたスライドブロツクと、前記軸状ワーク支持
   アームの先端に固着された第１の軸状ワーク支持
   片のワーク支持点の移動面と略同一の平面上に第
   ２のワーク支持点を位置せしめた状態で前記スラ
   イドブロツクに固着された第２の軸上ワーク支持
   片と、前記ベースフレームおよびスライドブロツ
   クに設けられた２本の交叉長溝内に嵌まり込むス
   ライドピンを一端に固着すると共に、前記第１お
   よび第２のワーク支持点の移動面と略同一の平面
   上に第３のワーク支持点を位置せしめた第３の軸
   状ワーク支持片を他端に固着してなる同期スライ
   ド部材とからなる工作機械に於ける軸状ワークの
   振止め装置。