JPH04107993U - 電子式消音装置および電子式消音装置を用いた音声再生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］持ち運び可能かつ簡単な装置により環境の騒音
を低減させる。 ［構成］イヤホン１の外耳道対向面にスピーカ１ａの他
にマイクロホン１ｂを設け、マイクロホン１ｂで検出し
た音声信号と逆位相の音声信号を発生させる信号発生器
４を設け、信号発生器４の信号によりスピーカ１ａを駆
動して外耳道の騒音を低減させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は騒音と逆位相の音を発生させて騒音をキヤンセルする電子式消音装 置に係わり、また、前記電子式消音装置を用いた音声再生装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、騒音を低減するためには居住空間の周囲を防音材で囲んで外部からの音 を遮断していた。また、ヘッドホンステレオ等音声再生装置は再生された音声の みスピーカから放射していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】

上記した従来の騒音低減の方法では、防音材等のおおがかりな設備を必要とす るという問題があった。また、外部騒音レベルの高い所でヘッドホンステレオを 聴く場合は、音楽が聞き取りにくく、イコライザで補正したり、音量を上げて聴 いていたため、聴力障害を起こしたり、音漏れで他人に迷惑をかけることがあっ た。

【０００４】 この考案は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところ は、外部騒音を打ち消す音を発生させて騒音を低減する消音装置を提供すること にある。

【０００５】 また、この考案の他の目的は、再生された音声信号に騒音をキヤンセルするた めの信号を加えた信号によりスピーカを駆動して再生音を騒音に妨げられること なく聴取することが可能な音声再生装置を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案の電子式消音装置は、イヤホンの外耳道対向面にスピーカの他にマイ クロホンを設け、前記マイクロホンで検出した音声信号と逆位相の音声信号を発 生させる信号発生器を設け、前記信号発生器の信号により前記スピーカを駆動し て外耳道の騒音を低減させるものである。

【０００７】 また、前記信号発生器の出力レベルおよび発生信号周波数範囲を可変させ、低 減する騒音種別の選択を可能としたものである。

【０００８】 また、この考案の電子式消音装置用イヤホンは、周囲に音漏防止カバーを設け 外耳道対向面にスピーカの他に複数のマイクロホンを設けたものである。

【０００９】 さらに、この考案の電子式消音装置は、前記電子式消音装置用イヤホンを用い 、複数のマイクロホンで検出した音声信号の位相により前記信号発生器で発生さ せる信号の位相を決定し、騒音低減効率を高めたものである。

【００１０】 この考案の音声再生装置は、イヤホンにスピーカの他にマイクロホンを設け、 前記マイクロホンで検出した音声信号と逆位相の音声信号を発生させる信号発生 器を設け、前記信号発生器の信号を音声再生装置で発生した信号に加えてスピー カを駆動することにより騒音低減状態で音声再生装置で発生した音声を聴取する ことを可能としたものである。

【００１１】 さらに、この考案の音声再生装置は、前記マイクロホンで検出した音声信号を フイルタを介して信号発生器に入力し、低減する騒音の成分を特定するものであ る。

【００１２】 また、前記フイルタは複数設けられており、使用するフイルタを選択すること により低減する騒音の種類を選定するものである。

【００１３】

【作用】

外耳道に入る騒音はイヤホンに設けられたマイクロホンにより電気信号に変換 されて信号発生器に入力される。信号発生器は入力された信号と同一の周波数か つ逆位相の信号を発生させその信号によりスピーカを駆動する。スピーカより発 生する音は騒音と周波数が同じで逆位相であり、騒音の空気振動をキャンセルし て騒音を低減する。

【００１４】 信号発生器に入力する信号を通過させるフイルタを各々の騒音の周波数に帯域 を合わせたものを選択し、また、信号発生器出力レベルを各々の騒音の除去に合 わせることにより、低減される騒音の種別を設定することができる。

【００１５】 また、イヤホンに複数のマイクロホンを設けて、それらから検出される信号に より、信号発生器の発生信号の位相を調節して騒音低減効率を高めることができ る。

【００１６】 上記の信号発生器の信号を音声発生装置の信号に加えてスピーカを駆動するに より、騒音の低減された状態で音声発生装置の再生音を聴取することが可能とな る。

【００１７】

【実施例】

この考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１乃至図３にこの考案の第１ の実施例を示す。図１はブロック図を示し、図において、１および２は夫々左右 のイヤホンであり、夫々スピーカ１ａ，２ａおよびマイクロホン１ｂ，２ｂが設 けられている。これらは図２（ａ）に示すようにイヤホン１，２に取付けられて おり、図２（ｂ）に示すようにイヤホンを耳に嵌めると外耳道に対向する。

【００１８】 マイクロホン１ｂ，２ｂは外耳道の騒音を電気信号に変換してプリアンプ３， ３ａに出力する。プリアンプ３，３ａは入力信号を増幅して信号発生器４，４ａ に出力する。信号発生器４，４ａは入力信号と同一かつ逆位相の信号を出力する 。信号発生器４，４ａの出力信号の周波数帯域は数段階に切替可能となっており 、その帯域は騒音種別選択スイッチ６により選択される。また、その出力レベル も数段階に切替可能となっており、出力レベルは出力レベル切替スイッチ５によ り選択される。信号発生器４，４ａの出力はアンプ７，７ａで増幅されスピーカ １ａ，２ａを駆動する。上記プリアンプ３，３ａ，信号発生器４，４ａ，出力レ ベル切替スイッチ５，騒音種別選択スイッチ６およびアンプ７，７ａは図３に示 すケース内に収納され持ち運び可能となっている。

【００１９】 上記構成により、外耳道の騒音と同一周波数かつ逆位相の音がスピーカ１ａ， １ｂより放射されて騒音が相殺されて低減する。また、電車の中や車の中等環境 が変わると騒音の種別が変わるので騒音種別選択スイッチ６により信号発生器４ ，４ａの出力信号の周波数帯域を騒音種別に合わせ、また、出力レベル切替スイ ッチ５により出力レベルを騒音低減効率を高めるよう調整することができる。

【００２０】 図４および図５を参照してこの考案の第２の実施例を説明する。この実施例で は図４に示すように、イヤホン１の前面にはスピーカ１ａの他にマイクロホン１ ｂ，１ｃが設けられており、周囲にゴム製の音防止カバー１ｄが設けられている 。このようなイヤホンを耳に嵌めてスピーカ１ａの放射音により外耳道の騒音を 低減させる。スピーカ１ａから外耳道の騒音と同一周波数かつ逆位相の音が放射 されて騒音が低減されることは第１の実施例と同様である。但し、この実施例で は、２つのマイクロホンから騒音の位相が検出され、これら検出された位相の中 間の位相が求められ、その位相と逆位相の信号が信号発生器から出力される。

【００２１】 図５に外耳道の騒音レベルの例を示す。図の縦軸に騒音レベルを横軸に騒音の 周波数を示している。騒音が低減されない場合の騒音レベルを曲線Ａで示すと、 実施例１の消音装置により騒音を低減した場合の騒音レベルは曲線Ｂで示すレベ ルとなる。この実施例のように、２つのマイクロホンから騒音の位相が検出され 、スピーカの放射音位相が調整されると騒音レベルは曲線Ｃに示すようになり騒 音低減効率が高められる。ゴム製の音防止カバー１ｄはイヤホンが耳から外れな いようにするとともにスピーカ１ａの音が外部に漏れることを防止する。

【００２２】 図６にこの考案の第３の実施例を示す。この実施例ではイヤホンに設けられた マイクロホン１ｂの出力はフイルタ８を介して信号発生器４に入力される。フイ ルタ８はマイクロホン１ｂの出力から騒音成分を抽出して信号発生器４に出力す る。フイルタ８の帯域は騒音の種類に合せたものが数種類あり、任意の帯域を選 択できるようになっている。信号発生器４は入力信号と同一かつ逆位相の信号を 出力する。信号発生器４の出力はアンプ７で増幅され加算器１０に出力される。 加算器１０にはヘッドホンステレオ等の音声再生装置９の出力も入力されこれら の入力信号は加算されてイヤホン１のスピーカを駆動する。信号発生器４の信号 を音声発生装置９の信号に加えてスピーカを駆動するにより、騒音の低減された 状態で音声発生装置９の再生音を聴取することが可能となる。

【００２３】 図７にこの考案の第４の実施例を示す。この実施例では第３の実施例の装置に おける信号発生器４にはフイルタ８の出力から音声発生装置９の出力が減算器１ １で減算されて信号発生器４に入力される。他の構成は第３の実施例と同様であ る。

【００２４】 この実施例ではマイクロホンに入力される音声発生装置９の出力が減算器１１ で取り除かれ、騒音成分をキヤンセルする信号のみが信号発生器４から出力され る。

【００２５】

【考案の効果】

この考案の電子式消音装置によれば、持ち運び可能かつ簡単な装置により騒音 環境の中で快適な生活を可能とする。

【００２６】 また、この考案の音声再生装置によれば、騒音レベルの高い環境において、騒 音に煩わされることなく音楽を聴くことができ、不必要に音量を上げることがな くなり聴覚障害が防止され、また、音漏れがなくなり周囲の人に迷惑をかけるこ とがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第１の実施例である電子式消音装置
を示すブロック図である。

【図２】図２（ａ）は同実施例のイヤホンを示す斜視
図、図２（ｂ）は同イヤホンの使用状態を示す部分断面
図である。

【図３】同電子式消音装置を示す外観図である。

【図４】この考案の第２の実施例である電子式消音装置
用イヤホンを示す断面図である。

【図５】同実施例による騒音低減効果を示すグラフであ
る。

【図６】この考案の第３の実施例である音声再生装置を
示すブロック図である。

【図７】この考案の第４の実施例である音声再生装置を
示すブロック図である。

【符号の説明】

１ イヤホン ２ イヤホン ３ プリアンプ ４ 信号発生器 ５ 出力レベル切替スイッチ ６ 騒音種別選択スイッチ ７ アンプ ８ フイルタ ９ 音声再生装置 １０ 加算器 １１ 減算器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 武田 民主 東京都渋谷区渋谷２丁目17番５号株式会社 ケンウツド内 (72)考案者 田井 康裕 東京都渋谷区渋谷２丁目17番５号株式会社 ケンウツド内 (72)考案者 大津 秀紀 東京都渋谷区渋谷２丁目17番５号株式会社 ケンウツド内 (72)考案者 勝本 洋史 東京都渋谷区渋谷２丁目17番５号株式会社 ケンウツド内

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 イヤホンの外耳道対向面にスピーカの他
   にマイクロホンを設け、前記マイクロホンで検出した音
   声信号と逆位相の音声信号を発生させる信号発生器を設
   け、前記信号発生器の信号により前記スピーカを駆動し
   て外耳道の騒音を低減させる電子式消音装置。
2. 【請求項２】 前記信号発生器の出力レベルおよび発生
   信号周波数範囲を可変させ、低減する騒音種別の選択を
   可能とした請求項１の電子式消音装置。
3. 【請求項３】 周囲に音漏防止カバーを設け外耳道対向
   面にスピーカの他に複数のマイクロホンを設けた電子式
   消音装置用イヤホン。
4. 【請求項４】 請求項３のイヤホンを用い、複数のマイ
   クロホンで検出した音声信号の位相により前記信号発生
   器で発生させる信号の位相を決定し、騒音低減効率を高
   めた請求項１の電子式消音装置。
5. 【請求項５】 イヤホンにスピーカの他にマイクロホン
   を設け、前記マイクロホンで検出した音声信号と逆位相
   の音声信号を発生させる信号発生器を設け、前記信号発
   生器の信号を音声再生装置で発生した信号に加えてスピ
   ーカを駆動することにより騒音低減状態で音声再生装置
   で発生した音声を聴取することを可能とした音声再生装
   置。
6. 【請求項６】 前記マイクロホンで検出した音声信号を
   フイルタを介して信号発生器に入力し、低減する騒音の
   成分を特定する請求項１の音声再生装置。
7. 【請求項７】 前記フイルタは複数設けられており、使
   用するフイルタを選択することにより低減する騒音の種
   類を選定する請求項６の音声再生装置。