JPH039140B2

JPH039140B2 -

Info

Publication number: JPH039140B2
Application number: JP2928482A
Authority: JP
Inventors: Teruyuki Tsujita; Hideo Suzuki; Kosaku Nakano
Original assignee: Fujikura Ltd
Current assignee: Fujikura Ltd
Priority date: 1982-02-25
Filing date: 1982-02-25
Publication date: 1991-02-07
Also published as: JPS58145751A

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は電線、ケーブルの絶縁体などに用い
られる架橋性樹脂組成物に関する。従来より電線、ケーブルの絶縁体やシース材に
は、その用途によつてブチルゴム、クロロプレン
ゴム、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴム
や、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリ塩化
ビニルなどのプラスチツクが用いられている。そ
して最近このような材料の一つとしてゴムとプラ
スチツクの両方の性質を持つ熱可塑性エラストマ
ーが用いられはじめた。このような熱可塑性エラ
ストマーの１つに、スチレン・エチレン−ブチレ
ン・スチレン共重合体を主体とした組成物があ
る。この組成物は、熱可塑性でありながらゴム状
弾性を有し、その特徴は、耐熱性が高く、可撓性
にも優れているので特にバツテリーケーブル用ジ
ヤケツトやフレキシブルコードなどの被覆材料と
して好適なものである。しかしながら、このスチ
レン・エチレン−ブチレン・スチレン共重合体を
主体とした組成物は、耐油性、カツトスルー、加
熱変形に劣るという欠点を有している。また、こ
の組成物よりなる被覆にハンダゴテが接触する
と、被覆が溶けてしまうという欠点も有してお
り、これら欠点の解消が望まれていた。この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、
耐油性、カツトスルー、加熱変形、耐ハンダ性が
改善され、被覆材料として優れ諸特性を発揮する
ことのできるスチレン・エチレン−ブチレン・ス
チレン共重合体を主体とする架橋性樹脂組成物を
提供することを目的とするものである。以下、この発明を詳しく説明する。この発明の架橋性樹脂組成物は、スチレン・エ
チレン−ブチレン・スチレン共重合体と油とポリ
プロピレンとからなる樹脂組成物に安定剤、架橋
助剤とを添加してなるものである。スチレン・エチレン−ブチレン・スチレン共重
合体は、スチレンとエチレン−ブチレンとのブロ
ツク共重合体で熱可塑性エラストマーであり、油
との相溶性が良好なポリマーである。そして、こ
の共重合体は、エラストマーであるにもかかわら
ず、分子鎖中に二重結合がないため、耐候性、耐
熱性もよい。そこでこのスチレン・エチレン−ブ
チレン・スチレン共重合体には油が加えられる。
この油としては、どのようなもでもよいが、通常
は鉱油が用いられる。油の添加量は、スチレン・
エチレン−ブチレン・スチレン共重合体20〜70重
量部に対して10〜50重量部である。油の添加量が
増加すると組成物が軟らかくなりすぎ、また添加
量が少ないと組成物の混練が困難となる。さら
に、スチレン・エチレン−ブチレン・スチレン共
重合体と油と混和物には、ポリプロピレンが加え
られる。ポリプロピレンは、通常のアイソタクチ
ツクポリプロピレンや変性ポリプロピレンなどが
用いられる。このポリプロピレンは、組成物に機
械的強度と耐熱性とを付与するもので、その添加
量は上記共重合体20〜70重量部に対して10〜16重
量部であり、添加量が10重量部未満では上記添加
効果が発揮されず、60重量部では組成物が硬くな
りすぎ不都合である。このスチレン・エチレン−
ブチレン・スチレン共重合体と油とポリプロピレ
ンとを混合した樹脂組成物の混合比を図示したも
のが図面のグラフである。３成分を示す三角形の
内部の六角形で囲まれた部分が上述の混合比に相
当する。このようなスチレン・エチレン−ブチレン・ス
チレン共重合体と油とポリプロピレンとの樹脂組
成物には酸化防止剤、銅害防止剤などの安定剤と
架橋助剤とがさらに添加される。酸化防止剤には
イルガノツクス1035（チバ、ガイギー社）やBHT
（２，６ジｔ−ブチル−ｐ−クレゾールまたは３，
５ジ−ｔブチルハイドロキシトルエン）などのア
ルキルフエノールやMDP（２，2′−メチレンビス
((４−メチル−６−ｔ−ブチルフエノール))）な
どのアルキレンビスフエールやナフチルアミンな
どの芳香族アミン例えばAO−18（アデカ，アー
ガス社）等、一般に使用されるものが用いられ、
鋼害防止剤は本発明の架橋性樹脂組成物を電線被
覆などの用途に用いられる場合に添加されるもの
で、一般的に使用されるトリアゾール類のマーク
CDA−１（アデカ，アーガス社）などが用いられ
る。これらの安定剤の添加量は前記樹脂組成物
100重量部に対して１〜20重量部であり、１重量
部未満では安定剤としての効果が発現せず、20重
量部を越えると架橋性樹脂組成物の物性が低下し
て不都合である。また、架橋助剤は、樹脂組成物
を電子架橋や加熱架橋によつて架橋する際、架橋
を促進するもので、電子線架橋を行う場合には
TMP（トリメチロールプロペントリメタアクリレ
ート）などが用いられ、加熱架橋を行う場合には
DCP（ジクミルパーオキサイド）などの有機過酸
化物が用いられる。これらの架橋助剤の添加量
は、上記樹脂組成物100重量部に対して１〜20重
量部であり、１重量部未満では充分な架橋効果が
現われず、添加量が増加すると架橋が進むが、20
重量部を越えると架橋が過度となつて架橋樹脂組
成物が脆くなつて不都合となる。そして、スチレン・エチレン−ブチレン・スチ
レン共重合体、油、ポリプロピレン、安定剤およ
び架橋助剤よりなる混合物は、通常のロール、ニ
ーダなどによつて充分に混練されて、目的の架橋
性樹脂組成物とされる。なお、この組成物には
種々の難燃剤を加えて難燃架橋樹脂組成物とする
ことも可能である。この架橋樹脂組成物は、電線などの導体上や絶
縁体上に被覆されたり、あるいは所定の形状に成
形されたのち、電子線架橋装置もしくは加熱炉に
よつて架橋されて使用される。このようにして得られた架橋性樹脂組成物は、
架橋によりゲル化されており、油に溶けにくくな
り、耐油性が格段に良くなる。また、カツトスル
ー、加熱変形、耐ハンダ性など機械的特性も架橋
により改善される。特に、耐ハンダ性については
ハンダゴゴテに接触しても樹脂分がゲル化してい
るので、溶けることがない。以下、実施例を示して具体的に説明する。実施例第１表に示す配合によつて、No.１，２，３の３
種の架橋性樹脂組成物を用意し、これらの組成物
を電子線架橋法によつて架橋させ、架橋物の物性
を測定した。比較のため、架橋前の物性も測定し
た。結果を第２表に示した。

【表】

【表】以上説明したように、この発明の架橋性樹脂組
成物は、スチレン・エチレン−ブチレン・スチレ
ンブロツク共重合体20〜70重量部、油10〜50重量
部、ポリプロピレン10〜60重量部よりなる樹脂組
成物100重量部に安定剤１〜20重量部、架橋助剤
１〜20重量部を添加してなるものであるので、容
易に架橋してゲル化し、耐油性、カツトスルー、
加熱変形がすぐれ、かつ可撓性、引張強度等の特
性も良好で、特に耐ハンダ性の優秀な架橋樹脂組
成物が得られる。よつて、この架橋性樹脂組成物
は、電線被覆用みならず、収縮チユーブ、シー
ト、成形品などにも好適に使用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の架橋性樹脂組成物に用いられ
るスチレン・エチレン−ブチレン・スチレンブロ
ツク共重合体、油、ポリプロピレンよりなる樹脂
組成物の混合比率を表わすグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】

１スチレン・エチレン−ブチレン・スチレンブ
ロツク共重合体20〜70重量部、油10〜50重量部、
ポリプロピレン10〜60重量部よりなる樹脂組成物
100重量部に安定剤１〜20重量部、架橋助剤１〜
20重量部を添加してなる架橋性樹脂組成物。