JPH038866B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、金型キヤビテイ内へプランジヤに
より溶湯を加圧充填して鋳造を行う加圧鋳造位置
に関するものである。

〔従来の技術〕

従来より、鋳造品を品質を高めしかも生産性を
向上させる手段として加圧鋳造法が採用されてい
る。この種の加圧鋳造法は、一般に、型閉めを行
つた金型キヤビテイに対しこれと連通するよう設
けた射出スリーブに、所定量の溶湯を供給した後
射出プランジヤにより前記溶湯を押圧して、この
溶湯を前記金型キヤビテイ内へ加圧充填するもの
である。

しかしながら、前述した従来の加圧鋳造法によ
れば、射出スリーブへ迅速かつ常に一定量の溶湯
を供給する必要があり、また射出スリーブへの給
湯から金型キヤビテイ内への充填完了に至る間に
溶湯の一部が冷却凝固して製品の湯廻り不良や不
連続鋳造組織を生じる等の難点がある。さらに、
射出プランジヤの周面に溶湯の一部が凝固して付
着し、プランジヤの摺動不良を生じたり、溶湯量
を充分確保するために射出スリーブを長くするこ
とによつて、ビスケツト形成部が大きくなる難点
がある。

このような観点から、従来においては、金型キ
ヤビテイに連通するプランジヤスリーブの側壁部
に給湯管の給湯口を設け、この給湯管を保温炉に
連通接続した構成からなり、前記金型キヤビテ
イおよびプランジヤスリーブ内に前記保温炉から
給湯管を介して電磁力もしくは加圧気体によつて
溶湯を供給充填し、次いでプランジヤスリーブ
内でプランジヤチツプを前進させて前記給湯口ま
でのストロークで過剰の溶湯を保温炉側給湯管に
排出させ、その後プランジヤチツプが給湯口を
閉塞した後金型キヤビテイに充填された溶湯にプ
ランジヤによつて高圧をかけて凝固させ、さら
に前記プランジヤスリーブ内から保温炉側給湯管
内に排出された溶湯を保温炉に電磁力もしくは加
圧気体を逆方向もしくは減少方向に作動させるこ
とによつて還流させるようにした加圧鋳造方法が
提案されている（特公昭56−26509号）。

このように構成された従来の加圧鋳造方法は、
プランジヤスリーブに対し保温炉から直接給湯管
を介して電磁力もしくは気体加圧力によつて給湯
する公知の手段を利用し、この場合の給湯量の定
量性を保持するため金型キヤビテイおよびプラン
ジヤスリーブ内には過剰の給湯を行い、プランジ
ヤによる加圧充填時に前記過剰分の溶湯を排出す
ることによつて高品質の鋳造を行うものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前述した従来の加圧鋳造方法
は、金型に対するプランジヤスリーブの取付状態
から、給湯管の給湯口での取付方法で制約を受
け、前記スリーブが比較的長くなり、この結果ビ
スケツト形成部が厚くなる難点がある。すなわ
ち、従来の加圧鋳造方法によれば、プランジヤス
リーブの直径は比較的小さくすることができる
が、スリーブの長さが長くなるのを避けることは
できない。また、電磁力や加圧気体により発生す
る圧力のみで、金型キヤビテイ内へ溶湯の充填を
完了させることは、その発生する圧力が１Kg／cm²
程度の低いため、充填過程で溶湯が部分的に凝固
し易くなり、充填不良を起生する頻度が高くな
る。

そこで、本発明の目的は、金型キヤビテイおよ
びこれと連通するプランジヤスリーブに対し、溶
解炉に貯留された溶湯をピストンポンプ機構より
発生する押圧力で金型キヤビテイ内に給湯充填
し、次いでプランジヤにより溶湯を押圧並びに加
圧することにより過剰溶湯の排出を円滑に行い、
量産化が可能にして適正な加圧鋳造を行うことの
できるプランジヤ加圧鋳造方法および装置を提供
するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明に係るプランジヤ加圧鋳造装置は、金型
キヤビテイにプランジヤスリーブを連通接続し、
このプランジヤスリーブの一側部に給湯口を軸直
角に設けてこれを傾斜状態に折曲した給湯管を介
して溶解炉に接続すると共に前記プランジヤスリ
ーブ内に加圧プランジヤを挿通配置し、前記給湯
管に対する溶湯の移送手段を設けた加圧鋳造装置
からなり、 前記溶解炉の一部にこれと接続される給湯管に
対し溶湯を押圧移送するピストンポンプ機構を設
け、このピストンポンプ機構は、前記溶解炉内に
没入配置されてその上部側面の所定位置に溶湯の
供給および排出を行う通孔を設けたシリンダと、
このシリンダ内に摺動可能に挿嵌したピストンと
から構成し、さらに前記プランジヤスリーブにお
ける給湯管の給湯口の軸直角部に加熱筒を設け、
前記ピストンポンプ機構により金型キヤビテイお
よびプランジヤスリーブ内に溶湯を充填した後前
記加圧プランジヤの加圧前進を行う際に前記ピス
トンポンプ機構のピストンを若干引戻して押圧力
を解除すると共に給湯管内の溶湯を溶解炉内へ逆
流させ、金型キヤビテイ内に充填された溶湯の凝
固収縮に至るまで前記加圧プランジヤを加圧状態
に保持するよう構成することを特徴とする。

〔作用〕

本発明に係るプランジヤ加圧鋳造装置によれ
ば、金型キヤビテイ内への溶湯の充填を常に安定
して行うことができ、次いでプランジヤを前進さ
せて過剰の溶湯を排出する際にも給湯口の周りに
溶湯を凝固付着させることなく円滑に排出するこ
とができ、その後プランジヤを加圧状態に保持し
たまま金型キヤビテイ内の溶湯の凝固収縮を行つ
て高品質の鋳造品を容易かつ適正に鋳造すること
ができる。

〔実施例〕

次に、本発明に係るプランジヤ加圧鋳造装置の
実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細
に説明する。

第１図は本発明の加圧鋳造装置の要部断面図で
ある。すなわち、第１図において、参照符号１０
は固定金型、１２は移動金型、１４は固定ダイプ
レートをそれぞれ示し、固定金型１０と移動金型
１２との間に形成された金型キヤビテイ１６に対
してこれと連通するプランジヤスリーブ１８が前
記固定ダイプレート１４に設けられている。この
プランジヤスリーブ１８に対しては、プランジヤ
２０が進退自在に挿通配置され、しかもその一側
部に給湯口２２が設けられ、この給湯口２２に対
し給湯管２４を介して溶解炉２６を連通接続す
る。溶解炉２６の内部には、ピストンポンプ機構
２８が設けられる。この場合、ピストンポンプ機
構２８は、溶解炉２６内に没入配置されてその上
部側面の所定位置に溶湯の供給および排出を行う
通孔２７を設けたシリンダ２９と、このシリンダ
２９内に摺動可能に挿嵌したピストン３０とから
構成する。従つて、溶解炉２６内の溶湯は、前記
ピストンポンプ機構２８のピストン３０の押圧力
により、給湯管２４を介して移送されプランジヤ
スリーブ１８内へ供給される。なお、給湯管２４
の給湯口２２の外周には、溶湯３２の冷却凝固を
防止するため、電気ヒータ等からなる加熱筒３４
を設ければ好適である。また、移動金型１２に対
しては、鋳造完了後に鋳造品を分離するための押
出しピン３６が設けられている。

次に、このように構成した加圧鋳造装置の動作
につき説明する。

まず、第１図に示すように、プランジヤ２０の
後退限において、給湯口２２はプランジヤスリー
ブ１８内に開口しており、この時ピストンポンプ
機構２８を作動させて溶解炉２６中の溶湯３２を
そのピストン３０の押圧力により給湯管２４を介
してプランジヤスリーブ１８および金型キヤビテ
イ１６内へ供給充填する（第２図参照）。このよ
うにして、溶湯３２が金型キヤビテイ１６内に確
実に充填させると、プランジヤ２０は前進させる
と共にピストンポンプ機構２８のピストン３０の
押圧力を解除する。この結果、第３図に示すよう
に、プランジヤ２０は給湯口２２を閉塞しながら
プランジヤスリーブ１８内の過剰な溶湯３２を給
湯口２２より給湯管２４を介して溶解炉２６内へ
逆流排出させることができる。この場合、給湯口
２２に加熱筒３４を設けておくことにより、給湯
口２２での溶湯３２の凝固を防止することができ
る。また、ピストンポンプ機構２８のピストン３
０を強制的に原位置に復帰させれば、給湯管２４
内の溶湯３２のレベルを容易に降下させることが
できる（第４図参照）。その後、プランジヤ２０
を前進方向に加圧した状態で金型を冷却を行うこ
とにより、金型キヤビテイ１６内で生じる溶湯３
２の凝固収縮に対しプランジヤ２０の加圧力によ
つて加圧鋳造が達せられる（第４図参照）。

このようにして、金型キヤビテイ１６内の溶湯
３２が凝固を完了すれば、移動金型１２を移動さ
せて型開を行い、押出しピン３６を操作すること
によつて鋳造品を金型から分離することができ
る。従つて、再びプランジヤ２０を後退させて型
閉を行えば、第１図に示す状態となり、次の鋳造
サイクルに移行することができる。

〔発明の効果〕

前述した実施例から明らかなように、本発明に
よれば、溶湯をプランジヤスリーブおよび金型キ
ヤビテイ内へ充填するに際し、ピストンポンプ機
構のピストンの押圧力によつて円滑にしかも確実
に充填を完了することができ、次いでプランジヤ
の押圧に際しても前記ピストンの押圧力を解除し
て過剰な溶湯の排出を円滑に達成することができ
る。特に、本発明においては、給湯口に加熱筒を
設けることによつて、給湯口の周りすなわちプラ
ンジラの外周面に対する溶湯の付着や凝固を有効
に防止し、プランジヤの操作を常に適正に行うこ
とができる。

従つて、本発明によれば、金型キヤビテイ内へ
の溶湯の供給充填が安定状態に行われ、その後の
過剰な溶湯の排出およびプランジヤの加圧状態に
おける溶湯の凝固収縮も円滑にしかも迅速に達成
することができ、この種加圧鋳造装置の性能の向
上に寄与する効果は極めて大きい。

以上、本発明の好適な実施例につき説明した
が、本発明の精神を逸脱しない範囲内において
種々の設計変更をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るプランジヤ加圧鋳造装置
の一実施例を示す要部断面図、第２図乃至第４図
は第１図に示す装置のそれぞれ加圧鋳造工程を示
す動作説明図である。 １０……固定金型、１２……移動金型、１４…
…固定ダイプレート、１６……金型キヤビテイ、
１８……プランジヤスリーブ、２０……プランジ
ヤ、２２……給湯口、２４……給湯管、２６……
溶解炉、２７……通孔、２８……ピストンポンプ
機構、２９……シリンダ、３０……ピストン、３
２……溶湯、３４……加熱筒、３６……押出しピ
ン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金型キヤビテイにプランジヤスリーブを連通
   接続し、このプランジヤスリーブの一側部に給湯
   口を軸直角に設けてこれを傾斜状態に折曲した給
   湯管を介して溶解炉に接続すると共に前記プラン
   ジヤスリーブ内に加圧プランジヤを挿通配置し、
   前記給湯管に対する溶湯の移送手段を設けた加圧
   鋳造装置からなり、 前記溶解炉の一部にこれと接続される給湯管に
   対し溶湯を押圧移送するピストンポンプ機構を設
   け、このピストンポンプ機構は、前記溶解炉内に
   没入配置されてその上部側面の所定位置に溶湯の
   供給および排出を行う通孔を設けたシリンダと、
   このシリンダ内に摺動可能に挿嵌したピストンと
   から構成し、さらに前記プランジヤスリーブにお
   ける給湯管の給湯口の軸直角部に加熱筒を設け、
   前記ピストンポンプ機構により金型キヤビテイお
   よびプランジヤスリーブ内に溶湯を充填した後前
   記加圧プランジヤの加圧前進を行う際に前記ピス
   トンポンプ機構のピストンを若干引戻して押圧力
   を解除すると共に給湯管内の溶湯を溶解炉内へ逆
   流させ、金型キヤビテイ内に充填された溶湯の凝
   固収縮に至るまで前記加圧プランジヤを加圧状態
   に保持するよう構成することを特徴とするプラン
   ジヤ加圧鋳造装置。