JPH038269B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、多色型熱転写印字方法に関するもの
である。さらに詳しくは、レーザーを用いて熱転
写インクロールより被転写支持体に印字像を転写
させる多色型熱転写印字方法に関するものであ
る。

近年、サーマルプリンターやサーマルフアクシ
ミリなどの熱記録装置を用いた感熱記録方式に対
して記録後の保存性、改ざん性あるいは耐溶剤性
などの長所を有する熱転写記録方式が実用化され
てきている。これは熱転写記録紙と呼ばれ、支持
体上に熱溶融性インク層を設けたもので、該イン
ク層側を普通紙と重ね合わせ、サーマルフアクシ
ミリなどのサーマルヘツドからの熱により熱転写
記録紙から普通紙にインクを転写して記録を行な
うものである。

すでに単色による熱転写記録、例えば黒色記録
など実用化されており、単色から多色化へと研究
も移向し実用化されつつある。

各種公報類においても容易にみることができ
る。例えば、特開昭57−182488号公報、同57−
182489号公報、同57−182490号公報がある。

特開昭57−182488号公報では、基紙に塗設され
た熱転写インク層が赤色、青色および黄色の３原
色の各インク層と、１組の３原色のインク層ごと
に対応する黒色のインク層で形成されたものがあ
る。

特開昭57−182489号公報では複数の異なる色を
１組とするインク層を形成し、その組の中で各イ
ンク層の占有面積を、その使用頻度に比例して設
定したものがある。さらに、特開昭57−182490号
公報では複数の異なる色のインク層を副走査方向
に沿つて配列したものがある。

しかしながら、これら例示したものは転写記録
する際、転写しようとする色に応じて熱転写記録
紙の対応する色の部分に合わせるため装置の記録
系や搬送駆動系の複雑化を招くのみならず記録速
度の高速化に対応できにくいという欠点がある。

さらに、上述した熱転写記録方式で、支持体に
熱溶融性インクを設けた熱転写記録紙を用いる場
合、熱転写記録に必要な面積は熱転写記録紙の総
面積当りに対して非常に少ない比率であり、一度
使用した熱転写記録紙は再使用することが出来な
い。即ち、ワンタイム式に外ならないのである。
これは、省力化をはかる上でも極めてマイナスの
要因となるものである。

又、上記と同様に熱記録装置を用いて記録され
た印字像を多数枚複写しうるヘクトグラフ用マス
ターシート（軽印刷用マスター紙）作成の方法に
ついての引例がある。例えば、特開昭56−28892
号公報、同56−37191号公報、同57−63258号公報
を挙げることができる。

特開昭56−28892号公報では、加熱体により印
字せられる感熱記録紙の下面に、マスター像形成
基材およびその感熱転写インク層が該形成基材と
接するように向き合つたヘクトカーボン紙を順次
配置せしめるとき感熱記録による印字とそのもの
の多数枚複写が可能なヘクト用マスターシートの
作成を同時に行なうことができるというものであ
る。

同56−37191号公報では、マスター像形成基材
の下面に、その感熱転写インク層が該形成基材と
接するように向き合つたトクトグラフ用カーボン
紙を配置せしめるとき加熱体による印字によつて
多数枚複写が可能なヘクトグラフ用マスターシー
トを作成できるというものである。

同57−63258号公報では、有色染料または、酸
性顕色剤と反応して発色し得る無色のロイコ染料
とワツクス類、バインダーから主として成るイン
キを紙にコーテイングした転写紙と、普通紙様支
持体を重ね合せた後、普通紙様支持体側より加熱
印字してインキ文字を普通紙様支持体に転移せし
めることによつて軽印刷用マスター紙を得ること
ができるというものである。

これら引例ではヘクトカーボン紙あるいは転写
紙を用い感熱記録装置の手段でマスター像を作成
しようとするものであり、作成したマスターシー
トは液体複写機（スプリツト印刷機）を用いて多
数枚複写（印刷）させようとするものである。

上述した熱転写記録紙と同様、ヘクトカーボン
紙あるいは転写紙も又、ワンタイム式である。

さらに、これらはいずれも基材上に転写させる
ための組成物を塗工した塗工紙であり、基材に対
する塗工工程を必要とする。

このように上述した各引例とも発熱素子をもつ
サーマルヘツドを用いた記録方式が一般的であ
る。しかし、サーマルヘツドを用いた記録方式で
は記録の速度がサーマルヘツドの放熱時間に左右
されるため、高速化することに難点がある。

本発明者らは叙上の問題を解決すべく鋭意研究
した結果、熱転写インクロールを用いてレーザー
により多色型熱転写のできる印字方法の発明に到
達したものである。

即ち、シアン、マゼンタ、イエローの熱溶融性
インクで３分割又はシアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラツクの熱溶融性インクで４分割してなる
熱転写インクロールに対してマスター像形成基材
を接触させ、該基材の反対側からレーザーを用い
て加熱印字してのち、該基材上に印字されたマス
ター像の側を被転写支持体と重ね合わせて熱ロー
ル、サーマルヘツド、赤外線ランプ、UVランプ
のいずれか一つ又は併用の加熱装置の間に通すこ
とにより該支持体上に印字像を転写させる多色型
熱転写印字方法を提供するものである。

本発明による多色型熱転写印字方法では、レー
ザービームを用いエネルギー密度の高い光を適宜
走査させることで接触させることなくマスター像
形成基材に転移する熱溶融性インクの量をかえる
ことができ階調性をもつた多色記録をすることが
できる。

又、シアン、マゼンタ、イエローの熱溶融性イ
ンクで３分割あるいはシアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラツクの熱溶融性インクで４分割した熱転
写インクロールを用いることで多色の熱転写によ
る記録ができるという利点がある。

熱インクロールの使用は、１本のロールを記録
装置にセツトすれば極めて多量の印字ができ交換
する頻度が少なくてすむという利点がある。

そして、上述した引例による欠点、即ち記録装
置における記録系や搬送駆動系の複雑化のような
問題もなく熱転写インクロールのみの回転で所望
の色を転写でき、かつ高速化できる。

さらに、３分割又は４分割してなる該熱溶融性
インクからなる熱転写インクロールを用いること
で支持体に塗工した熱転写記録紙のようなワンタ
イム式の基材を必要としなくてもよいという利点
がある。

マスター像形成基材については、耐熱性、耐摩
耗性のある基材であればこれをエンドレスにする
ことで該基材の省力化をはかることもできる。

以下図面を用いて本発明の熱転写印字方法を説
明する。

第１図は本発明の熱転写印字方法の一実施例を
示し概略断面図である。

第１図で示されるように、熱転写インクロール
１に接触するマスター像形成基材２の反対側から
レーザー３より加熱印字されるとき熱転写インク
ロール上のインクが該基材に転移してマスター像
４を形成する。

マスター像を形成した該基材は、形成した側を
被転写支持体５と重ね合わさり熱溶融インクの融
点以上に温度を設定した熱ロール６及び７の間を
通る。

ここでマスター像は被転写支持体に転写して該
支持体上に印字像８を形成する。

一方、熱ロール６を通つたマスター像形成基材
は鋭角で離れてゆく。これはマスター像を完全に
被転写支持体に転写させるために必要かつ重要な
ことである。

以上で述べた印字方法では熱転写ロール１の単
色、例えばイエローの記録について説明したが、
図２に示した熱転写インクロールの概略断面図に
あるとおりシアンの記録を行なうとすれば上記印
字において熱転写インクロールを角度120°で回転
することでシアンの印字記録をすることができる
のである。同様の操作でマゼンタも行ない、単
色、混色の印字記録により多色化できる。

かくしてレーザーからの加熱印字が被転写支持
体上に多色の印字像を形成することができる。

なお、本実施例では熱ロール６及び７について
熱溶融インクの融点以上の温度に設定している
が、熱ロール６及び７のいずれか一方のみを加熱
して使用するようにしてもよい。

又、熱ロール６及び７のかわりにいずれか一方
をサーマルヘツド、赤外線ランプ或いは閃光型
UVランプに置きかえて他方をプラテンロールと
することもできる。さらに、それぞれの組合わせ
も可能である。

熱転写インクロールについて第２図及び第３図
を示したが、第２図ではシアン、マゼンタ、イエ
ローの熱溶融インクで３分割した熱転写インクロ
ールの概略断面図を示し、第３図ではシアン、マ
ゼンタ、イエロー、ブラツクの熱溶融インクで４
分割した熱転写インクロールの概略断面図を示
す。

本発明に用いられるレーザーについては、炭酸
ガスレーザー、YAG（イツトリウム・アルミニウ
ム・ガーネツト）レーザー、ルビーレーザー、ヘ
リウム−カドミニウムレーザー、ヘリウム−ネオ
ンレーザー、アルゴンイオンレーザーなどを適宜
用いることができる。

次に、本発明で使用される材料について具体的
に説明する。

熱溶融性インクは主としてワツクス類、色材、
低融点樹脂類からなる。

ワツクス類としては、例えばパラフインワツク
ス、マイクロクリスタリンワツクス、みつろう、
鯨ろう、セラツクろう、カルナウバワツクス、キ
ヤンデリラワツクス、モンタンワツクス、低分子
ポリエチレンワツクス等が用いられる。

色材としては、例えばマゼンタ、シアン、イエ
ロー、ブラツクなど所望する色につき通常用いら
れる無機顔料、有機顔料あるいは染料でよい。

低融点樹脂類としては、例えばエチレン・酢ビ
共重合体、エチレン・アクリレート共重合体、ブ
タジエン・スチレン共重合体、酢酸ビニール・塩
化ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ロジンおよ
びロジン誘導体、石油樹脂などが用いられる。

さらに、上記主成分に柔軟剤、例えばオレイン
酸、ヒマシ油、フタル酸ジオクチル、流動パラフ
インあるいは鉱物油などを混合して用いても何ら
さしつかえない。

マスター像形成基材としては、例えば上質紙、
薄葉紙、コンデンサー紙、グラシン紙などの紙類
あるいはポリエステル、ナイロン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、オリカーボネート、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド、テフロ
ンなどのプラスチツクフイルム類が用いられる。

特に、上述のとおりエンドレスにするときはプ
ラスチツクフイルムを用いるのがよい。

又、該基材に対してはレーザーからの熱を容易
に熱転写インクロールに伝達させるため出来る限
り薄い方がよく、好ましくは５〜50μｍとするの
がよい。

被転写支持体としては、通常平滑性の高い普通
紙が好ましいが、上記マスター像形成基材と同一
であつてもよい。

熱ロールについてはテフロン加工あるいはシリ
コーン加工したものが好ましい。熱ロールの設定
温度は使用する熱溶融インクの融点以上にしてお
く必要がある。

さらに、加熱装置のサーマルヘツド、赤外線ラ
ンプ、閃光型UVランプにおいても熱溶融インク
の融点以上の温度で使用する必要があり、それ以
下では効果がない。

ついでながら、シアン、マゼンタ、イエロー及
びブラツクの熱転写インクロールをそれぞれ直列
にしてそれぞれにサーマルヘツドを設け、それぞ
れの色に応じて加熱印字してゆけば多色化による
印字もできる。

又、３分割或いは４分割した色調以外に中間調
の色調も熱転写インクロールに加えてもよい。

かくして、本発明の多色型熱転写印字方法では
熱転写インクロールを用いてレーザーにより加熱
印字することで、従来の熱転写記録紙を使用する
ことなく、同時に頻繁に交換する必要がなく連続
的に長期にわたつて記録することができる。

さらに、レーザーのエネルギー密度をかえるこ
とで極めて高い階調性のある緻密かつ鮮明な多色
の印字像を得ることができる。

その上マスター像形成基材をエンドレスにする
ことで基材の省力化にも貢献することができ、本
発明の実用的効果は極めて大なるものであるとい
える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明における多色型熱転写印字方法
を示す概略断面図である。第１図において、１は
熱転写インクロール、２はマスター像形成基材、
３はレーザー、４はマスター像、５は被転写支持
体、６及び７は熱ロール、８は印字像である。 第２図は、シアンＣ、マゼンタＭ、イエローＹ
の熱溶融インクで３分割した熱転写インクロール
の概略断面図を示し、第３図は、シアンＣ、マゼ
ンタＭ、イエローＹ、ブラツクＢの熱溶融インク
で４分割した熱転写インクロールの概略断面図を
示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シアン、マゼンタ、イエローの熱溶融性イン
   クで３分割又はシアン、マゼンタ、イエロー、ブ
   ラツクの熱溶融性インクで４分割してなる熱転写
   インクロールに対してマスター像形成基材を接触
   させ、該基材の反対側からレーザーを用いて加熱
   印字してのち、該基材上に印字されたマスター像
   の側を被転写支持体と重ね合わせて加熱装置の間
   に通すことにより該支持体上に印字像を転写させ
   る多色型熱転写印字方法。 ２ 該加熱装置が熱ロール、サーマルヘツド、赤
   外線ランプ、閃光型UVランプのいずれか１つ又
   は併用の加熱装置である特許請求の範囲第１項記
   載の多色型熱転写印字方法。