JPH0380080B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は汚泥の処理方法に関する。 活性汚泥法等の生物学的方法は、下水、し尿及
びパルプ排水、製あん排水等の有機性排水の処理
に広く利用されているが、生物学的方法にあつて
は発生する汚泥の取扱い、特に汚泥の沈降性と脱
水性が問題となる。即ち、糸状細菌の増殖または
フロツクを形成するバクテリアの細胞の結合水に
よる膨化に起因する汚泥比重の低下は、バルキン
グ現象の原因となり、汚泥の濃縮不能や沈降槽の
表面層からの汚泥の流出といつた問題を招く。ま
た汚泥の水分量が高いほど、汚泥の脱水、さらに
汚泥の焼却処分が困難になる。 この問題を解決するため従来より一般的に実施
されてきた方法は、カチオン性ポリマーを汚泥に
添加し凝集して脱水する方法である。しかし、余
剰汚泥など離脱水性汚泥については、生成するフ
ロツクの強度が弱く十分な脱水が困難であつた。 他方、カチオン性ポリマーを用いて二段処理す
る方法が提案されている。即ち、汚泥にカチオン
性ポリマーを添加し凝集して一次脱水し、次いで
一次脱水物にカチオン性ポリマーを添加し凝集し
て二次脱水する方法である。この方法によれば二
次凝集フロツクの強度は、ある程度強くなるもの
の、一次凝集ブロツクが弱く一次脱水が困難であ
り、二次凝集フロツクの強度も未だ十分とはいえ
ない。また、ポリマーの適正添加範囲が狭く薬注
の管理が困難であるなどの欠点があつた。 本発明の目的は、より強固なフロツクが形成さ
れ、強力な脱水が可能で、脱水ケーキ含水率を大
巾に低減しえる汚泥の処理方法を提供することに
ある。 即ち、本発明の汚泥の処理方法は、有機性汚泥
に、金属塩を添加したのち、さらにアクリル酸ヒ
ドラジド系高分子化合物とアミノ基又は第四級ア
ンモニウム塩を含有する高分子化合物とを添加し
凝集して一次脱水し、次いで一次脱水物に、さら
に金属塩及び／又はアクリル酸ヒドラジド系高分
子化合物とアミノ基又は第四級アンモニウム塩を
含有する高分子化合物を添加し凝集して二次脱水
することを特徴とするものである。 本発明で使用するアクリル酸ヒドラジド系高分
子化合物（以下、AHポリマーという）としては 一般式 （式中、ＲはＨまたはCH₃を表わし、Ａはアクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステルのモノマー単位を表わ
し、Ｂはアクリル酸又はその塩、メタアクリル酸
又はその塩、または前記Ａと共重合可能なモノマ
ー単位を表わし、ｌ、ｍ及びｎは ０モル％＜ｌ≦100モル％ ｌ＋ｍ＋ｎ＝100モル％ の関係を有する） で表わされる化合物が好ましい。Ａ単位と共重合
可能なＢ単位としては塩化ビニル、酢酸ビニル、
ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル等が挙
げられる。AHポリマーの重合形態はブロツク
型、交互型、ランダム型のいずれであつてもよ
い。またAHポリマーの固有粘度は 〔η〕30℃ 1N−NaNO3＞0.1（ｄ／ｇ）であること
が望ましい。なお、AHポリマーの製造例を後記
に示したが、AHポリマーの製造法については特
開昭55−144004号公報に詳細に開示されている。 本発明で使用するアミノ基又は第四級アンモニ
ウム塩を含有する高分子化合物（以下、AAポリ
マーという）としては、ジメチルアミノエチルア
クリレートなどのアミノアルキルアクリレート、
ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミ
ノアルキルメタクリレート、ジメチルアミノプロ
ピルアクリルアミドなどのアミノアルキルアクリ
ルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルア
ミドなどのアミノアルキルメタクリルアミド又は
これらの四級化物等が挙げられる。また、これら
と共重合可能な他の単量体との共重合物も使用で
き、他の単量体としてはアクリルアミド、メタク
リルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル等が挙げられる。AAポリマーの
固有粘度は 〔η〕30℃ 0.1N−NaClが5d／ｇ以上であることが
望ましい。 本発明で使用する金属塩としては、アルミニウ
ム又は鉄の塩が好ましく、特にハンドリング面か
らアルミニウム塩が好ましい。アルミニウム又は
鉄の塩としては塩化アルミニウム、ポリ塩化アル
ミニム（PAC）、硫酸バンド、硫酸第一鉄、硫酸
第二鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、ポリ硫酸鉄等
が挙げられる。これら金属塩の添加によつて汚泥
フロツクは、より沈降しやすい状態になる。 本発明の方法を実施するには、まず金属塩を汚
泥に添加し、汚泥中に金属塩が均一に分散するよ
う適宜撹拌を行いつつ、上記のポリマーを同一の
溶液として又は別々に同時に汚泥に添加し、汚泥
を凝集せしめたのち、一次脱水を行う。一次脱水
は、ロータリースクリーン、布スクリーンを使
う方法が望ましい。一次凝集により生成する汚泥
フロツクは、大きく緻密であるため、容易に一次
脱水ができ、後段の二次脱水もよりも効果的に実
施できる。この段階での金属塩の添加量は、汚泥
のSSに対し0.2〜6.0％、好ましくは0.3〜3.0％で
ある。またAHポリマーとAAポリマーとの使用
割合は、重量比で１：９〜９：１、好ましくは
２：８〜８：２であり、これらポリマーの添加量
は、汚泥のSSに対し総計で0.2〜3.0％が好まし
い。 次に、一次脱水により得られた一次脱水物に、
金属塩を、又はAHポリマーとAAポリマーを、
或いは金属塩と両ポリマーとを添加し、凝集して
二次脱水を行う。二次脱水はベルトプレス、遠心
分離後、スクリユープレス、フイルタープレス等
の公知の手段によつて実施される。この段階での
金属塩の添加量は、一次脱水物のSSに対し0.2〜
6.0％、好ましくは0.3〜3.0％である。またAHポ
リマーとAAポリマーとの使用割合は、重量比で
１：９〜９：１、好ましくは２：８〜８：２であ
り、これらのポリマーの添加量は、一次脱水物の
SSに対し総計で0.2〜3.0％が好ましい。なお、金
属塩とポリマーとを同時に汚泥又は一次脱水物に
添加することは効果が劣り、好ましくない。 本発明によれば、金属塩と上記ポリマーを使用
し、かつ二段処理を行うことから、大きくかつ緻
密な汚泥フロツクを形成することができる。この
ため、汚泥の重力過性が優れ脱水ケーキ含水率
が低く、また布からの剥離が良好で、薬注管理
も容易である。それゆえ、本発明を実施すること
によつて汚泥の脱水処理量の向上を図ることがで
き、大量の汚泥の発生する排水処理設備にも有効
に利用できる。 次に、製造例と実施例により本発明の効果を具
体的に説明する。製造例は実施例において使用さ
れるAHポリマーの製造例である。 製造例 ３の４ツ口フラスコにポリアクリルアミドの
10％水溶液１Kgと80％ヒドラジンヒドラート水溶
液１Kgを加え、撹拌しながら55℃で３時間反応さ
せた。反応終了後、えられた粘稠溶液を約15倍容
量のメタノール中に注ぎ白色沈澱物をえた。これ
を取し再沈澱法によつて精製した後、60℃で減
圧乾燥しアクリル酸ヒドラジド系高分子化合物
（以下、A1という）をえた。 実施例 １〜３ 前記のA1と特定のAAポリマー及び金属塩を使
用して汚泥の脱水試験を行つた。これらポリマー
の物性は表−１に示すとおりである。

【表】 処理した汚泥及び脱水試験方法は次のとおりで
ある。 ＜汚泥＞ 下水の混合汚泥（初沈汚泥と余剰汚泥） pH6.0、SS＝2.5％、VSS／SS＝78.6％ ＜脱水試験法＞ (1) 汚泥200mlを300mlのビーカーに採取した。 (2)−(イ) ポリマーB1のみ使用する比較例１では、
汚泥にポリマーB1を添加してスパーテルで
撹拌・凝集し、100メツシユの布を敷いた
ブフナーロートで重力過した（ヌツチエテ
スト）。 −(ロ) ポリマーB1を使用して二段凝集を行う
比較例３では、(2)−(イ)のヌツチエテストで得
られた重力脱水の汚泥に再度ポリマーB1を
添加してスパーテルで撹拌・凝集した。 −(ハ) PACとポリマーA1及びB2を使用して一
段凝集を行う比較例２では、汚泥にPACを
添加混合したのち、ポリマーA1及びB2を添
加・凝集してヌツチエテストを行つた。 −(ニ) 本発明の方法では、試料の添加濃度を変
えた以外は(2)−(ハ)と同様にヌツチエテストを
行つて得られた重力脱水後の汚泥に、さらに
PACとA1及びB2添加（実施例１）、PACの
み添加（実施例２）、A1及びB2添加（実施
例３）を行つて、それぞれスパーテルで撹
拌・凝集を行つた。 (3) 上記(2)の操作で得せれたサンプルを100メツ
シユのナイロン布を敷いたブフナーロートに
注ぎ、10秒後の液量を測定した。 (4) また、サンプルをベルトプレス用布（ポリ
エステル製、モノフイラメント杉綾織布）、
スポンジ、エア−シリンダーなどで構成される
プレステスト機で面圧をかえて所定時間圧搾し
て、ケーキの含水率を求めた。 (5) 布を水洗し、水洗液中の懸濁物質濃度を測
定することによつて、ケーキの布からの剥離
性を調べた。 結果は表−２に示すとおりであつた。

【表】 実施例１〜３はいずれも汚泥の重力過性が十
分な上、高い面圧をかけても剥離性は悪下せず脱
水ケーキ含水率が低減された。比較例１及び３で
は、汚泥の重力過性が不十分な上、剥離性の悪
化のため高い面圧をかけることはできなかつた。
また比較例２では、汚泥の重力過性は不十分で
あつたものの、同様に高い面圧をかけることはで
きなかつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 有機性汚泥に、金属塩を添加したのち、さら
   にアクリル酸ヒドラジド系高分子化合物とアミノ
   基又は第四級アンモニウム塩を含有する高分子化
   合物とを添加し凝集して一次脱水し、次いで一次
   脱水物に、さらに金属塩及び／又はアクリル酸ヒ
   ドラジド系高分子化合物とアミノ基又は第四級ア
   ンモニウム塩を含有する高分子化合物を添加し凝
   集して二次脱水することを特徴とする汚泥の処理
   方法。 ２ アクリル酸ヒドラジド系高分子化合物が一般
   式 （式中、ＲはＨまたはCH₃を表わし、Ａはアクリ
   ルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステ
   ル、メタクリル酸エステルのモノマー単位を表わ
   し、Ｂはアクリル酸又はその塩、メタクリル酸又
   はその塩、または前記Ａと共重合可能なモノマー
   単位を表わし、ｌ、ｍ及びｎは ０モル％＜ｌ≦100モル％ ｌ＋ｍ＋ｎ＝100モル％ の関係を有する） で表わされる化合物である特許請求の範囲第１項
   記載の汚泥の処理方法。 ３ アミノ基又は第四級アンモニウム塩を含有す
   る高分子化合物がアミノアルキルアクリレート、
   アミノアルキルメタクリレート、アミノアルキル
   アクリルアミド、アミノアルキルメタクリルアミ
   ド又はこれらの四級化物から選ばれる化合物であ
   る特許請求の範囲第１項又は第２項記載の汚泥の
   処理方法。 ４ 金属塩がアルミニウム又は鉄の塩である特許
   請求の範囲第１項乃至第３項のいずれかに記載の
   汚泥の処理方法。