JPH0370611B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の技術分野） 本発明はポリウレタンフオーム成形用金型の汚
れ除去剤に関するものである。

（技術的背景） ポレウレタンホームの成形はポリエーテルポリ
オールその他の多価高分子アルコールとトリレン
ジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシア
ネート等のジイソシアネートを主成分とする混合
物を予め離型剤の塗布された金型に注入し、発
泡、キユア、脱型の工程を経て行われる。上記の
工程は繰返して行われるものであるが、繰返しの
間に金型表面に樹脂状の汚れが徐々に堆積する。
この汚れはポリウレタンフオームの原料の重合物
や離型剤が混合、反応して金型表面に附着、堆積
したものであるが、これが原因で金型の熱伝導が
阻害されたり、フオームの脱型に困難をきたした
り、成形フオームの表面状態が好ましい状態に仕
上がらなくなる等の不都合を生ずる。

そこで成形作業をときどき中止して金型表面の
汚れを除去しなければならない。ところが上記の
樹脂状の汚れは金型に強固に附着しているので、
これを簡単に除去する方法はまだ見出されていな
い。通常はサンドブラスト法を用いたり、金ベラ
で削り取つたりしているが、多大の労力を要する
うえに金型を傷つけやすいという問題がある。溶
剤による洗浄もいろいろ考えられるが、従来の溶
剤ならびに洗浄方法では簡単に汚れを除去するこ
とができない。たとえばジメチルスルホキシドの
ウレタンポリマーに対する溶解性がすぐれている
ことは知られているが、これを金型表面に注いだ
り、布等にしみこませて拭つたりしても容易に汚
れを除去することはできない。

金型をジメチルスルホキシドに浸漬するか、ジ
メチルスルホキシドを金型表面に長時間にわたつ
て注入するかすれば汚れを除去できるが、莫大な
量の溶剤を必要とするので実際に適用することは
できない。

上記のような実状であるから、ポリウレタンフ
オーム成形用金型の汚れを簡単に除去できる除去
剤が強く望まれていた。

（発明の目的） 上記の技術的背景のもとにおいて、本発明はポ
リウレタンフオーム成形用金型表面の汚れを除去
するために有効な薬剤を提供しようとするもので
ある。

（発明の構成：作用および効果） 本発明者らは鋭意研究の結果、ジメチルスルホ
キシドに特定炭素原子数の飽和脂肪酸のアミン塩
を加えると満足すべきゲル状組成物が得られ、こ
の組成物がポリウレタンフオーム成形用金型表面
の汚れの除去に極めて有効であることを見出し、
本発明を完成した。

本発明の汚れ除去剤において、脂肪酸アミン塩
はこれをジメチルスルホキシドに加えることによ
つて、金型に塗布しやすいゲル状組成物をつくる
はたらきをするものである。

（脂肪酸の種類） 本発明において脂肪酸アミン塩を構成する脂肪
酸としては天然・合成のいずれの脂肪酸をも用い
ることができる。合成脂肪酸のうちにはワツクス
を酸化して得られる組成物（これは通常は酸化ワ
ツクスと称されるものであつて、脂肪酸を主成分
とする混合物である。）も包含される。

脂肪酸は飽和脂肪酸の方が不飽和脂肪酸よりも
好ましい。前者を用いた方が好ましい性能のゲル
状組成が得られるからである。また脂肪酸は炭素
原子数約10〜24のものが望ましい。炭素原子数９
以下の脂肪酸では満足すべきゲル状組成物が得ら
れないし、臭気が強いので不適切である。炭素原
子数25以上の脂肪酸では、組成物が固くなり過ぎ
るので不適当である。

（アミンの種類） 本発明において脂肪酸アミン塩を構成するアミ
ンとしては、各種のアルキルアミン、アリルアミ
ン、モルホリン、アルカノールアミン等を広く用
いることができる。

（脂肪酸とアミンとの比率） 本発明の汚れ除去剤を製造するために使用され
る脂肪酸アミン塩を形成するためには、脂肪酸の
モル数よりも少なくないアミンのモル数を使用す
る方が良い。なぜならばアミンのモル数が脂肪酸
のモル数よりも少ない場合には、本発明の汚れ除
去剤のゲル化が不十分となるので、汚れ除去性能
が十分に向上しないからである。

（汚れ除去剤の組成） 本発明の汚れ除去剤の組成は、ジメチルスルホ
キシド85〜99モル％、脂肪酸0.5〜５モル％、ア
ミン0.5〜10モル％とすることが適当である。脂
肪酸とアミンの量が上記の範囲より少いと本発明
の目的とする効果が得られないし、上記の範囲を
越すと組成物が固くなり過ぎて使用に不便にな
る。

（汚れ除去剤の製造方法） 本発明の汚れ除去剤を製造するには、室温で、
ジメチルスルホキシドに所定量の脂肪酸とアミン
を加えて加熱し、全体が透明な液体になつたら加
熱を止め、撹拌しながら室温近くまで冷却すれば
よい。

（汚れ除去方法） 本発明の汚れ除去剤によつて金型の汚れを除去
するには、汚れの堆積した金型の表面に汚れ除去
剤を刷毛塗りその他の方法で塗布し、１日ないし
２日間放置した後に拭き取ればよい。本発明の汚
れ除去剤によれば、このような簡単な操作によつ
て、金型を傷つけることなしに汚れを除去するこ
とができる。

（実施例） 本発明をいつそう理解しやすくするために、以
下に本発明の実施例を記載するが、本発明は下記
の実施例によつて何らの制限をも受けるものでは
なく、特許請求の範囲の欄に記載した事項の範囲
内において種々の実施態様を包含するものであ
る。

実施例 １ ジメチルスルホキシド 91重量％ ステアリン酸 ５ 〃 モルホリン ４ 〃 上記の混合物を70℃になるまで加熱し、次いで
撹拌しながら30℃まで冷却してゲル状の組成物を
得た。

上記の組成物をポリウレタンフオームの汚れの
堆積した金型に刷毛を用いて１m²当り200ｇの割
合いで均一に塗布し、24時間放置したのち、布で
拭き取つたところ、金型表面の汚れは完全に除去
された。

実施例 ２ ジメチルスルホキシド 90重量％ ベヘニン酸 ６ 〃 トリエタノールアミン ４ 〃 上記の混合物を70℃になるまで加熱し、次いで
撹拌しながら40℃まで冷却してゲル状の組成物を
得た。

上記の組成物を実施例１と同様に使用して同様
の効果を得た。

実施例 ３ ジメチルスルホキシド 96重量％ 酸化ワツクス（ヘキスト社製商品名LPワツ
クス） ３ 〃 トリエタノールアミン １ 〃 上記の混合物を100℃になるまで加熱し、次い
で撹拌しながら60℃まで冷却してゲル状組成物を
得た。

前述のゲル状組成物をポリウレタンフオームの
汚れの堆積した金型に刷毛塗りしたところ、少し
も垂れ流れることなく、良好に塗布できた。24時
間放置したのち、布で拭き取つたところ、金型表
面の汚れは完全に除去された。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ジメチルスルホキシドに炭素原子数が10ない
   し24の飽和脂肪酸のアミン塩を添加したことを特
   徴とするポリウレタンフオーム成形用金型の汚れ
   除去剤。