JPH037039Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はたとえば電線などといつたケーブル端
に接続する圧着端子、特にオープンバレル形のも
のを圧着する場合においてその圧着高さ間隙（い
わゆるクリンプハイツ）を調整するための端子圧
着装置における圧着間隙調整装置に関する。

(ロ) 従来の技術 オープンバレル形の圧着端子１は、第３図に示
すように、断面略Ｕ字状を呈し、ケーブル２の被
覆部２ａを圧着する被覆バレル片３と、芯線２ｂ
を圧着する芯線バレル片４とを有している。そし
て、これら各バレル片３，４の片長さは、ケーブ
ル２の外径や線径等の大小に適応し得るように相
違して形成されているものが多い。したがつて、
圧着端子１を圧着する端子圧着装置であつては、
各バレル片３，４をそれぞれ圧着する２組の固定
および移動ダイスが用いられ、相違する圧着間隙
に対処し得るように構成されている。

ところで、このような装置において、移動ダイ
スのストローク量が予め定められているもので
は、一種類のケーブルおよび圧着端子に対しての
み適用できるもので、他の種類のケーブルに使用
したり、圧着端子の種類が異なるときには、上述
したダイス等を交換することが必要であつた。し
かしながら、このような交換作業は面倒かつ大き
な負担となるものであり、また異種のダイスを準
備するためのコスト高を招く虞れもあつた。

このため、圧着高さ間隙を調整し得るものとし
て、本出願人は、たとえば実開昭58−182288号公
報により、周方向において厚さの異なる段部等を
もつ調整デイスクを、各ダイスの背部に介在さ
せ、これを外部から回動調整するようにした構造
のものを先に提案している。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかしながら、このような従来構造では、各ダ
イスに対応するデイスク盤がダイスと直交する面
方向に拡がつて配設されるため、装置全体の大型
化を招くということがあつた。また、各デイスク
盤の操作つまみがかなり離間して突出されること
となり、操作性や構造の簡素化を図るうえで問題
であつた。

特に、従来装置では、間隙調整用として、デイ
スク盤およびこれを回転操作する操作つまみを用
いているため、その装着スペースを大きく必要と
するもので、例えばこれを一対の把手にて可動さ
せる、いわゆる圧着工具に使用した場合に、上述
したように整整機構部が大型化しその重量が重む
ことから、工具の操作性の面で問題となる等とい
つた欠点があつた。

本考案は上述した事情に鑑みてなされたもので
あり、装置構成の簡素化とその小型かつコンパク
ト化を図り、しかも操作性や動作上の信頼性に優
れ、簡単かつ確実な圧着間隙調整を行なえる端子
圧着装置における圧着間隙調整装置を得ることを
目的とするものである。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本考案に係る端子圧着装置における圧着間隙調
整装置は、固定ダイスの背部に接するようにして
可動ダイスの移動方向と直交する方向からスライ
ド操作自在に設けられかつ固定ダイスの高さ位置
を少なくとも二位置に調整し得るカム面を有して
いるスペーサを備え、さらに、上記スペーサには
複数の平面カム面の間に形成される傾斜案内面
と、バネによつて押圧されるボールを係入して位
置決めストツパの一方を形成する溝と、両端から
突出される突起とを有していることを特徴とする
ものである。

(ホ) 作用 本考案によれば、固定ダイスの高さ位置を少な
くとも二位置に調整し得るカム面を有しているス
ペーサを、単にスライド操作するだけで、圧着間
隙調整を簡単かつ確実に行なえるもので、その装
着すべきスペーサも少なくてよく、全体の小型か
つコンパクト化を図れるものである。

(ヘ) 実施例 以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図および第２図は本考案に係る端子圧着装
置における圧着間隙調整装置を適用した圧着工具
の一実施例を示すものであり、その要部とする端
子圧着部のみを示している。

これらの図において、全体を符号１０で示す圧
着工具は、本体フレーム１１と、その前面部にね
じ止め固定され全体が略門形状を呈するダイスホ
ルダ１２と、このホルダ１２の中央下部で上下動
し得るように本体フレーム１１側に設けられた作
動部材１３によつて構成されている。上記ホルダ
１２には端子の被覆バレル片および芯線バレル片
に対向する圧着溝部１４，１５を有する固定ダイ
ス１６，１７が組付け支持されている。また、前
記作動部材１３側には固定ダイス１６，１７とそ
れぞれ対向し作動部材１３の動きに応じて上下動
される可動ダイス１８，１９がねじ止め固定され
ている。なお、図中２０，２１は本体フレーム１
１の下側に設けられた一対の把手で、開閉操作に
よりリンク機構を介して可動ダイス１８，１９を
固定ダイス１６，１７側に移動せしめるように構
成され、２２はその枢軸部である。また、図中２
３，２４は図示しない端子を上述したダイス間に
案内保持する一対の端子ホルダ、２５は芯線スト
ツパである。

さて、上記一実施例によれば、上述した構成に
よる圧着工具１０において、前記固定ダイス１
６，１７の図示しない端子に対する圧着高さ間隙
を調整するために、これら固定ダイス１６，１７
の背部に接するようにして可動ダイス１８，１９
の移動方向と直交する方向すなわち工具１０の厚
さ方向からスペーサ３０をスライド操作自在に設
け、かつこのスペーサ３０に対し固定ダイス１
８，１９の高さ位置を少なくとも二位置に調整し
得るカム面３１，３２を形成するようにし、さら
にこのスペーサ３０を、上述したカム面のいずれ
か一方が固定ダイス１６，１７に対向して接する
位置で係止するストツパ３３を設けるようにした
ところに特徴を有している。なお、上述したスト
ツパ３３は、本実施例では、ボール３４、スプリ
ング３５およびねじ３６からなり、これらは前記
ダイスホルダ１２内でその上部に埋設されてい
る。勿論、前記スペーサ３０の上面には前記ボー
ル３４が係入する溝部３７，３８が形成されてい
る。又、スペーサ３０の両端には突起３９，４０
が突出されている。図中、４１は各カム面３１，
３２の間の傾斜案内面である。このようなストツ
パ３３を用いると、スペーサ３０の調整位置での
適切な係止状態の維持を簡単かつ確実に行なえる
とともに、スペーサ３０のスライド操作において
クリツク感が得られ、操作性が向上するといつた
利点がある。

上述した構成によれば、固定および可動ダイス
１６，１７；１８，１９間に第１図中左側から順
次送り込まれる圧着端子に対し、前面方向からケ
ーブルを差し込んで順次把手２０，２１により圧
着することにより、端子の被覆バレル片および芯
線バレル片を同時にしかもそれぞれ所望の間隙を
もつて圧着することができる。また、ケーブルの
種類などにより圧着高さ間隙を変更することも、
上述したスペーサ３０のスライド操作にて簡単か
つ適切に行なえるもので、しかもその調整用のカ
ム面３１，３２がダイス１６，１７の背面に常に
平面接触にて当つているため圧着時の安定性を得
ることができる。さらに、本考案による調整装置
では、調整用のスペーサ３０が単に本体フレーム
１１およびダイスホルダ１２に対し厚み方向から
スライド自在に構成されているため、従来のよう
な回転形に比べその構成が簡素化するとともに、
その配設スペースの小さくてよいもので、これに
より装置の小型かつコンパクト化を図ることが可
能となる。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを必要に応じて適宜変
形、変更することは自由である。たとえば本考案
の特徴とするスペーサ３０およびストツパ３３の
形状、構造等を適宜変更することは自由であり、
また本考案は実施例に示す工具に限定されず、大
型の自動機等の端子圧着装置に適用してもよいも
ので、さらに圧着端子としても種々の変形例が考
えられるものである。

(ト) 考案の効果 以上説明したように、本考案に係る端子圧着装
置における圧着間隙調整装置によれば、固定ダイ
スの背部に接するようにして可動ダイスの移動方
向と直交する方向からスライド操作自在に設けら
れ固定ダイスの高さ位置を少なくとも二位置に調
整し得るカム面を有しているスペーサを備えさら
に、上記スペーサには複数の平面カム面の間に形
成される傾斜案内面とバネによつて押圧されるボ
ールを係入して位置決めストツパの一方を形成す
る溝と両端から突出される突起とを有するように
したので、簡単な構成で各ダイスの圧着間隙の調
整を簡単に行なえ、操作性の面で優れているばか
りでなく、圧着時の安定性を得るうえでもその効
果を発揮し得るものである。さらに、本考案によ
れば、間隙調整用のスペーサが単なるスライド操
作にて調整可能となつているため、構成が簡単
で、装置前端の小型かつコンパクト化を達成し得
る等の実用上種々優れた効果がある。

さらにまた、スペーサには複数の平面カム面と
この間の傾斜案内面とバネによつて押圧されるボ
ールを係入して位置決めストツパの一方を形成す
る溝と両端から突出される突起とを備えているの
で、スペーサの調整位置での適切な係止状態の維
持を簡単かつ確実に行なえるとともに、スペーサ
のスライド操作時においてクリツク感が得られ、
操作性を向上させることができ、併せて押し過ぎ
などによる脱落を阻止できる。しかも、カム面が
の背面に常に平面接触にて当つているため圧着時
の安定性も得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る端子圧着装置における圧着
間隙調整装置の一実施例を示すもので、第１図は
圧着工具の端子圧着部を拡大して示す要部断面
図、第２図はその要部正面図、第３図は圧着端子
の概略構成を例示する斜視図である。 １……圧着端子、２……ケーブル、３……被覆
バレル片、４……芯線バレル片、１０……圧着工
具、１６，１７……固定ダイス、１８，１９……
可動ダイス、３０……スペーサ、３１，３２……
カム面、３３……ストツパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 圧着部が固定および可動ダイスにて構成される
   端子圧着装置において、 前記固定ダイスの背部に接するようにしてダイ
   スの移動方向と直交する方向からスライド操作自
   在に設けられたスペーサを備え、上記スペーサは
   固定ダイスの高さ位置を少なくとも二位置に調整
   し得る複数の平面カム面と、各カム面の間に形成
   される傾斜案内面と、バネによつて押圧されるボ
   ールを係入して位置決めストツパの一方を形成す
   る溝と、両端から突出される突起とを有している
   ことを特徴とする端子圧着装置における圧着間隙
   調整装置。