JPH0366884B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車のシート等に用いるシートバ
ツク調整装置に関し、更に詳しくは、リクライニ
ング角度のニユートラル位置での微調整構造が簡
単なシートバツク調整装置に関する。

従来から一般に使用されているシートバツク調
整装置には、次の２つのタイプのものがある。そ
の１つは、アツパアームに一体的に設けられてい
るラチエツトと、ロアアームに設けられているポ
ウルとの噛合を係脱可能にした有段調整タイプの
ものであり、他の１つは、アツパアームとロアア
ームの何れか一方に内歯歯車を設け、他方に前記
内歯歯車より少なくも歯数が１つ少ない外歯歯車
を設け、両者を偏心軸部を有するシヤフトを用い
て噛合させ遊星歯車機構とした無段調整タイプの
ものである。これら２つのタイプの内、近年は微
細な調整が可能な無段調整タイプのものが好ま
れ、その生産量が増加している。しかし、この後
者のタイプのものは、その構造が複雑であるた
め、製造が面倒であり、当然コストも高くなると
いう問題、並びに軽量化・小形化が困難であると
いう問題をかかえている。

そこで、ニユートラル位置のシートバツクを前
後方向に一定範囲だけ微調整できる構造に変更す
ることにより、上記問題を解決しようとする試み
が最近なされている。この変更に際して、最も問
題となるところは、微調整機構をどのように構成
するかである。

本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、
その目的は、上述の如き簡易シートバツク調整装
置であつて、確実にアツパアームの調整位置を維
持できると共に、構造が簡単であり且つ軽量化・
小形化が可能なものを提供することにある。

以下、図面を参照し本発明の実施例を詳細に説
明する。

第１図乃至第４図において、１はシートクツシ
ヨン２側に固着されるアツパアーム、３はシート
バツク４側にカラー５及びボルト６等でもつて回
動自在に枢着されたロアアームである（第３図参
照）。上記アツパアーム１の中間部には真円状の
穴１ａが穿設され、該穴１ａの斜め上方に貫通穴
１ｂが、又、上部にはシートバツク２への取付用
穴１ｃ，１ｄがそれぞれ穿設されている。一方、
ロアアーム３の中間部には長穴３ａ（その幅は穴
１ａの内径と等しい）が穿設され、該長穴３ａの
長手方向（斜め上方）には貫通穴３ｂが穿設さ
れ、更に下部には、ボルト６の挿通用穴３ｃ、後
述の段付ピン９の挿通用穴３ｄが穿設されてい
る。７はロアアーム３の長穴３ａと同一形状の長
穴７ａが穿設されたサイドプレートで、長穴７ａ
の長手方向（斜め上方）及び斜め下方にはそれぞ
れ貫通穴７ｂ，７ｃが穿設されている。段付ピン
８は、小径部の一端がロアアーム３の貫通穴３ｂ
に挿通後カシメられ、他端がサイドプレート７の
貫通穴７ｂに挿通後カシメられるもので、その中
央の大径部はアツパアーム１の貫通穴１ｂに遊嵌
される。又、段付ピン９は、ロツクレバー１０の
貫通穴１０ａ及びロアアーム３の貫通穴３ｄを経
てサイドプレート７の貫通穴７ｃに挿通後、カシ
メられる。これにより、アツパアーム１は段付ピ
ン８を中心に回動可能に支持され、ロアアーム３
とサイドプレート７とが所定間隔をもつて結合さ
れ、更に、ロツクレバー１０がロアアーム３に回
動自在に枢着される。このロツクレバー１０は、
その掛止用穴１０ｂとロアアーム３の掛止用穴３
ｇとの間に張設されコイルスプリング１１によつ
て、常に第２図の時計回り方向に付勢されてい
る。ロツクレバー１０はシートバツクをニユート
ラル位置にロツクするためのもので、第４図に示
す如く、シートクツシヨン４側に固着されたロツ
クピン兼用ボルト１２に係脱するものである。

１３は偏心した一対のリベツト挿入穴１３ａが
穿設されたカムプレートで、その外形は、アツパ
アーム１の穴１ａの内径より若干小さく形成され
ている。１４，１５はカムプレート１３と同一形
状のカムプレートで、１４ａ，１５ａはそれぞれ
リベツト挿入穴を示している。これらカムプレー
ト１３乃至１５は、それぞれ長穴３ａ，７ａ，穴
１ａ内に回動可能に嵌合される。第２図から明ら
かなように、カムプレート１３乃至１５は、カム
プレート１４の偏心方向が他のカムプレートと逆
になるように、カバープレート１６と共に重ねら
れ、リベツト１７によつて固着される。従つて、
この実施例では、カムプレート１３，１４がカム
部材の偏心部を形成し、カムプレート１５がカム
部材の同心部を形成している。１８はカバープレ
ート１６に固着された操作レバーで、該操作レバ
ー１８の先端にはノブ１９が取付けられている。
このノブ１９には板バネ２０が固着されており、
操作レバー１８の作動時に、この板バネ２０の先
端の凸部２０ａが、ロアアーム３の穴３ａの周囲
に複数個形成された例えば凹状のノツチ３ｅに係
合するようになつている。

以上のように構成された実施例装置の作動を次
に説明する。

まず、ロツクレバー１０によりロアアーム３が
ロツクされているニユートラル位置において、シ
ーバツクの傾斜角度を微調整するには、ノブ１９
をもつて操作レバー１８を作動させ、各カムプレ
ート１３，１４，１５を、それぞれ長穴３ａ，７
ａ、穴１ａ内で回動させればよい。このカムプレ
ート１３乃至１５の回動により、カムプレート１
３及び１４の中心は、それぞれ長穴３ａ，７ａ内
で貫通孔３ｂ，７ｂに近づいたり或いは離れたり
する直線往復運動を行うが、長穴３ａ，７ａの内
壁の規制により、貫通孔３ｂ，７ｂを中心とした
円弧運動を行うことはできない。従つて、この円
弧運動に相当する変位をアツパアーム１の穴１ａ
が受けることになり、結局、アツパアーム１が段
付ピン８を中心に回動し、シートバツク２が傾動
することになる。

この調整後、シートバツク２側からアツパアー
ム１に力が加わつても、長穴３ａ，７ａ及び穴１
ａに嵌合されているカムプレート１３乃至１５が
受ける摩擦力によつて、この方向の変位は阻止さ
れ、ノブ１９を操作しない限り、調整位置は確保
される。尚、自動車の振動等によつて上記摩擦力
が減少し、カムプレート１３乃至１５が自転する
ことを防止するため、本発明では、板バネ２０の
凸部２０ａをノツチ３ｅに係合させ、カムプレー
ト１３乃至１５に最低限の回動阻止力が働くよう
に考慮している。

次にシートバツク２を前倒する場合について説
明する。この場合には、ロツクレバー１０をコイ
ルスプリング１１の収縮力に抗して第２図の反時
計回り方向に回動し、ボルト１２との係合を解い
た状態で、シートバツクを前方に押せばよい。こ
れにより、ロアアーム３の枢着点（貫通穴３ｃ）
を中心にして、シートバツク２が前倒することに
なる。この状態から再びシートバツク２を引き起
こせば、コイルスプリング１１の力によりロツク
レバー１０がボルト１２に自動的に係合し、ニユ
ートラル位置にロツクされる。

第５図は本発明の他の実施例を示すもので、上
記実施例との相違点は、長穴３ａ，７ａを真円状
の穴３ｆ，７ｄに変更すると共に、穴１ｂを長穴
１ｅとしたものである。この場合は、カムプレー
ト１３，１４の中心は上述の直線往復運動及び円
弧運動の何れもできないので、アツパアーム１が
揺動することになる。従つて、シートバツク２は
上下方向にも移動しながら傾動することになる
が、調整自体は可能である。尚、上記説明では、
サイドプレート７及びカムプレート１４を用いた
ものを示したが、これを省略してもよい。但し、
省略する場合には、アツパアーム１及びロアアー
ム３からカムプレート１３，１５が抜けないよう
に抜け止め手段を設ける必要がある。更に、アツ
パアーム１の前倒を容易にするために公知の渦巻
状スプリングを付設してもよい。

以上説明したように、本発明のシートバツク調
整装置は、円板状カムプレートでなる同心部及び
偏心部を有したカム部材とこれら同心部、偏心部
が嵌入される穴が穿設され相対的な回転若しくは
揺動運動が可能な第１及び第２のアームとからな
るものであり、構造が極めて簡単である。従つ
て、製造コストを下げることができるだけでな
く、軽量化及び小形化をも実現できる。又、本発
明では、ノブと共に回動し、第１又は第２のアー
ムの嵌合用穴の周辺に形成されたノツチに端部が
摺接する板ばねを設けたので、振動等があつても
アツパアームを形成する第１又は第２のアームは
その調整位置を維持できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明の一実施例を示す説
明図で、第１図は正面図、第２図は分解斜視図、
第３図及び第４図は外部部材との係合状態を示す
断面図である。又、第５図は本発明の他の実施例
の分解斜視図である。 １……アツパアーム、２……シートバツク、３
……ロアアーム、４……シートクツシヨン、６，
１２……ボルト、７……サイドプレート、８，９
……段付ピン、１０……ロツクレバー、１３，１
４，１５……カムプレート、１６……カバープレ
ート、１９……ノブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 偏心部を形成する円板状カムプレート及び同
   心部を形成する円板状カムプレートを積層して成
   るカム部材と、 該カム部材の偏心部又は同心部の嵌合用穴が穿
   設された第１のアームと、 前記カム部材の同心部又は偏心部の嵌合用穴が
   穿設された第２のアームと、 該第２のアームの枢着用穴を利用して前記第１
   のアームを回動自在に枢着するピンと、 前記カム部材を回動させるためのノブと、 該ノブと共に回動し、前記第１又は第２のアー
   ムの嵌合用穴の周辺に形成されたノツチに端部が
   摺接する板ばねとを備え、 前記第１及び第２のアームの嵌合用穴又は前記
   第２のアームの枢着用穴の何れか一方を長穴に形
   成し、前記第１又は第２のアームが固着されたシ
   ートクツシヨンに対する、前記第２又は第１のア
   ームが固着されたシートバツクの傾斜角を、前記
   ノブの回動により一定範囲内で微調整できるよう
   に構成したことを特徴とするシートバツク調整装
   置。