JPH0364637B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はウエブプレス技術に関する。より具体
的には、本発明は、繊維の水性スラリーから形成
された紙などの移動状態にあるウエブを、シユー
などの非回転プレス部材を有するプレスにおいて
プレスするための技術に関する。更に具体的に説
明すると、本発明は、回転ロールなどの移動表面
とフエルトの間の接触領域を紙ウエブが移動し、
ロール表面で支持されたベルトが、ロール表面の
円弧状部分に適合する形状の面を有する押付シユ
ーにより上記表面に押し付けられている製紙産業
の分野で伸長プレス（extended−nip prees）と
して知られている形式のウエブプレスに関する。

〔従来の技術〕

このような伸長ニツプ型プレスは製紙産業の分
野では比較的新しいが、数多くの装置や種々の形
式の構造が既に存在している。全ての伸長ニツプ
プレスの共通の構成として、１個以上の柔軟なル
ープ状ベルトが紙ウエブや１個以上のフエルトと
ともにニツプを通過している。ベルトの一方の側
はウエブ又はフエルトに接触しており、他方の側
は、接触部の表面領域を形成する静止要素（一般
にシユーと呼ばれる）に摺動自在に接触してい
る。

全ての機械部が完全な状態で整列しているわけ
ではなく、また、僅かではあるが、製紙機の幅方
向にたわむことは避けられず、更にそれ以外に、
装置の公差、構造及び作動状態に小さいばらつき
が生じることがあるので、作動中にベルトがプレ
スの一方の端部又は他方の端部側へ移動しようと
する。従来、このような不要な動作特性は、種々
の手段（例えば、ループ状ベルト内に設けた可動
案内ロール）により修正されてきた。ベルトを案
内するための別の手段としては、プレスの端部に
配置した回転デイスクにベルトの縁部を掛け渡
し、それにより作動中にベルトの縁部を伸長ニツ
プに対して所望の位置に維持することも行われて
きている。更に、複数の案内板をループ状ベルト
の内側に配置してニツプに対するベルトの位置を
維持することも行われてきている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、伸長ニツププレスの動作中にベルト
を所望位置に維持するためのこれら従来の方法に
は、いずれも、重大な欠点がある。例えば、ベル
トの内側に案内板や案内ロールを配置する場合、
余分な機器が必要になるとともに、これらがベル
ト案内位置決め機能を果たす際に、ベルトに余分
な摩擦力や引き摺り力が及ぼされる。

ベルトの側部に回転デイスクを組み込んだベル
トガイドでは、恐らく、最も確実にベルトを案内
できるが、デイスクを有効に作動させるために
は、デイスクをばねなどで軸方向外向きに付勢す
る必要があるので、ベルトに機械横方向の張力が
及ぼされた状態となるという最も重大な欠点が生
じる。その場合、ベルトは、ニツプにおいて、機
械横方向に延びる縦軸に向かう方向にたわまさ
れ、また、同時に回転デイスクにより外向きに付
勢されるので、ベルトに大きい応力が加わるとと
もに、その摩耗率が大幅に増加する。

本発明は、伸長ニツププレスにおいてベルトを
案内するための従来の装置の上記欠点及び不具合
を解消するものである。

〔課題を解決するための手段、作用〕

本発明では、移動表面とシユーによつて形成さ
れる伸長ニツプ通過中にループ状ベルトがその上
を摺動するシユーは、移動表面に対して斜行運動
を行うことができる状態で取り付けてあり、この
シユーを移動させて伸長ニツプにおけるベルトの
移動する進路及び位置を変更するための手段がシ
ユー支持手段に設けられている。

また、本発明では、そのような運動を行うため
に、シユーはピストンブロツクに取り付けてあ
り、また、ピストンブロツクは機械横方向に延び
るビームに取り付けてある。同ビームはフレーム
に連結されており、該フレームはその一端部又は
両端部に取り付けたモータ駆動式のジヤツキねじ
により移動させられるようになつている。上記斜
行運動を容易に行うために、枢支構造の支持ロツ
ドがビームを支持する状態で設けてあり、伸長ニ
ツププレスシユーピストンブロツクを取り付けた
ビームが回転ロールのフレームに対して支持ロツ
ドにより支持されており、これらの支持ロツドの
両端部には２個の枢支部が設けてあり、ロツドを
機械方向及び機械横方向の両方に回動させ得るよ
うになつている。

制御装置はベルト縁部の位置を監視してジヤツ
キねじを駆動するモータに信号を送り、その信号
によりモータはジヤツキねじを駆動してシユーを
取り付けたビームを移動表面に斜行するように移
動させ、それにより回転ベルトはプレスの中心側
へ移動させられる。ベルトと伸長ニツププレスシ
ユーは、一体の部分となるために、案内動作を行
うために別のガイドやロールを付加する必要はな
い。また、通常の動作状態では、ベルトは常に伸
長ニツプを通過するので、ベルトの案内に必要な
エネルギーは実質的にゼロであり、充分に潤滑さ
れた枢支構造のフレームをモータ駆動式ジヤツキ
ねじにより僅かにずらすためのエネルギーが僅か
に必要なだけである。

従つて、本発明では、案内ロールや案内表面を
付加すること無く、伸長ニツププレスにおいてベ
ルトを効率良く効果的に案内するための装置及び
方法が提供される。

更に本発明では、伸長ニツププレスにおいてベ
ルトを案内するための装置において、その案内の
ための所要動力を最少にすることができる。

また更に、本発明では、伸長ニツププレスにお
いてベルトを案内するための装置において、ニツ
プ通過中に必然的に及ぼされる応力以外にはベル
トに応力が及ぼされない。

〔実施例〕

以下に図面に基づいて本発明の実施例を説明す
る。

第１図に示すように、伸長ニツププレス用の裏
当てロール１０は、その軸受ハウジング１２の両
端部をシヨート裏当てロールビーム１４にボルト
止めした状態で設けてある。ロールビーム１４は
製紙機プレスフレーム１６の側部に取り付けてあ
る。ロールビーム１４はいわゆる機械方向、すな
わち、製紙機で紙ウエブを形成する場合のウエブ
の移動方向に延びている。裏当てロール１０の両
端部において、ロールビーム１４には１対のクレ
ビス１８が、裏当てロールの各端部の両側に位置
する状態で取り付けてあり、各クレビスに支持ロ
ツド２０が回動自在に取り付けてある。支持ロツ
ド２０は下向きに延びてその下端部がクレビス２
２に回動自在に取り付けてある。クレビス２２
は、プレスフレームの両側部に設けられた下部プ
レスビーム２４の両端部に設けてある。

クレビス１８，２２が設けられていることによ
り、上記ロツドは機械横方向、すなわち上記機械
方向に対して直角な方向に回動できる。支持ロツ
ドの上下両端部は上下のクレビスの継手２６，２
８にそれぞれ回動自在に取り付けてあり、機械方
向にロツドを回動させ得るようになつている。

下部プレスビーム２４には支持ビーム３０の両
端が取り付けてある。支持ビーム３０は機械横方
向に延びており、その縦軸３２は裏当てロール１
０の回転軸３４（縦軸）と平行に延びている。支
持ビーム３０にはピストンブロツク３６がビーム
３０に沿つて機械横方向に延びる状態で取り付け
てある。伸長ニツププレス技術の分野で周知のよ
うに、そのようなピストンブロツクにはプレスニ
ツプ側へ開口した空洞が設けてあり、その内部に
プストン３８が摺動自在に取り付けてあり、空洞
内のピストン下面に加圧流体の圧力を及ぼすこと
により、ピストン３８が往復動するようになつて
いる。上記往復動のためにピストン３８の側部は
密封されており、往復動ピストンの側部から加圧
流体がほとんど又は全く漏れないようになつてい
る。

ピストンの頂部には静止シユー４０が取り付け
てある。シユー４０の上面は窪んでおり、その表
面は、裏当てロール１０の湾曲面と一致するか、
あるいは、それよりも僅かに大きい半径となつて
おり、半径が僅かに大きい場合には、詳細に後述
するように、その上流側及び（又は）下流側縁部
に僅かな間隙が形成され、ベルトと上面との間に
潤滑流体を流入させ得るようになつている。

シユー４０は、通常作動状態では、裏当てロー
ル１０の回転軸３４及び支持ビームの縦方向軸に
沿つて機械横方向に延びている。図示の実施例で
は、シユー４０はピストン３８に対して小形の筒
状ロツド４２を介して回動自在に取り付けてあ
る。ロツド４２の縦軸も裏当てロールの回転軸３
４及び支持ビーム３０の縦方向軸３２の両者に沿
つて延びている。

支持ビーム３０の周囲には、シユー４０の頂部
を覆う状態でループ状の柔軟なベルト４４が配置
してある。通常、ベルト４４は織り構造のマツト
をゴムのようなエラストマー合成物で被覆して形
成する。このベルト４４と支持ビーム３０、支持
ロツド２０、ピストンブロツク３６、シユー４０
は、伸長ニツプ圧力付加装置と総称できる。ベル
ト４４は、プレスの両側の下部プレスビーム２４
の間を、シユー４０の概ね長手方向に沿つて機械
横方向に延びている。ループ状ベルト４４の外周
のいずれかの位置には、ベルト縁部位置検出装置
４８が取り付けてある。装置４８は、例えば、扁
平（パーム）ガイド、即ちパドル５０を制御装置
５２に取り付けた状態で備えており、プレスの所
定の中心位置に対するループ状ベルトの縁部の位
置に応じて、装置５２がワイヤー５３を介してモ
ータ５４に信号を送り、それによりモータ５４は
一方向又は逆方向に作動するようになつている。
モータ５４はプレスフレーム１６の垂直ビームに
取り付けてあり、その駆動軸は水平方向に機械方
向へ延びるジヤツキ５６に連結している。ねじ５
６の一端部は、フレーム１６に取り付けたブラケ
ツト５８に連結し、他端部は下部プレスビーム２
４に取り付けてある。下部プレスビーム２４をフ
レーム１６の垂直ビームに対してモータ５４及び
ジヤツキねじ５６、ブラケツト５８を介して連結
したことにより、裏当てロール１０に対して伸長
ニツプ荷重（圧力）付加装置が安定する。

作動状態では、図示されていないポンプなどか
らの圧力流体でピストン３８を作動させることに
より、紙ウエブＷとフエルトＦをベルト４４と裏
当てロール表面との間に挟んだ状態で、シユー４
０を裏当てロールの表面に押し付ける。紙ウエ
ブ、フエルト及びベルトがシユー４０の凹形外周
面と裏当てロール表面との間の接触領域を通過す
る場合、紙ウエブからフエルト内へ水が絞り出さ
れる。すなわち、裏当てロール１０とシユーの間
において、ベルトとフエルト及びウエブはロール
１０を中心とする概ね角度αの範囲内の円弧状表
面により伸長ニツプを形成するが、そのニツプを
通過する間にウエブは大幅に緻密化及び乾燥され
る。ベルト、フエルト及び紙ウエブの移動方向は
裏当てロール１０上の矢印６０に対応している。
ベルトやフエルト及びウエブの裏当てロールの表
面に対する接触加圧力は加圧シユーの作用により
得られ、その圧力により、ベルトをそのループ状
移動進路に沿つて移動させるための駆動力が得ら
れる。

作動中にベルト４４が伸長ニツププレスのいず
れかの端部上の所定位置を越えて縦方向（機械横
方向）に移動しようとした場合、その運動を制御
装置５２の扁平ガイド５０が検出し、装置５２か
らの信号によりモータ５４が作動してジヤツキね
じ５６がいずれかの方向に回転させらりる。それ
により、シユー４０の端部は、枢支支持ロツド２
０に規制された状態で、シユー４０が裏当てロー
ル１０に斜行する状態になるように移動し、それ
により、移動中のベルトがシユー表面との接触摩
擦力により機械の中心、すなわち伸長ニツププレ
スの中心に向かつて内向きに移動される。

この斜行動作状態は、第２図において、裏当て
ロール１０の縦軸３４とシユー４０の縦軸４１と
の間の角度βとして、説明のために誇張して示し
てある。斜行運動は両頭矢印４３で示してある。
換言すれば、第１図において、斜行運動は、ロー
ル回転軸３４と支持ビーム３０の縦軸３２とを通
る面と裏当てロール表面とが交差する位置にある
裏当てロール１０の点において、同ロール１０の
接続方向に延びる水平面内において行われる。し
かし、裏当てロールの表面に対するシユー４０の
凹形表面の回動に対応して支持ロツド２０が回動
するので、実際の斜行動作は真の水平面上で行わ
れない場合がある。

無論、本発明の範囲において種々の変形構造を
装置に採用することもできる。例えば、モータ５
４とジヤツキねじ５６、ブラケツト５８を装置の
両端部に配置して安定性及び動作制御性能を向上
させることもできる。また、支持ロツドや枢支ク
レビス以外の構造を採用して伸長ニツプ荷重付加
装置４６を移動自在に支持することもできる。ロ
ール表面をシユー表面に対して斜めに移動させる
こともできる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は伸長ニツプを通
過するループ状ベルトの横方向の位置がづれたと
きに、移動表面に斜行するようにシユーを移動さ
せることによつて、ループ状ベルトを元の位置へ
戻すことができる。

また、本発明では、案内ロールや案内表面等を
追加的に付加することなく、伸長ニツプにおいて
ベルトを効果的に案内することができる。

また更に、本発明によれば、ベルトを案内する
ための所要動力を低減することができると共に、
ニツプ通過中にベルトに作用する応力の増加、従
つてこれによるベルトの摩耗及び破損を防ぐこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は裏当てロール表面に対して斜行できる
ようにプレスシユーを取り付ける状態を示す本発
明の一実施例の伸長ニツププレスの正面図、第２
図は同実施例の裏当てロール回転軸に対するシユ
ーの斜行状態を示す平面図である。 １０……裏当てロール、１６……フレーム、２
０……支持ロツド、２４……下部プレスビーム、
３０……支持ビーム、３２……支持ビーム縦軸、
３４……裏当てロール回転軸、３６……ピストン
ブロツク、４０……シユー、４４……ベルト、４
８……ベルト縁部位置検出装置、５２……制御装
置、５４……モータ、５６……ジヤツキねじ、Ｆ
……フエルト、Ｗ……ウエブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フレーム、移動表面、同移動表面とともに移
   動し伸長ニツプを通過するフエルトとループ状ベ
   ルト、及び上記移動表面と反対側に設けられベル
   トと移動表面との間にニツプ力を及ぼすシユーと
   シユー支持手段とを備えた伸長ニツプウエブプレ
   スにおいて； 上記移動表面に斜行するようにシユーを移動さ
   せて伸長ニツプにおけるベルトの移動する進路及
   び位置を変更するための手段をシユー支持手段に
   設けたことを特徴とする伸長ニツプウエブプレ
   ス。 ２ 上記移動表面が、縦方向回転軸を有しフレー
   ムに取り付けられた回転ロールより成り、上記シ
   ユー支持手段に、ピストンブロツクと、ピストン
   ブロツクを支持するとともにロールの縦方向軸に
   沿つて延びる縦方向軸を有する軸方向ビームを設
   けた請求項１記載の伸長ニツプウエブプレス。 ３ シユーの長手方向及びベルト進路と直角な方
   向における伸長ニツプでのベルト進路の横方向の
   ずれを検出するとともに、ベルトの上記ずれに応
   答して信号を発生するベルト位置検出手段と；上
   記信号を受け、それに応答して上記移動表面に斜
   行するようにシユー支持手段を移動させ、シユー
   表面に沿う縦方向にベルトを移動させるアクチユ
   エータとを備えた請求項２記載の伸長ニツプウエ
   ブプレス。 ４ シユー支持手段は、ロールを取り付けたフレ
   ームに軸方向ビームを連結する複数の支持ロツド
   を備え；同支持ロードに、ロール表面に対するシ
   ユーの斜行運動を許容する枢支部を設けた請求項
   ２記載の伸長ニツプウエブプレス。 ５ ベルト位置検出手段は、ベルトの縁部と接触
   する扁平ガイドと、同扁平ガイドにより検出され
   たベルトの横方向運動に応答して信号を発生する
   制御装置と、制御装置に接続されたモータと、モ
   ータにより駆動されるジヤツキねじとを備え、同
   ジヤツキねじは、シユー支持手段に連結されて上
   記移動表面に斜行するようにシユーを移動させ移
   動中のベルトをシユーの縦方向に沿つて位置決め
   するシユー支持手段の横方向の位置決め運動を行
   うことを特徴とする請求項２記載の伸長ニツプウ
   エブプレス。